有価証券報告書-第5期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 16:00
【資料】
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【項目】
154項目
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2025年4月1日、グループ全体が目指す方向性と価値創造の基本的な考え方を明確化した「Mission・Vision・Values(MVV)」を制定し、この「MVV」のもと、事業環境の変化に的確に対応しながら、中長期的な企業価値の向上を図ることを経営方針として掲げております。
制定した「MVV」では、Mission(使命)として、「先端微細加工技術で革新的な未来を描く」を掲げ、半導体産業の発展を支えるフォトマスク分野において、最先端技術と高品質な製品・サービスを提供することにより、社会及び産業の持続的な成長に貢献してまいります。
Vision(ありたい姿)としましては、「常に選ばれる存在へ」を掲げ、世界を変える「テクノロジー」、ステークホルダーと築く「共通価値」、多様な人財が活躍する「人と組織」という視点を基盤に据え、様々な期待を超え続け、常に選ばれる企業の実現を目指し、EUVマスクをはじめとする先端領域を中心とした継続的な研究開発並びに設備投資を行い、技術力と供給力のさらなる高度化を図ってまいります。
また、Values(価値観)として、「誠実さ」「顧客志向」「多様性が生む革新」「世界を見据え、地域とともに」「不断の改善」という思いを共有し、誠実さを貫き社会的責任を果たすとともに、お客さまの成功の先に当社の成長があるとの考えのもと、文化や価値観の交わりから新たなソリューションを創出し、グローバルな視点を持ちながら地域とともに持続的な成長を実現してまいります。
これらのMVVに基づき、当社グループは、世界各地に展開する生産・サービス拠点を活用した安定供給体制の強化、品質・安全・環境に配慮した事業運営の徹底、人財育成及びガバナンス体制の高度化に取り組んでまいります。加えて、積極果敢な挑戦と不断の改善を通じて、既存事業の競争力向上にとどまらず、微細加工技術を応用した新たな事業領域の創出にも取り組むことで、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
(2) 経営環境
フォトマスク市場に大きな影響を与える半導体市場は、最終製品分野別の需要動向には引き続き濃淡が見られるものの、生成AIの普及拡大やクラウドサービス需要の増加を背景としたデータセンター向け投資が引き続き高水準で推移しました。高性能演算を担うロジック製品や、データ処理量の増加に対応するメモリ製品を中心に需要の回復及び成長が進み市場を大きくけん引するなど、半導体市場全体としては回復・拡大基調が継続する事業環境となりました。
このような半導体市場の拡大を背景に、フォトマスク市場においては、先端ノードから成熟ノードまで、すべてのプロセスにおいて需要が堅調に推移しました。先端領域では、半導体の微細化及び高集積化の進展に伴い、高精度かつ高付加価値なフォトマスクに対する需要が引き続き堅調であり、安定した受注環境が継続しました。また、成熟プロセス向けにおいても、幅広い用途での需要が維持され、底堅く推移しました。
外販フォトマスク市場においては、フォトマスクを内製しないファウンドリからの外注需要の拡大に加え、フォトマスクを内製する半導体メーカーにおいても、内部リソース不足を背景として外注需要が高まりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① フォトマスク事業の拡大
(ⅰ)フォトマスク事業成長領域の戦略的連携強化と成長
当社グループが持続的な成長を実現していくためには、市場成長が予想される地域に対し適切に設備投資を行い、生産能力を拡大するとともに、新たな技術領域に対して技術力・研究開発力を強化し差別化していくことが不可欠であります。
地域戦略では、各国・地域における業界動向や産業政策、輸出規制等を注視しながら投資機会を見極めてまいります。特に、量的需要の拡大が見込まれる米国及び中国を除くアジア各国の需要を重視し、生産能力拡大に向けた設備投資を進めてまいります。一方、これまで市場成長をけん引してきた中国市場については、米中間のデカップリングの進展及び同国政府による国産化政策を背景として現地競合企業との競争が激化していることから、収益性を重視した選択的な事業展開と設備投資を行ってまいります。
また、いずれの地域においても、現地当局との関係構築や有力顧客との長期供給契約の締結を通じて、安定的な取引関係を構築し、強固な事業基盤を確立することにより、当社グループの市場におけるポジションをより盤石なものとしていくことが重要であると考えております。
