有価証券報告書-第139期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。なお、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) 住友化学の目指す姿
当社は、別子銅山の煙害という環境問題の克服と、農産物の増産をともに図ることから誕生した起源を持ち、創業以来100年以上にわたり、絶えざる技術革新と事業の変革を遂げながら、事業を通じて人々の豊かな生活を支えてまいりました。
住友には「自利利他公私一如」(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)という言葉がありますが、当社の歩みは、その事業精神を体現し、経済価値と社会価値を一体的に創出してきた100余年とも言えます。
今後も、当社グループは環境負荷の低減や、食糧問題、ヘルスケア、ICTの技術革新等の社会課題の解決に事業を通じて貢献することで、当社グループの持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指します。

(2) 2019年度~2021年度中期経営計画
当社グループは、2019年度を初年度とする中期経営計画に取り組んでおります。本計画は、2013年度から取り組んでいる「Change & Innovation」の第3段階であり、「Change & Innovation 3.0 ~For a Sustainable Future~」をスローガンに掲げ、デジタル革新により生産性を飛躍的に向上させるとともに、イノベーションの加速に取り組みます。
この中期経営計画は、以下を基本方針としております。
① 次世代事業の創出加速
「ヘルスケア」「環境負荷低減」「食糧」「ICT」の4つを重点分野とし、アカデミアやスタートアップ企業とも連携しながら、サステナブルな社会の実現に向けた次世代技術の開発、新規事業の創出に取り組みます。
② デジタル革新による生産性の向上
デジタル技術(AI・IoT)の活用により、研究開発・製造・サプライチェーン・営業・間接部門における飛躍的な生産性の向上に取り組みます。
③ 事業ポートフォリオの高度化
持続的な市場の成長が予想され、かつ技術を競争力の源泉として展開可能な事業に対し、集中的に経営資源を投入することで、事業ポートフォリオのさらなる高度化を進めます。
④ 強靭な財務体質の実現
規律ある運営によるコストと資産の統制により、強靭な財務体質を実現します。
これらの4点とともに、 ⑤持続的成長を支える人材の確保と育成・活用 ⑥コンプライアンスの徹底と安全・安定操業の継続に取り組みます。

各事業部門の戦略と取り組み
各事業部門における、本中期経営計画での主な取り組みは、以下のとおりであります。
(石油化学部門)
石油化学部門は、日本・シンガポール・サウジアラビアに製造拠点を有し、それぞれの拠点の強みを活かしたポリエチレン・ポリプロピレン・メタアクリルなどを製造し、自動車・家電・食品など幅広い産業に供給しております。
日本およびシンガポールの拠点では、顧客の要望を先取りした高付加価値製品を開発するとともに、高品質な製品を安定供給しております。このようにして、アジア市場の優良顧客と長年かけて培ってきた信頼関係も当社グループの大きな強みとなっております。また、サウジアラビアの拠点は安価な原燃料を活用し、コスト競争力のある製品を製造しております。
現在は、日本およびシンガポールでの高付加価値製品によるソリューション提供力の強化、サウジアラビアのプラントの安定稼働の実現を目指しております。
本中期経営計画においては、国内事業はグローバル展開の基盤として強化に取り組むほか、シンガポール事業はさらなる収益力強化を行います。また、ラービグ第1期計画の安定稼働の継続と、第2期計画の早期の収益貢献を図ります。
当連結会計年度における主な進捗として、2019年11月にラービグ第2期計画が商業運転を開始しました。コンプレックスの拡充を通じて、より幅広い石油化学製品を供給していきます。また国内では触媒の生産能力を増強しました。触媒販売およびライセンス事業により安定した収益を獲得してまいります。
(エネルギー・機能材料部門)
エネルギー・機能材料部門は、複数の事業部門にまたがっていた関連事業を集約し、環境・エネルギー分野における事業の育成と強化を図るべく、2015年に発足しました。電池部材やスーパーエンジニアリングプラスチックスなどの高機能材料の販売により、エコカーなどの環境調和製品の性能向上に貢献するソリューションを提供しております。
