有価証券報告書-第9期(2023/07/01-2024/06/30)

【提出】
2024/09/30 15:05
【資料】
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【項目】
112項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、社会経済活動の正常化が進んだものの、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化等による地政学リスクや原材料価格の上昇、インフレリスクなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような中でドル円為替相場は、前事業年度と比較して円安水準で推移しました。
航空業界においては、旅客需要が新型コロナウイルス発生前の水準に概ね回復し、更に拡大する兆しを見せております。エアラインでは、拡大する需要に対応するため、機体発注拡大などの動きを見せており、航空機メーカーにおいては、中小型航空機を中心とした機種の受注が増加しました。その結果、当社の主力製品であるチタンアルミ製の低圧タービンブレードを採用するLEAPエンジンが搭載される、中小型航空機の仏Airbus社製航空機A320neoファミリー及び米Boeing社製航空機737MAXは、高水準の受注機数残高を維持し、両社ともに生産体制の増強を進めております。また、同じくLEAPエンジンが搭載される中COMAC社製航空機C919は、2023年に初の商業飛行を中国国内で実施し、受注を拡大させています。
受注機数残高引渡機数
2024年6月末2022年
1月~12月
2023年
1月~12月
2024年
1月~6月
仏Airbus社製 A320neoファミリー7,666516571261
米Boeing社製 737MAX5,145374387135
中COMAC社製 C919964123

(出所:一般財団法人日本航空機開発協会)
一方で、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢を発端としたサプライチェーンの毀損や人手不足の影響の顕在化により、仏Airbus社及び米Boeing社ともに、生産体制の増強に一部遅延が見られております。また、米Boeing社においては、737MAXの品質問題に直面し、品質体制の構築を優先することによる一定期間の生産拡大の見合わせを発表しております。
その結果、当事業年度のチタンアルミブレードの販売数量は前年同期比微増に留まり、当社のチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数(チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数)は573基(前期比1.8%増)となりました。しかしながら、A320neoファミリー及び737MAXともに、受注機数残高は高水準を維持しており、航空業界でのサプライチェーンの毀損、人手不足や品質問題の解消が進めば、チタンアルミブレードの販売は拡大していくと考えられることから、当社は、将来の増産に向けて、引き続き生産性・収益性の向上に取り組んでまいりました。
当社が推進しているチタンアルミブレードの新材料開発に関しては、開発の進展に伴い顧客から一定の評価を得られたことから、開発推進のための受託業務を新規に売上計上しました。また、為替相場が円安で推移したことも業績に寄与しました。
費用面においては、翌事業年度中の量産開始に向けて取り組んでいるチタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産技術の開発や量産体制の構築、並びにその他の新規量産案件の獲得・拡大のための人員採用の積極化により人件費が増加しました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高3,350,387千円(前期比14.7%増)、営業利益705,462千円(前期比47.1%増)となりました。経常利益に関しては、営業外費用として上場関連費用が発生しましたが、営業外収益として補助金収入や為替差益等を計上したことから、842,981千円(前期比40.9%増)となりました。当期純利益に関しては、資本金増加に伴う繰越欠損金の利用制限等により法人税等負担が増加しましたが、698,736千円(前期比3.8%増)となりました。
なお、当社は、単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産の残高は、7,236,980千円であり、前事業年度末に比べ1,448,744千円増加いたしました。この主な要因は、仕掛品の減少57,398千円があった一方で、当期純利益の計上や株式上場による新株発行に伴う現金及び預金の増加85,223千円、貯蔵品の増加51,222千円、未収消費税の増加190,175千円及び有形固定資産の増加1,182,527千円があったことによるものであります。
有形固定資産が増加した主な要因は、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産のための新工場建設、並びに設備投資によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債の残高は、4,142,899千円であり、前事業年度末に比べ23,258千円減少いたしました。この主な要因は、未払金の増加316,763千円及び未払法人税等の増加168,296千円があった一方で、長期借入金(1年内返済予定分含む)の返済による減少338,713千円及びリース債務(1年内返済予定分含む)の返済による減少181,123千円があったことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、3,094,081千円であり、前事業年度末に比べ1,472,003千円増加いたしました。この主な要因は、株式上場に伴う新株発行等により、資本金382,443千円、資本剰余金382,443千円がそれぞれ増加したこと、当期純利益の計上等により利益剰余金698,736千円が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,813,651千円と前事業年度と比べ85,223千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は、1,391,430千円(前事業年度は1,077,424千円の増加)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益841,820千円、減価償却費387,666千円及び補助金の受取額356,213千円であり、主な減少要因は、未収消費税等の増加190,175千円及び補助金収入140,073千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は、1,526,507千円(前事業年度は137,360千円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,519,961千円によるものであります。
有形固定資産の取得の主な要因は、チタンアルミブレード以外の航空機エンジン部品の量産のための新工場建設、並びに設備投資によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の増加は、234,235千円(前事業年度は337,382千円の減少)となりました。主な増加要因は、株式の発行による収入754,071千円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出338,713千円及びリース債務の返済による支出181,123千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社は「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)
加工事業1,826,462108.5
合計1,826,462108.5

