有価証券報告書-第152期(2023/04/01-2024/03/31)
(指標と目標)
当社グループは、今後予測される社会動向を分析し、当社グループにおける機会とリスクおよび重要となる社会課題(図2)から、6つの重点領域を設定しており、「重点領域」における課題解決を通じた社会との共有価値の創造(CSV)を、「日清オイリオグループビジョン2030」における成長ドライバーとしています。CSV目標の進捗状況は経営サステナビリティ委員会でモニタリングされており、その後の取り組みに反映されています。
(図2)機会とリスクおよび重要となる社会課題


社会課題:SDGs(国連)、食品産業戦略(農林水産省)、未来投資戦略(内閣府)、企業行動憲章(経団連)より抽出
CSV目標の見直し
「ビジョン2030」では「6つの重点領域」を定め、それぞれの重点領域での価値創造を通じた当社グループの企業価値の拡大を目指しており、その取り組み状況を示すものがCSV目標です。
「ビジョン2030」策定時から、消費者意識や購買行動の変化、サステナブルな生産や調達に対する社会からの要求水準の高まり等、事業を取り巻く環境が大きく変化しています。そこで、2023年度、当社グループの事業に影響を与える新たなリスクと機会の抽出と取り組むべき社会課題の再確認を行い、下記のプロセスを経て「地球環境」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」を中心に複数のCSV目標を見直しました。今後も環境変化を捉え、定期的に見直しをしていきます。


CSV目標と進捗状況は次のとおりです。

※1:MCTオイル・加工食品、健康オイル、サプリ的オイル、ウェルネス食品等、生活習慣病やフレイル等の対策に貢献できる商品
※2:低栄養、過栄養、パーソナルな健康課題等の解決に貢献できる商品。他社ブランド品含む
※3:脂質の健康情報とは、低栄養・過栄養の改善、パーソナルな健康課題の解決に役立ち、かつ油脂の正しい理解や価値向上に
つながる情報発信を指す1次掲載値のみ(計画策定時に閲覧数の想定が難しい転載は含まない)

※1:食シーンにおけるおいしさや食による美を追求するために開発した新商品
※2:化粧品原料(当社、Industrial Quimica Lasem, S.A.U.、日清奥利友(上海)国際貿易有限公司)、化成品(セッツ㈱)

※1:Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.でのグリーン電力導入拡大が寄与
※2:ホームユース商品のうち、食用油およびギフトを対象とする。


