訂正有価証券報告書(内国投資証券)-第30期(令和3年1月1日-令和3年6月30日)
(1)リスク要因
以下においては、本投資法人の投資口(以下「本投資口」といいます。)への投資及び本投資法人の発行する投資法人債(以下「本投資法人債」といいます。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。但し、以下は本投資口及び本投資法人債への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。以下における不動産に関する記述は、不動産信託受益権その他の不動産等及び不動産対応証券についてもほぼ同様にあてはまりますが、資産としての種類の違いに応じて、この他にも発生する可能性のあるリスクがあります。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分であるとの保証はありません。
以下に記載するリスクが現実化した場合、分配金の額が低下し、又は本投資口若しくは本投資法人債の市場価格が下落する可能性があり、また、本投資法人債については、投資元本の欠損が生じる可能性があります。その結果、各投資家が投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書における本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資口及び本投資法人債に関する投資判断を行う必要があります。
本「3 投資リスク」に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に係るリスク
(イ)投資口及び投資法人債の商品性に係るリスク
(ロ)換金性に係るリスク
(ハ)市場価格の変動に係るリスク
(ニ)金銭の分配に係るリスク
② 投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
(イ)投資法人の組織運営に係るリスク
(ロ)投資法人の制度に係るリスク
(ハ)投資法人制度におけるインサイダー取引規制に関するリスク
(ニ)パイプラインサポート会社への依存に係るリスク
(ホ)スポンサー企業への依存に係るリスク
(ヘ)投資法人のその他の諸制度上(法律上、税制上等)の取扱いに係るリスク
(ト)余裕資金の運用に係るリスク
(チ)不動産の取得方法に係るリスク
③ 不動産に係るリスク
(イ)不動産の流動性に係るリスク
(ロ)物件の取得競争等に係るリスク
(ハ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
(ニ)土地の境界等に係るリスク
(ホ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
(ヘ)マスターリースに係るリスク
(ト)プロパティ・マネジメント会社に係るリスク
(チ)不動産の運用費用の増加に係るリスク
(リ)建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
(ヌ)建築基準法等の規制に係るリスク
(ル)共有物件に係るリスク
(ヲ)区分所有建物に係るリスク
(ワ)借地権に係るリスク
(カ)開発物件に係るリスク
(ヨ)有害物質に係るリスク
(タ)不動産の所有者責任に係るリスク
(レ)不動産の偏在に係るリスク
(ソ)テナント集中に係るリスク
(ツ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
(ネ)売主の倒産等の影響に係るリスク
(ナ)不動産の売却における制限に係るリスク
(ラ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
(ム)フォワード・コミットメント等に係るリスク
(ウ)底地物件に係るリスク
④ 不動産信託受益権に係るリスク
(イ)信託受益者として負うリスク
(ロ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
(ハ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
(ニ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
(ホ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
(ヘ)専門家報告書等に関するリスク
⑤ 匿名組合出資持分への投資に係るリスク
⑥ 税制等に係るリスク
(イ)導管性要件に係るリスク
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税負担の発生するリスク
(ニ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(ホ)一般的な税制の変更に係るリスク
(ヘ)減損会計の適用に関するリスク
⑦ その他
(イ)資産の取得又は譲渡に関するリスク
(ロ)重要事象等に関するリスク
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に係るリスク
(イ)投資口及び投資法人債の商品性に係るリスク
投資口は、株式会社における株式に類似する性質を持ち、投資金額の回収や利回りの如何は、経済状況や不動産及び証券市場等の動向、本投資法人の収益又は財産及び業務の状況に影響され、譲渡による換価時点において投資金額以上の金額の回収を図ることができるか否かは定かではありません。
投資口及び投資法人債は、投資額の保証がなされる商品ではなく金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではありません。
本投資法人が通常の清算又は倒産手続により清算される場合、投資主は、本投資法人の全ての債権者への弁済の後でなければ、投資口の払戻しを受けることはできず、投資金額のほとんどを回収できない可能性があります。また、本投資法人が倒産等により清算される場合、本投資法人債の投資法人債権者も投資金額の全部又は一部を回収できない可能性があります。
(ロ)換金性に係るリスク
本投資口については、投資主からの請求による投資口の払戻しは行われません。従って、投資主が本投資口を換金するためには、原則として東京証券取引所を通じて、又は取引所外において、第三者に売却することが必要となります(注)。本投資口の第三者に対する売却が困難又は不可能となった場合、投資主は、本投資口を希望する時期及び条件で換価することができなくなります。
本投資口は、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他により、東京証券取引所の定める「有価証券上場規程」に規定される上場廃止基準に抵触する場合には、本投資口の上場が廃止されます。本投資口の上場市場における売却が困難又は不可能となった場合には、本投資口の売却を希望する投資主は、相対取引による他なく、本投資口を希望する時期又は条件で換価できないか、全く換価できない可能性があります。
また、本投資法人債については、確立された取引市場は存在しないため、買主が存在するとの保証もないほか、譲渡価格も保証されていません。
(注)本投資法人は、規約第5条第2項に従い、投資主との合意による自己投資口の取得が可能とされています(投信法第80条第1項第1号)。
(ハ)市場価格の変動に係るリスク
近時、世界的な新型コロナウイルスの感染症の拡大により、業務の停滞や経済活動への悪影響が生じています。経済活動の停滞が継続することで中長期的に本投資法人の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、日本経済全体のみならず、世界の状況に鑑みても、市場の株価全体が大きく悪影響を受けており、本投資口もその例外ではありません。今後の感染症の拡大や、その影響の長期化の懸念が広がる中、さらに市場全体が悪影響を受けるおそれもあります。
以上に加え、本投資口の市場価格は、本投資口の売買高及び需給バランス、不動産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、日本及び外国における金利動向、為替相場、市場環境や景気動向等によって左右されます。また、地震、気候変動に起因する風水害等の天災の他、不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象等を契機として、本投資口の市場価格が下落するおそれがあります。
また、本投資法人は、不動産等及び不動産対応証券を投資対象としていますが、それらの評価額は、不動産市況、景気動向、オフィスその他の用途の不動産の需給バランス、法制又は税制の変更、社会情勢その他の要因により変動します。本投資口の市場価格は、一般に本投資法人の保有に係る運用資産の評価額に影響されるため、運用資産である不動産等の評価額の変動や、これに影響を及ぼすと考えられる諸要因により変動することがあります。
さらに、本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、投資口1口当たりの純資産額が減少することがあります。
本投資法人が投資口の追加発行を行う場合や、本投資口が取引所において一時的に大量に売却される場合、市場における投資口の需給バランスに影響を与え、本投資口の市場価格が大幅に下落する可能性があります。なお、本投資法人が新投資口予約権の無償割当て(ライツオファリング)を行う場合も同様です。
その他、本投資法人債は金利動向等の市場環境等により価格変動のおそれがあり、また格付の見直しや引下げによる影響を受けることがあります。
(ニ)金銭の分配に係るリスク
本投資法人は前記「2 投資方針(3)分配方針」に記載する分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払は、いかなる場合においても保証されるものではありません。特に、本投資法人の運用対象となる不動産等及び不動産対応証券又はその裏付けとなる不動産(当該不動産等を以下「運用不動産」といいます。)から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等の場合、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。また、本投資法人が営業期間中に投資口を追加発行する場合には、その期における投資口保有期間が異なるにもかかわらず、追加発行された投資口に対して既存の投資口と同額の金銭の分配を行うこととなるため、既存の投資口への分配額に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人という制度固有のリスクが存在します。
(イ)投資法人の組織運営に係るリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。
A.役員の職務遂行に係るリスク
投信法上、投資法人を代表しその業務執行を行う執行役員及び執行役員の業務を監督する監督役員は、善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のため忠実に職務を遂行する義務(以下「忠実義務」といいます。)を負います。しかし、職務遂行上、本投資法人の執行役員又は監督役員が善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行った場合は、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
B.投資法人の資金調達に係るリスク
本投資法人は、本書記載の投資方針に従い、借入及び投資法人債の発行を行っており、かつ今後も行う予定です。なお、本投資法人は、規約において、借入金及び投資法人債の限度額を、それぞれ1兆円とし、その合計額が1兆円を超えないものとしています(規約第34条)。
借入及び投資法人債を発行する場合におけるその条件は、その時々の金利実勢、本投資法人の収益及び財務状況、一般的な経済環境の他、貸付人の自己資本比率規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因による影響を受けるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で借入及び投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。また、借入にあたり税法上の導管性要件(後記「⑥ 税制等に係るリスク(イ)導管性要件に係るリスク」をご参照ください。)を満たすためには、その借入先を機関投資家に限定する必要があるため、借入先が限定され機動的な資金調達ができない場合があります。
借入又は投資法人債の発行を行う際には、他の債務のための担保提供の制限、本投資法人の収益状況や財務状態が一定の条件を下回った場合における担保の提供及び現金その他の一定資産の留保、一定の財務指標を基準とした追加借入制限、資産取得の制限、投資主への分配に係る制限、その他本投資法人の収益状況や財務状態及び業務に係る約束や制限が課されることがあります。本投資法人の借入金及び投資法人債についても、そのような条項その他の一般的財務制限条項が設けられていますが、本書の日付現在において、これらの財務制限条項に抵触する事実又は抵触するおそれがある事実は生じていません。但し、このような約束や制限に抵触する場合には、本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配可能額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、借入や投資法人債について、保有する運用資産又はその原資産の全部又は一部を担保に供することがあります。この場合、本投資法人は、被担保債権である借入の弁済又は投資法人債の償還をしない限り、担保対象たる運用資産の処分につき貸付人等の承諾を取得する等の制限を受ける可能性があります。その結果、本投資法人が必要とする時期及び条件で運用資産を処分できないおそれがあります。また、収益性の悪化等により担保不動産の評価額が借入先によって引き下げられた場合等には、追加の担保設定や借入金の早期返済を求められることがあり、また、かかる早期返済や返済期日における返済のための資金を調達するため、本投資法人の希望しない条件での借換え資金の調達や、希望しない時期及び条件での運用資産の処分をせざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、契約上金利が固定されておらず何らかの指標に連動するものとされている場合等には、契約期間中に金利が上昇する可能性があり、その結果分配可能金額が減少する可能性があります。
投資口の追加発行により資金調達を行う場合、投資口の発行時期及び価格はその時々の市場価格により左右され、場合により、本投資法人の希望する時期及び条件でこれを発行することができないおそれがあります。
C.収益及び費用、キャッシュ・フローの変動に係るリスク
本投資法人の収益は、主として本投資法人が取得し、保有する運用不動産からの賃料収入に依存しています。かかる賃料収入は、運用不動産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。テナント数が少ないオフィスビルや商業施設において、テナントの退去、テナントによる賃料不払い又は遅延が生じた場合には、キャッシュ・フローに与える影響は大きくなります。
本投資法人は、本資産運用会社を通じて、良質のテナントを確保すべく努力しますが、その目的が達成されるとは限りません。また、良質と判断されるテナントを確保しても、当該テナントが永続的に本投資法人の保有する運用不動産を賃借し続けるとの保証はなく、また、かかるテナントの資産状態が悪化する可能性もあります。
上記の賃料収入の減少だけでなく、退去するテナントへの敷金・保証金の返還、多額の資本的支出、未稼働資産の取得、売却損の発生による再投資の資金規模の縮小等は、キャッシュ・フローを減ずる効果をもたらし、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
賃料収入の他、不動産等及び不動産対応証券の売却が行われた場合には売却益又は売却損が発生する可能性もありますが、不動産等及び不動産対応証券の売却益は、本投資法人の運用方針や不動産市場の環境に左右されるものであり、恒常的・安定的に得られる性格のものではありませんし、売却損が生じる場合、かかる売却損は損失として計上されます。
他方、運用不動産に関する費用としては、減価償却費、運用不動産に関して課される公租公課、運用不動産に関して付保された保険の保険料、管理組合費、水道光熱費、不動産管理費用、清掃衛生業務、保安警備業務及び設備管理業務等の建物管理業務に係る費用、維持修繕費用、借地借家料並びにテナント誘致費用(媒介手数料、広告料等)等があります。かかる費用の額は状況により増大する可能性があります。
これらの要因により、投資主への分配金額等の減少その他の悪影響を及ぼす可能性があります。
D.投資法人の登録取消リスク
本投資法人は、資産の運用を行うために投信法に基づき投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合、かかる登録を取り消される可能性があります。登録が取り消されると、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散することとなります。本投資法人が解散し、清算する場合には、投資主は、当初の投資金額を回収できない可能性があります。
(ロ)投資法人の制度に係るリスク
投資法人の制度上の主なリスクは以下のとおりです。
A.本投資法人以外の関係者への依存に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現は、これらの者の能力、経験及びノウハウに大きく依拠していますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財産的基盤を今後も維持できるとの保証はありません。本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、それぞれ本投資法人に対して善管注意義務を負い、また、投資法人のために行為すべき忠実義務を負いますが、そのいずれかが職務遂行上善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行う場合には、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
その他、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者のそれぞれが、破産手続又は会社更生手続その他の倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合においては、本投資法人はそれらの者に対する債権の回収に困難が生じるおそれがあり、さらに本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約を解約し又は解除することが求められることがあります。そのような場合、本投資法人は、投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者へ委託することが義務付けられているため、日常の業務遂行に影響を受けることになります。また、委託契約が解約又は解除された場合には、新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選定し、これらの者に対して上記各業務を委託することが必要とされます。しかし、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し、上記各業務及び事務を委託できるとの保証はなく、そのような第三者を速やかに選定できない場合には、本投資法人の存続及び損益の状況等に悪影響を及ぼす他、適切な資産運用会社を選定できない場合には、本投資口が上場廃止になる可能性もあります。
B.資産の運用に係るリスク
(ⅰ)資産運用会社の運用能力に係るリスク
本投資法人の資産運用の成果は、特に本資産運用会社の能力、経験及びノウハウに大きく依拠していますが、本資産運用会社においてかかる業務遂行に必要な人的・財産的基盤が常に維持されるとの保証はありません。また、本資産運用会社は、資産運用の結果に対して何らの保証を行うものではありません。資産運用会社となるためには、金融商品取引法に基づき投資運用業を行う者として金融商品取引業者の登録を受ける必要があり、また、資産運用会社は金融商品取引法に基づく監督を受けていることから、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、金融商品取引法はその運用能力まで保証するものではありません。
本投資法人は、投資主総会の承認を得て資産運用委託契約を解約することができ、また、投信法及び資産運用委託契約の規定に基づいて、資産運用会社が職務上の義務に違反した場合その他一定の場合に、資産運用委託契約を解約し、資産運用会社を解任することができる他、投信法上、資産運用会社が金融商品取引法上の金融商品取引業者でなくなったときその他一定の場合には、資産運用委託契約を解約又は解除しなければならないものとされています。資産運用委託契約を解約又は解除する場合、それに先立ち後任の資産運用会社の選定が必要になりますが、かかる選定までの期間中は、解任すべきと判断された資産運用会社による資産の運用が継続することになります。また、後任の資産運用会社が適切な運用能力を有することが保証されているわけでもありません。
(ⅱ)資産運用会社の利益相反行為等に係るリスク
本資産運用会社は、本投資法人に対し善管注意義務を負い、また、本投資法人のために行為すべき忠実義務を負います。さらに、本資産運用会社の行為により本投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、本資産運用会社は、金融商品取引法により、通常の取引の条件と異なる条件で、かつ、本投資法人の利益を害することとなる取引を内容とした運用を行うこと等一定の行為を禁止されています。しかしながら、本資産運用会社が、上記の義務や規制に反した場合には、本投資法人に損害が発生するリスクがあります。
また、本資産運用会社の株主、その役職員の出向元企業又はその関係会社等といった関係者が、本投資法人の運用資産の取得又は運用に関する取引に関与し、又は本資産運用会社自身による投資活動を行う場合があります。そのような場合に、本資産運用会社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証はありません。
本資産運用会社は、投信法に定める利害関係人等を含む一定のスポンサー関係者との取引について、利益相反対策のための社内規定を設けています。また、本投資法人と本資産運用会社の利害関係人等との間で、有価証券又は不動産の取得、譲渡又は貸借の取引を行う場合、当該投資法人の資産に及ぼす影響が軽微なもの等の一定の例外を除き、当該資産運用会社は、あらかじめ本投資法人の同意を得る必要があり(投信法第201条の2第1項)、本投資法人が同意を与えるためには、役員会の承認を受ける必要があるものとされています(投信法第201条の2第2項)。また、監督役員と資産運用会社とが一定の利害関係を有する場合の資産運用業務の委託が一定範囲で禁止されています(投信法施行規則第244条第3号及び第4号)。上記のとおり利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、上記リスクを完全に排除できるとの保証はありません。
(ⅲ)投資方針の変更に係るリスク
規約に規定されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本資産運用会社がこれを具体化するために制定した資産運用ガイドラインについては、投資主総会の承認を得ることなく、その時々の市場環境等に応じ、原則として本資産運用会社の判断により機動的に改訂することが可能です。かかる資産運用ガイドラインの改訂により、意図したとおりの運用成果を収めることができるとの保証はなく、結果的に本投資法人の資産運用及び損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(ハ)投資法人制度におけるインサイダー取引規制に関するリスク
上場投資法人等につき、インサイダー取引規制が適用されます(金融商品取引法第166条以下)。金融商品取引法上の上場投資法人等に係るインサイダー取引規制のもと、本投資法人及び本資産運用会社は、役職員による本投資口に係る売買等の有償の取引を原則禁止としています。しかしながら、本資産運用会社の役職員又は本投資法人の役員が金融商品取引法で定めるインサイダー取引規制に違反する場合には、本投資法人及び本資産運用会社に係る情報の管理に対する信頼が揺らぎ、その結果、本投資法人の投資家に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、上場投資口については、上場株式同様、大量保有報告書制度の対象となっています。
(ニ)パイプラインサポート会社への依存に係るリスク
本投資法人は、パイプラインサポート会社である日鉄興和不動産及びみずほ信託銀行株式会社(以下併せて「パイプラインサポート会社」といいます。)との間で、それぞれ日鉄興和不動産サポート契約及びみずほ信託サポート契約(以下本(ニ)及び下記(ホ)において「サポート契約」と総称します。)を締結しており、各パイプラインサポート会社は、本投資法人の投資基準に適合するものと判断する保有・開発不動産の売却情報や仲介情報等につき、本資産運用会社に提供するよう努めること、また、日鉄興和不動産については、それに加えて本資産運用会社からウェアハウジング機能の提供を依頼された場合に、誠実に協議することに合意しています。それらの詳細は、前記「1 投資法人の概況 (3) 投資法人の仕組み ③ 上記以外の本投資法人の主な関係法人等の運営上の役割、名称及び業務の内容」をご参照ください。
