有価証券報告書-第86期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 9:25
【資料】
PDFをみる
【項目】
123項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「豊かな生活環境の創造」、「地域社会との共存」、「人間尊重の経営」の企業理念の下、道路、空港、港湾など交通網、運輸拠点の建設並びに工場、商業施設、学校、病院、スポーツ・レジャー施設、公園など生産、生活環境施設の建設を通じ、わが国の社会資本充実と産業発展の一翼を担い、また地域の快適な生活環境づくりに貢献することを使命として建設事業を展開しております。
当社グループは、これら公共性の高い建設事業を通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会などの信頼と期待に応えるとともに、会社の健全な発展を図ることを経営の基本方針といたしております。
(2) 目標とする経営指標等
当社グループは、利益創出を確実にするよう株主資本に対する収益性を重要な経営指標ととらえ、経営資源の有効活用と競争力の強化を図り企業価値を高めてまいります。
(3) 経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで各種政策の効果もあって緩やかな回復基調が続くものと思われますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響により、国内景気が下押しされることが懸念されるなど、先行き不透明な状況にあります。
道路建設業界におきましては、公共投資は底堅い動きとなっており、民間設備投資についても、企業収益の改善を背景に緩やかな増加基調が続き、全体としては堅調に推移するものと思われますが、人口減少を背景に長期的には国内建設市場の拡大は見込みにくく、また、先行き不透明な原材料価格の動向や技術者・技能労働者不足の常態化など、企業収益への影響が懸念されます。
当社グループは、このような情勢の下、建設事業における競争力の強化のため、環境分野の技術開発や民間営業への注力、小規模商業施設等の建築事業の強化を図るとともに、製造・販売他事業においては、製造設備の更新・強化による製造コストの低減と品質の向上、環境保全に努め、販売量の確保を目指す所存であります。
また、当社グループにおいては、安定した収益を持続的に確保することに加え、コンプライアンスの更なる徹底、工事及び製品部門の技術者・技能労働者不足、生産性の向上、品質・安全の確保、人材の確保と育成など継続して取り組む課題が残されています。これら課題に中長期的に取り組むために、「コンプライアンスを重視した企業風土の確立」、「変化する建設市場の中で安定した収益の持続的な確保」、「技術導入や技術開発の積極的な推進による技術力向上」、「人材の確保と育成」を基本方針とした、平成29年度(平成30年3月期)をスタートとする新しい中期経営計画(5カ年)を策定し、工事部門においては安定した工事受注高を確保するため民間営業力のさらなる強化、ICT導入等による生産性の向上及び協力会社の確保と育成、また、今後増加が予想される社会資本の維持・修繕への対応強化を行い、製造・販売他事業においては収益力、競争力強化のため、工場施設の更新と効率化の促進、顧客満足度向上への取り組み、全社においては収益力の安定化に向けた収益源の多様化と社会の要請に応える健全な企業活動の維持に努め、「豊かな生活環境の創造に向けて 地域社会と共に歩み 人間尊重の経営を行う」という企業理念のもと、持続的企業価値の向上を目指す所存であります。
なお、当社及び当社関係者は、平成28年2月29日、東日本高速道路株式会社東北支社が発注する東日本大震災に係る舗装災害復旧工事の入札(以下「本件」といいます。)に関し、独占禁止法違反により東京地方検察庁から起訴されておりましたが、平成28年10月6日、東京地方裁判所において、当社に対する罰金刑及び当社関係者に対する懲役刑(執行猶予付き)の判決を受け、それぞれの刑が確定しました。また、公正取引委員会からは本件及び東日本高速道路株式会社関東支社が発注する東日本大震災に係る舗装災害復旧工事の入札に関する独占禁止法違反について、排除措置命令及び課徴金納付命令を受けました。これらに伴い、当社は、平成28年12月22日に国土交通省から、平成29年1月6日から平成29年3月21日までの75日間、建設業法に基づく営業停止処分を受けております。停止を命じられた営業の範囲は、全国における舗装工事業に関する営業のうち、公共工事に係るものとなっております。
また、平成28年8月2日には、東京都、東京港埠頭株式会社若しくは成田国際空港株式会社が発注する舗装工事又は国土交通省が発注する東京国際空港に係る舗装工事の受注に関して、平成28年9月28日には、神戸市及びその周辺地域において供給するアスファルト合材の販売価格に関して、平成29年2月28日には、全国において販売するアスファルト合材の販売価格に関して、それぞれ独占禁止法違反の疑いがあるとして公正取引委員会の立入検査を受けております。
このような事態に至りましたことは、誠に遺憾であり、株主の皆様、お取引先をはじめ関係各位に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心からお詫び申し上げます。
引き続き、当社は、全役員及び全従業員が一丸となって法令遵守の徹底に取り組み、早期の信頼回復に最善を尽くしてまいります。