※1:RTRS:責任ある大豆に関する円卓会議
※2:当社の工場内

※ 当社:翌年度4月1日時点で算出
2023年度目標として設定していた「DX推進の基盤構築」、「グローバル人材拡充」については、「強固な人材力の構築」の具体的取り組みとして進める。
2023年度実績
・DX推進の基盤構築 :全社デジタルリテラシー教育100%受講
・グローバル人材の拡充:グローバル人材登録制度の登録者37名に教育プログラム実施(語学、グローバルビジネススキル等)、登録者の中から4名をグローバル業務へ配置
(2)人的資本への対応
① 人的資本についての考え方
当社グループは、「ビジョン2030」および「Value Up+」で目指す姿の実現に向けて、当社グループの成長を牽引する組織能力を強化するべく、積極的な人的資本投資を計画的に行っていく方針です。人材戦略と健康経営における人的資本投資が社員一人ひとりの働きがいを高め、能力を最大限に引き出すことで、多様な人材がエネルギッシュに躍動する組織風土を醸成し、当社グループの持続的成長、価値向上を実現していきます。
② 人材育成方針
当社グループは、一人ひとりの多様な視点や価値観を尊重することが持続的な成長と企業価値向上に重要なことと考えており、そのために、性別や国籍などにかかわらず、多様な経験や知識・スキル、価値観といった個性を持つ人材が更に活躍できるよう育成と社内環境の整備に取り組んでいきます。
また、当社は、「教育最優先の原則」や「部下の教育・育成は、部下を持つ者の最も重要な職務である」といった人材育成を最優先する企業理念をもち、長年にわたり人材育成を経営の重要なテーマとして位置づけ、会社全体がこの問題を主体的に推進していく体質を継続的に育んできました。この企業理念を堅持し、さらに浸透していくこと、そして「一人ひとりの成長こそが会社の持続的成長の源泉である」という考え方のもと、会社は社員の成長に積極的に投資していきます。
さらに、「ビジョン2030」で目指す姿の実現のためには、グローバリゼーション・テクノロジー・マーケティングをはじめとした分野における高度な専門性を有した人材が不可欠であると認識しています。事業戦略遂行上で必要となる人材を確保し続けるとともに、次代を担う人材の育成強化を図っていきます。
③ 社内環境整備に関する方針
当社グループは、健全かつ社員の持てる能力を存分に発揮できる職場環境を提供することが会社の責務であると考えます。育児、介護、治療と仕事の両立支援、柔軟かつ生産性高い働き方への変革、長時間労働の削減、社内コミュニケーションの活性化など、社員が安心して働くことのできる働きやすい職場環境づくりに取り組んでいきます。
④ 健康経営の取り組み
当社グループは、「社員の健康は本人や家族の幸せの基盤であるとともに、会社が持続的に発展していくための最も大切な財産である」との考えのもと、社員一人ひとりがやりがいを持って活力高く働き、健康的で豊かな人生を送れるように、社員の健康保持・増進に積極的に取り組んでいます。重点テーマとして「生活習慣病予防」、「禁煙促進」、「こころの健康」を設定し、疾病予防や食習慣改善、禁煙の支援、運動・コミュニケーション促進などの取り組みを進めていきます。
⑤ 人的資本に関する指標
2024年3月31日現在
上記は、当社正規雇用従業員を対象としています。また、当社グループの人的資本に関する指標につきましては、前述の「人材マネジメント」をご参照ください。
※管理職に占める女性の割合について、2022年度実績は2023年4月1日時点、2023年度実績は2024年4月1日
時点、2024年度目標は2025年4月1日時点で算出します。
(3)気候変動への対応
当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展(サステナビリティ)の実現を目指しています。中でも、当社グループの事業活動は植物資源をベースとしており、植物の生育に大きな影響を与える気候変動への対応は経営の重要テーマです。そのため、気候変動に係わる対応を推進していくため、2021年3月にTCFD提言に賛同を表明し、2022年度よりTCFD提言に則った開示(気候変動に伴うリスク・機会の分析、財務影響などのシミュレーション等)を通じた情報公開を実施しています。
① TCFD提言が推奨する4つの開示項目
② 気候変動シナリオ分析
「気候変動の進行が抑制された世界」(1.5℃/2℃シナリオ:産業革命以降の世界平均気温上昇幅が1.5℃/2℃程度に抑えられた世界)と「気候変動が進行する世界」(4℃シナリオ:産業革命以降の世界平均気温上昇幅が4℃程度上昇する世界)について気候変動関連リスクと機会の分析を実施しました。
表Ⅰ:気候関連リスク及び機会の一覧
【表中の用語の定義/考え方】

