有価証券報告書(内国投資証券)-第5期(平成28年11月1日-平成29年4月30日)
(1)【投資方針】
① 本投資法人の基本理念
本投資法人は、本資産運用会社の親会社であるトーセイ並びにその子会社及び関連会社(以下、トーセイと併せ「トーセイグループ」と総称します。)との間で、長期的な視野で不動産の開発やバリューアップ(注1)を行い、不動産と金融の融合を目指すという理念を共有しています。本投資法人は、かかる理念に基づく運用を行うことにより、投資主価値を向上していくことを目指します。
すなわち、本投資法人は、日本の不動産市場に存在する『膨大な既存建築ストック』のうち、相対的に中小規模のオフィス、商業施設、住宅及びホテルをボリュームゾーンの不動産(注2)と位置付けています。本投資法人は、主に東京経済圏に所在するボリュームゾーンの不動産を投資対象として、トーセイのコア・コンピタンス(後記「② 基本方針 (イ) トーセイのコア・コンピタンス」に定義します。)である3つの『力』(後記「② 基本方針 (イ) トーセイのコア・コンピタンス」に定義します。)を活用し、利回りの水準及び安定性を重視して賃貸不動産としてのポテンシャルを見極めるとともに、必要に応じた改修・改装工事等の実施によるバリューアップの可能性までを視野に入れた投資運用を行い、投資主価値の向上を目指します。
さらに、本投資法人は、かかる運用により、既存建築ストックの活用・再生を通じた日本の不動産市場のより一層の活性化と、J-REIT市場の裾野拡大に貢献することも目指します。
(注1)「バリューアップ」とは、劣化、陳腐化した内外装の一新等のデザイン性の向上、各種設備機器の改修や機能付加、コンバージョン等の建物仕様の変更、環境負荷低減対応のほか、空室の新規賃貸(リースアップ)や賃料引き上げ等のリースアップを目的として講じる手段を総称する概念をいいます。以下同じです。
(注2)「ボリュームゾーンの不動産」とは、オフィス、商業施設及び住宅についてはそれぞれのカテゴリーの中でも相対的に中小規模の不動産の総称をいい、ホテル(和式又は洋式の構造及び設備を主とする宿泊施設をいいます。以下同じです。)については主にビジネス利用を目的としたシングルユースの中小規模ホテル(以下「ビジネスホテル」といいます。)をいいます(いずれについても敷地となる土地を含みます。)。以下同じです。
② 基本方針
本投資法人は、オフィス、商業施設及び住宅の3用途を基本的な投資対象とし、一部ホテルへの投資も可能とする総合型J-REITとしてポートフォリオ構築を行います(詳細については、後記「③ ポートフォリオ構築方針-東京経済圏を中心とした総合型J-REIT」をご参照ください。)。ポートフォリオ構築に際しては、後記「(イ) トーセイのコア・コンピタンス」に記載のとおり、トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用することを基本方針として掲げています。当該基本方針を踏まえ、後記「(ロ) トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資対象の選定」に記載のとおり、本投資法人は、①取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産、又は②築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産を主な投資対象として投資を行います。
(イ)トーセイのコア・コンピタンス
a. トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用
トーセイは、不動産流動化事業(詳細については、後記「⑤ 成長戦略 (ロ) トーセイグループについて」をご参照ください。)を通じて、一般に投資リスクが相対的に高いと考えられる築年数を経た既存建築ストックへの投資を積極的に行い、改修・改装工事等を通じてそのバリューアップを図り、再度不動産投資市場に流通させることに関して豊富な経験及び知見を有しています。本投資法人は、トーセイが不動産流動化事業を中心とした事業活動を通じて体得した後記のノウハウ(トーセイのコア・コンピタンス(以下に定義します。))を投資資産の長期的な運用に活用することで、投資主価値の向上を目指します。
かかるトーセイのノウハウは、具体的には、a)投資不動産の立地や規模、経年、設備・仕様、構造等を総合的に判断し、賃貸不動産としての競争力やポテンシャルを見極めるためのノウハウ(以下「目利き力」といいます。)、b)投資不動産の適切な運営管理によりテナントの満足度向上を図るとともに、物件の特性と合致したリーシング活動により稼働率を回復・維持するためのノウハウ(以下「リーシング力」といいます。)及びc)不動産の競争力の現況を見極め、必要な改修・改装工事等を適切なタイミングで実施することにより物件の競争力を回復・維持するためのノウハウ(以下「再生力」といいます。)の3つのノウハウ(以下「トーセイのコア・コンピタンス」又は「3つの『力』」と総称します。)からなります。
本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用することで投資主価値の向上を目指すとともに、既存建築ストックの活用・再生を通じた不動産市場の裾野拡大という社会的意義の高い役割の一端を積極的に担うことを目指しています。
すなわち、トーセイのコア・コンピタンスを活用することにより、運用効率の追求という観点からJ-REIT市場における一般的な投資対象としては見送られがちな不動産に対しても、現状の物件競争力を正当に評価したうえでの投資判断や、改修・改装工事等によるバリューアップの可能性までを視野に入れた投資判断を行うことが可能となります。これにより、投資機会の拡大を戦略的に図りつつ、より高い投資利回りの確保を追求することができると本投資法人は考えています。このように、本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用することを基本方針とし、主に東京経済圏に所在するボリュームゾーンの不動産を投資対象とすることにより豊富な検討機会を確保したうえで、「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」の双方又はいずれかに該当する不動産へ戦略的な投資を実施していきます(詳細については、後記「④「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資」をご参照ください。)。
b. 本資産運用会社によるトーセイのコア・コンピタンスの活用実績
本資産運用会社は、本投資法人のスポンサーであるトーセイの子会社であり、平成19年4月以降、私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務(注1)を行っており、運用基盤としてコンプライアンス体制の構築を推進するとともに、トーセイのコア・コンピタンスを活用し、アセットマネジメントの質を向上させ、運用実績を上げてきました。本資産運用会社は、かかる私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務を通じて培ってきたトーセイのコア・コンピタンスの活用実績を、本投資法人の資産運用にも活用していく方針です。
<本資産運用会社の私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務における新規受託高(注2)・新規受託件数(注3)の推移>(出所)本資産運用会社にて作成
(注1)「コンサルティング業務」とは、主に一般事業法人を顧客として、顧客の企業価値最大化を目指して長期的・全社的な経営戦略の視点に立ち、顧客の不動産のうち受託対象とされたものに関する助言・アドバイスを行う業務をいいます。以下同じです。
(注2)「新規受託高」とは、一営業期間における私募ファンドの運用、助言業務に係る新規受託額及びコンサルティング業務に係る新規受託額の合計額をいいます。
(注3)「新規受託件数」とは、一営業期間における私募ファンドの運用、助言業務に係る新規受託件数及びコンサルティング業務に係る新規受託件数の合計件数をいいます。
c. 厳格なガバナンス体制のもと、スポンサーサポートにより、運用手法の幅を戦略的に拡大
本投資法人は、トーセイの業務の中核となる、相対的に短期間の時間軸での物件保有を前提として、不動産を仕入れ、リーシング又は改修・改装工事等を通じて、そのバリューアップを図り、再度、不動産投資市場に流通させるという手法、並びにトーセイの豊富な経験に基づくソーシングサポート、ウェアハウジングサポート、コンストラクション・マネジメントサポート、リーシングサポート及びその他のサポートを享受することにより、中長期での不動産保有を基本とした本投資法人の投資対象や運用手法の幅を戦略的に拡大することを企図しています(かかるスポンサーサポートの詳細については、後記「⑤ 成長戦略 (ハ) トーセイによるスポンサーサポートの内容」をご参照ください。)。
また、本投資法人は、このようなスポンサーサポートと併せて、トーセイのコア・コンピタンスを適用しうる投資機会を追求していきます。このため、立地や規模、用途、地域等の点で本投資法人の投資対象をトーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドと厳格に区分することは困難であり、個別の不動産売買情報や、かかる入札等に関して、買い手としてトーセイグループ又は私募ファンドと競合する可能性もあります。
このような可能性に対処するため、本投資法人は、第三者が保有する不動産の売却情報の取扱い等に関して、本資産運用会社及び本資産運用会社を除くトーセイグループとの間でファイアーウォール(注1)を設け、それぞれが独立して情報入手を行い、当該情報の厳格な管理を行うとともに、その取得の検討に際し、利益相反や取引の競合を回避するための明確なルールを制定し、互いの継続的な成長を目指すための厳格なガバナンス体制を構築しています。また、本資産運用会社においては、本投資法人及び私募ファンドの各運用本部間にチャイニーズウォール(注2)を設けたうえで、投資機会の検討順序に関する明確なルールを制定し、REIT運用本部が取得した物件に係る取得情報等だけではなく、私募ファンド運用本部が取得した物件に係る取得情報等についても、リスク・コンプライアンス室への取得情報の集約と検討順位に従った物件情報の通知を通じて、原則として本投資法人が優先して取得検討を行えることとしています(当該ルールの詳細については、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (チ) 本投資法人と私募ファンドとの間の物件の取得に関する本資産運用会社における検討順位について」をご参照ください。)。
さらに、本投資法人及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間では、主に不動産に関する投資リスクの許容度の違いから、同じ投資対象に対しても投資目的や投資期間等が異なることが多く、不動産の取得についてはこれらの観点から各主体間で投資対象の区分が一定程度可能になるものと本投資法人は考えています(かかる投資対象の区分の詳細については、後記「⑤ 成長戦略 (ニ) 本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間の不動産投資に関する特徴の違い」をご参照ください。)。
(注1)「ファイアーウォール」とは、各社が独立してそれぞれの業務を行い情報が一方から他方へ流出することを防止するための各社の組織、人事、規則及びシステム上の仕組みをいいます。以下同じです。
(注2)「チャイニーズウォール」とは、各運用本部が独立してそれぞれの運用業務を行い情報が一方から他方へ流出することを防止するための本資産運用会社の組織、人事、規則及びシステム上の仕組みをいいます。以下同じです。
(ロ)トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資対象の選定
本投資法人は、対象不動産の有する“特性”(市場の特性等の「地域性」や建物やその利用状況等の「個別性」)を要因として相対的に高いリスクプレミアムが要求される不動産に対し、積極的に投資を行う方針です。具体的には、主たる投資対象の類型として、①取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産、又は②築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産を主な投資対象として投資を行います。
本投資法人は、所在エリアや築年数の観点から相対的に高いキャップレートが要求されると考えられる不動産のうち、中長期的に高いテナント誘引力や底堅い賃貸需要等を見込める物件に対し、トーセイのコア・コンピタンスの1つである目利き力を活用し取得を行います。また、取得に際しては、トーセイのコア・コンピタンスであるリーシング力や再生力を活用し収益性向上の可能性を検討します。
このような不動産は、現状有姿又はほぼ同等の条件での取得を前提とした場合には、投資家のリスク許容度に照らし、一般的に投資判断が容易ではないことも多く、ゆえに、売買市場参加者の裾野が相対的に限定され、過度な取得競争を回避することが可能であると本投資法人は考えています。本投資法人は、このような不動産のうち、賃貸不動産としての魅力的な特徴やポテンシャルを有しているものを厳選し、その投資リスクの内容に応じ、取得時及び運用時の両面において適切なリスクコントロールを行うことで、収益貢献度の高い資産の取得を目指しています。
本投資法人は、このような対象不動産に対するリスクコントロールの手段として、トーセイのコア・コンピタンスである3つの『力』(「目利き力」、「リーシング力」、及び「再生力」)の活用可能性を検討します。すなわち、本投資法人は、リーシング力・再生力を活用すればキャッシュ・フローの変動リスク等の投資リスクを本投資法人にとって負担可能と考えられる水準にまで緩和することができる不動産を目利き力を用いて不動産市場から見つけ出して投資する手法(以下「トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資手法」といいます。以下同じです。)を用います。具体的なリスク緩和の手法として、取得時においては、スポンサーサポートの活用を通じて、本投資法人よりもリスク許容度の高いトーセイのバランスシートを一時的に活用することや、テナントニーズを見据えた修繕工事によるバリューアップの実施、賃貸借スキームを変更すること等のオーダーメードの施策を検討します。また、取得後の運用においては、本資産運用会社の有する運用ノウハウ(私募ファンドの運用、助言業務等を通じて培ったノウハウを含みます。)を駆使し、リーシング活動によるリースアップや稼働の安定性を高め、維持することの可能性についても判断し、そのための手段を検討します。対象不動産に係るキャッシュ・フローの発生時期や水準の適切なコントロールを主眼に、上記の手段を複合的に講じることで、対象不動産に係る投資リスクを本投資法人にとって負担可能と考えられる水準にまで緩和したうえで、対象不動産のポテンシャルに見合った魅力的な投資リターンを引き出し、これを中長期にわたり享受することを本投資法人は目指しています。
このように、取得時及び運用時双方においてトーセイのコア・コンピタンスを複合的に活用することにより、ボリュームゾーンの不動産に対し多様な切り口でアプローチすることが可能となり、ひいては高い利回りが期待できる物件への投資機会を幅広く発掘することにつながるものと考えています。
<トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資手法に係るイメージ図>(注) 上図は、トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資手法についての一般的なイメージを図示したものであり、本投資法人が利回りを低下させずにリスクの小さい不動産を取得することを保証するものではありません。
a. 取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産への投資
本投資法人は、東京経済圏や主要地方都市(注)に該当するエリアのうち、主に地域性(ロケーション)の点から投資家が相対的に高い水準のリスクプレミアムを要求すると考えられるエリア又は不動産投資市場において取得競争に相対的に晒されていないと考えられるエリア等に所在する物件を投資対象とします。
さらに本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスの1つである目利き力を活用し、このような相対的に高いキャップレートが期待できると考えられるエリアに所在する不動産の中でも、中長期的に高いテナント誘引力の維持が見込める等、エリア内における物件競争力が相対的に高いと考えられる不動産を取得することを目指します。また、これらの不動産について、取得以後も保有期間を通じて安定した、取得時と同水準又はそれを上回る賃貸不動産としての稼動やキャッシュ・フローの創出を実現するため、対象物件の取得検討時にトーセイのコア・コンピタンスの1つであるリーシング力を活用し収益性向上の可能性を検討します(詳細については、後記「④「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資」をご参照ください。)。
(注) 「主要地方都市」とは、東京経済圏以外に所在する政令指定都市及び県庁所在地又はそれらに準ずる都市の総称をいいます。以下同じです。
b. 築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産への投資
本投資法人は、取得以後も底堅い賃貸需要が見込める物件への厳選投資であることを前提に、主に建物の要因(特に経過年数に基づく予測不確実な修繕費等の発生による純収益変動リスク等)から、投資家が相対的に高い水準のリスクプレミアムを要求すると考えられる不動産に対しても、その築年数に機械的にとらわれることなく、ライフサイクルコスト(注)の見通し等を踏まえた判断のもと、賃貸不動産としてポテンシャルの高いものについては積極的に投資を行います。
築年数の経過その他建物の特殊な要因により相対的にキャップレートが高い不動産であっても、底堅い賃貸需要が見込めるものについては、安定した運用が期待できます。したがって、本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスの1つである目利き力を活用し、このような不動産を取得することを目指します。
また、当該不動産取得後は、トーセイのコア・コンピタンスの1つであるリーシング力や再生力を活用し、その収益性を向上させていくことを目指しています。このため、取得に際しては、再生力の活用により、必要な改修・改装工事等を適切なタイミングで実施し、建物の機能的陳腐化等への対処を図ることや、リーシング力の活用による収益性向上の可能性を検討します。
このような手法の活用により、投資対象となる不動産の範囲を戦略的に拡大するとともに、投資利回りの厚みを確保しながらも、ポートフォリオの拡大を目指すことが可能になると本投資法人は考えています。
他方で、本資産運用会社は、特に一定年数を経過した既存建築ストックに対しては、その投資リスクへの対応の観点も踏まえたより慎重なルールを設けており、それに従って、投資判断を実施することとします(当該ルールの詳細については、後記「④「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資」をご参照ください。)。
(注) 「ライフサイクルコスト」とは、建設費、水道光熱費、点検、保守、清掃費等の運用維持管理費用、修繕更新費用、解体処分費、税金、保険費用等の総称をいいます。以下同じです。
③ ポートフォリオ構築方針-東京経済圏を中心とした総合型J-REIT
(イ)ポートフォリオ構築における基本方針
a. エリア-東京経済圏を中心としたエリア
総務省統計局「平成26年経済センサス‐基礎調査」によれば、平成26年7月1日現在、全国の事業所数のうち25.7%、従業者数のうち29.8%が東京経済圏に集積していることがわかります。このような認識を背景として、東京経済圏は、中長期にわたり安定的な賃貸需要が見込め、かつ相対的に市場規模の大きい地域であると本投資法人は考えています。
また、東京都の都市部はトーセイの事業エリアの中心であり、トーセイが投資のトラックレコードを積み上げてきた地域です。平成28年11月末日におけるトーセイグループの保有物件の状況は、物件数の約43%が東京23区内の物件となっており、また8割程度が東京経済圏のうち東京都内及び神奈川県内の物件が占めています。
<トーセイグループの保有物件の状況(平成28年11月末日現在)>(出所)トーセイの平成28年11月期決算説明資料等により本資産運用会社にて作成
そこで、相対的に市場規模が大きく投資機会に恵まれているという背景及びトーセイのコア・コンピタンスを最大限に活用するという観点から、本投資法人は、トーセイの事業エリアの中心であり、トーセイが投資のトラックレコードを積み上げてきた東京都の都市部を含む東京経済圏に所在する不動産をメインターゲットとして、かかる不動産を中心にポートフォリオを構築することを目指します。なお、本投資法人のポートフォリオ(注)に含まれる物件は、いずれも東京経済圏に所在する物件です。
(注) 「本投資法人のポートフォリオ」とは、運用資産をいいます。以下同じです。各物件の内容の詳細については、後記「5 運用状況 (2) 投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (カ) 運用資産の個別不動産の概要」をご参照ください。
一方、東京経済圏以外の主要地方都市の物件については、ポートフォリオ全体の20%以下の比率(取得価格ベース)の範囲内で投資することができるものとします。
b. 用途-オフィス、商業施設及び住宅の3用途を基本とし、一部ホテルへの投資も可能とする総合型投資
本投資法人は主としてオフィス、商業施設及び住宅の3用途を基本的な投資対象とし、一部ホテルへの投資も可能とする総合型J-REITであり、ポートフォリオ全体に占める各用途の組入比率の上限(取得価格ベース)の目処として、オフィス及び商業施設は併せて80%、住宅は50%としています。また、ホテルについては10%を上限に投資することができるものとします(注)。なお、各用途間の想定比率等は設けていません。本投資法人が、各用途の組入比率について上限を設定しつつも、それ以外の制限を特に設けないことにより、柔軟な運用が可能とされているのは、主にa)ボリュームゾーンの不動産についてはいずれの用途についても投資機会は潤沢に存在すると考えられるため、用途毎の不動産流通量やストック量の違い等を考慮したうえで用途間の想定比率等のガイドラインをあえて設定する必要性に乏しいと考えられること、b)一棟の不動産について、単一の用途のみならず、事務所や店舗、住居等の複数の用途で複合的にフロアを構成する物件も多数存在し、このような複合用途の不動産についても本投資法人は積極的に投資を行う方針を有していること、及びc)トーセイが総合不動産会社として、不動産流動化事業や不動産賃貸事業、不動産開発事業等の各事業セグメントにおいてこれら用途のいずれの不動産についても積極的に取り組んでおり、トーセイよりソーシングサポートの提供を受けることのメリットを最大限に享受することを企図していることによるものです。