当部門のコア・コンピタンスは、高純度アルミナやレゾルシンのように世界トップシェアを維持する製品や世界最高水準の高耐熱性を持つリチウムイオン二次電池用セパレータに見られるように、グローバルな事業展開力とともにこれらの製品群を生み出す研究・開発力や評価・製造・プロセス技術であると考えております。
当部門では中期的な戦略として、当社が技術などの面で優位性を持ち成長が期待できる事業の選別と育成に取り組んでおります。同時に、不採算な一部の事業については、その再構築に取り組んでおります。
本中期経営計画においては、セパレータなどの電池部材やスーパーエンジニアリングプラスチックスなどの販売拡大、その他製品についても高付加価値製品へのシフトによる収益力強化に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、株式会社田中化学研究所が、欧州電池メーカーとの間で正極材前駆体の製造技術支援および販売契約を締結しました。今後、車載用途を中心とするリチウムイオン二次電池向け正極材事業のさらなる拡大を目指します。
(情報電子化学部門)
情報電子化学部門では、ディスプレイの性能向上に寄与する高機能部材をディスプレイメーカーに提供することで、ディスプレイ技術のイノベーションに貢献しております。また、高品質な半導体材料を半導体メーカーに提供することで、半導体の性能および生産性の向上に貢献しております。
当社グループは、顧客の製造拠点の近隣に自社の生産拠点を設けることで、顧客との良好な関係を構築し、その要望をいち早く把握し、製品の開発・供給に活かすマーケットインのサプライチェーン構築に努めてきました。こうした開発供給体制と、総合化学メーカーとしての素材開発力とディスプレイ材料事業で培った製品開発力・加工技術が強みとなっております。
現在は、ディスプレイ技術の液晶から有機ELへの世代交代に対応すべく、有機EL部材事業の拡大と液晶部材事業のコスト構造改革に取り組んでおります。また、高度化する半導体製造技術に対応した半導体材料の開発と生産能力の拡大にも注力しております。
本中期経営計画においては、前中期経営計画で実施した先行投資からのリターン確保、既存事業の継続的な競争力強化、将来のコア事業・高収益製品となる製品群の育成を中心に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、半導体材料事業では、フォトレジストの新工場が完成し、2020年度に稼働開始予定です。また、光学機能性フィルム事業では株式会社サンリッツを子会社化し車載分野に本格参入を図るなど、高付加価値化を進めております。
(健康・農業関連事業部門)
健康・農業関連事業部門では、特長ある農薬・農業資材やメチオニン(飼料添加物)などをグローバルに提供することで、食糧の生産性向上に寄与しております。
当社グループは、自社開発の優れた化学農薬に加え、バイオラショナルやポストハーベストなど高いシェアを持つユニークな農薬や農業資材を品揃えし、グローバルに販売しております。特長ある農薬の品揃えとそれを生み出す研究開発力に加え、グローバルな販路を有することが農薬事業の強みとなっております。また、メチオニン事業では、高い生産技術を活かし、製品を原料から一貫生産し安定供給しております。
現在は、農薬・農業資材の製品力のさらなる強化、グローバルフットプリント(自社の販売網)の拡大、新規農薬の着実な開発・上市に取り組んでおります。加えて、メチオニンの競争力強化により、同事業でのアジアでのリーダーとしての地位を確固たるものにすべく取り組んでおります。
本中期経営計画では、微生物農薬などのバイオラショナル事業の強化や新規農薬の上市に向けた開発を着実に進め、農薬事業を拡大してまいります。また生産能力を増強したメチオニンや、生活環境製品のグローバルな販売拡大に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、2019年9月にオーストラリアの大手農薬会社ニューファーム社から、1,188百万豪ドルにて南米子会社4社を買収することを決定し、2020年4月に当該手続きが完了しました。本買収により、世界最大の農薬市場であるブラジルを含む南米地域の拠点を獲得することで、当社が進める一連のグローバルフットプリント整備が格段に進展することに加えて、当社グループは、南米に大きな市場がある新規大型殺菌剤の上市を2021年以降に予定しており、その販売の早期最大化にも大きく寄与する見込みです。また、世界第5位の農薬市場であるインドで、子会社2社の統合が完了したほか、飼料添加物メチオニンについては、生産効率の低い旧プラントを停止する等、生産体制の最適化を進めました。
(医薬品部門)