2023年度は、前述で特定したリスクのうち(★)を付記したリスクに対して、「(a)炭素税・ETS等によるコスト増」「(b)農業における脱炭素による原料大豆価格上昇」「(c)気象災害による生産停止に伴う利益減」について、財務影響を分析しました。具体的な検討にあたっては、IPCC、IEA、NGFS等の各国際機関の公表するシナリオにおける定性/定量情報を参照しました。
※IPCC :気候変動に関する政府間パネル(各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えること
を目的とした政府間組織)
※IEA :国際エネルギー機関(第一次石油ショックを機に設立されたエネルギー安全保障等のエネルギー
政策全般をカバーする国際機関)
※NGFS:気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討する
ための中央銀行および金融監督当局の国際的なネットワーク)
(a) 炭素税・ETS等によるコスト増
「炭素税・ETS等によるコスト増」については、当社グループで排出量が大きい日清オイリオグループ株式会社(日本)とIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.(マレーシア)を対象に、IEAのWorld Energy Outlook 2022におけるAPSシナリオ(Announced Pledges Scenario、2.0℃相当)およびNZEシナリオ(Net Zero Emissions by 2050、1.5℃相当)下の炭素価格を用いて、2030年と2050年の炭素価格による年間負担額をそれぞれ算出しました。この2社で当社グループが管理しているScope1、2排出量の96%以上を占めています。
表Ⅱ:「炭素税・ETS等によるコスト増」の財務算定結果
「現状維持」:2022年度のCO2排出量で算定
「削減目標を達成」:2030年は排出量50%削減(2016年比)、2050年は排出量ゼロで算定
「炭素価格」:IEA WEO2022を参照
「炭素税・ETS等によるコスト増」リスクの分析から、2.0℃および1.5℃シナリオのいずれにおいても削減目標を達成することにより2030年の負担額を半分程度に抑えられるという示唆が得られました。削減目標達成の場合、2030年度の2社合計負担額は2.0℃シナリオで20億円/年、1.5℃シナリオで26.1億円/年です。
(b) 農業における脱炭素による原料大豆価格上昇
主要原材料の一つである大豆の主要生産国である米国とブラジルを対象とし、NGFSによる1.5℃相当シナリオを用いて2030年と2050年の大豆価格変化による年間の調達コスト増加額を算出しました。このシナリオ下での価格変化は炭素価格や生産効率向上のコストを反映したものであり、算定結果は移行リスクによる財務影響を示しています。
表Ⅲ:「農業における脱炭素による原料大豆価格上昇」の財務算定結果
2020~2022年の平均年間購入量を基に価格変化の影響金額を算出
1.5℃シナリオで米国・ブラジル産の大豆がともに上昇し、財務影響算定を行ったリスク項目の中で最も大きな影響(2030年に合計165億円/年、2050年に合計259億円/年)となりました。今後、菜種、パーム油等の価格変化による影響も検証していきます。
(c) 気象災害による生産停止に伴う利益減
「気象災害による生産停止に伴う利益減」については、国内事業を対象に洪水による操業停止を想定しました。また、物理リスクは長期的なリスクであるため、2050年のみを対象にしました。IPCCの4℃シナリオと2℃シナリオ下のそれぞれについて、操業停止による年間営業利益減少を算出しました。
表Ⅳ:「気象災害による生産停止に伴う利益減」の財務算定結果
※ 年間営業利益減少額=災害頻度×操業停止日数×年間営業利益÷245
※ 文部科学省・気象庁による「日本の気候変動2020 詳細版」より、災害頻度は東日本太平洋側における日降水量200mm以上の発生回数(4.0℃ 0.4回/年、2.0℃ 0.3回/年)使用しています。
※ 操業停止日数は、国土交通省による「治水経済調査マニュアル」による床下浸水時の操業停止日数(10日)を使用しています。
「気象災害による生産停止に伴う利益減」リスクの分析から、気象災害の影響が大きいとされ4.0℃シナリオでも影響額は1.76億円/年であり、財務影響算定を行ったリスク項目の中で最も影響が小さいことが示されました。今後、分析対象国の拡大や被災に伴う資産損害による影響(修繕費等)等も検討していく予定です。
このように特定したリスク・機会を踏まえれば、「気候変動の進行が抑制された世界」「気候変動が進行する世界」のいずれに進んだとしても影響が大きく、中長期的観点から当社グループ戦略のレジリエンスをより高めていく必要があると考えています。当社グループの事業活動へ大きく影響するリスク・機会に対して、サプライチェーンの上流から下流までの各プロセスにおいて、主に以下の対応(次頁の表Ⅴ:気候関連リスク・機会への対応策をご参照ください。)を採ります。これらの対応策は、当社グループ戦略のレジリエンスを高めることに貢献すると考えています。
表Ⅴ:気候関連リスク・機会への対応策

※具体的な内容は実施中のものと検討中のものを含む
③ 脱炭素化ロードマップ
脱炭素化に関する移行計画については、(図3)のとおり「脱炭素化を推進する戦略ロードマップ」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを実現いたします。本計画はエネルギー削減に向けて、生産性の向上、再生可能エネルギーの活用、水素インフラの準備などの取り組みとして反映しています。
(図3):脱炭素化を推進する戦略ロードマップ(移行計画)

(4)自然資本への対応
当社グループの事業活動は植物資源をベースとしています。主要原料となる大豆、パーム油、菜種、カカオなどの「植物のチカラ®」を活用して、食品、飼肥料、化成品、化粧品原料などの製造・販売を行っています。大豆(米国、ブラジル)、パーム油(マレーシア、インドネシア)、菜種(カナダ、オーストラリア)、カカオ(西アフリカ、南米)などは世界各地から輸入しており、特定の自然資本および産地に依存しています。このように、植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は、事業の持続性そのものです。その認識のもと、2023年度に生物多様性方針と水方針を制定しました。今後、これら方針に基づき、事業活動を通じて生物多様性の保全・回復や水リスクの解決に真摯に取り組むことで、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展の実現に努めます。併せて、TNFDガイドラインに則った開示の情報公開に向け準備を進めてまいります。
日清オイリオグループ生物多様性方針