従って、本投資法人の不動産等及び不動産対応証券の取得機会の確保及びその規模の拡大等の外部成長は、パイプラインサポート会社からの情報提供、資産取得機会の提供に拠るところが大きいといえます。しかしながら、サポート契約上、パイプラインサポート会社は本投資法人に対する優先的な情報提供義務や資産の売却義務を負うものではなく、また、パイプラインサポート会社が上記のサポートの提供に必要な人的・財産的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、サポート契約が何らかの理由で解除され若しくは更新されず、又はその他の理由によりパイプラインサポート会社によるサポートが期待どおりの成果をあげられず、期待どおりに本投資法人の成長が実現しないおそれがあります。
(ホ)スポンサー企業への依存に係るリスク
本資産運用会社の株主はスポンサー企業であり、本資産運用会社は上記「(ニ)パイプラインサポート会社への依存に係るリスク」に記載のサポート契約をスポンサー企業と締結する他、スポンサー企業から経営陣及び主要なスタッフ等の人材の供給を受けています。また、本投資法人が取得した資産の相当部分は、スポンサー企業及びその関連会社から拠出され、又はスポンサー企業からの情報の提供その他の協力を得て取得したものであり、将来においてもこのようなスポンサー企業との協働又は関係活用を通じ本投資法人が物件を取得することが期待されます。
このように、本投資法人の業務はスポンサー企業と密接な関係にあり、従って、本投資法人の中長期にわたる安定収益の確保と運用資産の着実な成長は、スポンサー企業に相当程度依存しているといえます。
以上より、本投資法人及び本資産運用会社とスポンサー企業との良好な関係が維持できない場合、スポンサー企業のサポートが実効性を有しない場合、スポンサー企業の全部又は一部の財務状態や外部評価が悪化又は低下する場合等には、本投資法人は期待どおりの成長や収益をあげられないおそれがあります。
(ヘ)投資法人のその他の諸制度上(法律上、税制上等)の取扱いに係るリスク
投資法人に関する法律上、税制上その他の諸制度上の取扱い若しくは解釈は大幅に変更され、又は新たな法律が制定される可能性があり、それに伴い、本投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、本投資法人の存続、損益の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ト)余裕資金の運用に係るリスク
本投資法人は、運用不動産の賃借人から受領した賃料、預託を受けている敷金又は保証金等の余裕資金を投資資金として運用する場合があります。そのような場合、想定した運用利益をあげることができず、又は元本欠損が生じる可能性があります。また、賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をその投資利回りよりも調達コストの高い借入等により調達せざるを得なくなり、その結果本投資法人の損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(チ)不動産の取得方法に係るリスク
本投資法人は、不動産を取得するにあたり、税制上の軽減措置を受けること等を目的として譲渡代金支払日後直ちには当該不動産についての所有権等の移転本登記申請を行わない場合があります。この場合、売主が譲渡代金支払後本登記申請までの間に当該不動産を二重譲渡し、担保提供し又は売主が倒産すること等により、本投資法人が運用不動産の完全な所有権を取得できなくなる可能性があり、また、同時に支払済みの譲渡代金の全部又は一部につき返還を受けられなくなる可能性があります。本投資法人は、上記軽減措置に関する手続のために必要な一定期間について、仮登記を経ること等により本登記の順位を保全して上記リスクを回避する方針ですが、仮登記には順位保全効果しかなく、本登記がなされる前に売主が倒産した場合等には本投資法人が保護されない可能性があり、上記リスクを完全に排除できるわけではありません。
③ 不動産に係るリスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2)投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載の不動産等です。不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的にはほぼ同様の利益状況に置かれます。従って、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「④ 不動産信託受益権に係るリスク」をご参照ください。
(イ)不動産の流動性に係るリスク
不動産は、その有する不動性(非移動性)及び個別性(非同質性、非代替性)等の特性から、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いとの性格を有します。また、取引時に実施する物理的状況や権利関係等の調査(デューディリジェンス)の結果、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵等が発見された場合には、流動性が低下する可能性や、売買価格が下落する可能性があります。その他、不動産もそれ以外の資産と同様、経済変動等によりその市場価格は変動します。
さらに、不動産が共有される場合、区分所有建物である場合、又は土地と建物が別個の所有者に属する場合等、権利関係の態様によっては、以上の流動性等に関するリスクが相対的に増幅します。
(ロ)物件の取得競争等に係るリスク
本投資法人は、規約において、資産を主として不動産等資産に対する投資として運用することを目的とし、中長期的な観点から、安定した収益の確保と着実な運用資産の成長を目指し、資産の運用を行うことを基本方針としています。しかしながら、国内外の投資家等による不動産に対する投資は積極的に行われており、本投資法人が投資対象とするような不動産について取得希望者が競合する状況が今後も継続すると思われ、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産を取得することができるとは限りません。このような状況下にあって、投資採算の観点から希望した価格での不動産の取得ができない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオを実現できない可能性があります。さらに、本投資法人が不動産を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望どおりの価格や時期その他の条件で売却できない可能性があります。これらの結果、本投資法人の投資方針に従った運用ができず、期待どおりに本投資法人の収益につながらないおそれがあります。
(ハ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
不動産は、物件毎に個性を持ち、代替性が低いという性質を有しています。従って、取得済みの資産又は今後取得する不動産に一定の瑕疵があった場合、又は種類、品質若しくは数量に関して契約の内容に適合しない場合、本投資法人は損害を被ることがあります。かかる瑕疵又は契約不適合が存在する場合として、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、特に土地に含有される有害物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵等があり、この他、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあります。また、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経由した不動産についても、当該行政法規が求める安全性や構造耐力等を有するとの保証はありませんし、不動産に想定し得ない隠れた欠陥・瑕疵等が取得後に判明するおそれもあります。たとえば、建物の施工を請負った建設会社又はその下請業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、免震装置、制振装置その他の建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。その他、不動産に関する権利が第三者の権利により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることもあり得ます。
また、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(以下「民法改正法」といいます。)による民法改正(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」、民法改正後の民法を「新民法」といいます。)が施行された2020年4月1日より前に締結された不動産の売買においては、旧民法の規定が適用され(民法改正法附則第34条第1項等)、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、買主に対して瑕疵担保責任を負うことになります(買主は瑕疵があることを知った日から1年以内に解除権又は損害賠償請求権の行使をすることができます。)。従って、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、不動産に係る物理的、法的な瑕疵があり、それが隠れたものである場合には、上記に従い、本投資法人は売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。
他方で、民法改正法が施行された2020年4月1日以降に締結された不動産の売買においては、新民法が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負うことになります。買主は、契約不適合を知った時から1年以内に、売主に対して契約不適合であることについて通知をした場合、責任を追及することができ、また、売主が不動産の引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときには、かかる期間制限なく、契約不適合による担保責任を追及することができます。買主は、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合を除き、責任の追及として、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由によるものであるか否かを問わず、履行の追完請求権や代金減額請求権を行使することができます。また、買主は、不履行の程度が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、契約を解除することができます。さらに、買主は、契約不適合について売主の責めに帰すべき事由がある場合、履行利益も含み得る損害賠償責任を追及することができます。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、上記に従い、本投資法人は売主に対して契約不適合による担保責任を追及することができますが、上記一定の場合を除き期間制限を超えて責任を追及することはできません。
また、本投資法人では、取得しようとする不動産に係る売買契約等において売主から一定の事実に関する表明及び保証を取得し、瑕疵の内容等について責任の所在を明確化した上で不動産を取得することを原則としています。
しかし、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が本投資法人に売却した不動産のみであった特別目的会社等であるためにその資力が十分でない場合には、買主である本投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任による保護を受けることができず、損害を被ることになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する期間又は補償金額を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。さらに、売主が表明・保証した事項が真実かつ正確であるとの保証はなく、表明・保証は法律上の制度ではないため、個別の事情により、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が限定され、あるいは表明・保証が全く行われない場合もあります。
このような場合には、当該瑕疵又は契約不適合を理由とした不動産の資産価値が減耗することを防ぐために買主である本投資法人がその補修その他の措置を執ることになり、予定しない補修費用等が発生し、売主からかかる費用の賠償や補償が得られないと、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置を執ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその信託財産である不動産に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合については、上記と同様のリスクがあります。そこで、不動産の信託契約及び受益権譲渡契約において、売主に信託設定日等において既に存在していた信託財産である不動産の瑕疵又は契約不適合について瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても上記のように実効性がない場合及びそもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置を執ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
なお、投資法人は、宅地建物取引業法上宅地建物取引業者とみなされ(同法第77条の2第2項)、投資法人が宅地建物取引業者でない者に対して不動産を売却する場合には、民法改正の前後を問わず、宅地建物取引業法上、不動産の売主として民法上負う瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を完全に排除することができません(同法第40条)。したがって、本投資法人又は不動産信託受託者が不動産の売主となる場合には一定限度の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負うことになる場合があります。
加えて、わが国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。従って、不動産登記記録の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(ニ)土地の境界等に係るリスク
わが国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありませんが、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ホ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
本投資法人の主な収入は、不動産については本投資法人が当該不動産に関し第三者(テナント)との間で締結する賃貸借契約に基づく賃料収入です。本投資法人が不動産信託受益権を保有する場合には、本投資法人の主な収入は、不動産信託受益権に基づく信託の純利益の配当ですが、その主たる原資は、不動産信託受託者が信託財産たる不動産についてテナントとの間で締結する賃貸借契約に基づく賃料収入です。このような不動産の賃料収入に影響を与える主なリスクは、以下のとおりです。
A.不動産の稼働状況に係るリスク
不動産の稼働率は、事前に予測することが困難であり、予想し得ない事情により低下する可能性があります。
一般的なオフィススペースの賃貸借契約では、契約期間を2年程度とするものの、テナントからの一定期間前の予告により期間中いつでも解約でき、また、期間満了時までに解約の意思表示がなされれば更新されない(意思表示がない場合には自動的に2年程度の期間をもって契約が更新される)ものとされています。このような場合、テナントは、契約期間中であっても賃貸借契約を終了させることが可能であり、かつ、期間満了時に契約の更新がなされる保証もありません。契約が更新されず又は契約期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居するとの保証はなく、その結果賃料収入が減少する可能性があります。
本投資法人においても、一部のテナントを除き、上記のような一般的な条件の賃貸借契約を締結し、又は承継することは避けられません。従って、解約が増加し、又は更新がなされないことにより稼働率が低下し、運用不動産から得られる賃料収入が減少して、投資主に損害を与える可能性があります。また、解約が多く発生する場合、上記収入の減少のみならず、退去するテナントへの敷金・保証金の返還等が必要とされることとなり、十分な積立金が留保されていない場合には、場合により新たな資金調達を余儀なくされ、その結果、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、賃貸借契約で期間内の解約を制限し、違反についての違約金条項を置くこともありますが、違約金の額その他の状況によっては、裁判所によって違約金が一部減額され、又はかかる条項の効力が否定される可能性があります。
B.テナントの信用力及び賃料不払いに係るリスク
賃貸借契約が終了しない場合においても、テナントの財務状況が悪化し、又はテナントが破産手続、会社更生手続その他の倒産手続の対象となった場合には、賃料の支払が滞る可能性があります。このような延滞された賃料等(場合により原状回復費用その他の損害金を含みます。)の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超えると、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。本投資法人では、新規のテナントを入居させるにあたって、その信用力について調査を行いますが、かかる調査が完全であるとは限らず、また、入居後に財務状況が悪化することもあります。また、稼働中の物件を取得する場合には既存の賃貸借契約を承継するため、かかる調査を行うことができないことがあり、リスクを完全に防ぐことはできません。
C.賃料の減額に係るリスク
前記のとおり、オフィスビル等に入居するテナントとの一般的な賃貸借契約では2年程度の期間毎に契約が更新され、その都度賃料が改定される可能性があります。また、契約期間中であっても、賃料相場の下落その他の様々な事情により、テナントから減額の請求を受け、これに合意することを余儀なくされることがあります。また、本投資法人が保有する運用不動産と競合すると思われる不動産の賃料水準が全般的に低下した場合には、新たに入居するテナントとの間で締結される賃貸借契約における賃料の額が従前の賃料の額と比較して低下するとともに、上記のような賃料減額の可能性もより増大することになり、本投資法人の賃料収入の減少をもたらす可能性があります。
さらに、テナントは、定期建物賃貸借契約において賃料減額請求権を排除しうる特約がある場合を除いては、借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。以下同じです。)に基づく賃料減額請求をすることができます。当事者間で変更後の金額についての協議が調わない場合には、賃貸人は、減額を相当とする裁判が確定するまで、テナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払を請求することができます。但し、その間に賃貸人が実際に支払を受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付してテナントに返還しなければなりません。従って、テナントから賃料減額請求権の行使があった場合、賃貸人としては、この利息支払のリスクを避けるために従前の賃料を減額して請求をせざるを得ない場合もあり、その場合には当該運用不動産から得られる賃料収入が減少するため、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。
これに対し、借地借家法に定める一定の要件を満足して締結された定期建物賃貸借契約においては、当事者間の合意により、上記賃料増減額請求権を排除することができます。この場合には賃料の減額請求がなされないため、通常の賃貸借契約に比較して契約期間中の賃料収入の安定が期待できます。なお、定期建物賃貸借においてテナントが契約期間の定めにかかわらず早期解約した場合、契約上の当然の権利として又は違約金条項に基づく権利として、残期間の賃料全てについて必ずテナントに対して請求できるか否かは、未だ事例の蓄積が乏しいため定かでありません。特に、残存期間の途中で新たなテナントが見つかり、賃料収入が得られることとなった場合には、その効力が制限される可能性があります。さらに、そもそも契約上、違約金の額が一定期間の賃料に対応する分だけに限られている場合もあり得ます。また、賃貸人にとって、定期建物賃貸借には、通常の賃貸借に比べ契約期間中の賃料収入の安定が期待できるという有利な面がある一方で、賃料が低く抑えられる傾向にあり、特約の定め方によっては一般的な賃料水準が上昇する場合でもそれに応じた賃料収入の増加を期待することができない等、不利益な面もあります。
なお、本投資法人又は信託受託者が賃貸している不動産を賃借人が転貸している場合には、転貸条件が必ずしも賃貸条件と同一ではなく、何らかの理由で本投資法人又は信託受託者が転借人と直接の賃貸借契約関係を有することとなったとき、低額の賃料を甘受せざるを得ない可能性があります。
D.テナントの獲得競争に係るリスク
通常、運用不動産は、他の不動産とのテナント獲得競争に晒されているため、競合する不動産の新築、リニューアル等の競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により、賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされ、本投資法人の収益が悪化する場合があります。立地条件や建物仕様等の点で本投資法人の運用不動産に優る競合不動産がある場合、その傾向は顕著になるものと予想されます。
(ヘ)マスターリースに係るリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、転貸を目的として賃借人(マスターリース会社)に一括して賃貸することがあります。このように、賃借人に運用不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人又は信託受託者は、運用不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなる可能性や、退去させられなくなる可能性があります。
また、賃借人の賃料が、転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、賃借人が転貸借契約上の転貸人としての債務の履行を怠った場合には、転借人は賃料不払をもってこれに対抗することができるため、テナントが賃借人側の何らかの落ち度を理由に意図的な賃料不払を以って対抗する可能性もあり、その場合には当該運用不動産から得られる賃料収入にも悪影響を及ぼすこととなります。
一方、賃料保証型マスターリース契約(賃借人の転借人に対する賃料にかかわらず、賃借人の賃料が一定額とされているもの)においては、マスターリース会社の財務状態の悪化等により、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
さらに、テナントとの契約上、マスターリース契約が終了した場合には、信託受託者がテナントとの転貸借契約上の賃貸人の地位をマスターリース会社から承継することが約束されていることがあります。かかる場合において、信託財産中にテナントとの契約に基づく敷金相当額が留保されておらず、かつ、マスターリース会社が倒産等のために敷金相当額を信託受託者に引き渡すことができないと、受益者たる本投資法人が最終的にテナントに対する敷金相当額を負担せざるを得なくなる可能性があります。マスターリース契約の終了後、新たなマスターリース会社にテナントとの転貸借契約を承継させた場合も同様です。
(ト)プロパティ・マネジメント会社に係るリスク
一般に、建物の保守管理、テナントの管理を含めた運用不動産の管理が成功するか否かは、プロパティ・マネジメント会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人においても、管理の良否及びその結果としての収益性の確保について、プロパティ・マネジメント会社の業務遂行能力に大きく依拠することになります。本資産運用会社は、プロパティ・マネジメント会社を選定するにあたり、運用不動産の特性に応じ、その候補業者の管理実績、ノウハウ、信用力及び業務態勢等を慎重に考慮し、十分な能力を持つ業者を選定する方針であり、原則として、プロパティ・マネジメント会社にはプロパティ・マネジメント業務を受託した物件のマスターリース会社となることを求めていく方針です。これによりプロパティ・マネジメント業務の重要な要素であるテナント・リーシング及びテナント管理を円滑に行うことができるものと考えています。従って、プロパティ・マネジメント会社の選任には十分配慮する予定です。
