有価証券報告書(内国投資証券)-第11期(2023/09/01-2024/02/29)
(1)リスク要因
以下には、本投資法人が発行する投資証券(以下「本投資証券」といいます。)又は本投資法人が発行する投資法人債(以下「本投資法人債券」といいます。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、個別の保有資産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況 (2)投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (ル)保有資産の個別の概要」を併せてご参照ください。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが現実化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなることもあると予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下、その他財務状況の悪化による分配金の減少が生じる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。なお、本項において将来に関する事項が記載されている場合がありますが、当該事項については、本投資法人が本書の日付現在において判断したものです。
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ) 本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
(ロ) 本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ハ) 金銭の分配に関するリスク
(ニ) 収入及び支出の変動に関するリスク
(ホ) 投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
(ヘ) 投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことに関するリスク
(ト) 投資法人債券の償還・利払に関するリスク
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ) スポンサーサポート契約に基づく物件取得が想定どおりに行えないリスク
(ロ) 地域的な偏在に関するリスク
(ハ) 不動産を取得又は処分できないリスク
(ニ) 投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
(ホ) 投資対象を物流不動産に特化していることによるリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ) 伊藤忠グループへの依存、利益相反に関するリスク
(ロ) 本資産運用会社が複数の投資法人等の運用等を行うことに関するリスク
(ハ) PM会社に関するリスク
(ニ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ホ) 本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に依存しているリスク
(ヘ) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(ト) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
(チ) 敷金及び保証金に関するリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関するリスク
(イ) 不動産の欠陥、瑕疵又は契約不適合に関するリスク
(ロ) 賃貸借契約に関するリスク
(ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
(ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ホ) 不動産に係る行政法規及び条例等に関するリスク
(ヘ) 地球温暖化対策に関するリスク
(ト) 法令の制定又は変更に関するリスク
(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
(リ) マスターリース会社に関するリスク
(ヌ) 転貸に関するリスク
(ル) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
(ヲ) 共有物件に関するリスク
(ワ) 区分所有建物に関するリスク
(カ) 借地物件に関するリスク
(ヨ) 借家物件に関するリスク
(タ) 開発物件に関するリスク
(レ) 有害物質に関するリスク
(ソ) 保留地に関するリスク
(ツ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ネ) フォワード・コミットメント等に係るリスク
(ナ) テナント集中に関するリスク
(ラ) 底地物件に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ) 導管性の維持に関する一般的なリスク
(ロ) 過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ) 借入れに係る導管性要件に関するリスク
(ニ) 資金不足により計上された利益の全部を配当できないリスク
(ホ) 同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
(ヘ) 投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
(ト) 税務調査等による更正処分のため、追加的な税金が発生するリスク
(チ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(リ) 一般的な税制の変更に関するリスク
(ヌ) 減損会計の適用に関するリスク
(ル) 納税遅延に係る延滞税等の発生に関するリスク
⑥ その他
(イ) 不動産の売却に伴う責任に関するリスク
(ロ) 専門家報告書等に関するリスク
(ハ) 過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
(ニ) 匿名組合出資持分又は不動産対応証券への投資に関するリスク
(ホ) 情報セキュリティに関するリスク
(ヘ) 外国の金融関連規制に関するリスク
(ト) 取得予定資産の取得及び売却予定資産の売却を実行することができないリスク
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ) 本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、第三者に対する売却に限定されます(ただし、本投資法人は、投資主との合意により本投資口を有償で取得することができます(規約第8条第2項)。)。
本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は、金融商品取引所における需給バランスにより影響を受け、一定の期間内に大量の売却が出た場合には、大きく価格が下落する可能性があります。
また、市場価格は、金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。加えて、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
そのため、投資主又は投資法人債権者は、本投資証券又は本投資法人債券を取得した価格で売却できない可能性があり、その結果、損失を被る可能性があります。
(ロ) 本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券は、東京証券取引所に上場していますが、本投資法人の資産総額の減少、投資証券の売買高の減少その他の東京証券取引所の有価証券上場規程に定める上場廃止基準に抵触する場合には、本投資証券の上場が廃止されます。本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、損失を被る可能性があります。
(ハ) 金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3) 分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産及び不動産を裏付けとする資産の当該裏付け不動産(以下、本「(1) リスク要因」において「不動産」と総称します。)の賃貸状況、売却に伴う損益、減損損失の発生や建替えに伴う除却損等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減することがあります。また、課税負担を軽減する目的で期間利益を超える分配を行うことや、逆に下回る分配に留まることがあります。
本投資法人は、前記「2 投資方針 (3) 分配方針 ② 利益を超えた金銭の分配(規約第39条第2号)」に記載のとおり、利益超過分配を実施する方針ですが、利益超過分配が行われるとの保証はありません。利益を超えた金銭の分配は、実質的には出資の払戻しに相当しますので、利益を超えた金銭の分配が実施された場合、本投資法人の純資産は減少することになります。また、これにより手元資金が減少することとなるため、突発的な事象等により本投資法人の想定を超えて資本的支出等を行う必要が生じた場合に手元資金の不足が生じる可能性や、機動的な物件取得にあたり資金面での制約となる可能性があります。
(ニ) 収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、不動産の賃料収入に主として依存しています。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により、大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されることや、契約どおりの増額改定を行えない可能性もあります(なお、これら不動産に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④ 不動産及び信託の受益権に関するリスク (ロ) 賃貸借契約に関するリスク」をご参照ください。)。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、大規模修繕等に要する費用支出、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少することや、本投資証券の市場価格が下落することがあります。
(ホ) 投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、新規投資口を随時追加発行する予定ですが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に追加発行された投資口に対して、当該営業期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われる場合には、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。
さらに、追加発行の結果、本投資口1口当たりの価値や市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。
(ヘ) 投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことに関するリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、本投資法人の意思決定に参画することができるほか、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。たとえば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期毎に招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなします(投信法第93条第1項、規約第14条第1項)(ただし、本投資法人の規約上、執行役員又は監督役員の選任又は解任、資産運用会社との間の資産運用委託契約の締結又は解約、解散その他規約に定める一定の重要議案については、一定の要件を満たす少数投資主が所定の期限までに当該議案に反対である旨を本投資法人に通知した場合、又は、本投資法人が当該議案に反対である旨を表明した場合には、上記のみなし賛成制度の適用はないものとされています。詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 3 投資主・投資法人債権者の権利 (1) 投資主の権利 ① 投資主総会における議決権」をご参照下さい。)。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
(ト) 投資法人債券の償還・利払に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債券について元本や利子の支払が滞ることや、支払不能が生じるリスクがあります。
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ) スポンサーサポート契約に基づく物件取得が想定どおりに行えないリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、伊藤忠商事及び伊藤忠都市開発との間で、それぞれ、スポンサーサポート契約を締結しています。しかし、これらの会社は、一定の不動産につき、本投資法人及び本資産運用会社に情報の提供を受ける権利や取得に関する優先交渉権等を与えるものにすぎず、これらの会社は、本投資法人に対して、不動産を本投資法人の希望する価格で売却する義務等を負っているわけではありません。また、これらの会社が本投資法人と競合して不動産を取得する可能性を完全に排除するものではありません。すなわち、本投資法人は、各スポンサーサポート契約により、本投資法人が適切であると判断する不動産を適切な価格で取得できることまで常に確保されているわけではありません。
したがって、本投資法人は、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ロ) 地域的な偏在に関するリスク
本投資法人は、取得価格(取得に伴う諸費用及び税金を含みません。)を基準として70%以上を関東エリア及び関西エリアに所在する不動産等に投資する方針です。このように、投資対象となる不動産が地域的に偏在していることから、関東エリア及び関西エリアにおける地域経済や不動産マーケットの変動、地震・台風等の災害、人口変動等の特有な事象の発生によって、本投資法人の収益に重大な悪影響が生じる可能性があります。
(ハ) 不動産を取得又は処分できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強いために代替性がなく、流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は処分できない可能性があります。また、不動産投資信託、その他のファンド及び投資家等による不動産に対する投資が活況である場合には、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産等及び不動産対応証券等を取得することができるとは限りません。取得が可能であったとしても、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。さらに、本投資法人が不動産等及び不動産対応証券等を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。
以上の結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があり、またポートフォリオの組替えが適時に行えない可能性があります。
(ニ) 投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなかったり、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる可能性があります。
また、本投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該金銭の借入れ又は投資法人債の発行の条件として、投資主への金銭の分配を制約する等の財務制限条項が設けられたり、運用資産に担保を設定することとなったり、規約の変更が制限される等の可能性があり、このような制約が本投資法人の運営に支障をきたし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、追加の担保設定や費用負担等を求められ、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。なお、本投資法人は、財務制限条項を設けることを借入先と合意しています。かかる財務制限条項には、本投資法人のLTV等の財務指標に関する数値が一定の数値を超過した場合の、現金等の留保義務、期限の利益喪失等に関する条件や投資主への分配の制約等が含まれていますが、本書の日付現在において、当該財務制限条項に抵触する事実又は抵触するおそれがある事実は生じていません。
本投資法人の運用資産に担保が設定された場合、本投資法人が担保の設定された運用資産の売却を希望したとしても、担保の解除手続その他の事情により、希望どおりの時期に売却できない可能性又は希望する価格で売却できない可能性があります。また、収益性の悪化等により運用資産の評価額が引き下げられた場合又は他の借入れを行う場合等、一定の条件のもとに投資対象不動産に対して追加して担保を設定することを要求される可能性もあります。この場合、他の借入れ等のために担保が既に設定されている等の理由で担保に供する適切な資産がない可能性もあります。また、担保不動産からのキャッシュ・フローが減少したり、その評価額が引き下げられたりした場合には、本投資法人の希望しない条件で借換資金を調達せざるを得なくなったり、本投資法人の希望しない時期及び条件で運用資産を処分せざるを得なくなったりする状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、担保に供する適切な資産がないために、本投資法人の希望どおりの借入れ等を行えない可能性もあります。
さらに、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は、本投資法人の借入額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、金利の上昇により支払利息が増加するリスクを軽減するために、変動金利による借入れの金利固定化を図る金利スワップ取引を行うことがあります。しかし、こうした取引を行った場合においても、関連する契約の内容や、取引相手方が万が一破綻した際の中途解約等により、金利リスク低減のメリットを受けられない可能性があります。
(ホ) 投資対象を物流不動産に特化していることによるリスク
本投資法人は、不動産の中でも、物流不動産を主たる投資対象としていますが、本投資法人はこれに伴う特有のリスクを抱えています。
まず、物流不動産に対する需要は、日本経済全体の動向、特に流通量の動向に影響を与える様々な事象による影響を受けています。これには、今後の日本の景気動向、生産活動の海外移転等の進捗状況、人口の推移、生産活動と消費活動を結ぶ流通形態の変化等が含まれます。また、本投資法人が投資対象としている物流不動産には海外への輸出拠点又は海外からの輸入拠点として使用される物件も含まれることから、テナント需要は、為替等の経済情勢にも左右される可能性があります。これらの推移によっては、本投資法人が投資対象とする物流不動産に対する需要が全般的に減少し、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
物流不動産全体に対する需要が減少しない場合でも、今後の生産拠点や物流形態の変化等により、特定の物流不動産に対する需要が低下し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、生産拠点の移転、新たな道路網の整備等により、既存の物流拠点がその立地上の優位性を失い、当該物流不動産のテナント需要が低下する可能性があります。また、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の制定による規制等により大きく変化した場合、それぞれを主要な輸送手段とする物流不動産の役割が衰退することとなり、当該物流不動産のテナント需要が低下する可能性もあります。
さらに、特定の物流不動産の周辺の市街地化により、共同住宅・戸建住宅や学校・病院等の公益不動産の建設が近隣で行われ、周辺環境が変動し、テナントの操業に支障が発生することがあります。その結果、テナント需要が後退し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性等も考えられます。また、既存テナントが退去した場合、物流不動産は他の用途の不動産と比較して、代替テナントとなり得る者が限定されるため、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。
また、本投資法人の保有する物流不動産のテナントが、港湾労働法に定める港湾運送の業務に従事すること等により、同法の適用を受ける場合、当該テナントには、同法を遵守するための費用負担等が生じ、その結果、テナントの収益を悪化させる可能性及び同法の適用のない他の物流不動産に比べて競合上不利になる可能性があり、これらを通じて本投資法人の収益性に悪影響が及ぶ可能性があります。
上記のほかにも、本投資法人が物流不動産を投資対象としていることから、その建物の特性、適用規制、テナント特性、取り扱われる物品等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ) 伊藤忠グループへの依存、利益相反に関するリスク
本書の日付現在、伊藤忠グループのうち、伊藤忠商事は本資産運用会社の80%の、伊藤忠都市開発は20%の株式を保有しています。また、伊藤忠商事は、本資産運用会社の役職員の主要な出向元であり、本資産運用会社の取締役(非常勤)及び監査役(非常勤)の兼任先で、伊藤忠都市開発は本資産運用会社の取締役(非常勤)の兼任先です。また、本投資法人及び本資産運用会社は、伊藤忠商事及び伊藤忠都市開発との間で、それぞれ、スポンサーサポート契約を締結しています(各スポンサーサポート契約については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2) 本資産運用会社の自主ルール(利害関係者取引規程) ⑥ 利害関係人等との取引 (ホ) スポンサーサポート契約」をご参照ください。)。
また、本投資法人は、伊藤忠グループから、物件の供給その他の外部成長のためのサポートを受けるとともに、伊藤忠商事に対してリーシングマネジメント業務を委託するほか、マスターリース兼プロパティマネジメント業務委託を伊藤忠グループに集約化する等、保有物件に対する内部成長のためのサポートを今後継続的に受ける方針です。
すなわち、本投資法人及び本資産運用会社は、伊藤忠グループと密接な関係を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対する影響は相当程度高いということができます。