(注) 金額は、製造原価によります。
b.受注実績
当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社は「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)
加工事業3,395,32297.0846,530105.6
合計3,395,32297.0846,530105.6

c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は「加工事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
加工事業3,350,387114.7
合計3,350,387114.7

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
当事業年度
(自 2023年7月1日
至 2024年6月30日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
Safran Aircraft Engines2,819,32896.53,256,29497.2

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況の分析・検討内容
(売上高)
当事業年度の売上高は、3,350,387千円となり、前事業年度に比べ429,396千円増加(前期比114.7%)となりました。これは主に、航空需要の回復に伴いチタンアルミブレードの販売が拡大したこと、新材料等の開発業務を受託したこと、並びに為替相場が前事業年度と比較して円安に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、1,838,078千円となり、前事業年度に比べ121,627千円増加(前期比107.1%)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う変動費等の増加によるものです。
この結果、売上総利益は1,512,309千円となり、前事業年度に比べ307,768千円増加(前期比125.6%)となりました。また、売上総利益率は、当事業年度で45.1%となり、前事業年度と比べて向上しました。これは主に、利益率の高い新材料等の開発業務を受託したこと、並びに為替相場が前事業年度と比較して円安に推移したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、806,847千円となり、前事業年度に比べ81,774千円増加(前期比111.3%)となりました。これは主に、人員拡大等に伴う人件費の増加37,512千円、外形標準課税の適用に伴う租税公課の増加38,262千円等によるものであります。
この結果、営業利益は705,462千円となり、前事業年度に比べ225,994千円増加(前期比147.1%)しました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、補助金収入等の一過性収入、為替差益等の増加により、前事業年度に比べ23,360千円増加し、190,438千円(前期比114.0%)となりました。営業外費用は、支払利息が減少したものの、上場関連費用の増加により、前事業年度に比べ4,562千円増加し、52,918千円(前期比109.4%)となりました。
この結果、経常利益は842,981千円となり、前事業年度に比べ244,792千円増加(前期比140.9%)となりました。また、経常利益率は25.2%となりました。
(法人税等、当期純利益)
資本金等の増加に伴う繰越欠損金の利用制限等により、法人税等は143,083千円(前事業年度は△73,479千円)となりました。
この結果、当期純利益は、698,736千円となり、前事業年度に比べ25,697千円増加(前期比103.8%)となりました。
② 財政状態の状況の分析・検討内容
財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
b.資金需要の主な内容
当社の運転資金需要のうち、主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。主要事業であるチタンアルミブレードの生産においては、材料が顧客からの無償支給であるため、当社において材料購入に関わる運転資金負担はありません。
また、投資を目的とした資金需要のうち、主なものは、チタンアルミブレードの内製化推進や自動化投資、並びに新規案件に対応した設備投資等によるものであります。成長の原資たる設備投資については今後も継続してまいります。
c.資本の財源
当社は、運転資金及び設備投資資金の原資につきましては、当社の財務状況を勘案して、手許現金の使用・銀行借入・リースの利用等の中から最もふさわしい方法を採ることとしております。また一方で、先行投資的な資金も必要となることから、事業運営上必要な資金は、手元流動性の高い現金及び現金同等物として保持していく方針であります。なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,813,651千円であります。
また、金融機関と安定的な事業資金の確保に取り組んでおり、今後も引き続き各金融機関からの資金調達、借入コミットメントライン契約の設定、リース等様々な資金調達を検討・実施し、継続的な財務基盤の強化に努めてまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたっては、資産・負債や収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績等を勘案し合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
⑤ 経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、売上高、営業利益、EBITDAを重要な経営指標として管理しております。売上高及び営業利益を重視する理由は、企業として一定程度の売上高規模を確立することで、事業基盤の安定性を確保するとともに、安定した利益の成長を継続させることで、新規案件への投資を継続的に行うことが可能であると考えているためであります。また、当社は、設立時に主要事業であるチタンアルミブレードの増産に対応できる水準の生産キャパシティを考慮した設備投資を実施していることから、チタンアルミブレードの今後の増産に対応するための大規模設備投資は今後も限定され、現時点において、既に将来の増産に対応する水準の減価償却費が会計上計上されていると考えております。そのため、当社の収益性や現金創出力をより適切に把握するために、減価償却費の影響を排除した指標であるEBITDAを重要な経営指標として管理しております。
また、これらの源泉となる指標として、販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数、並びにエンジン1基当たりの営業利益をKPIとして選択しております。その理由として、当社は、チタンアルミブレード販売への依存度が現時点においては高いことから、チタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数、並びにその収益性が、当社全体の収益力に直結すると判断しているためであります。
各指標の推移は以下のとおりであります。
前事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
当事業年度
(自 2023年7月1日
至 2024年6月30日)
売上高(千円)2,920,9913,350,387
営業利益(千円)479,468705,462
EBITDA(千円)※1918,3281,093,128
販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン数(基)※2563573
販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン1基当たり営業利益(千円)※38511,231

※1 営業利益+減価償却費(有形・無形固定資産)
※2 チタンアルミブレード販売枚数÷LEAPエンジン1基当たりのチタンアルミブレード搭載枚数
(販売されたチタンアルミブレードは全て新造エンジンに搭載されたと仮定しております)
※3 営業利益÷販売されたチタンアルミブレードが搭載されるエンジン基数

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