しかしながら、かかる調査は完全であるとは限らず、選定されたプロパティ・マネジメント会社における人的・財産的基盤が優良である保証はありません。また、仮に選任時点では優良であってもそれが将来にわたって維持されるとの保証もありません。本投資法人及び本資産運用会社は、プロパティ・マネジメント委託契約上、プロパティ・マネジメント会社につき業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、自ら又は不動産信託受託者に指図して、プロパティ・マネジメント会社に対して改善を求め、又はプロパティ・マネジメント会社との契約を解除する権利を確保する方針です。しかし、プロパティ・マネジメント会社が交代する場合、後任のプロパティ・マネジメント会社が選任され、管理業務を開始するまでは、一時的に当該運用不動産の管理状況が悪化し、本投資法人が損失を被るおそれがあります。加えて、マスターリース契約には借地借家法が適用され、本投資法人又は信託受託者がマスターリース契約を解除する場合には正当な理由が必要であるため、マスターリース会社を兼ねるプロパティ・マネジメント会社の交代は、専業のプロパティ・マネジメント会社の交代より困難となる可能性があります。なお、本投資法人が不動産信託受益権を保有する場合においてプロパティ・マネジメント会社が解任されたときは、不動産信託受託者において、その善良な管理者の注意義務に従って信託財産たる運用不動産を一時的に管理することになります。
(チ)不動産の運用費用の増加に係るリスク
経済全般のインフレーション、不動産管理や建物管理に係る費用又は備品調達等の管理コストの上昇、修繕費の負担、各種保険料の値上げ、公租公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。一方で、運用不動産からの収入がこれに対応して増加するとの保証はありません。
なお、新民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています(新民法第607条の2)。かかる修繕権を賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行い、本投資法人が修繕費用の請求を受けるおそれがあります。
(リ)建物の毀損・滅失・劣化等に係るリスク
建物の全部又は一部は、突発的な事故又は地震、火災や気候変動に起因する風水害等の天災地変等によって、毀損、滅失若しくは劣化し、又は上下水道管、電線、ガス管等のインフラ施設や鉄道、公共道路等が不全となる等の周辺環境の悪化等の間接被害を受ける可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した個所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少して、費用が増加することで本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、評価額が下落するおそれもあります。
そこで、本投資法人は、火災・水害等による損害を補償する火災保険(特約による利益補償としての財産保険、家賃保険を含むことがあります。)又は賠償責任保険等を付保する方針としています。このような複数の保険を組み合わせることによって、予期せざるリスクが顕在化した場合にも、かかる保険による保険金を充てることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。但し、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故(戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしも全て保険でカバーされるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされません。)が発生する可能性、又は保険会社が当該保険会社の財務状態の如何にかかわらず保険金を完全に支払わず、若しくは支払が遅れる可能性も否定できません。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を事故発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
加えて、天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震が起った場合、本投資法人の運用不動産のうち複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性は否定できません。本投資法人が地震保険を付保したとしても、対人的被害の賠償については保険でカバーされないこともあります。
(ヌ)建築基準法等の規制に係るリスク
運用不動産のうち建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法等の規制に服します。このような規制には建物の構造等自体に関するものと、建築確認申請義務等の手続に関するものがあります。その他、不動産は、一般に様々な規制の下にあり、国の法令の他、各地方公共団体の条例や行政規則等による駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等の他、これらの義務に関連して、建物の新築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。これらの規制は、随時改正・変更されており、その内容によっては不動産の管理費用等が増加するおそれがあります。
建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法上及び関連法令上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります。本投資法人の取得・保有する運用不動産には、現行の法令に一部適合していないものの違法とはならない、いわゆる既存不適格の建物を含む場合があります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建ぺい率・容積率・高度・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替自体が事実上困難となる可能性があります。このような場合には、不動産の資産価値や譲渡価格が下がり、その結果、投資主に損害を与える可能性があります。また、建物の構造等が適法であっても手続に不備があった場合には、工事のやり直しを余儀なくされ、関連する費用等が増加して、投資主に損害を与える可能性があります。
以上の他、土地収用法(昭和26年法律第219号、その後の改正を含みます。)や土地区画整理法(昭和29年法律第119号、その後の改正を含みます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は運用不動産の価値が減殺される可能性があります。
さらに、環境保護を目的とする現行法令等又は将来制定・施行される新法令等により、運用不動産について、大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務、所有者としての無過失責任等が課され、又は義務が強化される可能性があります。このように、法令又は条例の制定・改廃等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ル)共有物件に係るリスク
不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。
まず、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更にあたる行為には共有者全員の合意を要し、変更にあたらない管理は共有者の持分の過半数で決定するものとされています。従って、特に本投資法人が持分の過半数を有していない場合には、共有となる運用不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため、他の共有者によるかかる権利行使によって、本投資法人の運用不動産の利用が妨げられる可能性があります。
共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権であり、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。従って、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差し押さえ、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払や返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等にも、他の共有者が債務を履行しない場合につき、同様の問題があります。また、本投資法人は、共有となる運用不動産につき、他の共有者に共有物を単独で賃貸する権限を与えることがあります。この場合、テナントとの賃貸借契約上の賃貸人は他の共有者のみであり、本投資法人は、当該他の共有者から賃料などの分配金を受けることになります。このような場合、本投資法人は、テナントと直接契約関係に立たないため、テナントからの敷金返還請求を受けるリスクを軽減することができますが、他方で、マスターリース会社におけるのと同様に、賃貸権限を与えた他の共有者の財務状態についてのリスクを本投資法人が負担することとなります。
また、運用不動産が共有である場合、他の共有者から共有物の分割請求を受ける可能性があります。現物による分割が不可能である場合又は著しくその価値を損なうおそれのある場合は、本投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、他の共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます(但し、その場合、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することは認められます。)。
共有者は、自己の共有持分を自由に処分することができます。従って、本投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。これに対し、共有者間の協定書等において、共有者が共有持分を処分する場合に他の共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物の分割がなされても、共有されていた運用不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。従って、本投資法人の共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の本投資法人の運用不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
以上のとおり、共有の運用不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヲ)区分所有建物に係るリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号、その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(建物の躯体、エントランス部分等)から構成されます。区分所有建物の場合、建物及びその敷地(以下「区分所有物件」といいます。)の管理及び運営は、区分所有法の規定に従い、また、区分所有者間で定められる管理規約その他の規則(以下「管理規約等」といいます。)がある場合にはこれに服します。管理規約は、原則として、区分所有者数及びその議決権(管理規約に別段の定めのない限り、区分所有者の所有する専有部分の床面積の割合)の各4分の3以上の多数決によらなければ変更できません。なお、建替決議等においてはさらに多数決の要件が加重されています。運用不動産が区分所有物件の一部である場合、本投資法人単独では上記決議要件を満足することが難しいため、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を十分に反映させることができない可能性があります。
さらに、他の区分所有者が自己の負担すべき区分所有建物の共有部分に係る公租公課、修繕費又は保険料等の支払又は積立を履行しない場合、本投資法人が運用不動産の劣化を避けるため、その立替払を余儀なくされるおそれがあります。これらの場合、本投資法人は、他の区分所有者に係る立替払金の償還を請求することができ、かかる請求権については区分所有法により担保権(先取特権)が与えられていますが、当該他の区分所有者の資力の如何によっては、償還を受けることができない可能性があります。
各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に処分することができます。従って、本投資法人の意向にかかわりなく他の区分所有者が変更される可能性があります。これに対し、管理規約等において、区分所有者が専有部分(所有権の共有持分その他の敷地利用権(以下に定義します。)を含みます。)を処分する場合に他の区分所有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合には、本投資法人の知らない間に他の区分所有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人が専有部分を処分する際に制約を受けることになります。
また、各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に賃貸し、その他使用収益することができます。また、他の区分所有者による建物への変更工事や内装の変更等により、本投資法人の専有部分を含む建物全体が建築基準法、消防法(昭和23年法律第186号、その後の改正を含みます。以下同じです。)その他の法令や条例等に違反する状態となる可能性があります。本投資法人の運用不動産である専有部分の価値や収益は、このような他の区分所有者による使用収益の状況によって影響を受ける可能性があります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利(所有権の共有持分等)を敷地利用権といいますが、区分所有法は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁止し、不動産登記法(平成16年法律第123号、その後の改正を含みます。)は敷地権の登記の制度を用意しています。しかし、敷地につき、敷地権の登記がなされていない場合には、専有部分と敷地利用権を分離して処分されたときに、その処分の無効を善意の第三者に主張することができません。また、区分所有建物の敷地が数筆の土地であり、各区分所有者が、これらの土地の一部について、単独で敷地利用権を有している場合(いわゆる分有形式)には、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが可能とされています。分離処分がなされると、区分所有物件を巡る権利関係が複雑になるため、既に述べた運用不動産に係る流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ワ)借地権に係るリスク
本投資法人は、借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、期限の到来により消滅し、借地権設定者側に正当な事由がある場合には更新を拒絶されることがあり、また、借地権者側に地代不払等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望する価格で買い取られるとの保証はありません。
さらに、敷地が売却され又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合、本投資法人が借地権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号、その後の改正を含みます。)又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し又は譲渡するにあたり賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られるとの保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払を要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で借地物件を処分することができないおそれがあります。
また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を支払うこともあり得ますが、借地を明け渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
(カ)開発物件に係るリスク
本投資法人は、原則として、取得時点において稼働している物件に投資を行います。しかし、将来、運用ガイドラインに定める投資方針に従って、竣工後に不動産等及び不動産対応証券を取得するために予め開発段階で当該不動産等及び不動産対応証券の売買契約等を締結する可能性があります。かかる場合、既に稼働中の資産につき売買契約を締結して取得する場合に比べて、a)開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見され、又は、工事請負業者の倒産若しくは請負契約の不履行、天災地変、行政上の許認可手続その他予期せぬ事情により、開発が遅延、変更若しくは中止される可能性、b)開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性、c)開発過程において事故が生じる可能性、d)竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られない可能性等の固有のリスクがあります。
これらの結果、開発中の物件からの収益が本投資法人の予想を大きく下回る可能性がある他、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、予定されていない費用、損害又は損失を本投資法人が被る可能性があり、そのため本投資法人の収益等が重大な悪影響を受ける可能性があります。
(ヨ)有害物質に係るリスク
土地については、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性や利用する地下水に有害物質が含まれている可能性は否定できず、かかる有害物質が埋蔵又は含有されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや浄化等が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号、その後の改正を含みます。)に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
また、建物について、一般的に建材等にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材又は設備が使用され、又は過去に使用されていた可能性があります。かかる場合には、当該建物の価値が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
また、環境関連法令につき、将来、運用不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され又は無過失責任を問われることとなる可能性があります。
(タ)不動産の所有者責任に係るリスク
土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合にはその所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています。従って、本投資法人の運用不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります。
本投資法人は、運用不動産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険を付保する方針ですが、保険契約に基づいて支払われる保険金の上限額を上回る損害が発生しないとの保証はなく、また、保険事故が発生した場合に常に十分な金額の保険金が適時に支払われるとの保証はありません。
(レ)不動産の偏在に係るリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針(1)投資方針 ①基本方針(ロ)大都市圏のオフィスビル中心に収益の安定と拡大を追求したポートフォリオ運用 B.投資対象地域」に記載のとおり、ポートフォリオの構築において、一定の地理的分散投資を行うものの、東京都及び東京周辺地域(神奈川県、埼玉県及び千葉県)並びに政令指定都市、県庁所在地及びそれらに準ずる都市を主たる投資対象地域としています。本投資法人の運用不動産が一定の地域に偏在する場合、それら地域の不動産賃貸市場の動向や地震その他の災害等が、本投資法人の収益に著しい悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、本投資法人の投資対象は、前記「2 投資方針(1)投資方針 ①基本方針 (ロ)大都市圏のオフィスビル中心に収益の安定と拡大を追求したポートフォリオ運用 A.用途」に記載のとおり、オフィスビル中心であるため、一定地域のオフィスビルにおける収益環境等の変化が本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、本投資法人の運用不動産が近接して所在する場合には、オフィス賃貸借マーケット(オフィスビルの場合)又は商圏(商業施設の場合)において相互に競合し、その結果、本投資法人の収益に悪影響を与えるおそれがあります。
(ソ)テナント集中に係るリスク
運用不動産が一又は少数のテナントに賃貸される場合には、当該テナントの資力、退去、利用状況等により、当該運用不動産の収益が大きく影響を受けるおそれがあります。かかるテナントが賃料の支払能力を失った場合や賃料の減額を要求する場合には、収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。さらに、かかるテナントが退去する場合には、敷金等の返還や内装その他の仕様の改装のため一度に多額の資金の出捐を余儀なくされ、かつ、大きな面積の空室が生じるため、一時的に当該運用不動産の収益が悪化することがあります。さらに、広い面積を一度に賃借するテナントを誘致するのは、時間を要し、かつ、場合によっては本投資法人の希望する賃貸条件でのテナント誘致が困難となり、その誘致に要する期間と条件次第では、本投資法人の収益が悪影響を受けるおそれがあります。
(ツ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力を勘案のうえ、賃貸借契約を締結するか否かを決定し、また、締結後も、プロパティ・マネジメント会社を通じてその利用状況を管理していく所存ですが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、また、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあります。また、一部のテナントの属性により、又は一定の反社会的勢力が賃貸人の承諾なくして建物の一部を占拠する場合等に、当該運用不動産が全体として悪影響を受けることがあります。このような場合には、本投資法人は、直ちにこれに対応する所存ですが、当該運用不動産の価値が減損し、本投資法人の収益に悪影響が及ぶおそれがあります。
また、テナントによる建物への変更工事、内装の変更等により建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人がその改善のための費用を負担することを余儀なくされる可能性があります。
(ネ)売主の倒産等の影響に係るリスク
本投資法人が不動産等及び不動産対応証券を取得した後に、その売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産等及び不動産対応証券の売買契約又はその対抗要件具備行為は、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、かかる不動産等及び不動産対応証券は、破産財団等に取り戻される一方で、本投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産等及び不動産対応証券に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
また、いわゆる真正売買の問題として、裁判所又は管財人等が、本投資法人を買主とする売買取引を、その実質に従い又はその他の理由により、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産等及び不動産対応証券がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、本投資法人は、あたかもかかる不動産等及び不動産対応証券についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われ、弁済金額が切下げられることとなり、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比較して、本投資法人はより大きな損害を受けるおそれがあります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者)が倒産した場合にも生じ得ます。すなわち、本投資法人が、不動産等及び不動産対応証券を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である本投資法人にも及ぶことになります。
