有価証券報告書-第162期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 15:31
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【項目】
142項目

有報資料

(経営方針、経営環境及び対処すべき課題)
当社は、企業理念“The Denka Value”を実現すべく、5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」を2018年度より強力に推進しております。3年目である2020年度の具体的な取り組みについて、その一例をご紹介いたします。
まず「環境・エネルギー」分野では、シンガポールおよび大牟田工場において、機能性セラミックス事業を強化しております。シンガポールにおいては、第5世代移動通信システムである5Gや次世代自動車であるxEV向けの放熱材料である「球状アルミナ」の生産能力増強工事を進めております。当社は長年培った独自の溶融技術を活かし、「球状アルミナ」においても他社の追随を許さない地位を確立しており、2022年3月の完全完工を目指しております。また、大牟田工場においては、2022年下期を目標にxEV向けの放熱材料である窒化珪素粉の能力を現行比から約3割増強いたします。窒化珪素粉は、熱的・機械的特性に優れた代表的なエンジニアリングセラミックの一つであり、当社は生産能力、市場シェアともにトップクラスの位置付けにあります。当社は今後とも、5GやxEV向けを中心とした新規素材の開発を推進し、「環境・エネルギー」分野のさらなる強化に努めてまいります。
次に「ヘルスケア」分野では、全世界で猛威を振るう新型コロナウイルスの抗原迅速診断キットの国内製造販売承認を昨年8月に取得し、販売を開始いたしました。また、本年1月には、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを一つのデバイスで同時に診断可能な抗原迅速診断キットを開発し、国内薬事承認を申請いたしました。また、当社が商用製剤生産技術の開発を進めてきたがん治療用ウイルス「G47Δ(デルタ)」について、2020年12月に、第一三共株式会社により、再生医療等製品製造販売承認申請がおこなわれました。厚生労働省に製造販売が承認された後は、当社が製造を担っていく予定です。「G47Δ」は全く新しいがん治療薬として期待されており、ウイルスそのものを製剤化するため、長年に渡りワクチンとウイルス検査試薬の開発・製造をおこなってきた当社が、製造技術開発を進めてきたものです。当社は、インフルエンザワクチンや各種ウイルス抗原迅速診断キットなどの感染症領域に加え、新たにがん領域においても様々な新規事業に取り組んでまいります。
昨年度は、新型コロナウイルスのパンデミックという大きな災害を世界全体が経験いたしましたが、当社は上述の通り、経営計画「Denka Value-Up」における取り組みを着実に推進した結果、世界各地で確実に事業を継続し、社会に必要とされる価値を提供し続けることができました。しかしながらその一方で、当社の昨年度の業績は「Denka Value-Up」の計画値である営業利益水準には達することができませんでした。今般、この「Denka Value-Up」の残り2年間の見直しを発表し、2022年度の営業利益の目標額を当初計画範囲内である500億円に設定するとともに、「3つのValue-Up」に取り組むことといたしました。
1つ目は、「事業Value-Up」です。5GやxEV等のメガトレンドに乗った電子先端材料の利益拡大、ヘルスケア分野の着実な伸長、基盤事業のスペシャリティー化の加速等により、数値目標の達成に注力してまいります。
2つ目は、「環境Value-Up」です。当社は、環境負荷低減を経営の根幹とし、2030年に温室効果ガス排出量50%削減(2013年比)、2050年のカーボンニュートラル達成を目標として掲げ、脱炭素の取り組みを加速してまいります。
3つ目は、「人財Value-Up」です。コロナ禍は、柔軟な働き方による業務の生産性向上が、企業の生き残りには不可欠であることを浮き彫りにしました。ポストコロナ時代にも通用する仕事のあり方を追求し、社員一人ひとりが働きがいや仕事を通じた成長を実感できる企業を目指してまいります。
そして、コロナ禍において何よりも痛感させられたことは「これからの社会においては本質的な価値をもたらすものしか生き残れない」ということです。このことは、まさに経営計画「Denka Value-Up」の中核であるスペシャリティー化の推進であり、「誰よりも上手くできる仕事への集中」です。今後も、SDGsを羅針盤とした様々な社会課題に挑戦し、「社会にとってかけがえのない存在」となるため、「3つのValue-Up」を強力に推進してまいります。
◇The Denka Value(企業理念)
The Denka Value(企業理念)は、最上位としての「Denkaの使命(Denka Mission)」と、グループ社員一人ひ
とりが行動する上での規範となる「Denkaの行動指針(Denka Principles)」から構成されます。
The Denka Valueは経営企画を含むすべての企業活動の上位概念であり、当社は、このThe Denka Valueを実践することで、社会からの期待と信頼に応えることを目指しております。
・Denkaの使命(Denka Mission)
化学の未知なる可能性に挑戦し、新たな価値を創造(つくる)ことで、社会発展に
貢献する企業となる。