また、いずれの用途の物件についても、リスク分散の観点から、ホテルを除き、原則として、特定のテナントに過度に依存することとなるような物件の取得は行わないこととし、特に、一棟全体を1テナントが賃借する物件(以下「シングルテナント物件」といい、シングルテナント物件のテナントを「シングルテナント」といいます。)については、退去リスクやテナント信用力等を加味して慎重に投資の可否を判断します。
(注) 2つ以上の異なる用途が混在する複合用途不動産の場合には、それぞれの用途における専有面積割合に応じ、その割合の最も高い用途を当該不動産における該当用途とします。
c. 規模-ボリュームゾーンの不動産への投資
本投資法人は、ボリュームゾーンの不動産への投資に注力することにより、豊富な投資検討機会を確保することを基本方針とし、1物件あたりの投資金額について原則として50億円(取得価格ベース)以下の不動産をターゲットとした投資を行います。具体的には、主として、以下のようなオフィス、商業施設、住宅及びホテルに対して投資を行う方針です(注)。1物件あたりの投資金額を前記水準とし、数多くの不動産に投資を行うことは、ポートフォリオ全体として、稼働率の急激な低下等のリスクの分散につながり、収益変動リスクを抑制することに寄与し、本投資法人のキャッシュ・フローを安定させる観点からも意義が高いと本投資法人は考えています。
(注) オフィス、商業施設、住宅及びホテルの複合的な用途に供される建物のうち、ボリュームゾーンの不動産に分類されるものを含みます。以下同じです。
(ロ)資産入替方針
本投資法人は資産入替方針について、以下のとおり定めています。
・ 組入物件については、将来における機動的な売却を妨げません。個々の組入物件の売却は、中長期的な不動産市況、将来における収益予想、資産価値の増減及びその予測、立地エリアの将来性・安定性、不動産の劣化又は陳腐化に対する資本的支出等の見込み、ポートフォリオの構成並びに資金調達環境等を考慮のうえ総合的に判断します。
・ トーセイによるコンストラクション・マネジメントサポート等を活用し、改修・改装工事等を実施することによるバリューアップの実現等を前提に、不動産市況等を適切に判断したうえで、キャピタルゲイン獲得を目的とした物件売却を実施する可能性は排除しません。
・ 本投資法人が適用する会計基準に照らし減損の兆候ありと判定された物件については、減損管理物件として売却の検討を開始します。ただし、減損管理物件であっても資産運用に関する総合的な見地により売却をしないと判断することもあります。
・ 資産売却は新規資産との入替えを原則とします。
・ 前記にかかわらず、売却益による分配金利回りの水準補完を目的とした売却は行いません。
(ハ)用途別の投資の意義
a. オフィス
都心5区に所在するオフィスビルを対象としたジョーンズ ラング ラサール株式会社の平成29年3月31日時点の調査によれば、Bグレード(注)オフィスビルは貸床面積比ではAグレード(注)オフィスビルの約1.1倍、また、棟数ベースでは約5倍に達するマーケットとなっています。さらに、売買件数についてもBグレードオフィスビルの方が多くなっています。このように、Bグレードオフィスビルは、Aグレードオフィスビルに比べ豊富かつ多様な投資機会に恵まれており、そのため、Aグレードオフィスビルに比べ高い利回りでの取得機会が見込めるものと本投資法人は考えています。
また、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が作成したデータによれば、BグレードオフィスビルはAグレードオフィスビルと比較して、賃料及び空室率のいずれにおいても相対的に変動が少ない傾向にあり、Bグレードオフィスビルに投資することにより相対的に安定した運用を目指すことが可能であると本投資法人は考えています。また、BグレードオフィスビルはAグレードオフィスビルと同様に、景気好調期においては、収益性の向上が可能な運用資産であると本投資法人は考えています。
(注)「Aグレード」とは、都心5区に所在するオフィスビルのうち、延床面積30,000㎡以上、基準階面積1,000㎡以上、建物高さ20階以上、竣工年平成2年以降の各要件を全て充足するものをいい、「Bグレード」とは、都心5区に所在するオフィスビルのうち、延床面積5,000㎡以上、基準階面積300㎡以上、建物高さ8階以上、竣工年昭和57年以降の各要件を全て充足するもの(Aグレードに該当するものを除きます。)をいいます。以下同じです。
<都心5区に所在するAグレードオフィスビル及びBグレードオフィスビルのオフィスグレード別比較>
(出所)ジョーンズ ラング ラサール株式会社作成の資料により本資産運用会社にて作成
(注1)床面積内訳割合は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が、不動産登記簿情報やJ-REIT開示資料等の一般に公表されているデータの調査に加え、物件パンフレット等の調査及びオーナーへのヒアリング等の独自調査により入手した平成29年3月31日時点の貸床面積に係る情報に基づいて算出しています。
(注2)売買件数内訳割合は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が、J-REITの不動産取引事例、東京証券取引所における適時開示情報等の一般に公表されているデータの調査及び同社の行う不動産取引仲介、不動産マーケットにおけるヒアリング等の独自調査により入手した平成22年4月1日から平成29年3月31日までの売買事例に基づいて算出しています。
BグレードオフィスビルはAグレードオフィスビルと比較して、賃料及び空室率のいずれにおいても相対的に変動が少ない傾向にあります。なお、以上の調査は、都心5区に所在するオフィスビルを対象としていますが、それ以外の地域に所在するオフィスビルについても同様に、相対的に低いグレードと考えられるオフィスビルは、相対的に高いグレードと考えられるオフィスビルと比較して、賃料及び空室率のいずれにおいても相対的に変動が少ない傾向が存在するものと本投資法人は考えています。
<都心5区に所在するAグレードオフィスビル及びBグレードオフィスビルの賃料・空室率の推移の比較>(出所)ジョーンズ ラング ラサール株式会社作成の資料により本資産運用会社にて作成
(注) 前記割合は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が、同社の行う調査エリア内の特定の不動産に対する調査により入手した不動産賃貸借事例に基づいて作成しています。
b. 商業施設
本投資法人が投資対象とする小商圏の都市型商業施設については、オフィスと比較して賃貸借期間が比較的長期となることが一般的であり、収益の安定性が見込めます。また、景気好調期においては、商業施設内のテナント売上連動型賃料の導入や好景気の影響等により、オフィスほどではないものの収益性を向上させる余地もあるものと本投資法人は考えています。
国立社会保障・人口問題研究所による平成29年公表の「日本の将来推計人口」及び平成25年公表の「日本の世帯数将来推計」によると、高齢化の進行と同時に1世帯あたり人員も減り続けており、本投資法人は、これらの社会環境の変化により、人々の生活拠点が郊外から都市近郊にシフトしていくものと考えています。これに伴い、商業施設のタイプの観点からは、飲食店舗、学校、生活必需品、日用雑貨等を扱う店舗が入居する小商圏都市型商業施設の利用が進むものと考えています。
c. 住宅
住宅賃料は景気感応度が低く、オフィス賃料と比較して賃料水準の変動が小さいことから、商業施設と同様に、景気下降局面でも相対的に安定的な収益が見込まれるものと本投資法人は考えています。また、住宅は、テナントに占める個人の割合が高く、テナントが小規模かつ多数となることから、テナントの信用リスクの分散が図られ、1テナントの収益力の変動が本投資法人の資産運用全体に及ぼす影響が小さくなると考えられます。また、賃貸需要についてもオフィスその他の用途の不動産に比べ比較的安定しているため、中長期的に安定した運用に適しているものと本投資法人は考えています。
(出所)一般財団法人日本不動産研究所作成の資料により本資産運用会社にて作成
(注1)当該年度における賃料水準の前年度における賃料水準からの変動率を記載しています。
(注2)「東京圏」とは、首都圏整備法(昭和31年法律第83号。その後の改正を含みます。)による既成市街地及び近郊整備地帯を含む都市の総称をいい、「大阪圏」とは、近畿圏整備法(昭和38年法律第129号。その後の改正を含みます。)による既成都市区域及び近郊整備区域を含む都市の総称をいい、「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法(昭和41年法律第102号。その後の改正を含みます。)による都市整備区域を含む都市の総称をいいます。また、「三大都市圏以外」とは、東京圏、大阪圏及び名古屋圏に含まれない都市の総称をいいます。
(注3)一般財団法人日本不動産研究所の本社及び全国50支社・支所に所属している不動産鑑定士等が、不動産鑑定評価の手法に基づき、調査時点において、調査地点上のモデル建物で新規に賃貸借する場合の実質賃料を査定しています。
保有期間に応じた、J-REIT保有住宅物件全体(注1)の賃料単価(注2)ボラティリティ(注3)と、J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)(注4)の賃料単価ボラティリティを比較すると、後者は、中長期保有を前提とすると、より安定性が高い傾向にあります。
(出所)本資産運用会社の依頼に基づき一般財団法人日本不動産研究所が作成した資料により本資産運用会社にて作成
(注1)「J-REIT保有住宅物件全体」とは、J-REITが調査基準日(平成28年12月31日)において保有する東京経済圏に所在する平均居室面積が概ね100㎡以上の高級賃貸マンションを除く住宅のうち、賃料単価及び賃料単価のボラティリティに係る調査においては賃料単価が公表されている値より算出可能な住宅、CAPレート(注5)の推移に係る調査においてはCAPレートが公表されている住宅の総称をいいます。ただし、対象期間中に取得・売却が行われた物件は除外されています。以下本項目において同じです。なお、賃料単価及び賃料単価のボラティリティに係る調査における該当物件数は304件、CAPレートの推移に係る調査における該当物件数は219件です。
(注2)「賃料単価」とは、決算期間に対応する賃料収入をもとに1か月あたりの賃料収入を算出し、これを期末時点の賃貸面積で除して算出した1坪あたりの賃料をいいます。以下本項目において同じです。
(注3)「ボラティリティ」とは、分析期間中の標準偏差を分析期間中の平均値で除した数値をいいます。以下本項目において同じです。
(注4)「J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)」とは、J-REIT保有住宅物件全体のうち、調査基準日(平成28年12月31日)において築21年以上の物件の総称をいいます。以下本項目において同じです。なお、賃料単価及び賃料単価のボラティリティに係る調査における該当物件数は65件、CAPレートの推移に係る調査における該当物件数は65件です。
(注5)「CAPレート」とは、期末時点の鑑定評価における直接還元法の還元利回りをいい、本書における「キャップレート」とは異なります。以下同じです。
なお、賃料単価の絶対値についてJ-REIT保有住宅物件全体の賃料単価の推移とJ-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)の賃料単価の推移を比較すると、後者は、相対的に安定して推移しています。
(出所)本資産運用会社の依頼に基づき一般財団法人日本不動産研究所が作成した資料により本資産運用会社にて作成
稼働率(注)の推移については、J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)はJ-REIT保有住宅物件全体とほぼ同様の範囲で推移しています。
(注) 「稼働率」とは、期末時点における賃貸面積を賃貸可能面積で除して算出した数値をいいます。
(出所)本資産運用会社の依頼に基づき一般財団法人日本不動産研究所が作成した資料により本資産運用会社にて作成
J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)におけるCAPレートの推移は、J-REIT保有住宅物件全体におけるCAPレートの推移よりも高い水準で推移しています。
(出所)本資産運用会社の依頼に基づき一般財団法人日本不動産研究所が作成した資料により本資産運用会社にて作成
本投資法人は、これらの資料から、築年数が経過している住宅に中長期にわたり投資することにより、賃料単価の変動の少ない安定した住宅投資及び相対的に高い利回りを期待することができると考えています。
また、テナントの需要が集中すると考えられる月額賃料10万円台までの住宅を投資対象の中心にしながらも、様々なタイプの住宅に分散して投資することによって、幅広いテナントニーズに対応するとともに、テナント属性の分散化を図るものとします。さらに、地域特性についても十分に考慮し、原則として周辺地域のテナント属性に見合った賃料水準の物件に対して投資を行っていくものとします。
d. ホテル
一般的にホテルは景気の影響等により収益性が変動しやすい資産ですが、本投資法人が投資対象とするホ テルはビジネスホテルとし、原則としてホテルオペレーターへの一括賃貸を念頭においているため、比較的 収益の安定性が見込まれるものと本投資法人は考えています。
なお、国土交通省観光庁による平成29年4月「宿泊旅行統計調査」の結果においてビジネスホテル(注)の数はホテルカテゴリー全体のうち68.8%を占めていること及び本投資法人が投資エリアとする東京経済圏を含む一都三県におけるビジネスホテルの割合は全国のビジネスホテルのうち15.0%の比率であること、ならびにビジネスホテルの宿泊者数はホテルカテゴリー全体のうち59.7%を占めていることから、ホテルカテゴリーにおけるボリュームゾーンであると位置づけています。
(注)「宿泊旅行統計調査」におけるビジネスホテルは、ホテルのうち主に出張ビジネスマンを対象とするものをいいます。
④ 「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資
本投資法人は、ボリュームゾーンの不動産のうち、主として東京経済圏に所在する不動産に対して投資を行う方針です。具体的な投資対象の選定にあたっては、以下に記載する「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」への投資であること、「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資であることの双方又はいずれかを満たすことを検討のうえ、戦略的な投資を行っていきます。
(イ)取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産
本投資法人は、このような不動産への投資にあたっては、トーセイのコア・コンピタンスの中でも特に目利き力及びリーシング力の活用が重要な役割を果たすものと考えています。
東京経済圏における典型的エリアの具体例は、以下のとおりです。具体的な物件の選定にあたっては、いずれの用途についても、立地条件、エリアに見合った建物スペックや賃料設定、本投資法人取得前の改修・改装工事等の実施状況等によりテナント誘引力を判断します。
a. オフィス
本投資法人がターゲットとするオフィスが所在する、過度の物件の取得競争に相対的に晒されることなく、相対的に高いキャップレートの期待できる典型的エリアの具体例は以下のとおりです。
・交通結節点が形成する地域の中心拠点エリア
・オフィスや店舗等の底堅い賃貸需要又は小商圏の消費需要等を背景として中小規模ビルの一定の集積が見られるエリア
本投資法人は、前記の典型的エリアに所在するオフィスの中でも、高いキャップレートが期待できるのみならず、その立地条件やエリアに見合った建物スペックや賃料設定等を背景として、前記の典型的エリア内におけるテナント誘引力が高く、そしてそれらの魅力が中長期的に維持可能であると本投資法人が判断するオフィスを運用上のターゲットとします。
また、前記の典型的エリアは東京経済圏において比較的広域に点在しているという特徴があるため、本投資法人にとっての投資機会も相応に見込まれるものと本投資法人は考えています。そして、このような特徴の有無によって、例えば、Aグレードオフィスビルのような大規模オフィスが立地する限られた高度商業エリアや、主要地方都市の中心部の繁華街やオフィス集積エリア等の厚い賃貸需要が期待できるものの不動産投資市場における取得競争が激しい一部の限られたエリアと、前記の典型的エリアとは区別されると本投資法人は考えています。
b. 商業施設
本投資法人がターゲットとする小商圏の都市型商業施設が所在する、典型的エリアの具体例は以下のとおりです。
・主要駅等に隣接するエリア
・周辺環境の繁華性が高いエリア
・物件の立地環境から高い集客性と視認性を有するエリア
前記の典型的エリアにおける小商圏の都市型商業施設の中でも、都心部の商業施設と比較した場合に高いキャップレートが期待できるのみならず、立地環境によっては都心部と同等程度のテナント誘引力を有していると考えられ、そしてそれらの魅力が中長期的に維持可能であると本投資法人が判断する小商圏の都市型商業施設を本投資法人の運用上のターゲットとします。
前記のような小商圏の都市型商業施設は、都心繁華街の商業施設とは違い周辺地域に密着しており、テナントの売上も景気に左右されにくいと考えられます。一方、都心部及び主要地方都市の繁華街に所在する商業施設は、その希少性の高さから、景気の上昇期においては賃料水準の大幅な上昇が期待できるものの、取得競争の激しいエリアであるといえるため、前記の典型的エリアとは区別されると本投資法人は考えています。
c. 住宅
本投資法人がターゲットとする住宅が所在する、典型的エリアの具体例は以下のとおりです。
・一定の人口集積が見られ、都心部やターミナル駅等への物理的距離はややあるものの、アクセス自体は比較的容易であることから底堅い居住ニーズが期待できるのみならず、相対的に高いキャップレートが期待できる郊外部又は縁辺部エリア
前記の典型的エリアにおける住宅の中でも、高いキャップレートが期待できるのみならず、その立地条件やエリアに見合った建物スペック、賃料設定に鑑みて、近隣競合物件との比較において競争力が維持できていると考えられる住宅を本投資法人の運用上のターゲットとします。これに加え、トーセイによるコンストラクション・マネジメントサポート等を活用し、当該物件を本投資法人が取得する前に改修・改装工事等の実施等がなされることを前提として前記の典型的エリア内における物件競争力の向上が可能になると本資産運用会社が判断する住宅も併せて本投資法人の運用上のターゲットとします。
なお、例えば、マンション人気ランキングで上位にランクされる駅の近隣エリアのように、中古マンション価格の変動が比較的大きく、短期的なキャピタルゲインの獲得を期待した不動産投資家との間で取得競合が生じる可能性が比較的高くなる傾向があるエリアに所在する住宅については、以下の(ロ)に該当すると判断される場合を除き、原則として投資を行わないものとします。
d. ホテル
東京経済圏に所在する原則オペレーターに一括賃貸するビジネスホテルを、本投資法人の運用上のターゲットとします。当該対象のホテルは、一般的に出張ビジネスマンを対象とするビジネス利用を目的としたものであることから、景気動向に左右されやすい観光客等を対象としたホテルとの比較において、安定した需要を背景に安定した収益の確保ができる資産であると考えています。
<本投資法人のポートフォリオにおける投資エリア>(注1)O-01~09、Rt-01~03及びRd-01~11は、それぞれ本投資法人のポートフォリオを構成する物件を示します。各物件の内容の詳細については、後記「5 運用状況 (2) 投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (カ) 運用資産の個別不動産の概要」をご参照ください。
(注2)本投資法人は、上図で示されたエリア以外においても、取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアは存在すると考えており、将来上図で示されたエリア以外に所在する物件を取得することもあります。
(ロ)築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産
本投資法人は、このような不動産への投資にあたっては、トーセイのコア・コンピタンスの中でも特に目利き力及び再生力の活用が重要な役割を果たすものと考えています。
a. 投資判断に際しての確認事項
本資産運用会社が投資判断を行うに際しては、投資を検討する物件が後記(a)、(b)又は(c)の少なくともいずれか1つに該当していることを確認するものとします。
(a)エリアや立地、アクセス等の面に加え、日常的な維持管理や修繕、設備の更新等が適切に行われており、取得以後も安定的に底堅い賃貸需要が見込める物件
(b)資産価値が概ね安定しており、売却機会があらかじめ見込まれ、運用状況に応じては、資産の入替えを目的とした機動的な売却も選択肢になりうる物件
(c)トーセイによるソーシングサポートの活用等により取得する物件であり、物件管理の不十分さや建物の物理的な減価への対応や改善等に加え、改修・改装工事等によるバリューアップがあらかじめ図られ、前記(a)又は(b)と同等の運用成果が見込まれる物件
b. 築古物件への投資方針
本資産運用会社は、既存建築ストックの中でも特に一定の築年数を経た物件(以下「築古物件」といいます。)への投資判断を行うに際しては、以下のそれぞれの内容について十分に留意し、検討するものとします。
・ 物件は、一般に築年数に応じて投資リスクが高まることから、築古物件の取得に際しては、築年数に基づく投資リスクに見合った投資利回りが得られることを確認のうえ、改修・改装工事等の実施によるバリューアップの可能性も踏まえて適正に評価を実施するものとします。
・ 本投資法人は資産の中長期保有を原則としているため、築古物件の取得を検討する場合には、特に当該物件のライフサイクルコストを適切に見極め、資本的支出計画等、物件の状況に応じた中長期の資産管理計画を立案し、当該計画の内容を物件の査定に織り込んだうえで築古物件に対する評価を行い取得するものとします。資本的支出計画には、物件の状況に応じて改修・改装工事等の実施を織り込むことがあります。
・ 特に住宅の築古物件については、適正な賃料設定、稼働率の将来予測等を実施し、高い投資利回り確保を念頭に適正な評価を実施するとともに、物件の規模感から機動的な物件の入替えが可能なものをターゲットとします。