(2023.12.22制定)
日清オイリオグループ水方針

(2023.12.22制定)
また、植物資源の持続可能性確立に向けて、原料調達方針を策定し、産地状況の調査、認証原料の調達、植林活動による生態系保全・復元などを進めており、パーム油は2030年までに農園までのトレーサビリティ100%達成を目指しております。更に、大豆およびカカオの持続可能な調達に向けてアクションプランを策定し取り組みを開始しました。情報開示および目標、取り組みは以下のとおりです。
当社グループは、今後予測される社会動向を分析し、当社グループにおける機会とリスクおよび重要となる社会課題(図2)から、6つの重点領域を設定しており、「重点領域」における課題解決を通じた社会との共有価値の創造(CSV)を、「日清オイリオグループビジョン2030」における成長ドライバーとしています。CSV目標の進捗状況は経営サステナビリティ委員会でモニタリングされており、その後の取り組みに反映されています。
(図2)機会とリスクおよび重要となる社会課題


社会課題:SDGs(国連)、食品産業戦略(農林水産省)、未来投資戦略(内閣府)、企業行動憲章(経団連)より抽出
CSV目標の見直し
「ビジョン2030」では「6つの重点領域」を定め、それぞれの重点領域での価値創造を通じた当社グループの企業価値の拡大を目指しており、その取り組み状況を示すものがCSV目標です。
「ビジョン2030」策定時から、消費者意識や購買行動の変化、サステナブルな生産や調達に対する社会からの要求水準の高まり等、事業を取り巻く環境が大きく変化しています。そこで、2023年度、当社グループの事業に影響を与える新たなリスクと機会の抽出と取り組むべき社会課題の再確認を行い、下記のプロセスを経て「地球環境」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」を中心に複数のCSV目標を見直しました。今後も環境変化を捉え、定期的に見直しをしていきます。


CSV目標と進捗状況は次のとおりです。

※1:MCTオイル・加工食品、健康オイル、サプリ的オイル、ウェルネス食品等、生活習慣病やフレイル等の対策に貢献できる商品
※2:低栄養、過栄養、パーソナルな健康課題等の解決に貢献できる商品。他社ブランド品含む
※3:脂質の健康情報とは、低栄養・過栄養の改善、パーソナルな健康課題の解決に役立ち、かつ油脂の正しい理解や価値向上に
つながる情報発信を指す1次掲載値のみ(計画策定時に閲覧数の想定が難しい転載は含まない)

※1:食シーンにおけるおいしさや食による美を追求するために開発した新商品
※2:化粧品原料(当社、Industrial Quimica Lasem, S.A.U.、日清奥利友(上海)国際貿易有限公司)、化成品(セッツ㈱)

※1:Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.でのグリーン電力導入拡大が寄与
※2:ホームユース商品のうち、食用油およびギフトを対象とする。


