有価証券届出書(新規公開時)
対処すべき課題
当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、バリア(障害)をバリュー(価値)に変えることを意味する「バリアバリュー」を企業理念としております。多様な視点、経験、感性を活かし、創造と革新を追求することで、「ミライロ」が意味する「誰もが自らの色を描ける未来、自らの路を歩める未来をつくる」ことを経営方針としております。
(2) 経営環境
当社が提供する「ミライロID」の対象となる障害者に関して、身体障害、知的障害、精神障害の3区分に分かれております。内閣府が公表している「令和6年版障害者白書」によると、各区分における国内の障害者数は、身体障害者(身体障害児を含む。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。)109万4千人、精神障害者614万8千人となっております。また、厚生労働省が公表している「令和4年生活のしづらさに関する調査」によると、日本の障害者の総数は1,164万人、国民のおよそ9.3%が何らかの障害を有していると推計されています。加えて、世界保健機関が公表している「World report on disability」によると、世界人口の約15%にあたる10億人以上に障害があり、The Return on Disability Group Inc.が公表している「The Global Economics of Disability Report:2024」によると、世界の障害者とその家族や友人を合計した購買力の総額は18兆ドルと言われております。また、公益財団法人共用品推進機構が2023年度に実施した共用品市場規模調査によると、2022年度の共用品(アクセシブルデザイン製品)市場規模金額は、3兆1千億円と推計され、前年比で3.9%(1,164億円)増となりました。
そして、当社が取り組む障害者にまつわる経営環境は大きく変化しております。2016年4月に施行された「障害者差別解消法」は、事業者の障害者への「合理的配慮」を求めております。さらに2021年5月には障害者差別解消法の改正が国会で可決され、2024年4月には義務として、あらゆる事業者に配慮提供が求められることとなりました。合理的配慮とは、行政や事業者に対して、障害者が社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応することです。当社の提供するインフラやソリューションは、企業等が合理的配慮義務を果たすために有効に機能するものと考えており、これまで以上に当社の重要性は高まるものと考えております。
さらに、2025年の大阪・関西万博や東京2025デフリンピック等のイベント開催、2030年の達成を目標とした持続可能な開発目標(SDGs)等により、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、障害者にまつわる社会の取組みは益々加速していくものと考えております。特に2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、バリアフリーの整備が急速に進んだように、2025年に開催される大阪・関西万博に向けても環境整備等が進むことが予想されます。大阪・関西万博では、SDGsの達成や、Society5.0(ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組みにより、人々に豊かさをもたらす社会)の実現がテーマとなっていることから、障害者対応のデジタルトランスフォーメーション等、先進的な取り組みが進むことが期待できます。
また、ESG投資など企業の非財務情報を含めたサステナビリティを評価する指標にも注目が集まっており、ESG投資市場は世界的に拡大しております。ビジネス分野における障害者の社会進出を、ビジネスリーダーが軸となって推進する世界的な運動「The Valuable 500」も広がりを見せております。
(3) 経営戦略等
当社はデジタル障害者手帳「ミライロID」を活用した障害者サービスのデジタルトランスフォーメーションによる社会改革の推進に加えて、障害者の社会的障壁(環境、意識、情報のバリア)を解消するためのバリアバリューソリューションの提供を軸とし、以下のような経営戦略を構築しております。
① 「ミライロID」を利用する企業等及びユーザーに対する普及促進
「ミライロID」の提示により障害者手帳の代替可能とする企業等は急速に増加しており、利用拠点の増加や機能拡充に伴い「ミライロID」のユーザー数も順調に増加しております。
「ミライロID」の普及により、研修やコンサルティングの営業活動だけでは開拓不可能であった企業等と当社とのコンタクトや商談化が進んでおります。
② バリアバリューソリューションの提供
「ミライロID」は障害者への何らかの対応が必要な企業等に利用されております。当社ではこれらの企業等に対して、バリアバリューソリューションを複合的に提案することによって、企業等からのコンサルティング料や研修料による収益化を図っております。