以上のとおり、本投資法人又はその売主の売買契約が否認され、詐害行為取消権の行使を受け、又は真正売買性が否定された場合には、本投資法人に損害が生じるおそれがあります。
本投資法人においては、売主等の財務状況等も十分に検討した上で投資を決定しますが、売主又はその前所有者に関する正確な財務情報が入手できる保証はなく、上記リスクが現実化するおそれは否定できません。
(ナ)不動産の売却における制限に係るリスク
不動産等の売却については、前記のとおり他の区分所有者や共有者によって契約上その処分について制限が課されることがある他、賃貸借契約において賃借人に対し賃貸借契約期間中は売却をしない旨や土地と建物を分離譲渡しない旨を約したり、第三者に売却する前に賃借人に対して買取りについての優先交渉権を与えたりする場合があります。そのような場合、不動産市場の動向を見ながら最も有利な条件で売却することが難しくなり、本投資法人は、通常であれば得ることができる利益を得ることができなくなるおそれがあります。
(ラ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
本投資法人が運用資産を売却した場合に、当該運用資産に物的若しくは法律的な瑕疵又は契約不適合があるために、法律の規定に従い、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を排除することが原則としてできません。
また、法律の規定以外にも、売買契約上の規定に従い、運用不動産の性状その他に関する表明保証責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う可能性があります。
これらの法律上又は契約上の表明保証責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う場合には、買主から売買契約を解除され、又は買主が被った損害の賠償をしなければならず、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
さらに、賃貸中の運用不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれに倣うのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予定外の出費を強いられる場合があり得ます。
(ム)フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、フォワード・コミットメント等を行うことがあります。フォワード・コミットメント等とは、金融庁により、「先日付での売買契約であって、契約締結から1月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているものその他これに類する契約をいう。」と定義されています。一般的に不動産等に係る売買契約においては、買主がその都合により不動産等の売買契約を解約し又は履行しない場合には、買主は違約金や債務不履行による損害相当額の支払義務を負担します。この点は、契約後速やかに決済される売買契約についても同様ですが、フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があることから、その間に市場環境等が変化し、決済・物件引渡し時において、当初の想定と異なる事情が生ずる可能性があります。従って、フォワード・コミットメント等による売買契約締結後に、例えば、金融市場に予想できない変動があり、不動産等の取得資金を調達できなくなる等の事由によって、売買契約を解約せざるを得なくなり、売買代金の支払いは免れるものの、違約金又は損害賠償金の支払義務を負担することがありえます。このような場合には、本投資法人の財務状態や収益等が悪化する可能性があります。
本投資法人は、フォワード・コミットメント等により不動産等を取得しようとする場合には、期間、決済資金の調達方法等に留意した上で投資を決定することとしていますが、これによりあらゆる経済情勢の変動に対応できる保証はなく、上記リスクを完全に防ぐことはできません。
(ウ)底地物件に係るリスク
本投資法人では、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地(いわゆる底地)を取得し、運用を行うことが許容されています。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条等)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるかにつき物件取得時に正確性をもって予測することは困難であり、借地権者の行う時価での建物買取請求が本投資法人が希望する価格であるとの保証もありません。
また、借地権者の財務状況が悪化し又は借地権者が倒産手続の対象となった場合において、借地契約に基づく土地の賃料の支払が、敷金及び保証金等で担保される範囲を超えて延滞する等したときは、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。借地契約において賃料等の契約内容について、定期的に見直しを行うこととされている場合には、賃料の改定により賃料が減額されると、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。また、借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性もあります。
④ 不動産信託受益権に係るリスク
本投資法人は、不動産、地上権又は土地の賃借権を主な信託財産とする不動産信託受益権を取得します。この場合、不動産信託受託者が不動産の名義上の所有者(又は地上権者若しくは賃借人)となり、信託受益者である本投資法人のために不動産を管理、運用、処分します。信託受益者である本投資法人は、本資産運用会社を通じて不動産信託受託者に指図をすることによりその運用方針に従った運用を行うこととなります。不動産を直接所有する場合と不動産信託受益権を保有する場合とでは、税務上の取扱いや担保提供する方法等に違いがあります。不動産信託受益権を取得する場合、本投資法人は、上記の不動産特有のリスクの他、以下のような不動産信託受益権特有のリスクを負います。なお、以下では、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号、その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、新信託法施行前の信託法(大正11年法律第62号。信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正を含みません。)を「旧信託法」といいます。2007年9月30日より前に効力を生じた信託については、原則として信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条)。
(イ)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは、信託の利益を享受する者とされ、信託の収益は、信託交付金等の形で信託受益者に引渡され、信託が終了するときは信託財産全てが交付されます。他方で、信託財産に関する租税、不動産信託受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等(以下「信託費用等」といいます。)は、原則として信託財産から支払われ、従って、最終的に信託受益者が負担することになっています。すなわち、信託受益者は、名義上は信託財産の所有者ではありませんが、信託財産に係る経済的利益及び損失の最終的な帰属主体といえます。従って、不動産信託受益権を保有する場合も、不動産そのものを所有する場合と同様に不動産に係るリスクを負うことになります。加えて、信託受託者は、信託事務の遂行に関して被った損害につき、信託財産から支弁を受け又は受益者にその賠償を請求することができます。旧信託法が適用される信託については、法律上、受託者が受益者に信託費用等の支払いを請求し、受託者に生じた損害を受益者に負担させることが認められています。また、新信託法の下では、信託受益者に対する信託費用等の請求権はなくなりましたが、信託費用等や受託者に生じた損害が信託財産から支払われることは同じです。また、信託受託者は、信託の引受にあたり、その条件として受益者による信託費用等の負担を求めることが予想され、この点について合意がなされたときは、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされます(新信託法第48条第5項、第54条第4項)。このため、旧信託法が適用されるか新信託法が適用されるかを問わず、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(ロ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
本投資法人が不動産信託受益権を運用資産とする場合において、不動産信託受託者を通じて信託財産たる不動産を処分する場合には、前記の不動産の流動性に係るリスクが存在します。
また、不動産信託受益権を譲渡しようとする場合には、通常、不動産信託受託者の事前の承諾を要求されます。さらに、信託受益権は金融商品取引法上は有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため、株式や社債のような典型的な有価証券と比較すると相対的に流動性が低いものといえます。
(ハ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
不動産信託受託者につき破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他の倒産手続が開始された場合における信託財産の取扱いに関しては、旧信託法の下では、明文の規定はないものの、同法の諸規定や信託財産の独立性という観点から、信託財産が、破産財団、再生債務者又は更生会社の財産その他不動産信託受託者の固有財産に属すると解釈される可能性は、極めて小さいものと考えられていました。新信託法においては、信託財産は不動産信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。但し、不動産の場合、当該不動産が信託財産に属することを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託の登記が必要とされます。
(ニ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
不動産信託受託者は、信託業務を行うにあたり、信託受益者に対して忠実義務及び善管注意義務を負い、信託受益者を害するおそれのある一定の行為を行ってはならないものとされています。しかし、不動産信託受託者が、かかる義務又は信託契約上の義務に反して信託財産である不動産を処分すること、又は信託財産である不動産を引当てとして何らかの債務を負うこと等がないとはいいきれず、これらの場合には、不動産信託受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は、いずれも信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を信託受益者に認めていますが、常にかかる権利の行使により損害を回復できるとは限りません。
(ホ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
不動産信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
準共有者は、不動産信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができ、この点につき不動産の準共有の場合と同様のリスクがあります。また、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
不動産信託受益権の準共有者が不動産信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び不動産信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、この点につき不動産が共有されている場合と同様のリスクがあります。
新信託法が適用される場合には、信託受益者が複数である場合の意思決定に関する同法の規定が適用される可能性がありますが、リスクの状況はほぼ同様です。
(ヘ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。また、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の場合における市場価格を算出することではありません。同じ不動産について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。従って、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。
また、本投資法人は、不動産を取得しようとする場合、原則として、当該不動産について自ら調査を行う他、宅地建物取引業者が作成する重要事項説明書等の関係書類の調査、売主に対する資料の徴求を行い、かつ、建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質の有無、隣地との境界等について、信頼のおける中立の建設会社、不動産業者、リサーチ会社等の専門業者からのエンジニアリングレポート(建物状況調査報告書)や耐震性能に関する報告書等を取得し、欠陥ないし瑕疵の有無を精査します。しかし、本投資法人による不動産の取得に際して行われる上記の調査には限界があり、提供される資料の内容、依頼を受けた専門家の能力、売主及びその前所有者やテナントの協力の程度、調査が可能な書面等の範囲及び時間的な制約等から、不動産に関する欠陥・瑕疵について事前に全てを認識することができるとの保証はありません。加えて、建物状況調査報告書や耐震性能に関する報告書等は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査及び施設管理者への聞取りを行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用及び再調達価格の算出、並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載したものであり、不動産に欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。従って、本投資法人による取得の後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵等が判明する可能性があります。
また、不動産に関して算出されるPMLも個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PMLは、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
⑤ 匿名組合出資持分への投資に係るリスク
本投資法人では、規約に基づいて、不動産等に投資する匿名組合につき出資持分を取得することが許容されています。本投資法人が匿名組合に対しかかる投資を行う場合、当該匿名組合の営業者は本投資法人からの出資金を不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益悪化や当該不動産等の価値の下落等する場合、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果、本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されていることがあり、又は確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図したとしても、適切な時期及び価格での譲渡が困難となる可能性があります。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が保有し又は開発する物件に係る優先交渉権の取得を目的として行われることがありえますが、かかる優先交渉権を取得した場合であっても、本投資法人が当該新規物件を取得できるとの保証はありません。
⑥ 税制等に係るリスク
本投資法人には、以下のような税制に関するリスクが存在します。本投資法人は、本投資法人の会計処理に関する助言を専門家に継続的に依頼して、税制についての情報や現行の税制についての税務当局の見解を収集して、できる限り事前に対応をする体制を取っています。
(イ)導管性要件に係るリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の異動、分配金支払原資の制限・不足、会計処理と税務処理の取扱いの差異、税務当局と本投資法人との見解の相違、法律の改正、その他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が、導管性要件を満たすことができない場合、配当等の額を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響をもたらし、本投資口の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。なお、導管性要件に関しては、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い ② 投資法人の税務 (イ)利益配当等の損金算入」をご参照ください。
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
2009年4月1日以後終了した営業期間に係る導管性要件のうち、租税特別措置法施行令第39条の32の3に規定する配当可能利益の額又は配当可能額の90%超の分配を行うべきとする要件においては、投資法人の会計上の税引前当期純利益を基礎として判定を行うこととされています。従って、会計処理と税務上の取扱いの差異により本投資法人の税負担が増加し、実際に配当できる利益(会計上の税引後当期純利益)が減少した場合、この要件を満たすことが困難となる営業期間が生じる可能性があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する営業期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異である一時差異等調整引当額の増加額に相当する金銭の分配については配当等の額として損金算入が可能になるという手当てがなされています。
(ハ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税負担の発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違により過年度の課税所得計算について追加の税務否認項目等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することがあります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ニ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約において、特定不動産(不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上とすること(規約第26条第4項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(ホ)一般的な税制の変更に係るリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の運用資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、出資の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は、税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
(ヘ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期営業期間より「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。「減損会計」の適用に伴い、地価の動向及び運用不動産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の業績は悪影響を受ける可能性があります。
⑦ その他
(イ)資産の取得又は譲渡に関するリスク
本投資法人は、現在保有する資産のみを投資対象とする投資法人ではありません。本投資法人は、上場以来、資産ポートフォリオの拡大と質の向上を目指し、かつ中長期的に安定した運用を行うことを目指して、本書の日付現在も、常に新たな資産取得に向けた市場調査と物件売却情報の入手に努めており、必要に応じ、潜在的な売主又は買主や権利関係者との間で物件取得又は譲渡に向けた資料収集・調査・検討・交渉を行っています。
また、実際に物件取得又は譲渡を行う旨合意し適時開示を行った場合にも、内装工事や修繕、物件の特性、売主その他の関係権利者との協議の結果として、実際の引渡し・資産運用の開始・資金決済までに一定期間を要することがあります。物件取得又は譲渡の合意から引渡しまでの間に、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を購入又は売却することができないおそれも否定できません。それらの結果、予定した収益を上げることが困難となるおそれがあります。
(ロ)重要事象等に関するリスク
本投資法人は、本書の日付現在、本投資法人が将来にわたって営業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他投資法人の経営に重要な影響を及ぼす事象は存在しないと判断しています。但し、今後そのような事象が発生しないとの保証はありません。
(2)投資リスクに対する管理体制
上記の様々なリスクに鑑み、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の資産運用に関し、以下の検証システムを通じ、実効性のあるリスク管理体制を整備し、最大限の効果の発揮に努めています。本投資法人及び本資産運用会社は可能な限り、本投資口への投資に関するリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、これらの措置が結果的に十分な成果を収めるとの保証はありません。
① 本投資法人の体制
本投資法人は、3ヶ月に1回以上役員会を開催し、法令で定められた承認事項の決議に加え、本投資法人の運営及び本資産運用会社の業務遂行状況の詳細な報告を受けます。これらの手続を通じ、本投資法人では、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が的確に情報を入手し、執行役員の業務執行状況を監視できる体制を維持しています。また、これらの手続を通じ、本投資法人は、本資産運用会社の利害関係人等との取引について、利益相反取引のおそれがあるか否かについての確認を行い、利益相反等に係るリスクの管理に努めています。
本投資法人は、資産運用委託契約上、本資産運用会社から各種報告を受ける権利及び本資産運用会社の帳簿その他の資料の調査を行う権利を有しています。かかる権利の行使により、本投資法人は、本資産運用会社の業務執行状況を監視できる体制を維持しています。
また、本投資法人は、内部者取引管理規則を定めて、役員によるインサイダー取引ないしそれに類似する行為の未然防止に努めています。
② 資産運用会社の体制
本資産運用会社は、運用及び管理に係るリスクについて、原則としてレベルの異なる、かつ複数の検証システムを通じてモニタリングし、管理しています。
(イ)本資産運用会社は、資産運用ガイドラインにおいて、オフィスビル中心のポートフォリオの構築方針、個別の運用不動産の安定収益確保のための諸方策、投資を決定する際の物件選定基準、物件調査基準及び保険付保基準、ポートフォリオ運営管理方針(プロパティ・マネジメント会社の選定方針、年間運用計画等による計画的な運用を含みます。)等を定めています。かかる資産運用ガイドラインを遵守することにより、不動産や不動産信託受益権に係るリスクの管理に努めています。
(ロ)本資産運用会社は、委員会規程を定めて本投資法人の資産運用に係る重要な事項の決定プロセスの明確化を図っている他、不動産等の調査、取得、管理運営その他の業務それぞれについて、客観的な業務手順を確立して、リスクの管理に努めています。
(ハ)本資産運用会社は、コンプライアンス規程、コンプライアンス・マニュアル及びコンプライアンス・プログラムを定めて、コンプライアンス・オフィサー及びコンプライアンス委員会による法令遵守の確認、コンプライアンス委員会による投信法及びスポンサー関係者との取引規程に定めるスポンサー関係者との取引等についての利益相反の有無の確認を行い、これによって、法令違反のリスク、利益相反のリスクの防止に努めています。
