有価証券報告書-第113期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社および当社グループは、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。」という企業理念のもと、日本伝統の酒造りの発酵技術と最先端のバイオ技術の革新を通じて、食生活や生活スタイル、ライフサイエンスにおける新たな可能性を探求し、新たな価値を創造し続けることによって社会への貢献を果たしています。
当社は、当社グループ創立100周年を迎える2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定し、当社グループとしての「ありたい姿(Vision)*」と、それを実現するための経営戦略・事業戦略を設定しております。
当社は、この「ありたい姿」を実現することこそが、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につながるものであり、その効果的・効率的な実現に向けた透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うためのコーポレートガバナンス体制が必要であると考えております。またそれと同時に、信頼される企業グループであり続けるために、株主、顧客、従業員、債権者、地域社会等のステークホルダーの立場を尊重し、適切なコミュニケーションに努めていくための体制が必要であるとも考えております。
当社は、上記の考え方のもとにコーポレートガバナンス体制を構築していくことで持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることとし、以下の具体的方針を定めて取り組んでまいります。
*「ありたい姿(Vision)」
「Smiles in Life ~笑顔は人生の宝~」
「宝グループは、おいしさを追求する技術と革新的なバイオ技術によって、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供する企業グループとして、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けます。」
イ.株主の権利・平等性の確保
当社は、すべての株主の権利の実質的な確保、権利行使にかかる環境整備および実質的な平等性の確保のため、適切な対応を行うこととしております。
ロ.株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、株主、顧客、取引先、債権者、従業員、地域社会等の様々なステークホルダーとの適切な協働に努め、これらのステークホルダーの権利・立場を尊重する企業文化・風土の醸成を推進することとしております。
ハ.適切な情報開示と透明性の確保
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、事業活動におけるリスクやコーポレートガバナンスにかかる情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行い、また法令に基づく開示以外にも必要に応じ適切な方法により情報提供を行うとともに、直接または間接的に株主への説明および対話を行うこととしております。
ニ.取締役会の責務
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、収益力や資本効率を高めるために、長期経営構想において当社グループの方向性を示すとともに中期経営計画でその具体的な目標を定めることとしております。
当社は、持株会社として、グループ各社の独自性・自立性を維持しつつ、各社の経営上の重要案件の事前協議や報告を義務付け業務執行を監督しながら、適切なリスクテイクを支える体制をとることとしております。
当社は、豊富な経験と幅広い見識を持つ複数名の社外取締役および監査役が、その独立した客観的な立場から、それぞれの役割・機能に応じて取締役の経営・職務執行に対しモニタリング・監査・助言等を行うことで、実効性の高い監督を行うこととしております。
ホ.株主との対話
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、株主の意見を経営に適切に反映することが重要な経営課題の1つであると認識しており、IR部門の担当役員が統括となり、当社の経営戦略や経営計画に対する理解を得るため株主や投資家との対話を行うこととしております。また、対話によって得られた意見は必要に応じて取締役会などに報告することにより、様々なステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解をふまえた適切な対応に努めることとしております。
② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由
イ.企業統治の体制の概要
当社は、監査役設置会社であり、かつ、監査役会設置会社であります。
・取締役および取締役会
当社は、一定の基準を満たす者の中から、それぞれの能力・知識・経験・専門性などをふまえ、業務執行の相互の補完と監督機能強化の観点から最もふさわしいと考えられる人物を、その性別・国籍・職歴・年齢等にとらわれることなく取締役に選任することとしており、これにより、取締役会全体として必要な多様性を確保しております。提出日現在、取締役6名(定款に定める定数は7名)中3名が社外取締役であり、また、取締役のうち2名が女性であります。また、経営環境への迅速な対応、取締役の経営責任の明確化のために、取締役の任期は1年としております。
<取締役会の構成(2024年6月27日現在)>代表取締役社長 木村 睦
常務取締役 髙橋秀夫
取締役 森 圭助
取締役 友常理子(社外取締役)
取締役 川上智子(社外取締役)
取締役 本宮孝夫(社外取締役)
当事業年度において当社は取締役会を13回開催しており、個々の取締役の出席状況は次のとおりであります。
・木村 睦、髙橋秀夫、森 圭助、友常理子および川上智子の5氏ならびに第113回定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任した仲尾功一氏は、当事業年度中に開催された13回の取締役会のすべてに出席しております。
・第112回定時株主総会において新たに選任され就任した本宮孝夫氏は、就任後に開催された10回の取締役会のすべてに出席しております。
当事業年度において取締役会は、法令または定款の所定事項やグループ経営を行う上で必要となる定期的な審議事項に加え、日本国内および海外における重要投資案件等について、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点から検討を行いました。
・監査役および監査役会
当社は、財務・会計・法務に関する知識を有する者を監査役に選任することとしており、これにより、監査役および監査役会としての役割および責務を遂行する上で必要な機能を確保しております。提出日現在、監査役5名中3名が社外監査役であり、また、監査役5名中3名は、財務・会計に関する十分な知見を有する者を選任しております。