③ 「ミライロID」を活用した連携企業等とのサービス開発やマーケティング活動の推進
「ミライロID」と他の企業等との連携により、障害者の利便性を向上させるデジタルトランスフォーメーションを推進し、障害者差別解消法に定める合理的配慮の負担軽減に繋がるサービス開発を進めております。また、「ミライロID」を企業等のマーケティング活動としても活用いただくことで、継続的な収益の拡大を図ってまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、利益以外に以下の指標を重視しております。
① 「ミライロID」の導入事業者数、ユーザー数
② バリアバリューソリューションにおける取引先数と1社あたりの平均売上高
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。
① 「ミライロID」の利便性・メリットの向上及び普及活動
「ミライロID」は、UIの改善や機能開発、サービス開発により、ユーザー・企業等の双方にとっての利便性・メリットの向上を図る必要があると認識しております。これらのシステム開発・改善と当社及び各導入事業者による普及活動により、「ミライロID」の導入事業者数及びユーザー数を拡大させることが当社の事業基盤を強化することに繋がると認識しております。
② 「ミライロID」の連携企業等の拡充
当社は、他の企業等と連携して「ミライロID」を活用したデジタルトランスフォーメーションを推進し、障害者の利便性を向上させるサービスを開発することを経営戦略の重点事項と考えており、これらの連携企業等とのパイプラインの拡充により当社成長を加速させることに取り組んでまいります。
③ 人材の採用及び育成
当社の競争力の源泉は、障害者に関する知識と経験を有する人材にあります。今後も、当社の企業理念に共感し、高い成長意欲と使命感を持った人材を積極的に採用し、育成することで、企業力の強化に努めてまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社が継続的に成長するためには、企業規模拡大の基礎となる内部管理体制の強化が重要であると認識しております。当社では、コーポレート・ガバナンス体制を強化するため、マネジメント層の採用及び育成、コンプライアンス・リスクマネジメント教育の徹底、管理部門の体制強化に取り組んでまいります。
⑤ 財務上の課題
当社は、金融機関からの借入金を有するものの十分な手許流動性は確保されており、本書提出日現在において対処すべき財務上の重要課題はありません。ただし、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保資金の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、バリア(障害)をバリュー(価値)に変えることを意味する「バリアバリュー」を企業理念としております。多様な視点、経験、感性を活かし、創造と革新を追求することで、「ミライロ」が意味する「誰もが自らの色を描ける未来、自らの路を歩める未来をつくる」ことを経営方針としております。
(2) 経営環境
当社が提供する「ミライロID」の対象となる障害者に関して、身体障害、知的障害、精神障害の3区分に分かれております。内閣府が公表している「令和6年版障害者白書」によると、各区分における国内の障害者数は、身体障害者(身体障害児を含む。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。)109万4千人、精神障害者614万8千人となっております。また、厚生労働省が公表している「令和4年生活のしづらさに関する調査」によると、日本の障害者の総数は1,164万人、国民のおよそ9.3%が何らかの障害を有していると推計されています。加えて、世界保健機関が公表している「World report on disability」によると、世界人口の約15%にあたる10億人以上に障害があり、The Return on Disability Group Inc.が公表している「The Global Economics of Disability Report:2024」によると、世界の障害者とその家族や友人を合計した購買力の総額は18兆ドルと言われております。また、公益財団法人共用品推進機構が2023年度に実施した共用品市場規模調査によると、2022年度の共用品(アクセシブルデザイン製品)市場規模金額は、3兆1千億円と推計され、前年比で3.9%(1,164億円)増となりました。
そして、当社が取り組む障害者にまつわる経営環境は大きく変化しております。2016年4月に施行された「障害者差別解消法」は、事業者の障害者への「合理的配慮」を求めております。さらに2021年5月には障害者差別解消法の改正が国会で可決され、2024年4月には義務として、あらゆる事業者に配慮提供が求められることとなりました。合理的配慮とは、行政や事業者に対して、障害者が社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応することです。当社の提供するインフラやソリューションは、企業等が合理的配慮義務を果たすために有効に機能するものと考えており、これまで以上に当社の重要性は高まるものと考えております。
