四半期報告書-第71期第1四半期(平成28年4月1日-平成28年6月30日)

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2016/08/10 9:31
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間における経営環境は、全体では緩やかな回復基調が続きましたものの、国際経済の不確実性の高まりや円高への懸念など不透明感を抱える推移となりました。食品業界におきましては、消費マインドの足踏みは継続しており、予断を許さない状況が続いております。
このような環境下におきまして、当社グループは、前連結会計年度より開始した第五次中期計画の2年目を迎え、“「食で健康」クオリティ企業への変革”をテーマに、国内事業の収益力強化と新規需要の創出、海外事業の成長加速に向けた施策を進めております。その中で、平成28年6月には㈱ギャバンの株式を追加取得し、同社を連結子会社といたしました。
売上面につきましては、香辛・調味加工食品事業が前年同期を上回った他、㈱壱番屋の新規連結効果による影響が大きく、当第1四半期連結累計期間の売上高は662億84百万円、前年同期比24.5%の増収となりました。
利益面につきましては、国内事業を中心に収益力を向上させたことにより、営業利益は23億60百万円、前年同期比64.0%の増益となりました。経常利益は20億32百万円、前年同期比11.4%の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は、㈱ギャバン株式の追加取得に伴う負ののれん発生益や段階取得に係る差益などの特別利益が大幅に増加したことなどから27億70百万円、前年同期比165.8%の増益となりました。
セグメント別の業績の概況は、次のとおりであります。
①香辛・調味加工食品事業
当事業セグメントは、「食の外部化」などの事業を取り巻く環境変化に対し、「より健康、より上質、より簡便、より適量」にフォーカスした製品・サービスの提供を通じて、「既存領域の強化」および「新規領域の展開」に取り組んでおります。
ルウ製品ではブランド価値の更なる向上に向けた取組を推進した他、レトルト製品ではお客様ニーズに対応した新製品の市場定着に注力いたしました。加えて、前年同期に価格改定に伴う一時的な需要の停滞があったこともあり、それぞれ順調な推移となりました。
以上の結果、香辛・調味加工食品事業の売上高は285億23百万円、前年同期比8.8%の増収、営業利益は13億95百万円、前年同期比151.7%の増益となりました。
②健康食品事業
当事業セグメントは、コストコントロールの徹底による主力製品の収益改善と成長に向けた仕込みに取り組んでおります。
主力製品群のうち、「ウコンの力」はお客様の飲酒シーンが多様化する中、チャネル別、エリア別戦略に基づく接点強化に取り組んでおります。同時に、収益基盤の強化に向けて「1日分のビタミン」の育成に努めました。
以上の結果、健康食品事業の売上高は89億26百万円、前年同期比3.4%の減収、営業利益は5億67百万円、前年同期比25.0%の増益となりました。
③海外食品事業
当事業セグメントは、重点3エリア(米国・中国・東南アジア)における事業拡大のスピードアップと収益力強化に取り組んでおります。
米国事業は既存製品がアジア系、米系市場でともに取扱いを拡大、高付加価値製品も支持を高めました。同時に生産効率改善やコストダウンも寄与し、前年同期と比較すると円高による影響で減収となりましたが、現地通貨ベースでは増収増益となりました。
中国事業は、引き続き家庭用・業務用の両面から力強い成長を続け、増収増益となりました。
東南アジア事業は、タイにおける機能性飲料事業が好調に推移しております。
以上の結果、海外食品事業の売上高は47億77百万円、前年同期比10.4%の増収、営業利益は6億7百万円、前年同期比35.9%の増益となりました。
④外食事業
当事業セグメントは、国内外でのカレーレストランの運営を通じて、カレーの世界をさらに広げるべく取り組んでおります。
平成27年12月より連結に組み入れた㈱壱番屋は、既存店の売上強化を最重点課題としてQSC向上や店舗魅力の向上に向けた様々な取組を行い、好調に推移いたしました。
以上の結果、外食事業の売上高は、㈱壱番屋の新規連結効果が大きく寄与し129億82百万円、前年同期比633.4%の増収となりました。利益面ではのれん等の償却負担もあり、1億12百万円の営業損失(前年同期は営業損失11百万円)となりました。
⑤その他食品関連事業
当事業セグメントは、各機能の強化とグループ間シナジーの追求によるグループ総合力の向上に努めております。
運送・倉庫事業を営むハウス物流サービス㈱は、前期に引き続いて事業構造の見直しや抜本的コストダウン活動の推進など、収益構造の強化に向けた取組を推進しております。
コンビニエンスストア向けの総菜等製造事業を営む㈱デリカシェフは、人員の最適配置、生産性の改善に向けた取組が奏功し、収益力を改善しております。