<監査役会の構成(2024年6月27日現在)>常勤監査役 三井照明
常勤監査役 山中俊人(社外監査役)
常勤監査役 鈴木洋一
常勤監査役 松永 諭(社外監査役)
監査役 吉本明子(社外監査役)
監査役および監査役会の活動状況等につきましては、「(3)監査の状況 ①監査役監査の状況」に記載のとおりであります。
・指名・報酬委員会
当社は、取締役会の機能の独立性・客観性を担保するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする指名・報酬委員会を設置し、その適切な関与を得ることとしております。
<指名・報酬委員会の構成(2024年6月27日現在)>委員長 友常理子(独立社外取締役)
委員 川上智子(独立社外取締役)
委員 本宮孝夫(独立社外取締役)
委員 木村 睦(代表取締役社長)
委員 髙橋秀夫(常務取締役)
<指名・報酬委員会の審議事項>・株主総会に提案する取締役候補者に関する事項
・株主総会に提案する取締役の報酬限度額の改定等に関する事項
・取締役の個人別の報酬に関する事項
・その他取締役の指名や報酬等に関する事項
当事業年度において当社は指名・報酬委員会を2回開催しており、個々の委員の出席状況は次のとおりであります。
・友常理子、川上智子、木村 睦および髙橋秀夫の4氏は、当事業年度中に開催された2回の指名・報酬委員会のすべてに出席しております。
・2023年6月29日付で新たに委員に選任され就任した本宮孝夫氏は、その在任期間中に開催された1回の指名・報酬委員会に出席しております。
当事業年度において指名・報酬委員会は、株主総会に提案する取締役候補者に関する事項および取締役の個人別の報酬に関する事項について、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点から検討を行いました。
当社は持株会社として、グループ会社の管理に関する必要な事項を定めた「グループ会社管理規程」を制定し、グループ各社の独自性・自立性を維持しつつ、各社の事業活動等の定期的な報告に加え、重要案件については事前協議を行い、または事後すみやかな報告を受けることにより、業務執行を監督しながら適切なリスクテイクを支える体制をとることとしております。
当社では、業務執行上の意思決定および情報提供が適切かつ迅速に行われることを目的として、次のとおり会議体を設置し、運営しております。
a.当社グループのグループ経営全体に関わる重要事項の協議、グループ各社の業績レビュー、ならびに活動状況の報告を行う「グループ戦略会議」を原則として年6回以上開催しております。
b.宝酒造株式会社および宝酒造インターナショナル株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「宝酒造戦略会議」および「宝酒造インターナショナル戦略会議」をそれぞれ原則として毎月1回開催しております。
また、上場子会社であるタカラバイオ株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事後報告および活動状況の報告を行う「タカラバイオ連絡会議」を原則として毎月1回開催しております。
さらにその他の子会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「戦略会議」や「協議連絡会議」を各社ごとにそれぞれ原則として年4回開催しております。
ロ.企業統治の体制を採用する理由
当社は、持株会社としてグループ経営を行うにあたり、経営に対する実効性の高い監督および監査を行うためには次の体制とすることが最も適切であると考え、コーポレートガバナンス体制として監査役設置会社を選択しております。
a.各事業に関する高度な専門知識と経験をもつ業務執行取締役と、豊富な経験と幅広い見識を持ち、株主を含むあらゆるステークホルダーの視点に立脚して助言・提言等を行う複数の独立性のある社外取締役とで構成する取締役会が、経営の重要な意思決定を行い、かつ、業務執行の監督を行う。
b.豊富な経験と幅広い見識を持った独立性のある社外監査役を含め、財務・会計・法務に関する知識を有する監査役が監査役会を構成し、それぞれの監査役がその機能と権限を有効に活用して取締役による業務執行等の監査を行う。
そして、これらの体制のもと、複数名の社外取締役および監査役が、その独立した客観的な立場から、それぞれの役割・機能に応じて取締役の経営・職務執行に対しモニタリング・監督・助言等を行うことで、実効性の高い監督を行うこととしております。
③ 企業統治に関するその他の事項
イ.内部統制システムの整備状況およびリスク管理体制の整備の状況
当社は、会社法第362条第5項に基づき「業務の適正を確保するための体制」を取締役会で決議し、これに基づき以下の体制の整備をしております。
a.当企業集団の企業理念と誠実で公正な企業活動のために
当社およびその子会社からなる企業集団(以下、「当企業集団」という)では、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します」という企業理念を掲げ、常に誠実で公正な企業活動を行うことを経営のよりどころとする。
そこで、誠実で公正な企業活動の確保を目指すため、当企業集団全体のコンプライアンス活動を統括する組織として、当社社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、運営する。同委員会では、以下の基本的な考え方に立った「宝グループコンプライアンス行動指針」を制定し、当企業集団の役員・社員のひとりひとりは、この指針に基づき、日常の業務活動を行うこととする。
ⅰ 国内外の法令を遵守するとともに、社会倫理を十分に認識し、社会人としての良識と責任を持って行動する。
ⅱ 自然環境への負荷の軽減に取り組み、生命の尊厳を大切にした生命科学の発展に貢献する。
ⅲ この行動指針に反してまで利益を追求することをせず、公正な競争を通じた利益追求をすることで、広く社会にとって有用な存在として持続的な事業活動を行う。
ⅳ 就業規則を遵守し、就業規則に違反するような不正または不誠実な行為は行わない。
ⅴ 常に公私のけじめをつけ、会社の資産・情報や業務上の権限・立場を利用しての個人的な利益は追求しない。
b.当企業集団の取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
イ)「宝グループコンプライアンス行動指針」により、当企業集団の役員・社員の一人ひとりが遵守すべき「法・社会倫理」に関わる行動指針を明示し、集合研修や職場での日常的指導などを通じて当企業集団の役員・社員を教育する。
ロ)反社会的勢力に対しては、当該行動指針を遵守することにより毅然と対応し、一切の関係を持たないこととする。
ハ)役員・社員が当企業集団の業務上の法令違反および不正行為を発見した場合において、通常の業務遂行上の手段・方法によっては問題の解決・防止が困難または不可能であるときの通報窓口として「ヘルプライン」を社内および社外第三者機関に設置し、運営する。通報等の行為を理由とする通報者の不利益取扱は禁止し、この旨を当企業集団全体に周知する。
