有価証券報告書-第56期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 9:15
【資料】
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、期初より米国大統領の交代や英国のEU脱退など、世界経済が不安定ななか、輸出や個人消費の回復が停滞しているものの、生産活動は緩やかに回復しています。また、日銀による金融政策の緩和維持などの影響を受け、日経平均株価は2万円台を超えるなど、大幅に上昇しています。
北海道経済においては、平成28年の台風等による災害からの復旧関連工事を中心に、公共投資が増加したことに加え、設備投資や観光消費などの増勢を背景に、景況感が緩やかに回復しています。
清涼飲料業界では、7月の記録的な猛暑により、業界全体の生産量が一時的に増加したものの、8月以降は低気温と不安定な天候が続いたため、年間を通してほぼ前年と同程度の生産量となりました。
このような状況のなか、当社グループは、既存市場における当社商品のシェアの拡大に向けた活動と、新規顧客の獲得によって売上の拡大をはかる活動に注力しました。
具体的には、自動販売機ビジネスにおいては、ロケーションの特性に応じたパッケージや品ぞろえを充実させるとともに、競合メーカーと併設している場所については、当社グループのオペレーション力を生かした1社管理を提案し、売上の拡大をはかりました。また、当社商品のシェアの拡大に向け、「ファンタ 白桃」や「スコール マンゴー」などの自動販売機専用商品を積極的に展開するなど、魅力的な自動販売機作りに向けた活動をグループ一丸となり強化したほか、売上の拡大に向け、営業部門の組織改編により、大口未取引法人を中心とした新規開拓活動など新販路の拡大に注力しました。
スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの量販店においては、安定した販売が見込める定番棚獲得に向けて本部商談を強化し、収益性の向上とシェアの拡大の両立をはかりました。また、消費者ニーズが高いボトル缶コーヒーや特定保健用食品、機能性表示食品などの商品の露出を増やし、消費者目線に立った売り場づくりを推進しました。
ホテル、売店、オフィスなどにおいては、新商品や高付加価値商品の取扱い拡大に向けた活動を強化し、収益性と効率性の向上をはかったほか、業務用酒販店と連携し、新規顧客の獲得に向けた活動や、店舗全体の売上向上に寄与するコンサルティング活動を強化しました。また、新販路の開拓を目的に、宅配事業やオンライン販売に注力しました。
新商品については、市場における健康志向の高まりをうけ、特定保健用食品としてコカ・コーラブランドから「コカ・コーラ プラス」、スプライトブランドから「スプライト エクストラ」を、機能性表示食品としてカナダドライブランドから「ジンジャエール プラス」、からだ巡茶ブランドから「からだ巡茶 アドバンス」、爽健美茶ブランドから「爽健美茶 健康素材の麦茶」、い・ろ・は・すブランドから「い・ろ・は・す 無糖スパークリング」をそれぞれ発売し、飲用者の拡大をはかりました。また、基幹ブランドであるコカ・コーラブランドから、北海道の観光名所のデザインが施された「コカ・コーラ スリムボトル 地域デザイン(北海道ボトル)」を発売しました。そのほか、い・ろ・は・すブランドから瀬戸内産海塩とレモンのエキスを加えた「い・ろ・は・す 塩れもん」、ジョージアブランドから通常の約3倍の時間をかけて熟成させたコーヒー豆を使用した「ジョージア ヨーロピアン ヴィンテージブレンド」をそれぞれ発売し、更なる売上の拡大をはかりました。
地域との結びつきを深める活動については、知床世界自然遺産の環境保全活動を目的に、斜里町内に設置したすべての自動販売機の売上の一部を「知床世界自然遺産の保護管理と適正利用基金」に寄付する活動を行い、寄付累計額が1,000万円を突破しました。また、「道の駅ノンキーランドひがしもこと」のオープンに合わせ、同施設での「おしらせ道ねっと」の運用を開始しました。この取り組みは、大空町、北海道開発局網走開発建設部及び当社の三者による地域及び道路利用者の安全・安心の補完、並びに地域振興活動の充実を目的とした協定に基づいており、具体的には自動販売機の電光掲示板を通じた地域情報の発信や、災害発生時における飲料の無料提供を行います。
環境保全の取り組みとしては、北海道の水辺の環境保全に取り組む団体を支援する「北海道e-水プロジェクト」などが評価され、「日本水大賞」の審査部会特別賞を受賞しました。この賞は、水循環の健全化に向けた諸活動を広く顕彰し、活動を支援することを目的に実施されているものです。
社会貢献活動としては、知的障がい者のスポーツ活動を応援する特定非営利活動法人スペシャルオリンピックス日本・北海道の支援を目的に、「スペシャルオリンピックス日本・北海道支援自販機」を設置・展開し、その売上の一部を同法人に寄付する活動を開始したほか、公益財団法人北海道盲導犬協会の支援を目的に、「盲導犬応援自動販売機」を設置・展開し、その売上の一部を同協会へ寄付し、盲導犬の育成及び視覚障がい者への盲導犬貸与等に活用いただく取り組みを開始しました。また、クリスマス時期にあわせて、全道約760箇所の社会福祉施設に約17万本の当社製品を寄贈しました。この取り組みは今年で開始から50年目を迎え、寄贈した製品数は、累計で300万本を突破しました。
以上の様々な取り組みを実施したものの、道外ボトラー販売の減少、価格競争激化による広告・販売促進費の増加などにより、当連結会計年度の売上高は、560億6千1百万円(前年同期比1.0%減)、営業利益は22億5千8百万円(前年同期比7.7%減)、経常利益は24億3千1百万円(前年同期比0.4%減)となりました。
また、札幌市東区に新事業所を建築し既存の札幌市内3事業所(札幌中央、札幌北、札幌東)を集約したことで遊休となった事業所の売却などにより特別利益として6億5千5百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は18億8千4百万円(前年同期比18.7%増)となりました。
なお、当社グループは、清涼飲料の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの業績の記載は省略しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ16億7千6百万円増加し、88億6千7百万円になりました。
活動ごとのキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
≪営業活動によるキャッシュ・フロー≫
営業活動によって得られた資金は、48億5千6百万円(前連結会計年度は43億1百万円の収入)になりました。これは、税金等調整前当期純利益28億7千5百万円、減価償却費26億7百万円などに対し、法人税等の支払額9億4千8百万円などによるものです。
≪投資活動によるキャッシュ・フロー≫
投資活動の結果によって使用した資金は、23億1百万円(前連結会計年度は32億5千1百万円の使用)になりました。これは、主に販売機器などの有形固定資産の取得による支出32億6千1百万円などに対し、有形固定資産の売却による収入11億7千4百万円などによるものです。
≪財務活動によるキャッシュ・フロー≫
財務活動の結果によって使用した資金は、8億7千7百万円(前連結会計年度は8億6千7百万円の使用)になりました。これは、配当金の支払額4億3千9百万円、リース債務の返済による支出4億3千5百万円などによるものです。