有価証券報告書-第13期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は様々な要因により異なる可能性があります。
(1) 会社の経営の基本方針及び経営環境
当社グループは、「人が輝く舞台を世界につくる」という企業理念のもと、人々が安心して生活し、個々人が自らの価値観に基づき豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指しております。健康で文化的な生活基盤の整備が活力ある社会の前提であるとの認識のもと、「健康」をテーマとした住宅開発や、「芸術」や体験価値を重視したホテル開発等を行っております。
当社グループの不動産開発事業においては、「ハード」×「サービス」を基本コンセプトとし、単に建物を供給するにとどまらず、建物を利用する入居者・テナントのニーズを踏まえたサービスの企画・運営までを一体的に提供することを基本方針としております。具体的には、サービス付き賃貸住宅や体験型ホテル等の開発を通じて、競合他社との差別化を図っております。
また、市場環境やプロジェクト特性に応じて不動産開発スキームの多様化を進めており、自己資金のみならず外部資本も活用した開発手法を採用することで、当社グループが有する不動産開発ノウハウを活かしつつ、資金効率及び資産効率の向上を図ることを経営の基本方針としております。
経営環境については、建築資材価格や人件費の上昇を背景とした建設コストの高止まり、用地価格の上昇、金利上昇リスクの顕在化など、不動産開発事業を取り巻く不確実性が継続しております。一方で、不動産投資市場においては、国内外の投資家による投資需要は引き続き一定水準を維持しております。一般財団法人日本不動産研究所が公表した「第53回不動産投資家調査」(2025年10月時点)によれば、今後1年間の不動産投資に関する姿勢として、多くの回答者が新規投資に前向きな姿勢を示しており、不動産投資に対する一定の投資意欲が確認されております。
こうした環境下において、当社グループは、デザイン性やサービス性を重視した賃貸マンションの開発を行うことで、競合物件との差別化を図り、建設コスト上昇等に伴う価格転嫁についても、市場動向を注視しつつ適切に対応しております。また、非住宅分野においては、テナントの事業内容に即した仕様の建物を新築で供給し、長期の賃貸借契約を締結することにより、比較的市場環境の変動を受けにくい安定的な収益が見込まれる投資用不動産の開発にも取り組んでおります。
加えて、国内外のファンドやアセットマネジメント会社等の機関投資家とのネットワークを活用し、当社グループが開発した不動産の販売を行う一方、国内の事業会社や個人富裕層向けについては、不動産仲介会社を通じた販売も行っております。変動する金融環境に対応するため、自己勘定による開発に加え、建設期間中の開発案件をSPCへ売却し、当社グループが引き続き開発を担うファンド型の開発スキームも採用しております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、現在業容拡大の段階にあるとの認識のもと、株主への利益還元にも十分留意しつつ、事業環境の変化に備えた財務基盤の強化及び経営の安定化を重視しております。特に、貸借対照表における純資産の充実を意識したB/S経営を基本方針とし、持続的な成長に向けた経営基盤の構築に取り組んでおります。
株式上場を通じて資本市場からの資金調達を図るとともに、市況変動に対しても柔軟に対応できる事業体制の構築を進めてまいります。その一環として、従来の用地特性に応じた開発に加え、テナント需要を踏まえたBTS(Build To Suit)型施設の開発など、開発手法の多様化を推進しております。
中長期的には、不動産賃貸管理サービスの拡充に加え、2025年第1四半期より開始したアセットマネジメントサービスを通じて、当社グループが手掛ける開発案件をパイプラインとして活用し、継続的な収益機会の確保を図るとともに、事業ポートフォリオの安定化を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、財務基盤の強化及び健全な企業経営の維持を重要な経営課題として位置付けております。資産を効率的に活用し、適切なリターンを確保することで自己資本の充実を図る観点から、売上高、営業利益に加え、ROA及び自己資本比率を経営上の重要な指標として重視しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
a.安定した仕入の実施
当社グループの事業の中心は不動産開発サービスであることから、開発用地の確保が重要な要素となってお
ります。不動産開発サービスでは、大手から小規模に至るまでの仲介業者や不動産所有者に対面を含めて定
期的に接触し情報交換を行うことで、有用な情報を確保し、集めた情報を正確かつスピード感をもって分析
をして、取り組める余地があるものに対して経営陣が事業性を確保できるのか、リスクの特定と取り得る対
応策等について迅速な判断を行うことにより、開発用地の安定確保に努めております。
b.優良案件の確保
当社グループが主に開発用地として取り扱っている都心や首都圏のターミナル駅周辺は競合が激しく、優良
な用地を継続的に確保できるようにすることが課題となっております。当社グループの強みとして、コンパ
クトな組織体制を活かした意思決定の速さにより、他社よりも早く用地仕入を進められること、また上記の
ように用地に合わせた開発を行う企画や課題を抱える用地に対するソリューション提案を、所有者の売却意
向が出始めた早い段階から行うことで、情報の他社流出を抑止できることなどが挙げられます。これらの特
徴を活かし、今後も継続して優良案件を確保してまいります。
c.財務体質の強化
当社グループの事業の中心である不動産開発サービスは、開発用地を仕入れ、建設資金を手当てし、不動産
開発を行った後に売却をするというビジネスモデルのため、手元資金の他に、銀行からの借入れにより仕入
資金及び開発資金を調達しております。今後も開発用地の仕入を継続していく必要があることから、市況の
変化に左右されずに安定的な資金調達を行うための財務体質の強化が必要となります。そのため、金融機関
との円滑なリレーションを構築することや、タイムリーな物件情報の共有により相互理解を深めることで、資金調達が円滑に行われるように意識しております。2025年12月期第4四半期に実施した公募増資により、財務体質が強化され、仕入資金及び開発資金の調達余力が拡大したと考えております。 また、資産の効
率化をすべく、他社が開発した建物を購入後、当社のノウハウを活かしてリノベーションを実施後、売却す
るバリューアップ型のスキーム、建設期間中の開発案件をSPC(特別目的会社)へ売却し、販売後も当社
のノウハウを活かし、投資家及びCM(コンストラクション・マネジメント)として関与するファンド型の
スキームも継続して行うことで、資本コストを考慮した事業投資にも取り組んでおります。
d.リーシングの多様化
当社グループでは、これまでに他社が実施していないサービスの提供を心掛けるなど、「ハード」×「サービス」をモットーとして事業を展開しており、差別化された賃貸物件の供給を行っております。賃貸不動産のテナントや入居者の募集(リーシング)において、従来は賃貸不動産ポータルサイトや雑誌等へ募集情報を掲載することで一元化して発信を行っていましたが、当社の強みを活かしてSNSや自社ホームページを利用し、直接的にテナント等へアプローチする方法を採用するなど、より多様な手段にてリーシングの強化を行ってまいります。
e.建設コスト上昇や建設技術者不足による工期延長等に対応した開発期間中の工程管理の徹底
建設材料の上昇や2019年4月から順次施工されてきた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関す
る法律」による人件費の上昇等により、建設工事費用は高い水準で推移しており、建設コストの管理と建設
期間中の工程管理は重要な課題です。当社では、各開発プロジェクトを推進するプロダクトマネージャーに
加えて、建設コスト試算や工程管理において企画開発部門もプロジェクトに参画し、建設会社との交渉や工
事期間中のモニタリングをしております。工期延長等のリスクに迅速に対応できる体制を強化することで、当社の事業計画遂行上の変動リスクを最小限にとどめられるように管理しております。