先端技術領域においては、当社グループは既に、フォトマスクの技術開発及び生産に不可欠なマルチビーム描画装置を朝霞工場及びドレスデン工場に導入しEUVマスクの開発・生産を開始するとともに、Curvilinear等の最新技術を用いた光マスクの生産への適用を進めております。特に、EUVマスクについては、ブランクスメーカーとの協業によるHigh-NAリソグラフィ向け新規ブランクス開発や、IBM社とのプロセス共同開発等を推進し、次世代EUVマスク分野において競合他社に先行することを目指しております。
(ⅱ)レガシー領域の戦略的強化
半導体市場では、28nm以細の先端ノードのみならず、いわゆるレガシー領域においても今後の成長が見込まれております。これは、AIやデータセンター向けに比較的高性能な半導体需要が増加していることに加え、レガシー領域においてはIoTや自動運転等多様なアプリケーションの開発と普及により、必ずしも高度な性能を必要としない半導体の量的需要が増加していることに起因しております。
当社グループでは、こうした需要に対してタイムリーにフォトマスクを供給する体制を維持するため、各工場におけるレガシー装置について、グループ全体最適の目線で更新投資計画を策定し、効率的かつ計画的な更新を進めております。加えて、装置延命や自社内保守技術の高度化により、稼働率の維持・向上及び原価低減を図るとともに、装置ベンダーとは異なる後発ベンダーとの連携による代替パーツの共同開発等も進めることで、競争力のある生産設備ラインナップの確保に努めてまいります。
(ⅲ)グローバル製造拠点のバーチャル「1」工場化
当社グループは、得意先と同一国内に所在する製造拠点での生産を原則としつつ、顧客要求仕様や各製造拠点における設備の稼働状況及び生産能力等を勘案し、拠点間で互いに生産委託を行うことにより、グループ全体で需給最適化及び生産量の最大化に取り組んでおります。本施策をさらに高度化するため、8つの製造拠点が連携し、あたかも1つの工場として機能する「バーチャル『1』工場」化を推進しております。具体的には、拠点間の生産委託プロセスの自動化や、生産日程計画におけるAIエンジンの開発・適用を進めることで、ワークフロー改革を通じた生産効率の向上及び供給力の強化に取り組んでまいります。
② 新事業開拓
当社グループでは、フォトマスク事業で培った微細加工技術を応用し、ナノインプリント技術において金型として用いられるモールドを製品化しております。ナノインプリント技術は多様な用途で応用が期待されておりますが、当社では特に今後大きな市場形成が期待されるARグラスに用いられるWaveguide※用モールドを事業化すべく、現在普及しているバイナリー構造に加え、各種3D構造マスターモールド※による競争力のある製品の開発と顧客開拓を進めております。現在、日本及び欧州において3D構造マスターモールドの生産体制を構築しており、3Dモールド市場における当社グループのプレゼンスを強化し、顧客ニーズに迅速に応えられる体制の確立を推進しております。
さらに、中期的な戦略として、ナノインプリント技術を活用した受託加工サービスを日本で展開すべく、その中核となる試作ラインを朝霞工場に構築しました。ARグラスやメタレンズなどのフォトニクス市場が求める高品質な光学部品の開発能力を強化し、量産に向けた体制の構築を進めております。
③ サステナビリティに関する取り組み
当社グループは、持続的な成長と環境・社会への貢献を実現するために重点的に取り組む課題として、環境・社会・ガバナンスそれぞれの領域におけるマテリアリティを特定し、課題解決に向けた取り組みを進めております。特定したマテリアリティについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般への対応 ④ 戦略」に記載しております。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な企業価値の向上につながる収益性の管理に加え、積極的な事業投資と財務の健全性の両立及び利益成長に応じた株主還元の強化を図るべく、「売上収益成長率」「営業利益率」を経営上の重要な経営指標として位置付けております。なお、各指標の算定方法は以下の通りであります。
売上収益成長率=(当連結会計年度の売上収益-前連結会計年度の売上収益)÷前連結会計年度の売上収益
営業利益率=営業利益÷売上収益
(※用語)
Waveguide光を特定の方向に導くための光学デバイスのことで、AR/VRヘッドセットなどのデバイスで使用される。
マスターモールドナノインプリント技術において使用される金型のこと。当社では3D構造のマスターモールドをフォトマスク事業で培ったリソグラフィ技術により作成している。

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