(ニ)本資産運用会社は、内部者取引管理規程を定めて、役員及び従業員によるインサイダー取引ないしそれに類似する行為の未然防止に努めています。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに対する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資主に損失が生ずるおそれがあります。
以下においては、本投資法人の投資口(以下「本投資口」といいます。)への投資及び本投資法人の発行する投資法人債(以下「本投資法人債」といいます。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。但し、以下は本投資口及び本投資法人債への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。以下における不動産に関する記述は、不動産信託受益権その他の不動産等及び不動産対応証券についてもほぼ同様にあてはまりますが、資産としての種類の違いに応じて、この他にも発生する可能性のあるリスクがあります。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分であるとの保証はありません。
以下に記載するリスクが現実化した場合、分配金の額が低下し、又は本投資口若しくは本投資法人債の市場価格が下落する可能性があり、また、本投資法人債については、投資元本の欠損が生じる可能性があります。その結果、各投資家が投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書における本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資口及び本投資法人債に関する投資判断を行う必要があります。
本「3 投資リスク」に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に係るリスク
(イ)投資口及び投資法人債の商品性に係るリスク
(ロ)換金性に係るリスク
(ハ)市場価格の変動に係るリスク
(ニ)金銭の分配に係るリスク
② 投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
(イ)投資法人の組織運営に係るリスク
(ロ)投資法人の制度に係るリスク
(ハ)投資法人制度におけるインサイダー取引規制に関するリスク
(ニ)パイプラインサポート会社への依存に係るリスク
(ホ)スポンサー企業への依存に係るリスク
(ヘ)投資法人のその他の諸制度上(法律上、税制上等)の取扱いに係るリスク
(ト)余裕資金の運用に係るリスク
(チ)不動産の取得方法に係るリスク
③ 不動産に係るリスク
(イ)不動産の流動性に係るリスク
(ロ)物件の取得競争等に係るリスク
(ハ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
(ニ)土地の境界等に係るリスク
(ホ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
(ヘ)マスターリースに係るリスク
(ト)プロパティ・マネジメント会社に係るリスク
(チ)不動産の運用費用の増加に係るリスク
(リ)建物の毀損・滅失・劣化に係るリスク
(ヌ)建築基準法等の規制に係るリスク
(ル)共有物件に係るリスク
(ヲ)区分所有建物に係るリスク
(ワ)借地権に係るリスク
(カ)開発物件に係るリスク
(ヨ)有害物質に係るリスク
(タ)不動産の所有者責任に係るリスク
(レ)不動産の偏在に係るリスク
(ソ)テナント集中に係るリスク
(ツ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
(ネ)売主の倒産等の影響に係るリスク
(ナ)不動産の売却における制限に係るリスク
(ラ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
(ム)フォワード・コミットメント等に係るリスク
(ウ)底地物件に係るリスク
④ 不動産信託受益権に係るリスク
(イ)信託受益者として負うリスク
(ロ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
(ハ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
(ニ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
(ホ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
(ヘ)専門家報告書等に関するリスク
⑤ 匿名組合出資持分への投資に係るリスク
⑥ 税制等に係るリスク
(イ)導管性要件に係るリスク
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税負担の発生するリスク
(ニ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(ホ)一般的な税制の変更に係るリスク
(ヘ)減損会計の適用に関するリスク
⑦ その他
(イ)資産の取得又は譲渡に関するリスク
(ロ)重要事象等に関するリスク
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に係るリスク
(イ)投資口及び投資法人債の商品性に係るリスク
投資口は、株式会社における株式に類似する性質を持ち、投資金額の回収や利回りの如何は、経済状況や不動産及び証券市場等の動向、本投資法人の収益又は財産及び業務の状況に影響され、譲渡による換価時点において投資金額以上の金額の回収を図ることができるか否かは定かではありません。
投資口及び投資法人債は、投資額の保証がなされる商品ではなく金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではありません。
本投資法人が通常の清算又は倒産手続により清算される場合、投資主は、本投資法人の全ての債権者への弁済の後でなければ、投資口の払戻しを受けることはできず、投資金額のほとんどを回収できない可能性があります。また、本投資法人が倒産等により清算される場合、本投資法人債の投資法人債権者も投資金額の全部又は一部を回収できない可能性があります。
(ロ)換金性に係るリスク
本投資口については、投資主からの請求による投資口の払戻しは行われません。従って、投資主が本投資口を換金するためには、原則として東京証券取引所を通じて、又は取引所外において、第三者に売却することが必要となります(注)。本投資口の第三者に対する売却が困難又は不可能となった場合、投資主は、本投資口を希望する時期及び条件で換価することができなくなります。
本投資口は、本投資法人の資産総額の減少、投資口の売買高の減少その他により、東京証券取引所の定める「有価証券上場規程」に規定される上場廃止基準に抵触する場合には、本投資口の上場が廃止されます。本投資口の上場市場における売却が困難又は不可能となった場合には、本投資口の売却を希望する投資主は、相対取引による他なく、本投資口を希望する時期又は条件で換価できないか、全く換価できない可能性があります。
また、本投資法人債については、確立された取引市場は存在しないため、買主が存在するとの保証もないほか、譲渡価格も保証されていません。
(注)本投資法人は、規約第5条第2項に従い、投資主との合意による自己投資口の取得が可能とされています(投信法第80条第1項第1号)。
(ハ)市場価格の変動に係るリスク
近時、世界的な新型コロナウイルスの感染症の拡大により、業務の停滞や経済活動への悪影響が生じています。経済活動の停滞が継続することで中長期的に本投資法人の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、日本経済全体のみならず、世界の状況に鑑みても、市場の株価全体が大きく悪影響を受けており、本投資口もその例外ではありません。今後の感染症の拡大や、その影響の長期化の懸念が広がる中、さらに市場全体が悪影響を受けるおそれもあります。
以上に加え、本投資口の市場価格は、本投資口の売買高及び需給バランス、不動産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、日本及び外国における金利動向、為替相場、市場環境や景気動向等によって左右されます。また、地震、気候変動に起因する風水害等の天災の他、不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象等を契機として、本投資口の市場価格が下落するおそれがあります。
また、本投資法人は、不動産等及び不動産対応証券を投資対象としていますが、それらの評価額は、不動産市況、景気動向、オフィスその他の用途の不動産の需給バランス、法制又は税制の変更、社会情勢その他の要因により変動します。本投資口の市場価格は、一般に本投資法人の保有に係る運用資産の評価額に影響されるため、運用資産である不動産等の評価額の変動や、これに影響を及ぼすと考えられる諸要因により変動することがあります。
さらに、本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が投資口の追加発行により行われる場合には、投資口1口当たりの純資産額が減少することがあります。
本投資法人が投資口の追加発行を行う場合や、本投資口が取引所において一時的に大量に売却される場合、市場における投資口の需給バランスに影響を与え、本投資口の市場価格が大幅に下落する可能性があります。なお、本投資法人が新投資口予約権の無償割当て(ライツオファリング)を行う場合も同様です。
その他、本投資法人債は金利動向等の市場環境等により価格変動のおそれがあり、また格付の見直しや引下げによる影響を受けることがあります。
(ニ)金銭の分配に係るリスク
本投資法人は前記「2 投資方針(3)分配方針」に記載する分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払は、いかなる場合においても保証されるものではありません。特に、本投資法人の運用対象となる不動産等及び不動産対応証券又はその裏付けとなる不動産(当該不動産等を以下「運用不動産」といいます。)から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等の場合、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。また、本投資法人が営業期間中に投資口を追加発行する場合には、その期における投資口保有期間が異なるにもかかわらず、追加発行された投資口に対して既存の投資口と同額の金銭の分配を行うこととなるため、既存の投資口への分配額に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 投資法人の組織及び投資法人制度に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人という制度固有のリスクが存在します。
(イ)投資法人の組織運営に係るリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。
A.役員の職務遂行に係るリスク
投信法上、投資法人を代表しその業務執行を行う執行役員及び執行役員の業務を監督する監督役員は、善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のため忠実に職務を遂行する義務(以下「忠実義務」といいます。)を負います。しかし、職務遂行上、本投資法人の執行役員又は監督役員が善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行った場合は、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
B.投資法人の資金調達に係るリスク
本投資法人は、本書記載の投資方針に従い、借入及び投資法人債の発行を行っており、かつ今後も行う予定です。なお、本投資法人は、規約において、借入金及び投資法人債の限度額を、それぞれ1兆円とし、その合計額が1兆円を超えないものとしています(規約第34条)。
借入及び投資法人債を発行する場合におけるその条件は、その時々の金利実勢、本投資法人の収益及び財務状況、一般的な経済環境の他、貸付人の自己資本比率規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因による影響を受けるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で借入及び投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。また、借入にあたり税法上の導管性要件(後記「⑥ 税制等に係るリスク(イ)導管性要件に係るリスク」をご参照ください。)を満たすためには、その借入先を機関投資家に限定する必要があるため、借入先が限定され機動的な資金調達ができない場合があります。
借入又は投資法人債の発行を行う際には、他の債務のための担保提供の制限、本投資法人の収益状況や財務状態が一定の条件を下回った場合における担保の提供及び現金その他の一定資産の留保、一定の財務指標を基準とした追加借入制限、資産取得の制限、投資主への分配に係る制限、その他本投資法人の収益状況や財務状態及び業務に係る約束や制限が課されることがあります。本投資法人の借入金及び投資法人債についても、そのような条項その他の一般的財務制限条項が設けられていますが、本書の日付現在において、これらの財務制限条項に抵触する事実又は抵触するおそれがある事実は生じていません。但し、このような約束や制限に抵触する場合には、本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配可能額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、借入や投資法人債について、保有する運用資産又はその原資産の全部又は一部を担保に供することがあります。この場合、本投資法人は、被担保債権である借入の弁済又は投資法人債の償還をしない限り、担保対象たる運用資産の処分につき貸付人等の承諾を取得する等の制限を受ける可能性があります。その結果、本投資法人が必要とする時期及び条件で運用資産を処分できないおそれがあります。また、収益性の悪化等により担保不動産の評価額が借入先によって引き下げられた場合等には、追加の担保設定や借入金の早期返済を求められることがあり、また、かかる早期返済や返済期日における返済のための資金を調達するため、本投資法人の希望しない条件での借換え資金の調達や、希望しない時期及び条件での運用資産の処分をせざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、契約上金利が固定されておらず何らかの指標に連動するものとされている場合等には、契約期間中に金利が上昇する可能性があり、その結果分配可能金額が減少する可能性があります。
投資口の追加発行により資金調達を行う場合、投資口の発行時期及び価格はその時々の市場価格により左右され、場合により、本投資法人の希望する時期及び条件でこれを発行することができないおそれがあります。
C.収益及び費用、キャッシュ・フローの変動に係るリスク
本投資法人の収益は、主として本投資法人が取得し、保有する運用不動産からの賃料収入に依存しています。かかる賃料収入は、運用不動産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。テナント数が少ないオフィスビルや商業施設において、テナントの退去、テナントによる賃料不払い又は遅延が生じた場合には、キャッシュ・フローに与える影響は大きくなります。
本投資法人は、本資産運用会社を通じて、良質のテナントを確保すべく努力しますが、その目的が達成されるとは限りません。また、良質と判断されるテナントを確保しても、当該テナントが永続的に本投資法人の保有する運用不動産を賃借し続けるとの保証はなく、また、かかるテナントの資産状態が悪化する可能性もあります。
上記の賃料収入の減少だけでなく、退去するテナントへの敷金・保証金の返還、多額の資本的支出、未稼働資産の取得、売却損の発生による再投資の資金規模の縮小等は、キャッシュ・フローを減ずる効果をもたらし、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
賃料収入の他、不動産等及び不動産対応証券の売却が行われた場合には売却益又は売却損が発生する可能性もありますが、不動産等及び不動産対応証券の売却益は、本投資法人の運用方針や不動産市場の環境に左右されるものであり、恒常的・安定的に得られる性格のものではありませんし、売却損が生じる場合、かかる売却損は損失として計上されます。
他方、運用不動産に関する費用としては、減価償却費、運用不動産に関して課される公租公課、運用不動産に関して付保された保険の保険料、管理組合費、水道光熱費、不動産管理費用、清掃衛生業務、保安警備業務及び設備管理業務等の建物管理業務に係る費用、維持修繕費用、借地借家料並びにテナント誘致費用(媒介手数料、広告料等)等があります。かかる費用の額は状況により増大する可能性があります。
これらの要因により、投資主への分配金額等の減少その他の悪影響を及ぼす可能性があります。
D.投資法人の登録取消リスク
本投資法人は、資産の運用を行うために投信法に基づき投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合、かかる登録を取り消される可能性があります。登録が取り消されると、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散することとなります。本投資法人が解散し、清算する場合には、投資主は、当初の投資金額を回収できない可能性があります。
(ロ)投資法人の制度に係るリスク
投資法人の制度上の主なリスクは以下のとおりです。
A.本投資法人以外の関係者への依存に係るリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現は、これらの者の能力、経験及びノウハウに大きく依拠していますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財産的基盤を今後も維持できるとの保証はありません。本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、それぞれ本投資法人に対して善管注意義務を負い、また、投資法人のために行為すべき忠実義務を負いますが、そのいずれかが職務遂行上善管注意義務又は忠実義務に反する行為を行う場合には、結果として投資主が損害を受ける可能性があります。
その他、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者のそれぞれが、破産手続又は会社更生手続その他の倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合においては、本投資法人はそれらの者に対する債権の回収に困難が生じるおそれがあり、さらに本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約を解約し又は解除することが求められることがあります。そのような場合、本投資法人は、投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者へ委託することが義務付けられているため、日常の業務遂行に影響を受けることになります。また、委託契約が解約又は解除された場合には、新たな資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者を選定し、これらの者に対して上記各業務を委託することが必要とされます。しかし、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し、上記各業務及び事務を委託できるとの保証はなく、そのような第三者を速やかに選定できない場合には、本投資法人の存続及び損益の状況等に悪影響を及ぼす他、適切な資産運用会社を選定できない場合には、本投資口が上場廃止になる可能性もあります。
B.資産の運用に係るリスク
(ⅰ)資産運用会社の運用能力に係るリスク
本投資法人の資産運用の成果は、特に本資産運用会社の能力、経験及びノウハウに大きく依拠していますが、本資産運用会社においてかかる業務遂行に必要な人的・財産的基盤が常に維持されるとの保証はありません。また、本資産運用会社は、資産運用の結果に対して何らの保証を行うものではありません。資産運用会社となるためには、金融商品取引法に基づき投資運用業を行う者として金融商品取引業者の登録を受ける必要があり、また、資産運用会社は金融商品取引法に基づく監督を受けていることから、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、金融商品取引法はその運用能力まで保証するものではありません。
本投資法人は、投資主総会の承認を得て資産運用委託契約を解約することができ、また、投信法及び資産運用委託契約の規定に基づいて、資産運用会社が職務上の義務に違反した場合その他一定の場合に、資産運用委託契約を解約し、資産運用会社を解任することができる他、投信法上、資産運用会社が金融商品取引法上の金融商品取引業者でなくなったときその他一定の場合には、資産運用委託契約を解約又は解除しなければならないものとされています。資産運用委託契約を解約又は解除する場合、それに先立ち後任の資産運用会社の選定が必要になりますが、かかる選定までの期間中は、解任すべきと判断された資産運用会社による資産の運用が継続することになります。また、後任の資産運用会社が適切な運用能力を有することが保証されているわけでもありません。
(ⅱ)資産運用会社の利益相反行為等に係るリスク
本資産運用会社は、本投資法人に対し善管注意義務を負い、また、本投資法人のために行為すべき忠実義務を負います。さらに、本資産運用会社の行為により本投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、本資産運用会社は、金融商品取引法により、通常の取引の条件と異なる条件で、かつ、本投資法人の利益を害することとなる取引を内容とした運用を行うこと等一定の行為を禁止されています。しかしながら、本資産運用会社が、上記の義務や規制に反した場合には、本投資法人に損害が発生するリスクがあります。
また、本資産運用会社の株主、その役職員の出向元企業又はその関係会社等といった関係者が、本投資法人の運用資産の取得又は運用に関する取引に関与し、又は本資産運用会社自身による投資活動を行う場合があります。そのような場合に、本資産運用会社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証はありません。
本資産運用会社は、投信法に定める利害関係人等を含む一定のスポンサー関係者との取引について、利益相反対策のための社内規定を設けています。また、本投資法人と本資産運用会社の利害関係人等との間で、有価証券又は不動産の取得、譲渡又は貸借の取引を行う場合、当該投資法人の資産に及ぼす影響が軽微なもの等の一定の例外を除き、当該資産運用会社は、あらかじめ本投資法人の同意を得る必要があり(投信法第201条の2第1項)、本投資法人が同意を与えるためには、役員会の承認を受ける必要があるものとされています(投信法第201条の2第2項)。また、監督役員と資産運用会社とが一定の利害関係を有する場合の資産運用業務の委託が一定範囲で禁止されています(投信法施行規則第244条第3号及び第4号)。上記のとおり利益相反の可能性のある行為に対して十分な対応をとることとしていますが、上記リスクを完全に排除できるとの保証はありません。
(ⅲ)投資方針の変更に係るリスク
規約に規定されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本資産運用会社がこれを具体化するために制定した資産運用ガイドラインについては、投資主総会の承認を得ることなく、その時々の市場環境等に応じ、原則として本資産運用会社の判断により機動的に改訂することが可能です。かかる資産運用ガイドラインの改訂により、意図したとおりの運用成果を収めることができるとの保証はなく、結果的に本投資法人の資産運用及び損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(ハ)投資法人制度におけるインサイダー取引規制に関するリスク
上場投資法人等につき、インサイダー取引規制が適用されます(金融商品取引法第166条以下)。金融商品取引法上の上場投資法人等に係るインサイダー取引規制のもと、本投資法人及び本資産運用会社は、役職員による本投資口に係る売買等の有償の取引を原則禁止としています。しかしながら、本資産運用会社の役職員又は本投資法人の役員が金融商品取引法で定めるインサイダー取引規制に違反する場合には、本投資法人及び本資産運用会社に係る情報の管理に対する信頼が揺らぎ、その結果、本投資法人の投資家に悪影響が及ぶ可能性があります。
また、上場投資口については、上場株式同様、大量保有報告書制度の対象となっています。
(ニ)パイプラインサポート会社への依存に係るリスク