したがって、本投資法人及び本資産運用会社が伊藤忠グループとの間で、本書の日付現在における関係と同様の関係を維持できなくなった場合や、伊藤忠グループに業務の懈怠その他義務違反があった場合、上記契約が解除された場合、伊藤忠グループが倒産手続その他の理由により業務遂行能力を維持できなくなった場合等には、本投資法人に悪影響が及ぶ可能性があります。
さらに、本投資法人や本資産運用会社が、資産運用活動その他を通じて、伊藤忠グループ又は同グループが運用するファンドとの間で取引を行う場合、本資産運用会社と伊藤忠グループの上記のような関係から、伊藤忠グループ又は同グループが運用するファンドの利益のために、本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為が行われる可能性もあり、その場合には、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(ロ) 本資産運用会社が複数の投資法人等の運用等を行うことに関するリスク
金融商品取引法上、資産運用会社が複数の投資法人等から資産運用等を受託することを禁じられておらず、本資産運用会社は、本投資法人の他、賃貸住宅を主たる投資対象とする上場投資法人であるADRと、投資対象を特定の用途に係る不動産に限定しない総合型のアドバンス・プライベート投資法人(以下「ADP」といいます。)の資産の運用を受託しており、また、投資法人以外の不動産私募ファンドの資産の運用又は投資助言業務を受託しています。
本投資法人は物流不動産を主な投資対象としているため、賃貸住宅を主な投資対象とするADRとは、本書の日付現在、その投資対象が異なっていますが、ADP及び前記不動産私募ファンドとは投資対象が競合する関係にあり、物件取得の場合等、本投資法人との間の利益が相反する可能性があります。
そのため、本資産運用会社では、資産取得の検討順位に関する規程を制定し、本資産運用会社が入手する案件情報に関して、本投資法人の投資対象資産である物流施設等に係る取得情報を入手した場合、当該取得情報の検討順位は原則として本投資法人が優先検討権を有するものとし(後記「第二部 投資法人の詳細情報 第4 関係法人の状況 1 資産運用会社の概況(2)運用体制 ③ 本投資法人及び他受託ファンド間における利益相反の防止(資産取得の検討順位)」をご参照ください。)、かかるルールに則った運営を行うこととしています。
しかし、かかるルールに則った運営が適切に行われない場合又はかかるルールが本投資法人に不利益に変更される場合等には、本投資法人にとって望ましいと考えられるポートフォリオの構築が実現しにくくなる可能性があり、結果として、本投資法人の収益性や資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ) PM会社に関するリスク
一般に、賃借人の管理、建物の保守管理等不動産の管理業務全般の成否は、PM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人が保有している不動産の管理についても、管理を委託するPM会社の業務遂行能力に強く依拠することになります。
管理委託先を選定するにあたっては、当該PM会社の能力、経験及びノウハウ等を十分考慮することが前提となりますが、そのPM会社における人的又は財産的基盤が維持される保証はありません。また、複数の不動産に関して、他の顧客(他の不動産投資法人を含みます。)から不動産の管理及び運営業務を受託し、本投資法人の投資対象不動産に係るPM業務と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、当該PM会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。さらに、PM会社につき、業務懈怠又は倒産事由が生じないとの保証はありません。これらの事象が生じた場合、本投資法人は、管理委託契約を解除することはできますが、この場合、後任のPM会社が任命されるまではPM会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、一時的に当該投資対象不動産の管理状況が悪化する可能性があります。また、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する新たなPM会社を選任できる保証はありません。
(ニ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、すべての執行役員及び監督役員から構成される役員会において重要な意思決定を行い、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、投信法は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本投資法人の関係者に関する義務及び責任を定めていますが、これらの本投資法人の関係者が投信法その他の法令に反し、又は、法定の措置をとらないときは、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、それぞれの立場において本投資法人の利益を害し、自己又は第三者の利益を図ることが可能な立場にあります。本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)、本投資法人のために忠実に職務を遂行する義務(忠実義務)、利益相反状況にある場合に本投資法人の利益を害してはならない義務、その他の義務を負っていますが、これらに違反し、本投資法人の利益を害することとなる取引を行った場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
さらに、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約が解約されることがあります。投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関して第三者へ委託することが要求されているため、各契約が解約された場合には、本投資法人は新たな受託者に委託する必要があります。しかし、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する新たな受託者を選任できる保証はなく、速やかに選任できない場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほかに、本資産運用会社又は本投資法人若しくは運用資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、PM会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上及び安定のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はなく、またこれらの者との契約が将来にわたり維持される保証もありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合その他何らかの理由によりこれらの者との契約が終了した場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ホ) 本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に依存しているリスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(ヘ) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会及び本資産運用会社の取締役会が定めたより詳細な投資方針、ポートフォリオ構築方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
また、本投資法人の発行する投資証券について支配権獲得その他を意図した取得が行われた場合、投資主総会での決議等の結果として本投資法人の運用方針、運営形態等が他の投資主の想定しなかった方針、形態等に変更される可能性があります。
一方で、運用環境の変化に対応して、適切に本投資法人の運用方針、運用形態等を変更できない可能性もあり、そのような場合には、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ト) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)上の破産手続、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)上の再生手続及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服する可能性があります。
本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産の分配を受けることによってしか投資金額を回収することができません。このため、投資主は、投資金額の全部又は一部を回収することができない可能性があります。
(チ) 敷金及び保証金に関するリスク
本投資法人は、運用資産の賃借人が無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を運用資産の取得資金の一部として利用する場合があります。しかし、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があり、この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなります。また、敷金又は保証金を本投資法人が利用する条件として、本投資法人が敷金又は保証金の返還債務を負う場合があり、当該返還債務の履行に必要な資金を借入れ等により調達する可能性があります。これらの結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関するリスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2) 投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載のとおり、不動産等及び不動産対応証券です。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「(ツ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照ください。
(イ) 不動産の欠陥、瑕疵又は契約不適合に関するリスク
不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵、契約不適合等(工事における施工の不具合や施工報告書の施工データの転用・加筆及び性能検査記録データの書き換え等がなされているものを含みますが、これらに限りません。)が存在している可能性があり、また、かかる欠陥、瑕疵、契約不適合等が取得後に判明する可能性もあります。建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経由した不動産についても、一般的に、建物の施工を請負った建築会社又はその下請け業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、建築基準関係規定の求める安全性や構造耐力等を有することが保証されるわけではありません。本投資法人は、状況によっては、前所有者又は前信託受益者に対し一定の事項につき表明及び保証を要求し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担させる場合もありますが、たとえかかる表明及び保証が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を追及できたとしても、これらの責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者又は前信託受益者が解散したり無資力になっているために実効性がない場合もあります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵、契約不適合等の程度によっては当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために買主である本投資法人が当該欠陥、瑕疵、契約不適合等の修補、建替えその他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人が不動産を売却する場合、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。以下「宅建業法」といいます。)上、宅地建物取引業者とみなされるため、同法に基づき、売却の相手方が宅地建物取引業者である場合を除いて、不動産の売買契約において、瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関し、買主に不利となる特約をすることが制限されています。したがって、本投資法人が不動産を売却する場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵、契約不適合等の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。さらに、賃貸不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継することとされていますが(民法第605条の3、第605条の2第4項、第622条の2第1項)、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予想外の債務又は義務等を負う場合があり得ます。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受ける可能性があるほか、第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
また、登記簿の記録を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。さらに、権利に関する事項のみならず、登記簿の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上可能な範囲で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(ロ) 賃貸借契約に関するリスク
a. 賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
賃借人が賃貸借契約上解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了することがあるほか、賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされない場合もあるため、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。また、解約禁止条項、解約ペナルティ条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合や更新料を定めている場合でも、裁判所によって所定の金額から減額されることや、かかる条項の効力が否定される可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
他方で、賃貸人が、テナントとの賃貸借契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れるためには、借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)上、正当の事由があると認められる場合であることが必要であり、賃貸人側の意向どおりに賃貸借契約を終了させることができないことにより、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とすれば、契約の更新がないこととすることが認められていますが、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、当該契約は、いわゆる普通建物賃貸借契約として取り扱われる可能性があります。その結果、建物賃貸借契約が所定の時期に終了しないこと等により、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
b. 賃料不払に関するリスク
賃借人の財務状況が悪化した場合又は破産手続、民事再生法上の再生手続若しくは会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。以下「会社更生法」といいます。)上の更生手続その他の倒産手続(以下、併せて「倒産等手続」と総称します。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があり、この延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況になった場合には、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
c. 賃料改定に係るリスク
テナントとの賃貸借契約の期間が比較的長期間である場合には、多くの場合、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。
したがって、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉如何によっては、必ずしも、規定どおりに賃料を増額できるとは限りません。
d. 賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができます。請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。なお、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合には、同条に基づく賃料増額請求もできなくなるので、かかる賃料が契約締結時に予期し得なかった事情により一般的な相場に比べて低額となり、通常の賃貸借契約の場合よりも低い賃料収入しか得られない可能性があります。また、ある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができず、物件から得られる賃料収入が減少する可能性があります。
e. 敷引特約、更新料に関するリスク
敷引特約がある賃貸借契約については、敷引額の敷金額に対する割合が高い場合において、敷引特約の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人が引き継いだ敷金額より多額の敷金返還債務を負う可能性があります。また、賃貸借契約が更新される際の更新料について規定した場合において、当該規定の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人に予想外の収入の減少が発生する可能性があります。
(ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
火災、地震、液状化、津波、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、火山の噴火、戦争、暴動、騒乱、テロのほか原子力発電所における事故等(以下「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化又は毀損し、又はライフラインの断絶、周辺環境の悪化等の間接被害により不動産の正常な運営が妨げられ、その価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所の修復のため一定期間建物が不稼働となり、それができない場合には永久的に、不動産の不稼働を余儀なくされることや、安全な地域への退避により退去者が増加する可能性があります。その結果、賃料収入が減少し当該不動産の価値が下落することが考えられ、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
特に、災害等により建物が滅失した場合については、賃料収入が減少するのみでなく、滅失した建物の解体撤去、残置物や流出物等の処理のための多額の費用が発生する可能性があります。また、災害等により周辺地や第三者の財産等に損害が生じた場合にはこれらに関連する費用負担を余儀なくされる可能性もあります。火災については、失火ノ責任ニ関スル法律(明治32年3月8日法律第40号)に基づき、失火原因者は故意又は重大な過失がない限り民法上の不法行為に基づく損害賠償責任を負わないため、本投資法人が火災の原因者ではない場合にも、テナント等の失火原因者に対して損害賠償責任を追及できない可能性があります。また、本投資法人が主たる投資対象とする物流施設は大規模施設であることが多く、火災等の災害が発生した場合には、消火活動や残置物の撤去作業等に多くの時間と費用を要する可能性があります。加えて、テナントの保管物や設備の材質によっては、可燃性が高い等の理由により、火災等の災害の拡大の原因となる可能性があります。更に、法令等により設置が強制されていない防災設備については、必ずしもすべての運用資産で設置されているとは限りません。これらが、火災等の災害が発生した場合に損害を拡大する要因となる可能性もあります。
更に、不動産自体に滅失、劣化又は毀損が生じなかった場合においても、電気、ガス、水道等の使用の制限やその他の外部的要因により不動産の不稼働を余儀なくされることで、賃料収入が減少することがあり、その結果、不動産価値の下落が生じる可能性もあります。加えて、災害等の影響で周辺環境が悪化することにより、不動産の価値が下落する可能性があり、また、賃料水準の下落又は稼働率の低下により賃料収入が減少する可能性があります。
特に、近年、広域にわたり大規模な不動産被害をもたらす強力な台風や豪雨及びそれらに起因する河川の大規模な氾濫、高潮、山崩れ、地すべり等の発生の頻度が増しており、これらの災害により、本投資法人の運用資産において、建物や地盤の破損・損失、浸水、電源設備の毀損等による電源の喪失及びそれらに起因する長期にわたる稼働停止等といった事態が発生する可能性があります。
加えて、とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震や大津波が発生する可能性もあり、その場合は本投資法人の運用資産が損壊したり甚大な被害を受ける可能性があります。
今後このような災害等が発生した場合、本投資法人の運用資産に対する被害が大規模なものとなり、異なる地域に所在する複数の運用資産が同時に広範囲で被害を受ける可能性があり、その結果、賃料収入が大きく減少したり、多額の修繕費用が発生したり、資産価値が大きく下落したり、その他、本投資法人に多額の損害が発生する可能性があります。
このような不動産の価値の下落又は賃料収入の減収の結果、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。本投資法人は、かかる災害等に伴うリスクを軽減するため、一定の基準に基づき保険を付保する予定ですが、不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等若しくは損害が発生した場合(例えば、故意によるもの、戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしもすべて保険で填補されるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災は填補されません。)又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額される場合若しくは遅れる場合には、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。また、保険金が支払われた場合であっても、行政規制その他の理由により、現状と同規模の建築物を建築することができない可能性があります。
