有価証券報告書-第77期(平成25年10月1日-平成26年9月30日)

【提出】
2014/12/17 12:12
【資料】
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【項目】
91項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府、日銀による諸施策の実施や消費増税前の駆け込み需要などにより、当面明るさが見えたように思われましたが、4月以降の反動減からの持ち直しのテンポが鈍く、一部の輸出産業を除いて本格的回復までには至っておりません。当社グループの事業領域であります出版業界は、出版科学研究所によりますと、出版物の推定販売金額は、今年も書籍、雑誌とも前年を下回り、合計で前年比マイナス5.0%と、依然として有効な対策を見出せない状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、新しい読者の開拓、読者ニーズの追求、返品対策をテーマに活動を行いました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高3,119百万円(前年同期比15.2%増)、営業利益64百万円(前年同期比46.3%増)、経常利益93百万円(前年同期比34.2%増)、当期純利益33百万円(前年同期比33.9%減)となりました。
事業別の概況は次のとおりです。
(出版事業)
会計分野では、数少ない制度改正を適切にフォローアップした『すらすら図解 IFRSのしくみ』、『詳細解説IFRS実務適用ガイドブック』など、任意適用企業が増えつつあるIFRSに関する実務書の開発を行ってきました。更に、連結会計実務書として『連結会計の基本と実務がわかる本』や「体系現代会計学」シリーズ全12巻の完成も話題になりました。
経営・経済分野では、アベノミクス1年半の成果について、推進派と慎重派の論客がそれぞれの立場から評価した『徹底分析アベノミクス』、これからの企業経営にとって重要なキーワードであるダイバーシティ推進に役立つ『女性リーダーを組織で育てるしくみ』や『高齢社員の人事管理』などをタイムリーに刊行し、いずれも好評を得ることができました。また、大学向けテキストでは「全国版標準テキスト」の開発を目指し、ロングセラーである『経営情報システム(第4版)』、『人的資源管理論(第2版)』、『入門組織行動論(第2版)』などの改訂や、新刊として『映画に学ぶ経営管理論』、『中小企業経営入門』などを開発いたしました。
税務分野では、『会計全書 平成26年度』をはじめとした法規通達集、法人税や所得税の申告実務を解説した定番商品が堅調に推移するなか、とくに『やさしい法人税申告入門』はリニューアルが奏功し、部数を伸ばしました。また、20年ぶりとなる日本税理士会連合会の編集による「申告書からみた税務調査対策シリーズ」全6巻を刊行したことは特筆すべき点です。加えて、平成27年1月より施行される相続税改正に向け「税理士のための相続税の実務Q&Aシリーズ」を手がけ、全6巻のうち4巻までを刊行いたしました。
法律分野では、会社法改正に対応した書籍として、『平成25年会社法改正法案の解説』、『事例で学ぶ会社法実務[会社の計算編]』、『事例で学ぶ会社法実務[設立から再編まで]』を早期に刊行いたしました。その他、『会社法概説(第2版)』、『最新株式会社法(第7版)』なども他社に先駆けて刊行することで、読者ニーズに応えることができました。更に、新たな読者層を取り込む活動として、企業法務部員向け実務書として刊行した『法務の技法』が好評でした。また、長期的に大型の採用が継続される「共通教材」として『法学入門』を刊行いたしました。
企業実務分野では、M&Aに関する実務書のラインナップとして『M&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50』、事業承継を取り上げた『相続・事業承継スキーム 発想のアイデア60』、中小企業にも広がってきた海外進出をめぐる実務問題として『「技術流出」リスクへの実務対応』,インターネット上での企業の風評被害対策を解説した『インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル』、現場のマネジメントに特化した「経営コンサルティング・ノウハウ」シリーズなどの書籍が好評を得ました。
資格試験分野でも、『社労士出るとこマスター』がヒットし、『ビジネス会計検定試験公式テキスト3級<第3版>』なども刊行いたしました。
高水準の研究成果の書籍開発として、『利益情報の訂正と株式市場』が日本会計研究学会太田・黒澤賞を、『自律的組織の管理会計』が日本会計研究学会太田・黒澤賞及び日本管理会計学会から学会賞を、『医療管理会計』が日本原価計算研究学会から学会賞を、『企業経営の物流戦略研究』が日本物流学会から学会賞を、『実践から学ぶ女将のおもてなし経営』が観光学術学会から学会賞を受賞するなど、その他多くの書籍が表彰されました。
一方、新たな読者層の開拓の一環として、前期に引き続きエイベックス・ミュージック・クリエイティブ株式会社との協業による女性アナウンサーが条文を読み上げたCDとセットの『「聴く」日本国憲法』、『耳から覚える<合格>憲法―女子アナ読み上げCD&BOOK 全2巻』を発売するなどの取り組みを行いました。
この結果、株式会社中央経済社の業績は横ばいであったものの、雑誌、書籍及びムックの編集制作を行う株式会社シーオーツーでは、料理レシピ本のヒットや新規顧客の獲得など業績が好調に推移したことにより、売上高2,981百万円(前年同期比16.1%増)、営業利益37百万円(前年同期は営業損失27百万円)となりました。
(出版付帯事業)
当社グループの専門雑誌を中心とする広告宣伝の請負代理が主である出版付帯事業は、広告媒体が多様化するなかで紙媒体への広告が減少したことにより、前年をやや下回りました。
その結果、売上高138百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益12百万円(前年同期比68.0%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は11百万円(前年同期比102百万円減)となりました。これは主に、売上債権の増加86百万円(前年同期は58百万円の減少)、その他のうち未払金の減少73百万円(前年同期は3百万円の減少)などがあったものの、税金等調整前当期純利益83百万円(前年同期比13百万円増)、減価償却費25百万円(前年同期は17百万円)、のれん償却額19百万円(前年同期は償却なし)、未払消費税等の増加24百万円(前年同期比16百万円増)などがあったことによるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は10百万円(前年同期比243百万円減)となりました。これは主に、貸付金の回収による収入48百万円(前年同期比38百万円増)があったものの、無形固定資産の取得による支出8百万円(前年同期比40百万円減)、投資有価証券の取得による支出14百万円(前年同期比4百万円増)及び貸付による支出28百万円(前年同期比30百万円減)などがあったことによるものです。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は39百万円(前年同期比2百万円増)となりました。これは主に、配当金の支払額37百万円(前年同期比0百万円減)などがあったことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物(資金)の期末残高は2,095百万円となり、前連結会計年度末に比べて39百万円の減少となりました。