※1:RTRS:責任ある大豆に関する円卓会議
※2:当社の工場内

※ 当社:翌年度4月1日時点で算出
2023年度目標として設定していた「DX推進の基盤構築」、「グローバル人材拡充」については、「強固な人材力の構築」の具体的取り組みとして進める。
2023年度実績
・DX推進の基盤構築 :全社デジタルリテラシー教育100%受講
・グローバル人材の拡充:グローバル人材登録制度の登録者37名に教育プログラム実施(語学、グローバルビジネススキル等)、登録者の中から4名をグローバル業務へ配置
(2)人的資本への対応
① 人的資本についての考え方
当社グループは、「ビジョン2030」および「Value Up+」で目指す姿の実現に向けて、当社グループの成長を牽引する組織能力を強化するべく、積極的な人的資本投資を計画的に行っていく方針です。人材戦略と健康経営における人的資本投資が社員一人ひとりの働きがいを高め、能力を最大限に引き出すことで、多様な人材がエネルギッシュに躍動する組織風土を醸成し、当社グループの持続的成長、価値向上を実現していきます。
② 人材育成方針
当社グループは、一人ひとりの多様な視点や価値観を尊重することが持続的な成長と企業価値向上に重要なことと考えており、そのために、性別や国籍などにかかわらず、多様な経験や知識・スキル、価値観といった個性を持つ人材が更に活躍できるよう育成と社内環境の整備に取り組んでいきます。
また、当社は、「教育最優先の原則」や「部下の教育・育成は、部下を持つ者の最も重要な職務である」といった人材育成を最優先する企業理念をもち、長年にわたり人材育成を経営の重要なテーマとして位置づけ、会社全体がこの問題を主体的に推進していく体質を継続的に育んできました。この企業理念を堅持し、さらに浸透していくこと、そして「一人ひとりの成長こそが会社の持続的成長の源泉である」という考え方のもと、会社は社員の成長に積極的に投資していきます。
さらに、「ビジョン2030」で目指す姿の実現のためには、グローバリゼーション・テクノロジー・マーケティングをはじめとした分野における高度な専門性を有した人材が不可欠であると認識しています。事業戦略遂行上で必要となる人材を確保し続けるとともに、次代を担う人材の育成強化を図っていきます。
③ 社内環境整備に関する方針
当社グループは、健全かつ社員の持てる能力を存分に発揮できる職場環境を提供することが会社の責務であると考えます。育児、介護、治療と仕事の両立支援、柔軟かつ生産性高い働き方への変革、長時間労働の削減、社内コミュニケーションの活性化など、社員が安心して働くことのできる働きやすい職場環境づくりに取り組んでいきます。
④ 健康経営の取り組み
当社グループは、「社員の健康は本人や家族の幸せの基盤であるとともに、会社が持続的に発展していくための最も大切な財産である」との考えのもと、社員一人ひとりがやりがいを持って活力高く働き、健康的で豊かな人生を送れるように、社員の健康保持・増進に積極的に取り組んでいます。重点テーマとして「生活習慣病予防」、「禁煙促進」、「こころの健康」を設定し、疾病予防や食習慣改善、禁煙の支援、運動・コミュニケーション促進などの取り組みを進めていきます。
⑤ 人的資本に関する指標
2024年3月31日現在
| 2022年度実績 | 2023年度実績 | 2024年度目標 | |
| 年間教育研修費(一人当たり) | 68千円 | 119千円 | 120千円 |
| 経験者採用比率 | 34.9% | 43.3% | 40.0% |
| 管理職に占める女性の割合※ | 6.3% | 7.3% | 8.0% |
| 年次有給休暇取得率 | 75.6% | 75.7% | 80.0% |
| 「働きがい」を感じる従業員の割合 | 63.0% | 65.5% | 70.0% |
上記は、当社正規雇用従業員を対象としています。また、当社グループの人的資本に関する指標につきましては、前述の「人材マネジメント」をご参照ください。
※管理職に占める女性の割合について、2022年度実績は2023年4月1日時点、2023年度実績は2024年4月1日
時点、2024年度目標は2025年4月1日時点で算出します。
(3)気候変動への対応
当社グループは、事業活動を通じた社会課題の解決により、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展(サステナビリティ)の実現を目指しています。中でも、当社グループの事業活動は植物資源をベースとしており、植物の生育に大きな影響を与える気候変動への対応は経営の重要テーマです。そのため、気候変動に係わる対応を推進していくため、2021年3月にTCFD提言に賛同を表明し、2022年度よりTCFD提言に則った開示(気候変動に伴うリスク・機会の分析、財務影響などのシミュレーション等)を通じた情報公開を実施しています。
① TCFD提言が推奨する4つの開示項目
| 項目 | 内容 |
