有価証券報告書-第10期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 14:43
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128項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、『こころ 動かそう いのち つなごう』を標語として、ひとびとが、命ある限り、健康で幸せな生活を送るために、技術とこころ、科学と人間をつなぎ、世界中のひとびとの健康と人生に貢献する新たな医療を作り出していくことを経営理念としております。当社グループはヒトiPS細胞由来の細胞加工物の製造方法に関する研究開発を推進し、安定的かつ効率的で、安全で信頼性の高い細胞加工物を生み出す高レベルな生産技術を確立した上で再生医療等製品としての製造販売の承認を目指しております。また、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品に限らず、新しい細胞製品の製造・実用化にも取り組み、その周辺技術とともに次世代の革新的な細胞治療モダリティを提供してまいります。
(2)経営環境
2026年3月期においては、依然続くロシアのウクライナ侵攻のみならず、アメリカのイラン攻撃に伴うホルムズ海峡の閉鎖による物流や資源輸送の停滞、世界各国での資源価格及び物価の上昇、並びに為替相場の円安継続等、当社グループを取り巻く経営環境においては依然として不確定要因が多い状況でありました。
再生医療等製品の将来市場規模については、一般社団法人再生医療イノベーションフォーラムが作成した資料によれば、世界全体で2020年時点では約7,000億円と推計されているのに対し、2030年時点には6.9兆円、2040年時点には12兆円まで拡大すると推計されており、今後の拡大が見込まれます。
(https://www.cas.go.jp/jp/seisakukaigi/kenkouiryou/saisei_saibou_idensi/dai10/siryou1-5.pdf)
また、再生医療について、国内外の数多くの企業や研究機関等により技術革新は急速に進んでおります。
日本では、2014年11月に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(以下、「再生医療等安全性確保法」)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」)により、再生医療分野の産業化が加速しておりますが、本格的な普及段階までには至っておりません。
(3)経営戦略
当社グループの経営戦略は以下のとおりであります。
① 心筋細胞シート(リハート)による収益拡大及び収益力の向上:
・国内における登録施設数の拡大及び患者リクルートの推進
・海外病院等との提携を図ることによる海外売上の創出
・生産体制の強化による安定的な製品供給や原価低減
② 安定した収益基盤を確立するため、次なる成長ドライバーとなる製品開発の加速化:
・朝日インテック株式会社との共同開発品(カテーテル治療)の研究開発加速化
・体内再生因子誘導剤(YSシリーズ)の開発品(肝臓等)において医師主導治験準備の推進
③ 将来的な細胞治療の需要拡大による収益機会を捉え、原価低減を図るための大量培養技術の確立
④ 販管費等のコスト削減
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは研究開発費が先行するタイプの企業であり、また過年度より損失を計上していることから、ROEやROA等の財務指標は、当面、当社グループの経営指標として馴染まないものと考えております。したがって、各パイプラインにおける研究開発の進捗状況を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。
なお、当社グループは、従来の創薬系バイオベンチャーが直面する、安定的な売上が計上されないまま研究開発費が先行する企業とは異なる経営戦略を採用しております。具体的には、製造拠点を自社で保有している強みを活かし、上市製品がなくてもCDMO事業で売上を安定的に獲得することや、共同研究パートナーから共同研究開発費を受領することにより、Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑えており、今後はリハートの販売や、海外売上の創出による収益獲得により財務体質の強化を図ることで、投資家への収益還元を早期に実現することを目指しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループはリハートの販売開始及びその他のパイプラインの事業化に向けて、下記の課題に対して経営陣、社員一丸となって取り組んでまいります。なお、現時点で当面の運転資金は確保していることから、優先的に対処すべき財務上の課題で特筆すべきものはありません。
[短期的な課題]
① リハートの製造販売開始に向けた準備:
・物流体制の構築:
当社は、「薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症(ICM)による重症心不全の治療」を効果・効能として、リハートの条件及び期限付き製造販売承認を2026年3月に取得しておりますが、薬価基準収載・保険適用後の販売開始に向けて、流通のための物流体制を構築してまいります。
・製造販売後調査に向けた対応:
当社は、リハートの市販後調査のための体制の整備等に引き続き取り組んでまいります。
② 海外展開:
当社は、リハート及びその他の製品等について、海外展開におけるパートナー探索や体制の構築を行い、事業化を目的とした取り組みを進めてまいります。
③ 細胞の大量培養システムの開発に向けた取り組み:
当社製品の将来的な需要増及び海外での販売を見据えて当社がパートナー企業と設立したコンソーシアム(「次世代再生医療モダリティの開発と実用化を可能とする細胞大量製造バリューチェーン開発コンソーシアム」(VMaCS))にて、細胞の大量製造及び省力化を目的とした研究を進めてまいります。
④ 新たなパイプラインへの対応:
ヒトiPS細胞由来細胞をカテーテルによる新たなアプローチで心臓へ移植する治療技術や、体内再生因子誘導による治療薬のみならず、新規開発パイプラインの拡充を図るべく、心筋細胞シートに続くパイプラインの試作品の開発や治験準備等、製品化に向けた取り組みを推進してまいります。
⑤ 社内管理体制等の強化:
制定した社内規程の定着化に向け社内研修・啓発に努めてまいります。また、内部監査を継続的に実施し、内部監査室、監査役会及び会計監査人の三者間で緊密な連携を図ることにより社内管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化を進めてまいります。
[中期的な課題]
① 販売流通及び情報提供等の体制の整備:
基幹業務システムの導入、並びにロジスティクス、適正使用に必要な情報提供及び製造販売後調査に係る体制の整備・構築に取り組んでまいります。また、リハートの国内販売については、当社自身での販売及びプロモーション活動を行う方針であります。医療機関との交渉を開始しており、リハートの移植を行うことのできる登録施設の確保及び拡大に取り組んでまいります。
② 人材の確保及び獲得:
当社グループは、社歴が浅く小規模な組織であるため、今後の企業価値向上に向けては、研究開発活動のみならず全社的に人材の確保及び拡充が重要な課題であると認識しております。当社グループは、次世代の治療技術の開発に従事できる点や、様々な研究開発パイプラインを有する点では、従業員に様々なキャリアプランを提供できると考えております。この優位性を人材の育成及び採用に活かすことで、優秀な人材の確保及び拡充を図ってまいります。
③ 知財戦略:
当社グループの研究開発活動(第三者との共同研究開発を含む)により獲得した知的財産についてそれらの権利を確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないための体制整備を構築していることが将来の事業活動を推進していく中で重要な課題であると認識しています。そのため、当社グループの知的財産権を維持及び確保し、また第三者の知的財産権を侵害しないよう、顧問弁理士と緊密な連携を図り知的財産管理を行ってまいります。
④ Cash burn rate(手元流動性が減る速度)を抑える取り組み:
当社グループは、研究開発型の企業であり、研究開発にかかる先行投資として長期にわたり多額の資金を必要とするため、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。当社グループは営業活動によるキャッシュ・フローの早期でのプラス転換に向け、国内におけるリハートの登録施設数の確保及び拡大を推進するだけでなく、海外売上の創出、コスト削減及び大量培養技術の開発による単位当たり製造原価の低減等にも取り組み、Cash burn rateを抑える取り組みを行ってまいります。

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