更に、本投資法人が、かかる災害等に伴って発生した損害に関し、保険契約に基づく保険会社による支払いを受けた場合、当該保険契約の更改の際に保険料が著しく引き上げられ、その結果本投資法人の収益性が低下する可能性があります。
加えて、このような災害等により本投資法人が被る損害の可能性を軽減するため、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の運用資産に対して様々な対策工事等の追加的支出を実施する場合があり、その結果本投資法人の収益性が低下する可能性があります。
(ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
運用資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うことがあります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、前記「(ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク」と同様、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、不動産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕又は対処に関連して多額の費用を要する可能性があります。加えて、不動産の所在地によっては、自然由来と推定される原因によって有害物質が存在し、その対処に関連して相当の費用を要する可能性があります。かかる修繕又は対処が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。
さらに、経済状況によっては、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
(ホ) 不動産に係る行政法規及び条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致するよう手直しをする必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建物を建築できない可能性があります。更に、建築主は、建築基準法に基づき、一定の建築物を建築する場合、着工前にその計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならず、また、規模など、一定の条件を超える建造物については構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定を受けなければなりません。しかし、建築主事若しくは指定確認検査機関による確認又は構造計算適合性判定機関による判定が適正であったか否かを事後的に検証することは、当該確認又は判定を行った当時の資料等を入手する必要があることや構造計算が複雑であること等から極めて困難です。このため、本投資法人が、当該確認又は判定が適正に行われていなかった不動産を取得、保有する可能性があり、これにより本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法に基づく市街化調整区域等の都市計画区域又は準都市計画区域内における建築物の建築又は土地の区画形質の変更の制限、都市計画法及び地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域における工作物の新築等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、航空法(昭和27年法律第231号。その後の改正を含みます。)による建造物等の高さ制限、一定割合において住宅を付置する義務や、駐車場設置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分及び建替え等に際して、事実上の困難が生じるほか、これらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。さらに、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されることや、建物の敷地とされる面積が減少することにより、収益が減少する可能性があります。また、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ヘ) 地球温暖化対策に関するリスク
近年、国内外において地球温暖化の進行が大きな社会問題となっています。そのため、地球温暖化に対する対策として、法令又は条例等により、一定の要件を満たす不動産の所有者等に温室効果ガス排出に関する報告や排出量の削減義務が課される場合があります。本投資法人の保有する不動産等がかかる要件に該当する場合、本投資法人が削減義務を負う可能性があり、排出量削減のための義務等を履行できない場合には、削減義務達成のための改修工事や排出権に関する支出等を余儀なくされる可能性があります。
また、近年、本投資法人に対するテナントや投資主等からの評価としてESGに対する取組みは重要性を増しており、法令又は条例等により本投資法人が温室効果ガスの削減義務を負わない場合であっても、場合によっては、本投資法人は、本投資法人のESGにかかる評価を維持・向上させるための追加的な支出等を行ったり、中長期的な視点に基づく投資主価値の最大化のため、本投資法人の収益性の向上が短期間では見込まれない投資等を行うことがあります。
(ト) 法令の制定又は変更に関するリスク
土壌汚染対策法のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。さらに、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人が、債務超過の状況にある等財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消される(詐害行為取消)可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本「(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク」において「買主」といいます。)からさらに不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取消され又は否認される根拠となり得る事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が否認され、その効果を主張される可能性があります。
本投資法人は、管財人等により売買が否認又は取消されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により売買が否認又は取消されるリスク等を回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
さらに、取引の態様によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(リ) マスターリース会社に関するリスク
運用資産である特定の不動産において、PM会社が不動産の所有者である本投資法人又は信託受託者との間でマスターリース契約を締結してマスターリース会社となり、その上でエンドテナントに対して転貸している場合があります。また、今後も同様の形態を用いる場合があります。
この場合、マスターリース会社の財務状態の悪化等により、マスターリース会社の債権者がマスターリース会社のエンドテナントに対する賃料債権を差し押さえる等により、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
また、マスターリース会社の倒産又は契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合には、稼働率の低下等が生じる可能性があります。
(ヌ) 転貸に関するリスク
賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸する権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなることや、退去させられなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人の賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合等には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ル) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
テナントによる不動産の利用・管理状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。また、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
例えば、建物そのものが法令や条例等の基準を満たす場合であっても、入居者による建物への変更工事、内装の変更、その他利用状況等により、建築基準法・消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人が、その改善のための費用を負担する必要が生じ、又は法令上不利益を被る可能性があります。また、賃貸借契約における規定の如何にかかわらず、入居者による転貸や賃借権の譲渡が本投資法人の承諾なしに行われる可能性があります。テナントによる不動産の利用・管理が不適切であるために火災等の災害が生じ、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。その他、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
なお、本投資法人は、かかるリスクを低減するため、独自のテナント審査基準に基づくテナント審査の実施、また、定期的にテナントの不動産利用状況の調査を行う方針ですが、なおかかるリスクが現実化しないという保証はありません。
(ヲ) 共有物件に関するリスク
運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々のリスクがあります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の価格に従い、その過半数で行うものとされているため(民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
さらに、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第3項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。
他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
また、所有権以外の権利について準共有する場合にも、同様の制限やリスクが存在します。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、あるいは価格の減価要因が増す可能性があります。
(ワ) 区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替決議等をする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数の建替決議が必要とされる等(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、区分所有者間で優先的購入権の合意をすることがあることは、共有物件の場合と同様です。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の禁止を善意の第三者に対抗することができず、分離処分が有効となります(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、あるいは価格の減価要因が増す可能性があります。
(カ) 借地物件に関するリスク
借地権とその借地上に存在する建物については、自らが所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払その他により解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人が希望する価格以上である保証はありません。
また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売されるほか、借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
さらに、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払があらかじめ約束されている場合のほか、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、あるいは価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヨ) 借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物(共有持分、区分所有権等を含みます。)を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記「(カ) 借地物件に関するリスク」の借地物件の場合と同じです。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされているため、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(タ) 開発物件に関するリスク
本投資法人は、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するためにあらかじめ開発段階で売買契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約どおりの引渡しを受けられない可能性があります。この結果、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(レ) 有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合において、当該土地について産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。
この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は、支出を余儀なくされた費用について、その原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やPCB廃棄物が保管されている場合等には、当該建物の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的若しくは部分的交換が必要となる場合又は有害物質の処分若しくは保管が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人にかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があります。
将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
(ソ) 保留地に関するリスク
保留地とは、土地区画整理法(昭和29年法律第119号。その後の改正を含みます。以下「土地区画整理法」といいます。)に基づき、換地計画において保留地として定められた土地をいいます。
保留地の所有権は、土地区画整理法により換地処分の公告の日の翌日までは取得できないものとされているため、本投資法人が上記保留地を取得した後も、換地処分の公告の日の翌日までは当該保留地について所有権の取得及び所有権移転登記ができません。そのため、保留地の売主が当該保留地を第三者に重ねて譲渡した場合には、本投資法人による当該保留地の取得の効果を第三者に対抗することができなくなる可能性があります。また、換地処分の公告の日の翌日より前の保留地に対する権利は、所有権ではなく、保留地を使用収益する権利等であると考えられます。しかし、かかる保留地を使用収益する権利等の性質や対抗要件具備の方法について確立した判例はなく、当該権利等の性質又は対抗要件具備の方法について裁判所が異なる判断をした場合、本投資法人が期待していた利益が得られなくなり、又は想定されていない費用の負担が生じる可能性があります。なお、上記の換地処分の時期等は事業計画に定められていますが、かかる定めどおりに換地処分が完了する保証はなく、換地処分が予定どおりに完了しない場合、本投資法人は、相当期間当該保留地の完全な所有権を取得することができない可能性があります。
(ツ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
本投資法人は、不動産を信託の受益権の形態で取得することがあります。
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託契約上、信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。さらに、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権は受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上の有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みますが、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正前のもの。)及び信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
さらに、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵、契約不適合等につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる瑕疵担保責任又は契約不適合責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
本投資法人が信託受益権を準共有する場合、共有物件とほぼ同様のリスクが存在します。まず、準共有する信託受益権の行使については、それが信託財産の管理に関する事項である場合、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有者の過半数で行うものと解されるため(民法第264条、民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該信託受益権の行使について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、準共有持分の処分は、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、単独所有する場合と同様に自由に行えると解されていますが、準共有する信託受益権については、準共有者間の合意により、他の準共有者の承諾なく準共有持分につき譲渡その他の処分を行わないことが義務付けられたり、準共有者がその準共有持分を第三者に売却する場合に他の準共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。準共有する信託受益権については、単独保有する場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、減価要因となる可能性があります。
(ネ) フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント等を行うことがあります。不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(ナ) テナント集中に関するリスク
運用資産である投資対象不動産のテナント数が少なくなればなるほど、本投資法人は特定のテナントの支払能力、退去その他の事情による影響を受けやすくなります。特に、一テナントしか存在しない投資対象不動産においては、本投資法人の当該投資対象不動産からの収益等は、当該テナントの支払能力、当該投資対象不動産からの転出・退去その他の事情により大きく左右されます。また、賃貸面積の大きなテナントが退去したときに、大きな空室が生じ、他のテナントを探しその空室を回復させるのに時間を要することがあり、その期間が長期になればなるほど、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。また、本投資法人の運用資産における特定の少数のテナントの賃借比率が増大したときは、当該テナントの財務状況や営業状況が悪化した場合、本投資法人の収益も悪影響を受ける可能性があります。
(ラ) 底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。底地物件の場合は特有のリスクがあります。借地権は、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します(普通借地権の場合)。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
借地権が賃借権である場合、借地権者による借地権の譲渡には、原則として、本投資法人の承諾が必要となりますが、裁判所が承諾に代わる許可をした場合(借地借家法第19条)や、借地契約上事前に一定範囲での借地権の譲渡を承諾している場合には、本投資法人の承諾なく借地権が譲渡される結果、財務状態に問題がある等の本投資法人が望まない者に借地権が譲渡される可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産等手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
さらに、借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。また、借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ) 導管性の維持に関する一般的なリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、計算期間毎に判定を行う必要があります。本投資法人は、導管性要件を継続して満たすよう努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の異動・減少、海外投資主比率の増加、資金の調達先、分配金支払原資の制限・不足、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない計算期間が生じる可能性があります。現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記「(ホ) 同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク」に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、配当等の額を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があり、本投資証券の市場価格に影響を及ぼすこともあります。
