訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2024/06/06 15:00
【資料】
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【項目】
126項目
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「日本発」「世界初」のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに届けることで、『Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会の実現』を目指しています。ファーストインクラス抗がん薬を創ることを設立以来のミッションに掲げ、その実現を通じて、2030年には日本発の研究開発型の製薬会社に成長していくことをビジョンとして掲げております。
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(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、新規抗がん薬の市販を目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業であり、現時点では製品売上により利益を安定的に計上するステージにはありません。
当面の経営管理上の目標は、抗がん薬の早期の市販に向けて、当社のパイプラインを計画通り研究開発を推進すること、及び新規創薬標的の探索及びパイプラインを安定的に創出する体制を構築することです。
従いまして、当社は、ROAやROEといった経営指標を目標とはせず、パイプラインの進捗等に目標をおいた事業活動を推進しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社の中長期における最重要課題は、新規抗がん薬の研究開発を着実に推進して承認の取得もしくはライセンス契約を締結し、自社もしくはパートナー企業による製品販売からの安定的な収益源を確保することです。
当社のパイプラインであるCTX-712は臨床試験段階にあり、自社もしくはパートナー企業により日本国内や欧米などの各地域での承認を取得していく予定です。また、パイプラインの充実に向けた探索研究も継続的に実施してまいります。創薬ベンチャーである当社にとっては、これらの臨床開発と探索研究を並行して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。
従いまして、当社は、日本の提携先に留まらず、グローバルの製薬会社等の新規提携パートナー企業の確保に努めるとともに、必要に応じて、事業会社や株式発行による資本市場からの資金調達を行いながら、研究開発を推進していく方針です。
(4)経営環境
①医薬品市場の動向
厚生労働省が公表した「薬事工業生産動態統計」によると、2020年の国内での医薬品最終製品(医療用医薬品や一般用医薬品などの合計)の生産金額は9兆2,640億円、外国からの輸入金額は2兆8,782億円で、合計金額は12
兆1,422億円となりました。これに対し、国内への出荷金額は10兆8,965億円、外国への輸出金額は5,125億円であり、合計金額は11兆4,090億円となりました。
医薬品は、医療用医薬品と一般用医薬品に大別され、その9割弱は医療用医薬品となります。医療用医薬品の2020年の生産金額は8兆5,195億円となりました。過去5年間の推移をみると2016年から2019年まで拡大傾向で推移しており、2020年度は前年度と同水準を保つという結果となりました。
生産状況を薬効分類別にみると抗がん薬用の薬の2020年の生産金額は1兆2,015億円となり、医薬品総生産金額(医療用医薬品、一般用医薬品の合算)の13.0%を占めており、前年に比較して398億円、3.4%と市場規模は拡大しております。
国内医薬品市場規模は、薬価改定や医療制度改革に強く影響を受けております。1991年以降、薬価の引下げやジェネリック医薬品の流通量の増加等により国民医療費に占める薬剤比率は約30%から低下してきており、近年では約18%の水準で横ばいに推移しております。
<最近5ヵ年の国内の医療用医薬品生産金額の推移>(百万円)
0202010_002.png<最近5ヵ年の国内の医療用医薬品生産金額の推移>②低分子医薬品の市場及びがん領域
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Evaluate Pharma社の分析によれば、2022年には、米国食品医薬品局(FDA)で市販が承認された医薬品の約50%が低分子医薬品(37品目中で18品目)であり、革新的な治療薬の大部分を低分子医薬品が占めています。また、新有効成分含有医薬品のうち抗腫瘍効果を有する品目は、当社がFDAのホームページに記載されている2022年の承認薬情報を確認したところ、米国では12品目であり、がん治療薬に関する成長性や必要性は依然として高く、多くの製薬会社は事業戦略の中心にがん領域を位置づけていると考えています。国際がん研究センターの調査では2020年のがんの罹患者数は世界で1,900万人となりました。内訳としては乳がん、肺がん、大腸がんの順で多くなっております。
(2020年 世界がん罹患者数)
0202010_004.png(引用元:International Agency for Research on Cancer(IARC) “Key Cancer Data and Key Figures on IARC: 2020-2021.”)
