訂正有価証券報告書-第173期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2018/01/23 14:20
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【項目】
130項目

業績等の概要

(1) 業績
当期につきましては、国内では景気の緩やかな回復基調が続き、企業の景況感は改善しているものの、消費者の節約志向の継続等により消費は力強さに欠けました。一方、世界経済は米国大統領選挙の結果及びその後の政策運営や英国のEU離脱への動き等の情勢変化もみられ、不透明感を増しました。
このような中、当社グループは、2020年度を最終年度とする新経営計画「NNI-120 Ⅱ」に基づき、コア事業の収益基盤の再構築に注力すると同時に、買収事業を含めた自立的成長と新規戦略投資等の実行により、着実な利益成長を目指すとともに、株主還元の一層の積極化に取り組んでおります。
各事業におきましては、市場の活性化に向け積極的な新製品の上市・拡販に取り組むとともに、製粉事業では臨海大型工場への生産集約、加工食品事業ではグローバルな最適生産体制の構築等、引き続き国内外におけるコスト競争力の確保及び事業基盤の強化に努めました。また、スポーツ協賛等を通じたブランド価値向上の取組みや積極的な広告宣伝活動を展開しました。昨年9月には、事業ポートフォリオの最適化を目的として、連結子会社である大山ハム㈱の株式を譲渡しました。
当期の業績につきましては、売上高は、昨年1月に取得した中食・惣菜事業の子会社の連結効果はあったものの、原料小麦価格の低下に伴う製品価格の低下及び円高に伴う海外事業の為替換算の影響により、5,320億40百万円(前期比95.6%)となりました。利益面では、コストダウンをはじめとした収益向上施策や新規子会社の連結効果により、営業利益は255億11百万円(前期比107.3%)、経常利益は303億29百万円(前期比107.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は194億66百万円(前期比110.8%)と増益となりました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となりました。
当期の配当につきましては、連結ベースでの配当性向を40%以上とする新経営計画の基本方針のもと、当初の予想どおり、前期より2円増額の1株当たり年間26円といたしました。
セグメント別の営業概況は次のとおりです。
① 製粉事業
製粉事業につきましては、消費者の節約志向の継続等を背景とした厳しい市場環境の中、積極的な拡販施策を実施し新規顧客の獲得を進め、国内業務用小麦粉の出荷は前年並みとなりました。また、昨年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で7.1%、10月に同7.9%引き下げられたことを受け、それぞれ昨年7月と本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。
生産・物流面では、臨海大型工場への生産集約による生産性向上及び固定費削減等の取組みを推進するとともに、昨年6月には鶴見工場の原料小麦サイロ収容力約25%増強工事が完了し、需要に即した原料小麦の確保、保管及び安定供給を実現する体制を強化しました。昨年9月に鶴見工場が国内の食品会社として初めて、また12月には知多工場でも、食品安全マネジメントシステムの新規格「JFS-E-C」(※)の認証を取得するなど、食品安全への更なる取組みを積極的に推進しました。
副製品であるふすまにつきましては、価格は軟調に推移しました。
海外事業につきましては、積極的な拡販により全体としては出荷が増加したものの、原料小麦価格の低下に伴う小麦粉価格の低下及び円高に伴う為替換算の影響により、売上げは前年を下回りました。なお、本年秋の稼働予定でカナダのRogers Foods Ltd.チリワック工場の生産能力約80%増強工事を進めるとともに、平成31年初頭の稼働予定で米国のMiller Milling Company,LLC サギノー工場の生産能力約70%増強工事を進めております。
この結果、製粉事業の売上高は2,336億18百万円(前期比89.0%)、営業利益は98億23百万円(前期比106.3%)となりました。
※JFS-E-C
一般財団法人食品安全マネジメント協会「JFSM」が昨年7月に公表した、日本発の食品安全マネジメントシステムに関する新しい規格。
② 食品事業
加工食品事業につきましては、家庭用では、生活者の個食化・簡便化等のニーズにこたえ、好評をいただいているボトルタイプ製品のラインアップを拡充したほか、テレビCMやイベントへの協賛等の広告宣伝活動等、消費を喚起する施策を積極的に実施しました。業務用では、顧客ニーズに合わせた新製品の投入、新規顧客獲得に向けた提案活動を実施しました。また、輸入小麦の政府売渡価格改定に伴う業務用小麦粉の値下げにより、家庭用小麦粉及び業務用プレミックスの価格改定を昨年8月と本年2月に実施しました。中食・惣菜につきましては、幅広いカテゴリーの製品を供給できる総合中食・惣菜事業を展開し、順調に拡大しております。この結果、大山ハム㈱の連結除外の影響はあったものの、パスタ、中食・惣菜等の出荷が好調に推移したことや昨年1月に子会社化した㈱ジョイアス・フーズの連結効果もあり、加工食品事業全体としては、売上げは前年を上回りました。
海外事業につきましては、出荷は前年を上回ったものの、円高に伴う為替換算の影響により、売上げは前年を下回りました。なお、コスト競争力を有するグローバルな最適生産体制の構築に向けて建設したベトナムのパスタソース等の調理加工食品工場、トルコのパスタ工場は順調に稼働しております。
酵母・バイオ事業につきましては、採算性向上のための取扱品目の絞込みにより、売上げは前年を下回りました。
健康食品事業につきましては、販売促進施策の推進により消費者向け製品の販売は堅調に推移しましたが、医薬品原薬の出荷が低調で、販売価格の低下もあり、売上げは前年を下回りました。
この結果、食品事業の売上高は2,549億44百万円(前期比103.3%)、営業利益は124億26百万円(前期比108.0%)となりました。
③ その他事業
ペットフード事業につきましては、積極的な新製品の投入、テレビCMやキャンペーンの実施等拡販に努めた結果、JPスタイルブランド等の高付加価値製品の出荷が好調に推移し、売上げは前年を上回りました。
エンジニアリング事業につきましては、主力のプラントエンジニアリングにおいて受注が伸び悩み、売上げは前年を下回りました。
メッシュクロス事業につきましては、スクリーン印刷用資材の出荷が低調で、売上げは前年を下回りました。
この結果、その他事業の売上高は434億78百万円(前期比91.5%)、営業利益は29億56百万円(前期比93.8%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益311億89百万円、減価償却費161億32百万円等による資金増加が、仕入債務の減少等による運転資金の増加及び法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは353億61百万円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
子会社株式の売却による収入32億6百万円、関係会社株式の償還による収入27億13百万円、及び有形及び無形固定資産の売却収入等による資金増加がありましたが、Rogers Foods Ltd.チリワック工場小麦粉生産ライン増設工事を含めた有形及び無形固定資産の取得に135億49百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは52億40百万円の資金減少となりました。
以上により、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、301億21百万円の資金増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株主の皆様への利益還元といたしまして、配当に75億46百万円を支出したことに加え、短期及び長期借入金の返済による支出が借入れによる収入を34億92百万円上回ったこと等により、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは114億70百万円の資金減少となりました。
上記のとおり、当連結会計年度は営業活動や子会社株式の売却等により増加した資金を、戦略的な設備投資に投入するとともに、株主の皆様への利益還元として配当に充当いたしました。これにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比178億77百万円増加し、908億37百万円となりました。