有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/05/19 15:00
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159項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第13期連結会計年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,352,004千円となり、前連結会計年度末に比べ207,215千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が24,297千円減少し、売上高が順調に伸長したことにより売上債権が243,245千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産は462,760千円となり、前連結会計年度末に比べ103,348千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が19,693千円、無形固定資産が58,866千円、減価償却費を計上したこと等によりそれぞれ減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は2,814,765千円となり、前連結会計年度末に比べ103,867千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,708,467千円となり、前連結会計年度末に比べ164,776千円減少いたしました。これは主に堅調な受注に対応するための外注費に係る仕入債務が72,167千円増加した一方で、有利子負債の圧縮のため短期借入金が150,000千円減少し、中間納付等の影響により未払法人税等が88,680千円減少したことによるものであります。
なお、当連結会計年度末における固定負債の残高は前連結会計年度末に比べ833千円減少し、ゼロとなりました。
この結果、負債合計は1,708,467千円となり、前連結会計年度末に比べ165,610千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,106,297千円となり、前連結会計年度末に比べ269,477千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が272,830千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は39.3%(前連結会計年度末は30.9%)となりました。
第14期第2四半期連結累計期間(自 2022年9月1日 至 2023年2月28日)
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は3,202,835千円となり、前連結会計年度末に比べ850,830千円増加いたしました。これは主に借入れにより現金及び預金が674,916千円増加したことによるものであります。
固定資産は436,078千円となり、前連結会計年度末に比べ26,681千円減少いたしました。これは主にソフトウエアの減価償却費を計上したこと等により21,429千円減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は3,638,913千円となり、前連結会計年度末に比べ824,148千円増加しました。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は2,373,477千円となり、前連結会計年度末に比べ665,009千円増加いたしました。これは主に金融機関との良好な取引関係維持及び運転資金としての短期借入金が580,000千円増加したことによるものであります。
なお、当第2四半期連結会計期間末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に引き続きゼロであります。
この結果、負債合計は2,373,477千円となり、前連結会計年度末に比べ665,009千円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は1,265,436千円となり、前連結会計年度末に比べ159,139千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が159,139千円増加したことによるものであります。
この結果、当第2四半期連結会計期間末における自己資本比率は34.8%(前連結会計年度末は39.3%)となりました。
② 経営成績の状況
第13期連結会計年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、緩やかに持ち直しの動きが続いております。新型コロナウイルス感染対策に万全を期す中、社会経済活動の正常化が進み、各種政策の効果もあって景気が持ち直していくことが期待されますが、世界的に金融引き締めが進み、金融資本市場の変動や原材料価格の上昇から、物品・サービスの値上げの傾向が顕著となり、さらに、ウクライナ情勢の緊迫化、中国の都市封鎖によるサプライチェーンの混乱など供給サイドでも制約があり、今後の国内経済の回復は不透明感を増している状況にあります。
このような経済状況の中におきましても、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れは加速を継続しております。これらを背景に当社グループが属するIT業界は、堅調な事業環境を保持しており、当社グループも、この環境下で売上を順調に伸ばしております。一方で、利益面では、中期経営計画の達成に向け「人材面での体制強化」や「プロダクトの開発」などにかかる戦略的な投資を大幅に増加させていることから、前年を下回る結果となっております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高8,768,789千円(前期比15.4%増)、営業利益396,524千円(前期比9.1%減)、経常利益396,544千円(前期比11.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益272,830千円(前期比20.9%減)となりました。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。これに伴い、当連結会計年度における売上高及び売上原価が140,928千円それぞれ減少しておりますが、営業利益への影響はありません。
なお、当社グループは、DXソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第14期第2四半期連結累計期間(自 2022年9月1日 至 2023年2月28日)
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、エネルギー・食料等の価格高騰や新型コロナウイルス感染症の影響が依然として残るものの、感染症拡大防止のための行動制限が緩和され、経済活動が徐々に再開され、個人消費は回復傾向にあり、景気も持ち直し傾向にあります。しかしながらウクライナ情勢の長期化による原材料価格の高騰や世界的な金融引き締めなどに伴い景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済状況の中でも企業の生産性向上や社会のデジタル化への対応等を目的とした、DX投資は引き続き堅調に推移しており、当社も同様に売上高は堅調に推移しております。一方、利益面では引き続き人材強化のための投資を積極的に行っているため、前年並みで推移しております。
この結果、当第2四半期連結累計期間の業績は、売上高4,755,789千円、営業利益241,056千円、経常利益245,336千円、親会社株主に帰属する四半期純利益159,139千円となりました。
なお、当社グループは、DXソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第13期連結会計年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ24,298千円減少し、876,881千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は151,383千円(前年同期比70.1%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益396,544千円、減価償却費の計上額103,343千円があった一方で、売上高が順調に伸長したことによる売上債権の増加額243,245千円、及び法人税等の支払額184,281千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,801千円(前年同期比94.2%減)となりました。これは主に情報機器の入れ替えに伴う有形固定資産の取得による支出12,872千円、自社利用ソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による支出11,911千円があった一方で、証券会社への預け金の払戻による収入21,198千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は171,496千円(前年同期比33.0%減)となりました。これは主に有利子負債の圧縮により、短期借入金の純減少額150,000千円、長期借入金の返済による支出15,000千円等によるものであります。