なお、課税上の取扱いについては、後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。
(ロ) 過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
導管性要件のうち、租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。その後の改正を含みます。以下「租税特別措置法施行令」といいます。)に規定する配当可能利益の額の90%超の金銭の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の税引前の会計上の利益を基礎として支払配当要件の判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異により、又は90%の算定について税務当局の解釈・運用・取扱いが本投資法人の見解と異なること等により、過大な税負担が発生した場合には、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる場合があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取り扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ハ) 借入れに係る導管性要件に関するリスク
税法上、上記の計算期間毎に判定を行う導管性要件の一つに、借入れを行う場合には投資法人が租税特別措置法に規定する機関投資家以外の者から借入れを行っていないことという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により上記の機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、又は、本投資法人に対する貸付債権が機関投資家以外の者に譲渡された場合や、保証金若しくは敷金の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、導管性要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ニ) 資金不足により計上された利益の全部を配当できないリスク
本投資法人において利益が生じているにもかかわらず金銭の借入れ又は投資法人債の発行に際しての財務制限条項上、一定額を内部留保しなければならない等、配当原資となる資金が不足する場合は、借入金や資産の処分により配当原資を確保する場合があります。しかしながら、導管性要件に基づく借入先の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の金額が租税特別措置法施行令に規定する配当可能利益の額の90%超とならない可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ホ) 同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
計算期間毎に判定を行う導管性要件のうち、計算期間終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令で定めるものに該当していないこと(発行済投資口の総口数又は一定の議決権総数の50%超が1人の投資主グループによって保有されていないこと等)とする要件、すなわち、同族会社要件については、本投資証券が市場で流通することにより、公開買付等により、本投資法人のコントロールの及ばないところで、結果として満たされなくなる計算期間が生じる可能性があります。
本投資法人が同族会社要件を満たさなくなった場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ヘ) 投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
税法上、導管性要件の一つに、計算期間末において投資法人の投資口が租税特別措置法に規定する機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資口が50人未満の投資主により保有される(上記の機関投資家のみに保有される場合を除きます。)こととなる可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ト) 税務調査等による更正処分のため、追加的な税金が発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違により過年度の課税所得計算について追加の税務否認項目等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することとなり、投資家への分配金の予想額の修正が必要となる場合があります。かかる場合、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(チ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、本書の日付現在において、一定の内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産取得税及び登録免許税の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができなくなる可能性があります。
(リ) 一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資証券に係る税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資証券の保有又は売却による手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
(ヌ) 減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日)が、2005年4月1日以後に開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
「減損会計」の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取り扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ル) 納税遅延に係る延滞税等の発生に関するリスク
本投資法人において納税義務が発生した場合に、納付原資の不足等の事情により納期限内に納税が完了しない可能性があります。この場合、遅延納付となった税額に対し遅延期間に応じ延滞税等が発生し、納税が発生した事業年度の投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
⑥ その他
(イ) 不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が不動産を売却した場合に、当該不動産に物的若しくは法的な瑕疵又は契約不適合があるために、法令の規定又は売買契約上の規定に従い、瑕疵担保責任、契約不適合責任又は表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅建業法上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関するリスクを排除できない場合があります。
(ロ) 専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価額は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価額の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価額による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。エンジニアリング・レポート及び地震PML評価報告書は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査又は施設管理者への聞き取り等を行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用並びに再調達価格の算出、並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載したものであり、不動産に欠陥、瑕疵、契約不適合等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ハ) 過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
本投資法人が取得する個別投資資産の過去の収支状況を開示する場合、不動産又は不動産信託受益権に係る不動産の前所有者等における賃貸事業収支をあくまで参考として記載することがあります。これらは不動産又は不動産信託受益権に係る不動産の前所有者等から提供を受けた未監査の情報を基礎としているため、すべてが正確であり、かつ完全な情報であるとの保証はありません。また、これらの情報は本投資法人に適用される会計原則と同じ基準に基づいて作成されたとの保証もありません。
したがって、当該投資資産を取得した後の本投資法人の収支はこれと大幅に異なるおそれがあります。
(ニ) 匿名組合出資持分又は不動産対応証券への投資に関するリスク
本投資法人は、規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分又は優先出資証券等の不動産対応証券への投資を行うことがあります。
本投資法人が出資するかかる匿名組合又は特定目的会社等においては、本投資法人の出資金が不動産等に投資されますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合、当該不動産等の価値が下落した場合、意図されない課税が生じた場合等には、本投資法人が得られる分配金、配当金、元本の償還金額、残余財産分配額等が減少し、その結果、本投資法人が出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。
また、匿名組合出資持分又は優先出資証券等については契約上譲渡が制限されていることがあり、又は、確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があります。
(ホ) 情報セキュリティに関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、その運営の効率化及び円滑化のためにコンピュータシステム等の電子情報機器(以下、本「(ホ) 情報セキュリティに関するリスク」において「システム等」といいます。)を使用しています。近年、こうしたシステム等に対してはインターネットを介した外部からのハッキングやサイバー攻撃、不正アクセス又はコンピュータウイルスへの感染等の情報セキュリティ事故等(以下、総称して「情報セキュリティ事故等」といいます。)が国内外において頻発しており、本投資法人及び本資産運用会社が情報セキュリティ事故等の被害に遭った場合、本投資法人及び本資産運用会社の運営に著しい障害が発生し、結果的に本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人及び本資産運用会社は、業務遂行の一環として、本投資法人の投資主、投資法人債権者、本投資法人役員、本資産運用会社役職員やテナントその他の第三者の個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報に関連して、本資産運用会社役職員その他の関係者による不正利用や漏えい、又は情報セキュリティ事故等による不正利用や漏えいが発生した場合、本投資法人の運営に重大な悪影響をもたらす可能性があります。また、これにより、本投資法人及び本資産運用会社の社会的信用や社会的評判が低下し、状況によっては取引の関係者等に対する損害賠償等を余儀なくされること等により、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ヘ) 外国の金融関連規制に関するリスク
本投資法人の投資口は、海外に所在する幅広い投資家によって保有及び取引されており、本投資口の新規発行に関する募集や、本投資法人の業務内容及び業績等に関する情報提供が海外に所在する投資家に対して実施されることがあります。その結果、本投資法人及び本資産運用会社に対して、様々な外国や地域の金融関連規制が課されることがあります。そして、本投資法人及び本資産運用会社が、意図せずしてそれらの金融関連規制に違反する事態が生じる可能性があります。その場合、本投資法人及び本資産運用会社が処罰の対象となったり、本投資口の新規発行に関する募集や本投資法人の業務内容及び業績等に関する投資家向けの情報提供が、かかる違反が生じた外国や地域において制限される可能性があり、その結果、本投資法人及び本資産運用会社に損害が生じたり、本投資口又は本投資法人債券の市場価格が下落する可能性があります。
(ト) 取得予定資産の取得及び売却予定資産の売却を実行することができないリスク
経済環境等が著しく変わった場合、その他相手方の事情等により売買契約において定められた前提条件が成就しない場合等においては、有価証券届出書、有価証券報告書等において開示した取得予定資産の取得及び売却予定資産の売却を実行することができない可能性があります。この場合、本投資法人は、代替資産の取得又は売却のための努力を行う予定ですが、取得予定資産に関しては、短期間に投資に適した資産を取得することができる保証はなく、短期間に資産を取得することができず、かつかかる資金を有利に運用することができない場合には、投資主に損害を与える可能性があり、また、売却予定資産に関しては、同様の条件で他の売却先に売却することができない場合には、投資主に大きな損害を与える可能性があります。
(2)投資リスクに対する管理体制
本投資法人及び本資産運用会社は、以上のようなリスクが投資リスクであることを認識しており、その上でこのようなリスクに最大限対応できるようリスク管理体制を整備しています。
しかしながら、当該リスク管理体制については、十分に効果があることが保証されているものではなく、リスク管理体制が適切に機能しない場合、投資主又は投資法人債権者に損害が及ぶおそれがあります。
① 本投資法人の体制
(イ) 役員会
本投資法人は、業務執行の意思決定及び執行役員に対する監督機関として役員会が十分に機能し、執行役員が本投資法人のために忠実にその職務を遂行するよう努めています。本投資法人の定例役員会は、原則として1か月に一度、開催され、定例役員会において、執行役員は、本資産運用会社、一般事務受託者及び資産保管会社の業務執行状況等を報告するものとされています。また、役員会において、定期的に法令等遵守に関する事項について本資産運用会社より報告がなされるものとされています。
(ロ) 本資産運用会社への牽制
本投資法人と本資産運用会社との間で締結された資産運用委託契約には、本資産運用会社が規約の基準に従って運用ガイドラインを作成すること並びに投信法、規約、運用ガイドライン及び本資産運用会社の社内諸規則に従って委託業務を遂行することを定めています。また、本資産運用会社が作成する資産運用計画等は、本資産運用会社に対して本投資法人への報告義務を負わしめていることにより、本投資法人の投資リスクに対する管理体制を強化しています。
(ハ) 投資法人内部者取引管理規程
本投資法人は、投資法人内部者取引管理規程を制定し、役員によるインサイダー類似取引の防止に努めています。なお、同規程においては、原則として本投資法人の執行役員及び監督役員が投資口の売買等を行うことは禁止されています。
② 本資産運用会社の体制
本資産運用会社は、上記のようなリスクの存在及びそのリスク量を十分に把握するよう努めており、それらのリスクを回避する手段を以下のように構築し、厳格なルールに則り運用資産への投資及び運用を行っています。
(イ) 運用ガイドラインの制定及び遵守
本資産運用会社は、規約に沿って、本投資法人から資産運用の一任を受けた投資法人資産運用会社として、運用ガイドラインを制定し、ポートフォリオ構築方針、利益相反防止方針、分配方針、開示方針等の投資運用に関する基本的な考え方について定めています。本資産運用会社は、運用ガイドラインを遵守することにより、投資運用に係るリスクの管理に努めます。
(ロ) 組織体制
本資産運用会社では、利害関係者との取引等の一定の重要事項については、コンプライアンス・オフィサーが審査した上、コンプライアンス委員会及び投資委員会の審議・決議を経て、さらに、本資産運用会社の取締役会及び本投資法人の役員会の承認を得るという厳格な手続を経ることが要求されています。このような手続により、本資産運用会社は、リスクの存在及び量を十分に把握します。後記「第二部 投資法人の詳細情報 第4 関係法人の状況 1 資産運用会社の概況 (2) 運用体制 ④ 投資運用に関するリスク管理体制の整備状況」をご参照ください。
(ハ) 利害関係者との取引規程
後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2) 本資産運用会社の自主ルール(利害関係者との取引規程)」をご参照ください。
(ニ) 内部者取引等管理規程
本資産運用会社では、内部者取引等管理規程を制定し、本資産運用会社の役職員等によるインサイダー取引の防止に努めています。
以下には、本投資法人が発行する投資証券(以下「本投資証券」といいます。)又は本投資法人が発行する投資法人債(以下「本投資法人債券」といいます。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、以下は本投資証券又は本投資法人債券への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、個別の保有資産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況 (2)投資資産 ③ その他投資資産の主要なもの (ル)保有資産の個別の概要」を併せてご参照ください。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。以下に記載するリスクが現実化した場合、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は下落し、発行価格に比べ低くなることもあると予想され、その結果、投資主又は投資法人債権者が損失を被る可能性があります。また、本投資法人の純資産額の低下、その他財務状況の悪化による分配金の減少が生じる可能性があります。
各投資家は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券又は本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されているリスク項目は、以下のとおりです。なお、本項において将来に関する事項が記載されている場合がありますが、当該事項については、本投資法人が本書の日付現在において判断したものです。
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ) 本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
(ロ) 本投資証券の市場での取引に関するリスク
(ハ) 金銭の分配に関するリスク
(ニ) 収入及び支出の変動に関するリスク
(ホ) 投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
(ヘ) 投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことに関するリスク
(ト) 投資法人債券の償還・利払に関するリスク
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ) スポンサーサポート契約に基づく物件取得が想定どおりに行えないリスク
(ロ) 地域的な偏在に関するリスク
(ハ) 不動産を取得又は処分できないリスク
(ニ) 投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
(ホ) 投資対象を物流不動産に特化していることによるリスク
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ) 伊藤忠グループへの依存、利益相反に関するリスク
(ロ) 本資産運用会社が複数の投資法人等の運用等を行うことに関するリスク
(ハ) PM会社に関するリスク
(ニ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
(ホ) 本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に依存しているリスク
(ヘ) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(ト) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
(チ) 敷金及び保証金に関するリスク
④ 不動産及び信託の受益権に関するリスク
(イ) 不動産の欠陥、瑕疵又は契約不適合に関するリスク
(ロ) 賃貸借契約に関するリスク
(ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
(ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
(ホ) 不動産に係る行政法規及び条例等に関するリスク
(ヘ) 地球温暖化対策に関するリスク
(ト) 法令の制定又は変更に関するリスク
(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
(リ) マスターリース会社に関するリスク
(ヌ) 転貸に関するリスク
(ル) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
(ヲ) 共有物件に関するリスク
(ワ) 区分所有建物に関するリスク
(カ) 借地物件に関するリスク
(ヨ) 借家物件に関するリスク
(タ) 開発物件に関するリスク
(レ) 有害物質に関するリスク
(ソ) 保留地に関するリスク
(ツ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
(ネ) フォワード・コミットメント等に係るリスク
(ナ) テナント集中に関するリスク
(ラ) 底地物件に関するリスク
⑤ 税制に関するリスク
(イ) 導管性の維持に関する一般的なリスク
(ロ) 過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ハ) 借入れに係る導管性要件に関するリスク
(ニ) 資金不足により計上された利益の全部を配当できないリスク
(ホ) 同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
