有価証券報告書-第137期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 14:49
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【項目】
130項目
(1) 当面の対処すべき課題の内容等
当社を取り巻く事業環境の今後の見通しにつきましては、アジア地域経済の先行きや英国のEU離脱問題、米国の政策の動向および影響等、海外経済の不確実性の高まりや、金融資本市場の変動の影響など不透明な要因はあるものの、国内景気は緩やかな回復基調を続けるものと思われます。
建設業界および当社関連の空調業界におきましては、公共投資は補正予算もあり緩やかに増加することに加え、民間設備投資は企業収益の改善等を背景に、持ち直し傾向で推移することが見込まれます一方、労働需給のひっ迫による影響等、工事利益の確保・改善に努力が必要な経営環境が続くものと思われます。
当社におきましては、東京オリンピック・パラリンピックを控えての関連需要の本格化に向けた繁忙期および開催後を見据えるとともに、国際事業や環境ソリューション事業など中長期的な視点からの経営資源投入が重要課題となっております。また、IoTによる事業領域の拡大、快適・健康環境ニーズの増大、海外における政府主導の都市・インフラ投資の勃興やメンテナンス・管理運営の需要拡大など新たな成長機会や有望な市場が存在しており、未来への変革が必要と考えております。
このような情勢のもと、当社は、引き続き、長期経営構想の実現に向かって、当連結会計年度までを「変革の基礎づくり」とした3か年の成果等を振り返り、平成29年4月からの3か年を「成長に向けた変革の断行」とする、新たな中期経営計画「iNnovate on 2019 just move on!」を策定いたしました。
新中期経営計画において、2つの変革を断行してまいります。1つ目は、空調工事を核とした総合設備工事業への飛躍であり、2つ目は第2・第3の事業の柱を創造することであります。基本方針を「利益重視の徹底」および「グループ総合力の発揮」といたしました。グループとして、FM(ファシリティマネジメント:施設・環境の企画管理)・PM(プロパティマネジメント:不動産管理)領域までを含めて建物を丸ごとカバーし、先端技術を活用した環境エンジニアリングにより高い付加価値を提供する、「工事+ソリューションのハイブリッド型ビジネスへの転換」を目指しております。
また、「現場力の強靭化」「グループ連携の強化」「国際事業の再構築」「非請負・非下請工事業への進出」「新サービスの創造」「ワークライフバランスを実現する職場環境の構築」「多様な人財の育成」「変革への投資と経営基盤の強化」の8つを重点取組事項として、成長を図ってまいります。
これら8つの重点取組事項を実現すべく、事業別・経営基盤強化の主な取組みを策定いたしました。
国内(当社単体および国内グループ会社)につきまして、技術力・営業力の強化として、当社およびグループの強みを活かしたFM・PM事業の拡大、地域ごとに最適なパートナーとの共存共栄体制の強化、高砂技塾など教育組織を活用した技能工確保と技術伝承、BIMを中核とした施工管理等の業務支援システムの構築・活用による業務の高度化、基幹業務システム再構築による業務の高度化、電気・衛生・内装・什器・通信のワンストップ体制構築の加速化に取り組んでまいります。IT基盤を活用した新サービスの創造として、IoT、AI等を活用した情報処理プラットフォーム構築と新サービス推進に取り組んでまいります。新たなビジネスモデルの展開として、公共施設の所有権を移転せず、民間事業者にインフラの事業運営に関する権利を長期間にわたって付与するコンセッション方式、公共サービスの提供に民間資本や民間のノウハウを活用し、効率化やサービスの向上を目指すPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業等への参画、および再生可能エネルギーをベースとしたストックビジネスへの参入を推進してまいります。また、グループ一体経営の強化を図るとともに、協働によるシナジーを通じた新事業・新商品の創造に取り組んでまいります。
海外につきましては、国際事業の再構築および経営基盤強化に取り組んでまいります。また、海外における事業領域の拡大を図ってまいります。引き続き、現地における事業強化として、ナショナルスタッフの技術力強化、マネジメント人財の育成を進めるとともに、最適な現地パートナーとの協働を推進し、現地に根差した経営に取り組んでまいります。
経営基盤に関しまして、人財につきましては、従業員満足度の向上として、雇用環境の整備や多様な人財の活躍を支える人事制度の構築と働き方の改革に取り組んでまいります。また、グループ総合力強化として、グループ会社間の人事交流の促進を行ってまいります。ITにつきましては、業務高度化・新サービス創造のためのIT基盤の構築に取り組んでまいります。組織・仕組みにつきましては、新技術・新事業を生み出す仕組みの構築として、イノベーションセンターを設立して、マーケティング、研究開発、インキュベーションの各機能を一体化することにより事業創造を推進してまいります。組織のスリム化と現業部門の強化に取り組み、経営のスピードを向上してまいります。
投資・財務戦略に関しまして、成長に向けた投資として、M&A、グローバル化の加速、情報処理プラットフォーム等のIT基盤強化、新事業の創造推進、経営基盤強化といった5つのテーマに対して、3年間で350億円の投資を考えております。また、財務戦略につきましては、成長に向けた投資を実践し、資本効率の向上を図ります。キャッシュ・フローの増大として、成長に向けた投資資金を確保するため、工事収支の向上等に取り組んでまいります。併せて、政策保有株式の見直しによる売却等、保有資産の整理・有効活用を図ってまいります。財務規律の維持として、健全な自己資本比率の維持を図りながら、借入等の資金調達は低利かつ抑制的に実施いたします。積極的な株主還元として、収益性と資本効率性を高めつつ、連結純資産配当率(DOE)2%をベースとして、中長期的に安定した株主配当を実施してまいります。また、配当性向を勘案するとともに自己株式取得を含めた総還元性向を意識して、株主還元を推進してまいります。
このほか、業務・資本提携先である月島機械株式会社とともに、国内外におけるエネルギーの供給および有効利用に関する事業の拡大と新技術・新商品の共同開発の推進を強化してまいります。また、CRE(企業不動産)、BCP(事業継続計画)、森林づくりを通じた環境保全活動や公益事業等のCSR活動についても、引き続き積極的に取り組んでまいります。
