有価証券報告書-第116期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
① 経営の基本理念「論語と算盤」
当社は渋沢栄一翁の教えである,道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を経営の基本理念としている。この理念のもと,ものづくりへの真摯な姿勢と絶えざる革新志向により,お客様の期待を超える価値を提供し続けていく。
② 経営理念
地球社会への貢献…Socio-dynamism
人間尊重……………Humanity
革新志向……………Innovation
顧客第一……………Market-in
情熱…………………Zeal
(2) 長期ビジョン「Smart Vision 2010」
2010年6月に,当社は10年後の目指すべき方向を示した「Smart Vision 2010」を策定した。当社は,人々が快適で安心して暮らせる環境づくりのトップランナーとして,社会とともに成長を続ける,そんな企業でありたいと考えている。その想いを実現するために,建設事業を核として,社会と建造物の持続可能性(サステナビリティ)を徹底的に追求し,お客様の期待を超える価値を提供し続ける,「スマートソリューション・カンパニー」を目指している。
基本方針-持続的成長とさらなる進化へ向けて-
〈事業強化方針〉
① 建設事業競争力の革新的強化により成長を持続
建設事業:コアビジネスの持続的成長
② 次代の収益の柱の構築に向けた,3つの重点注力分野における事業基盤の確立
グローバル事業:社会・経済のグローバル化への対応強化
ストックマネジメント事業:安定的な収益基盤の確立
サステナビリティ事業:地球規模でのサステナビリティの実現
③ すべての事業活動の機軸を「環境」に置き,シナジーの追求によるグループ経営のパワー
アップ
〈基盤強化方針〉
① 景気変動の影響を最小限に抑えながら,環境変化に柔軟に対応し,持続的な成長を可能に
する経営体質づくり
② グローバル展開,ストックマネジメントなど,事業の多様化に適した経営システムの確立
(3) 中期経営方針2014
2014年7月に,長期ビジョンに基づき5年間の方針を定める「中期経営方針2014(2014~2018年)」を策定した。当面の旺盛な建設需要に着実に対応するとともに,長期的な建設市場の動向も見据えながら,「建設事業の進化」「重点3事業(グローバル事業・ストックマネジメント事業・サステナビリティ事業)の着実な成長」「経営基盤の一層の強化」の3つを基本方針としている。
「中期経営方針2014」の基本方針は以下のとおりである。
「中期経営方針2014」基本方針
① 建設事業の進化
・ 営業・ソリューションの進化
・ 技術の進化
・ 人財の進化
・ 現場マネジメントの進化
② 重点3事業(グローバル,ストックマネジメント,サステナビリティ)の着実な成長
・ 投資開発・エンジニアリング事業の収益安定化
・ グローバル事業の持続的成長,安定的な収益の確保
・ 新規事業3分野の10年後の収益化に向けた重点投資
③ 経営基盤の一層の強化
・ 技術力強化
・ 人財マネジメント
・ 企業体質強化
・ CSR推進
以上①~③の戦略により,社会・顧客価値創造への貢献,株主価値向上を図りながら,企業価値(シミズバリュー)向上を目指していく。
〈分野別の取組〉
■「建設事業」
お客様と社会の真のニーズを捉え,技術力・提案力の一層の強化を図り,「安全・安心な社会」の実現に貢献することを目指している。また,品質・安全を確保した上で,革新的な情報化・省力化工法などによる「i-Construction※1」の実現を図っていく。さらに,ものづくりの意欲にあふれ,お客様と社会から信頼される人財の育成にも注力する。
■「重点3事業」
建設事業の“補完”ではなく,自立した経営ができる事業を目指して育てていく。
・「グローバル事業」
海外ローテーション制度をはじめグローバル人財の育成を強化し,2020年までに全事業量の約2割を担える体制づくりを進めている。
・「ストックマネジメント事業」
当社の強みを活かした先進的なまちづくり提案を目指す投資開発事業の取組みとともに,建物竣工後の施設運営管理サービスを総合的に提供するBSP (Building Service Provider)事業※2にも力を注いでいる。
・「サステナビリティ事業」
エネルギー・環境・プラント・情報分野のエンジニアリング事業を強化・拡大するともに,脱炭素社会の実現に貢献すべく,「環境・エネルギーマネジメント事業」の確立にも取り組んでいる。
■「経営基盤の一層の強化」
CSR経営を推進し,企業価値の向上に努めている。また,女性や外国人の活躍推進をはじめとするダイバーシティ経営の推進と人財マネジメントの強化を図っている。
※1 i-Construction:調査・測量から設計・施工・維持管理までのあらゆるプロセスでICT等を活用し,生産性向上を図る取組み
※2 BSP事業:竣工後の施設運営管理サービス(PM・BM,省エネ・BSP等)を総合的に提供するもの
(4) 長期ビジョン・中期経営方針の見直し
当社は現在,今後の経営環境の変化を想定した上で,社会的課題に積極的に取り組み,更なる企業価値の向上を目指すべく,2019年度を初年度とする長期ビジョン及び中期経営方針の策定に向けて取り組んでいる。
(5) 経営3ヶ年計画
「中期経営方針2014」に基づく2018年度を初年度とする「経営3ヶ年計画」は,国内建設事業を主な収益源の柱に据え,新たな事業領域にも収益基盤を確立していくための施策を打ち出す内容としている。