医薬品部門では、医療用医薬品や診断用医薬品等の開発・販売を行うことで、人々の健康で豊かな暮らしを支えています。現在、医療用医薬品は大日本住友製薬株式会社、診断用医薬品は日本メジフィジックス株式会社で事業を展開しています。
大日本住友製薬株式会社では、「ポスト・ラツーダ」(米国での「ラツーダ(非定型抗精神病薬)」の独占販売期間終了後)を見据えつつ、変革の時に対応するため、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」により事業基盤の再構築に取り組んでおります。日本メジフィジックス株式会社は、核医学という極めて専門性の高い医療分野における日本のリーディングカンパニーとして、新たな診断薬の開発に取り組んでおります。
当部門の中期的な戦略としては、積極的な研究開発およびパイプラインの拡充により、主力製品の独占販売期間終了後の業績影響を軽減し早期回復を図るとともに、再生・細胞医薬品やセラノティクス等、次世代を担う事業を推進してまいります。またデジタルヘルスケアなど、医薬品以外の新たな事業分野の探索にも注力します。
本中期経営計画では、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、自社研究に加え、技術導入、アカデミアやスタートアップ企業との共同研究など、あらゆる方法で最先端の技術を取り入れ、研究開発活動に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、大日本住友製薬株式会社は、2019年12月に欧州に本社を置くロイバント サイエンシズ リミテッド(以下「ロイバント社」という。)と戦略的提携に関する手続きを完了し、対価として約30億米ドルを同社に支払いました。これにより、当社グループの医薬品部門の業績を牽引しているラツーダ(非定型抗精神病薬)の独占販売期間終了後の成長エンジンとなるブロックバスター候補を含む、複数の新薬候補を獲得したことに加えて、ロイバント社が開発した革新的なヘルスケアテクノロジープラットフォームおよびこれに携わる有能な人材を獲得したことで、今後、研究開発の大幅な生産性向上、デジタル革新のさらなる加速を図ります。当面は、販売関連費用や研究開発費の負担が大きくなりますが、2024年~2025年頃には、今回獲得した新薬の販売が伸長することで、飛躍的な成長を見込みます。また、新世代の統合失調症治療薬として開発中のSEP-363856は米国で第三相試験を開始したほか、国内では、糖尿病治療薬であるイメグリミンの第三相試験が完了する等、上市に向けた開発を着実に進めました。
2021年度経営目標
本中期経営計画の最終年度である2021年度の経営目標は、為替レート110円/ドル、ナフサ価格51,000円/klなど、計画時点の事業環境の見通しを前提に、売上収益2兆9,500億円、コア営業利益2,800億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1,500億円を掲げております。
事業環境および今後の業績の見通しについて
当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の長期化に伴う世界経済の減速や国内外における天候不順など逆風が多く、中期経営計画初年度である2019年度の業績は、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度比74%減益の309億円となる等、大変厳しいものとなりました。
また、今後の事業環境については、新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大が世界経済に深刻な悪影響を与えている中、石油化学部門での製品市況の低迷に加え、医薬品部門での戦略的投資に伴い先行して発生する研究開発費等の増加により、2020年度も業績の急な回復は見込めないものと考えております。
このような厳しい事業環境が続く中、中期経営計画最終年度となる2021年度については、当初掲げた経営目標の達成は容易ではありませんが、諸課題に全社一丸となって取り組むことで、業績水準および財務体質の一年でも早い回復に努めてまいります。
そして、中長期的には、ROE10%以上、ROI7%以上、D/Eレシオ0.7倍程度などの財務指標を安定的に達成することを目指します。当社の財務KPIであるROE10%は、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するという考えのもと、社会課題の解決に重要な貢献ができると判断した事業を一定の収益性が見込める限り実施していくという方針に基づき設定したものであります。またROIについては、WACC(加重平均資本コスト)を上回るレベルを求め、7%をハードルとしております。D/Eレシオについては、フレキシブルな資金調達が可能な現在の当社格付を維持することを考慮し、0.7倍程度を目安としております。