当社は、CSRを経営の根幹に位置づけ、グループを挙げて法令遵守およびコーポレート・ガバナンス態勢の強化に取り組むとともにグループ戦略を実行し、事業の中長期的な成長および企業価値ひいては株主共同の利益の継続的かつ持続的な向上に努めてまいります。また、グループを挙げて事業を通じて経済的価値と社会的価値の向上を両立してまいります。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。
当社は、創業以来、「最高の品質創り、特色ある技術開発、人材育成」という経営理念に基づき、一般空調、工場空調、地域冷暖房施設、原子力関連の空調設備、除湿設備など 「熱と空気に関するエンジニアリング」を中心とした建築設備工事業を営んでおり、これらについて、独自の技術によって安全かつ高品質なサービスを提供し続けることにより、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めてまいりました。
そして、当社の企業価値の源泉は、①高い技術力・開発力を持つ個々の社員と個々の社員の能力に基づく最先端かつ独創的な技術力・開発力、②空調・熱源設備の施工業者として蓄積してきたノウハウや実績、③長年にわたり培ってきた事業会社などの顧客や高い施工能力を有する協力会社との信頼関係、および④顧客重視・現場重視の企業文化および健全な財務体質を継続的に維持することによる優良な顧客の開拓・維持などにあります。
当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。しかしながら、株式の大量買付の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。そして、当社株式の大量買付を行う者が上記の当社の企業価値の源泉を理解し、中長期的に確保し、向上させられる者でない場合には、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。
当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを実現するために、平成26年2月、平成35年の創立100周年に向けた長期経営構想「GReeN PR!DE100」を策定し、「ビルライフサイクルをフルカバーするワンストップサービスシステムの構築」「既存グローバル市場の攻略深化と新市場への進出・展開」「熱・エネルギーに関わる新たな事業領域・ストックビジネスへの進出」「高砂ドメインの技術に派生する新規事業の開発、起業」を成長戦略としております。その第1ステップ「変革の基礎づくり」と位置づけた平成26年4月からの3か年中期経営計画「iNnovate on 2016」を開始し、「顧客最優先」「現場第一主義」の考えに基づき、「現場力の強化」「人財育成至上主義」「安定的な収益確保」を重点取組課題として、グループの総力を挙げて採算性重視の受注活動を推進するとともに重点分野への経営資源集中により、収益の拡大と持続的な成長を実現すべく事業構造改革を進めてまいりました。そして、当該3か年の成果を踏まえ、引き続き長期経営構想の実現に向かって、平成29年4月からの3か年を「成長に向けた変革の断行」とする新たな中期経営計画「iNnovate on 2019 just move on!」を策定いたしました。
コーポレート・ガバナンスにつきましては、取締役の人数適正化・任期短縮を行うとともに、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を明確にし、迅速かつ機動的な経営を行うため、執行役員制度を導入しております。当社は、業務執行部門である取締役および執行役員が機動的な業務執行を行うこと、また、監査役、会計監査人および内部監査室が相互に連携をとり、実効性のある監査を行うことにより経営の透明性を高めております。具体的には、取締役会の監督機能を強化すべく取締役9名のうち3名を、独立性を有する社外取締役とし、また、監査機能を強化すべく監査役5名のうち3名を、独立性を有する社外監査役としております。
平成27年4月1日以降、会社法および関連法務省令の改正ならびにコーポレートガバナンス・コードの適用等を踏まえ、経営体制の整備、強化に取り組んでおります。更なる迅速かつ機動的な経営を行うとともに経営監督機能を強化するため、金額的に軽微な一定程度の事項については経営会議に委任しております。併せて、企業集団を横断した内部統制システムの充実強化を目的に、内部統制委員会を設置しております。また、当社は、任意の委員会として指名報酬委員会を設置しておりますところ、客観性・透明性を高めるために委員の過半数となる3名が社外取締役で構成されており、当該委員会における審議を経て、取締役会の決議により取締役候補および監査役候補の指名、取締役の報酬等の決定、ならびに子会社の役員等の候補の指名を行うこととしております。また、取締役の報酬について、株主との認識等を合わせるべく、制度を変更しております。取締役および監査役は、弁護士等の社外専門家によるコーポレート・ガバナンスやコンプライアンス、国際事業に関する法的リスク等に関する研修、ならびに新任取締役候補および新任監査役候補は就任前に法令等に関する研修をそれぞれ受講するなど、研鑽に努めております。また、各取締役は自己評価を行うとともに、代表取締役は社外取締役および社外監査役で構成されるアドバイザリー会議において、直接当該自己評価内容に関する指摘、意見を受けた後、取締役会全体として実効性について分析および評価を行っております。さらに、代表取締役および取締役は、機関投資家および個人投資家を対象に、決算・中期経営計画や会社に関する説明会等を通じて株主との建設的な対話に努めております。このほか、株主の視点に立ち、株主総会における権利行使にかかる適切な環境整備に取り組んでおります。
当社は、引き続き、コーポレート・ガバナンスの強化を経営の重要課題の一つと捉え、実効的なコーポレート・ガバナンスの実践を通じて、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
上記②に記載した企業価値向上のための取組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針の実現に資するものです。従って、これらの施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

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