平成28年4月に㈱堀江大和屋を吸収合併した㈱ヴォークス・トレーディングは、経営資源の集約化、調達・販売力の強化に取り組み、堅調に推移しております。
以上の結果、その他食品関連事業の売上高は147億44百万円、前年同期比0.8%の増収、営業利益は2億1百万円(前年同期は営業損失1億円)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は、3,468億51百万円となり、前連結会計年度末に比べて25億76百万円の減少となりました。
流動資産は、㈱ギャバンを連結子会社化した影響等により商品及び製品が増加したことなどから、40億49百万円増加の1,229億96百万円となりました。固定資産は、㈱ギャバンを連結子会社化した影響等により土地や建物及び構築物が増加した一方で、投資有価証券や長期預金が減少したことなどから、66億24百万円減少の2,238億56百万円となりました。
負債は880億27百万円となり、前連結会計年度末に比べて10億70百万円の減少となりました。
流動負債は、未払金が減少した一方で、支払手形及び買掛金が増加したことなどから、4億24百万円増加の512億38百万円となりました。固定負債は、繰延税金負債が取崩により減少したことなどから、14億95百万円減少の367億89百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益により増加した一方、保有する投資有価証券の時価下降によりその他有価証券評価差額金が減少したことや、為替換算調整勘定が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べて15億5百万円減少の2,588億24百万円となりました。
この結果、当第1四半期連結会計期間末の自己資本比率は65.5%(前連結会計年度末は65.5%)、1株当たり純資産は2,211円12銭(前連結会計年度末は2,231円86銭)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更および新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
1. 基本方針の内容
当社は、当社の企業価値の源泉が、当社グループが長年にわたって培ってきた経営資源に存することに鑑み、特定の者またはグループが当社の総議決権の20%以上の議決権を有する株式を取得することにより、このような当社グループの企業価値または株主のみなさまの共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる特定の者またはグループは当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令および定款によって許容される限度において当社グループの企業価値および株主のみなさまの共同の利益の確保・向上のための相当措置を講じることを、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針といたします。
2. 基本方針実現のための取組
(a) 基本方針の実現に資する特別な取組
グループ全体としてシナジーを高め、企業価値と収益力を向上させるために、以下の事項の推進・強化に取り組んでまいります。
(中期計画)
当社グループでは、3年ごとに中期計画を策定し、事業の方向性を明確にしたうえで、具体的行動計画の策定と実践に取り組んでおります。
平成27年4月からスタートした第五次中期計画では、2020年(平成32年)に向けた目指す事業フレームを想定したうえで、“「食で健康」クオリティ企業への変革”をテーマとして、具体的取組を策定・実行しております。平成27年12月には、㈱壱番屋の株式を、また、平成28年6月には、㈱ギャバンの株式をそれぞれ追加取得し、連結子会社化いたしました。
第五次中期計画の基本的な考え方は次のとおりです。
①事業戦略
「香辛・調味加工食品事業」と「健康食品事業」では、既存事業の深掘による収益力強化を図ってまいります。また、バリューチェーン型事業との連携を図りながら、成熟市場のなかで新しい価値を創出し、お客さまにご提供する事業の立ち上げにチャレンジしてまいります。
「海外食品事業」では、米国・中国・東南アジアの各エリアの収益基盤強化を進めるとともに、成長市場でのスピードアップを優先し、事業拡大を図ってまいります。
また、平成28年3月期から新たな事業セグメントとして追加した「外食事業」においては、㈱壱番屋をグループに迎え、メーカーとレストランという異なる業態の両社が協働を進めることで、国内外でカレーの持つ価値をさらに高めてまいります。
②グループ理念の実現
「お客さま」「社員とその家族」「社会」のそれぞれに対する責任を同時遂行する企業市民として、グループ理念の実現に向け、一貫性を持った取組を推進してまいります。
③機能強化