| ガバナンス | ・気候変動を含むサステナビリティ課題に関する基本方針・戦略・施策については、取締役会が設置する委員会である経営サステナビリティ委員会による審議(年5回)を経て、取締役会が審議・決議しています。体制は「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」のコーポレート・ガバナンスおよび内部統制に関する体制の模式図をご参照ください。 ・取締役会は気候変動課題の解決に対して責任を持ち、目標進捗の監督を行います。また、経営サステナビリティ委員会と連携、必要に応じて外部有識者を通じて十分な知見を獲得し、積極的に課題解決に取り組みます。 |
| 戦略 | ・当社グループでは、気候関連のリスク・機会の特定・評価および対応策について継続的に検討しており、今後も中長期的な視点から戦略のレジリエンスを高めていく必要があると考えています。2023年度に実施したシナリオ分析については、「②気候変動シナリオ分析」をご参照ください。 ・また、当社グループの事業活動へ大きく影響するリスク・機会についての対応策を検討しました。 ・原材料の生産~調達プロセスでは、現地農家とのエンゲージメントを強化する事で、認証油等の持続可能な原料生産、トレーサビリティ拡充を推進します。 また購買活動としてサプライヤーの複線化によるリスクヘッジ、気候変動に適応した植物資源 の採用等によりサステナビリティ向上に努めます。 ・研究開発においては、顧客・消費者ニーズに柔軟に対応するためのインキュベーションスクエアを設置、既存原料に捉われない新たな油糧資源・機能素材の獲得、健康増進商品の開発、植物性たん白を原料とする食品、脱化石原料に向けたプラスチック容器代替品の開発等を進めていきます。 ・製造プロセスにおいては、エネルギー・水等の資源の効率的利用の促進、変化する顧客・消費者ニーズに対応した商品生産の強化、気候変動により激甚化・頻発化する風水害等への対策の強化等を進めます。 ・物流プロセスにおいては、炭素税などの法規制対応やカーボンニュートラル実現に向けて、企業間ネットワークを活用した共同配送網拡大、エネルギー効率の高い鉄道輸送などへのモーダルシフト推進による温室効果ガス排出量削減に取り組みます。 ・販売プロセスにおいては、製品・サービスの環境負荷の可視化や持続可能性に配慮した認証原料の普及・啓発により当社グループのブランドイメージ向上と環境価値を活用した積極的なマーケティング活動を推進します。 |
| リスク管理 | ・取締役会が設置する委員会であるリスクマネジメント委員会が、事業に対する財務または戦略面での重要なリスクを選定しており、気候変動に伴う物理的/移行リスクの管理も行っています。 ・気候変動関連リスクも当社グループの重要リスクと位置づけられており、他の重要リスクと統合的にマネジメントしています。 |
| 指標と目標 | ・当社グループの気候に関する既存の目標としては、「CSV目標」および「環境目標2030」があります。 ・気候変動対策として温室効果ガス排出量削減を掲げ、「スコープ1および2の温室効果ガス排出量を総量ベースで2030年度までに50%削減する(2016年比)」を進めていくこと、「スコープ3は、購入した製品・サービスおよび輸配送(上流)を中心に排出量を2030年度までに25%削減すること(2020年比)」を2023年に新たな目標として設定しています。 ・2023年度の実績は、スコープ1および2では、基準年である2016年に対して18.6%減(速報値)となりました。今後もカーボンニュートラルを見据えた脱炭素化ロードマップに基づき、高効率機器導入や太陽光・水素等の非化石エネルギーへの転換によるスコープ1・2削減を推進します。また、スコープ3についてもサプライチェーンへの働きかけ等による削減を推進します。脱炭素化ロードマップについては「③脱炭素化ロードマップ (図3):脱炭素化を推進する戦略ロードマップ(移行計画)」をご参照ください。 |
② 気候変動シナリオ分析
「気候変動の進行が抑制された世界」(1.5℃/2℃シナリオ:産業革命以降の世界平均気温上昇幅が1.5℃/2℃程度に抑えられた世界)と「気候変動が進行する世界」(4℃シナリオ:産業革命以降の世界平均気温上昇幅が4℃程度上昇する世界)について気候変動関連リスクと機会の分析を実施しました。
表Ⅰ:気候関連リスク及び機会の一覧
【表中の用語の定義/考え方】
| -「影響度」 | : | 当該リスク/機会が現実のものとなった場合に当社に及ぼす影響の度合いを、主に財務的影響の観点から定性的に3段階(大/中/小)で評価しています。 | |
| -「発生可能性」 | : | 当該リスク/機会が実際に発生する可能性や確率を示しており、定性的に3段階(高/中/低)で評価しています。なお、既に発現しているリスク/機会については「高」に含めています。 | |
| -「発生時期」 | : | 当該リスク/機会が「いつ発生し得るか」を示しています。なお、短期=現在~5年未満、中期=5年以上10年未満、長期=10年以上を目安として定性的に判断しています。なお、既に発現しているリスク/機会については「短期」に含めています。この時間軸の定義は、当社グループの経営戦略(短期戦略として2024年までの「Value Up+」、中期戦略として2030年までの「日清オイリオグループビジョン 2030」)における時間軸の考え方と整合的です。 | |
| -「★」 | : | 試行的に影響度の定量化(金額換算)を実施したものを示しています。 |