さらに、2025年の大阪・関西万博や東京2025デフリンピック等のイベント開催、2030年の達成を目標とした持続可能な開発目標(SDGs)等により、誰一人取り残さない社会の実現に向けて、障害者にまつわる社会の取組みは益々加速していくものと考えております。特に2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、バリアフリーの整備が急速に進んだように、2025年に開催される大阪・関西万博に向けても環境整備等が進むことが予想されます。大阪・関西万博では、SDGsの達成や、Society5.0(ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組みにより、人々に豊かさをもたらす社会)の実現がテーマとなっていることから、障害者対応のデジタルトランスフォーメーション等、先進的な取り組みが進むことが期待できます。
また、ESG投資など企業の非財務情報を含めたサステナビリティを評価する指標にも注目が集まっており、ESG投資市場は世界的に拡大しております。ビジネス分野における障害者の社会進出を、ビジネスリーダーが軸となって推進する世界的な運動「The Valuable 500」も広がりを見せております。
(3) 経営戦略等
当社はデジタル障害者手帳「ミライロID」を活用した障害者サービスのデジタルトランスフォーメーションによる社会改革の推進に加えて、障害者の社会的障壁(環境、意識、情報のバリア)を解消するためのバリアバリューソリューションの提供を軸とし、以下のような経営戦略を構築しております。
① 「ミライロID」を利用する企業等及びユーザーに対する普及促進
「ミライロID」の提示により障害者手帳の代替可能とする企業等は急速に増加しており、利用拠点の増加や機能拡充に伴い「ミライロID」のユーザー数も順調に増加しております。
「ミライロID」の普及により、研修やコンサルティングの営業活動だけでは開拓不可能であった企業等と当社とのコンタクトや商談化が進んでおります。
② バリアバリューソリューションの提供
「ミライロID」は障害者への何らかの対応が必要な企業等に利用されております。当社ではこれらの企業等に対して、バリアバリューソリューションを複合的に提案することによって、企業等からのコンサルティング料や研修料による収益化を図っております。
③ 「ミライロID」を活用した連携企業等とのサービス開発やマーケティング活動の推進
「ミライロID」と他の企業等との連携により、障害者の利便性を向上させるデジタルトランスフォーメーションを推進し、障害者差別解消法に定める合理的配慮の負担軽減に繋がるサービス開発を進めております。また、「ミライロID」を企業等のマーケティング活動としても活用いただくことで、継続的な収益の拡大を図ってまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、利益以外に以下の指標を重視しております。
① 「ミライロID」の導入事業者数、ユーザー数
② バリアバリューソリューションにおける取引先数と1社あたりの平均売上高
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき主要な課題は、以下の項目と認識しております。
① 「ミライロID」の利便性・メリットの向上及び普及活動
「ミライロID」は、UIの改善や機能開発、サービス開発により、ユーザー・企業等の双方にとっての利便性・メリットの向上を図る必要があると認識しております。これらのシステム開発・改善と当社及び各導入事業者による普及活動により、「ミライロID」の導入事業者数及びユーザー数を拡大させることが当社の事業基盤を強化することに繋がると認識しております。
② 「ミライロID」の連携企業等の拡充
当社は、他の企業等と連携して「ミライロID」を活用したデジタルトランスフォーメーションを推進し、障害者の利便性を向上させるサービスを開発することを経営戦略の重点事項と考えており、これらの連携企業等とのパイプラインの拡充により当社成長を加速させることに取り組んでまいります。
③ 人材の採用及び育成
当社の競争力の源泉は、障害者に関する知識と経験を有する人材にあります。今後も、当社の企業理念に共感し、高い成長意欲と使命感を持った人材を積極的に採用し、育成することで、企業力の強化に努めてまいります。
④ 内部管理体制の強化
当社が継続的に成長するためには、企業規模拡大の基礎となる内部管理体制の強化が重要であると認識しております。当社では、コーポレート・ガバナンス体制を強化するため、マネジメント層の採用及び育成、コンプライアンス・リスクマネジメント教育の徹底、管理部門の体制強化に取り組んでまいります。
⑤ 財務上の課題
当社は、金融機関からの借入金を有するものの十分な手許流動性は確保されており、本書提出日現在において対処すべき財務上の重要課題はありません。ただし、今後の事業拡大に備えて、更なる内部留保資金の確保と営業キャッシュ・フローの改善等により、引き続き財務体質の強化を図ってまいります。