「経営3ヶ年計画」の要旨は以下のとおりである。
〈経営方針〉
環境変化に迅速・果敢に対応し,建設事業の進化と新たな収益基盤の創出を推進するとともに,SDGs※1・ESG※2の観点を活かした経営基盤の強化と働き方改革を図り,シミズグ ループの持続的成長を実現する。
※1 SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2015年の国連総会で採択された2030年までの国際社会の共通目標で,貧困撲滅,エネルギー確保,気候変動対策など17目標が掲げられている。
※2 ESG:環境(Environment),社会(Social),ガバナンス(Governance)の頭文字をとったもの。「ESGに配慮する企業は長期的に見て成長可能性が高い」と考えるESG投資が,機関投資家の間で広がってきている。
〈重点施策〉
① 品質・安全・工程管理の徹底を図り,生産性向上を通じて,更なる収益力強化を図る
・ 品質・安全管理のチェック体制の徹底による誠実なものづくりの実践
・ 確実な生産体制の構築及び将来を見据えた生産技術の開発による生産性向上の推進
・ 採算意識と挑戦意欲のバランスがとれた戦略的な営業活動の推進による事業競争力の強化
② 国内建設事業に次ぐ,社会・顧客に新たな価値を提供する事業を構築する
・ 建設,投資開発,エンジニアリング,LCV※3,本社部門が一体となったグローバル事業
の推進
・ グループ企業との連携によるストックマネジメント事業の推進
・ サステナビリティ分野における事業化の推進
・ 将来に向けた戦略的な投資,新規事業創出
※3 LCV(Life Cycle Valuation):施設・インフラのライフサイクルにわたり,その価値を最大化するためにレベルの高い技術やサービスを提供することを意味する事業コンセプト
③ コンプライアンス徹底と働き方改革を推進し,次世代に誇れる職場環境をつくる
・ 倫理・法令違反による不祥事の撲滅に向けた施策の実践
・ ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた“一歩進んだ”働き方改革への挑戦
④ ESGの観点から,企業価値の向上を図る
・ 実効あるコーポレートガバナンスの推進,透明性・信頼性の高い経営の実践
・ ダイバーシティ経営の着実な推進(更なる女性活躍,障がい者雇用・活躍等)
・ CO2削減・生物多様性の保全に向けた一層の取組み等,「攻め」と「守り」の環境経営
の推進
・ 事業活動と連動したCSR活動の推進,社会貢献活動・ボランティア活動等への参画
⑤ 自然災害等のリスクへの対応力を高め,安全・安心社会の実現に貢献する
・ 地震などの自然災害等に対するBCP対策の推進による顧客・地域社会への貢献
・ 防災・減災に向けた,インフラや施設の安全安心技術の更なる開発の推進
以上のような取組みを通じ,コーポレート・メッセージ「子どもたちに誇れるしごとを。」に
込めた想いを,役員・従業員全員が日常の諸活動の中で実践し,震災復興,日本・国際経済の成
長に寄与すべく,全力を尽くしていく。
(6) 独占禁止法違反容疑による起訴について
当社は,本年3月23日,東海旅客鉄道株式会社発注の中央新幹線建設工事の入札に関し,独占禁止法違反容疑により起訴された。当社は,今後更なるコンプライアンスの徹底及びガバナンスの強化に取り組み,全社を挙げて信頼の回復に努めていく所存であり,新たな再発防止策(骨子)を下記のとおり策定した。併せて,従来から実施している独占禁止法順守プログラムに基づく「工事の入札に係る役員・従業員の行動規準」の運用,外部通報制度,法務部による部門巡回,社内処分の厳格化などの施策を引き続き実施していく。
① 経営トップが率先して倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図る。
・役員・従業員全員が経営の基本理念である「論語と算盤」を拳拳服膺し,高い倫理意識を持
ち,自らの行動を律するよう,経営幹部が率先垂範して,倫理意識の涵養とコンプライアン
スの徹底に継続して取り組む。
・外部有識者の協力も得て,役員・従業員の高い倫理意識の涵養を図る。
② 組織改正によるコンプライアンスの強化
・企業倫理委員会の委員長を社長とし,外部有識者を加えた社長直轄の組織とする。
・企業倫理室を新設し,企業倫理の浸透,コンプライアンスの徹底に向けた取組みを強化す
る。
・営業体制を刷新する。
― 営業総本部を設置し,建築営業本部,土木営業本部を統轄する。
― 営業総本部にコンプライアンス担当の役員を置く。
・監査部の組織拡充により監査機能を強化する。
・全社の主要営業案件について公正な入札に関する臨時監査を実施する。
③ 行動規準の見直しと運用の徹底
独占禁止法順守プログラムに基づき策定済みの「工事の入札に係る役員・従業員の行動規
準」(以下,「行動規準」という。)に,通報義務,同業他社との接触に関するルールの明確
化等の見直しを加えた上で,引き続き,運用の徹底を図る。
④ 特定プロジェクトに対するコンプライアンスチェックの強化
技術的難易度の高さや事業規模の大きさ等の理由によって事実上,競争者が限定され,競争
制限行為を誘引するリスクの高い案件に関するチェックを強化する。
⑤ その他
従前から実施している行動規準に基づく部門長のチェックシステム,研修・監査のための法
務部による部門巡回,外部通報制度,社内処分の厳格化などの施策は継続実施する。