・ ホテル、又はホテルを含む不動産の築古物件については、追加設備投資などについて、事前に見積り、ホテルの用に供する部分を一括して賃貸した場合においても、ホテル稼働率、平均客室販売単価(Average Daily Rate)(以下「ADR」といいます。)、1日当たり販売可能客室数当たり宿泊売上高合計(Revenue Per Available Room)(以下「RevPAR」といいます。)などの現況、及び、今後の見通しを精査したうえで、高い投資利回り確保を念頭に適正な評価を行うとともに、物件の規模感から機動的な物件の入替えが可能なものをターゲットとします。
⑤ 成長戦略
(イ)成長戦略
a. 外部成長戦略
本投資法人は、トーセイのソーシングサポートを通じたトーセイのパイプラインの活用により、トーセイが棚卸資産として保有する物件の一部の取得を目指すとともに、本資産運用会社が私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務を通じて構築した独自のパイプラインを通じた物件取得も目指します。
(a)スポンサーからのパイプライン
トーセイグループの事業エリアは東京都の都市部を中心としています。トーセイは、主として東京都の都市部に所在する不動産に対する投資を行い、不動産の規模、用途ともに豊富なトラックレコードを積み重ね、東京の不動産に対する目利き力を培ってきました。
トーセイの不動産流動化事業及び不動産開発事業における実績に基づき、後記「(ハ)トーセイによるスポンサーサポートの内容」に記載のソーシングサポートを通じたトーセイのパイプラインの活用により、本投資法人はトーセイが棚卸資産として取得、保有する物件の一部の取得を目指しています。
本書の日付現在、トーセイ(単体)が棚卸資産として保有する物件のうち、ツイン・アベニュー、和紅ビル、ルミエール3番館、マイルストン東久留米及びサンセール与野本町について、本投資法人がトーセイより優先的に売買交渉をする権利(以下「優先交渉権」といいます。)の付与を受けています。
<本書の日付現在、本投資法人がトーセイより取得に係る優先交渉権の付与を受けている物件>
(注)本投資法人はこれらの物件について取得に係る優先交渉権の付与を受けていますが、本書の日付現在、本投資法人がこれらの物件を取得する具体的な予定はなく、また、今後取得できる保証もありません。
(b)本資産運用会社独自のパイプライン
本資産運用会社は、私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務を通じ、トーセイのコア・コンピタンスを活用しつつも、独自のパイプラインを構築してきました。本投資法人は、トーセイからの物件取得のみならず、かかる本資産運用会社独自のパイプラインを通じた物件取得も目指します。
b. 内部成長戦略
(a)私募ファンドの運用等で培ったアセットマネジメントのノウハウ活用
本資産運用会社は、私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務で培ったアセットマネジメントのノウハウに基づきポートフォリオ全体及び個別資産の特性に適合した施設運営、維持及び管理を費用対効果に配慮して実施していきます。
(b)プロパティ・マネジメント
本投資法人は、業務品質に優れたPM会社を選定し、資産管理体制を恒常的に見直すことで、適切な監督を行い、収益の安定化や資産価値向上の実現を目指します。
(c)トーセイのノウハウ及びスポンサーサポートの活用
本資産運用会社のスポンサーであるトーセイは、不動産流動化事業及び不動産開発事業の豊富な実績を通じて、設備機能改善、デザイン性向上、リースアップ等、ハード及びソフト両面にわたるバリューアップのノウハウを有しています。本投資法人及び本資産運用会社は、スポンサーサポート等に関する覚書をトーセイとの間で締結しており、これに基づき提供されるコンストラクション・マネジメントサポート、リーシングサポート等のスポンサーサポートを通じて、トーセイからかかるノウハウの提供を受け、内部成長に寄与させることが可能となります。
なお、運営能力の観点から、委託条件が適切なものであることを前提として、トーセイのリーシングサポートを活用することを目的とし、原則としてトーセイグループに属するトーセイ・コミュニティに対してプロパティ・マネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)若しくはビル・マネジメント業務(以下「BM業務」といいます。)又はその両方の業務を委託することとします。また、PM業務の委託に関連して、トーセイ・コミュニティとの間でパススルー型ML契約を締結することもあります。
<本投資法人の運用資産における本投資法人による取得前に行われたコンストラクション・マネジメントサポートを活用したリニューアル事例>■プライムガーデン
築年数の経過に伴い、リーシングに対する競争力の低下を要因とし稼働率が低下していました。スポンサーによる本物件取得後に稼働率向上のためのバリューアップとして、エントランス廻り及びエレベーターホールのリニューアルを実施しました。リニューアル実施前には70%台となっていた稼働率を、リニューアル実施後には90%後半まで稼働率を回復させることに成功しました。
(ロ)トーセイグループについて
トーセイグループは、東京都区部を中心とした東京圏を主要マーケットとし、中小の収益物件等を対象に不動産流動化事業、不動産開発事業、不動産賃貸事業、不動産ファンド・コンサルティング事業及び不動産管理事業の5事業を営んでおり、各事業の相乗効果を追求することにより、安定性の高いポートフォリオ経営を目指しています。
各事業の概要は以下のとおりです。
■不動産流動化事業
中古のオフィスビル、マンションを取得し、設備改善、デザイン性向上、環境配慮型のリニューアル等を施し、「再生不動産」として販売する事業です。また、M&Aを通じた不動産取得なども行っています。
■不動産開発事業
開発用の土地を取得し、エリアやニーズの特性にあわせて、オフィスビル、マンション、戸建住宅、商業施設などの新築開発を行い、販売する事業です。
■不動産賃貸事業
東京圏において、グループが所有するオフィスビル、マンション、店舗、駐車場などを賃貸し、安定的な収入を確保する事業です。
■不動産ファンド・コンサルティング事業
本資産運用会社による、不動産ファンドのアセットマネジメント業務を行う事業です。また、事業法人に対する不動産のコンサルティングや仲介なども行っています。
■不動産管理事業
トーセイ・コミュニティによる、マンションやオフィスビルなどの管理、清掃、改修工事の請負など、総合的なプロパティマネジメントを行う事業です。
トーセイグループにおいては、不動産流動化事業における環境等に配慮した中古建物再生ビジネスや不動産開発事業における新築開発ビジネスにおいて、幅広い用途(オフィス、商業施設及び住宅の主に3用途)及び規模の建築物を提供しています。新築開発ビジネスにおいては、多様な開発メニューの中から、その土地の特性やマーケットのニーズに合った建築物を開発し、不動産としての価値最大化を図っています。また、ポートフォリオ経営を通じて培ったマーケティングやリサーチのノウハウにより、その時代のトレンドに合った建築物の開発を行っています。
不動産ファンド・コンサルティング事業においては、複数の世界的に著名なPEファンド等からのアセットマネジメント受託実績や、一般社団法人環境不動産普及促進機構が運営する耐震・環境不動産形成促進事業において、平成25年12月に本資産運用会社が第1号案件(官民ファンド)のファンド・マネージャーに選定された実績を有しています。
<トーセイグループの事業セグメント別売上高比率 平成29年5月期(平成28年12月1日~平成29年5月31日)>(出所)トーセイの平成29年11月期第2四半期決算短信により本資産運用会社にて作成(なお、各事業セグメントの比率は内部取引消去後の売上高に基づき計算しています。)
(ハ)トーセイによるスポンサーサポートの内容
本投資法人及び本資産運用会社は、スポンサーであるトーセイとの間のスポンサーサポート等に関する覚書(以下「スポンサーサポート等に関する覚書」といいます。)に基づき、外部成長支援策及び内部成長支援策としてトーセイより提供される各サポートを戦略的に活用し、建物の機能的減価リスクに対する対応力を高め、物件の取得機会や投資対象を拡大することで、外部成長及び内部成長を目指します。
a. ソーシングサポート
・ トーセイが保有する資産のうち、トーセイが当該資産の売却を検討する場合において、本投資法人の投資基準に適合すると合理的に判断した場合には、トーセイは本資産運用会社に対し、当該売却に関する情報を原則として第三者に優先して提供するものとします。
・ 前記の情報提供に基づき検討を進めた結果、本投資法人がトーセイより優先交渉権の付与等を受けた物件について、本資産運用会社がパイプラインの充実度にかかる説明を目的として、当該優先交渉権の付与等を受けた旨を開示することをトーセイに相談した場合、トーセイは当該相談を真摯に検討するものとします。
b. ウェアハウジングサポート
・ 本投資法人が第三者より取得を検討する物件について、トーセイによる一時的な取得を本資産運用会社 がトーセイに相談した場合には、トーセイは当該相談を真摯に検討するものとします。
c. コンストラクション・マネジメントサポート
・ 本投資法人が取得を検討する物件に関し、トーセイが本投資法人に代わり一時的に当該物件を取得し、所有者として改修・改装工事等を実施し、またリースアップを実施することについて、本資産運用会社がトーセイに相談した場合には、トーセイは当該相談を真摯に検討するものとします。
・ 検討の結果、当該相談にトーセイが応じることとなった場合、工事後の一定の時点(工事後に実施するリースアップが完了する時点の前後は問わないものとします。)を基準時点とし、当該改修・改装工事等やリースアップによる資産価値向上の内容を適切に反映した価格として両者が妥当な水準であると合理的に判断し合意した場合に限り、取引を履行することを双方は確認するものとします。
・ 検討の結果、当該相談にトーセイが応じることとなった場合、当該契約はフォワード・コミットメント等に該当しうることに留意し、本投資法人は別途定める方針に従うとともに、両者は慎重に契約内容を検討するものとします(フォワード・コミットメント等の定義、また、かかる方針の詳細については、後記「⑧ フォワード・コミットメントに関する方針」をご参照ください。)。
・ 本投資法人が保有する物件の中で、改修・改装工事等が必要である場合には、トーセイは、かかる改修・改装工事等に対して適切なアドバイスを提供するものとします。
d. リーシングサポート
・ 本投資法人が取得を検討又は保有する物件につき、稼働率の中長期的な安定を目的として、本資産運用 会社から当該サポートの要請がなされた場合には、トーセイはテナント・媒介者への物件の紹介、媒介、 管理等のサポートを提供するものとします。その際、トーセイは、本投資法人及びトーセイとの間で生 じうる利益相反に十分留意するものとします。
e. その他のサポート
・ マーケット情報の提供(トーセイから不動産市況等の情報提供)
トーセイは、本投資法人及び本資産運用会社に対し、不動産市場の動向、不動産需要の現状及び将来の動向、新規不動産供給の現状と将来の見通し並びにテナントニーズ及び賃料相場等を中心とした不動産市場にかかる情報を提供するものとします。
・ 人材支援(トーセイから本資産運用会社への人材の提供)
トーセイは、本資産運用会社からの要請や状況を考慮し、人材の提供及び確保に合理的な範囲で協力するものとします。
・ 商標使用許諾
トーセイは、トーセイのブランド力とサポート機能を積極的に活用する一環として、本投資法人に対してトーセイが別途指定する各種商標の使用を許諾するものとします。本書の日付現在、トーセイは、本投資法人に対してロゴの使用を許諾しています。
f. スポンサーサポート等に関する覚書の有効期限
・ スポンサーサポート等に関する覚書の有効期限は、締結日から1年間とし、有効期限満了日の30日前ま でに別段の意思表示がないときは、1年間同一の条件にて自動更新され、以後も同様とするものとしま す。
<スポンサーサポート並びに本投資法人及びスポンサー間の機能区分>(ニ)本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間の不動産投資に関する特徴の違い
本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドは、トーセイのコア・コンピタンスを共有し、かかるノウハウを適用しうる投資機会をそれぞれが追求するため、立地や規模、用途、地域等の点で投資対象を厳格に区分することは困難であり、個別の不動産売買情報やかかる入札等に関して、買い手として競合する可能性もあります。
具体的には、トーセイグループの事業セグメントのうち、不動産流動化事業及び不動産ファンド・コンサルティング事業の各事業の間で、個別の不動産売買情報やかかる入札等に関して、買い手として本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドが競合する可能性があります。不動産流動化事業においては、トーセイの事業戦略上投資対象とする不動産の用途、エリア及び規模が本投資法人の投資対象と一部重複します。具体的には、まず、用途に関して、本投資法人の投資対象であるオフィス、商業施設及び住宅は全てトーセイの投資対象と重複します。次に、エリアに関して、本投資法人が投資対象とするのは東京経済圏であるため、トーセイが主として投資対象とする東京都心部を中心としたエリアと重複します。そして、不動産の規模に関して、本投資法人が投資対象とする物件の規模は原則50億円以下であるため、トーセイが投資する物件の規模の大半を占めている20億円未満の物件と規模が重複します。そのため、特に第三者が保有する不動産の売却情報の取扱い等に関して、本資産運用会社と本資産運用会社を除くトーセイグループとの間でファイアーウォールを設け、それぞれが独立して情報入手を行い、当該情報の厳格な管理を行うこととしています。また、不動産ファンド・コンサルティング事業においては、本書の日付現在、本資産運用会社において受託する私募ファンドとしては、資産追加型のファンドはありませんが、本資産運用会社が受託する私募ファンドにおける運用資産の用途及びエリアを勘案すると、今後新たに私募ファンドを組成する場合、本投資法人と投資対象が重複する可能性があります。そのため、本投資法人とは別に、私募ファンドの運用の受託を行っている本資産運用会社の社内においても、本投資法人及び私募ファンドの各運用本部間にチャイニーズウォールを設けたうえで、投資機会の検討順序に関する明確なルールを制定しています。そのうえで、第三者が保有する不動産の取得の検討に際して、利益相反や取引の競合を回避するための明確なルールを制定し、REIT運用本部が取得した物件に係る取得情報等だけではなく、私募ファンド運用本部が取得した物件に係る取得情報等についても、リスク・コンプライアンス室への取得情報集約と検討順位に従った物件情報の通知を通じて、原則として本投資法人が優先して取得検討を行えることとしています(当該ルールの詳細については、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (チ) 本投資法人と私募ファンドとの間の物件の取得に関する本資産運用会社における検討順位について」をご参照ください。)。そのうえで、第三者が保有する不動産の取得の検討に際して、利益相反や取引の競合を回避するための明確なルールを制定しています(詳細については、後記「(ヘ) 本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避等に係るガバナンスストラクチャー」をご参照ください。)。
なお、前記の重複状況はあるものの、本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間では、同じ投資対象に対しても、投資リスクの許容度、投資目的及び投資期間等が異なることが多く、これらの観点から各主体間で投資対象の区分が一定程度可能となるものと本投資法人は考えています。すなわち、まず本投資法人は中長期保有が原則である一方、トーセイの不動産流動化事業においては、相対的に短期間の物件保有を前提とし、かかる保有期間中、トーセイのコア・コンピタンスのうちリーシング力及び再生力を活用し、改修・改装工事等による建物等の機能向上及びリースアップ等のキャッシュ・フロー改善のための取組みを積極的に行い、不動産としてのバリューアップを実現した物件について売却によるキャピタルゲインの獲得を事業として積極的に目指す事業モデルとなっています。これに対し、本投資法人は、既に安定稼動している又はその可能性が相対的に高いと判断する物件を中心に取得し、これを中長期にわたり保有することを原則としています。私募ファンドは、通常、保有期間等の観点からは本投資法人とトーセイの中間に位置づけられます。このように、3主体は基本的に異なる投資運用スタンスを有しているということができます。
(ホ)スポンサーサポートの活用を通じたトーセイの不動産流動化事業との連携について
前述のとおり、本投資法人は、トーセイより提供されるソーシングサポートを重要なパイプラインの一つと捉えています。また、かかるサポートを通じて提供される物件売却情報は、不動産流動化事業における棚卸資産の集積を背景とするものです。
この棚卸資産には、仕入れの段階においては、その管理の状態や稼働状況の観点から、本投資法人であれば直接取得することが困難な物件が含まれていることが想定されます。当該物件をトーセイが保有しバリューアップを図ることで、本投資法人の投資対象として検討可能な程度まで状態を改善し、ソーシングサポートの対象とすることが可能であるため、本投資法人にとってはソーシングサポートの活用が運用対象の選択肢の拡大につながります。すなわち、本投資法人はソーシングサポートの活用により、投資手法の幅を戦略的に拡大することが可能となります。
一方、トーセイにとっては、棚卸資産の回転率を高めることがビジネスモデル上の要点であることから、その仕入れから販売までの期間は相対的に短期間となる傾向があり、本投資法人がソーシングサポートによりトーセイから取得する物件についても同様のことがいえます。したがって、トーセイは棚卸資産の販売候補先を、バリューアップ完了後の稼動が安定した状態にあることを前提に探す場合ばかりでなく、対象資産を仕入れた後、相対的に短期間で、マーケットのニーズに応じた個別のバリューアッププランを講じたうえで売却活動を開始する場合もあります。前者に比較し後者は、販売候補先が限定されるものの、仕入れから販売までの期間が短く、棚卸資産の回転率を高めることへの貢献度がより大きい場合があり、状況に応じて選択されることになります。
ソーシングサポートの源泉であるトーセイの不動産流動化事業が前記のようなビジネスモデルであることから、本投資法人においては、バリューアップ後の安定稼動が既に実現している物件が基本的な取得対象である一方、安定稼動の実現が取得以後に見込まれる場合でも、ソーシングサポートの効果を最大限享受する観点から、賃貸不動産としてのポテンシャルの高さについて目利き力による選別を行ったうえで、取得を目指していく方針をとっています。
後者の場合のうち、まず、取得後のリースアップ実現のリスクが比較的低いと考えられ、かつリースアップに要する期間も相対的に短期間と判断される物件であれば、トーセイによる遵法性や安全性等の管理上必要な是正工事が完了し、物件競争力向上のための必要な改修・改装工事等があらかじめ実施されていることを前提に、安定稼動の実現以前に取得することがあります。一方、取得後のリースアップ実現のリスクが相応にあり、また要する期間も相応にかかると判断される物件であれば、慎重にその取得に係る検討を行い、ポートフォリオの運用状況を総合的に勘案し、本資産運用会社がリースアップのリスクを取るべきではないと判断する場合には当該物件の取得を見送ることが考えられます。ただし、この場合であっても、賃料固定型ML契約(詳細については、後記「⑨ ポートフォリオ運営・管理方針 (ニ) ML契約に関する方針」をご参照ください。)を活用し、固定化される賃貸事業のキャッシュ・フローの水準が投資利回りの観点から魅力的である物件については、その取得が選択肢となることがあります。特に賃料固定型ML契約の賃借人がトーセイである場合、マスターリース期間中、トーセイがリーシングを行うこととなるため、実質的にリーシングサポートの提供をトーセイから受けることと同等の効果を持つこととなります。
(ヘ)本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避等に係るガバナンスストラクチャー
a. 本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避ルール
前記「(ニ) 本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間の不動産投資に関する特徴の違い」に記載のとおり、保有期間の考え方、保有リスクへの許容度及びスタンスが異なるものの、既存建築ストックへの投資に関するリスク・リターンの理解等の理念を共有し、かつ、本投資法人自身もトーセイのコア・コンピタンスを最大限に活用することを目的としているため、本投資法人及びトーセイグループ間で投資対象の厳格な区分は困難であると本投資法人は考えています。そのため、トーセイとのスポンサーサポート等に関する覚書において、第三者物件の売却情報の取扱いに係る本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避のためのルールを後記のとおり制定しています。
・ 本投資法人及びトーセイは、それぞれ独自に第三者からの物件取得を行うことができます。本資産運用会社及びトーセイは、第三者が保有する物件の売却情報を入手した場合は、それぞれの裁量で取扱いについて決定することが可能であり、他方に優先的に当該情報を提供する義務は負わないものとします。ただし、それぞれが独自の判断により、当該売却情報に係る物件取得の機会を放棄した場合で、かつ、当該物件が他方の投資基準に適合すると合理的に判断した場合には、他方に対して、原則として第三者に優先して当該売却情報を提供するものとします。
・ 本資産運用会社が、本投資法人の資金調達のタイミングの問題から、あるいは日常的な維持管理や修繕、設備の更新等が不十分であること等により、直ちに当該物件の取得をすることは困難と判断し、トーセイによる一時的な取得をトーセイに相談した場合には、トーセイは真摯に当該相談を検討するものとします(ウェアハウジングサポート)。ただし、当該相談時点で、既にトーセイ自身が当該物件の売却情報に独自に接していた場合を除きます。
・ トーセイが前記の相談に基づきウェアハウジングサポートを提供する判断をした場合、当該物件は本投資法人がトーセイに対し取得の優先権を持つことを双方は確認するものとします。ただし、本資産運用会社の求めに応じてウェアハウジングサポートを提供したにもかかわらず、本投資法人が最終的にその取得を見送った場合には、トーセイが当該物件を取得することは可能とします。一方、トーセイがウェアハウジングサポートの提供を断った場合は、当該物件の取得を本投資法人が最終的に見送った場合であっても、トーセイは当該物件の取得はできないことを双方は確認するものとします。
