有価証券報告書-第200期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 13:19
【資料】
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【項目】
154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
(1) 経営方針
120年を超える当社の歴史と伝統を背景に、経営理念である「進取の精神」と「自利利他の心」に基づき、発想力を活かし無限大の可能性へ挑戦していく。もって、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、社会に役立つ企業、環境に優しい企業、人々の笑顔を大切にする企業となり、日本のより良い未来の創造に貢献する。
(2) 経営環境
当期におけるわが国経済は、前半は雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策効果もあって緩やかな回復基調が続いたものの、2019年10月の消費税増税による影響、さらに第4四半期には新型コロナウイルス感染症の影響があり、期末にかけて大幅に下押しされ一気に厳しい環境となった。海外においては中国経済動向、英国のEU離脱、米中貿易摩擦の懸念などが台頭していた中、期末にかけてのパンデミック発生により、世界経済も大打撃を受ける展開となった。
このような状況の中で、当社グループは、昨年度からスタートした「中期経営方針 Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」に基づく諸施策を着実に進めることに努めた。
商業施設事業においては、静岡県下有数の商業施設である「サントムーン柿田川」が、消費税増税や近隣の大型商業施設開業などの影響を受けながらも概ね順調に推移していたものの、期末にかけてアミューズメントなどの新型コロナウイルス感染症の影響に敏感な業態から順に業績を落とす展開となった。こうした中、同施設の増床・リニューアル工事(第4期開発)を順調に進め、2020年3月10日に、3階建て約7,000㎡のテナント面積に33店舗が出店する新館「サントムーン オアシス」を開業した。開業当初は予想を上回る来店客で賑わうなど、当社グループを挙げて地域のライフラインを守る使命感をもって運営に取り組んだ。ヘルスケア事業においては、一般寝具で軟調な市況の影響を受けたものの、前期末に譲り受けた和田哲カンパニー事業との一段のシナジー効果の発揮に注力するとともに、新型コロナウイルス感染症対策の抗菌素材・マスクなどの商品確保にも努めた。繊維・アパレル事業においては、消費増税や上海現地法人における海外事業が中国市況の影響を受け販売不振が続く中、第4四半期の春物市況が新型コロナウイルス感染症の影響で苦戦したものの、継続して採算改善活動に取り組んだ。この結果、2007年3月期以来13期ぶりに全事業セグメントでセグメント営業黒字を確保することが出来た。
(3) 中期経営戦略
当社グループは、2018年4月から中期経営方針「Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」をスタートさせ、「成長投資と維持更新投資への優先的な取り組み」「事業規模の拡大と収益性の向上」「財務マネジメントの強化と復配」「人材の確保と育成」「コーポレートガバナンス・コードに沿った経営の徹底」を柱となる戦略として推進している。
また、中期経営方針「Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」において、2023年3月期の財務目標として、「営業利益率9%以上」「ROE6%以上」「NetDER170%以下」を掲げている。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況が当面続くと見込まれる。また、新型コロナウイルス感染症の影響により内外経済の停滞が長引く懸念もあり、一段の下振れリスクがある。金融資本市場の変動等についても十分な注意が必要と考える。ただし、政府による収束後の経済の力強い回復と社会変革の推進を実現するための政策のスピード感ある実行により、年度後半にかけて徐々に回復することも期待できると考える。
こうした環境下、当社は「中期経営方針 Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」に基づく諸施策への取り組みを継続するとともに、新型コロナウイルス感染症の収束後の新しい常態(ニューノーマル)における新たなビジネスチャンスを捉えるべくスピード感を持って変化に柔軟に対応していく考えである。
① 成長投資と維持更新投資への優先的な取り組み
当社グループの主力事業である静岡県有数の商業施設「サントムーン柿田川」の第4期開発を成長投資と位置づけて取り組み、2020年3月に新館「サントムーン オアシス(Oasis)」を開業した。しかしながら、開業後まもなく新型コロナウイルス感染拡大の影響による緊急事態宣言により一部休業を余儀なくされたため、地域のライフラインを守るとの使命感のもと、今後は最優先で営業再開後の速やかな立ち直りを進める考えである。また、周辺市場との競合対策などの諸課題にも継続して対応していく考えである。
② 事業規模の拡大と収益性の向上
2019年3月に実施したヘルスケア事業の譲り受けの効果で2期連続の増収となったことに加え、今後は「サントムーン柿田川」に新たにオープンした新館「サントムーン オアシス(Oasis)」の業績を軌道に乗せることおよびヘルスケア事業において新型コロナウイルス関連の抗菌素材など医療に近い分野の取り組みを強化することで、当社グループとして事業規模の拡大と収益性の向上をさらに確実なものとしていく考えである。また、事業規模の拡大にあたっては、ESG(環境・社会・ガバナンス)、CSV(共通価値の創造)といった概念およびバリューチューンによる価値創造をしっかり意識して取り組む。
③ 財務マネジメントの強化と復配
持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、財務の健全性の確保が大前提となる。そのため、新館「サントムーン オアシス(Oasis)」の建設資金借入と既存借入金を着実に圧縮しつつ、財務マネジメントを強化していく考えである。中期経緯方針期間中に復配の目途をつけるべく取り組む方針にも変わりない。ただし、今後の新型コロナウイルス感染症の影響に注視する必要があると考えている。
④ 人材の確保と育成
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワーク(在宅勤務)体制を整えることができたため、新しい生活様式に対応した新しい働き方改革を一段と推し進める。
⑤ コーポレートガバナンス・コードに沿った経営の徹底
ガバナンス体制の維持・強化を図るとともに、事業活動を通じた社会的課題への対応も推進する。
以上により、当社グループは、経営理念である「進取の精神」と「自利利他の心」に基づき、発想力を活かし無限大の可能性への挑戦を続け、当社グループの役職員一同全力で、「中期経営方針 Get Ahead of the Future ~新しい時代の先へ~」を推進し、企業価値のさらなる向上に邁進する所存である。