2023年度は、前述で特定したリスクのうち(★)を付記したリスクに対して、「(a)炭素税・ETS等によるコスト増」「(b)農業における脱炭素による原料大豆価格上昇」「(c)気象災害による生産停止に伴う利益減」について、財務影響を分析しました。具体的な検討にあたっては、IPCC、IEA、NGFS等の各国際機関の公表するシナリオにおける定性/定量情報を参照しました。
※IPCC :気候変動に関する政府間パネル(各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えること
を目的とした政府間組織)
※IEA :国際エネルギー機関(第一次石油ショックを機に設立されたエネルギー安全保障等のエネルギー
政策全般をカバーする国際機関)
※NGFS:気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討する
ための中央銀行および金融監督当局の国際的なネットワーク)
(a) 炭素税・ETS等によるコスト増
「炭素税・ETS等によるコスト増」については、当社グループで排出量が大きい日清オイリオグループ株式会社(日本)とIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.(マレーシア)を対象に、IEAのWorld Energy Outlook 2022におけるAPSシナリオ(Announced Pledges Scenario、2.0℃相当)およびNZEシナリオ(Net Zero Emissions by 2050、1.5℃相当)下の炭素価格を用いて、2030年と2050年の炭素価格による年間負担額をそれぞれ算出しました。この2社で当社グループが管理しているScope1、2排出量の96%以上を占めています。
表Ⅱ:「炭素税・ETS等によるコスト増」の財務算定結果
| シナリオ | 自社対策 | 企業名 | 2030年負担額 (億円/年) | 2050年負担額 (億円/年) |
| 2.0℃ | 現状維持 | 日清オイリオグループ(株) | 27 | 40 |
| Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd. | 8.4 | 33 | ||
| 削減目標を達成 | 日清オイリオグループ(株) | 16 | 0 | |
| Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd. | 4.0 | 0 | ||
| 1.5℃ | 現状維持 | 日清オイリオグループ(株) | 28 | 50 |
| Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd. | 19 | 42 | ||
| 削減目標を達成 | 日清オイリオグループ(株) | 17 | 0 | |
| Intercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd. | 9.1 | 0 |
「現状維持」:2022年度のCO2排出量で算定
「削減目標を達成」:2030年は排出量50%削減(2016年比)、2050年は排出量ゼロで算定
「炭素価格」:IEA WEO2022を参照
「炭素税・ETS等によるコスト増」リスクの分析から、2.0℃および1.5℃シナリオのいずれにおいても削減目標を達成することにより2030年の負担額を半分程度に抑えられるという示唆が得られました。削減目標達成の場合、2030年度の2社合計負担額は2.0℃シナリオで20億円/年、1.5℃シナリオで26.1億円/年です。
(b) 農業における脱炭素による原料大豆価格上昇
主要原材料の一つである大豆の主要生産国である米国とブラジルを対象とし、NGFSによる1.5℃相当シナリオを用いて2030年と2050年の大豆価格変化による年間の調達コスト増加額を算出しました。このシナリオ下での価格変化は炭素価格や生産効率向上のコストを反映したものであり、算定結果は移行リスクによる財務影響を示しています。
表Ⅲ:「農業における脱炭素による原料大豆価格上昇」の財務算定結果
| シナリオ | 国 | 2030年調達コスト増 (億円/年) | 2050年調達コスト増 (億円/年) |
| 1.5℃ | 米国 | 131 | 210 |
| ブラジル | 34 | 49 |
2020~2022年の平均年間購入量を基に価格変化の影響金額を算出
1.5℃シナリオで米国・ブラジル産の大豆がともに上昇し、財務影響算定を行ったリスク項目の中で最も大きな影響(2030年に合計165億円/年、2050年に合計259億円/年)となりました。今後、菜種、パーム油等の価格変化による影響も検証していきます。
(c) 気象災害による生産停止に伴う利益減
「気象災害による生産停止に伴う利益減」については、国内事業を対象に洪水による操業停止を想定しました。また、物理リスクは長期的なリスクであるため、2050年のみを対象にしました。IPCCの4℃シナリオと2℃シナリオ下のそれぞれについて、操業停止による年間営業利益減少を算出しました。
表Ⅳ:「気象災害による生産停止に伴う利益減」の財務算定結果
| シナリオ | 国 | 2050年操業停止による 年間営業利益減少額 (億円/年) |
| 4.0℃ | 日本 | 1.76 |
| 2.0℃ | 日本 | 1.32 |
※ 年間営業利益減少額=災害頻度×操業停止日数×年間営業利益÷245
※ 文部科学省・気象庁による「日本の気候変動2020 詳細版」より、災害頻度は東日本太平洋側における日降水量200mm以上の発生回数(4.0℃ 0.4回/年、2.0℃ 0.3回/年)使用しています。
※ 操業停止日数は、国土交通省による「治水経済調査マニュアル」による床下浸水時の操業停止日数(10日)を使用しています。
「気象災害による生産停止に伴う利益減」リスクの分析から、気象災害の影響が大きいとされ4.0℃シナリオでも影響額は1.76億円/年であり、財務影響算定を行ったリスク項目の中で最も影響が小さいことが示されました。今後、分析対象国の拡大や被災に伴う資産損害による影響(修繕費等)等も検討していく予定です。
このように特定したリスク・機会を踏まえれば、「気候変動の進行が抑制された世界」「気候変動が進行する世界」のいずれに進んだとしても影響が大きく、中長期的観点から当社グループ戦略のレジリエンスをより高めていく必要があると考えています。当社グループの事業活動へ大きく影響するリスク・機会に対して、サプライチェーンの上流から下流までの各プロセスにおいて、主に以下の対応(次頁の表Ⅴ:気候関連リスク・機会への対応策をご参照ください。)を採ります。これらの対応策は、当社グループ戦略のレジリエンスを高めることに貢献すると考えています。
表Ⅴ:気候関連リスク・機会への対応策