ニ)「内部監査規程」に基づく内部監査を実施し、当該内部監査の結果をふまえて必要な対策を講じることにより、職務執行の適正の確保に努める。なお、内部監査担当部門は、被監査部門等に対して十分な牽制機能を確保するための独立した組織とする。
ホ)当企業集団では、財務報告の信頼性を確保するための全社的な体制を整備し、評価・改善を行い、これらの体制整備の充実を継続的に行う。
c.当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制ならびに当社の子会社の取締役の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
イ)「情報管理規程」を制定して、取締役および使用人の職務の執行状況を事後的に適切に確認するとともに情報の取扱に起因するリスクを防止・軽減するための基本体制を整備・運用する。
ロ)個別具体的な情報の保管年限・管理体制(情報セキュリティ体制を含む)等に関しては、順次個別に規程・取扱要領等を整備・運用する。
ハ)当社と子会社との関係に関する「グループ会社管理規程」を制定し、各子会社の独自性・自立性を維持しつつ、事業活動等の定期的な報告に加え、重要案件については事前協議を行い、または事後すみやかな報告を受けることとする。
d.当企業集団の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
イ)「リスク・コンプライアンス委員会」が当企業集団の「リスク管理」全体を統括し、同委員会の監督のもと、各担当部門において「法・社会倫理」「商品の安全と品質」「安全衛生」その他当企業集団を取り巻くリスクを防止・軽減する活動に取り組む。
ロ)緊急事態発生時には、リスク・コンプライアンス委員会においてあらかじめ定める「宝グループ緊急時対応マニュアル」に基づき、必要に応じて緊急対策本部を設置した上で、当該事態に対処する。
e.当企業集団の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
イ)当企業集団における業務執行上の意思決定および情報提供が適正かつ迅速に行われることを目的として、次の会議体を設置し、運営する。
ⅰ 当企業集団のグループ経営全体に関わる重要事項の協議、グループ各社の業績レビュー、ならびに活動状況の報告を行う「グループ戦略会議」を原則として年6回以上開催する。
ⅱ 宝酒造株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「宝酒造戦略会議」を原則として毎月1回開催する。
ⅲ 宝酒造インターナショナル株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「宝酒造インターナショナル戦略会議」を原則として毎月1回開催する。
ⅳ タカラバイオ株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての報告および活動状況の報告を行う「タカラバイオ連絡会議」を原則として毎月1回開催する。
ⅴ その他の子会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「戦略会議」や「協議連絡会議」を各社ごとにそれぞれ原則として年4回開催する。
ロ)社内の指揮命令系統および業務分掌を明確にするため、「役員職務規程」ならびに「組織および職務権限規程」を制定し、取締役および使用人による適切かつ迅速な意思決定・執行が行える体制を整備・運用する。
ハ)取締役会または各取締役の監督・指導のもと、各担当部門において、または必要に応じて部門横断的なプロジェクトチームを組織して、効率経営の確保に向けた業務の合理化・迅速化・電子化等に継続的に取り組む。
ニ)内部監査は、効率性の観点にも立って実施し、当該内部監査の結果をふまえて必要な対策を講じることにより、職務執行の効率性の確保に努める。
f.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項および監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
イ)監査役の職務を補助すべき使用人の設置を監査役が必要としたときは、当該使用人が置かれる指揮命令系統・当該使用人の地位・処遇等について取締役からの独立性を確保するとともに、監査役の当該使用人に対する指示の実効性が確保される体制を整えた上で、補助使用人を置くものとする。
g.監査役への報告に関する体制および監査役に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利益な取扱を受けないことを確保するための体制
イ)監査役は、重要な意思決定の過程や業務執行状況を把握するために、取締役会およびグループ戦略会議に出席し、稟議書その他の業務執行上の重要な書類を閲覧する。また、必要に応じて、各子会社の戦略会議・連絡会議等の重要な会議への出席その他の方法により、当企業集団内の取締役および使用人に説明を求める。
ロ)取締役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、法令に従い、監査役に報告しなければならない。
ハ)監査役に報告をした者に対して当該報告をしたことを理由として不利益な取扱を行うことを禁止し、この旨を当企業集団全体に周知する。
h.監査役の職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
イ)監査役がその職務の執行について生ずる費用の前払その他の請求をした場合は、当該監査役の職務の執行に必要でないと認められたときを除き、速やかに当該費用または債務を処理するものとする。
ロ)監査役は、有効かつ効率的な監査を実施するべく、内部監査担当部門と緊密な連携を保持する。
ロ.その他
a.責任限定契約の内容の概要
当社は会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役および監査役(取締役および監査役であった者を含む)の損害賠償責任を、法定の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨、定款に定めております。これは、取締役および監査役が期待される役割を十分に発揮できるようにすることを目的とするものであります。また、同法第427条第1項の規定による定款の定めに基づき、社外取締役および社外監査役との間に、「責任の限度額を会社法第425条第1項各号の額の合計額とする」旨の責任限定契約を締結しております。
b.役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、保険会社との間で、当社および日本国内の子会社(タカラバイオ株式会社を除く10社)の取締役、監査役および執行役員等を被保険者とする、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を締結しており、保険料は全額当社が負担しております。当該保険契約の内容の概要は、被保険者がその職務の執行に関し責任を負うことまたは当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を当該保険契約により保険会社が補償するものであり、1年ごとに契約を更新しております。