厚生労働省の調査によると日本における2020年のがんの死亡数は37.8万人となり、死因別にみても一番高い順位となりました。なお、がんは1981年から死因の第1位であり、人口10万人当たりの死亡率でみても1947年から増加傾向が進んでおり、最近では総死亡の約3割を占めております。
(死因順位別死亡数・構成割合(上位3位まで))
2019年2020年前年比
死亡数
(人)
死亡総数に占める割合(%)死亡数
(人)
死亡総数に占める割合(%)死亡数
(人)
総数1,381,093100.01,372,755100.0△8,338
死因別
1位 悪性新生物(がん)376,42527.3378,38527.61,960
2位 心疾患207,71415.0205,59615.0△2,118
3位 老衰121,8638.8132,4409.610,577

(引用元:厚生労働省令和2年(2020)人口動態統計)





(主要死因別死亡率の年次推移)
0202010_005.png(引用元:公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計2021」)
国立研究開発法人である国立がん研究センターの調査によると、日本においては人口比におけるがんの死亡割合が世界の中でも高いことが挙げられます。2019年には年間約99万人が新たにがんと診断され、2020年にがんで死亡した人は381,505人となりました。これは日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性が65.5%女性が51.2%と約2人に1人が診断されているほか、がんによる死亡確率は男性が26.2%で約4人に1人、女性が17.7%で約6人に1人となっています。(診断確率は2019年、死亡確率は2020年のデータを引用)
(がん統計まとめ)
0202010_006.png(国立研究開発法人国立がん研究センター:がん情報サービスを元に当社で作成)
上記のとおり、がんは日本を含む世界中で罹患者数が多く、多くのがんにおいて根治療法が確立されていないため、新たな治療法を待っている患者が多くいることからアンメットメディカルニーズが高く、これからも創薬領域での研究開発がさらに活発になることが予想されます。
③今後の見通し
日本国内においては、高齢化や医療分野での技術革新等の要因により、国が負担する全体の医療費が増大しております。これに伴い、国は薬価の引き下げを強化して薬剤費を抑えようとしております。実際に、2020年に当時の菅首相の所信演説では薬価改定を毎年実施する予定であることが示されました。このような薬価改定による価格引き下げで、国内医薬品市場は縮小傾向にあります。しかしながら、高齢化によるがん患者が増加している背景を受けて、抗がん剤等の新薬は販売を拡大しています(日本貿易振興機構JETROのHPより)。
世界市場については、アジア新興国やBRICs諸国が世界市場のシェアを伸ばしてきており、この傾向は今後も続き、市場規模の拡大を牽引することが見込まれます。他の拡大要因としては、治療法が確立していない疾患への対応、長寿化及び医療サービスの高度化等が挙げられています。加えて創薬技術の高度化も市場規模の拡大に寄与するものと考えられます。
④参入障壁
医薬品開発では患者を対象にして安全性と有効性の検証を段階的に進める臨床試験を実施しなければなりません。そのため、医薬品の臨床試験の実施の基準に関するGCP(Good Clinical Practice)と呼ばれる基準や、GMP(Good Manufacturing Practice)と呼ばれる適正製造基準が制定されています。安全な医薬品を製造し、臨床試験を実施するには、これらの厳格な基準を遵守する必要があるため、製薬業界への参入障壁は高いと考えられます。
⑤国際競争力
医療用医薬品の世界売上上位100品目のうち、1割が日本の製薬企業から生み出されています。これまで医薬品開発に関連する様々なイノベーションにより、新しい価値を有する医薬品が誕生してきました。製薬産業は、研究、開発、生産、販売というバリューチェーンを通じて、さまざまなノウハウの蓄積が必要となるため、継続的に新薬を開発することができる製薬企業を持つ国は限られています。
医療用医薬品世界売上上位100品目の
国別起源比較(2018年)
0202010_007.png(出所:厚生労働省「医薬品産業ビジョンの策定に向けて」、2021年5月17日)
⑥技術革新
製薬業界では、AIやITを活用した創薬が注目されています。例えば、新薬の候補になる化合物の探索や設計、評価を行いますが、この探索や設計をコンピュータによるシミュレーション技術を活用するなどといったことが挙げられます。他にも、自律的に学習を深めていくディープラーニング(深層学習)を取り入れる試みや、分子の構造を計算する新しいアルゴリズムなど画期的な技術も次々と登場しています。
これらの技術革新により、薬の有効成分になりうる新規化合物の創出や研究開発の時間的、金銭的コストの削減などのメリットが期待され、難病に対する新たな治療薬の誕生に向け、AIやIT技術が重要な役割を果たすとみられています。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、新しい作用を有する抗がん薬を開発することにより、今まで効果的な治療薬がなかったがん患者に対して、新たな治療法を提供することを目指しています。一方で医薬品としての事業化は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、当社は営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、すべての研究開発に関する投資を補うに足る収益は生じておりません。なお、当社は、当面の研究開発活動は、リードパイプラインであるCTX-712の米国1/2相試験に注力し、他の自社パイプラインについては、上場後新たな資金を獲得するまで多額の投資は行わず、新たなフェーズへの進捗はない見込みです。なお、状況によっては早期導出も視野に入れ交渉してまいります。