中期計画・業績・投資計画やR&DテーマについてPDCAを廻す仕組みを強化し、計画の達成に拘りを持って遂行してまいります。また、原材料の調達や製法改善などで新たな取組を進め、コスト競争力をさらに高めてまいります。
④資本政策
当社グループでは従来より、連結配当性向30%以上を基準とした安定的な配当を目指すことを、利益配分の基本方針としておりました。しかし、平成27年12月より㈱壱番屋を連結子会社化したことに伴い、平成28年3月期より当面の間、㈱壱番屋株式の追加取得に伴って発生した段階取得に係る差益、のれんや無形固定資産の償却により、現金の動きを伴わない損益の変動が大きくなることが見込まれます。
このため、利益配分の基準となる原資からこのような変動要因を除いた方が「安定的配当」を具現化できるものと考え、平成28年3月期より利益配分の基本方針を「企業結合に伴い発生する特別利益やのれん償却の影響を除く連結配当性向30%以上を基準とした安定的な配当を継続する」ことに修正いたしました。
また、借入を含めた事業投資の上限枠を設定し、余剰資金を有効に活用した新たな事業展開を図ってまいります。
(品質保証体制)
当社グループは、食品メーカーとして常に安全・安心な製品をお届けするよう、品質に関する基準や方針を適宜見直すとともに、食の品質に関わる情報共有と課題検討の場として、外部有識者を交えたグループ品質保証会議を開催しております。また、お客さまに安心して使っていただける製品を継続してお届けするため、お客さまの声を反映させた品質向上への取組を通じ、当社グループのものづくりの力の一層の強化に努めてまいります。
(コーポレート・ガバナンス)
当社グループは、内部統制システムを、コーポレート・ガバナンス体制の充実と企業理念・経営目標の実現・達成のための仕組みととらえ、企業価値のさらなる向上と持続的な発展をめざし、グループ経営の視点でリスクマネジメント、コンプライアンスを含めたガバナンス体制の構築と運用の強化を図っております。平成27年6月より上場会社に対し導入された「コーポレートガバナンス・コード」を、ガバナンス体制を見直すよい機会ととらえ、よりよいガバナンス体制に向けた検討を進めております。会社機関におきましては、平成28年6月28日開催の第70期定時株主総会にて、社外取締役を1名から2名に増員し、経営戦略機関に対する監督機能の強化に注力しております。また、社外監査役3名を含む5名の監査役体制で、取締役の職務執行の監査を行っており、常勤監査役2名は、主要なグループ会社の非常勤監査役を兼務することにより、グループにおける監査役監査の実効性の確保に努めております。
内部統制システムがグループとして有効に機能するよう、今後も継続的な改善に取り組んでまいります。
(社会的責任)
当社グループは、食を通じてお客様、社員とその家族、社会といったステークホルダーへの責任を果たし、人とつながり、笑顔ある暮らしを皆さまと共に創るグッドパートナーを目指し、社員全員で推進するCSR活動に取り組んでおります。
環境活動におきましては、「環境理念」と「行動指針」に基づきハウス食品グループ環境方針を策定、環境マネジメントシステムであるISO14001を導入し、本業における環境活動を推進しております。
また、社会貢献活動におきましては、「ハウス食品グループの資産を活用し、社会課題の解決に貢献し続ける」活動を推進、国際社会や地域社会との調和を図りながら、ステークホルダーの皆さまとの信頼関係を構築・維持し、より良い社会の実現に貢献してまいります。
(b) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組
当社は、平成19年2月9日開催の当社取締役会において、「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入することを決定し、同年6月27日開催の第61期定時株主総会において、株主のみなさまのご承認をいただきました。
その後、平成22年6月25日開催の第64期定時株主総会および平成25年6月26日開催の当社第67期定時株主総会において、一部所要の変更を行ったうえで買収防衛策を継続することをご承認いただいております(以下、当社第67期定時株主総会においてご承認いただいた買収防衛策を「本プラン」といいます。)。その後、有効期間満了にあたり、平成28年6月28日開催の第70期定時株主総会で、基本的内容を維持したまま、本プランを継続することについてご承認いただきました。
本プランでは、当社グループの企業価値および株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させることを目的として、当社の株券等の大量取得行為が行われる場合に、大量取得行為を行おうとする者(以下「大量取得者」といいます。)に対し、[1]事前に大量取得行為に関する必要かつ十分な情報の提供を求め、[2]大量取得行為についての情報収集および検討等を行う時間を確保したうえで、[3]株主のみなさまへの当社経営陣の計画や代替案等の提示、および大量取得者との交渉を行っていくための手続を定めております。
