有価証券報告書-第105期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 9:04
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営の基本方針
当社グループは、当社を核とする総合設備エンジニアリング企業として、地域・社会との共生を目指し、次のとおり「社是」「企業理念」を定めている。
社 是「眞心」(遵守すべき精神的なよりどころ)
企業理念企業使命総合設備エンジニアリング企業として、お客様のために高度な価値を付加した生活・事業環境を創出することにより、社会の発展に貢献する。
経営姿勢① お客様・株主様の信頼を獲得し、選ばれる企業を目指す。
② 環境に優しく、品質に厳しい企業を目指す。
③ 総合技術力の強化・向上を目指す。
④ 人を大切にし、安全で活力ある職場作りを推進する。
⑤ 受注の確保と経営の効率化を推進し、強固な経営基盤を堅持する。

(2)経営戦略等
当社グループは、前中期経営計画(2018~2020年度)の成果を検証・分析のうえ、事業環境の動向を踏まえて、創立80周年の節目となる2024年度をターゲットに、更なる成長に向けた、新たな中期経営計画2024[2021~2024年度]を策定した。
この中期経営計画2024は、前中期経営計画の施策の見直しや強化とともに、新たな施策について織り込み策定しており、前中期経営計画に引き続き「変革と成長」をテーマとして、これを当社グループ全員で共有するとともに、安全とコンプライアンスを最優先に、以下の5つの諸施策に取り組んでいく。
中期経営計画2024[2021~2024年度]
テーマ・ 変革と成長
サブテーマ・ 営業・施工体制の強化と利益の拡大
・ DXと脱炭素化の推進
主要施策① 受注の拡大・施工体制の強化設計力、提案力の強化・向上により、工場工事、地中線工事等の受注拡大を図るとともに、協力会社との連携強化による施工体制の強化に取り組む。
◇ 営業力の強化による受注拡大
◇ 実績データの分析やBIM等を活用した設計力の
強化・向上
◇ 施工体制の強化・拡充
◇ グループ企業との連携強化
② 利益の確保・拡大と競争力
強化
現場管理の強化による施工の効率化、全社・グループをあげたコスト低減、DXの推進による生産性の向上により、利益の確保・拡大と競争力強化を図る。
◇ 工事の平準化やフロントローディング等による施
工の効率化
◇ 全社及びグループ企業と連携したコスト低減
◇ デジタルトランスフォーメーション(DX)の推
進による生産性向上
③ 人材育成の強化と働き方改
革の推進
これまでの発展を支えてきたのは継続的な人材の確保と育成であり、引き続きグループ大での人材の確保・育成、働き方改革等に積極的に取り組む。
◇ 施工管理の強化に向けた人材育成
◇ グループ全体での技術・技能者の確保・育成
◇ 働き方改革の継続及び実践、働きがいのある職場
の形成
④ 品質の向上当社の事業は、お客様の信頼があってはじめて成り立つことを常に認識し、その前提である品質の確保に確実に取り組む。
◇ 電力安定供給への確実な貢献
◇ お客様満足度の向上
⑤ 成長投資(M&A・出資等)
による事業拡大
カーボンニュートラルに向け、自社の脱炭素化とともに、脱炭素化支援として環境関連ビジネスを推進、再エネ等への投資を行う。また、体制強化等に向けたM&Aに取り組む。
◇ 自社の脱炭素化
・自社社屋への自家消費型太陽光発電の設置、ZE
B化、省エネ設備の導入等
◇ 脱炭素化支援として環境関連ビジネスの推進
・自家消費型太陽光PPA事業、ZEB化等の省
エネ提案、再エネへの投資等
◇ 施工体制の強化等に向けたM&Aの推進
◇ 技術研究開発の推進
数値目標・ 2024年度 連結売上高2,100億円、連結営業利益120億円(連結売上高営業利益率5.7%)



(3)経営環境
当期の経営環境は、公共投資が堅調に推移したものの、厳しい受注競争や労働者不足に加え、コロナ禍の影響により民間設備投資の縮小や先送りが懸念される状況にあった。
今後の経営環境についても、コロナ禍の影響により不透明な状況が継続するものと思われる。こうした中、当社グループが引き続き成長していくためには、これまで以上に環境変化に迅速に対応して変革を進めることが不可欠であり、当社グループ一体となって、中期経営計画2024の諸施策にチャレンジしていく。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、中期経営計画及び中長期ビジョンにおいて「売上高」「営業利益(率)」を重要な指標に位置づけ、変革と成長を進めて企業価値の向上を目指している。
(5)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、グループ間における連携を強化し、以下の課題に取り組んでいる。
① 利益率の改善
近年、受注競争の激化や工事の遅延等による外注費の増加などにより、売上の増加が必ずしも利益の増加につながらない傾向にあり、これら高コスト構造の見直しによる利益率の改善が喫緊の課題となっている。
これに対し、工事のピークカットや労働力の安定的な確保のため、工程を前倒しで作業を行う「フロントローディング」や工程の短縮に柔軟に対応するための「外注先の分散発注」などの取り組みを進めている。
② 生産性の向上
現場管理者の慢性的な不足・働き方改革などの課題に対応すべく、業務負荷軽減に向けた工務サポート体制の充実や施工図作成支援体制の強化、また、業務プロセスの見直しや最新のデジタル技術を活用した業務改革など、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進による生産性の向上に取り組んでいる。
③ 事業の拡大
現在進めている都市圏を中心とした事業拡大は、中国地域の市場縮小に対応した成長戦略であり、新たに策定した中期経営計画2024の達成に欠かせない施策となっている。
今後も引き続き、中国地域においては効率的な施工体制の構築や工場関連工事の受注・施工体制の強化等により事業基盤を維持しつつ、都市圏における大型工事の受注・施工体制の強化等を図りながら事業拡大を進めていく。
また、持続的な成長のための投資として、主要事業である設備工事業を中心に、M&Aによる事業拡大も進めていく。
④ 人材の育成
当社社員の3割を占める30歳未満の若手社員の早期育成が、今後の更なる成長の成否を左右する要素となっている。そのために、社員一人ひとりの適性を踏まえながら、大型工事現場等への計画的配置や、現場代理人として必要な資格の取得支援等といった施策を確実に実施していく。
⑤ 品質の向上
事業を拡大していくためには、品質の向上によりお客様の信頼を得ることが不可欠となっている。
そのために、定められた手順、検査の確実な実施はもとより、今後もお客様からの意見・要望に対して真摯に向き合い、顧客満足度の向上に努めていく。
⑥ 脱炭素化の推進
SDGsやカーボンニュートラルへの動向に対応して、自社社屋への自家消費型太陽光発電を設置するなどの自社の脱炭素化とともに、自家消費型太陽光PPA事業など、お客様への脱炭素化支援事業を推進していく。また、ZEB化等の省エネ提案、再エネへの投資等についても引き続き行っていく。