本投資法人は、パイプラインサポート会社である日鉄興和不動産及びみずほ信託銀行株式会社(以下併せて「パイプラインサポート会社」といいます。)との間で、それぞれ日鉄興和不動産サポート契約及びみずほ信託サポート契約(以下本(ニ)及び下記(ホ)において「サポート契約」と総称します。)を締結しており、各パイプラインサポート会社は、本投資法人の投資基準に適合するものと判断する保有・開発不動産の売却情報や仲介情報等につき、本資産運用会社に提供するよう努めること、また、日鉄興和不動産については、それに加えて本資産運用会社からウェアハウジング機能の提供を依頼された場合に、誠実に協議することに合意しています。それらの詳細は、前記「1 投資法人の概況 (3) 投資法人の仕組み ③ 上記以外の本投資法人の主な関係法人等の運営上の役割、名称及び業務の内容」をご参照ください。
従って、本投資法人の不動産等及び不動産対応証券の取得機会の確保及びその規模の拡大等の外部成長は、パイプラインサポート会社からの情報提供、資産取得機会の提供に拠るところが大きいといえます。しかしながら、サポート契約上、パイプラインサポート会社は本投資法人に対する優先的な情報提供義務や資産の売却義務を負うものではなく、また、パイプラインサポート会社が上記のサポートの提供に必要な人的・財産的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、サポート契約が何らかの理由で解除され若しくは更新されず、又はその他の理由によりパイプラインサポート会社によるサポートが期待どおりの成果をあげられず、期待どおりに本投資法人の成長が実現しないおそれがあります。
(ホ)スポンサー企業への依存に係るリスク
本資産運用会社の株主はスポンサー企業であり、本資産運用会社は上記「(ニ)パイプラインサポート会社への依存に係るリスク」に記載のサポート契約をスポンサー企業と締結する他、スポンサー企業から経営陣及び主要なスタッフ等の人材の供給を受けています。また、本投資法人が取得した資産の相当部分は、スポンサー企業及びその関連会社から拠出され、又はスポンサー企業からの情報の提供その他の協力を得て取得したものであり、将来においてもこのようなスポンサー企業との協働又は関係活用を通じ本投資法人が物件を取得することが期待されます。
このように、本投資法人の業務はスポンサー企業と密接な関係にあり、従って、本投資法人の中長期にわたる安定収益の確保と運用資産の着実な成長は、スポンサー企業に相当程度依存しているといえます。
以上より、本投資法人及び本資産運用会社とスポンサー企業との良好な関係が維持できない場合、スポンサー企業のサポートが実効性を有しない場合、スポンサー企業の全部又は一部の財務状態や外部評価が悪化又は低下する場合等には、本投資法人は期待どおりの成長や収益をあげられないおそれがあります。
(ヘ)投資法人のその他の諸制度上(法律上、税制上等)の取扱いに係るリスク
投資法人に関する法律上、税制上その他の諸制度上の取扱い若しくは解釈は大幅に変更され、又は新たな法律が制定される可能性があり、それに伴い、本投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、本投資法人の存続、損益の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ト)余裕資金の運用に係るリスク
本投資法人は、運用不動産の賃借人から受領した賃料、預託を受けている敷金又は保証金等の余裕資金を投資資金として運用する場合があります。そのような場合、想定した運用利益をあげることができず、又は元本欠損が生じる可能性があります。また、賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をその投資利回りよりも調達コストの高い借入等により調達せざるを得なくなり、その結果本投資法人の損益の状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。
(チ)不動産の取得方法に係るリスク
本投資法人は、不動産を取得するにあたり、税制上の軽減措置を受けること等を目的として譲渡代金支払日後直ちには当該不動産についての所有権等の移転本登記申請を行わない場合があります。この場合、売主が譲渡代金支払後本登記申請までの間に当該不動産を二重譲渡し、担保提供し又は売主が倒産すること等により、本投資法人が運用不動産の完全な所有権を取得できなくなる可能性があり、また、同時に支払済みの譲渡代金の全部又は一部につき返還を受けられなくなる可能性があります。本投資法人は、上記軽減措置に関する手続のために必要な一定期間について、仮登記を経ること等により本登記の順位を保全して上記リスクを回避する方針ですが、仮登記には順位保全効果しかなく、本登記がなされる前に売主が倒産した場合等には本投資法人が保護されない可能性があり、上記リスクを完全に排除できるわけではありません。
③ 不動産に係るリスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2)投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載の不動産等です。不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的にはほぼ同様の利益状況に置かれます。従って、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産信託受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「④ 不動産信託受益権に係るリスク」をご参照ください。
(イ)不動産の流動性に係るリスク
不動産は、その有する不動性(非移動性)及び個別性(非同質性、非代替性)等の特性から、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いとの性格を有します。また、取引時に実施する物理的状況や権利関係等の調査(デューディリジェンス)の結果、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵等が発見された場合には、流動性が低下する可能性や、売買価格が下落する可能性があります。その他、不動産もそれ以外の資産と同様、経済変動等によりその市場価格は変動します。
さらに、不動産が共有される場合、区分所有建物である場合、又は土地と建物が別個の所有者に属する場合等、権利関係の態様によっては、以上の流動性等に関するリスクが相対的に増幅します。
(ロ)物件の取得競争等に係るリスク
本投資法人は、規約において、資産を主として不動産等資産に対する投資として運用することを目的とし、中長期的な観点から、安定した収益の確保と着実な運用資産の成長を目指し、資産の運用を行うことを基本方針としています。しかしながら、国内外の投資家等による不動産に対する投資は積極的に行われており、本投資法人が投資対象とするような不動産について取得希望者が競合する状況が今後も継続すると思われ、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産を取得することができるとは限りません。このような状況下にあって、投資採算の観点から希望した価格での不動産の取得ができない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオを実現できない可能性があります。さらに、本投資法人が不動産を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望どおりの価格や時期その他の条件で売却できない可能性があります。これらの結果、本投資法人の投資方針に従った運用ができず、期待どおりに本投資法人の収益につながらないおそれがあります。
(ハ)不動産の瑕疵及び契約不適合に係るリスク
不動産は、物件毎に個性を持ち、代替性が低いという性質を有しています。従って、取得済みの資産又は今後取得する不動産に一定の瑕疵があった場合、又は種類、品質若しくは数量に関して契約の内容に適合しない場合、本投資法人は損害を被ることがあります。かかる瑕疵又は契約不適合が存在する場合として、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、特に土地に含有される有害物質、地質の構造等に関する欠陥や瑕疵等があり、この他、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあります。また、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経由した不動産についても、当該行政法規が求める安全性や構造耐力等を有するとの保証はありませんし、不動産に想定し得ない隠れた欠陥・瑕疵等が取得後に判明するおそれもあります。たとえば、建物の施工を請負った建設会社又はその下請業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、免震装置、制振装置その他の建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。その他、不動産に関する権利が第三者の権利により制限を受け、又は第三者の権利を侵害していることもあり得ます。
また、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(以下「民法改正法」といいます。)による民法改正(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」、民法改正後の民法を「新民法」といいます。)が施行された2020年4月1日より前に締結された不動産の売買においては、旧民法の規定が適用され(民法改正法附則第34条第1項等)、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、買主に対して瑕疵担保責任を負うことになります(買主は瑕疵があることを知った日から1年以内に解除権又は損害賠償請求権の行使をすることができます。)。従って、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、不動産に係る物理的、法的な瑕疵があり、それが隠れたものである場合には、上記に従い、本投資法人は売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。
他方で、民法改正法が施行された2020年4月1日以降に締結された不動産の売買においては、新民法が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負うことになります。買主は、契約不適合を知った時から1年以内に、売主に対して契約不適合であることについて通知をした場合、責任を追及することができ、また、売主が不動産の引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときには、かかる期間制限なく、契約不適合による担保責任を追及することができます。買主は、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合を除き、責任の追及として、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由によるものであるか否かを問わず、履行の追完請求権や代金減額請求権を行使することができます。また、買主は、不履行の程度が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、契約を解除することができます。さらに、買主は、契約不適合について売主の責めに帰すべき事由がある場合、履行利益も含み得る損害賠償責任を追及することができます。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、上記に従い、本投資法人は売主に対して契約不適合による担保責任を追及することができますが、上記一定の場合を除き期間制限を超えて責任を追及することはできません。
また、本投資法人では、取得しようとする不動産に係る売買契約等において売主から一定の事実に関する表明及び保証を取得し、瑕疵の内容等について責任の所在を明確化した上で不動産を取得することを原則としています。
しかし、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が本投資法人に売却した不動産のみであった特別目的会社等であるためにその資力が十分でない場合には、買主である本投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任による保護を受けることができず、損害を被ることになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する期間又は補償金額を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。さらに、売主が表明・保証した事項が真実かつ正確であるとの保証はなく、表明・保証は法律上の制度ではないため、個別の事情により、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が限定され、あるいは表明・保証が全く行われない場合もあります。
このような場合には、当該瑕疵又は契約不適合を理由とした不動産の資産価値が減耗することを防ぐために買主である本投資法人がその補修その他の措置を執ることになり、予定しない補修費用等が発生し、売主からかかる費用の賠償や補償が得られないと、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置を執ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその信託財産である不動産に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合については、上記と同様のリスクがあります。そこで、不動産の信託契約及び受益権譲渡契約において、売主に信託設定日等において既に存在していた信託財産である不動産の瑕疵又は契約不適合について瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても上記のように実効性がない場合及びそもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置を執ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
なお、投資法人は、宅地建物取引業法上宅地建物取引業者とみなされ(同法第77条の2第2項)、投資法人が宅地建物取引業者でない者に対して不動産を売却する場合には、民法改正の前後を問わず、宅地建物取引業法上、不動産の売主として民法上負う瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を完全に排除することができません(同法第40条)。したがって、本投資法人又は不動産信託受託者が不動産の売主となる場合には一定限度の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負うことになる場合があります。
加えて、わが国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。従って、不動産登記記録の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(ニ)土地の境界等に係るリスク
わが国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありませんが、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ホ)不動産から得られる賃料収入に係るリスク
本投資法人の主な収入は、不動産については本投資法人が当該不動産に関し第三者(テナント)との間で締結する賃貸借契約に基づく賃料収入です。本投資法人が不動産信託受益権を保有する場合には、本投資法人の主な収入は、不動産信託受益権に基づく信託の純利益の配当ですが、その主たる原資は、不動産信託受託者が信託財産たる不動産についてテナントとの間で締結する賃貸借契約に基づく賃料収入です。このような不動産の賃料収入に影響を与える主なリスクは、以下のとおりです。
A.不動産の稼働状況に係るリスク
不動産の稼働率は、事前に予測することが困難であり、予想し得ない事情により低下する可能性があります。
一般的なオフィススペースの賃貸借契約では、契約期間を2年程度とするものの、テナントからの一定期間前の予告により期間中いつでも解約でき、また、期間満了時までに解約の意思表示がなされれば更新されない(意思表示がない場合には自動的に2年程度の期間をもって契約が更新される)ものとされています。このような場合、テナントは、契約期間中であっても賃貸借契約を終了させることが可能であり、かつ、期間満了時に契約の更新がなされる保証もありません。契約が更新されず又は契約期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居するとの保証はなく、その結果賃料収入が減少する可能性があります。
本投資法人においても、一部のテナントを除き、上記のような一般的な条件の賃貸借契約を締結し、又は承継することは避けられません。従って、解約が増加し、又は更新がなされないことにより稼働率が低下し、運用不動産から得られる賃料収入が減少して、投資主に損害を与える可能性があります。また、解約が多く発生する場合、上記収入の減少のみならず、退去するテナントへの敷金・保証金の返還等が必要とされることとなり、十分な積立金が留保されていない場合には、場合により新たな資金調達を余儀なくされ、その結果、投資主への分配金額に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、賃貸借契約で期間内の解約を制限し、違反についての違約金条項を置くこともありますが、違約金の額その他の状況によっては、裁判所によって違約金が一部減額され、又はかかる条項の効力が否定される可能性があります。
B.テナントの信用力及び賃料不払いに係るリスク
賃貸借契約が終了しない場合においても、テナントの財務状況が悪化し、又はテナントが破産手続、会社更生手続その他の倒産手続の対象となった場合には、賃料の支払が滞る可能性があります。このような延滞された賃料等(場合により原状回復費用その他の損害金を含みます。)の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超えると、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。本投資法人では、新規のテナントを入居させるにあたって、その信用力について調査を行いますが、かかる調査が完全であるとは限らず、また、入居後に財務状況が悪化することもあります。また、稼働中の物件を取得する場合には既存の賃貸借契約を承継するため、かかる調査を行うことができないことがあり、リスクを完全に防ぐことはできません。
C.賃料の減額に係るリスク
前記のとおり、オフィスビル等に入居するテナントとの一般的な賃貸借契約では2年程度の期間毎に契約が更新され、その都度賃料が改定される可能性があります。また、契約期間中であっても、賃料相場の下落その他の様々な事情により、テナントから減額の請求を受け、これに合意することを余儀なくされることがあります。また、本投資法人が保有する運用不動産と競合すると思われる不動産の賃料水準が全般的に低下した場合には、新たに入居するテナントとの間で締結される賃貸借契約における賃料の額が従前の賃料の額と比較して低下するとともに、上記のような賃料減額の可能性もより増大することになり、本投資法人の賃料収入の減少をもたらす可能性があります。
さらに、テナントは、定期建物賃貸借契約において賃料減額請求権を排除しうる特約がある場合を除いては、借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。以下同じです。)に基づく賃料減額請求をすることができます。当事者間で変更後の金額についての協議が調わない場合には、賃貸人は、減額を相当とする裁判が確定するまで、テナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払を請求することができます。但し、その間に賃貸人が実際に支払を受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付してテナントに返還しなければなりません。従って、テナントから賃料減額請求権の行使があった場合、賃貸人としては、この利息支払のリスクを避けるために従前の賃料を減額して請求をせざるを得ない場合もあり、その場合には当該運用不動産から得られる賃料収入が減少するため、本投資法人の収益に影響を与える可能性があります。
これに対し、借地借家法に定める一定の要件を満足して締結された定期建物賃貸借契約においては、当事者間の合意により、上記賃料増減額請求権を排除することができます。この場合には賃料の減額請求がなされないため、通常の賃貸借契約に比較して契約期間中の賃料収入の安定が期待できます。なお、定期建物賃貸借においてテナントが契約期間の定めにかかわらず早期解約した場合、契約上の当然の権利として又は違約金条項に基づく権利として、残期間の賃料全てについて必ずテナントに対して請求できるか否かは、未だ事例の蓄積が乏しいため定かでありません。特に、残存期間の途中で新たなテナントが見つかり、賃料収入が得られることとなった場合には、その効力が制限される可能性があります。さらに、そもそも契約上、違約金の額が一定期間の賃料に対応する分だけに限られている場合もあり得ます。また、賃貸人にとって、定期建物賃貸借には、通常の賃貸借に比べ契約期間中の賃料収入の安定が期待できるという有利な面がある一方で、賃料が低く抑えられる傾向にあり、特約の定め方によっては一般的な賃料水準が上昇する場合でもそれに応じた賃料収入の増加を期待することができない等、不利益な面もあります。
なお、本投資法人又は信託受託者が賃貸している不動産を賃借人が転貸している場合には、転貸条件が必ずしも賃貸条件と同一ではなく、何らかの理由で本投資法人又は信託受託者が転借人と直接の賃貸借契約関係を有することとなったとき、低額の賃料を甘受せざるを得ない可能性があります。
D.テナントの獲得競争に係るリスク
通常、運用不動産は、他の不動産とのテナント獲得競争に晒されているため、競合する不動産の新築、リニューアル等の競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により、賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされ、本投資法人の収益が悪化する場合があります。立地条件や建物仕様等の点で本投資法人の運用不動産に優る競合不動産がある場合、その傾向は顕著になるものと予想されます。
(ヘ)マスターリースに係るリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、転貸を目的として賃借人(マスターリース会社)に一括して賃貸することがあります。このように、賃借人に運用不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人又は信託受託者は、運用不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなる可能性や、退去させられなくなる可能性があります。
また、賃借人の賃料が、転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、賃借人が転貸借契約上の転貸人としての債務の履行を怠った場合には、転借人は賃料不払をもってこれに対抗することができるため、テナントが賃借人側の何らかの落ち度を理由に意図的な賃料不払を以って対抗する可能性もあり、その場合には当該運用不動産から得られる賃料収入にも悪影響を及ぼすこととなります。
一方、賃料保証型マスターリース契約(賃借人の転借人に対する賃料にかかわらず、賃借人の賃料が一定額とされているもの)においては、マスターリース会社の財務状態の悪化等により、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
さらに、テナントとの契約上、マスターリース契約が終了した場合には、信託受託者がテナントとの転貸借契約上の賃貸人の地位をマスターリース会社から承継することが約束されていることがあります。かかる場合において、信託財産中にテナントとの契約に基づく敷金相当額が留保されておらず、かつ、マスターリース会社が倒産等のために敷金相当額を信託受託者に引き渡すことができないと、受益者たる本投資法人が最終的にテナントに対する敷金相当額を負担せざるを得なくなる可能性があります。マスターリース契約の終了後、新たなマスターリース会社にテナントとの転貸借契約を承継させた場合も同様です。
(ト)プロパティ・マネジメント会社に係るリスク
一般に、建物の保守管理、テナントの管理を含めた運用不動産の管理が成功するか否かは、プロパティ・マネジメント会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人においても、管理の良否及びその結果としての収益性の確保について、プロパティ・マネジメント会社の業務遂行能力に大きく依拠することになります。本資産運用会社は、プロパティ・マネジメント会社を選定するにあたり、運用不動産の特性に応じ、その候補業者の管理実績、ノウハウ、信用力及び業務態勢等を慎重に考慮し、十分な能力を持つ業者を選定する方針であり、原則として、プロパティ・マネジメント会社にはプロパティ・マネジメント業務を受託した物件のマスターリース会社となることを求めていく方針です。これによりプロパティ・マネジメント業務の重要な要素であるテナント・リーシング及びテナント管理を円滑に行うことができるものと考えています。従って、プロパティ・マネジメント会社の選任には十分配慮する予定です。