(1) 住友化学の目指す姿
当社は、別子銅山の煙害という環境問題の克服と、農産物の増産をともに図ることから誕生した起源を持ち、創業以来100年以上にわたり、絶えざる技術革新と事業の変革を遂げながら、事業を通じて人々の豊かな生活を支えてまいりました。
住友には「自利利他公私一如」(住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するものでなければならない)という言葉がありますが、当社の歩みは、その事業精神を体現し、経済価値と社会価値を一体的に創出してきた100余年とも言えます。
今後も、当社グループは環境負荷の低減や、食糧問題、ヘルスケア、ICTの技術革新等の社会課題の解決に事業を通じて貢献することで、当社グループの持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指します。

(2) 2019年度~2021年度中期経営計画
当社グループは、2019年度を初年度とする中期経営計画に取り組んでおります。本計画は、2013年度から取り組んでいる「Change & Innovation」の第3段階であり、「Change & Innovation 3.0 ~For a Sustainable Future~」をスローガンに掲げ、デジタル革新により生産性を飛躍的に向上させるとともに、イノベーションの加速に取り組みます。
この中期経営計画は、以下を基本方針としております。
① 次世代事業の創出加速
「ヘルスケア」「環境負荷低減」「食糧」「ICT」の4つを重点分野とし、アカデミアやスタートアップ企業とも連携しながら、サステナブルな社会の実現に向けた次世代技術の開発、新規事業の創出に取り組みます。
② デジタル革新による生産性の向上
デジタル技術(AI・IoT)の活用により、研究開発・製造・サプライチェーン・営業・間接部門における飛躍的な生産性の向上に取り組みます。
③ 事業ポートフォリオの高度化
持続的な市場の成長が予想され、かつ技術を競争力の源泉として展開可能な事業に対し、集中的に経営資源を投入することで、事業ポートフォリオのさらなる高度化を進めます。
④ 強靭な財務体質の実現
規律ある運営によるコストと資産の統制により、強靭な財務体質を実現します。
これらの4点とともに、 ⑤持続的成長を支える人材の確保と育成・活用 ⑥コンプライアンスの徹底と安全・安定操業の継続に取り組みます。

各事業部門の戦略と取り組み
各事業部門における、本中期経営計画での主な取り組みは、以下のとおりであります。
(石油化学部門)
石油化学部門は、日本・シンガポール・サウジアラビアに製造拠点を有し、それぞれの拠点の強みを活かしたポリエチレン・ポリプロピレン・メタアクリルなどを製造し、自動車・家電・食品など幅広い産業に供給しております。
日本およびシンガポールの拠点では、顧客の要望を先取りした高付加価値製品を開発するとともに、高品質な製品を安定供給しております。このようにして、アジア市場の優良顧客と長年かけて培ってきた信頼関係も当社グループの大きな強みとなっております。また、サウジアラビアの拠点は安価な原燃料を活用し、コスト競争力のある製品を製造しております。
現在は、日本およびシンガポールでの高付加価値製品によるソリューション提供力の強化、サウジアラビアのプラントの安定稼働の実現を目指しております。
本中期経営計画においては、国内事業はグローバル展開の基盤として強化に取り組むほか、シンガポール事業はさらなる収益力強化を行います。また、ラービグ第1期計画の安定稼働の継続と、第2期計画の早期の収益貢献を図ります。
当連結会計年度における主な進捗として、2019年11月にラービグ第2期計画が商業運転を開始しました。コンプレックスの拡充を通じて、より幅広い石油化学製品を供給していきます。また国内では触媒の生産能力を増強しました。触媒販売およびライセンス事業により安定した収益を獲得してまいります。
(エネルギー・機能材料部門)
エネルギー・機能材料部門は、複数の事業部門にまたがっていた関連事業を集約し、環境・エネルギー分野における事業の育成と強化を図るべく、2015年に発足しました。電池部材やスーパーエンジニアリングプラスチックスなどの高機能材料の販売により、エコカーなどの環境調和製品の性能向上に貢献するソリューションを提供しております。