c.執行役員制度について
当社ならびに当社グループの中核事業会社である宝酒造株式会社、宝酒造インターナショナル株式会社およびタカラバイオ株式会社のほか、一部のグループ会社では、経営と執行を分離した執行役員制度を導入し、取締役会は少数メンバーによる迅速な意思決定と本質的な議論ができる体制としております。
d.情報開示について
情報開示については、「有価証券報告書」のほか「決算短信」、「宝グループレポート(統合報告書)」などの各種報告書の充実および証券取引所や当社のウェブサイトを通じた情報開示、また、決算説明会やIRミーティングを通じた情報開示などを積極的に行っております。
e.取締役の選任決議要件
当社は、会社法第341条の規定により、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。また取締役の選任決議は累積投票によらない旨、および取締役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする旨も定款に定めております。
f.自己の株式の取得の決定機関
当社は、会社法第165条第2項の定めにより、取締役会の決議によって市場取引により自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。これは、事業環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とすることを目的とするものであります。
g.株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に規定する特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは定足数の確保をより確実にすることを目的とするものであります。
④ 株式会社の支配に関する基本方針について
イ.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
当社は、上場会社として、当社株式の売買は原則として市場における株主及び投資家の皆様の自由な判断に委ねるべきものであると考えており、当社株式を取得することにより当社の経営支配権を獲得しようとする者に対して、株主の皆様が、当社株式の売却を行うか否かについても、最終的には当社株式を保有する株主の皆様の判断によるものと考えております。
また、当社は、特定の株主グループが当社の経営支配権を取得することになったとしても、そのこと自体により直ちに企業価値、ひいては、株主の皆様の共同の利益(以下、単に「株主共同の利益」といいます。)が害されるということはなく、反対に、それが結果的に当社の株主共同の利益の最大化に資することもあり得るため、そのような場合であれば、特定の株主グループが当社の経営支配権を取得することを拒むものではありません。
一方で、当社および当社グループ(以下、総称して「当社グループ」といいます。)は、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します」という企業理念のもと、日本伝統の酒造りの発酵技術と最先端のバイオ技術の革新を通じて、食生活や生活スタイル、ライフサイエンスにおける新たな可能性を探求し、新たな価値を創造し続けることによって、社会への貢献を果たしています。
また、グループとしての企業価値の向上を一層追求するために2002年に持株会社体制に移行し、当社は持株会社として、それぞれの事業会社グループの独自性と自立性を確保しながら、グループ全体の経営を調整、統括することにより、最大限の事業成果を追求しております。2020年には当社グループ創立100周年を迎える2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定し、当社グループとしての「ありたい姿」である「おいしさを追求する技術と革新的なバイオ技術によって、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供し続ける企業グループとして、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続ける」ことを通じて、当社グループの企業価値の向上を目指しております。
以上のような状況において、当社は、当社グループの経営にあたっては、それぞれの事業会社が営む異なるビジネスモデルを持つ各事業に関する高度な専門知識と豊富な経験が必要であり、また、当社グループを取り巻く国内外のあらゆるステークホルダーとの間に築かれた信頼関係が不可欠であると考えております。これらの諸要素こそが、当社グループの企業価値の源泉となっているため、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、将来にわたる株主共同の利益の確保、向上を追求する前提において、このような関係性を十分理解する必要があると考えております。
ロ.基本方針の実現に資する取組みおよび基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
a.基本方針の実現に資する取組み
当社は、前記イのとおり長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定して当社グループとしての「ありたい姿」の実現を目指すとともに、その実行計画の総仕上げに向けて「宝グループ中期経営計画2025」を策定し、これらに従った取組みを進めております。(これらの概要等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。)
当社は、こうした経営構想・経営計画を着実に実行していくとともに、信頼される企業グループであり続けるために、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーとの適切なコミュニケーションに努めることを通じて、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上ひいては株主共同の利益の向上に取り組んでおります。
b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2019年6月27日開催の当社第108回定時株主総会終結の時をもって「当社株券等の大規模な買付行為に対する対応方針(買収防衛策)」を継続せず、廃止しておりますが、当社株式を大規模に買い付け、当社の経営支配権を獲得しようとする者に対しては、当社の株主の皆様が、その是非を適切に判断できるよう、必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、関係諸法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