(ヘ) 投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
(ト) 税務調査等による更正処分のため、追加的な税金が発生するリスク
(チ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(リ) 一般的な税制の変更に関するリスク
(ヌ) 減損会計の適用に関するリスク
(ル) 納税遅延に係る延滞税等の発生に関するリスク
⑥ その他
(イ) 不動産の売却に伴う責任に関するリスク
(ロ) 専門家報告書等に関するリスク
(ハ) 過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
(ニ) 匿名組合出資持分又は不動産対応証券への投資に関するリスク
(ホ) 情報セキュリティに関するリスク
(ヘ) 外国の金融関連規制に関するリスク
(ト) 取得予定資産の取得及び売却予定資産の売却を実行することができないリスク
① 本投資証券又は本投資法人債券の商品性に関するリスク
(イ) 本投資証券又は本投資法人債券の市場価格の変動に関するリスク
本投資法人は、投資主からの請求による払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段は、第三者に対する売却に限定されます(ただし、本投資法人は、投資主との合意により本投資口を有償で取得することができます(規約第8条第2項)。)。
本投資証券又は本投資法人債券の市場価格は、金融商品取引所における需給バランスにより影響を受け、一定の期間内に大量の売却が出た場合には、大きく価格が下落する可能性があります。
また、市場価格は、金利情勢、経済情勢、不動産市況その他市場を取り巻く様々な要因の影響を受けて変動します。加えて、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
そのため、投資主又は投資法人債権者は、本投資証券又は本投資法人債券を取得した価格で売却できない可能性があり、その結果、損失を被る可能性があります。
(ロ) 本投資証券の市場での取引に関するリスク
本投資証券は、東京証券取引所に上場していますが、本投資法人の資産総額の減少、投資証券の売買高の減少その他の東京証券取引所の有価証券上場規程に定める上場廃止基準に抵触する場合には、本投資証券の上場が廃止されます。本投資証券の上場が廃止される場合、投資主は、保有する本投資証券を相対で譲渡する他に換金の手段がないため、本投資法人の純資産額に比して相当に廉価で譲渡せざるを得ない場合や本投資証券の譲渡自体が事実上不可能となる場合があり、損失を被る可能性があります。
(ハ) 金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針 (3) 分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無及びその金額は、いかなる場合においても保証されるものではありません。本投資法人が取得する不動産及び不動産を裏付けとする資産の当該裏付け不動産(以下、本「(1) リスク要因」において「不動産」と総称します。)の賃貸状況、売却に伴う損益、減損損失の発生や建替えに伴う除却損等により、期間損益が変動し、投資主への分配金が増減することがあります。また、課税負担を軽減する目的で期間利益を超える分配を行うことや、逆に下回る分配に留まることがあります。
本投資法人は、前記「2 投資方針 (3) 分配方針 ② 利益を超えた金銭の分配(規約第39条第2号)」に記載のとおり、利益超過分配を実施する方針ですが、利益超過分配が行われるとの保証はありません。利益を超えた金銭の分配は、実質的には出資の払戻しに相当しますので、利益を超えた金銭の分配が実施された場合、本投資法人の純資産は減少することになります。また、これにより手元資金が減少することとなるため、突発的な事象等により本投資法人の想定を超えて資本的支出等を行う必要が生じた場合に手元資金の不足が生じる可能性や、機動的な物件取得にあたり資金面での制約となる可能性があります。
(ニ) 収入及び支出の変動に関するリスク
本投資法人の収入は、不動産の賃料収入に主として依存しています。不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により、大きく減少する可能性があるほか、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されることや、契約どおりの増額改定を行えない可能性もあります(なお、これら不動産に係る賃料収入に関するリスクについては、後記「④ 不動産及び信託の受益権に関するリスク (ロ) 賃貸借契約に関するリスク」をご参照ください。)。また、当該不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料が、一般的な賃料水準に比して適正な水準にあるとは限りません。
一方、収入の減少だけでなく、退去するテナントへの預り敷金及び保証金の返還、大規模修繕等に要する費用支出、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大し、キャッシュ・フローを減ずる要因となる可能性があります。
このように、不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、不動産に関する支出は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額が減少することや、本投資証券の市場価格が下落することがあります。
(ホ) 投資口の追加発行時の1口当たりの価値の希薄化に関するリスク
本投資法人は、新規投資口を随時追加発行する予定ですが、かかる追加発行により既存の投資主の保有する投資口の持分割合が減少します。また、本投資法人の営業期間中に追加発行された投資口に対して、当該営業期間の期初から存在する投資口と同額の金銭の分配が行われる場合には、既存の投資主は、追加発行がなかった場合に比して、悪影響を受ける可能性があります。
さらに、追加発行の結果、本投資口1口当たりの価値や市場における需給バランスが影響を受ける可能性があります。
(ヘ) 投資主の権利が必ずしも株主の権利と同一ではないことに関するリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会を通じて、本投資法人の意思決定に参画することができるほか、本投資法人に対して一定の権利を行使することができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは必ずしも同一ではありません。たとえば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はないことから、投資主総会は、必ずしも、決算期毎に招集されるわけではありません。また、投資主が投資主総会に出席せず、かつ、議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなします(投信法第93条第1項、規約第14条第1項)(ただし、本投資法人の規約上、執行役員又は監督役員の選任又は解任、資産運用会社との間の資産運用委託契約の締結又は解約、解散その他規約に定める一定の重要議案については、一定の要件を満たす少数投資主が所定の期限までに当該議案に反対である旨を本投資法人に通知した場合、又は、本投資法人が当該議案に反対である旨を表明した場合には、上記のみなし賛成制度の適用はないものとされています。詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 3 投資主・投資法人債権者の権利 (1) 投資主の権利 ① 投資主総会における議決権」をご参照下さい。)。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を本資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
(ト) 投資法人債券の償還・利払に関するリスク
本投資法人の信用状況の悪化その他の事由により、本投資法人債券について元本や利子の支払が滞ることや、支払不能が生じるリスクがあります。
② 本投資法人の運用方針に関するリスク
(イ) スポンサーサポート契約に基づく物件取得が想定どおりに行えないリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、伊藤忠商事及び伊藤忠都市開発との間で、それぞれ、スポンサーサポート契約を締結しています。しかし、これらの会社は、一定の不動産につき、本投資法人及び本資産運用会社に情報の提供を受ける権利や取得に関する優先交渉権等を与えるものにすぎず、これらの会社は、本投資法人に対して、不動産を本投資法人の希望する価格で売却する義務等を負っているわけではありません。また、これらの会社が本投資法人と競合して不動産を取得する可能性を完全に排除するものではありません。すなわち、本投資法人は、各スポンサーサポート契約により、本投資法人が適切であると判断する不動産を適切な価格で取得できることまで常に確保されているわけではありません。
したがって、本投資法人は、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があります。
(ロ) 地域的な偏在に関するリスク
本投資法人は、取得価格(取得に伴う諸費用及び税金を含みません。)を基準として70%以上を関東エリア及び関西エリアに所在する不動産等に投資する方針です。このように、投資対象となる不動産が地域的に偏在していることから、関東エリア及び関西エリアにおける地域経済や不動産マーケットの変動、地震・台風等の災害、人口変動等の特有な事象の発生によって、本投資法人の収益に重大な悪影響が生じる可能性があります。
(ハ) 不動産を取得又は処分できないリスク
不動産は、一般的にそれぞれの物件の個別性が強いために代替性がなく、流動性が低いため、希望する時期に希望する物件を取得又は処分できない可能性があります。また、不動産投資信託、その他のファンド及び投資家等による不動産に対する投資が活況である場合には、必ずしも、本投資法人が取得を希望した不動産等及び不動産対応証券等を取得することができるとは限りません。取得が可能であったとしても、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。さらに、本投資法人が不動産等及び不動産対応証券等を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の観点から希望した価格、時期その他の条件で取引を行えない可能性等もあります。
以上の結果、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを構築できない可能性があり、またポートフォリオの組替えが適時に行えない可能性があります。
(ニ) 投資口の追加発行、借入れ及び投資法人債の発行による資金調達に関するリスク
投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、本投資法人の経済的信用力、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で投資口の追加発行、金銭の借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はなく、その結果、予定した資産を取得できなかったり、予定しない資産の売却を余儀なくされたり、資金繰りがつかなくなる可能性があります。
また、本投資法人が金銭の借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、当該金銭の借入れ又は投資法人債の発行の条件として、投資主への金銭の分配を制約する等の財務制限条項が設けられたり、運用資産に担保を設定することとなったり、規約の変更が制限される等の可能性があり、このような制約が本投資法人の運営に支障をきたし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの制限に違反した場合には、追加の担保設定や費用負担等を求められ、本投資法人の運営に重大な悪影響が生じる可能性があります。なお、本投資法人は、財務制限条項を設けることを借入先と合意しています。かかる財務制限条項には、本投資法人のLTV等の財務指標に関する数値が一定の数値を超過した場合の、現金等の留保義務、期限の利益喪失等に関する条件や投資主への分配の制約等が含まれていますが、本書の日付現在において、当該財務制限条項に抵触する事実又は抵触するおそれがある事実は生じていません。
本投資法人の運用資産に担保が設定された場合、本投資法人が担保の設定された運用資産の売却を希望したとしても、担保の解除手続その他の事情により、希望どおりの時期に売却できない可能性又は希望する価格で売却できない可能性があります。また、収益性の悪化等により運用資産の評価額が引き下げられた場合又は他の借入れを行う場合等、一定の条件のもとに投資対象不動産に対して追加して担保を設定することを要求される可能性もあります。この場合、他の借入れ等のために担保が既に設定されている等の理由で担保に供する適切な資産がない可能性もあります。また、担保不動産からのキャッシュ・フローが減少したり、その評価額が引き下げられたりした場合には、本投資法人の希望しない条件で借換資金を調達せざるを得なくなったり、本投資法人の希望しない時期及び条件で運用資産を処分せざるを得なくなったりする状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、担保に供する適切な資産がないために、本投資法人の希望どおりの借入れ等を行えない可能性もあります。
さらに、借入れ及び投資法人債の金利は、借入時及び投資法人債発行時の市場動向に左右され、変動金利の場合には、その後の市場動向にも左右されます。借入れ及び投資法人債の金利が上昇し、又は、本投資法人の借入額及び投資法人債発行額が増加した場合には、本投資法人の利払額は増加します。このような利払額の増加により、投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、金利の上昇により支払利息が増加するリスクを軽減するために、変動金利による借入れの金利固定化を図る金利スワップ取引を行うことがあります。しかし、こうした取引を行った場合においても、関連する契約の内容や、取引相手方が万が一破綻した際の中途解約等により、金利リスク低減のメリットを受けられない可能性があります。
(ホ) 投資対象を物流不動産に特化していることによるリスク
本投資法人は、不動産の中でも、物流不動産を主たる投資対象としていますが、本投資法人はこれに伴う特有のリスクを抱えています。
まず、物流不動産に対する需要は、日本経済全体の動向、特に流通量の動向に影響を与える様々な事象による影響を受けています。これには、今後の日本の景気動向、生産活動の海外移転等の進捗状況、人口の推移、生産活動と消費活動を結ぶ流通形態の変化等が含まれます。また、本投資法人が投資対象としている物流不動産には海外への輸出拠点又は海外からの輸入拠点として使用される物件も含まれることから、テナント需要は、為替等の経済情勢にも左右される可能性があります。これらの推移によっては、本投資法人が投資対象とする物流不動産に対する需要が全般的に減少し、その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
物流不動産全体に対する需要が減少しない場合でも、今後の生産拠点や物流形態の変化等により、特定の物流不動産に対する需要が低下し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、生産拠点の移転、新たな道路網の整備等により、既存の物流拠点がその立地上の優位性を失い、当該物流不動産のテナント需要が低下する可能性があります。また、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の制定による規制等により大きく変化した場合、それぞれを主要な輸送手段とする物流不動産の役割が衰退することとなり、当該物流不動産のテナント需要が低下する可能性もあります。
さらに、特定の物流不動産の周辺の市街地化により、共同住宅・戸建住宅や学校・病院等の公益不動産の建設が近隣で行われ、周辺環境が変動し、テナントの操業に支障が発生することがあります。その結果、テナント需要が後退し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性等も考えられます。また、既存テナントが退去した場合、物流不動産は他の用途の不動産と比較して、代替テナントとなり得る者が限定されるため、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。
また、本投資法人の保有する物流不動産のテナントが、港湾労働法に定める港湾運送の業務に従事すること等により、同法の適用を受ける場合、当該テナントには、同法を遵守するための費用負担等が生じ、その結果、テナントの収益を悪化させる可能性及び同法の適用のない他の物流不動産に比べて競合上不利になる可能性があり、これらを通じて本投資法人の収益性に悪影響が及ぶ可能性があります。
上記のほかにも、本投資法人が物流不動産を投資対象としていることから、その建物の特性、適用規制、テナント特性、取り扱われる物品等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 本投資法人の関係者、仕組みに関するリスク
(イ) 伊藤忠グループへの依存、利益相反に関するリスク
本書の日付現在、伊藤忠グループのうち、伊藤忠商事は本資産運用会社の80%の、伊藤忠都市開発は20%の株式を保有しています。また、伊藤忠商事は、本資産運用会社の役職員の主要な出向元であり、本資産運用会社の取締役(非常勤)及び監査役(非常勤)の兼任先で、伊藤忠都市開発は本資産運用会社の取締役(非常勤)の兼任先です。また、本投資法人及び本資産運用会社は、伊藤忠商事及び伊藤忠都市開発との間で、それぞれ、スポンサーサポート契約を締結しています(各スポンサーサポート契約については、後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2) 本資産運用会社の自主ルール(利害関係者取引規程) ⑥ 利害関係人等との取引 (ホ) スポンサーサポート契約」をご参照ください。)。
また、本投資法人は、伊藤忠グループから、物件の供給その他の外部成長のためのサポートを受けるとともに、伊藤忠商事に対してリーシングマネジメント業務を委託するほか、マスターリース兼プロパティマネジメント業務委託を伊藤忠グループに集約化する等、保有物件に対する内部成長のためのサポートを今後継続的に受ける方針です。
すなわち、本投資法人及び本資産運用会社は、伊藤忠グループと密接な関係を有しており、本投資法人による安定した収益の確保と成長性に対する影響は相当程度高いということができます。
したがって、本投資法人及び本資産運用会社が伊藤忠グループとの間で、本書の日付現在における関係と同様の関係を維持できなくなった場合や、伊藤忠グループに業務の懈怠その他義務違反があった場合、上記契約が解除された場合、伊藤忠グループが倒産手続その他の理由により業務遂行能力を維持できなくなった場合等には、本投資法人に悪影響が及ぶ可能性があります。
さらに、本投資法人や本資産運用会社が、資産運用活動その他を通じて、伊藤忠グループ又は同グループが運用するファンドとの間で取引を行う場合、本資産運用会社と伊藤忠グループの上記のような関係から、伊藤忠グループ又は同グループが運用するファンドの利益のために、本投資法人の投資主又は投資法人債権者の利益に反する行為が行われる可能性もあり、その場合には、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(ロ) 本資産運用会社が複数の投資法人等の運用等を行うことに関するリスク
金融商品取引法上、資産運用会社が複数の投資法人等から資産運用等を受託することを禁じられておらず、本資産運用会社は、本投資法人の他、賃貸住宅を主たる投資対象とする上場投資法人であるADRと、投資対象を特定の用途に係る不動産に限定しない総合型のアドバンス・プライベート投資法人(以下「ADP」といいます。)の資産の運用を受託しており、また、投資法人以外の不動産私募ファンドの資産の運用又は投資助言業務を受託しています。
本投資法人は物流不動産を主な投資対象としているため、賃貸住宅を主な投資対象とするADRとは、本書の日付現在、その投資対象が異なっていますが、ADP及び前記不動産私募ファンドとは投資対象が競合する関係にあり、物件取得の場合等、本投資法人との間の利益が相反する可能性があります。
そのため、本資産運用会社では、資産取得の検討順位に関する規程を制定し、本資産運用会社が入手する案件情報に関して、本投資法人の投資対象資産である物流施設等に係る取得情報を入手した場合、当該取得情報の検討順位は原則として本投資法人が優先検討権を有するものとし(後記「第二部 投資法人の詳細情報 第4 関係法人の状況 1 資産運用会社の概況(2)運用体制 ③ 本投資法人及び他受託ファンド間における利益相反の防止(資産取得の検討順位)」をご参照ください。)、かかるルールに則った運営を行うこととしています。
しかし、かかるルールに則った運営が適切に行われない場合又はかかるルールが本投資法人に不利益に変更される場合等には、本投資法人にとって望ましいと考えられるポートフォリオの構築が実現しにくくなる可能性があり、結果として、本投資法人の収益性や資産の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ) PM会社に関するリスク
一般に、賃借人の管理、建物の保守管理等不動産の管理業務全般の成否は、PM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、本投資法人が保有している不動産の管理についても、管理を委託するPM会社の業務遂行能力に強く依拠することになります。
管理委託先を選定するにあたっては、当該PM会社の能力、経験及びノウハウ等を十分考慮することが前提となりますが、そのPM会社における人的又は財産的基盤が維持される保証はありません。また、複数の不動産に関して、他の顧客(他の不動産投資法人を含みます。)から不動産の管理及び運営業務を受託し、本投資法人の投資対象不動産に係るPM業務と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、当該PM会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。さらに、PM会社につき、業務懈怠又は倒産事由が生じないとの保証はありません。これらの事象が生じた場合、本投資法人は、管理委託契約を解除することはできますが、この場合、後任のPM会社が任命されるまではPM会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、一時的に当該投資対象不動産の管理状況が悪化する可能性があります。また、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する新たなPM会社を選任できる保証はありません。