大量取得者が、本プランの手続きを遵守しない場合や、大量取得者によって提供された情報から、その大量取得行為により当社グループの企業価値または株主共同の利益が害されるおそれがあると認められ、新株予約権の無償割当てなどの対抗措置を発動することが相当であると独立委員会が判断した場合には、独立委員会は当社取締役会に対して対抗措置の発動を勧告します。
独立委員会からこのような勧告がなされ、対抗措置として新株予約権の無償割当てを実施する場合、当社取締役会は、その時点における当社以外の全ての株主のみなさまに対して、その保有する株式1株に対し1個の新株予約権を、無償で割り当てます。この新株予約権には、大量取得者による行使は認められないという行使条件と、当社が大量取得者以外の者から当社株式の交付と引換えに新株予約権を取得することができるという内容の取得条項を付すことがあり得るとされており、また、時価より格段に安い価格で行使することが可能とされています。
大量取得者以外の株主のみなさまがこの新株予約権を行使し、行使価額の払込みをすれば、新株予約権1個あたり当社株式1株を受け取ることとなり、その一方、大量取得者はこれを行使することができない結果、大量取得者が保有する当社株式は希釈化されることになります。
また、当社は、大量取得者以外の株主のみなさまからこの新株予約権を取得し、それと引換えに当社普通株式を交付することがあり、この場合には、大量取得者以外の株主のみなさまは行使価額の払込みをすることなく、当社普通株式を受け取ることになります。
一方、独立委員会は、対抗措置を発動させることが当社グループの企業価値および株主共同の利益の確保・向上に望ましいか否かの判断が困難である場合には、株主総会において対抗措置の発動の要否や内容の意思確認を行うよう、当社取締役会に対して勧告し、また、大量取得者が対抗措置の発動要件に該当しない、もしくは対抗措置を発動することが相当でないと判断した場合には、対抗措置を発動しないよう、当社取締役会に対して勧告します。
さらに独立委員会は、対抗措置の発動の是非について判断に至らない場合には、原則30日間を限度として評価期間を延長することもあります。
これらの独立委員会の勧告や決定は、適切に株主のみなさまに情報開示されるとともに、当社取締役会は、この独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。
なお、本プランの有効期間は、第70期定時株主総会の終結の時から平成31年3月期に係る定時株主総会の終結の時までの約3年間となっております。
3. 具体的取組に対する当社取締役会の判断およびその理由
当社グループの中期計画は、当社グループの企業価値・株主共同の利益を持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、また、本プランは、前記2.に記載のとおり、その内容において公正性・客観性が担保される工夫がなされ、かつ、企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入されたものであり、当社取締役会としては、いずれも当社の基本方針に沿うものであると判断しております。
※独立委員会委員略歴
独立委員会委員3名の略歴は以下のとおりであります。
砂川 伸幸(いさがわ のぶゆき)
(略 歴)
昭和41年生まれ
平成元年4月 新日本証券株式会社(現みずほ証券株式会社)入社
平成7年3月 神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了
平成7年4月 神戸大学経営学部助手
平成10年4月 神戸大学経営学部助教授
平成11年4月 神戸大学大学院経営学研究科助教授
平成19年4月 神戸大学大学院経営学研究科教授
平成28年4月 京都大学経営管理大学院教授(現)
小林 正明(こばやし まさあき)
(略 歴)
昭和21年生まれ
昭和45年4月 日本国有鉄道入社
平成13年6月 日本貨物鉄道株式会社取締役
平成14年6月 同社常務取締役
平成16年6月 同社代表取締役専務
平成18年6月 同社代表取締役副社長
平成19年6月 同社代表取締役社長
平成24年6月 同社取締役会長
平成25年6月 同社相談役
平成27年6月 同社特別顧問(現)
蒲野 宏之(かまの ひろゆき)
(略 歴)
昭和20年生まれ
昭和46年4月 外務省入省
昭和56年4月 弁護士登録
昭和63年10月 蒲野綜合法律事務所代表弁護士(現)
平成21年4月 東京弁護士会副会長
平成25年4月 日本弁護士連合会常務理事
平成27年6月 当社社外監査役(現)
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は9億49百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。