・ また、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (チ) 本投資法人と私募ファンドとの間の物件の取得に関する本資産運用会社における検討順位について」に記載のとおり、本資産運用会社が、本投資法人及び私募ファンドの双方の投資クライテリアに該当する可能性があると見込まれる物件に係る取得情報等を入手した場合、原則として私募ファンドの物件取得の検討順位は、本投資法人に劣後するものとします。
<第三者物件の売却情報の取扱いに係る本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避ルール>b. 利害関係人取引における本資産運用会社の意思決定手続
本資産運用会社は、REIT運用本部投資運用委員会とリスク・コンプライアンス委員会の双方において外部専門家を委員として選任しています。
利害関係人取引に係る事案については、REIT運用本部投資運用委員会及びリスク・コンプライアンス委員会において外部専門家を含む出席した委員の全員の賛成が必要とされています。
加えて、当該取引を実行するためには、本資産運用会社の意思決定手続がなされた後、役員会の事前承認が必要とされており、役員会による監視機能を確保した意思決定フローとしています。
なお、トーセイが取得した当時の取得経緯や売主固有の状況、トーセイの行った不動産のバリューアップによる資産価値の向上等により、本投資法人がトーセイから取得する物件の取得価格がトーセイの取得価格と一致せず、上回ることもありえます。そのような場合であっても、本投資法人はトーセイからの物件取得に際しては、前記のとおり、利害関係人取引として、慎重な手続に従い意思決定が行われるようにしていること、また、取得価格についても鑑定評価額を上限とすることにより、投資主の利益が損なわれないようにしています(かかる仕組みについては、「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2)利害関係人取引規程」も併せてご参照ください。)。
<利害関係人取引における本資産運用会社の意思決定フロー>c. トーセイグループによるコミットメント(セイムボート出資)
本投資法人の投資主利益及びトーセイグループの利益の共通化を図り、スポンサーサポートの実効性を高めるため、本投資法人及び本資産運用会社はトーセイとの間で、スポンサーサポート等に関する覚書を締結しており、トーセイは、本投資口に関して以下のことを本資産運用会社に対して表明しています。
i. 本投資口のJ-REIT市場への上場時点において、発行済投資口の総口数の約10%(注)をトーセイグループが保有すること
(注)本書の日付現在におけるトーセイグループの保有比率は6.5%となっています。
ii. 本投資法人が新たに投資口を発行する場合には、本投資法人の要請に応じ、当該投資口の一部を自ら又はトーセイグループにおいて取得することを真摯に検討すること
iii. 本投資口を保有する場合には、保有した投資口について、特段の事情がない限り、継続して保有するように努めること
d. トーセイグループとの競合回避を担保する報酬制度
・ 本資産運用会社の運用報酬体系
本資産運用会社は、取得対象資産の取得金額に連動する運用報酬(運用報酬Ⅰ)のほかに、本投資法人の当期純利益(注)に連動する運用報酬(運用報酬Ⅱ)を導入しています。
・ 本資産運用会社の役職員(REIT運用本部)の人事、運用報酬体系等
本資産運用会社は、役職員の報酬体系に、1口当たり分配金に一部連動させるインセンティブ賞与を導入しています。
(注)「当期純利益」とは、本投資法人の各営業期間における利益(運用報酬Ⅱ並びにそれに伴う消費税及び地方消費税の納付差額計上前の税引前当期純利益をいいます。なお、前営業期間より繰り越された前期繰越損失の額があるときは、その金額を補填した後の金額とします。)をいいます。
⑥ 投資基準
(イ)物件選別基準
投資対象物件を取得するに際しては、原則として以下の基準を考慮します。なお、本投資法人は、以下の基準を考慮するものの、物件の競争力、収益性等を勘案したうえで、総合的に判断して、以下の基準の一部を満たさない物件を取得することがあります。なお、ホテル又はホテルを含む不動産については規模、設備・仕様、稼働率、ADR及びRevPAR、テナントについて以下の基準を含む個別の判断により選別を行うものとします。
(ロ)投資金額
投資対象物件の検討にあたり、後記aないしdに留意し、後記の用途毎の投資金額を基準に分散投資します。
a. ポートフォリオ全体に及ぼす影響
b. 物件の属する地域の不動産市場の状況
c. 運用管理面からみた投資採算性
d. テナントの質、個別賃貸借契約の内容
前記最高投資金額及び最低投資金額の基準にかかわらず、中長期的な安定収益の確保の観点から望ましいと判断し、かつポートフォリオ全体に与える影響(当該不動産の組入れによる各用途毎の投資比率構成及び投資法人全体のキャッシュ・フローに与える影響等)を検討したうえで、投資するものとします。
⑦ デューディリジェンス基準
運用資産を取得するに際しては、下表にあげる調査項目に基づき、経済的調査、物理的調査及び法律的調査を十分実施し、キャッシュ・フローの安定性・成長性等を阻害する要因等の存否等の把握を中心とした、当該運用資産の投資対象としての妥当性を検討します。
なお、本投資法人は、以下のデューディリジェンスのプロセスに加え、第三者専門機関に対し構造計算書に関する追加的な調査を依頼し、全ての取得予定資産について、建築図面、構造図面、構造計算書等をレビューし、建築基準法に適合しているかについての検証を行います。
(注) 「不動産鑑定」とは、投信法に基づく不動産鑑定評価上の留意事項及び不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号。その後の改正を含みます。)並びに不動産鑑定評価基準に基づき、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいいます。
⑧ フォワード・コミットメントに関する方針
本投資法人は、フォワード・コミットメント等(先日付での売買契約であって、契約締結から1か月以上経過した後に決済(物件引渡し)を行うこととしている契約その他これに類する契約をいいます。以下同じです。)の締結に際しては、過大なフォワード・コミットメント等が本投資法人の財務に与える影響の大きさを勘案し、フォワード・コミットメント等の実行に際しては、あらかじめ慎重に検討し対応します。
フォワード・コミットメント等を締結する際には、違約金の上限、物件の取得額の上限、契約締結から物件引渡しまでの期間の上限及び決済資金の調達方法等についてのルールを定めたフォワード・コミットメント等に係る規則を遵守するものとします。また、フォワード・コミットメント等を締結した場合には、速やかに、その事実、設定理由、解除条件及び当該フォワード・コミットメント等が履行されない場合に本投資法人の財務に及ぼす影響等の概要を開示するものとします。
⑨ ポートフォリオ運営・管理方針
本資産運用会社は、これまでの私募ファンド運用業務、助言業務及びコンサルティング業務を通じて培ってきたノウハウ及びネットワークを活用して、ポートフォリオ及び個別物件の特性に応じたPM会社及びBM会社の選定並びにリーシングを実施することにより、持続的な内部成長を図ります。また、テナントニーズを適切に把握し、適切な修繕・補修を行うことで、稼働率の維持・向上を図ります。
本資産運用会社は、PM会社の選定にあたっては、不動産運営・管理の経験や能力、取得予定の資産における実績、関係業者とのネットワーク、本投資法人の視点に立った運営管理遂行の可否等を総合的に勘案したうえで決定します。
(イ)基本方針
本投資法人は、中長期にわたる安定した収益確保の目的のもと、賃貸収入や稼働率の維持・向上、適切な管理・修繕の実施、管理コストの適正化、業務の効率化に努めます。
(ロ)PM会社及びBM会社の選定方針
PM会社及びBM会社の選定にあたっては、不動産運営・管理の経験や能力、対象となる運用資産における実績、運用計画に沿った業務遂行の実現性、コスト水準、運用の継続性等を総合的に勘案し、本投資法人の総合的な収益向上に寄与する会社を選定します。
本投資法人は前記方針の実現のため、また、運営能力の観点から、委託条件が適切なものであることを前提として、原則としてトーセイグループに属するトーセイ・コミュニティに対してPM業務若しくはBM業務又はその両方の業務を委託することとします。また、PM業務の委託に関連して、トーセイ・コミュニティとの間でパススルー型ML契約を締結することもあります。なお、トーセイ・コミュニティに業務委託を行う場合には、利益相反取引防止の観点から、利害関係人取引規程に基づく所定の手続に従って行うものとします。さらに、PM会社及びBM会社への業務委託にあたっては、業務水準や報酬額等についての評価を定期的に行い、適正な業務遂行及び報酬レベルが維持できない場合には、契約の解除を行うこと又は契約の更新を行わないことを検討するものとします。また、PM会社及びBM会社との契約に、かかる検討の障害となるような条項を設けてはならないこととします。
(ハ)リーシング方針
a. マーケット動向を調査・把握し、個別物件における適切な賃貸条件等の検討を行うとともに、PM会社及びスポンサーサポートを最大限活用し、優良なテナントを選定できるように努めます。なお、当該選定にあたっては、本資産運用会社の社内規定に従い、テナントが後記のテナント選定基準を満たしていることを確認のうえ、賃料水準、賃貸借契約の内容、契約期間、更新の可否等を総合的に判断して決定するものとします。空室に対するリーシング活動にあたっては、当該個別物件の特性と周辺環境や競合物件を精査したうえでスポンサーサポートを十分に活用し、最適なリーシング活動をPM会社と共同して行います。
b. テナント選定基準
新規に入居が見込まれるテナントについては、以下の内容に対する検討・分析を行い、その内容を総合的に勘案し審査したうえで決定するものとします。なお、これらの項目について基準を満たしていると本資産運用会社が判断した場合であっても、反社会的勢力との関係があることを確認した場合には、契約の締結を行いません。また、これらの審査の過程では、必要に応じて外部の調査機関のデータベース等も活用します。
(事業法人の場合)
・業種
・財務状況及び企業規模
・資本関係
・使用目的及び契約条件
・その他事項
(個人の場合)
・所得水準
・職業
・勤務先及び勤務年数
・連帯保証人の有無
・その他事項
(ニ)ML契約に関する方針
物件取得に際してトーセイによるコンストラクション・マネジメントサポートによる改修・改装工事等が行われる場合等のように、本投資法人の取得を行う時期における稼働率が80%を下回る見込みであると本資産運用会社が判断した場合、又は中長期的な観点からキャッシュ・フローの安定化が必要であると本資産運用会社が判断した場合、賃借人をトーセイ又は第三者とする賃料固定型ML契約の導入の検討を行い、その要否について決定するものとします。ただし、稼働率が80%を下回る場合においても、短期間で稼働が安定すると本資産運用会社が判断した場合においては、賃料固定型ML契約を導入することなく物件の取得を行うことができるものとします。
また、PM業務の委託と関連して、PM会社との間でパススルー型ML契約を締結することがあります。
賃料固定型ML契約及びパススルー型ML契約のいずれの契約形態についても、ML会社の選定にあたっては、前記「(ハ) リーシング方針」に記載のテナント選定基準(事業法人の場合)と同様の内容を審査しますが、前記に加え以下の事項も重要審査項目とします。
・ML会社の実績
・ML会社の当該物件周辺に対するマーケットに対する考え方
・当該物件の成約水準及びリーシング方針
・サブリース期間及び契約形態
・ML会社におけるテナント審査基準
(ホ)修繕計画及び資本的支出に関する方針
中長期的な運用資産の収益の維持及び向上を目的として、運用資産の状況及び特性、テナントニーズ等を考慮した個別物件毎の修繕計画をPM会社と協議のうえ策定し、必要な修繕・資本的支出を行うものとします。修繕及び設備投資は、原則として個別物件の減価償却費の範囲内で行うものとしますが、ポートフォリオ全体の減価償却費も勘案して判断するものとします。ただし、テナントの満足度向上に向けた政策上の観点から必要な修繕及び設備投資については早期に実施するものとします。修繕積立金は、中長期的なポートフォリオ運営を踏まえ、減価償却費及び修繕計画を考慮したうえで、必要な額を積み立てます。なお、本投資法人による保有期間が中長期に及んだ場合、当初策定した修繕計画の見直し等の過程において、設備・機能等の陳腐化による建物の競争力の低下を防ぐ観点から、例えば、テナントの立ち退き交渉を行ったうえで、大規模な改修・改装工事等を行う必要性が高いと判断する場合があります。そのような場合には、改修・改装工事等の期間に一定の時間を要すこととなり、かつ、同施工期間中に生じた空室部分の稼働率回復期間を通じて、稼働率が安定していた期間に比べてキャッシュ・フローが著しく低下し、当該期間中の収益計画への影響が少なくないことを考慮し、かかる大規模な改修・改装工事等を修繕計画に織り込むことなく、物件の入替えを含め、他の施策の検討を行うものとします。
(ヘ)付保方針
付保方針については、運用ガイドラインにおいて以下のとおり定めています。
a. 運用資産には、火災等の災害や事故等による建物の損害又は対人対物を保険事由とする第三者からの損害賠償請求による損害等に対応するため、各不動産の特性に応じて適切と判断される内容の火災保険や包括賠償責任保険等の損害保険を付保するものとします。
b. 地震保険の付保に関しては、ポートフォリオPML値を基準に、災害による影響と損害保険料とを比較考慮のうえ、付保の判断を行います。ただし、1物件のPML値が20%以上の物件がある場合には、原則としてその物件について個別に地震保険を付保するものとします。
⑩ 財務運営の基本方針
(イ)基本方針
中長期的に安定的かつ健全な財務基盤を構築することを基本方針とし、以下の各個別方針のもと、分散され、バランスのとれた資金調達等を行います。
(ロ)エクイティ・ファイナンス
新投資口の発行は、発行に伴い取得する物件の収益性、取得時期、LTV(後記(ハ)に定義します。)水準、有利子負債の返済時期等を総合的に考慮し、新投資口の発行による持分割合の低下に配慮したうえで適時に実施するものとします。
(ハ)デット・ファイナンス-借入れ及び投資法人債の発行
a. 本投資法人は、安定した収益の確保及び運用資産を着実に成長させることを目的として、資産の取得、修繕、分配金の支払及び本投資法人の運営に要する資金又は債務の返済(敷金及び保証金の返還並びに借入金の返済及び投資法人債の償還を含みます。)等を使途として、借入れ又は投資法人債の発行を行うことができます。ただし、借入れ及び投資法人債発行の限度額はそれぞれ1兆円とし、その合計額が1兆円を超えないものとします(規約第22条)。
b. 前記aに基づき借入れを行う場合には、金融商品取引法第2条第3項第1号に規定する適格機関投資家(租税特別措置法(昭和32年法律第26号。その後の改正を含みます。)(以下「租税特別措置法」といいます。)第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定する機関投資家で、かつ、地方税法施行令附則(昭和25年政令第245号。その後の改正を含みます。)第7条第7項第3号に規定する適格機関投資家のうち総務省令で定めるものに限ります。)からの借入れに限るものとします。
c. 本資産運用会社は、前記aに基づき借入れ又は投資法人債の発行を行う場合には、資本市場及び金利の動向、本投資法人の資本構成又は既存投資主への影響等を総合的に考慮し、将来にわたる経済・社会情勢の変化を予測のうえ、借入期間又は償還期限及び固定・変動の金利形態といった観点から効率的な資金調達手段を選定します。
d. 本投資法人は、運用資産の新規購入、テナント預り金の返還又は運転資金等への機動的な対応を目的として、特定融資枠設定契約、コミットメントライン契約等の事前の融資枠設定又は随時の借入れの予約契約を締結することがあります。
e. 前記aに基づく借入れ又は投資法人債の発行に際して、本投資法人は運用資産を担保として提供することができます(規約第23条)。
f. 本投資法人の資産総額(注)のうち、有利子負債の占める割合(以下「LTV」といいます。)の上限については、資金余力の確保に配慮しつつ、原則として60%を上限としますが、資産の取得及び評価額の変動等に伴い、一時的に前記数値を超えることがあります。
(注)「資産総額」とは、当該時点における本投資法人の保有する資産の総額をいい、直前の計算期間の期末総資産額に、その後の計算期間中に生じた資産の取得及び譲渡金額を加減したものをいいます。
(ニ)デリバティブ取引
借入れ及びその他の本投資法人に係る負債から生じる金利変動リスクのヘッジを主たる目的として、経済状況及び金利の動向を考慮し、デリバティブ取引に係る権利への投資を行うことがあります。
(ホ)キャッシュ・マネジメント
テナントから預かった敷金・保証金を資金として活用することがあります。また、諸々の資金ニーズ(修繕及び資本的支出、分配金の支払、敷金等の返還又は不動産関連資産の新規購入等)に対応するため、融資枠等の設定状況も勘案したうえで、妥当と考えられる金額を現預金として保有するものとします。
(ヘ)減価償却の活用
本投資法人は、減価償却による内部留保については、運用資産の設備更新、改修・改装等の資本的支出を通じた物件競争力の強化手段としての活用や、新規物件取得原資とする等の成長戦略手段としての活用に加えて、借入金の返済資金の原資とすることを検討します。
⑪ 情報開示方針
本投資法人は、多様な地域及び用途に投資を行う投資方針を採用しています。かかる投資方針のもと行われる本投資法人の投資活動に対する投資家の理解の促進のため、以下のとおり適切かつ迅速な開示を行うことを目標としています。
(イ)本投資法人は、金融商品取引法、投信法、東京証券取引所、投信協会等がそれぞれ要請する内容及び様式に沿って開示を行います。
(ロ)投資家に対して正確で偏りのない情報をできる限り迅速に伝達する環境を整えることに努めます。
(ハ)投資家に対してできる限りの情報開示に努めるとともに、投資家にわかりやすい情報の提供に努めます。
① 本投資法人の基本理念
本投資法人は、本資産運用会社の親会社であるトーセイ並びにその子会社及び関連会社(以下、トーセイと併せ「トーセイグループ」と総称します。)との間で、長期的な視野で不動産の開発やバリューアップ(注1)を行い、不動産と金融の融合を目指すという理念を共有しています。本投資法人は、かかる理念に基づく運用を行うことにより、投資主価値を向上していくことを目指します。
すなわち、本投資法人は、日本の不動産市場に存在する『膨大な既存建築ストック』のうち、相対的に中小規模のオフィス、商業施設、住宅及びホテルをボリュームゾーンの不動産(注2)と位置付けています。本投資法人は、主に東京経済圏に所在するボリュームゾーンの不動産を投資対象として、トーセイのコア・コンピタンス(後記「② 基本方針 (イ) トーセイのコア・コンピタンス」に定義します。)である3つの『力』(後記「② 基本方針 (イ) トーセイのコア・コンピタンス」に定義します。)を活用し、利回りの水準及び安定性を重視して賃貸不動産としてのポテンシャルを見極めるとともに、必要に応じた改修・改装工事等の実施によるバリューアップの可能性までを視野に入れた投資運用を行い、投資主価値の向上を目指します。
さらに、本投資法人は、かかる運用により、既存建築ストックの活用・再生を通じた日本の不動産市場のより一層の活性化と、J-REIT市場の裾野拡大に貢献することも目指します。
(注1)「バリューアップ」とは、劣化、陳腐化した内外装の一新等のデザイン性の向上、各種設備機器の改修や機能付加、コンバージョン等の建物仕様の変更、環境負荷低減対応のほか、空室の新規賃貸(リースアップ)や賃料引き上げ等のリースアップを目的として講じる手段を総称する概念をいいます。以下同じです。
(注2)「ボリュームゾーンの不動産」とは、オフィス、商業施設及び住宅についてはそれぞれのカテゴリーの中でも相対的に中小規模の不動産の総称をいい、ホテル(和式又は洋式の構造及び設備を主とする宿泊施設をいいます。以下同じです。)については主にビジネス利用を目的としたシングルユースの中小規模ホテル(以下「ビジネスホテル」といいます。)をいいます(いずれについても敷地となる土地を含みます。)。以下同じです。
② 基本方針
本投資法人は、オフィス、商業施設及び住宅の3用途を基本的な投資対象とし、一部ホテルへの投資も可能とする総合型J-REITとしてポートフォリオ構築を行います(詳細については、後記「③ ポートフォリオ構築方針-東京経済圏を中心とした総合型J-REIT」をご参照ください。)。ポートフォリオ構築に際しては、後記「(イ) トーセイのコア・コンピタンス」に記載のとおり、トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用することを基本方針として掲げています。当該基本方針を踏まえ、後記「(ロ) トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資対象の選定」に記載のとおり、本投資法人は、①取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産、又は②築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産を主な投資対象として投資を行います。
(イ)トーセイのコア・コンピタンス
a. トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用
トーセイは、不動産流動化事業(詳細については、後記「⑤ 成長戦略 (ロ) トーセイグループについて」をご参照ください。)を通じて、一般に投資リスクが相対的に高いと考えられる築年数を経た既存建築ストックへの投資を積極的に行い、改修・改装工事等を通じてそのバリューアップを図り、再度不動産投資市場に流通させることに関して豊富な経験及び知見を有しています。本投資法人は、トーセイが不動産流動化事業を中心とした事業活動を通じて体得した後記のノウハウ(トーセイのコア・コンピタンス(以下に定義します。))を投資資産の長期的な運用に活用することで、投資主価値の向上を目指します。
かかるトーセイのノウハウは、具体的には、a)投資不動産の立地や規模、経年、設備・仕様、構造等を総合的に判断し、賃貸不動産としての競争力やポテンシャルを見極めるためのノウハウ(以下「目利き力」といいます。)、b)投資不動産の適切な運営管理によりテナントの満足度向上を図るとともに、物件の特性と合致したリーシング活動により稼働率を回復・維持するためのノウハウ(以下「リーシング力」といいます。)及びc)不動産の競争力の現況を見極め、必要な改修・改装工事等を適切なタイミングで実施することにより物件の競争力を回復・維持するためのノウハウ(以下「再生力」といいます。)の3つのノウハウ(以下「トーセイのコア・コンピタンス」又は「3つの『力』」と総称します。)からなります。