ハ.前記ロの取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記ロに記載した各取組みは、前記イ記載の基本方針に従い、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社および当社グループは、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。」という企業理念のもと、日本伝統の酒造りの発酵技術と最先端のバイオ技術の革新を通じて、食生活や生活スタイル、ライフサイエンスにおける新たな可能性を探求し、新たな価値を創造し続けることによって社会への貢献を果たしています。
当社は、当社グループ創立100周年を迎える2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定し、当社グループとしての「ありたい姿(Vision)*」と、それを実現するための経営戦略・事業戦略を設定しております。
当社は、この「ありたい姿」を実現することこそが、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上につながるものであり、その効果的・効率的な実現に向けた透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うためのコーポレートガバナンス体制が必要であると考えております。またそれと同時に、信頼される企業グループであり続けるために、株主、顧客、従業員、債権者、地域社会等のステークホルダーの立場を尊重し、適切なコミュニケーションに努めていくための体制が必要であるとも考えております。
当社は、上記の考え方のもとにコーポレートガバナンス体制を構築していくことで持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることとし、以下の具体的方針を定めて取り組んでまいります。
*「ありたい姿(Vision)」
「Smiles in Life ~笑顔は人生の宝~」
「宝グループは、おいしさを追求する技術と革新的なバイオ技術によって、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供する企業グループとして、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けます。」
イ.株主の権利・平等性の確保
当社は、すべての株主の権利の実質的な確保、権利行使にかかる環境整備および実質的な平等性の確保のため、適切な対応を行うこととしております。
ロ.株主以外のステークホルダーとの適切な協働
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、株主、顧客、取引先、債権者、従業員、地域社会等の様々なステークホルダーとの適切な協働に努め、これらのステークホルダーの権利・立場を尊重する企業文化・風土の醸成を推進することとしております。
ハ.適切な情報開示と透明性の確保
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、事業活動におけるリスクやコーポレートガバナンスにかかる情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行い、また法令に基づく開示以外にも必要に応じ適切な方法により情報提供を行うとともに、直接または間接的に株主への説明および対話を行うこととしております。
ニ.取締役会の責務
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、収益力や資本効率を高めるために、長期経営構想において当社グループの方向性を示すとともに中期経営計画でその具体的な目標を定めることとしております。
当社は、持株会社として、グループ各社の独自性・自立性を維持しつつ、各社の経営上の重要案件の事前協議や報告を義務付け業務執行を監督しながら、適切なリスクテイクを支える体制をとることとしております。
当社は、豊富な経験と幅広い見識を持つ複数名の社外取締役および監査役が、その独立した客観的な立場から、それぞれの役割・機能に応じて取締役の経営・職務執行に対しモニタリング・監査・助言等を行うことで、実効性の高い監督を行うこととしております。
ホ.株主との対話
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、株主の意見を経営に適切に反映することが重要な経営課題の1つであると認識しており、IR部門の担当役員が統括となり、当社の経営戦略や経営計画に対する理解を得るため株主や投資家との対話を行うこととしております。また、対話によって得られた意見は必要に応じて取締役会などに報告することにより、様々なステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解をふまえた適切な対応に努めることとしております。
② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由
イ.企業統治の体制の概要
当社は、監査役設置会社であり、かつ、監査役会設置会社であります。
・取締役および取締役会
当社は、一定の基準を満たす者の中から、それぞれの能力・知識・経験・専門性などをふまえ、業務執行の相互の補完と監督機能強化の観点から最もふさわしいと考えられる人物を、その性別・国籍・職歴・年齢等にとらわれることなく取締役に選任することとしており、これにより、取締役会全体として必要な多様性を確保しております。提出日現在、取締役6名(定款に定める定数は7名)中3名が社外取締役であり、また、取締役のうち2名が女性であります。また、経営環境への迅速な対応、取締役の経営責任の明確化のために、取締役の任期は1年としております。
<取締役会の構成(2024年6月27日現在)>代表取締役社長 木村 睦
常務取締役 髙橋秀夫
取締役 森 圭助
取締役 友常理子(社外取締役)
取締役 川上智子(社外取締役)
取締役 本宮孝夫(社外取締役)
当事業年度において当社は取締役会を13回開催しており、個々の取締役の出席状況は次のとおりであります。
・木村 睦、髙橋秀夫、森 圭助、友常理子および川上智子の5氏ならびに第113回定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任した仲尾功一氏は、当事業年度中に開催された13回の取締役会のすべてに出席しております。
・第112回定時株主総会において新たに選任され就任した本宮孝夫氏は、就任後に開催された10回の取締役会のすべてに出席しております。
当事業年度において取締役会は、法令または定款の所定事項やグループ経営を行う上で必要となる定期的な審議事項に加え、日本国内および海外における重要投資案件等について、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点から検討を行いました。
・監査役および監査役会
当社は、財務・会計・法務に関する知識を有する者を監査役に選任することとしており、これにより、監査役および監査役会としての役割および責務を遂行する上で必要な機能を確保しております。提出日現在、監査役5名中3名が社外監査役であり、また、監査役5名中3名は、財務・会計に関する十分な知見を有する者を選任しております。
<監査役会の構成(2024年6月27日現在)>常勤監査役 三井照明
常勤監査役 山中俊人(社外監査役)