しかしながら、かかる調査は完全であるとは限らず、選定されたプロパティ・マネジメント会社における人的・財産的基盤が優良である保証はありません。また、仮に選任時点では優良であってもそれが将来にわたって維持されるとの保証もありません。本投資法人及び本資産運用会社は、プロパティ・マネジメント委託契約上、プロパティ・マネジメント会社につき業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、自ら又は不動産信託受託者に指図して、プロパティ・マネジメント会社に対して改善を求め、又はプロパティ・マネジメント会社との契約を解除する権利を確保する方針です。しかし、プロパティ・マネジメント会社が交代する場合、後任のプロパティ・マネジメント会社が選任され、管理業務を開始するまでは、一時的に当該運用不動産の管理状況が悪化し、本投資法人が損失を被るおそれがあります。加えて、マスターリース契約には借地借家法が適用され、本投資法人又は信託受託者がマスターリース契約を解除する場合には正当な理由が必要であるため、マスターリース会社を兼ねるプロパティ・マネジメント会社の交代は、専業のプロパティ・マネジメント会社の交代より困難となる可能性があります。なお、本投資法人が不動産信託受益権を保有する場合においてプロパティ・マネジメント会社が解任されたときは、不動産信託受託者において、その善良な管理者の注意義務に従って信託財産たる運用不動産を一時的に管理することになります。
(チ)不動産の運用費用の増加に係るリスク
経済全般のインフレーション、不動産管理や建物管理に係る費用又は備品調達等の管理コストの上昇、修繕費の負担、各種保険料の値上げ、公租公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。一方で、運用不動産からの収入がこれに対応して増加するとの保証はありません。
なお、新民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています(新民法第607条の2)。かかる修繕権を賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行い、本投資法人が修繕費用の請求を受けるおそれがあります。
(リ)建物の毀損・滅失・劣化等に係るリスク
建物の全部又は一部は、突発的な事故又は地震、火災や気候変動に起因する風水害等の天災地変等によって、毀損、滅失若しくは劣化し、又は上下水道管、電線、ガス管等のインフラ施設や鉄道、公共道路等が不全となる等の周辺環境の悪化等の間接被害を受ける可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した個所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少して、費用が増加することで本投資法人が損害を受ける可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、評価額が下落するおそれもあります。
そこで、本投資法人は、火災・水害等による損害を補償する火災保険(特約による利益補償としての財産保険、家賃保険を含むことがあります。)又は賠償責任保険等を付保する方針としています。このような複数の保険を組み合わせることによって、予期せざるリスクが顕在化した場合にも、かかる保険による保険金を充てることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。但し、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故(戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしも全て保険でカバーされるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされません。)が発生する可能性、又は保険会社が当該保険会社の財務状態の如何にかかわらず保険金を完全に支払わず、若しくは支払が遅れる可能性も否定できません。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を事故発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
加えて、天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震が起った場合、本投資法人の運用不動産のうち複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性は否定できません。本投資法人が地震保険を付保したとしても、対人的被害の賠償については保険でカバーされないこともあります。
(ヌ)建築基準法等の規制に係るリスク
運用不動産のうち建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法等の規制に服します。このような規制には建物の構造等自体に関するものと、建築確認申請義務等の手続に関するものがあります。その他、不動産は、一般に様々な規制の下にあり、国の法令の他、各地方公共団体の条例や行政規則等による駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等の他、これらの義務に関連して、建物の新築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。これらの規制は、随時改正・変更されており、その内容によっては不動産の管理費用等が増加するおそれがあります。
建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法上及び関連法令上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります。本投資法人の取得・保有する運用不動産には、現行の法令に一部適合していないものの違法とはならない、いわゆる既存不適格の建物を含む場合があります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建ぺい率・容積率・高度・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替自体が事実上困難となる可能性があります。このような場合には、不動産の資産価値や譲渡価格が下がり、その結果、投資主に損害を与える可能性があります。また、建物の構造等が適法であっても手続に不備があった場合には、工事のやり直しを余儀なくされ、関連する費用等が増加して、投資主に損害を与える可能性があります。
以上の他、土地収用法(昭和26年法律第219号、その後の改正を含みます。)や土地区画整理法(昭和29年法律第119号、その後の改正を含みます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は運用不動産の価値が減殺される可能性があります。
さらに、環境保護を目的とする現行法令等又は将来制定・施行される新法令等により、運用不動産について、大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務、所有者としての無過失責任等が課され、又は義務が強化される可能性があります。このように、法令又は条例の制定・改廃等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ル)共有物件に係るリスク
不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。
まず、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更にあたる行為には共有者全員の合意を要し、変更にあたらない管理は共有者の持分の過半数で決定するものとされています。従って、特に本投資法人が持分の過半数を有していない場合には、共有となる運用不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため、他の共有者によるかかる権利行使によって、本投資法人の運用不動産の利用が妨げられる可能性があります。
共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権であり、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。従って、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差し押さえ、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払や返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等にも、他の共有者が債務を履行しない場合につき、同様の問題があります。また、本投資法人は、共有となる運用不動産につき、他の共有者に共有物を単独で賃貸する権限を与えることがあります。この場合、テナントとの賃貸借契約上の賃貸人は他の共有者のみであり、本投資法人は、当該他の共有者から賃料などの分配金を受けることになります。このような場合、本投資法人は、テナントと直接契約関係に立たないため、テナントからの敷金返還請求を受けるリスクを軽減することができますが、他方で、マスターリース会社におけるのと同様に、賃貸権限を与えた他の共有者の財務状態についてのリスクを本投資法人が負担することとなります。
また、運用不動産が共有である場合、他の共有者から共有物の分割請求を受ける可能性があります。現物による分割が不可能である場合又は著しくその価値を損なうおそれのある場合は、本投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、他の共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます(但し、その場合、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することは認められます。)。
共有者は、自己の共有持分を自由に処分することができます。従って、本投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。これに対し、共有者間の協定書等において、共有者が共有持分を処分する場合に他の共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物の分割がなされても、共有されていた運用不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。従って、本投資法人の共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の本投資法人の運用不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
以上のとおり、共有の運用不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、既に述べた流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヲ)区分所有建物に係るリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号、その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(建物の躯体、エントランス部分等)から構成されます。区分所有建物の場合、建物及びその敷地(以下「区分所有物件」といいます。)の管理及び運営は、区分所有法の規定に従い、また、区分所有者間で定められる管理規約その他の規則(以下「管理規約等」といいます。)がある場合にはこれに服します。管理規約は、原則として、区分所有者数及びその議決権(管理規約に別段の定めのない限り、区分所有者の所有する専有部分の床面積の割合)の各4分の3以上の多数決によらなければ変更できません。なお、建替決議等においてはさらに多数決の要件が加重されています。運用不動産が区分所有物件の一部である場合、本投資法人単独では上記決議要件を満足することが難しいため、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を十分に反映させることができない可能性があります。
さらに、他の区分所有者が自己の負担すべき区分所有建物の共有部分に係る公租公課、修繕費又は保険料等の支払又は積立を履行しない場合、本投資法人が運用不動産の劣化を避けるため、その立替払を余儀なくされるおそれがあります。これらの場合、本投資法人は、他の区分所有者に係る立替払金の償還を請求することができ、かかる請求権については区分所有法により担保権(先取特権)が与えられていますが、当該他の区分所有者の資力の如何によっては、償還を受けることができない可能性があります。
各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に処分することができます。従って、本投資法人の意向にかかわりなく他の区分所有者が変更される可能性があります。これに対し、管理規約等において、区分所有者が専有部分(所有権の共有持分その他の敷地利用権(以下に定義します。)を含みます。)を処分する場合に他の区分所有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されている場合があります。この場合には、本投資法人の知らない間に他の区分所有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人が専有部分を処分する際に制約を受けることになります。
また、各区分所有者は、自己の所有する専有部分を自由に賃貸し、その他使用収益することができます。また、他の区分所有者による建物への変更工事や内装の変更等により、本投資法人の専有部分を含む建物全体が建築基準法、消防法(昭和23年法律第186号、その後の改正を含みます。以下同じです。)その他の法令や条例等に違反する状態となる可能性があります。本投資法人の運用不動産である専有部分の価値や収益は、このような他の区分所有者による使用収益の状況によって影響を受ける可能性があります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利(所有権の共有持分等)を敷地利用権といいますが、区分所有法は、原則として、専有部分と敷地利用権を分離して処分することを禁止し、不動産登記法(平成16年法律第123号、その後の改正を含みます。)は敷地権の登記の制度を用意しています。しかし、敷地につき、敷地権の登記がなされていない場合には、専有部分と敷地利用権を分離して処分されたときに、その処分の無効を善意の第三者に主張することができません。また、区分所有建物の敷地が数筆の土地であり、各区分所有者が、これらの土地の一部について、単独で敷地利用権を有している場合(いわゆる分有形式)には、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが可能とされています。分離処分がなされると、区分所有物件を巡る権利関係が複雑になるため、既に述べた運用不動産に係る流動性のリスクや、それらのリスクを反映した価格の減価要因が増す可能性があります。
(ワ)借地権に係るリスク
本投資法人は、借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、期限の到来により消滅し、借地権設定者側に正当な事由がある場合には更新を拒絶されることがあり、また、借地権者側に地代不払等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望する価格で買い取られるとの保証はありません。
さらに、敷地が売却され又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合、本投資法人が借地権について民法、建物保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号、その後の改正を含みます。)又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し又は譲渡するにあたり賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られるとの保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払を要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で借地物件を処分することができないおそれがあります。
また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を支払うこともあり得ますが、借地を明け渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
(カ)開発物件に係るリスク
本投資法人は、原則として、取得時点において稼働している物件に投資を行います。しかし、将来、運用ガイドラインに定める投資方針に従って、竣工後に不動産等及び不動産対応証券を取得するために予め開発段階で当該不動産等及び不動産対応証券の売買契約等を締結する可能性があります。かかる場合、既に稼働中の資産につき売買契約を締結して取得する場合に比べて、a)開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見され、又は、工事請負業者の倒産若しくは請負契約の不履行、天災地変、行政上の許認可手続その他予期せぬ事情により、開発が遅延、変更若しくは中止される可能性、b)開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性、c)開発過程において事故が生じる可能性、d)竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られない可能性等の固有のリスクがあります。
これらの結果、開発中の物件からの収益が本投資法人の予想を大きく下回る可能性がある他、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、予定されていない費用、損害又は損失を本投資法人が被る可能性があり、そのため本投資法人の収益等が重大な悪影響を受ける可能性があります。
(ヨ)有害物質に係るリスク
土地については、一般的に産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性や利用する地下水に有害物質が含まれている可能性は否定できず、かかる有害物質が埋蔵又は含有されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや浄化等が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号、その後の改正を含みます。)に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
また、建物について、一般的に建材等にアスベスト、PCBその他の有害物質を含む建材又は設備が使用され、又は過去に使用されていた可能性があります。かかる場合には、当該建物の価値が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
また、環境関連法令につき、将来、運用不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され又は無過失責任を問われることとなる可能性があります。
(タ)不動産の所有者責任に係るリスク
土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合にはその所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています。従って、本投資法人の運用不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接に又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります。
本投資法人は、運用不動産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険を付保する方針ですが、保険契約に基づいて支払われる保険金の上限額を上回る損害が発生しないとの保証はなく、また、保険事故が発生した場合に常に十分な金額の保険金が適時に支払われるとの保証はありません。
(レ)不動産の偏在に係るリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針(1)投資方針 ①基本方針(ロ)大都市圏のオフィスビル中心に収益の安定と拡大を追求したポートフォリオ運用 B.投資対象地域」に記載のとおり、ポートフォリオの構築において、一定の地理的分散投資を行うものの、東京都及び東京周辺地域(神奈川県、埼玉県及び千葉県)並びに政令指定都市、県庁所在地及びそれらに準ずる都市を主たる投資対象地域としています。本投資法人の運用不動産が一定の地域に偏在する場合、それら地域の不動産賃貸市場の動向や地震その他の災害等が、本投資法人の収益に著しい悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、本投資法人の投資対象は、前記「2 投資方針(1)投資方針 ①基本方針 (ロ)大都市圏のオフィスビル中心に収益の安定と拡大を追求したポートフォリオ運用 A.用途」に記載のとおり、オフィスビル中心であるため、一定地域のオフィスビルにおける収益環境等の変化が本投資法人の収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、本投資法人の運用不動産が近接して所在する場合には、オフィス賃貸借マーケット(オフィスビルの場合)又は商圏(商業施設の場合)において相互に競合し、その結果、本投資法人の収益に悪影響を与えるおそれがあります。
(ソ)テナント集中に係るリスク
運用不動産が一又は少数のテナントに賃貸される場合には、当該テナントの資力、退去、利用状況等により、当該運用不動産の収益が大きく影響を受けるおそれがあります。かかるテナントが賃料の支払能力を失った場合や賃料の減額を要求する場合には、収益に悪影響を及ぼすおそれがあります。さらに、かかるテナントが退去する場合には、敷金等の返還や内装その他の仕様の改装のため一度に多額の資金の出捐を余儀なくされ、かつ、大きな面積の空室が生じるため、一時的に当該運用不動産の収益が悪化することがあります。さらに、広い面積を一度に賃借するテナントを誘致するのは、時間を要し、かつ、場合によっては本投資法人の希望する賃貸条件でのテナント誘致が困難となり、その誘致に要する期間と条件次第では、本投資法人の収益が悪影響を受けるおそれがあります。
(ツ)テナント等による不動産の使用に基づく価値減損に係るリスク
本投資法人は、テナントの属性や資力を勘案のうえ、賃貸借契約を締結するか否かを決定し、また、締結後も、プロパティ・マネジメント会社を通じてその利用状況を管理していく所存ですが、個々のテナントの利用状況をつぶさに監督できるとの保証はなく、また、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあります。また、一部のテナントの属性により、又は一定の反社会的勢力が賃貸人の承諾なくして建物の一部を占拠する場合等に、当該運用不動産が全体として悪影響を受けることがあります。このような場合には、本投資法人は、直ちにこれに対応する所存ですが、当該運用不動産の価値が減損し、本投資法人の収益に悪影響が及ぶおそれがあります。
また、テナントによる建物への変更工事、内装の変更等により建築基準法、消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人がその改善のための費用を負担することを余儀なくされる可能性があります。
(ネ)売主の倒産等の影響に係るリスク
本投資法人が不動産等及び不動産対応証券を取得した後に、その売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産等及び不動産対応証券の売買契約又はその対抗要件具備行為は、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、かかる不動産等及び不動産対応証券は、破産財団等に取り戻される一方で、本投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産等及び不動産対応証券に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
また、いわゆる真正売買の問題として、裁判所又は管財人等が、本投資法人を買主とする売買取引を、その実質に従い又はその他の理由により、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産等及び不動産対応証券がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、本投資法人は、あたかもかかる不動産等及び不動産対応証券についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われ、弁済金額が切下げられることとなり、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比較して、本投資法人はより大きな損害を受けるおそれがあります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者)が倒産した場合にも生じ得ます。すなわち、本投資法人が、不動産等及び不動産対応証券を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である本投資法人にも及ぶことになります。