(ニ) 本投資法人の関係者への依存、利益相反に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、すべての執行役員及び監督役員から構成される役員会において重要な意思決定を行い、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はありません。また、投信法は、本投資法人の執行役員及び監督役員並びに本投資法人の関係者に関する義務及び責任を定めていますが、これらの本投資法人の関係者が投信法その他の法令に反し、又は、法定の措置をとらないときは、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、それぞれの立場において本投資法人の利益を害し、自己又は第三者の利益を図ることが可能な立場にあります。本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、法令上又は契約上負っている善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)、本投資法人のために忠実に職務を遂行する義務(忠実義務)、利益相反状況にある場合に本投資法人の利益を害してはならない義務、その他の義務を負っていますが、これらに違反し、本投資法人の利益を害することとなる取引を行った場合には、本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者が損害を受ける可能性があります。
さらに、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との契約が解約されることがあります。投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関して第三者へ委託することが要求されているため、各契約が解約された場合には、本投資法人は新たな受託者に委託する必要があります。しかし、本投資法人の希望する時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する新たな受託者を選任できる保証はなく、速やかに選任できない場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
このほかに、本資産運用会社又は本投資法人若しくは運用資産である不動産信託受益権に関する信託受託者から委託を受ける業者として、PM会社、建物の管理会社等があります。本投資法人の収益性の向上及び安定のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに依存するところも大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基盤等を必ずしも維持できる保証はなく、またこれらの者との契約が将来にわたり維持される保証もありません。これらの者について業務の懈怠その他の義務違反があった場合や業務遂行能力が失われた場合その他何らかの理由によりこれらの者との契約が終了した場合には本投資法人の存続及び収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ホ) 本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に依存しているリスク
本投資法人の運営は、本投資法人の執行役員及び本資産運用会社の人材に大きく依存しており、これらの人材が失われた場合、本投資法人の運営に悪影響をもたらす可能性があります。
(ヘ) 本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
規約に記載されている資産運用の対象及び方針等の基本的な事項の変更には、投資主総会の承認が必要ですが、本投資法人の役員会及び本資産運用会社の取締役会が定めたより詳細な投資方針、ポートフォリオ構築方針、運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく、変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
また、本投資法人の発行する投資証券について支配権獲得その他を意図した取得が行われた場合、投資主総会での決議等の結果として本投資法人の運用方針、運営形態等が他の投資主の想定しなかった方針、形態等に変更される可能性があります。
一方で、運用環境の変化に対応して、適切に本投資法人の運用方針、運用形態等を変更できない可能性もあり、そのような場合には、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ト) 本投資法人の倒産又は登録抹消のリスク
本投資法人は、破産法(平成16年法律第75号。その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)上の破産手続、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)上の再生手続及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服する可能性があります。
本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。
本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産の分配を受けることによってしか投資金額を回収することができません。このため、投資主は、投資金額の全部又は一部を回収することができない可能性があります。
(チ) 敷金及び保証金に関するリスク
本投資法人は、運用資産の賃借人が無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を運用資産の取得資金の一部として利用する場合があります。しかし、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があり、この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなります。また、敷金又は保証金を本投資法人が利用する条件として、本投資法人が敷金又は保証金の返還債務を負う場合があり、当該返還債務の履行に必要な資金を借入れ等により調達する可能性があります。これらの結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
④ 不動産及び信託の受益権に関するリスク
本投資法人の主たる運用資産は、前記「2 投資方針 (2) 投資対象 ① 投資対象とする資産の種類」に記載のとおり、不動産等及び不動産対応証券です。不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産の所有者は、その信託財産である不動産又は裏付けとなる不動産を直接所有する場合と、経済的には、ほぼ同様の利益状況に置かれます。したがって、以下に記載する不動産に関するリスクは、不動産を信託する信託の受益権その他不動産を裏付けとする資産についても、ほぼ同様にあてはまります。
なお、信託の受益権特有のリスクについては、後記「(ツ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク」をご参照ください。
(イ) 不動産の欠陥、瑕疵又は契約不適合に関するリスク
不動産には権利、地盤、地質、構造等に関して欠陥、瑕疵、契約不適合等(工事における施工の不具合や施工報告書の施工データの転用・加筆及び性能検査記録データの書き換え等がなされているものを含みますが、これらに限りません。)が存在している可能性があり、また、かかる欠陥、瑕疵、契約不適合等が取得後に判明する可能性もあります。建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経由した不動産についても、一般的に、建物の施工を請負った建築会社又はその下請け業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、建築基準関係規定の求める安全性や構造耐力等を有することが保証されるわけではありません。本投資法人は、状況によっては、前所有者又は前信託受益者に対し一定の事項につき表明及び保証を要求し、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担させる場合もありますが、たとえかかる表明及び保証が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任、瑕疵担保責任又は契約不適合責任を追及できたとしても、これらの責任の期間及び責任額は一定範囲に限定されるのが通例であり、また、前所有者又は前信託受益者が解散したり無資力になっているために実効性がない場合もあります。
これらの場合には、当該欠陥、瑕疵、契約不適合等の程度によっては当該不動産の資産価値が低下することを防ぐために買主である本投資法人が当該欠陥、瑕疵、契約不適合等の修補、建替えその他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人が不動産を売却する場合、本投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。以下「宅建業法」といいます。)上、宅地建物取引業者とみなされるため、同法に基づき、売却の相手方が宅地建物取引業者である場合を除いて、不動産の売買契約において、瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関し、買主に不利となる特約をすることが制限されています。したがって、本投資法人が不動産を売却する場合は、売却した不動産の欠陥、瑕疵、契約不適合等の修補その他に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなることがあり、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。さらに、賃貸不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継することとされていますが(民法第605条の3、第605条の2第4項、第622条の2第1項)、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予想外の債務又は義務等を負う場合があり得ます。
加えて、不動産をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、不動産に関する権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受ける可能性があるほか、第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
また、登記簿の記録を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことがあります。さらに、権利に関する事項のみならず、登記簿の不動産の表示に関する事項が現況と一致していない場合もあります。このような場合、上記と同じく、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上可能な範囲で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はありません。
(ロ) 賃貸借契約に関するリスク
a. 賃貸借契約の解約及び更新に関するリスク
賃借人が賃貸借契約上解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了することがあるほか、賃貸借契約の期間満了時に契約の更新がなされない場合もあるため、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。また、解約禁止条項、解約ペナルティ条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合や更新料を定めている場合でも、裁判所によって所定の金額から減額されることや、かかる条項の効力が否定される可能性があります。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
他方で、賃貸人が、テナントとの賃貸借契約の更新を拒絶したり、解約を申し入れるためには、借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)上、正当の事由があると認められる場合であることが必要であり、賃貸人側の意向どおりに賃貸借契約を終了させることができないことにより、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とすれば、契約の更新がないこととすることが認められていますが、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、当該契約は、いわゆる普通建物賃貸借契約として取り扱われる可能性があります。その結果、建物賃貸借契約が所定の時期に終了しないこと等により、本投資法人の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
b. 賃料不払に関するリスク
賃借人の財務状況が悪化した場合又は破産手続、民事再生法上の再生手続若しくは会社更生法(平成14年法律第154号。その後の改正を含みます。以下「会社更生法」といいます。)上の更生手続その他の倒産手続(以下、併せて「倒産等手続」と総称します。)の対象となった場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があり、この延滞賃料等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況になった場合には、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
c. 賃料改定に係るリスク
テナントとの賃貸借契約の期間が比較的長期間である場合には、多くの場合、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。
したがって、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はありません。賃料改定により賃料が減額された場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、定期的に賃料等を増額する旨の規定が賃貸借契約にある場合でも、賃借人との交渉如何によっては、必ずしも、規定どおりに賃料を増額できるとは限りません。
d. 賃借人による賃料減額請求権行使のリスク
建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合を除いて、同条に基づく賃料減額請求をすることができます。請求が認められた場合、当該不動産から得られる賃料収入が減少し、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。なお、定期建物賃貸借契約において借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合には、同条に基づく賃料増額請求もできなくなるので、かかる賃料が契約締結時に予期し得なかった事情により一般的な相場に比べて低額となり、通常の賃貸借契約の場合よりも低い賃料収入しか得られない可能性があります。また、ある建物賃貸借契約を定期建物賃貸借契約とした上で借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を排除する特約を設けた場合であっても、定期建物賃貸借契約の効力が認められるためには、借地借家法第38条所定の要件を充足する必要があるため、借地借家法第38条所定の要件が充足されなかった場合には、賃料減額請求権を排除することができず、物件から得られる賃料収入が減少する可能性があります。
e. 敷引特約、更新料に関するリスク
敷引特約がある賃貸借契約については、敷引額の敷金額に対する割合が高い場合において、敷引特約の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人が引き継いだ敷金額より多額の敷金返還債務を負う可能性があります。また、賃貸借契約が更新される際の更新料について規定した場合において、当該規定の全部又は一部の有効性が否定され、本投資法人に予想外の収入の減少が発生する可能性があります。
(ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク
火災、地震、液状化、津波、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、火山の噴火、戦争、暴動、騒乱、テロのほか原子力発電所における事故等(以下「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化又は毀損し、又はライフラインの断絶、周辺環境の悪化等の間接被害により不動産の正常な運営が妨げられ、その価値が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所の修復のため一定期間建物が不稼働となり、それができない場合には永久的に、不動産の不稼働を余儀なくされることや、安全な地域への退避により退去者が増加する可能性があります。その結果、賃料収入が減少し当該不動産の価値が下落することが考えられ、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
特に、災害等により建物が滅失した場合については、賃料収入が減少するのみでなく、滅失した建物の解体撤去、残置物や流出物等の処理のための多額の費用が発生する可能性があります。また、災害等により周辺地や第三者の財産等に損害が生じた場合にはこれらに関連する費用負担を余儀なくされる可能性もあります。火災については、失火ノ責任ニ関スル法律(明治32年3月8日法律第40号)に基づき、失火原因者は故意又は重大な過失がない限り民法上の不法行為に基づく損害賠償責任を負わないため、本投資法人が火災の原因者ではない場合にも、テナント等の失火原因者に対して損害賠償責任を追及できない可能性があります。また、本投資法人が主たる投資対象とする物流施設は大規模施設であることが多く、火災等の災害が発生した場合には、消火活動や残置物の撤去作業等に多くの時間と費用を要する可能性があります。加えて、テナントの保管物や設備の材質によっては、可燃性が高い等の理由により、火災等の災害の拡大の原因となる可能性があります。更に、法令等により設置が強制されていない防災設備については、必ずしもすべての運用資産で設置されているとは限りません。これらが、火災等の災害が発生した場合に損害を拡大する要因となる可能性もあります。
更に、不動産自体に滅失、劣化又は毀損が生じなかった場合においても、電気、ガス、水道等の使用の制限やその他の外部的要因により不動産の不稼働を余儀なくされることで、賃料収入が減少することがあり、その結果、不動産価値の下落が生じる可能性もあります。加えて、災害等の影響で周辺環境が悪化することにより、不動産の価値が下落する可能性があり、また、賃料水準の下落又は稼働率の低下により賃料収入が減少する可能性があります。
特に、近年、広域にわたり大規模な不動産被害をもたらす強力な台風や豪雨及びそれらに起因する河川の大規模な氾濫、高潮、山崩れ、地すべり等の発生の頻度が増しており、これらの災害により、本投資法人の運用資産において、建物や地盤の破損・損失、浸水、電源設備の毀損等による電源の喪失及びそれらに起因する長期にわたる稼働停止等といった事態が発生する可能性があります。
加えて、とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震や大津波が発生する可能性もあり、その場合は本投資法人の運用資産が損壊したり甚大な被害を受ける可能性があります。
今後このような災害等が発生した場合、本投資法人の運用資産に対する被害が大規模なものとなり、異なる地域に所在する複数の運用資産が同時に広範囲で被害を受ける可能性があり、その結果、賃料収入が大きく減少したり、多額の修繕費用が発生したり、資産価値が大きく下落したり、その他、本投資法人に多額の損害が発生する可能性があります。
このような不動産の価値の下落又は賃料収入の減収の結果、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。本投資法人は、かかる災害等に伴うリスクを軽減するため、一定の基準に基づき保険を付保する予定ですが、不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で填補されない災害等若しくは損害が発生した場合(例えば、故意によるもの、戦争やテロ行為等に基づくものは必ずしもすべて保険で填補されるとは限りません。また、通常の火災保険では地震による火災は填補されません。)又は保険契約に基づく保険会社による支払が他の何らかの理由により行われず、減額される場合若しくは遅れる場合には、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼし、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。また、保険金が支払われた場合であっても、行政規制その他の理由により、現状と同規模の建築物を建築することができない可能性があります。
更に、本投資法人が、かかる災害等に伴って発生した損害に関し、保険契約に基づく保険会社による支払いを受けた場合、当該保険契約の更改の際に保険料が著しく引き上げられ、その結果本投資法人の収益性が低下する可能性があります。
加えて、このような災害等により本投資法人が被る損害の可能性を軽減するため、本投資法人及び本資産運用会社は、本投資法人の運用資産に対して様々な対策工事等の追加的支出を実施する場合があり、その結果本投資法人の収益性が低下する可能性があります。
(ニ) 不動産に係る所有者責任、修繕・維持費用等に関するリスク
運用資産である不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うことがあります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、前記「(ハ) 災害等による建物の毀損、滅失及び劣化並びに周辺環境の悪化に伴うリスク」と同様、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
また、不動産につき滅失、毀損又は劣化等が生じ、修繕が必要となる場合には、かかる修繕又は対処に関連して多額の費用を要する可能性があります。加えて、不動産の所在地によっては、自然由来と推定される原因によって有害物質が存在し、その対処に関連して相当の費用を要する可能性があります。かかる修繕又は対処が困難又は不可能な場合には、不動産から得られる賃料収入が減少し、不動産の価格が下落する可能性があります。
さらに、経済状況によっては、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