本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用することで投資主価値の向上を目指すとともに、既存建築ストックの活用・再生を通じた不動産市場の裾野拡大という社会的意義の高い役割の一端を積極的に担うことを目指しています。
すなわち、トーセイのコア・コンピタンスを活用することにより、運用効率の追求という観点からJ-REIT市場における一般的な投資対象としては見送られがちな不動産に対しても、現状の物件競争力を正当に評価したうえでの投資判断や、改修・改装工事等によるバリューアップの可能性までを視野に入れた投資判断を行うことが可能となります。これにより、投資機会の拡大を戦略的に図りつつ、より高い投資利回りの確保を追求することができると本投資法人は考えています。このように、本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスを投資資産の長期的な運用に活用することを基本方針とし、主に東京経済圏に所在するボリュームゾーンの不動産を投資対象とすることにより豊富な検討機会を確保したうえで、「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」の双方又はいずれかに該当する不動産へ戦略的な投資を実施していきます(詳細については、後記「④「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資」をご参照ください。)。
b. 本資産運用会社によるトーセイのコア・コンピタンスの活用実績
本資産運用会社は、本投資法人のスポンサーであるトーセイの子会社であり、平成19年4月以降、私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務(注1)を行っており、運用基盤としてコンプライアンス体制の構築を推進するとともに、トーセイのコア・コンピタンスを活用し、アセットマネジメントの質を向上させ、運用実績を上げてきました。本資産運用会社は、かかる私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務を通じて培ってきたトーセイのコア・コンピタンスの活用実績を、本投資法人の資産運用にも活用していく方針です。
<本資産運用会社の私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務における新規受託高(注2)・新規受託件数(注3)の推移>(出所)本資産運用会社にて作成
(注1)「コンサルティング業務」とは、主に一般事業法人を顧客として、顧客の企業価値最大化を目指して長期的・全社的な経営戦略の視点に立ち、顧客の不動産のうち受託対象とされたものに関する助言・アドバイスを行う業務をいいます。以下同じです。
(注2)「新規受託高」とは、一営業期間における私募ファンドの運用、助言業務に係る新規受託額及びコンサルティング業務に係る新規受託額の合計額をいいます。
(注3)「新規受託件数」とは、一営業期間における私募ファンドの運用、助言業務に係る新規受託件数及びコンサルティング業務に係る新規受託件数の合計件数をいいます。
c. 厳格なガバナンス体制のもと、スポンサーサポートにより、運用手法の幅を戦略的に拡大
本投資法人は、トーセイの業務の中核となる、相対的に短期間の時間軸での物件保有を前提として、不動産を仕入れ、リーシング又は改修・改装工事等を通じて、そのバリューアップを図り、再度、不動産投資市場に流通させるという手法、並びにトーセイの豊富な経験に基づくソーシングサポート、ウェアハウジングサポート、コンストラクション・マネジメントサポート、リーシングサポート及びその他のサポートを享受することにより、中長期での不動産保有を基本とした本投資法人の投資対象や運用手法の幅を戦略的に拡大することを企図しています(かかるスポンサーサポートの詳細については、後記「⑤ 成長戦略 (ハ) トーセイによるスポンサーサポートの内容」をご参照ください。)。
また、本投資法人は、このようなスポンサーサポートと併せて、トーセイのコア・コンピタンスを適用しうる投資機会を追求していきます。このため、立地や規模、用途、地域等の点で本投資法人の投資対象をトーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドと厳格に区分することは困難であり、個別の不動産売買情報や、かかる入札等に関して、買い手としてトーセイグループ又は私募ファンドと競合する可能性もあります。
このような可能性に対処するため、本投資法人は、第三者が保有する不動産の売却情報の取扱い等に関して、本資産運用会社及び本資産運用会社を除くトーセイグループとの間でファイアーウォール(注1)を設け、それぞれが独立して情報入手を行い、当該情報の厳格な管理を行うとともに、その取得の検討に際し、利益相反や取引の競合を回避するための明確なルールを制定し、互いの継続的な成長を目指すための厳格なガバナンス体制を構築しています。また、本資産運用会社においては、本投資法人及び私募ファンドの各運用本部間にチャイニーズウォール(注2)を設けたうえで、投資機会の検討順序に関する明確なルールを制定し、REIT運用本部が取得した物件に係る取得情報等だけではなく、私募ファンド運用本部が取得した物件に係る取得情報等についても、リスク・コンプライアンス室への取得情報の集約と検討順位に従った物件情報の通知を通じて、原則として本投資法人が優先して取得検討を行えることとしています(当該ルールの詳細については、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (チ) 本投資法人と私募ファンドとの間の物件の取得に関する本資産運用会社における検討順位について」をご参照ください。)。
さらに、本投資法人及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間では、主に不動産に関する投資リスクの許容度の違いから、同じ投資対象に対しても投資目的や投資期間等が異なることが多く、不動産の取得についてはこれらの観点から各主体間で投資対象の区分が一定程度可能になるものと本投資法人は考えています(かかる投資対象の区分の詳細については、後記「⑤ 成長戦略 (ニ) 本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間の不動産投資に関する特徴の違い」をご参照ください。)。
(注1)「ファイアーウォール」とは、各社が独立してそれぞれの業務を行い情報が一方から他方へ流出することを防止するための各社の組織、人事、規則及びシステム上の仕組みをいいます。以下同じです。
(注2)「チャイニーズウォール」とは、各運用本部が独立してそれぞれの運用業務を行い情報が一方から他方へ流出することを防止するための本資産運用会社の組織、人事、規則及びシステム上の仕組みをいいます。以下同じです。
(ロ)トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資対象の選定
本投資法人は、対象不動産の有する“特性”(市場の特性等の「地域性」や建物やその利用状況等の「個別性」)を要因として相対的に高いリスクプレミアムが要求される不動産に対し、積極的に投資を行う方針です。具体的には、主たる投資対象の類型として、①取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産、又は②築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産を主な投資対象として投資を行います。
本投資法人は、所在エリアや築年数の観点から相対的に高いキャップレートが要求されると考えられる不動産のうち、中長期的に高いテナント誘引力や底堅い賃貸需要等を見込める物件に対し、トーセイのコア・コンピタンスの1つである目利き力を活用し取得を行います。また、取得に際しては、トーセイのコア・コンピタンスであるリーシング力や再生力を活用し収益性向上の可能性を検討します。
このような不動産は、現状有姿又はほぼ同等の条件での取得を前提とした場合には、投資家のリスク許容度に照らし、一般的に投資判断が容易ではないことも多く、ゆえに、売買市場参加者の裾野が相対的に限定され、過度な取得競争を回避することが可能であると本投資法人は考えています。本投資法人は、このような不動産のうち、賃貸不動産としての魅力的な特徴やポテンシャルを有しているものを厳選し、その投資リスクの内容に応じ、取得時及び運用時の両面において適切なリスクコントロールを行うことで、収益貢献度の高い資産の取得を目指しています。
本投資法人は、このような対象不動産に対するリスクコントロールの手段として、トーセイのコア・コンピタンスである3つの『力』(「目利き力」、「リーシング力」、及び「再生力」)の活用可能性を検討します。すなわち、本投資法人は、リーシング力・再生力を活用すればキャッシュ・フローの変動リスク等の投資リスクを本投資法人にとって負担可能と考えられる水準にまで緩和することができる不動産を目利き力を用いて不動産市場から見つけ出して投資する手法(以下「トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資手法」といいます。以下同じです。)を用います。具体的なリスク緩和の手法として、取得時においては、スポンサーサポートの活用を通じて、本投資法人よりもリスク許容度の高いトーセイのバランスシートを一時的に活用することや、テナントニーズを見据えた修繕工事によるバリューアップの実施、賃貸借スキームを変更すること等のオーダーメードの施策を検討します。また、取得後の運用においては、本資産運用会社の有する運用ノウハウ(私募ファンドの運用、助言業務等を通じて培ったノウハウを含みます。)を駆使し、リーシング活動によるリースアップや稼働の安定性を高め、維持することの可能性についても判断し、そのための手段を検討します。対象不動産に係るキャッシュ・フローの発生時期や水準の適切なコントロールを主眼に、上記の手段を複合的に講じることで、対象不動産に係る投資リスクを本投資法人にとって負担可能と考えられる水準にまで緩和したうえで、対象不動産のポテンシャルに見合った魅力的な投資リターンを引き出し、これを中長期にわたり享受することを本投資法人は目指しています。
このように、取得時及び運用時双方においてトーセイのコア・コンピタンスを複合的に活用することにより、ボリュームゾーンの不動産に対し多様な切り口でアプローチすることが可能となり、ひいては高い利回りが期待できる物件への投資機会を幅広く発掘することにつながるものと考えています。
<トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資手法に係るイメージ図>(注) 上図は、トーセイのコア・コンピタンスの活用を前提とした投資手法についての一般的なイメージを図示したものであり、本投資法人が利回りを低下させずにリスクの小さい不動産を取得することを保証するものではありません。
a. 取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産への投資
本投資法人は、東京経済圏や主要地方都市(注)に該当するエリアのうち、主に地域性(ロケーション)の点から投資家が相対的に高い水準のリスクプレミアムを要求すると考えられるエリア又は不動産投資市場において取得競争に相対的に晒されていないと考えられるエリア等に所在する物件を投資対象とします。
さらに本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスの1つである目利き力を活用し、このような相対的に高いキャップレートが期待できると考えられるエリアに所在する不動産の中でも、中長期的に高いテナント誘引力の維持が見込める等、エリア内における物件競争力が相対的に高いと考えられる不動産を取得することを目指します。また、これらの不動産について、取得以後も保有期間を通じて安定した、取得時と同水準又はそれを上回る賃貸不動産としての稼動やキャッシュ・フローの創出を実現するため、対象物件の取得検討時にトーセイのコア・コンピタンスの1つであるリーシング力を活用し収益性向上の可能性を検討します(詳細については、後記「④「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資」をご参照ください。)。
(注) 「主要地方都市」とは、東京経済圏以外に所在する政令指定都市及び県庁所在地又はそれらに準ずる都市の総称をいいます。以下同じです。
b. 築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産への投資
本投資法人は、取得以後も底堅い賃貸需要が見込める物件への厳選投資であることを前提に、主に建物の要因(特に経過年数に基づく予測不確実な修繕費等の発生による純収益変動リスク等)から、投資家が相対的に高い水準のリスクプレミアムを要求すると考えられる不動産に対しても、その築年数に機械的にとらわれることなく、ライフサイクルコスト(注)の見通し等を踏まえた判断のもと、賃貸不動産としてポテンシャルの高いものについては積極的に投資を行います。
築年数の経過その他建物の特殊な要因により相対的にキャップレートが高い不動産であっても、底堅い賃貸需要が見込めるものについては、安定した運用が期待できます。したがって、本投資法人は、トーセイのコア・コンピタンスの1つである目利き力を活用し、このような不動産を取得することを目指します。
また、当該不動産取得後は、トーセイのコア・コンピタンスの1つであるリーシング力や再生力を活用し、その収益性を向上させていくことを目指しています。このため、取得に際しては、再生力の活用により、必要な改修・改装工事等を適切なタイミングで実施し、建物の機能的陳腐化等への対処を図ることや、リーシング力の活用による収益性向上の可能性を検討します。
このような手法の活用により、投資対象となる不動産の範囲を戦略的に拡大するとともに、投資利回りの厚みを確保しながらも、ポートフォリオの拡大を目指すことが可能になると本投資法人は考えています。
他方で、本資産運用会社は、特に一定年数を経過した既存建築ストックに対しては、その投資リスクへの対応の観点も踏まえたより慎重なルールを設けており、それに従って、投資判断を実施することとします(当該ルールの詳細については、後記「④「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資」をご参照ください。)。
(注) 「ライフサイクルコスト」とは、建設費、水道光熱費、点検、保守、清掃費等の運用維持管理費用、修繕更新費用、解体処分費、税金、保険費用等の総称をいいます。以下同じです。
③ ポートフォリオ構築方針-東京経済圏を中心とした総合型J-REIT
(イ)ポートフォリオ構築における基本方針
a. エリア-東京経済圏を中心としたエリア
総務省統計局「平成26年経済センサス‐基礎調査」によれば、平成26年7月1日現在、全国の事業所数のうち25.7%、従業者数のうち29.8%が東京経済圏に集積していることがわかります。このような認識を背景として、東京経済圏は、中長期にわたり安定的な賃貸需要が見込め、かつ相対的に市場規模の大きい地域であると本投資法人は考えています。
また、東京都の都市部はトーセイの事業エリアの中心であり、トーセイが投資のトラックレコードを積み上げてきた地域です。平成28年11月末日におけるトーセイグループの保有物件の状況は、物件数の約43%が東京23区内の物件となっており、また8割程度が東京経済圏のうち東京都内及び神奈川県内の物件が占めています。
<トーセイグループの保有物件の状況(平成28年11月末日現在)>(出所)トーセイの平成28年11月期決算説明資料等により本資産運用会社にて作成
そこで、相対的に市場規模が大きく投資機会に恵まれているという背景及びトーセイのコア・コンピタンスを最大限に活用するという観点から、本投資法人は、トーセイの事業エリアの中心であり、トーセイが投資のトラックレコードを積み上げてきた東京都の都市部を含む東京経済圏に所在する不動産をメインターゲットとして、かかる不動産を中心にポートフォリオを構築することを目指します。なお、本投資法人のポートフォリオ(注)に含まれる物件は、いずれも東京経済圏に所在する物件です。
(注) 「本投資法人のポートフォリオ」とは、運用資産をいいます。以下同じです。各物件の内容の詳細については、後記「5 運用状況 (2) 投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (カ) 運用資産の個別不動産の概要」をご参照ください。
一方、東京経済圏以外の主要地方都市の物件については、ポートフォリオ全体の20%以下の比率(取得価格ベース)の範囲内で投資することができるものとします。
b. 用途-オフィス、商業施設及び住宅の3用途を基本とし、一部ホテルへの投資も可能とする総合型投資
本投資法人は主としてオフィス、商業施設及び住宅の3用途を基本的な投資対象とし、一部ホテルへの投資も可能とする総合型J-REITであり、ポートフォリオ全体に占める各用途の組入比率の上限(取得価格ベース)の目処として、オフィス及び商業施設は併せて80%、住宅は50%としています。また、ホテルについては10%を上限に投資することができるものとします(注)。なお、各用途間の想定比率等は設けていません。本投資法人が、各用途の組入比率について上限を設定しつつも、それ以外の制限を特に設けないことにより、柔軟な運用が可能とされているのは、主にa)ボリュームゾーンの不動産についてはいずれの用途についても投資機会は潤沢に存在すると考えられるため、用途毎の不動産流通量やストック量の違い等を考慮したうえで用途間の想定比率等のガイドラインをあえて設定する必要性に乏しいと考えられること、b)一棟の不動産について、単一の用途のみならず、事務所や店舗、住居等の複数の用途で複合的にフロアを構成する物件も多数存在し、このような複合用途の不動産についても本投資法人は積極的に投資を行う方針を有していること、及びc)トーセイが総合不動産会社として、不動産流動化事業や不動産賃貸事業、不動産開発事業等の各事業セグメントにおいてこれら用途のいずれの不動産についても積極的に取り組んでおり、トーセイよりソーシングサポートの提供を受けることのメリットを最大限に享受することを企図していることによるものです。
また、いずれの用途の物件についても、リスク分散の観点から、ホテルを除き、原則として、特定のテナントに過度に依存することとなるような物件の取得は行わないこととし、特に、一棟全体を1テナントが賃借する物件(以下「シングルテナント物件」といい、シングルテナント物件のテナントを「シングルテナント」といいます。)については、退去リスクやテナント信用力等を加味して慎重に投資の可否を判断します。
(注) 2つ以上の異なる用途が混在する複合用途不動産の場合には、それぞれの用途における専有面積割合に応じ、その割合の最も高い用途を当該不動産における該当用途とします。
c. 規模-ボリュームゾーンの不動産への投資
本投資法人は、ボリュームゾーンの不動産への投資に注力することにより、豊富な投資検討機会を確保することを基本方針とし、1物件あたりの投資金額について原則として50億円(取得価格ベース)以下の不動産をターゲットとした投資を行います。具体的には、主として、以下のようなオフィス、商業施設、住宅及びホテルに対して投資を行う方針です(注)。1物件あたりの投資金額を前記水準とし、数多くの不動産に投資を行うことは、ポートフォリオ全体として、稼働率の急激な低下等のリスクの分散につながり、収益変動リスクを抑制することに寄与し、本投資法人のキャッシュ・フローを安定させる観点からも意義が高いと本投資法人は考えています。
| ・オフィス: | 中小規模オフィス |
| ・商業施設: | 消費者に日常的なサービスを提供する中小規模店舗からなる小商圏の都市型商業施設 |
| ・住 宅: | 中間所得層を対象とする中小規模の賃貸住宅 |
| ・ホ テ ル: | オペレーション会社へ一括賃貸するビジネスホテル |
(注) オフィス、商業施設、住宅及びホテルの複合的な用途に供される建物のうち、ボリュームゾーンの不動産に分類されるものを含みます。以下同じです。
(ロ)資産入替方針
本投資法人は資産入替方針について、以下のとおり定めています。
・ 組入物件については、将来における機動的な売却を妨げません。個々の組入物件の売却は、中長期的な不動産市況、将来における収益予想、資産価値の増減及びその予測、立地エリアの将来性・安定性、不動産の劣化又は陳腐化に対する資本的支出等の見込み、ポートフォリオの構成並びに資金調達環境等を考慮のうえ総合的に判断します。
・ トーセイによるコンストラクション・マネジメントサポート等を活用し、改修・改装工事等を実施することによるバリューアップの実現等を前提に、不動産市況等を適切に判断したうえで、キャピタルゲイン獲得を目的とした物件売却を実施する可能性は排除しません。
・ 本投資法人が適用する会計基準に照らし減損の兆候ありと判定された物件については、減損管理物件として売却の検討を開始します。ただし、減損管理物件であっても資産運用に関する総合的な見地により売却をしないと判断することもあります。
・ 資産売却は新規資産との入替えを原則とします。
・ 前記にかかわらず、売却益による分配金利回りの水準補完を目的とした売却は行いません。
(ハ)用途別の投資の意義
a. オフィス
都心5区に所在するオフィスビルを対象としたジョーンズ ラング ラサール株式会社の平成29年3月31日時点の調査によれば、Bグレード(注)オフィスビルは貸床面積比ではAグレード(注)オフィスビルの約1.1倍、また、棟数ベースでは約5倍に達するマーケットとなっています。さらに、売買件数についてもBグレードオフィスビルの方が多くなっています。このように、Bグレードオフィスビルは、Aグレードオフィスビルに比べ豊富かつ多様な投資機会に恵まれており、そのため、Aグレードオフィスビルに比べ高い利回りでの取得機会が見込めるものと本投資法人は考えています。
また、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が作成したデータによれば、BグレードオフィスビルはAグレードオフィスビルと比較して、賃料及び空室率のいずれにおいても相対的に変動が少ない傾向にあり、Bグレードオフィスビルに投資することにより相対的に安定した運用を目指すことが可能であると本投資法人は考えています。また、BグレードオフィスビルはAグレードオフィスビルと同様に、景気好調期においては、収益性の向上が可能な運用資産であると本投資法人は考えています。
(注)「Aグレード」とは、都心5区に所在するオフィスビルのうち、延床面積30,000㎡以上、基準階面積1,000㎡以上、建物高さ20階以上、竣工年平成2年以降の各要件を全て充足するものをいい、「Bグレード」とは、都心5区に所在するオフィスビルのうち、延床面積5,000㎡以上、基準階面積300㎡以上、建物高さ8階以上、竣工年昭和57年以降の各要件を全て充足するもの(Aグレードに該当するものを除きます。)をいいます。以下同じです。
<都心5区に所在するAグレードオフィスビル及びBグレードオフィスビルのオフィスグレード別比較>
| (床面積内訳)(注1) | (売買件数内訳)(注2) |