常勤監査役 鈴木洋一
常勤監査役 松永 諭(社外監査役)
監査役 吉本明子(社外監査役)
監査役および監査役会の活動状況等につきましては、「(3)監査の状況 ①監査役監査の状況」に記載のとおりであります。
・指名・報酬委員会
当社は、取締役会の機能の独立性・客観性を担保するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする指名・報酬委員会を設置し、その適切な関与を得ることとしております。
<指名・報酬委員会の構成(2024年6月27日現在)>委員長 友常理子(独立社外取締役)
委員 川上智子(独立社外取締役)
委員 本宮孝夫(独立社外取締役)
委員 木村 睦(代表取締役社長)
委員 髙橋秀夫(常務取締役)
<指名・報酬委員会の審議事項>・株主総会に提案する取締役候補者に関する事項
・株主総会に提案する取締役の報酬限度額の改定等に関する事項
・取締役の個人別の報酬に関する事項
・その他取締役の指名や報酬等に関する事項
当事業年度において当社は指名・報酬委員会を2回開催しており、個々の委員の出席状況は次のとおりであります。
・友常理子、川上智子、木村 睦および髙橋秀夫の4氏は、当事業年度中に開催された2回の指名・報酬委員会のすべてに出席しております。
・2023年6月29日付で新たに委員に選任され就任した本宮孝夫氏は、その在任期間中に開催された1回の指名・報酬委員会に出席しております。
当事業年度において指名・報酬委員会は、株主総会に提案する取締役候補者に関する事項および取締役の個人別の報酬に関する事項について、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の観点から検討を行いました。
当社は持株会社として、グループ会社の管理に関する必要な事項を定めた「グループ会社管理規程」を制定し、グループ各社の独自性・自立性を維持しつつ、各社の事業活動等の定期的な報告に加え、重要案件については事前協議を行い、または事後すみやかな報告を受けることにより、業務執行を監督しながら適切なリスクテイクを支える体制をとることとしております。
当社では、業務執行上の意思決定および情報提供が適切かつ迅速に行われることを目的として、次のとおり会議体を設置し、運営しております。
a.当社グループのグループ経営全体に関わる重要事項の協議、グループ各社の業績レビュー、ならびに活動状況の報告を行う「グループ戦略会議」を原則として年6回以上開催しております。
b.宝酒造株式会社および宝酒造インターナショナル株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「宝酒造戦略会議」および「宝酒造インターナショナル戦略会議」をそれぞれ原則として毎月1回開催しております。
また、上場子会社であるタカラバイオ株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事後報告および活動状況の報告を行う「タカラバイオ連絡会議」を原則として毎月1回開催しております。
さらにその他の子会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「戦略会議」や「協議連絡会議」を各社ごとにそれぞれ原則として年4回開催しております。
ロ.企業統治の体制を採用する理由
当社は、持株会社としてグループ経営を行うにあたり、経営に対する実効性の高い監督および監査を行うためには次の体制とすることが最も適切であると考え、コーポレートガバナンス体制として監査役設置会社を選択しております。
a.各事業に関する高度な専門知識と経験をもつ業務執行取締役と、豊富な経験と幅広い見識を持ち、株主を含むあらゆるステークホルダーの視点に立脚して助言・提言等を行う複数の独立性のある社外取締役とで構成する取締役会が、経営の重要な意思決定を行い、かつ、業務執行の監督を行う。
b.豊富な経験と幅広い見識を持った独立性のある社外監査役を含め、財務・会計・法務に関する知識を有する監査役が監査役会を構成し、それぞれの監査役がその機能と権限を有効に活用して取締役による業務執行等の監査を行う。
そして、これらの体制のもと、複数名の社外取締役および監査役が、その独立した客観的な立場から、それぞれの役割・機能に応じて取締役の経営・職務執行に対しモニタリング・監督・助言等を行うことで、実効性の高い監督を行うこととしております。
③ 企業統治に関するその他の事項
イ.内部統制システムの整備状況およびリスク管理体制の整備の状況
当社は、会社法第362条第5項に基づき「業務の適正を確保するための体制」を取締役会で決議し、これに基づき以下の体制の整備をしております。
a.当企業集団の企業理念と誠実で公正な企業活動のために
当社およびその子会社からなる企業集団(以下、「当企業集団」という)では、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します」という企業理念を掲げ、常に誠実で公正な企業活動を行うことを経営のよりどころとする。
そこで、誠実で公正な企業活動の確保を目指すため、当企業集団全体のコンプライアンス活動を統括する組織として、当社社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を設置し、運営する。同委員会では、以下の基本的な考え方に立った「宝グループコンプライアンス行動指針」を制定し、当企業集団の役員・社員のひとりひとりは、この指針に基づき、日常の業務活動を行うこととする。
ⅰ 国内外の法令を遵守するとともに、社会倫理を十分に認識し、社会人としての良識と責任を持って行動する。
ⅱ 自然環境への負荷の軽減に取り組み、生命の尊厳を大切にした生命科学の発展に貢献する。
ⅲ この行動指針に反してまで利益を追求することをせず、公正な競争を通じた利益追求をすることで、広く社会にとって有用な存在として持続的な事業活動を行う。
ⅳ 就業規則を遵守し、就業規則に違反するような不正または不誠実な行為は行わない。
ⅴ 常に公私のけじめをつけ、会社の資産・情報や業務上の権限・立場を利用しての個人的な利益は追求しない。
b.当企業集団の取締役および使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
イ)「宝グループコンプライアンス行動指針」により、当企業集団の役員・社員の一人ひとりが遵守すべき「法・社会倫理」に関わる行動指針を明示し、集合研修や職場での日常的指導などを通じて当企業集団の役員・社員を教育する。
ロ)反社会的勢力に対しては、当該行動指針を遵守することにより毅然と対応し、一切の関係を持たないこととする。
ハ)役員・社員が当企業集団の業務上の法令違反および不正行為を発見した場合において、通常の業務遂行上の手段・方法によっては問題の解決・防止が困難または不可能であるときの通報窓口として「ヘルプライン」を社内および社外第三者機関に設置し、運営する。通報等の行為を理由とする通報者の不利益取扱は禁止し、この旨を当企業集団全体に周知する。
ニ)「内部監査規程」に基づく内部監査を実施し、当該内部監査の結果をふまえて必要な対策を講じることにより、職務執行の適正の確保に努める。なお、内部監査担当部門は、被監査部門等に対して十分な牽制機能を確保するための独立した組織とする。