(ホ) 不動産に係る行政法規及び条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致するよう手直しをする必要があり、追加的な費用負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建物を建築できない可能性があります。更に、建築主は、建築基準法に基づき、一定の建築物を建築する場合、着工前にその計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、建築主事又は指定確認検査機関の確認を受けなければならず、また、規模など、一定の条件を超える建造物については構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定を受けなければなりません。しかし、建築主事若しくは指定確認検査機関による確認又は構造計算適合性判定機関による判定が適正であったか否かを事後的に検証することは、当該確認又は判定を行った当時の資料等を入手する必要があることや構造計算が複雑であること等から極めて困難です。このため、本投資法人が、当該確認又は判定が適正に行われていなかった不動産を取得、保有する可能性があり、これにより本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用資産である不動産に適用される可能性があります。例えば、都市計画法に基づく市街化調整区域等の都市計画区域又は準都市計画区域内における建築物の建築又は土地の区画形質の変更の制限、都市計画法及び地方公共団体の条例による風致地区内における建築等の規制、河川法(昭和39年法律第167号。その後の改正を含みます。)による河川保全区域における工作物の新築等の制限、文化財保護法(昭和25年法律第214号。その後の改正を含みます。)に基づく試掘調査義務、航空法(昭和27年法律第231号。その後の改正を含みます。)による建造物等の高さ制限、一定割合において住宅を付置する義務や、駐車場設置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産の処分及び建替え等に際して、事実上の困難が生じるほか、これらの義務を遵守するための追加的な費用負担が生じる可能性があります。さらに、運用資産である不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されることや、建物の敷地とされる面積が減少することにより、収益が減少する可能性があります。また、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ヘ) 地球温暖化対策に関するリスク
近年、国内外において地球温暖化の進行が大きな社会問題となっています。そのため、地球温暖化に対する対策として、法令又は条例等により、一定の要件を満たす不動産の所有者等に温室効果ガス排出に関する報告や排出量の削減義務が課される場合があります。本投資法人の保有する不動産等がかかる要件に該当する場合、本投資法人が削減義務を負う可能性があり、排出量削減のための義務等を履行できない場合には、削減義務達成のための改修工事や排出権に関する支出等を余儀なくされる可能性があります。
また、近年、本投資法人に対するテナントや投資主等からの評価としてESGに対する取組みは重要性を増しており、法令又は条例等により本投資法人が温室効果ガスの削減義務を負わない場合であっても、場合によっては、本投資法人は、本投資法人のESGにかかる評価を維持・向上させるための追加的な支出等を行ったり、中長期的な視点に基づく投資主価値の最大化のため、本投資法人の収益性の向上が短期間では見込まれない投資等を行うことがあります。
(ト) 法令の制定又は変更に関するリスク
土壌汚染対策法のほか、将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
また、消防法その他不動産の管理に影響する関係法令の改正により、不動産の管理費用等が増加する可能性があります。さらに、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令若しくは行政行為又はその変更等が本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク
本投資法人が、債務超過の状況にある等財務状態が実質的危機時期にあると認められる又はその疑義がある者を売主として不動産を取得した場合には、当該不動産の売買が売主の債権者により取消される(詐害行為取消)可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後、売主について倒産等手続が開始した場合には、不動産の売買が破産管財人、監督委員又は管財人により否認される可能性が生じます。
また、本投資法人が、ある売主から不動産を取得した別の者(以下、本「(チ) 売主の倒産等の影響を受けるリスク」において「買主」といいます。)からさらに不動産を取得した場合において、本投資法人が、当該不動産の取得時において、売主と買主間の当該不動産の売買が詐害行為として取消され又は否認される根拠となり得る事実関係を知っている場合には、本投資法人に対しても、売主・買主間の売買が否認され、その効果を主張される可能性があります。
本投資法人は、管財人等により売買が否認又は取消されるリスク等について諸般の事情を慎重に検討し、実務的に可能な限り管財人等により売買が否認又は取消されるリスク等を回避するよう努めますが、このリスクを完全に排除することは困難です。
さらに、取引の態様によっては売主と本投資法人との間の不動産の売買が、担保取引であると判断され、当該不動産は破産者である売主の破産財団の一部を構成し、又は更生会社若しくは再生債務者である売主の財産に属するとみなされる可能性(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)もあります。
(リ) マスターリース会社に関するリスク
運用資産である特定の不動産において、PM会社が不動産の所有者である本投資法人又は信託受託者との間でマスターリース契約を締結してマスターリース会社となり、その上でエンドテナントに対して転貸している場合があります。また、今後も同様の形態を用いる場合があります。
この場合、マスターリース会社の財務状態の悪化等により、マスターリース会社の債権者がマスターリース会社のエンドテナントに対する賃料債権を差し押さえる等により、マスターリース会社から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払が滞る可能性があります。
また、マスターリース会社の倒産又は契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合には、稼働率の低下等が生じる可能性があります。
(ヌ) 転貸に関するリスク
賃借人(転借人を含みます。)に、不動産の一部又は全部を転貸する権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなることや、退去させられなくなる可能性があるほか、賃借人の賃料が、転借人の賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合、又は債務不履行を理由に解除された場合であっても、賃貸借契約上、賃貸借契約終了の場合に転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される旨規定されている場合等には、かかる敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ル) テナント等による不動産の利用状況に関するリスク
テナントによる不動産の利用・管理状況により、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。また、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
例えば、建物そのものが法令や条例等の基準を満たす場合であっても、入居者による建物への変更工事、内装の変更、その他利用状況等により、建築基準法・消防法その他の法令や条例等に違反する状態となり、本投資法人が、その改善のための費用を負担する必要が生じ、又は法令上不利益を被る可能性があります。また、賃貸借契約における規定の如何にかかわらず、入居者による転貸や賃借権の譲渡が本投資法人の承諾なしに行われる可能性があります。テナントによる不動産の利用・管理が不適切であるために火災等の災害が生じ、当該不動産の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。その他、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
なお、本投資法人は、かかるリスクを低減するため、独自のテナント審査基準に基づくテナント審査の実施、また、定期的にテナントの不動産利用状況の調査を行う方針ですが、なおかかるリスクが現実化しないという保証はありません。
(ヲ) 共有物件に関するリスク
運用資産である不動産が第三者との間で共有されている場合には、その保存・利用・処分等について単独で所有する場合には存在しない種々のリスクがあります。
まず、共有物の管理は、共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有者の持分の価格に従い、その過半数で行うものとされているため(民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるこれらの権利行使によって、本投資法人の当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
さらに、共有の場合、他の共有者からの共有物全体に対する分割請求権行使を受ける可能性(民法第256条)、及び裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性(民法第258条第3項)があり、ある共有者の意図に反して他の共有者からの分割請求権行使によって共有物全体が処分されるリスクがあります。
この分割請求権を行使しないという共有者間の特約は有効ですが、この特約は5年を超えては効力を有しません。また、登記済みの不分割特約がある場合でも、特約をした者について倒産手続の対象となった場合には、管財人等はその換価処分権を確保するために分割請求ができるとされています。ただし、共有者は、倒産手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。
他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた物件全体について当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、運用資産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の運用資産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有持分の処分は単独所有物と同様に自由に行えると解されていますが、共有不動産については、共有者間で共有持分の優先的購入権の合意をすることにより、共有者がその共有持分を第三者に売却する場合に他の共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。
不動産の共有者が賃貸人となる場合には、賃料債権は不可分債権となり敷金返還債務は不可分債務になると一般的には解されており、共有者は他の賃貸人である共有者の信用リスクの影響を受ける可能性があります。
また、所有権以外の権利について準共有する場合にも、同様の制限やリスクが存在します。
共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、あるいは価格の減価要因が増す可能性があります。
(ワ) 区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。区分所有建物の場合には、区分所有法上、法定の管理方法及び管理規約(管理規約の定めがある場合)によって管理方法が定められます。建替決議等をする場合には集会において区分所有者及び議決権(管理規約に別段の定めのない限り、その有する専有部分の床面積の割合)の各5分の4以上の多数の建替決議が必要とされる等(区分所有法第62条)、区分所有法の適用を受けない単独所有物件と異なり管理方法に制限があります。
区分所有建物の専有部分の処分は自由に行うことができますが、区分所有者間で優先的購入権の合意をすることがあることは、共有物件の場合と同様です。
区分所有建物と敷地の関係については以下のようなリスクがあります。
区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利を敷地利用権といいます。区分所有建物では、専有部分と敷地利用権の一体性を保持するために、法律で、専有部分とそれに係る敷地利用権を分離して処分することが原則として禁止されています(区分所有法第22条)。ただし、敷地権の登記がなされていない場合には、分離処分の禁止を善意の第三者に対抗することができず、分離処分が有効となります(区分所有法第23条)。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれ、その敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で、所有権、賃借権等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない区分所有者が出現する可能性があります。
また、敷地利用権が使用借権及びそれに類似した権利である場合には、当該敷地が売却、競売等により第三者に移転された場合に、区分所有者が当該第三者に対して従前の敷地利用権を対抗できなくなる可能性があります。
このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、あるいは価格の減価要因が増す可能性があります。
(カ) 借地物件に関するリスク
借地権とその借地上に存在する建物については、自らが所有権を有する土地上に存在する建物と比べて特有のリスクがあります。借地権は、所有権と異なり永久に存続するものではなく、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に借地権設定者が更新を拒絶しかつ更新を拒絶する正当事由がある場合に消滅します(普通借地権の場合)。また、借地権が地代の不払その他により解除その他の理由により消滅してしまう可能性もあります。借地権が消滅すれば、時価での建物買取りを請求できる場合(借地借家法第13条、借地法(大正10年法律第49号。その後の改正を含みます。)第4条)を除き、借地上に存在する建物を取り壊した上で、土地を返還しなければなりません。普通借地権の場合、借地権の期限到来時の更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、仮に建物の買取請求権を有する場合でも、買取価格が本投資法人が希望する価格以上である保証はありません。
また、本投資法人が借地権を有している土地の所有権が、他に転売されるほか、借地権設定時に既に存在する土地上の抵当権等の実行により第三者に移ってしまう可能性があります。この場合、借地権について適用のある法令に従い第三者対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、借地権を当該土地の新所有者に対して対抗できず、当該土地の明渡義務を負う可能性があります。
さらに、借地権が賃借権である場合、借地権を譲渡するには、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。借地上の建物の所有権を譲渡する場合には、当該借地に係る借地権も一緒に譲渡することになるので、原則として、借地権設定者の承諾が必要となります。かかる借地権設定者の承諾に関しては、借地権設定者への承諾料の支払があらかじめ約束されている場合のほか、約束されていなくても慣行を理由として借地権設定者が承諾料を承諾の条件として請求してくる場合があります(なお、法律上借地権設定者に当然に承諾料請求権が認められているものではありません。)。
加えて、借地権設定者の資力の悪化や倒産等により、借地権設定者に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。借地権設定者に対する敷金及び保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
借地権と借地上に建てられている建物については、敷地と建物を一括して所有している場合と比べて、上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要し、あるいは価格の減価要因が増す可能性があります。
(ヨ) 借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物(共有持分、区分所有権等を含みます。)を第三者から賃借の上又は信託受託者に賃借させた上、当該賃借部分を直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があることは、前記「(カ) 借地物件に関するリスク」の借地物件の場合と同じです。
加えて、民法上、本投資法人が第三者との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされているため、テナントから、転貸借契約の終了に基づく損害賠償請求等がなされるおそれがあります。
(タ) 開発物件に関するリスク
本投資法人は、規約に定める投資方針に従って、竣工後の物件を取得するためにあらかじめ開発段階で売買契約を締結することがあります。かかる場合、既に完成した物件につき売買契約を締結して取得する場合とは異なり、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約どおりの引渡しを受けられない可能性があります。この結果、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(レ) 有害物質に関するリスク
本投資法人が土地又は土地の賃借権若しくは地上権又はこれらを信託する信託の受益権を取得する場合において、当該土地について産業廃棄物等の有害物質が埋蔵されている可能性があり、かかる有害物質が埋蔵されている場合には当該土地の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替えや洗浄が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負う可能性があります。なお、土壌汚染対策法によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の特定有害物質による土地の土壌の汚染の状況について、都道府県知事により調査・報告を命ぜられることがあり、また、土壌の特定有害物質による汚染により、人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な汚染の除去等の措置を命ぜられることがあります。
この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は、支出を余儀なくされた費用について、その原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
また、本投資法人が建物又は建物を信託する信託の受益権を取得する場合において、当該建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材が使用されているか若しくは使用されている可能性がある場合やPCB廃棄物が保管されている場合等には、当該建物の価格が下落する可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的若しくは部分的交換が必要となる場合又は有害物質の処分若しくは保管が必要となる場合には、これに係る予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。また、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は信託受託者を通じて間接的に、本投資法人にかかる損害を賠償する義務が発生する可能性があります。
将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、過失の有無にかかわらず不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。
(ソ) 保留地に関するリスク
保留地とは、土地区画整理法(昭和29年法律第119号。その後の改正を含みます。以下「土地区画整理法」といいます。)に基づき、換地計画において保留地として定められた土地をいいます。
保留地の所有権は、土地区画整理法により換地処分の公告の日の翌日までは取得できないものとされているため、本投資法人が上記保留地を取得した後も、換地処分の公告の日の翌日までは当該保留地について所有権の取得及び所有権移転登記ができません。そのため、保留地の売主が当該保留地を第三者に重ねて譲渡した場合には、本投資法人による当該保留地の取得の効果を第三者に対抗することができなくなる可能性があります。また、換地処分の公告の日の翌日より前の保留地に対する権利は、所有権ではなく、保留地を使用収益する権利等であると考えられます。しかし、かかる保留地を使用収益する権利等の性質や対抗要件具備の方法について確立した判例はなく、当該権利等の性質又は対抗要件具備の方法について裁判所が異なる判断をした場合、本投資法人が期待していた利益が得られなくなり、又は想定されていない費用の負担が生じる可能性があります。なお、上記の換地処分の時期等は事業計画に定められていますが、かかる定めどおりに換地処分が完了する保証はなく、換地処分が予定どおりに完了しない場合、本投資法人は、相当期間当該保留地の完全な所有権を取得することができない可能性があります。
(ツ) 不動産を信託の受益権の形態で保有する場合の固有のリスク
本投資法人は、不動産を信託の受益権の形態で取得することがあります。
信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人は、信託受益権の保有に伴い、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを負担することになります。
信託契約上、信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を要求されるのが通常です。さらに、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権は受益証券発行信託の受益証券でない限り私法上の有価証券としての性格を有していませんので、債権譲渡と同様の譲渡方法によって譲渡することになり、有価証券のような流動性がありません。
信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みますが、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号)による改正前のもの。)及び信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)上、信託受託者が倒産等手続の対象となった場合に、信託の受益権の目的となっている不動産が信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があり、仮にかかる登記が具備されていない場合には、本投資法人は、当該不動産が信託受益権の目的となっていることを第三者に対抗できない可能性があります。
また、信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を保有する本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。