(出所)ジョーンズ ラング ラサール株式会社作成の資料により本資産運用会社にて作成
(注1)床面積内訳割合は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が、不動産登記簿情報やJ-REIT開示資料等の一般に公表されているデータの調査に加え、物件パンフレット等の調査及びオーナーへのヒアリング等の独自調査により入手した平成29年3月31日時点の貸床面積に係る情報に基づいて算出しています。
(注2)売買件数内訳割合は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が、J-REITの不動産取引事例、東京証券取引所における適時開示情報等の一般に公表されているデータの調査及び同社の行う不動産取引仲介、不動産マーケットにおけるヒアリング等の独自調査により入手した平成22年4月1日から平成29年3月31日までの売買事例に基づいて算出しています。
BグレードオフィスビルはAグレードオフィスビルと比較して、賃料及び空室率のいずれにおいても相対的に変動が少ない傾向にあります。なお、以上の調査は、都心5区に所在するオフィスビルを対象としていますが、それ以外の地域に所在するオフィスビルについても同様に、相対的に低いグレードと考えられるオフィスビルは、相対的に高いグレードと考えられるオフィスビルと比較して、賃料及び空室率のいずれにおいても相対的に変動が少ない傾向が存在するものと本投資法人は考えています。
<都心5区に所在するAグレードオフィスビル及びBグレードオフィスビルの賃料・空室率の推移の比較>(出所)ジョーンズ ラング ラサール株式会社作成の資料により本資産運用会社にて作成
(注) 前記割合は、ジョーンズ ラング ラサール株式会社が、同社の行う調査エリア内の特定の不動産に対する調査により入手した不動産賃貸借事例に基づいて作成しています。
b. 商業施設
本投資法人が投資対象とする小商圏の都市型商業施設については、オフィスと比較して賃貸借期間が比較的長期となることが一般的であり、収益の安定性が見込めます。また、景気好調期においては、商業施設内のテナント売上連動型賃料の導入や好景気の影響等により、オフィスほどではないものの収益性を向上させる余地もあるものと本投資法人は考えています。
国立社会保障・人口問題研究所による平成29年公表の「日本の将来推計人口」及び平成25年公表の「日本の世帯数将来推計」によると、高齢化の進行と同時に1世帯あたり人員も減り続けており、本投資法人は、これらの社会環境の変化により、人々の生活拠点が郊外から都市近郊にシフトしていくものと考えています。これに伴い、商業施設のタイプの観点からは、飲食店舗、学校、生活必需品、日用雑貨等を扱う店舗が入居する小商圏都市型商業施設の利用が進むものと考えています。
c. 住宅
住宅賃料は景気感応度が低く、オフィス賃料と比較して賃料水準の変動が小さいことから、商業施設と同様に、景気下降局面でも相対的に安定的な収益が見込まれるものと本投資法人は考えています。また、住宅は、テナントに占める個人の割合が高く、テナントが小規模かつ多数となることから、テナントの信用リスクの分散が図られ、1テナントの収益力の変動が本投資法人の資産運用全体に及ぼす影響が小さくなると考えられます。また、賃貸需要についてもオフィスその他の用途の不動産に比べ比較的安定しているため、中長期的に安定した運用に適しているものと本投資法人は考えています。
| <オフィス賃料の変動の推移> | <住宅賃料の変動の推移> |
(出所)一般財団法人日本不動産研究所作成の資料により本資産運用会社にて作成
(注1)当該年度における賃料水準の前年度における賃料水準からの変動率を記載しています。
(注2)「東京圏」とは、首都圏整備法(昭和31年法律第83号。その後の改正を含みます。)による既成市街地及び近郊整備地帯を含む都市の総称をいい、「大阪圏」とは、近畿圏整備法(昭和38年法律第129号。その後の改正を含みます。)による既成都市区域及び近郊整備区域を含む都市の総称をいい、「名古屋圏」とは、中部圏開発整備法(昭和41年法律第102号。その後の改正を含みます。)による都市整備区域を含む都市の総称をいいます。また、「三大都市圏以外」とは、東京圏、大阪圏及び名古屋圏に含まれない都市の総称をいいます。
(注3)一般財団法人日本不動産研究所の本社及び全国50支社・支所に所属している不動産鑑定士等が、不動産鑑定評価の手法に基づき、調査時点において、調査地点上のモデル建物で新規に賃貸借する場合の実質賃料を査定しています。
保有期間に応じた、J-REIT保有住宅物件全体(注1)の賃料単価(注2)ボラティリティ(注3)と、J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)(注4)の賃料単価ボラティリティを比較すると、後者は、中長期保有を前提とすると、より安定性が高い傾向にあります。
(注1)「J-REIT保有住宅物件全体」とは、J-REITが調査基準日(平成28年12月31日)において保有する東京経済圏に所在する平均居室面積が概ね100㎡以上の高級賃貸マンションを除く住宅のうち、賃料単価及び賃料単価のボラティリティに係る調査においては賃料単価が公表されている値より算出可能な住宅、CAPレート(注5)の推移に係る調査においてはCAPレートが公表されている住宅の総称をいいます。ただし、対象期間中に取得・売却が行われた物件は除外されています。以下本項目において同じです。なお、賃料単価及び賃料単価のボラティリティに係る調査における該当物件数は304件、CAPレートの推移に係る調査における該当物件数は219件です。
(注2)「賃料単価」とは、決算期間に対応する賃料収入をもとに1か月あたりの賃料収入を算出し、これを期末時点の賃貸面積で除して算出した1坪あたりの賃料をいいます。以下本項目において同じです。
(注3)「ボラティリティ」とは、分析期間中の標準偏差を分析期間中の平均値で除した数値をいいます。以下本項目において同じです。
(注4)「J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)」とは、J-REIT保有住宅物件全体のうち、調査基準日(平成28年12月31日)において築21年以上の物件の総称をいいます。以下本項目において同じです。なお、賃料単価及び賃料単価のボラティリティに係る調査における該当物件数は65件、CAPレートの推移に係る調査における該当物件数は65件です。
(注5)「CAPレート」とは、期末時点の鑑定評価における直接還元法の還元利回りをいい、本書における「キャップレート」とは異なります。以下同じです。
なお、賃料単価の絶対値についてJ-REIT保有住宅物件全体の賃料単価の推移とJ-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)の賃料単価の推移を比較すると、後者は、相対的に安定して推移しています。
稼働率(注)の推移については、J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)はJ-REIT保有住宅物件全体とほぼ同様の範囲で推移しています。
(注) 「稼働率」とは、期末時点における賃貸面積を賃貸可能面積で除して算出した数値をいいます。
J-REIT保有住宅物件(調査基準日時点築21年以上)におけるCAPレートの推移は、J-REIT保有住宅物件全体におけるCAPレートの推移よりも高い水準で推移しています。
本投資法人は、これらの資料から、築年数が経過している住宅に中長期にわたり投資することにより、賃料単価の変動の少ない安定した住宅投資及び相対的に高い利回りを期待することができると考えています。
また、テナントの需要が集中すると考えられる月額賃料10万円台までの住宅を投資対象の中心にしながらも、様々なタイプの住宅に分散して投資することによって、幅広いテナントニーズに対応するとともに、テナント属性の分散化を図るものとします。さらに、地域特性についても十分に考慮し、原則として周辺地域のテナント属性に見合った賃料水準の物件に対して投資を行っていくものとします。
d. ホテル
一般的にホテルは景気の影響等により収益性が変動しやすい資産ですが、本投資法人が投資対象とするホ テルはビジネスホテルとし、原則としてホテルオペレーターへの一括賃貸を念頭においているため、比較的 収益の安定性が見込まれるものと本投資法人は考えています。
なお、国土交通省観光庁による平成29年4月「宿泊旅行統計調査」の結果においてビジネスホテル(注)の数はホテルカテゴリー全体のうち68.8%を占めていること及び本投資法人が投資エリアとする東京経済圏を含む一都三県におけるビジネスホテルの割合は全国のビジネスホテルのうち15.0%の比率であること、ならびにビジネスホテルの宿泊者数はホテルカテゴリー全体のうち59.7%を占めていることから、ホテルカテゴリーにおけるボリュームゾーンであると位置づけています。
(注)「宿泊旅行統計調査」におけるビジネスホテルは、ホテルのうち主に出張ビジネスマンを対象とするものをいいます。
④ 「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」又は「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資
本投資法人は、ボリュームゾーンの不動産のうち、主として東京経済圏に所在する不動産に対して投資を行う方針です。具体的な投資対象の選定にあたっては、以下に記載する「取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産」への投資であること、「築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産」への投資であることの双方又はいずれかを満たすことを検討のうえ、戦略的な投資を行っていきます。
(イ)取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアに所在する競争力の高い不動産
本投資法人は、このような不動産への投資にあたっては、トーセイのコア・コンピタンスの中でも特に目利き力及びリーシング力の活用が重要な役割を果たすものと考えています。
東京経済圏における典型的エリアの具体例は、以下のとおりです。具体的な物件の選定にあたっては、いずれの用途についても、立地条件、エリアに見合った建物スペックや賃料設定、本投資法人取得前の改修・改装工事等の実施状況等によりテナント誘引力を判断します。
a. オフィス
本投資法人がターゲットとするオフィスが所在する、過度の物件の取得競争に相対的に晒されることなく、相対的に高いキャップレートの期待できる典型的エリアの具体例は以下のとおりです。
・交通結節点が形成する地域の中心拠点エリア
・オフィスや店舗等の底堅い賃貸需要又は小商圏の消費需要等を背景として中小規模ビルの一定の集積が見られるエリア
本投資法人は、前記の典型的エリアに所在するオフィスの中でも、高いキャップレートが期待できるのみならず、その立地条件やエリアに見合った建物スペックや賃料設定等を背景として、前記の典型的エリア内におけるテナント誘引力が高く、そしてそれらの魅力が中長期的に維持可能であると本投資法人が判断するオフィスを運用上のターゲットとします。
また、前記の典型的エリアは東京経済圏において比較的広域に点在しているという特徴があるため、本投資法人にとっての投資機会も相応に見込まれるものと本投資法人は考えています。そして、このような特徴の有無によって、例えば、Aグレードオフィスビルのような大規模オフィスが立地する限られた高度商業エリアや、主要地方都市の中心部の繁華街やオフィス集積エリア等の厚い賃貸需要が期待できるものの不動産投資市場における取得競争が激しい一部の限られたエリアと、前記の典型的エリアとは区別されると本投資法人は考えています。
b. 商業施設
本投資法人がターゲットとする小商圏の都市型商業施設が所在する、典型的エリアの具体例は以下のとおりです。
・主要駅等に隣接するエリア
・周辺環境の繁華性が高いエリア
・物件の立地環境から高い集客性と視認性を有するエリア
前記の典型的エリアにおける小商圏の都市型商業施設の中でも、都心部の商業施設と比較した場合に高いキャップレートが期待できるのみならず、立地環境によっては都心部と同等程度のテナント誘引力を有していると考えられ、そしてそれらの魅力が中長期的に維持可能であると本投資法人が判断する小商圏の都市型商業施設を本投資法人の運用上のターゲットとします。
前記のような小商圏の都市型商業施設は、都心繁華街の商業施設とは違い周辺地域に密着しており、テナントの売上も景気に左右されにくいと考えられます。一方、都心部及び主要地方都市の繁華街に所在する商業施設は、その希少性の高さから、景気の上昇期においては賃料水準の大幅な上昇が期待できるものの、取得競争の激しいエリアであるといえるため、前記の典型的エリアとは区別されると本投資法人は考えています。
c. 住宅
本投資法人がターゲットとする住宅が所在する、典型的エリアの具体例は以下のとおりです。
・一定の人口集積が見られ、都心部やターミナル駅等への物理的距離はややあるものの、アクセス自体は比較的容易であることから底堅い居住ニーズが期待できるのみならず、相対的に高いキャップレートが期待できる郊外部又は縁辺部エリア
前記の典型的エリアにおける住宅の中でも、高いキャップレートが期待できるのみならず、その立地条件やエリアに見合った建物スペック、賃料設定に鑑みて、近隣競合物件との比較において競争力が維持できていると考えられる住宅を本投資法人の運用上のターゲットとします。これに加え、トーセイによるコンストラクション・マネジメントサポート等を活用し、当該物件を本投資法人が取得する前に改修・改装工事等の実施等がなされることを前提として前記の典型的エリア内における物件競争力の向上が可能になると本資産運用会社が判断する住宅も併せて本投資法人の運用上のターゲットとします。
なお、例えば、マンション人気ランキングで上位にランクされる駅の近隣エリアのように、中古マンション価格の変動が比較的大きく、短期的なキャピタルゲインの獲得を期待した不動産投資家との間で取得競合が生じる可能性が比較的高くなる傾向があるエリアに所在する住宅については、以下の(ロ)に該当すると判断される場合を除き、原則として投資を行わないものとします。
d. ホテル
東京経済圏に所在する原則オペレーターに一括賃貸するビジネスホテルを、本投資法人の運用上のターゲットとします。当該対象のホテルは、一般的に出張ビジネスマンを対象とするビジネス利用を目的としたものであることから、景気動向に左右されやすい観光客等を対象としたホテルとの比較において、安定した需要を背景に安定した収益の確保ができる資産であると考えています。
<本投資法人のポートフォリオにおける投資エリア>(注1)O-01~09、Rt-01~03及びRd-01~11は、それぞれ本投資法人のポートフォリオを構成する物件を示します。各物件の内容の詳細については、後記「5 運用状況 (2) 投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (カ) 運用資産の個別不動産の概要」をご参照ください。
(注2)本投資法人は、上図で示されたエリア以外においても、取得競合が相対的に少なくかつ高利回りが期待可能なエリアは存在すると考えており、将来上図で示されたエリア以外に所在する物件を取得することもあります。
(ロ)築年数にとらわれない高ポテンシャルを有する不動産
本投資法人は、このような不動産への投資にあたっては、トーセイのコア・コンピタンスの中でも特に目利き力及び再生力の活用が重要な役割を果たすものと考えています。
a. 投資判断に際しての確認事項
本資産運用会社が投資判断を行うに際しては、投資を検討する物件が後記(a)、(b)又は(c)の少なくともいずれか1つに該当していることを確認するものとします。
(a)エリアや立地、アクセス等の面に加え、日常的な維持管理や修繕、設備の更新等が適切に行われており、取得以後も安定的に底堅い賃貸需要が見込める物件
(b)資産価値が概ね安定しており、売却機会があらかじめ見込まれ、運用状況に応じては、資産の入替えを目的とした機動的な売却も選択肢になりうる物件
(c)トーセイによるソーシングサポートの活用等により取得する物件であり、物件管理の不十分さや建物の物理的な減価への対応や改善等に加え、改修・改装工事等によるバリューアップがあらかじめ図られ、前記(a)又は(b)と同等の運用成果が見込まれる物件
b. 築古物件への投資方針
本資産運用会社は、既存建築ストックの中でも特に一定の築年数を経た物件(以下「築古物件」といいます。)への投資判断を行うに際しては、以下のそれぞれの内容について十分に留意し、検討するものとします。
・ 物件は、一般に築年数に応じて投資リスクが高まることから、築古物件の取得に際しては、築年数に基づく投資リスクに見合った投資利回りが得られることを確認のうえ、改修・改装工事等の実施によるバリューアップの可能性も踏まえて適正に評価を実施するものとします。
・ 本投資法人は資産の中長期保有を原則としているため、築古物件の取得を検討する場合には、特に当該物件のライフサイクルコストを適切に見極め、資本的支出計画等、物件の状況に応じた中長期の資産管理計画を立案し、当該計画の内容を物件の査定に織り込んだうえで築古物件に対する評価を行い取得するものとします。資本的支出計画には、物件の状況に応じて改修・改装工事等の実施を織り込むことがあります。
・ 特に住宅の築古物件については、適正な賃料設定、稼働率の将来予測等を実施し、高い投資利回り確保を念頭に適正な評価を実施するとともに、物件の規模感から機動的な物件の入替えが可能なものをターゲットとします。
・ ホテル、又はホテルを含む不動産の築古物件については、追加設備投資などについて、事前に見積り、ホテルの用に供する部分を一括して賃貸した場合においても、ホテル稼働率、平均客室販売単価(Average Daily Rate)(以下「ADR」といいます。)、1日当たり販売可能客室数当たり宿泊売上高合計(Revenue Per Available Room)(以下「RevPAR」といいます。)などの現況、及び、今後の見通しを精査したうえで、高い投資利回り確保を念頭に適正な評価を行うとともに、物件の規模感から機動的な物件の入替えが可能なものをターゲットとします。
⑤ 成長戦略
(イ)成長戦略
a. 外部成長戦略
本投資法人は、トーセイのソーシングサポートを通じたトーセイのパイプラインの活用により、トーセイが棚卸資産として保有する物件の一部の取得を目指すとともに、本資産運用会社が私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務を通じて構築した独自のパイプラインを通じた物件取得も目指します。
(a)スポンサーからのパイプライン
トーセイグループの事業エリアは東京都の都市部を中心としています。トーセイは、主として東京都の都市部に所在する不動産に対する投資を行い、不動産の規模、用途ともに豊富なトラックレコードを積み重ね、東京の不動産に対する目利き力を培ってきました。
トーセイの不動産流動化事業及び不動産開発事業における実績に基づき、後記「(ハ)トーセイによるスポンサーサポートの内容」に記載のソーシングサポートを通じたトーセイのパイプラインの活用により、本投資法人はトーセイが棚卸資産として取得、保有する物件の一部の取得を目指しています。
本書の日付現在、トーセイ(単体)が棚卸資産として保有する物件のうち、ツイン・アベニュー、和紅ビル、ルミエール3番館、マイルストン東久留米及びサンセール与野本町について、本投資法人がトーセイより優先的に売買交渉をする権利(以下「優先交渉権」といいます。)の付与を受けています。
<本書の日付現在、本投資法人がトーセイより取得に係る優先交渉権の付与を受けている物件>
| ツイン・アベニュー | 和紅ビル |
| 所在地:東京都練馬区 | 所在地:千葉県千葉市 |
| ルミエール3番館 | マイルストン東久留米 |
| 所在地:埼玉県川口市 | 所在地:東京都東久留米市 |
| サンセール与野本町 |
| 所在地:埼玉県さいたま市 |
(注)本投資法人はこれらの物件について取得に係る優先交渉権の付与を受けていますが、本書の日付現在、本投資法人がこれらの物件を取得する具体的な予定はなく、また、今後取得できる保証もありません。
(b)本資産運用会社独自のパイプライン
本資産運用会社は、私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務を通じ、トーセイのコア・コンピタンスを活用しつつも、独自のパイプラインを構築してきました。本投資法人は、トーセイからの物件取得のみならず、かかる本資産運用会社独自のパイプラインを通じた物件取得も目指します。
b. 内部成長戦略
(a)私募ファンドの運用等で培ったアセットマネジメントのノウハウ活用
本資産運用会社は、私募ファンドの運用、助言業務及びコンサルティング業務で培ったアセットマネジメントのノウハウに基づきポートフォリオ全体及び個別資産の特性に適合した施設運営、維持及び管理を費用対効果に配慮して実施していきます。
(b)プロパティ・マネジメント
本投資法人は、業務品質に優れたPM会社を選定し、資産管理体制を恒常的に見直すことで、適切な監督を行い、収益の安定化や資産価値向上の実現を目指します。
(c)トーセイのノウハウ及びスポンサーサポートの活用
本資産運用会社のスポンサーであるトーセイは、不動産流動化事業及び不動産開発事業の豊富な実績を通じて、設備機能改善、デザイン性向上、リースアップ等、ハード及びソフト両面にわたるバリューアップのノウハウを有しています。本投資法人及び本資産運用会社は、スポンサーサポート等に関する覚書をトーセイとの間で締結しており、これに基づき提供されるコンストラクション・マネジメントサポート、リーシングサポート等のスポンサーサポートを通じて、トーセイからかかるノウハウの提供を受け、内部成長に寄与させることが可能となります。
なお、運営能力の観点から、委託条件が適切なものであることを前提として、トーセイのリーシングサポートを活用することを目的とし、原則としてトーセイグループに属するトーセイ・コミュニティに対してプロパティ・マネジメント業務(以下「PM業務」といいます。)若しくはビル・マネジメント業務(以下「BM業務」といいます。)又はその両方の業務を委託することとします。また、PM業務の委託に関連して、トーセイ・コミュニティとの間でパススルー型ML契約を締結することもあります。
<本投資法人の運用資産における本投資法人による取得前に行われたコンストラクション・マネジメントサポートを活用したリニューアル事例>■プライムガーデン
築年数の経過に伴い、リーシングに対する競争力の低下を要因とし稼働率が低下していました。スポンサーによる本物件取得後に稼働率向上のためのバリューアップとして、エントランス廻り及びエレベーターホールのリニューアルを実施しました。リニューアル実施前には70%台となっていた稼働率を、リニューアル実施後には90%後半まで稼働率を回復させることに成功しました。
| <エントランス 外> | <エントランス 内> |
| <エレベーターホール> | |
(ロ)トーセイグループについて