当部門のコア・コンピタンスは、高純度アルミナやレゾルシンのように世界トップシェアを維持する製品や世界最高水準の高耐熱性を持つリチウムイオン二次電池用セパレータに見られるように、グローバルな事業展開力とともにこれらの製品群を生み出す研究・開発力や評価・製造・プロセス技術であると考えております。
当部門では中期的な戦略として、当社が技術などの面で優位性を持ち成長が期待できる事業の選別と育成に取り組んでおります。同時に、不採算な一部の事業については、その再構築に取り組んでおります。
本中期経営計画においては、セパレータなどの電池部材やスーパーエンジニアリングプラスチックスなどの販売拡大、その他製品についても高付加価値製品へのシフトによる収益力強化に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、株式会社田中化学研究所が、欧州電池メーカーとの間で正極材前駆体の製造技術支援および販売契約を締結しました。今後、車載用途を中心とするリチウムイオン二次電池向け正極材事業のさらなる拡大を目指します。
(情報電子化学部門)
情報電子化学部門では、ディスプレイの性能向上に寄与する高機能部材をディスプレイメーカーに提供することで、ディスプレイ技術のイノベーションに貢献しております。また、高品質な半導体材料を半導体メーカーに提供することで、半導体の性能および生産性の向上に貢献しております。
当社グループは、顧客の製造拠点の近隣に自社の生産拠点を設けることで、顧客との良好な関係を構築し、その要望をいち早く把握し、製品の開発・供給に活かすマーケットインのサプライチェーン構築に努めてきました。こうした開発供給体制と、総合化学メーカーとしての素材開発力とディスプレイ材料事業で培った製品開発力・加工技術が強みとなっております。
現在は、ディスプレイ技術の液晶から有機ELへの世代交代に対応すべく、有機EL部材事業の拡大と液晶部材事業のコスト構造改革に取り組んでおります。また、高度化する半導体製造技術に対応した半導体材料の開発と生産能力の拡大にも注力しております。
本中期経営計画においては、前中期経営計画で実施した先行投資からのリターン確保、既存事業の継続的な競争力強化、将来のコア事業・高収益製品となる製品群の育成を中心に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、半導体材料事業では、フォトレジストの新工場が完成し、2020年度に稼働開始予定です。また、光学機能性フィルム事業では株式会社サンリッツを子会社化し車載分野に本格参入を図るなど、高付加価値化を進めております。
(健康・農業関連事業部門)
健康・農業関連事業部門では、特長ある農薬・農業資材やメチオニン(飼料添加物)などをグローバルに提供することで、食糧の生産性向上に寄与しております。
当社グループは、自社開発の優れた化学農薬に加え、バイオラショナルやポストハーベストなど高いシェアを持つユニークな農薬や農業資材を品揃えし、グローバルに販売しております。特長ある農薬の品揃えとそれを生み出す研究開発力に加え、グローバルな販路を有することが農薬事業の強みとなっております。また、メチオニン事業では、高い生産技術を活かし、製品を原料から一貫生産し安定供給しております。
現在は、農薬・農業資材の製品力のさらなる強化、グローバルフットプリント(自社の販売網)の拡大、新規農薬の着実な開発・上市に取り組んでおります。加えて、メチオニンの競争力強化により、同事業でのアジアでのリーダーとしての地位を確固たるものにすべく取り組んでおります。
本中期経営計画では、微生物農薬などのバイオラショナル事業の強化や新規農薬の上市に向けた開発を着実に進め、農薬事業を拡大してまいります。また生産能力を増強したメチオニンや、生活環境製品のグローバルな販売拡大に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、2019年9月にオーストラリアの大手農薬会社ニューファーム社から、1,188百万豪ドルにて南米子会社4社を買収することを決定し、2020年4月に当該手続きが完了しました。本買収により、世界最大の農薬市場であるブラジルを含む南米地域の拠点を獲得することで、当社が進める一連のグローバルフットプリント整備が格段に進展することに加えて、当社グループは、南米に大きな市場がある新規大型殺菌剤の上市を2021年以降に予定しており、その販売の早期最大化にも大きく寄与する見込みです。また、世界第5位の農薬市場であるインドで、子会社2社の統合が完了したほか、飼料添加物メチオニンについては、生産効率の低い旧プラントを停止する等、生産体制の最適化を進めました。
(医薬品部門)