ホ)当企業集団では、財務報告の信頼性を確保するための全社的な体制を整備し、評価・改善を行い、これらの体制整備の充実を継続的に行う。
c.当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する体制ならびに当社の子会社の取締役の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
イ)「情報管理規程」を制定して、取締役および使用人の職務の執行状況を事後的に適切に確認するとともに情報の取扱に起因するリスクを防止・軽減するための基本体制を整備・運用する。
ロ)個別具体的な情報の保管年限・管理体制(情報セキュリティ体制を含む)等に関しては、順次個別に規程・取扱要領等を整備・運用する。
ハ)当社と子会社との関係に関する「グループ会社管理規程」を制定し、各子会社の独自性・自立性を維持しつつ、事業活動等の定期的な報告に加え、重要案件については事前協議を行い、または事後すみやかな報告を受けることとする。
d.当企業集団の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
イ)「リスク・コンプライアンス委員会」が当企業集団の「リスク管理」全体を統括し、同委員会の監督のもと、各担当部門において「法・社会倫理」「商品の安全と品質」「安全衛生」その他当企業集団を取り巻くリスクを防止・軽減する活動に取り組む。
ロ)緊急事態発生時には、リスク・コンプライアンス委員会においてあらかじめ定める「宝グループ緊急時対応マニュアル」に基づき、必要に応じて緊急対策本部を設置した上で、当該事態に対処する。
e.当企業集団の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
イ)当企業集団における業務執行上の意思決定および情報提供が適正かつ迅速に行われることを目的として、次の会議体を設置し、運営する。
ⅰ 当企業集団のグループ経営全体に関わる重要事項の協議、グループ各社の業績レビュー、ならびに活動状況の報告を行う「グループ戦略会議」を原則として年6回以上開催する。
ⅱ 宝酒造株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「宝酒造戦略会議」を原則として毎月1回開催する。
ⅲ 宝酒造インターナショナル株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「宝酒造インターナショナル戦略会議」を原則として毎月1回開催する。
ⅳ タカラバイオ株式会社の取締役会決議事項等の重要事項についての報告および活動状況の報告を行う「タカラバイオ連絡会議」を原則として毎月1回開催する。
ⅴ その他の子会社の取締役会決議事項等の重要事項についての事前協議および報告ならびに活動状況の報告を行う「戦略会議」や「協議連絡会議」を各社ごとにそれぞれ原則として年4回開催する。
ロ)社内の指揮命令系統および業務分掌を明確にするため、「役員職務規程」ならびに「組織および職務権限規程」を制定し、取締役および使用人による適切かつ迅速な意思決定・執行が行える体制を整備・運用する。
ハ)取締役会または各取締役の監督・指導のもと、各担当部門において、または必要に応じて部門横断的なプロジェクトチームを組織して、効率経営の確保に向けた業務の合理化・迅速化・電子化等に継続的に取り組む。
ニ)内部監査は、効率性の観点にも立って実施し、当該内部監査の結果をふまえて必要な対策を講じることにより、職務執行の効率性の確保に努める。
f.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の取締役からの独立性に関する事項および監査役の当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
イ)監査役の職務を補助すべき使用人の設置を監査役が必要としたときは、当該使用人が置かれる指揮命令系統・当該使用人の地位・処遇等について取締役からの独立性を確保するとともに、監査役の当該使用人に対する指示の実効性が確保される体制を整えた上で、補助使用人を置くものとする。
g.監査役への報告に関する体制および監査役に報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利益な取扱を受けないことを確保するための体制
イ)監査役は、重要な意思決定の過程や業務執行状況を把握するために、取締役会およびグループ戦略会議に出席し、稟議書その他の業務執行上の重要な書類を閲覧する。また、必要に応じて、各子会社の戦略会議・連絡会議等の重要な会議への出席その他の方法により、当企業集団内の取締役および使用人に説明を求める。
ロ)取締役は、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときは、法令に従い、監査役に報告しなければならない。
ハ)監査役に報告をした者に対して当該報告をしたことを理由として不利益な取扱を行うことを禁止し、この旨を当企業集団全体に周知する。
h.監査役の職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
イ)監査役がその職務の執行について生ずる費用の前払その他の請求をした場合は、当該監査役の職務の執行に必要でないと認められたときを除き、速やかに当該費用または債務を処理するものとする。
ロ)監査役は、有効かつ効率的な監査を実施するべく、内部監査担当部門と緊密な連携を保持する。
ロ.その他
a.責任限定契約の内容の概要
当社は会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役および監査役(取締役および監査役であった者を含む)の損害賠償責任を、法定の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨、定款に定めております。これは、取締役および監査役が期待される役割を十分に発揮できるようにすることを目的とするものであります。また、同法第427条第1項の規定による定款の定めに基づき、社外取締役および社外監査役との間に、「責任の限度額を会社法第425条第1項各号の額の合計額とする」旨の責任限定契約を締結しております。
b.役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、保険会社との間で、当社および日本国内の子会社(タカラバイオ株式会社を除く10社)の取締役、監査役および執行役員等を被保険者とする、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を締結しており、保険料は全額当社が負担しております。当該保険契約の内容の概要は、被保険者がその職務の執行に関し責任を負うことまたは当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害を当該保険契約により保険会社が補償するものであり、1年ごとに契約を更新しております。
c.執行役員制度について