トーセイグループは、東京都区部を中心とした東京圏を主要マーケットとし、中小の収益物件等を対象に不動産流動化事業、不動産開発事業、不動産賃貸事業、不動産ファンド・コンサルティング事業及び不動産管理事業の5事業を営んでおり、各事業の相乗効果を追求することにより、安定性の高いポートフォリオ経営を目指しています。
各事業の概要は以下のとおりです。
■不動産流動化事業
中古のオフィスビル、マンションを取得し、設備改善、デザイン性向上、環境配慮型のリニューアル等を施し、「再生不動産」として販売する事業です。また、M&Aを通じた不動産取得なども行っています。
■不動産開発事業
開発用の土地を取得し、エリアやニーズの特性にあわせて、オフィスビル、マンション、戸建住宅、商業施設などの新築開発を行い、販売する事業です。
■不動産賃貸事業
東京圏において、グループが所有するオフィスビル、マンション、店舗、駐車場などを賃貸し、安定的な収入を確保する事業です。
■不動産ファンド・コンサルティング事業
本資産運用会社による、不動産ファンドのアセットマネジメント業務を行う事業です。また、事業法人に対する不動産のコンサルティングや仲介なども行っています。
■不動産管理事業
トーセイ・コミュニティによる、マンションやオフィスビルなどの管理、清掃、改修工事の請負など、総合的なプロパティマネジメントを行う事業です。
トーセイグループにおいては、不動産流動化事業における環境等に配慮した中古建物再生ビジネスや不動産開発事業における新築開発ビジネスにおいて、幅広い用途(オフィス、商業施設及び住宅の主に3用途)及び規模の建築物を提供しています。新築開発ビジネスにおいては、多様な開発メニューの中から、その土地の特性やマーケットのニーズに合った建築物を開発し、不動産としての価値最大化を図っています。また、ポートフォリオ経営を通じて培ったマーケティングやリサーチのノウハウにより、その時代のトレンドに合った建築物の開発を行っています。
不動産ファンド・コンサルティング事業においては、複数の世界的に著名なPEファンド等からのアセットマネジメント受託実績や、一般社団法人環境不動産普及促進機構が運営する耐震・環境不動産形成促進事業において、平成25年12月に本資産運用会社が第1号案件(官民ファンド)のファンド・マネージャーに選定された実績を有しています。
<トーセイグループの事業セグメント別売上高比率 平成29年5月期(平成28年12月1日~平成29年5月31日)>(出所)トーセイの平成29年11月期第2四半期決算短信により本資産運用会社にて作成(なお、各事業セグメントの比率は内部取引消去後の売上高に基づき計算しています。)
(ハ)トーセイによるスポンサーサポートの内容
本投資法人及び本資産運用会社は、スポンサーであるトーセイとの間のスポンサーサポート等に関する覚書(以下「スポンサーサポート等に関する覚書」といいます。)に基づき、外部成長支援策及び内部成長支援策としてトーセイより提供される各サポートを戦略的に活用し、建物の機能的減価リスクに対する対応力を高め、物件の取得機会や投資対象を拡大することで、外部成長及び内部成長を目指します。
a. ソーシングサポート
・ トーセイが保有する資産のうち、トーセイが当該資産の売却を検討する場合において、本投資法人の投資基準に適合すると合理的に判断した場合には、トーセイは本資産運用会社に対し、当該売却に関する情報を原則として第三者に優先して提供するものとします。
・ 前記の情報提供に基づき検討を進めた結果、本投資法人がトーセイより優先交渉権の付与等を受けた物件について、本資産運用会社がパイプラインの充実度にかかる説明を目的として、当該優先交渉権の付与等を受けた旨を開示することをトーセイに相談した場合、トーセイは当該相談を真摯に検討するものとします。
b. ウェアハウジングサポート
・ 本投資法人が第三者より取得を検討する物件について、トーセイによる一時的な取得を本資産運用会社 がトーセイに相談した場合には、トーセイは当該相談を真摯に検討するものとします。
c. コンストラクション・マネジメントサポート
・ 本投資法人が取得を検討する物件に関し、トーセイが本投資法人に代わり一時的に当該物件を取得し、所有者として改修・改装工事等を実施し、またリースアップを実施することについて、本資産運用会社がトーセイに相談した場合には、トーセイは当該相談を真摯に検討するものとします。
・ 検討の結果、当該相談にトーセイが応じることとなった場合、工事後の一定の時点(工事後に実施するリースアップが完了する時点の前後は問わないものとします。)を基準時点とし、当該改修・改装工事等やリースアップによる資産価値向上の内容を適切に反映した価格として両者が妥当な水準であると合理的に判断し合意した場合に限り、取引を履行することを双方は確認するものとします。
・ 検討の結果、当該相談にトーセイが応じることとなった場合、当該契約はフォワード・コミットメント等に該当しうることに留意し、本投資法人は別途定める方針に従うとともに、両者は慎重に契約内容を検討するものとします(フォワード・コミットメント等の定義、また、かかる方針の詳細については、後記「⑧ フォワード・コミットメントに関する方針」をご参照ください。)。
・ 本投資法人が保有する物件の中で、改修・改装工事等が必要である場合には、トーセイは、かかる改修・改装工事等に対して適切なアドバイスを提供するものとします。
d. リーシングサポート
・ 本投資法人が取得を検討又は保有する物件につき、稼働率の中長期的な安定を目的として、本資産運用 会社から当該サポートの要請がなされた場合には、トーセイはテナント・媒介者への物件の紹介、媒介、 管理等のサポートを提供するものとします。その際、トーセイは、本投資法人及びトーセイとの間で生 じうる利益相反に十分留意するものとします。
e. その他のサポート
・ マーケット情報の提供(トーセイから不動産市況等の情報提供)
トーセイは、本投資法人及び本資産運用会社に対し、不動産市場の動向、不動産需要の現状及び将来の動向、新規不動産供給の現状と将来の見通し並びにテナントニーズ及び賃料相場等を中心とした不動産市場にかかる情報を提供するものとします。
・ 人材支援(トーセイから本資産運用会社への人材の提供)
トーセイは、本資産運用会社からの要請や状況を考慮し、人材の提供及び確保に合理的な範囲で協力するものとします。
・ 商標使用許諾
トーセイは、トーセイのブランド力とサポート機能を積極的に活用する一環として、本投資法人に対してトーセイが別途指定する各種商標の使用を許諾するものとします。本書の日付現在、トーセイは、本投資法人に対してロゴの使用を許諾しています。
f. スポンサーサポート等に関する覚書の有効期限
・ スポンサーサポート等に関する覚書の有効期限は、締結日から1年間とし、有効期限満了日の30日前ま でに別段の意思表示がないときは、1年間同一の条件にて自動更新され、以後も同様とするものとしま す。
<スポンサーサポート並びに本投資法人及びスポンサー間の機能区分>(ニ)本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間の不動産投資に関する特徴の違い
本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドは、トーセイのコア・コンピタンスを共有し、かかるノウハウを適用しうる投資機会をそれぞれが追求するため、立地や規模、用途、地域等の点で投資対象を厳格に区分することは困難であり、個別の不動産売買情報やかかる入札等に関して、買い手として競合する可能性もあります。
具体的には、トーセイグループの事業セグメントのうち、不動産流動化事業及び不動産ファンド・コンサルティング事業の各事業の間で、個別の不動産売買情報やかかる入札等に関して、買い手として本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドが競合する可能性があります。不動産流動化事業においては、トーセイの事業戦略上投資対象とする不動産の用途、エリア及び規模が本投資法人の投資対象と一部重複します。具体的には、まず、用途に関して、本投資法人の投資対象であるオフィス、商業施設及び住宅は全てトーセイの投資対象と重複します。次に、エリアに関して、本投資法人が投資対象とするのは東京経済圏であるため、トーセイが主として投資対象とする東京都心部を中心としたエリアと重複します。そして、不動産の規模に関して、本投資法人が投資対象とする物件の規模は原則50億円以下であるため、トーセイが投資する物件の規模の大半を占めている20億円未満の物件と規模が重複します。そのため、特に第三者が保有する不動産の売却情報の取扱い等に関して、本資産運用会社と本資産運用会社を除くトーセイグループとの間でファイアーウォールを設け、それぞれが独立して情報入手を行い、当該情報の厳格な管理を行うこととしています。また、不動産ファンド・コンサルティング事業においては、本書の日付現在、本資産運用会社において受託する私募ファンドとしては、資産追加型のファンドはありませんが、本資産運用会社が受託する私募ファンドにおける運用資産の用途及びエリアを勘案すると、今後新たに私募ファンドを組成する場合、本投資法人と投資対象が重複する可能性があります。そのため、本投資法人とは別に、私募ファンドの運用の受託を行っている本資産運用会社の社内においても、本投資法人及び私募ファンドの各運用本部間にチャイニーズウォールを設けたうえで、投資機会の検討順序に関する明確なルールを制定しています。そのうえで、第三者が保有する不動産の取得の検討に際して、利益相反や取引の競合を回避するための明確なルールを制定し、REIT運用本部が取得した物件に係る取得情報等だけではなく、私募ファンド運用本部が取得した物件に係る取得情報等についても、リスク・コンプライアンス室への取得情報集約と検討順位に従った物件情報の通知を通じて、原則として本投資法人が優先して取得検討を行えることとしています(当該ルールの詳細については、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (チ) 本投資法人と私募ファンドとの間の物件の取得に関する本資産運用会社における検討順位について」をご参照ください。)。そのうえで、第三者が保有する不動産の取得の検討に際して、利益相反や取引の競合を回避するための明確なルールを制定しています(詳細については、後記「(ヘ) 本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避等に係るガバナンスストラクチャー」をご参照ください。)。
なお、前記の重複状況はあるものの、本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間では、同じ投資対象に対しても、投資リスクの許容度、投資目的及び投資期間等が異なることが多く、これらの観点から各主体間で投資対象の区分が一定程度可能となるものと本投資法人は考えています。すなわち、まず本投資法人は中長期保有が原則である一方、トーセイの不動産流動化事業においては、相対的に短期間の物件保有を前提とし、かかる保有期間中、トーセイのコア・コンピタンスのうちリーシング力及び再生力を活用し、改修・改装工事等による建物等の機能向上及びリースアップ等のキャッシュ・フロー改善のための取組みを積極的に行い、不動産としてのバリューアップを実現した物件について売却によるキャピタルゲインの獲得を事業として積極的に目指す事業モデルとなっています。これに対し、本投資法人は、既に安定稼動している又はその可能性が相対的に高いと判断する物件を中心に取得し、これを中長期にわたり保有することを原則としています。私募ファンドは、通常、保有期間等の観点からは本投資法人とトーセイの中間に位置づけられます。このように、3主体は基本的に異なる投資運用スタンスを有しているということができます。
(ホ)スポンサーサポートの活用を通じたトーセイの不動産流動化事業との連携について
前述のとおり、本投資法人は、トーセイより提供されるソーシングサポートを重要なパイプラインの一つと捉えています。また、かかるサポートを通じて提供される物件売却情報は、不動産流動化事業における棚卸資産の集積を背景とするものです。
この棚卸資産には、仕入れの段階においては、その管理の状態や稼働状況の観点から、本投資法人であれば直接取得することが困難な物件が含まれていることが想定されます。当該物件をトーセイが保有しバリューアップを図ることで、本投資法人の投資対象として検討可能な程度まで状態を改善し、ソーシングサポートの対象とすることが可能であるため、本投資法人にとってはソーシングサポートの活用が運用対象の選択肢の拡大につながります。すなわち、本投資法人はソーシングサポートの活用により、投資手法の幅を戦略的に拡大することが可能となります。
一方、トーセイにとっては、棚卸資産の回転率を高めることがビジネスモデル上の要点であることから、その仕入れから販売までの期間は相対的に短期間となる傾向があり、本投資法人がソーシングサポートによりトーセイから取得する物件についても同様のことがいえます。したがって、トーセイは棚卸資産の販売候補先を、バリューアップ完了後の稼動が安定した状態にあることを前提に探す場合ばかりでなく、対象資産を仕入れた後、相対的に短期間で、マーケットのニーズに応じた個別のバリューアッププランを講じたうえで売却活動を開始する場合もあります。前者に比較し後者は、販売候補先が限定されるものの、仕入れから販売までの期間が短く、棚卸資産の回転率を高めることへの貢献度がより大きい場合があり、状況に応じて選択されることになります。
ソーシングサポートの源泉であるトーセイの不動産流動化事業が前記のようなビジネスモデルであることから、本投資法人においては、バリューアップ後の安定稼動が既に実現している物件が基本的な取得対象である一方、安定稼動の実現が取得以後に見込まれる場合でも、ソーシングサポートの効果を最大限享受する観点から、賃貸不動産としてのポテンシャルの高さについて目利き力による選別を行ったうえで、取得を目指していく方針をとっています。
後者の場合のうち、まず、取得後のリースアップ実現のリスクが比較的低いと考えられ、かつリースアップに要する期間も相対的に短期間と判断される物件であれば、トーセイによる遵法性や安全性等の管理上必要な是正工事が完了し、物件競争力向上のための必要な改修・改装工事等があらかじめ実施されていることを前提に、安定稼動の実現以前に取得することがあります。一方、取得後のリースアップ実現のリスクが相応にあり、また要する期間も相応にかかると判断される物件であれば、慎重にその取得に係る検討を行い、ポートフォリオの運用状況を総合的に勘案し、本資産運用会社がリースアップのリスクを取るべきではないと判断する場合には当該物件の取得を見送ることが考えられます。ただし、この場合であっても、賃料固定型ML契約(詳細については、後記「⑨ ポートフォリオ運営・管理方針 (ニ) ML契約に関する方針」をご参照ください。)を活用し、固定化される賃貸事業のキャッシュ・フローの水準が投資利回りの観点から魅力的である物件については、その取得が選択肢となることがあります。特に賃料固定型ML契約の賃借人がトーセイである場合、マスターリース期間中、トーセイがリーシングを行うこととなるため、実質的にリーシングサポートの提供をトーセイから受けることと同等の効果を持つこととなります。
(ヘ)本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避等に係るガバナンスストラクチャー
a. 本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避ルール
前記「(ニ) 本投資法人、トーセイグループ及び本資産運用会社が別途運用を受託する私募ファンドとの間の不動産投資に関する特徴の違い」に記載のとおり、保有期間の考え方、保有リスクへの許容度及びスタンスが異なるものの、既存建築ストックへの投資に関するリスク・リターンの理解等の理念を共有し、かつ、本投資法人自身もトーセイのコア・コンピタンスを最大限に活用することを目的としているため、本投資法人及びトーセイグループ間で投資対象の厳格な区分は困難であると本投資法人は考えています。そのため、トーセイとのスポンサーサポート等に関する覚書において、第三者物件の売却情報の取扱いに係る本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避のためのルールを後記のとおり制定しています。
・ 本投資法人及びトーセイは、それぞれ独自に第三者からの物件取得を行うことができます。本資産運用会社及びトーセイは、第三者が保有する物件の売却情報を入手した場合は、それぞれの裁量で取扱いについて決定することが可能であり、他方に優先的に当該情報を提供する義務は負わないものとします。ただし、それぞれが独自の判断により、当該売却情報に係る物件取得の機会を放棄した場合で、かつ、当該物件が他方の投資基準に適合すると合理的に判断した場合には、他方に対して、原則として第三者に優先して当該売却情報を提供するものとします。
・ 本資産運用会社が、本投資法人の資金調達のタイミングの問題から、あるいは日常的な維持管理や修繕、設備の更新等が不十分であること等により、直ちに当該物件の取得をすることは困難と判断し、トーセイによる一時的な取得をトーセイに相談した場合には、トーセイは真摯に当該相談を検討するものとします(ウェアハウジングサポート)。ただし、当該相談時点で、既にトーセイ自身が当該物件の売却情報に独自に接していた場合を除きます。
・ トーセイが前記の相談に基づきウェアハウジングサポートを提供する判断をした場合、当該物件は本投資法人がトーセイに対し取得の優先権を持つことを双方は確認するものとします。ただし、本資産運用会社の求めに応じてウェアハウジングサポートを提供したにもかかわらず、本投資法人が最終的にその取得を見送った場合には、トーセイが当該物件を取得することは可能とします。一方、トーセイがウェアハウジングサポートの提供を断った場合は、当該物件の取得を本投資法人が最終的に見送った場合であっても、トーセイは当該物件の取得はできないことを双方は確認するものとします。
・ また、前記「1 投資法人の概況 (4) 投資法人の機構 ③ 投資運用の意思決定機構 (チ) 本投資法人と私募ファンドとの間の物件の取得に関する本資産運用会社における検討順位について」に記載のとおり、本資産運用会社が、本投資法人及び私募ファンドの双方の投資クライテリアに該当する可能性があると見込まれる物件に係る取得情報等を入手した場合、原則として私募ファンドの物件取得の検討順位は、本投資法人に劣後するものとします。
<第三者物件の売却情報の取扱いに係る本投資法人及びトーセイグループ間の競合回避ルール>b. 利害関係人取引における本資産運用会社の意思決定手続
本資産運用会社は、REIT運用本部投資運用委員会とリスク・コンプライアンス委員会の双方において外部専門家を委員として選任しています。
利害関係人取引に係る事案については、REIT運用本部投資運用委員会及びリスク・コンプライアンス委員会において外部専門家を含む出席した委員の全員の賛成が必要とされています。
加えて、当該取引を実行するためには、本資産運用会社の意思決定手続がなされた後、役員会の事前承認が必要とされており、役員会による監視機能を確保した意思決定フローとしています。
なお、トーセイが取得した当時の取得経緯や売主固有の状況、トーセイの行った不動産のバリューアップによる資産価値の向上等により、本投資法人がトーセイから取得する物件の取得価格がトーセイの取得価格と一致せず、上回ることもありえます。そのような場合であっても、本投資法人はトーセイからの物件取得に際しては、前記のとおり、利害関係人取引として、慎重な手続に従い意思決定が行われるようにしていること、また、取得価格についても鑑定評価額を上限とすることにより、投資主の利益が損なわれないようにしています(かかる仕組みについては、「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2)利害関係人取引規程」も併せてご参照ください。)。
<利害関係人取引における本資産運用会社の意思決定フロー>c. トーセイグループによるコミットメント(セイムボート出資)
本投資法人の投資主利益及びトーセイグループの利益の共通化を図り、スポンサーサポートの実効性を高めるため、本投資法人及び本資産運用会社はトーセイとの間で、スポンサーサポート等に関する覚書を締結しており、トーセイは、本投資口に関して以下のことを本資産運用会社に対して表明しています。
i. 本投資口のJ-REIT市場への上場時点において、発行済投資口の総口数の約10%(注)をトーセイグループが保有すること
(注)本書の日付現在におけるトーセイグループの保有比率は6.5%となっています。
ii. 本投資法人が新たに投資口を発行する場合には、本投資法人の要請に応じ、当該投資口の一部を自ら又はトーセイグループにおいて取得することを真摯に検討すること
iii. 本投資口を保有する場合には、保有した投資口について、特段の事情がない限り、継続して保有するように努めること
d. トーセイグループとの競合回避を担保する報酬制度
・ 本資産運用会社の運用報酬体系
本資産運用会社は、取得対象資産の取得金額に連動する運用報酬(運用報酬Ⅰ)のほかに、本投資法人の当期純利益(注)に連動する運用報酬(運用報酬Ⅱ)を導入しています。
・ 本資産運用会社の役職員(REIT運用本部)の人事、運用報酬体系等
本資産運用会社は、役職員の報酬体系に、1口当たり分配金に一部連動させるインセンティブ賞与を導入しています。
(注)「当期純利益」とは、本投資法人の各営業期間における利益(運用報酬Ⅱ並びにそれに伴う消費税及び地方消費税の納付差額計上前の税引前当期純利益をいいます。なお、前営業期間より繰り越された前期繰越損失の額があるときは、その金額を補填した後の金額とします。)をいいます。
⑥ 投資基準
(イ)物件選別基準
投資対象物件を取得するに際しては、原則として以下の基準を考慮します。なお、本投資法人は、以下の基準を考慮するものの、物件の競争力、収益性等を勘案したうえで、総合的に判断して、以下の基準の一部を満たさない物件を取得することがあります。なお、ホテル又はホテルを含む不動産については規模、設備・仕様、稼働率、ADR及びRevPAR、テナントについて以下の基準を含む個別の判断により選別を行うものとします。
| 立地 | 地域、用途、規模ごとの特性に応じた地域分析や個別分析を行い、これらを総合的に勘案して投資判断を行います。 | ||
| 建物規模 | 原則として下記の基準に合致する物件とします。 | ||
| オフィス | 延床面積 | 1,000㎡以上であるもの | |
| 商業施設 | 延床面積 | 1,000㎡以上であるもの | |
| 住居 | 専有面積 | 主となる住戸の専有面積が1住戸あたりの20㎡以上であるもの | |
| 設備・仕様 | 下記をはじめとする項目が、地域における標準的水準と同等若しくはそれ以上と判断される物件又は標準的水準以上に変更可能な物件とします。 | ||
| オフィス | i. 階高、天井高 ii. 貸室形状、フロア分割対応 iii. 床形状、床荷重 iv. OA対応 v. 空調方式 vi. 電気容量、電源 vii. セキュリティ対応 viii. 防災対応 ix. 共用施設(給湯、トイレ、エレベーター、駐車場等) | ||