医薬品部門では、医療用医薬品や診断用医薬品等の開発・販売を行うことで、人々の健康で豊かな暮らしを支えています。現在、医療用医薬品は大日本住友製薬株式会社、診断用医薬品は日本メジフィジックス株式会社で事業を展開しています。
大日本住友製薬株式会社では、「ポスト・ラツーダ」(米国での「ラツーダ(非定型抗精神病薬)」の独占販売期間終了後)を見据えつつ、変革の時に対応するため、「成長エンジンの確立」と「柔軟で効率的な組織基盤づくり」により事業基盤の再構築に取り組んでおります。日本メジフィジックス株式会社は、核医学という極めて専門性の高い医療分野における日本のリーディングカンパニーとして、新たな診断薬の開発に取り組んでおります。
当部門の中期的な戦略としては、積極的な研究開発およびパイプラインの拡充により、主力製品の独占販売期間終了後の業績影響を軽減し早期回復を図るとともに、再生・細胞医薬品やセラノティクス等、次世代を担う事業を推進してまいります。またデジタルヘルスケアなど、医薬品以外の新たな事業分野の探索にも注力します。
本中期経営計画では、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、自社研究に加え、技術導入、アカデミアやスタートアップ企業との共同研究など、あらゆる方法で最先端の技術を取り入れ、研究開発活動に取り組みます。
当連結会計年度における主な進捗として、大日本住友製薬株式会社は、2019年12月に欧州に本社を置くロイバント サイエンシズ リミテッド(以下「ロイバント社」という。)と戦略的提携に関する手続きを完了し、対価として約30億米ドルを同社に支払いました。これにより、当社グループの医薬品部門の業績を牽引しているラツーダ(非定型抗精神病薬)の独占販売期間終了後の成長エンジンとなるブロックバスター候補を含む、複数の新薬候補を獲得したことに加えて、ロイバント社が開発した革新的なヘルスケアテクノロジープラットフォームおよびこれに携わる有能な人材を獲得したことで、今後、研究開発の大幅な生産性向上、デジタル革新のさらなる加速を図ります。当面は、販売関連費用や研究開発費の負担が大きくなりますが、2024年~2025年頃には、今回獲得した新薬の販売が伸長することで、飛躍的な成長を見込みます。また、新世代の統合失調症治療薬として開発中のSEP-363856は米国で第三相試験を開始したほか、国内では、糖尿病治療薬であるイメグリミンの第三相試験が完了する等、上市に向けた開発を着実に進めました。
2021年度経営目標
本中期経営計画の最終年度である2021年度の経営目標は、為替レート110円/ドル、ナフサ価格51,000円/klなど、計画時点の事業環境の見通しを前提に、売上収益2兆9,500億円、コア営業利益2,800億円、親会社の所有者に帰属する当期利益1,500億円を掲げております。
事業環境および今後の業績の見通しについて
当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦の長期化に伴う世界経済の減速や国内外における天候不順など逆風が多く、中期経営計画初年度である2019年度の業績は、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度比74%減益の309億円となる等、大変厳しいものとなりました。
また、今後の事業環境については、新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大が世界経済に深刻な悪影響を与えている中、石油化学部門での製品市況の低迷に加え、医薬品部門での戦略的投資に伴い先行して発生する研究開発費等の増加により、2020年度も業績の急な回復は見込めないものと考えております。
このような厳しい事業環境が続く中、中期経営計画最終年度となる2021年度については、当初掲げた経営目標の達成は容易ではありませんが、諸課題に全社一丸となって取り組むことで、業績水準および財務体質の一年でも早い回復に努めてまいります。
そして、中長期的には、ROE10%以上、ROI7%以上、D/Eレシオ0.7倍程度などの財務指標を安定的に達成することを目指します。当社の財務KPIであるROE10%は、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するという考えのもと、社会課題の解決に重要な貢献ができると判断した事業を一定の収益性が見込める限り実施していくという方針に基づき設定したものであります。またROIについては、WACC(加重平均資本コスト)を上回るレベルを求め、7%をハードルとしております。D/Eレシオについては、フレキシブルな資金調達が可能な現在の当社格付を維持することを考慮し、0.7倍程度を目安としております。