当社ならびに当社グループの中核事業会社である宝酒造株式会社、宝酒造インターナショナル株式会社およびタカラバイオ株式会社のほか、一部のグループ会社では、経営と執行を分離した執行役員制度を導入し、取締役会は少数メンバーによる迅速な意思決定と本質的な議論ができる体制としております。
d.情報開示について
情報開示については、「有価証券報告書」のほか「決算短信」、「宝グループレポート(統合報告書)」などの各種報告書の充実および証券取引所や当社のウェブサイトを通じた情報開示、また、決算説明会やIRミーティングを通じた情報開示などを積極的に行っております。
e.取締役の選任決議要件
当社は、会社法第341条の規定により、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。また取締役の選任決議は累積投票によらない旨、および取締役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする旨も定款に定めております。
f.自己の株式の取得の決定機関
当社は、会社法第165条第2項の定めにより、取締役会の決議によって市場取引により自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。これは、事業環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を可能とすることを目的とするものであります。
g.株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に規定する特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨定款に定めております。これは定足数の確保をより確実にすることを目的とするものであります。
④ 株式会社の支配に関する基本方針について
イ.当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容
当社は、上場会社として、当社株式の売買は原則として市場における株主及び投資家の皆様の自由な判断に委ねるべきものであると考えており、当社株式を取得することにより当社の経営支配権を獲得しようとする者に対して、株主の皆様が、当社株式の売却を行うか否かについても、最終的には当社株式を保有する株主の皆様の判断によるものと考えております。
また、当社は、特定の株主グループが当社の経営支配権を取得することになったとしても、そのこと自体により直ちに企業価値、ひいては、株主の皆様の共同の利益(以下、単に「株主共同の利益」といいます。)が害されるということはなく、反対に、それが結果的に当社の株主共同の利益の最大化に資することもあり得るため、そのような場合であれば、特定の株主グループが当社の経営支配権を取得することを拒むものではありません。
一方で、当社および当社グループ(以下、総称して「当社グループ」といいます。)は、「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します」という企業理念のもと、日本伝統の酒造りの発酵技術と最先端のバイオ技術の革新を通じて、食生活や生活スタイル、ライフサイエンスにおける新たな可能性を探求し、新たな価値を創造し続けることによって、社会への貢献を果たしています。
また、グループとしての企業価値の向上を一層追求するために2002年に持株会社体制に移行し、当社は持株会社として、それぞれの事業会社グループの独自性と自立性を確保しながら、グループ全体の経営を調整、統括することにより、最大限の事業成果を追求しております。2020年には当社グループ創立100周年を迎える2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定し、当社グループとしての「ありたい姿」である「おいしさを追求する技術と革新的なバイオ技術によって、和酒・日本食とライフサイエンスにおける多様な価値を安全・安心に提供し続ける企業グループとして、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続ける」ことを通じて、当社グループの企業価値の向上を目指しております。
以上のような状況において、当社は、当社グループの経営にあたっては、それぞれの事業会社が営む異なるビジネスモデルを持つ各事業に関する高度な専門知識と豊富な経験が必要であり、また、当社グループを取り巻く国内外のあらゆるステークホルダーとの間に築かれた信頼関係が不可欠であると考えております。これらの諸要素こそが、当社グループの企業価値の源泉となっているため、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、将来にわたる株主共同の利益の確保、向上を追求する前提において、このような関係性を十分理解する必要があると考えております。
ロ.基本方針の実現に資する取組みおよび基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
a.基本方針の実現に資する取組み
当社は、前記イのとおり長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定して当社グループとしての「ありたい姿」の実現を目指すとともに、その実行計画の総仕上げに向けて「宝グループ中期経営計画2025」を策定し、これらに従った取組みを進めております。(これらの概要等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。)
当社は、こうした経営構想・経営計画を着実に実行していくとともに、信頼される企業グループであり続けるために、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーとの適切なコミュニケーションに努めることを通じて、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上ひいては株主共同の利益の向上に取り組んでおります。
b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、2019年6月27日開催の当社第108回定時株主総会終結の時をもって「当社株券等の大規模な買付行為に対する対応方針(買収防衛策)」を継続せず、廃止しておりますが、当社株式を大規模に買い付け、当社の経営支配権を獲得しようとする者に対しては、当社の株主の皆様が、その是非を適切に判断できるよう、必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、関係諸法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。
ハ.前記ロの取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
前記ロに記載した各取組みは、前記イ記載の基本方針に従い、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に沿うものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。