| 商業施設 | i. 階高、天井高 ii. フロアプラン iii. 各貸室の用途変更に関する汎用性・転用性 iv. インフラ対応(電気・ガス・水道) v. 空調方式 vi. セキュリティ対応 vii. 防災対応 viii. 共用施設(給湯、トイレ、エレベーター、駐車場等) | ||
| 住居 | i. 間取り ii. 天井高 iii. バス、トイレ iv. キッチン v. 空調設備 vi. 放送受信設備 vii. セキュリティ対応 viii. 共用施設(エレベーター、廊下、駐車場、駐輪場、ごみ収集場等) | ||
| ホテル又はホテルを含む不動産 | i. 間取り ii. 天井高 iii. バス、トイレ iv. キッチン v. 空調設備 vi. 放送受信設備 vii. セキュリティ対応 viii. 共用施設(エレベーター、廊下、駐車場、駐輪場、ごみ収集場等) ⅸ. フロント設備 | ||
| その他 | それぞれの運営形態を遂行するに適した設備・仕様を具備していること。 | ||
| 遵法性 | 都市計画法、建築基準法(昭和25年法律第201号。その後の改正を含みます。)(以下「建築基準法」といいます。)等、関連する諸法令を遵守している物件(既存不適格物件を含みます。)とします。ただし、関連法令を遵守できていない物件のうち、取得後に是正可能な物件に関しては、投資対象とすることがあります。 |
| 構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造又はこれらの構造に類する物件とします。 |
| 耐震性 | 原則として、新耐震基準(建築基準法施行令の一部を改正する政令(昭和55年政令第196号)により改正され、昭和56年6月1日に施行した建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)により導入された耐震基準をいいます。)に基づく建築物に相当する耐震性を有し、個別のPML値が20%未満であり、かつ、当該物件の取得後におけるポートフォリオ全体のPML値が15%未満を維持できる物件とします。 |
| 環境・地質 | 専門業者が作成したエンジニアリング・レポート、地歴調査報告書等において、有害物質等が内在する可能性が低く、又は内在しているが当該物質に関連する全ての法令に基づき適法に保管若しくは処理等がなされている旨の記載がなされ、かつ資産運用会社の調査により運用上の障害の可能性が低いと判断された物件とします。 |
| 稼動率 | 原則として、安定稼動している物件とし、具体的には本投資法人の取得判断の時点において稼働率が80%以上の物件とします。ただし、稼働率が80%を下回る場合においても、本投資法人の取得以後、80%に達する可能性が十分に高いと判断される場合には、例外的に取得できるものとします。なお、この場合、その達成までに一定の時間を要すると判断した場合には、賃料固定型ML契約の導入を併せて検討するものとします。詳細は後記「⑨ ポートフォリオ運営・管理方針 (ニ) ML契約に関する方針」をご参照ください。 |
| テナント | テナントの属性(反社会的勢力に該当しないことの調査を含みます。)、信用力、業種、使用目的及び賃貸借契約の条件並びにテナント入替えの可能性等を総合的に判断したうえで、投資判断を行います。 また、原則として、複数のテナントと契約を締結している建物(以下「マルチテナント物件」といいます。)とします。ただし、シングルテナント物件の場合にも、退去リスク・テナント信用力を加味したうえで投資対象とすることがあります。 ホテル又はホテルを含む不動産については、ホテルの用に供する部分をオペレーターに一括賃貸する場合、オペレーターの信用力及びホテル運営能力を分析して判断を行います。 |
| 権利関係 | 原則として、敷地も含めた一棟の建物全体に係る独立した所有権が取得できる物件とします。ただし、後記に示す形態の物件についても、それぞれに定める検証を行ったうえで投資対象とすることがあります。 i. 共有物件 ii. 区分所有建物及びその敷地 iii.借地権付建物 |
| 境界 | 原則として、全ての境界が確定している物件とします。ただし、境界が未確定の場合であっても、隣接土地所有者等との協議状況その他の従前の経緯、当該土地及び隣接土地所有者等を含む土地の利用状況、将来の紛争可能性、その他境界未確定に起因して当該建物に対する遵法性の観点等から考え得る検証を行い、これらの影響等についてのデューディリジェンスの結果を総合的に勘案し、運営への影響、リスクの程度を検証したうえで適切と認める場合には、投資対象とすることができるものとします。この場合、本資産運用会社が必要と認めるときは、境界が未確定であることを取得価格又は物件の購入条件に適切に反映させるものとします。 |
| 開発案件 | 建設中の不動産について、完工・引渡しのリスクが低く、当該不動産に係るデューディリジェンスの結果に問題がないと判断される場合、建物竣工後の取得を条件として、当該建設中の不動産等に係る不動産関連資産の取得に関する契約を締結することができるものとします。 |
| 現物不動産と信託受益権の選択 | 投資物件の取得にあたり、現物不動産の形態で取得するか、信託設定を行ったうえで信託受益権の形態で取得するかは、現所有者の意向、取得時の流通コスト、取得後の管理コスト等を総合的に勘案して判断を行います。 |
(ロ)投資金額
投資対象物件の検討にあたり、後記aないしdに留意し、後記の用途毎の投資金額を基準に分散投資します。
a. ポートフォリオ全体に及ぼす影響
b. 物件の属する地域の不動産市場の状況
c. 運用管理面からみた投資採算性
d. テナントの質、個別賃貸借契約の内容
| 最低投資金額 | |
| 用途 | 投資金額 |
| オフィス | 1物件あたり8億円以上とする。 |
| 商業施設 | 1物件あたり5億円以上とする。 |
| 住居 | 1物件あたり3億円以上とする。 |
| ホテル又はホテルを含む不動産 | 1物件あたり10億円以上とする。 |
| 最高投資金額 | |
| 用途 | 投資金額 |
| オフィス | いずれの区分においても1物件あたりの投資金額を原則として50億円以下とする。 |
| 商業施設 | |
| 住居 | |
| ホテル又はホテルを含む不動産 | |
前記最高投資金額及び最低投資金額の基準にかかわらず、中長期的な安定収益の確保の観点から望ましいと判断し、かつポートフォリオ全体に与える影響(当該不動産の組入れによる各用途毎の投資比率構成及び投資法人全体のキャッシュ・フローに与える影響等)を検討したうえで、投資するものとします。
⑦ デューディリジェンス基準
運用資産を取得するに際しては、下表にあげる調査項目に基づき、経済的調査、物理的調査及び法律的調査を十分実施し、キャッシュ・フローの安定性・成長性等を阻害する要因等の存否等の把握を中心とした、当該運用資産の投資対象としての妥当性を検討します。
なお、本投資法人は、以下のデューディリジェンスのプロセスに加え、第三者専門機関に対し構造計算書に関する追加的な調査を依頼し、全ての取得予定資産について、建築図面、構造図面、構造計算書等をレビューし、建築基準法に適合しているかについての検証を行います。
| 評価項目 | 調査事項 | |
| 経済的調査 | 取得価格の妥当性 | 不動産鑑定(注)の適格性・妥当性の検証 本資産運用会社によるバリュエーションと不動産鑑定評価書との比較検証 |
| テナント調査 | テナントの信用状況(反社会的勢力に該当しないことの調査を含みます。)及び賃料支払状況等 退去リスクに関する状況等 テナントとの賃貸借契約の妥当性の検証 ホテル又はホテルを含む不動産において、ホテルの用に供する部分をオペレーターに一括賃貸する場合、オペレーターの信用力及びホテル運営能力の検証 | |
| 市場調査 | 市場賃料調査(物件の個別性を考慮し、必要に応じて第三者によるマーケットレポートの取得を検討します。) 設定賃料の妥当性の検証 | |
| 収益関係 | 投資物件のキャッシュ・フローデューディリジェンス(収入及び支出項目)の実施 |
| 評価項目 | 調査事項 | |
| 物理的調査 | 投資不動産の基本情報 | 売主開示資料の内容精査 エンジニアリング・レポートによる物件基本情報の確認 本資産運用会社による現地調査 |
| 建築・設備・ 仕様概要 | エンジニアリング・レポートによる建物主要項目(意匠、主要構造、築年数、設計・施工業者・建物仕様等)の確認 本資産運用会社による現地調査 | |
| 耐震性能判断 | 地震PML(予想最大損失率)分析及び検証 エンジニアリング・レポートによる耐震性及び地震リスクの確認 | |
| 重要書類の確認 | 引渡書類(境界確認書・確認申請書・確認申請図・検査済証・竣工図・賃貸借契約書等)の確認 | |
| 将来の資本的支出及び修繕費用 | エンジニアリング・レポートによる将来の修繕費見込み 過去の修繕履歴による検証 施工業者からの保証及びアフターサービス内容及び承継 | |
| 環境・土壌等 | 環境調査レポートによるアスベスト・フロン・PCB等の有害物質の使用状況の環境調査 土壌汚染調査レポートによる環境調査 | |
| 法律的調査 | 違法性 | エンジニアリング・レポートによる関係法規(建築基準法、消防法(昭和23年法律第186号。その後の改正を含みます。)(以下「消防法」といいます。)、都市計画法その他建築関連法規及び自治体による指導要綱等)の遵守状況等 法定点検資料に基づく、各種指摘事項に関する内容の精査 本資産運用会社による現地調査 |
| 権利関係 | 区分所有、共有、借地物件等、本投資法人が完全な所有権を有しない場合、それぞれ以下の点の適切性を確認 ・区分所有の場合 修繕計画に対する積立金の状況 他の区分所有者の属性、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。)(以下「区分所有法」といいます。)第25条に定める管理者の存在の有無、議決権割合の確認、管理規約・協定書等の内容 ・共有持分の場合 他の共有持分者の属性、共有者間協定書の有無、共有持分分割請求権及び共有持分分割等に関する措置 ・借地権の場合 借地人の属性、地代の適正性、借地権に対する対抗要件の具備状況、借地権売却時の承諾料の有無及び金額 | |
| 権利の付着 | 不法占拠、抵当権、根抵当権、地役権、通行権等第三者による権利の付着の有無 | |
| 契約関係 | 信託契約等の第三者との契約内容の確認 その他第三者との契約内容の有無及び内容の確認 | |
| 境界・越境物調査 | 境界確定の状況、実測面積の確認、越境物の有無とその状況 |
(注) 「不動産鑑定」とは、投信法に基づく不動産鑑定評価上の留意事項及び不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号。その後の改正を含みます。)並びに不動産鑑定評価基準に基づき、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいいます。
⑧ フォワード・コミットメントに関する方針
本投資法人は、フォワード・コミットメント等(先日付での売買契約であって、契約締結から1か月以上経過した後に決済(物件引渡し)を行うこととしている契約その他これに類する契約をいいます。以下同じです。)の締結に際しては、過大なフォワード・コミットメント等が本投資法人の財務に与える影響の大きさを勘案し、フォワード・コミットメント等の実行に際しては、あらかじめ慎重に検討し対応します。
フォワード・コミットメント等を締結する際には、違約金の上限、物件の取得額の上限、契約締結から物件引渡しまでの期間の上限及び決済資金の調達方法等についてのルールを定めたフォワード・コミットメント等に係る規則を遵守するものとします。また、フォワード・コミットメント等を締結した場合には、速やかに、その事実、設定理由、解除条件及び当該フォワード・コミットメント等が履行されない場合に本投資法人の財務に及ぼす影響等の概要を開示するものとします。
⑨ ポートフォリオ運営・管理方針
本資産運用会社は、これまでの私募ファンド運用業務、助言業務及びコンサルティング業務を通じて培ってきたノウハウ及びネットワークを活用して、ポートフォリオ及び個別物件の特性に応じたPM会社及びBM会社の選定並びにリーシングを実施することにより、持続的な内部成長を図ります。また、テナントニーズを適切に把握し、適切な修繕・補修を行うことで、稼働率の維持・向上を図ります。
本資産運用会社は、PM会社の選定にあたっては、不動産運営・管理の経験や能力、取得予定の資産における実績、関係業者とのネットワーク、本投資法人の視点に立った運営管理遂行の可否等を総合的に勘案したうえで決定します。
(イ)基本方針
本投資法人は、中長期にわたる安定した収益確保の目的のもと、賃貸収入や稼働率の維持・向上、適切な管理・修繕の実施、管理コストの適正化、業務の効率化に努めます。
(ロ)PM会社及びBM会社の選定方針
PM会社及びBM会社の選定にあたっては、不動産運営・管理の経験や能力、対象となる運用資産における実績、運用計画に沿った業務遂行の実現性、コスト水準、運用の継続性等を総合的に勘案し、本投資法人の総合的な収益向上に寄与する会社を選定します。
本投資法人は前記方針の実現のため、また、運営能力の観点から、委託条件が適切なものであることを前提として、原則としてトーセイグループに属するトーセイ・コミュニティに対してPM業務若しくはBM業務又はその両方の業務を委託することとします。また、PM業務の委託に関連して、トーセイ・コミュニティとの間でパススルー型ML契約を締結することもあります。なお、トーセイ・コミュニティに業務委託を行う場合には、利益相反取引防止の観点から、利害関係人取引規程に基づく所定の手続に従って行うものとします。さらに、PM会社及びBM会社への業務委託にあたっては、業務水準や報酬額等についての評価を定期的に行い、適正な業務遂行及び報酬レベルが維持できない場合には、契約の解除を行うこと又は契約の更新を行わないことを検討するものとします。また、PM会社及びBM会社との契約に、かかる検討の障害となるような条項を設けてはならないこととします。
(ハ)リーシング方針
a. マーケット動向を調査・把握し、個別物件における適切な賃貸条件等の検討を行うとともに、PM会社及びスポンサーサポートを最大限活用し、優良なテナントを選定できるように努めます。なお、当該選定にあたっては、本資産運用会社の社内規定に従い、テナントが後記のテナント選定基準を満たしていることを確認のうえ、賃料水準、賃貸借契約の内容、契約期間、更新の可否等を総合的に判断して決定するものとします。空室に対するリーシング活動にあたっては、当該個別物件の特性と周辺環境や競合物件を精査したうえでスポンサーサポートを十分に活用し、最適なリーシング活動をPM会社と共同して行います。
b. テナント選定基準
新規に入居が見込まれるテナントについては、以下の内容に対する検討・分析を行い、その内容を総合的に勘案し審査したうえで決定するものとします。なお、これらの項目について基準を満たしていると本資産運用会社が判断した場合であっても、反社会的勢力との関係があることを確認した場合には、契約の締結を行いません。また、これらの審査の過程では、必要に応じて外部の調査機関のデータベース等も活用します。
(事業法人の場合)
・業種
・財務状況及び企業規模
・資本関係
・使用目的及び契約条件
・その他事項
(個人の場合)
・所得水準
・職業
・勤務先及び勤務年数
・連帯保証人の有無
・その他事項
(ニ)ML契約に関する方針
物件取得に際してトーセイによるコンストラクション・マネジメントサポートによる改修・改装工事等が行われる場合等のように、本投資法人の取得を行う時期における稼働率が80%を下回る見込みであると本資産運用会社が判断した場合、又は中長期的な観点からキャッシュ・フローの安定化が必要であると本資産運用会社が判断した場合、賃借人をトーセイ又は第三者とする賃料固定型ML契約の導入の検討を行い、その要否について決定するものとします。ただし、稼働率が80%を下回る場合においても、短期間で稼働が安定すると本資産運用会社が判断した場合においては、賃料固定型ML契約を導入することなく物件の取得を行うことができるものとします。
また、PM業務の委託と関連して、PM会社との間でパススルー型ML契約を締結することがあります。
賃料固定型ML契約及びパススルー型ML契約のいずれの契約形態についても、ML会社の選定にあたっては、前記「(ハ) リーシング方針」に記載のテナント選定基準(事業法人の場合)と同様の内容を審査しますが、前記に加え以下の事項も重要審査項目とします。
・ML会社の実績
・ML会社の当該物件周辺に対するマーケットに対する考え方
・当該物件の成約水準及びリーシング方針
・サブリース期間及び契約形態
・ML会社におけるテナント審査基準
(ホ)修繕計画及び資本的支出に関する方針
中長期的な運用資産の収益の維持及び向上を目的として、運用資産の状況及び特性、テナントニーズ等を考慮した個別物件毎の修繕計画をPM会社と協議のうえ策定し、必要な修繕・資本的支出を行うものとします。修繕及び設備投資は、原則として個別物件の減価償却費の範囲内で行うものとしますが、ポートフォリオ全体の減価償却費も勘案して判断するものとします。ただし、テナントの満足度向上に向けた政策上の観点から必要な修繕及び設備投資については早期に実施するものとします。修繕積立金は、中長期的なポートフォリオ運営を踏まえ、減価償却費及び修繕計画を考慮したうえで、必要な額を積み立てます。なお、本投資法人による保有期間が中長期に及んだ場合、当初策定した修繕計画の見直し等の過程において、設備・機能等の陳腐化による建物の競争力の低下を防ぐ観点から、例えば、テナントの立ち退き交渉を行ったうえで、大規模な改修・改装工事等を行う必要性が高いと判断する場合があります。そのような場合には、改修・改装工事等の期間に一定の時間を要すこととなり、かつ、同施工期間中に生じた空室部分の稼働率回復期間を通じて、稼働率が安定していた期間に比べてキャッシュ・フローが著しく低下し、当該期間中の収益計画への影響が少なくないことを考慮し、かかる大規模な改修・改装工事等を修繕計画に織り込むことなく、物件の入替えを含め、他の施策の検討を行うものとします。
(ヘ)付保方針
付保方針については、運用ガイドラインにおいて以下のとおり定めています。
a. 運用資産には、火災等の災害や事故等による建物の損害又は対人対物を保険事由とする第三者からの損害賠償請求による損害等に対応するため、各不動産の特性に応じて適切と判断される内容の火災保険や包括賠償責任保険等の損害保険を付保するものとします。
b. 地震保険の付保に関しては、ポートフォリオPML値を基準に、災害による影響と損害保険料とを比較考慮のうえ、付保の判断を行います。ただし、1物件のPML値が20%以上の物件がある場合には、原則としてその物件について個別に地震保険を付保するものとします。
⑩ 財務運営の基本方針
(イ)基本方針
中長期的に安定的かつ健全な財務基盤を構築することを基本方針とし、以下の各個別方針のもと、分散され、バランスのとれた資金調達等を行います。
(ロ)エクイティ・ファイナンス
新投資口の発行は、発行に伴い取得する物件の収益性、取得時期、LTV(後記(ハ)に定義します。)水準、有利子負債の返済時期等を総合的に考慮し、新投資口の発行による持分割合の低下に配慮したうえで適時に実施するものとします。
(ハ)デット・ファイナンス-借入れ及び投資法人債の発行
a. 本投資法人は、安定した収益の確保及び運用資産を着実に成長させることを目的として、資産の取得、修繕、分配金の支払及び本投資法人の運営に要する資金又は債務の返済(敷金及び保証金の返還並びに借入金の返済及び投資法人債の償還を含みます。)等を使途として、借入れ又は投資法人債の発行を行うことができます。ただし、借入れ及び投資法人債発行の限度額はそれぞれ1兆円とし、その合計額が1兆円を超えないものとします(規約第22条)。
b. 前記aに基づき借入れを行う場合には、金融商品取引法第2条第3項第1号に規定する適格機関投資家(租税特別措置法(昭和32年法律第26号。その後の改正を含みます。)(以下「租税特別措置法」といいます。)第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定する機関投資家で、かつ、地方税法施行令附則(昭和25年政令第245号。その後の改正を含みます。)第7条第7項第3号に規定する適格機関投資家のうち総務省令で定めるものに限ります。)からの借入れに限るものとします。
c. 本資産運用会社は、前記aに基づき借入れ又は投資法人債の発行を行う場合には、資本市場及び金利の動向、本投資法人の資本構成又は既存投資主への影響等を総合的に考慮し、将来にわたる経済・社会情勢の変化を予測のうえ、借入期間又は償還期限及び固定・変動の金利形態といった観点から効率的な資金調達手段を選定します。
d. 本投資法人は、運用資産の新規購入、テナント預り金の返還又は運転資金等への機動的な対応を目的として、特定融資枠設定契約、コミットメントライン契約等の事前の融資枠設定又は随時の借入れの予約契約を締結することがあります。
e. 前記aに基づく借入れ又は投資法人債の発行に際して、本投資法人は運用資産を担保として提供することができます(規約第23条)。
f. 本投資法人の資産総額(注)のうち、有利子負債の占める割合(以下「LTV」といいます。)の上限については、資金余力の確保に配慮しつつ、原則として60%を上限としますが、資産の取得及び評価額の変動等に伴い、一時的に前記数値を超えることがあります。
(注)「資産総額」とは、当該時点における本投資法人の保有する資産の総額をいい、直前の計算期間の期末総資産額に、その後の計算期間中に生じた資産の取得及び譲渡金額を加減したものをいいます。
(ニ)デリバティブ取引
借入れ及びその他の本投資法人に係る負債から生じる金利変動リスクのヘッジを主たる目的として、経済状況及び金利の動向を考慮し、デリバティブ取引に係る権利への投資を行うことがあります。
(ホ)キャッシュ・マネジメント
テナントから預かった敷金・保証金を資金として活用することがあります。また、諸々の資金ニーズ(修繕及び資本的支出、分配金の支払、敷金等の返還又は不動産関連資産の新規購入等)に対応するため、融資枠等の設定状況も勘案したうえで、妥当と考えられる金額を現預金として保有するものとします。
(ヘ)減価償却の活用
本投資法人は、減価償却による内部留保については、運用資産の設備更新、改修・改装等の資本的支出を通じた物件競争力の強化手段としての活用や、新規物件取得原資とする等の成長戦略手段としての活用に加えて、借入金の返済資金の原資とすることを検討します。
⑪ 情報開示方針
本投資法人は、多様な地域及び用途に投資を行う投資方針を採用しています。かかる投資方針のもと行われる本投資法人の投資活動に対する投資家の理解の促進のため、以下のとおり適切かつ迅速な開示を行うことを目標としています。
(イ)本投資法人は、金融商品取引法、投信法、東京証券取引所、投信協会等がそれぞれ要請する内容及び様式に沿って開示を行います。
(ロ)投資家に対して正確で偏りのない情報をできる限り迅速に伝達する環境を整えることに努めます。
(ハ)投資家に対してできる限りの情報開示に努めるとともに、投資家にわかりやすい情報の提供に努めます。