さらに、信託契約上、信託開始時において既に存在していた信託不動産の欠陥、瑕疵、契約不適合等につき、当初委託者が信託財産の受託者に対し一定の瑕疵担保責任又は契約不適合責任を負担する場合に、信託財産の受託者が、かかる瑕疵担保責任又は契約不適合責任を適切に追及しない、又はできない結果、本投資法人が不測の損害を被り、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
本投資法人が信託受益権を準共有する場合、共有物件とほぼ同様のリスクが存在します。まず、準共有する信託受益権の行使については、それが信託財産の管理に関する事項である場合、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有者の過半数で行うものと解されるため(民法第264条、民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該信託受益権の行使について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、準共有持分の処分は、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、単独所有する場合と同様に自由に行えると解されていますが、準共有する信託受益権については、準共有者間の合意により、他の準共有者の承諾なく準共有持分につき譲渡その他の処分を行わないことが義務付けられたり、準共有者がその準共有持分を第三者に売却する場合に他の準共有者が優先的に購入できる機会を与えるようにする義務を負う場合があります。準共有する信託受益権については、単独保有する場合と比べて上記のような制限やリスクがあるため、取得及び売却により多くの時間と費用を要したり、減価要因となる可能性があります。
(ネ) フォワード・コミットメント等に係るリスク
本投資法人は、不動産等を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント等を行うことがあります。不動産売買契約が買主の事情により解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産等の売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない場合等、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人の財務状況等が悪影響を受ける可能性があります。
(ナ) テナント集中に関するリスク
運用資産である投資対象不動産のテナント数が少なくなればなるほど、本投資法人は特定のテナントの支払能力、退去その他の事情による影響を受けやすくなります。特に、一テナントしか存在しない投資対象不動産においては、本投資法人の当該投資対象不動産からの収益等は、当該テナントの支払能力、当該投資対象不動産からの転出・退去その他の事情により大きく左右されます。また、賃貸面積の大きなテナントが退去したときに、大きな空室が生じ、他のテナントを探しその空室を回復させるのに時間を要することがあり、その期間が長期になればなるほど、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。また、本投資法人の運用資産における特定の少数のテナントの賃借比率が増大したときは、当該テナントの財務状況や営業状況が悪化した場合、本投資法人の収益も悪影響を受ける可能性があります。
(ラ) 底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。底地物件の場合は特有のリスクがあります。借地権は、期限の到来により当然に消滅し(定期借地権の場合)又は期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します(普通借地権の場合)。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人が希望する価格以下である保証はありません。
借地権が賃借権である場合、借地権者による借地権の譲渡には、原則として、本投資法人の承諾が必要となりますが、裁判所が承諾に代わる許可をした場合(借地借家法第19条)や、借地契約上事前に一定範囲での借地権の譲渡を承諾している場合には、本投資法人の承諾なく借地権が譲渡される結果、財務状態に問題がある等の本投資法人が望まない者に借地権が譲渡される可能性があり、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は倒産等手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
さらに、借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。また、借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
⑤ 税制に関するリスク
(イ) 導管性の維持に関する一般的なリスク
税法上、投資法人に係る課税の特例規定により一定の要件(以下「導管性要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、計算期間毎に判定を行う必要があります。本投資法人は、導管性要件を継続して満たすよう努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の異動・減少、海外投資主比率の増加、資金の調達先、分配金支払原資の制限・不足、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない計算期間が生じる可能性があります。現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記「(ホ) 同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク」に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、配当等の額を損金算入できなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があり、本投資証券の市場価格に影響を及ぼすこともあります。
なお、課税上の取扱いについては、後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。
(ロ) 過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
導管性要件のうち、租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。その後の改正を含みます。以下「租税特別措置法施行令」といいます。)に規定する配当可能利益の額の90%超の金銭の分配を行うべきとする要件(以下「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の税引前の会計上の利益を基礎として支払配当要件の判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異により、又は90%の算定について税務当局の解釈・運用・取扱いが本投資法人の見解と異なること等により、過大な税負担が発生した場合には、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる場合があり得ます。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取り扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ハ) 借入れに係る導管性要件に関するリスク
税法上、上記の計算期間毎に判定を行う導管性要件の一つに、借入れを行う場合には投資法人が租税特別措置法に規定する機関投資家以外の者から借入れを行っていないことという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により上記の機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、又は、本投資法人に対する貸付債権が機関投資家以外の者に譲渡された場合や、保証金若しくは敷金の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、導管性要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ニ) 資金不足により計上された利益の全部を配当できないリスク
本投資法人において利益が生じているにもかかわらず金銭の借入れ又は投資法人債の発行に際しての財務制限条項上、一定額を内部留保しなければならない等、配当原資となる資金が不足する場合は、借入金や資産の処分により配当原資を確保する場合があります。しかしながら、導管性要件に基づく借入先の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の金額が租税特別措置法施行令に規定する配当可能利益の額の90%超とならない可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ホ) 同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
計算期間毎に判定を行う導管性要件のうち、計算期間終了時に同族会社のうち租税特別措置法施行令で定めるものに該当していないこと(発行済投資口の総口数又は一定の議決権総数の50%超が1人の投資主グループによって保有されていないこと等)とする要件、すなわち、同族会社要件については、本投資証券が市場で流通することにより、公開買付等により、本投資法人のコントロールの及ばないところで、結果として満たされなくなる計算期間が生じる可能性があります。
本投資法人が同族会社要件を満たさなくなった場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ヘ) 投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
税法上、導管性要件の一つに、計算期間末において投資法人の投資口が租税特別措置法に規定する機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資口が50人未満の投資主により保有される(上記の機関投資家のみに保有される場合を除きます。)こととなる可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ト) 税務調査等による更正処分のため、追加的な税金が発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違により過年度の課税所得計算について追加の税務否認項目等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することとなり、投資家への分配金の予想額の修正が必要となる場合があります。かかる場合、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(チ) 不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、本書の日付現在において、一定の内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産取得税及び登録免許税の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができなくなる可能性があります。
(リ) 一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資証券に係る税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資証券の保有又は売却による手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
(ヌ) 減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日)が、2005年4月1日以後に開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
「減損会計」の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金 (5) 課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取り扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ル) 納税遅延に係る延滞税等の発生に関するリスク
本投資法人において納税義務が発生した場合に、納付原資の不足等の事情により納期限内に納税が完了しない可能性があります。この場合、遅延納付となった税額に対し遅延期間に応じ延滞税等が発生し、納税が発生した事業年度の投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
⑥ その他
(イ) 不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が不動産を売却した場合に、当該不動産に物的若しくは法的な瑕疵又は契約不適合があるために、法令の規定又は売買契約上の規定に従い、瑕疵担保責任、契約不適合責任又は表明保証責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅建業法上のみなし宅地建物取引業者となりますので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任又は契約不適合責任に関するリスクを排除できない場合があります。
(ロ) 専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価額は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額、調査価額の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定等の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価額による売買の可能性を保証又は約束するものではありません。エンジニアリング・レポート及び地震PML評価報告書は、建物の評価に関する専門家が、設計図書等の確認、現況の目視調査又は施設管理者への聞き取り等を行うことにより、現在又は将来発生することが予想される建物の不具合、必要と考えられる修繕又は更新工事の抽出及びそれらに要する概算費用並びに再調達価格の算出、並びに建物の耐震性能及び地震による損失リスク等を検討した結果を記載したものであり、不動産に欠陥、瑕疵、契約不適合等が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
また、不動産に関して算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ハ) 過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
本投資法人が取得する個別投資資産の過去の収支状況を開示する場合、不動産又は不動産信託受益権に係る不動産の前所有者等における賃貸事業収支をあくまで参考として記載することがあります。これらは不動産又は不動産信託受益権に係る不動産の前所有者等から提供を受けた未監査の情報を基礎としているため、すべてが正確であり、かつ完全な情報であるとの保証はありません。また、これらの情報は本投資法人に適用される会計原則と同じ基準に基づいて作成されたとの保証もありません。
したがって、当該投資資産を取得した後の本投資法人の収支はこれと大幅に異なるおそれがあります。
(ニ) 匿名組合出資持分又は不動産対応証券への投資に関するリスク
本投資法人は、規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分又は優先出資証券等の不動産対応証券への投資を行うことがあります。
本投資法人が出資するかかる匿名組合又は特定目的会社等においては、本投資法人の出資金が不動産等に投資されますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合、当該不動産等の価値が下落した場合、意図されない課税が生じた場合等には、本投資法人が得られる分配金、配当金、元本の償還金額、残余財産分配額等が減少し、その結果、本投資法人が出資した金額を回収できない等の損害を被る可能性があります。
また、匿名組合出資持分又は優先出資証券等については契約上譲渡が制限されていることがあり、又は、確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難となる可能性があります。
(ホ) 情報セキュリティに関するリスク
本投資法人及び本資産運用会社は、その運営の効率化及び円滑化のためにコンピュータシステム等の電子情報機器(以下、本「(ホ) 情報セキュリティに関するリスク」において「システム等」といいます。)を使用しています。近年、こうしたシステム等に対してはインターネットを介した外部からのハッキングやサイバー攻撃、不正アクセス又はコンピュータウイルスへの感染等の情報セキュリティ事故等(以下、総称して「情報セキュリティ事故等」といいます。)が国内外において頻発しており、本投資法人及び本資産運用会社が情報セキュリティ事故等の被害に遭った場合、本投資法人及び本資産運用会社の運営に著しい障害が発生し、結果的に本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
また、本投資法人及び本資産運用会社は、業務遂行の一環として、本投資法人の投資主、投資法人債権者、本投資法人役員、本資産運用会社役職員やテナントその他の第三者の個人情報や機密情報を取り扱うことがあります。これらの情報に関連して、本資産運用会社役職員その他の関係者による不正利用や漏えい、又は情報セキュリティ事故等による不正利用や漏えいが発生した場合、本投資法人の運営に重大な悪影響をもたらす可能性があります。また、これにより、本投資法人及び本資産運用会社の社会的信用や社会的評判が低下し、状況によっては取引の関係者等に対する損害賠償等を余儀なくされること等により、本投資法人の投資主又は投資法人債権者に損害を与える可能性があります。
(ヘ) 外国の金融関連規制に関するリスク
本投資法人の投資口は、海外に所在する幅広い投資家によって保有及び取引されており、本投資口の新規発行に関する募集や、本投資法人の業務内容及び業績等に関する情報提供が海外に所在する投資家に対して実施されることがあります。その結果、本投資法人及び本資産運用会社に対して、様々な外国や地域の金融関連規制が課されることがあります。そして、本投資法人及び本資産運用会社が、意図せずしてそれらの金融関連規制に違反する事態が生じる可能性があります。その場合、本投資法人及び本資産運用会社が処罰の対象となったり、本投資口の新規発行に関する募集や本投資法人の業務内容及び業績等に関する投資家向けの情報提供が、かかる違反が生じた外国や地域において制限される可能性があり、その結果、本投資法人及び本資産運用会社に損害が生じたり、本投資口又は本投資法人債券の市場価格が下落する可能性があります。
(ト) 取得予定資産の取得及び売却予定資産の売却を実行することができないリスク
経済環境等が著しく変わった場合、その他相手方の事情等により売買契約において定められた前提条件が成就しない場合等においては、有価証券届出書、有価証券報告書等において開示した取得予定資産の取得及び売却予定資産の売却を実行することができない可能性があります。この場合、本投資法人は、代替資産の取得又は売却のための努力を行う予定ですが、取得予定資産に関しては、短期間に投資に適した資産を取得することができる保証はなく、短期間に資産を取得することができず、かつかかる資金を有利に運用することができない場合には、投資主に損害を与える可能性があり、また、売却予定資産に関しては、同様の条件で他の売却先に売却することができない場合には、投資主に大きな損害を与える可能性があります。
(2)投資リスクに対する管理体制
本投資法人及び本資産運用会社は、以上のようなリスクが投資リスクであることを認識しており、その上でこのようなリスクに最大限対応できるようリスク管理体制を整備しています。
しかしながら、当該リスク管理体制については、十分に効果があることが保証されているものではなく、リスク管理体制が適切に機能しない場合、投資主又は投資法人債権者に損害が及ぶおそれがあります。
① 本投資法人の体制
(イ) 役員会
本投資法人は、業務執行の意思決定及び執行役員に対する監督機関として役員会が十分に機能し、執行役員が本投資法人のために忠実にその職務を遂行するよう努めています。本投資法人の定例役員会は、原則として1か月に一度、開催され、定例役員会において、執行役員は、本資産運用会社、一般事務受託者及び資産保管会社の業務執行状況等を報告するものとされています。また、役員会において、定期的に法令等遵守に関する事項について本資産運用会社より報告がなされるものとされています。
(ロ) 本資産運用会社への牽制
本投資法人と本資産運用会社との間で締結された資産運用委託契約には、本資産運用会社が規約の基準に従って運用ガイドラインを作成すること並びに投信法、規約、運用ガイドライン及び本資産運用会社の社内諸規則に従って委託業務を遂行することを定めています。また、本資産運用会社が作成する資産運用計画等は、本資産運用会社に対して本投資法人への報告義務を負わしめていることにより、本投資法人の投資リスクに対する管理体制を強化しています。
(ハ) 投資法人内部者取引管理規程
本投資法人は、投資法人内部者取引管理規程を制定し、役員によるインサイダー類似取引の防止に努めています。なお、同規程においては、原則として本投資法人の執行役員及び監督役員が投資口の売買等を行うことは禁止されています。
② 本資産運用会社の体制
本資産運用会社は、上記のようなリスクの存在及びそのリスク量を十分に把握するよう努めており、それらのリスクを回避する手段を以下のように構築し、厳格なルールに則り運用資産への投資及び運用を行っています。
(イ) 運用ガイドラインの制定及び遵守
本資産運用会社は、規約に沿って、本投資法人から資産運用の一任を受けた投資法人資産運用会社として、運用ガイドラインを制定し、ポートフォリオ構築方針、利益相反防止方針、分配方針、開示方針等の投資運用に関する基本的な考え方について定めています。本資産運用会社は、運用ガイドラインを遵守することにより、投資運用に係るリスクの管理に努めます。
(ロ) 組織体制
本資産運用会社では、利害関係者との取引等の一定の重要事項については、コンプライアンス・オフィサーが審査した上、コンプライアンス委員会及び投資委員会の審議・決議を経て、さらに、本資産運用会社の取締役会及び本投資法人の役員会の承認を得るという厳格な手続を経ることが要求されています。このような手続により、本資産運用会社は、リスクの存在及び量を十分に把握します。後記「第二部 投資法人の詳細情報 第4 関係法人の状況 1 資産運用会社の概況 (2) 運用体制 ④ 投資運用に関するリスク管理体制の整備状況」をご参照ください。
(ハ) 利害関係者との取引規程
後記「第二部 投資法人の詳細情報 第3 管理及び運営 2 利害関係人との取引制限 (2) 本資産運用会社の自主ルール(利害関係者との取引規程)」をご参照ください。
(ニ) 内部者取引等管理規程
本資産運用会社では、内部者取引等管理規程を制定し、本資産運用会社の役職員等によるインサイダー取引の防止に努めています。