※具体的な内容は実施中のものと検討中のものを含む
③ 脱炭素化ロードマップ
脱炭素化に関する移行計画については、(図3)のとおり「脱炭素化を推進する戦略ロードマップ」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを実現いたします。本計画はエネルギー削減に向けて、生産性の向上、再生可能エネルギーの活用、水素インフラの準備などの取り組みとして反映しています。
(図3):脱炭素化を推進する戦略ロードマップ(移行計画)

(4)自然資本への対応
当社グループの事業活動は植物資源をベースとしています。主要原料となる大豆、パーム油、菜種、カカオなどの「植物のチカラ®」を活用して、食品、飼肥料、化成品、化粧品原料などの製造・販売を行っています。大豆(米国、ブラジル)、パーム油(マレーシア、インドネシア)、菜種(カナダ、オーストラリア)、カカオ(西アフリカ、南米)などは世界各地から輸入しており、特定の自然資本および産地に依存しています。このように、植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は、事業の持続性そのものです。その認識のもと、2023年度に生物多様性方針と水方針を制定しました。今後、これら方針に基づき、事業活動を通じて生物多様性の保全・回復や水リスクの解決に真摯に取り組むことで、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展の実現に努めます。併せて、TNFDガイドラインに則った開示の情報公開に向け準備を進めてまいります。
日清オイリオグループ生物多様性方針

(2023.12.22制定)
日清オイリオグループ水方針

(2023.12.22制定)
また、植物資源の持続可能性確立に向けて、原料調達方針を策定し、産地状況の調査、認証原料の調達、植林活動による生態系保全・復元などを進めており、パーム油は2030年までに農園までのトレーサビリティ100%達成を目指しております。更に、大豆およびカカオの持続可能な調達に向けてアクションプランを策定し取り組みを開始しました。情報開示および目標、取り組みは以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 情報開示 | ・日清オイリオグループ環境理念、環境方針の公開 ・日清オイリオグループ生物多様性方針、水方針の公開 ・日清オイリオグループ調達基本方針の公開 ・パーム油調達方針の公開、NDPE宣言、アクションプランおよび実施状況を公開 ・大豆調達方針、アクションプランの公開 ・カカオ調達方針、アクションプランの公開 |
| 目標 | (パーム油) ・パーム油の農園までのトレーサビリティ体制を構築する。(2030年に100%) - 持続可能なパーム油調達推進に向けて、パーム油認証油割合を高める。(2030年に100%) - RSPO認証油のSG比率の維持(50%) (大豆) ・大豆の持続可能性を高める取り組みを推進する。 (カカオ) ・持続可能なカカオの調達を推進する。 (その他) ・水資源/生産に利用する水資源の効率的活用のため、2030年に生産活動における用水の原単位を2016年度比16%削減する。 ・環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発/2024年度までに80件(2021年度からの累計) |
| アクションプラン | (パーム油) ・トレーサブルで透明性のあるサプライチェーンの構築 ・小規模農家の生産性・収益性向上支援による森林保護と人権尊重 ・ステークホルダーとの連携による人権尊重の取り組みの推進 ・パーム油サプライチェーンにおけるScope3CO2排出量の削減 (大豆) ・トレーサビリティの向上と、サプライチェーンにおけるCO2排出量の削減 ・持続可能な調達の実践(認証制度の活用やエンゲージメントの拡大など) (カカオ) ・トレーサビリティが確保できる調達ルートの確立 ・認証カカオ製品の拡大 ・風味のサステナビリティ活動の実践 (その他) ・自然保全活動の推進/植林による自然保全活動(例:マレーシアでのマングローブ植林(2022~2024年に8,000本(約4ha)を実施) |