このような事業背景の下で、当社は、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
①CTX-712の開発の促進
当社は、国内の第1相臨床試験では、2020年以降に新型コロナウイルス感染症が拡大するなかでも、臨床試験実施医療機関の協力の下で患者登録が継続され、2023年8月には全ての患者登録を完了し、その結果を2024年4月の米国癌学会年次総会で発表しました。また2023年には米国での第1/2相臨床試験を開始し、臨床試験実施医療機関及び関連機関との連携を行い、早期で試験を完了する計画を進めています。世界の主要国において早期に承認を取得するためには、さらなる開発体制の強化と開発資金の確保が課題となります。このため、当社は国内及び米国での臨床試験の結果をもとに、提携パートナーの獲得を目指しながら開発の促進を図ってまいります。同時に国内の商業化を製薬会社との提携を行わず自社を中心に実施することも視野に入れ、株式会社メディパルホールディングとの業務提携及びシオノギファーマ株式会社と協業に関する基本合意を行っております。ただし、株式会社メディパルホールディングス及びシオノギファーマ株式会社との提携については、基本合意段階であり、国内で自社販売する方針が固まったわけではありません。
また、CTX-712は、一定の要件を満たす画期的な医薬品等については、開発の比較的早期の段階から、薬事承認に関する相談・審査における優先的な取り扱いをされる「先駆的医薬品指定制度」や、重篤な疾患であって有効な治療薬が乏しく患者数が少ない疾患等を対象として、治験実施が困難、あるいは実施可能であっても治験の実施にかなりの長時間を要すると認められる場合に、承認申請時に検証的臨床試験以外の臨床試験等で一定程度の有効性及び安全性を確認した上で、製販後に有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施すること等を承認条件に付与される「条件付き早期承認制度」を活用できる可能性のある品目であると当社は考えていることから、今後これらの指定制度(海外における同様の制度を含みます。)を活用することにより、開発の促進を実施する可能性がございます。現状の臨床試験戦略で目指している2026~2028年中の承認申請については、上述の国内外での指定制度を活用できることを前提として、計画を立案しております。
②CTX-177の開発の促進
CTX-177については、2020年12月に小野薬品工業株式会社との間で全世界での独占的ライセンス契約を締結し、契約金として8億円の支払いを受けております。現在、小野薬品工業株式会社が米国で第1相臨床試験を実施しており、2023年2月に第1回目のマイルストンとして25億円の支払いを受けております。さらに当社は、その後の開発の進捗及び売上高に応じたマイルストンとして最大496億円を受領します。開発における費用負担と意思決定は小野薬品が担いますが、当社が行える範囲において臨床試験が早期に完了するように小野薬品工業株式会社のサポートを行い、2回目以降のマイルストンの支払い受け取りと、CTX-177の早期の実用化を目指して取り組んでまいります。
③CTX-712及びCTX-177以外の開発の促進
当社は、CTX-712及びCTX-177以外に、RNA制御ストレスを標的としたCDK12阻害薬、GCN2阻害薬、新規の標的分子阻害薬の5つのパイプラインを保有しています。どのパイプラインも新規性の高い創薬標的であるため、競合製薬企業が開発を水面下で進めている可能性はありますが、同じ創薬標的で市販されている薬はありません。そのため、当社は開発資金の確保をして、自社のパイプラインの開発を加速させながら、市場環境や競合状況を的確に判断して、適切なタイミングで提携パートナーを確保することが課題です。
④パイプラインの充実
当社は、RNA制御ストレスを標的とした新しい抗がん薬候補化合物の探索研究を行っており、これらの候補化合物を新規パイプラインとして立ち上げ、臨床試験段階まで推進するためには、アカデミアなどの最先端の科学へのアクセスを維持することと研究開発資金の確保が課題となります。
⑤財務体質の強化
当社は創薬バイオベンチャーであるため、多額の研究開発費用が先行して必要となり、継続的な営業損失が発生するとともに営業キャッシュ・フローもマイナスとなる傾向があります。そのため、財務体質の強化が課題となります。今後も、当社が既存のパイプラインの開発を促進しながら、安定的に新規パイプラインの創出を継続していくためには、必要に応じて提携パートナーからの一時金及びマイルストン収入の確保に加え、事業会社や株式発行による資本市場からの資金調達を実施するなどして、財務基盤の充実と安定化を図っていくことが重要な課題と考えています。
⑥優秀な人材の獲得
当社は、創薬に関する経験豊富なメンバーが積極的に外部委託を活用することにより、効率的な組織運営をしております。しかしながら、今後も、国内外のバイオベンチャー企業や製薬企業との競争が続く中において、競合他社との差別化、研究開発の加速、事業領域の拡大などが必要になる可能性があると考えております。そのため、パイプラインの創出に際して最先端の科学へのアクセスを維持し、創造的かつ独創的な研究活動を推進する等の優秀な人材の獲得は、当社の重要な課題になっています。また、管理部門においても当面は少人数による運営体制を計画しておりますが、必要に応じて人事、法務などの専門的な人材の確保も図っていく方針です。
⑦提携パートナー確保
当社はパイプラインの開発を推進するために最適な提携パートナーを確保することを課題としております。そのために、提携パートナー候補先の研究開発に関する戦略の方針状況を常に把握し、医療情報などの市場環境の情報収集も行っております。また当社のパイプラインの開発状況、競合状況を勘案して、適切なタイミングでコミュニケーションを行っております。

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