第14期第2四半期累計期間(自 2022年9月1日 至 2023年2月28日)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ684,926千円増加し、1,561,808千円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は119,835千円となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益245,336千円、減価償却費の計上額48,981千円、仕入債務の増加額80,424千円があった一方で、売上高が順調に伸長したことによる売上債権の増加額173,621千円、法人税等の支払額32,082千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は14,027千円となりました。これは主に情報機器等に係る有形固定資産の取得による支出23,216千円、自社利用ソフトウエア開発に伴う無形固定資産の取得による支出13,723千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は579,166千円となりました。これは主に金融機関との良好な取引関係維持及び運転資金として短期借入金の純増加額580,000千円等があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが行う事業では、提供サービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
第13期連結会計年度及び第14期第2四半期連結累計期間における受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第13期連結会計年度
(自 2021年9月1日
至 2022年8月31日)
第14期第2四半期
連結累計期間
(自 2022年9月1日
至 2023年2月28日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
受注高
(千円)
受注残高
(千円)
DXソリューション事業8,668,657110.1928,34090.34,698,925871,476
合計8,668,657110.1928,34090.34,698,925871,476

c.販売実績
第13期連結会計年度及び第14期第2四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第13期連結会計年度
(自 2021年9月1日
至 2022年8月31日)
第14期第2四半期連結累計期間
(自 2022年9月1日
至 2023年2月28日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
DXソリューション事業8,768,789115.44,755,789
合計8,768,789115.44,755,789

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第13期連結会計年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)
当連結会計年度の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しておりますが、主に以下のとおりであります。
なお、当社グループは、「収益認識会計基準」等を当連結会計年度から適用しております
(売上高、売上原価及び売上総利益)
売上高は8,768,789千円(前期比15.4%増)となりました。これは主に新規契約の獲得により累計契約数が増加したことによるものであります。
売上原価は6,781,633千円(前期比15.0%増)となりました。これは主にDXソリューション事業の従業員の増加等に伴う労務費の増加並びにビジネスパートナーへの外注費の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は1,987,155千円(前期比16.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
販売費及び一般管理費は、1,590,631千円(前期比25.8%増)となりました。これは主に事業規模拡大に向けた人材投資や採用活動強化に伴う人件費の増加、自社開発のソフトウエアに係る研究開発及び広告宣伝等に積極的な投資を行ったことによるものであります。
この結果、営業利益は396,524千円(前期比9.1%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
営業外収益は、主に助成金収入を計上したこと等により6,928千円(前期比60.3%減)となりました。営業外費用は、支払利息を計上したことにより6,907千円(前期比13.1%減)となりました。
以上の結果、経常利益は396,544千円(前期比11.0%減)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純損益)
特別利益並びに特別損失の計上はなかったため、税金等調整前当期純利益は396,544千円(前期比7.9%減)となりました。これに法人税、住民税及び事業税95,600千円(前期比34.9%減)と法人税等調整額28,114千円(前期は61,095千円のマイナス)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は272,830千円(前期比20.9%減)となりました。
第14期第2四半期連結累計期間(自 2022年9月1日 至 2023年2月28日)
当第2四半期連結累計期間の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しておりますが、主に以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
売上高は4,755,789千円となりました。
売上原価は3,648,108千円となりました。これは主に労務費及び外注費によるものであります。
この結果、売上総利益は1,107,680千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損益)
販売費及び一般管理費は、866,624千円となりました。これは主に事業規模拡大並びに内部管理体制強化に向けた人材投資や採用活動を積極的に行ったことによるものであります。
この結果、営業利益は241,056千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
営業外収益は、主に助成金収入を計上したこと等により7,183千円となりました。営業外費用は、主に支払利息を計上したこと等により2,904千円となりました。
以上の結果、経常利益は245,336千円となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する四半期純損益)
特別利益並びに特別損失の計上はなく、税金等調整前四半期純利益は245,336千円となりました。これに法人税等86,196千円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は159,139千円となりました。
③ 財政状態の分析及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
財政状態の分析及びキャッシュ・フローの分析については、前述の「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載したとおりであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、サービス提供のための労務費、外注費、販売費及び一般管理費等の費用であり、投資を目的とした資金需要は自社開発のソフトウエアに係る研究開発費であります。
当社グループは、これらの資金需要に対して、事業上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針とし、資金使途や金額に応じて自己資金又は金融機関からの借入といった資金調達を柔軟に検討し、確保しております。
④ 経営方針、経営戦略又は経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等の分析
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社グループは、高い収益性の確保と継続的な売上の成長を維持することにより、企業価値を継続的に向上させ株主利益を最大化することを経営上の目標としております。
そのための指標として、売上高成長率を重視しております。
当社グループのビジネスの構造上、売上総利益率を短期間に著しく向上させることはあまり現実的ではなく、業績拡大の指標として売上高の伸長を重視しております。ITサービス市場の成長率は年数パーセントで推移しておりますが、当社グループの2022年8月期の売上高成長率は+15.4%となり、新型コロナウイルス感染症の影響で停滞した2020年8月期を除けば近年は10%以上の成長率で推移してきており、今後も同程度の水準を目安に売上高成長率を目指してまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しておりますが、その中でも特に「人材の確保と育成について」「ビジネスパートナーとの関係について」を重大なリスクと認識しており、これらのリスクに対応するため、積極的な人材育成施策とビジネスパートナーとのアライアンス強化に努めてまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、特に「人材確保と育成」に対処することが必要であると認識しております。これらの課題に対応するために、積極的な人材育成施策を展開するとともに、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、事業運営に努めてまいります。