以上のとおり、本投資法人又はその売主の売買契約が否認され、詐害行為取消権の行使を受け、又は真正売買性が否定された場合には、本投資法人に損害が生じるおそれがあります。
本投資法人においては、売主等の財務状況等も十分に検討した上で投資を決定しますが、売主又はその前所有者に関する正確な財務情報が入手できる保証はなく、上記リスクが現実化するおそれは否定できません。
(ナ)不動産の売却における制限に係るリスク
不動産等の売却については、前記のとおり他の区分所有者や共有者によって契約上その処分について制限が課されることがある他、賃貸借契約において賃借人に対し賃貸借契約期間中は売却をしない旨や土地と建物を分離譲渡しない旨を約したり、第三者に売却する前に賃借人に対して買取りについての優先交渉権を与えたりする場合があります。そのような場合、不動産市場の動向を見ながら最も有利な条件で売却することが難しくなり、本投資法人は、通常であれば得ることができる利益を得ることができなくなるおそれがあります。
(ラ)不動産の売却に伴う責任に係るリスク
本投資法人が運用資産を売却した場合に、当該運用資産に物的若しくは法律的な瑕疵又は契約不適合があるために、法律の規定に従い、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を排除することが原則としてできません。
また、法律の規定以外にも、売買契約上の規定に従い、運用不動産の性状その他に関する表明保証責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う可能性があります。
これらの法律上又は契約上の表明保証責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う場合には、買主から売買契約を解除され、又は買主が被った損害の賠償をしなければならず、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
さらに、賃貸中の運用不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれに倣うのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予定外の出費を強いられる場合があり得ます。
(ム)フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、フォワード・コミットメント等を行うことがあります。フォワード・コミットメント等とは、金融庁により、「先日付での売買契約であって、契約締結から1月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているものその他これに類する契約をいう。」と定義されています。一般的に不動産等に係る売買契約においては、買主がその都合により不動産等の売買契約を解約し又は履行しない場合には、買主は違約金や債務不履行による損害相当額の支払義務を負担します。この点は、契約後速やかに決済される売買契約についても同様ですが、フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があることから、その間に市場環境等が変化し、決済・物件引渡し時において、当初の想定と異なる事情が生ずる可能性があります。従って、フォワード・コミットメント等による売買契約締結後に、例えば、金融市場に予想できない変動があり、不動産等の取得資金を調達できなくなる等の事由によって、売買契約を解約せざるを得なくなり、売買代金の支払いは免れるものの、違約金又は損害賠償金の支払義務を負担することがありえます。このような場合には、本投資法人の財務状態や収益等が悪化する可能性があります。
本投資法人は、フォワード・コミットメント等により不動産等を取得しようとする場合には、期間、決済資金の調達方法等に留意した上で投資を決定することとしていますが、これによりあらゆる経済情勢の変動に対応できる保証はなく、上記リスクを完全に防ぐことはできません。
(ウ)底地物件に係るリスク
本投資法人では、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地(いわゆる底地)を取得し、運用を行うことが許容されています。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条等)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるかにつき物件取得時に正確性をもって予測することは困難であり、借地権者の行う時価での建物買取請求が本投資法人が希望する価格であるとの保証もありません。
また、借地権者の財務状況が悪化し又は借地権者が倒産手続の対象となった場合において、借地契約に基づく土地の賃料の支払が、敷金及び保証金等で担保される範囲を超えて延滞する等したときは、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。借地契約において賃料等の契約内容について、定期的に見直しを行うこととされている場合には、賃料の改定により賃料が減額されると、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。また、借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性もあります。
④ 不動産信託受益権に係るリスク
本投資法人は、不動産、地上権又は土地の賃借権を主な信託財産とする不動産信託受益権を取得します。この場合、不動産信託受託者が不動産の名義上の所有者(又は地上権者若しくは賃借人)となり、信託受益者である本投資法人のために不動産を管理、運用、処分します。信託受益者である本投資法人は、本資産運用会社を通じて不動産信託受託者に指図をすることによりその運用方針に従った運用を行うこととなります。不動産を直接所有する場合と不動産信託受益権を保有する場合とでは、税務上の取扱いや担保提供する方法等に違いがあります。不動産信託受益権を取得する場合、本投資法人は、上記の不動産特有のリスクの他、以下のような不動産信託受益権特有のリスクを負います。なお、以下では、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号、その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、新信託法施行前の信託法(大正11年法律第62号。信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正を含みません。)を「旧信託法」といいます。2007年9月30日より前に効力を生じた信託については、原則として信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条)。
(イ)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは、信託の利益を享受する者とされ、信託の収益は、信託交付金等の形で信託受益者に引渡され、信託が終了するときは信託財産全てが交付されます。他方で、信託財産に関する租税、不動産信託受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等(以下「信託費用等」といいます。)は、原則として信託財産から支払われ、従って、最終的に信託受益者が負担することになっています。すなわち、信託受益者は、名義上は信託財産の所有者ではありませんが、信託財産に係る経済的利益及び損失の最終的な帰属主体といえます。従って、不動産信託受益権を保有する場合も、不動産そのものを所有する場合と同様に不動産に係るリスクを負うことになります。加えて、信託受託者は、信託事務の遂行に関して被った損害につき、信託財産から支弁を受け又は受益者にその賠償を請求することができます。旧信託法が適用される信託については、法律上、受託者が受益者に信託費用等の支払いを請求し、受託者に生じた損害を受益者に負担させることが認められています。また、新信託法の下では、信託受益者に対する信託費用等の請求権はなくなりましたが、信託費用等や受託者に生じた損害が信託財産から支払われることは同じです。また、信託受託者は、信託の引受にあたり、その条件として受益者による信託費用等の負担を求めることが予想され、この点について合意がなされたときは、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされます(新信託法第48条第5項、第54条第4項)。このため、旧信託法が適用されるか新信託法が適用されるかを問わず、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(ロ)不動産信託受益権の流動性に係るリスク
本投資法人が不動産信託受益権を運用資産とする場合において、不動産信託受託者を通じて信託財産たる不動産を処分する場合には、前記の不動産の流動性に係るリスクが存在します。
また、不動産信託受益権を譲渡しようとする場合には、通常、不動産信託受託者の事前の承諾を要求されます。さらに、信託受益権は金融商品取引法上は有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため、株式や社債のような典型的な有価証券と比較すると相対的に流動性が低いものといえます。
(ハ)不動産信託受託者の破産等の倒産手続に係るリスク
不動産信託受託者につき破産手続、民事再生手続、会社更生手続その他の倒産手続が開始された場合における信託財産の取扱いに関しては、旧信託法の下では、明文の規定はないものの、同法の諸規定や信託財産の独立性という観点から、信託財産が、破産財団、再生債務者又は更生会社の財産その他不動産信託受託者の固有財産に属すると解釈される可能性は、極めて小さいものと考えられていました。新信託法においては、信託財産は不動産信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。但し、不動産の場合、当該不動産が信託財産に属することを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託の登記が必要とされます。
(ニ)不動産信託受託者の信託違反に伴うリスク
不動産信託受託者は、信託業務を行うにあたり、信託受益者に対して忠実義務及び善管注意義務を負い、信託受益者を害するおそれのある一定の行為を行ってはならないものとされています。しかし、不動産信託受託者が、かかる義務又は信託契約上の義務に反して信託財産である不動産を処分すること、又は信託財産である不動産を引当てとして何らかの債務を負うこと等がないとはいいきれず、これらの場合には、不動産信託受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は、いずれも信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を信託受益者に認めていますが、常にかかる権利の行使により損害を回復できるとは限りません。
(ホ)不動産信託受益権の準共有等に係るリスク
不動産信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。
準共有者は、不動産信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができ、この点につき不動産の準共有の場合と同様のリスクがあります。また、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
不動産信託受益権の準共有者が不動産信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び不動産信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、この点につき不動産が共有されている場合と同様のリスクがあります。
新信託法が適用される場合には、信託受益者が複数である場合の意思決定に関する同法の規定が適用される可能性がありますが、リスクの状況はほぼ同様です。
(ヘ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。また、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の場合における市場価格を算出することではありません。同じ不動産について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。従って、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。
また、本投資法人は、不動産を取得しようとする場合、原則として、当該不動産について自ら調査を行う他、宅地建物取引業者が作成する重要事項説明書等の関係書類の調査、売主に対する資料の徴求を行い、かつ、建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質の有無、隣地との境界等について、信頼のおける中立の建設会社、不動産業者、リサーチ会社等の専門業者からのエンジニアリングレポート(建物状況調査報告書)や耐震性能に関する報告書等を取得し、欠陥ないし瑕疵の有無を精査します。しかし、本投資法人による不動産の取得に際して行われる上記の調査には限界があり、提供される資料の内容、依頼を受けた専門家の能力、売主及びその前所有者やテナントの協力の程度、調査が可能な書面等の範囲及び時間的な制約等から、不動産に関する欠陥・瑕疵について事前に全てを認識することができるとの保証はありません。加えて、建物状況調査報告書や耐震性能に関する報告書等は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査及び施設管理者への聞取りを行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用及び再調達価格の算出、並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載したものであり、不動産に欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。従って、本投資法人による取得の後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵等が判明する可能性があります。
また、不動産に関して算出されるPMLも個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PMLは、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
⑤ 匿名組合出資持分への投資に係るリスク
本投資法人では、規約に基づいて、不動産等に投資する匿名組合につき出資持分を取得することが許容されています。本投資法人が匿名組合に対しかかる投資を行う場合、当該匿名組合の営業者は本投資法人からの出資金を不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益悪化や当該不動産等の価値の下落等する場合、本投資法人が匿名組合員として得られる分配金や元本の償還金額等が減少し、その結果、本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されていることがあり、又は確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図したとしても、適切な時期及び価格での譲渡が困難となる可能性があります。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が保有し又は開発する物件に係る優先交渉権の取得を目的として行われることがありえますが、かかる優先交渉権を取得した場合であっても、本投資法人が当該新規物件を取得できるとの保証はありません。
⑥ 税制等に係るリスク
本投資法人には、以下のような税制に関するリスクが存在します。本投資法人は、本投資法人の会計処理に関する助言を専門家に継続的に依頼して、税制についての情報や現行の税制についての税務当局の見解を収集して、できる限り事前に対応をする体制を取っています。
(イ)導管性要件に係るリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の異動、分配金支払原資の制限・不足、会計処理と税務処理の取扱いの差異、税務当局と本投資法人との見解の相違、法律の改正、その他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が、導管性要件を満たすことができない場合、配当等の額を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響をもたらし、本投資口の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。なお、導管性要件に関しては、後記「4 手数料等及び税金 (5)課税上の取扱い ② 投資法人の税務 (イ)利益配当等の損金算入」をご参照ください。
(ロ)税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
2009年4月1日以後終了した営業期間に係る導管性要件のうち、租税特別措置法施行令第39条の32の3に規定する配当可能利益の額又は配当可能額の90%超の分配を行うべきとする要件においては、投資法人の会計上の税引前当期純利益を基礎として判定を行うこととされています。従って、会計処理と税務上の取扱いの差異により本投資法人の税負担が増加し、実際に配当できる利益(会計上の税引後当期純利益)が減少した場合、この要件を満たすことが困難となる営業期間が生じる可能性があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する営業期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異である一時差異等調整引当額の増加額に相当する金銭の分配については配当等の額として損金算入が可能になるという手当てがなされています。
(ハ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税負担の発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違により過年度の課税所得計算について追加の税務否認項目等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することがあります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ニ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約において、特定不動産(不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上とすること(規約第26条第4項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(ホ)一般的な税制の変更に係るリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の運用資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、出資の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は、税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
(ヘ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期営業期間より「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。「減損会計」の適用に伴い、地価の動向及び運用不動産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の業績は悪影響を受ける可能性があります。
⑦ その他
(イ)資産の取得又は譲渡に関するリスク
本投資法人は、現在保有する資産のみを投資対象とする投資法人ではありません。本投資法人は、上場以来、資産ポートフォリオの拡大と質の向上を目指し、かつ中長期的に安定した運用を行うことを目指して、本書の日付現在も、常に新たな資産取得に向けた市場調査と物件売却情報の入手に努めており、必要に応じ、潜在的な売主又は買主や権利関係者との間で物件取得又は譲渡に向けた資料収集・調査・検討・交渉を行っています。
また、実際に物件取得又は譲渡を行う旨合意し適時開示を行った場合にも、内装工事や修繕、物件の特性、売主その他の関係権利者との協議の結果として、実際の引渡し・資産運用の開始・資金決済までに一定期間を要することがあります。物件取得又は譲渡の合意から引渡しまでの間に、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を購入又は売却することができないおそれも否定できません。それらの結果、予定した収益を上げることが困難となるおそれがあります。
(ロ)重要事象等に関するリスク
本投資法人は、本書の日付現在、本投資法人が将来にわたって営業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他投資法人の経営に重要な影響を及ぼす事象は存在しないと判断しています。但し、今後そのような事象が発生しないとの保証はありません。
(2)投資リスクに対する管理体制
上記の様々なリスクに鑑み、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の資産運用に関し、以下の検証システムを通じ、実効性のあるリスク管理体制を整備し、最大限の効果の発揮に努めています。本投資法人及び本資産運用会社は可能な限り、本投資口への投資に関するリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、これらの措置が結果的に十分な成果を収めるとの保証はありません。
① 本投資法人の体制
本投資法人は、3ヶ月に1回以上役員会を開催し、法令で定められた承認事項の決議に加え、本投資法人の運営及び本資産運用会社の業務遂行状況の詳細な報告を受けます。これらの手続を通じ、本投資法人では、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が的確に情報を入手し、執行役員の業務執行状況を監視できる体制を維持しています。また、これらの手続を通じ、本投資法人は、本資産運用会社の利害関係人等との取引について、利益相反取引のおそれがあるか否かについての確認を行い、利益相反等に係るリスクの管理に努めています。
本投資法人は、資産運用委託契約上、本資産運用会社から各種報告を受ける権利及び本資産運用会社の帳簿その他の資料の調査を行う権利を有しています。かかる権利の行使により、本投資法人は、本資産運用会社の業務執行状況を監視できる体制を維持しています。
また、本投資法人は、内部者取引管理規則を定めて、役員によるインサイダー取引ないしそれに類似する行為の未然防止に努めています。
② 資産運用会社の体制
本資産運用会社は、運用及び管理に係るリスクについて、原則としてレベルの異なる、かつ複数の検証システムを通じてモニタリングし、管理しています。
(イ)本資産運用会社は、資産運用ガイドラインにおいて、オフィスビル中心のポートフォリオの構築方針、個別の運用不動産の安定収益確保のための諸方策、投資を決定する際の物件選定基準、物件調査基準及び保険付保基準、ポートフォリオ運営管理方針(プロパティ・マネジメント会社の選定方針、年間運用計画等による計画的な運用を含みます。)等を定めています。かかる資産運用ガイドラインを遵守することにより、不動産や不動産信託受益権に係るリスクの管理に努めています。
(ロ)本資産運用会社は、委員会規程を定めて本投資法人の資産運用に係る重要な事項の決定プロセスの明確化を図っている他、不動産等の調査、取得、管理運営その他の業務それぞれについて、客観的な業務手順を確立して、リスクの管理に努めています。
(ハ)本資産運用会社は、コンプライアンス規程、コンプライアンス・マニュアル及びコンプライアンス・プログラムを定めて、コンプライアンス・オフィサー及びコンプライアンス委員会による法令遵守の確認、コンプライアンス委員会による投信法及びスポンサー関係者との取引規程に定めるスポンサー関係者との取引等についての利益相反の有無の確認を行い、これによって、法令違反のリスク、利益相反のリスクの防止に努めています。
(ニ)本資産運用会社は、内部者取引管理規程を定めて、役員及び従業員によるインサイダー取引ないしそれに類似する行為の未然防止に努めています。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに対する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資主に損失が生ずるおそれがあります。