*コーポレートスローガン:「できるをつくる。」「Possibility of Chemistry.」
・Denkaの行動指針(Denka Principles)
わたしたちは、一、「誠意」と「チャレンジ精神」で、果敢に難題に挑みます
一、「未来」に向け、今何をすべきかを考え、行動します
一、「創造」溢れるモノづくりを通して、お客様へ新たな価値と感動を届けます
一、「環境」に配慮し、「安全」優先の明るい職場をつくります
一、「信頼」される企業としての誇りを持ち、より良い社会作りに貢献します


(ご参考)
経営計画「Denka Value-Up」 ~Specialty-Fusion Companyを目指して~
2017年11月、デンカは2018年度から2022年度までの5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」を策定いたしました。
前経営計画「Denka100」では、「生産体制の最適化」「徹底したコストの総点検」「成長ドライバーへの集中と次世代製品開発」の3つの成長戦略を立て、重点分野である「健康、環境・エネルギー、インフラ」を中心に、計画前と比べて着実に成長への種まきとして積極的な投資を行い、個々の事業の収益力向上の基盤固めを進めてきました。
新経営計画「Denka Value-Up」では、企業の成長持続に必要不可欠な「安全最優先」「環境への配慮」「人財の育成・活用」「社会貢献」を基本精神に掲げ、グローバルで飛躍的な成長を遂げるための新たな成長戦略により、当社が「スペシャリティーの融合体“Specialty-Fusion Company”」となり、持続的且つ健全な成長を目指します。
2020年度は「Denka Value-Up」の中間レビューを行い、今後2年間で注力する取り組みと、2022年度の数値目標を決定いたしました。
これまで「Denka Value-Up」は、ヘルスケア、環境・エネルギーを中心に成長戦略の成果が着実に表れ、成長ビジョンとして目指している「スペシャリティーの融合体」への道のりを順調に歩んでおります。これは当社が進めてきた「Denka Value-Up」の方向性が正しかったことの証明でもあります。
今回、「Denka Value-Up」で掲げた成長戦略に基づいた今後2年間の取り組みに加え、社会における存在意義を明確にしていくことで、2022年度数値目標の達成を目指してまいります。
また「Denka Value-Up」の最後の2年間は、更なる高みを目指すこととなる次期経営計画のありたい姿へ飛躍するための大切な準備期間と位置付け、邁進してまいります。
<数値目標>・営業利益・利益率・スペシャリティー化率:

<スペシャリティーの定義>・ESGの取り組みに整合し、独自性と高付加価値を兼ね備え、外部環境に左右されにくくトップクラスのシェアを有する事業、及び近い将来その可能性を有する事業。
・なおヘルスケア、環境・エネルギー、高付加価値インフラの重点3分野に加え、18年度より機能樹脂を中心とした基板事業のスペシャリティー化を図っている。
<利益配分>・投資:戦略投資を積極的に推進
5カ年計画:2,000億円(戦略投資750億円・通常投資1,250億円)
5カ年見込:2,100億円(戦略投資850億円・通常投資1,250億円)
・株主還元:2021年度、2022年度も当初計画通り「総還元性向50%を基準とする」を継続
※総還元性向=(配当+自己株式取得)÷連結当期純利益
<当社のありたい姿実現に向けた今後2年間の取り組み>デンカでなければ出来ない方法で、SDGs を羅針盤とした様々な社会課題の解決に挑戦し、社員とステークホルダーが誇りに思い、「社会にとってかけがえのない存在」となる、その第一歩として、3つの「Value-Up」の取り組みに注力する。
Ⅰ.事業Value-Up
「誰よりも上手にできる仕事への集中」によるポートフォリオ変革と、更なるスペシャリティー化の実現
(1) ポートフォリオ変革
① スペシャリティー事業の成長加速
環境・エネルギー・xEV、5G、半導体、再生可能エネルギー関連市場への拡販
・時代を先取りした新しい製品群の開発に注力
ヘルスケア・新興・再興感染症対策への積極的な貢献
・遺伝子検出による診断、診療分野のデジタル化対応
高付加価値インフラ・海外展開・新規製品開発・不採算製品の抜本的改革加速
・引き続き重点分野として位置付ける為の新たな成長軌道へ

② 基盤事業のスペシャリティー化・コモディティー事業の位置付け再定義
再構築が必要な事業については、残り2年間で確実にポートフォリオ変革の目途を付ける。
(2)革新的プロセス
生産プロセス改革・新規プロセス開発、目視検査の自動化、ロボット導入
・ビッグデータ解析による操業安定化(異常予知検知等)
研究開発プロセス改革・DX 全社展開の鍵となる研究開発支援システムの構築
・マテリアルインフォマティクスの本格的活用
業務プロセス改革・
働き方改革
・新しい働き方実現への会議オンライン化、書類・決裁のデジタル化
・生産・研究現場の創造的業務への転換を目指した3K職場の撤廃

Ⅱ.環境Value-Up
経営の根幹に環境経営を位置付け、温室効果ガス排出量2030年度に50%削減(2013年度比)、2050年度カーボンニュートラル実現を追求
<取り組み>① ポートフォリオ変革
② クリーンエネルギー利用拡大や高効率ガスタービン発電の導入
③ 環境貢献製品や環境負荷低減技術
④ CCUS(二酸化炭素の回収・貯留・有効利用技術)の開発と実装展開
⑤ ケミカルリサイクル技術
⑥ 製品ライフサイクル(LCA)全体の温室効果ガス排出量削減
Ⅲ.人財Value-Up
人財教育、ダイバーシティ、健康などの人財戦略を最重要と位置付け、社員が働きがいや仕事を通じた成長を実感出来る企業に
<取り組み>① 「スペシャリティー人財の確保」、「ダイバーシティの推進」「働き方改革」のKPI 設定
② 評価・採用・育成・労働環境等の制度改革
③ 将来の経営幹部候補早期育成への人財教育と大胆な組織・人財の新陳代謝
④ 健全な成長に向け、社員が存分に能力を発揮できる環境づくり等、健康経営の推進
※文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(株式会社の支配に関する基本方針)
当社は、当社の企業理念である“The Denka Value”のもと、収益力や業容の拡大による事業基盤の強化を図る一方、社会の信頼と共感を得られる企業であり続けようとする姿勢をさらに徹底することで、中長期的な観点から当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるよう努めております。
また、この基本方針のもと、経営計画「Denka Value-Up」(2018年度から5年間)を策定し、持続的かつ健全な成長の実現に取り組んでおります。
当社は、いわゆる買収防衛策は定めておりませんが、当社の企業価値を毀損するおそれのある大量買付けや、これに応じるか否かを判断するために株主の皆様に十分な情報と時間が提供されない大量買付けなどについては、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損ねることのないよう、法令等、金融商品取引所の規則などが認める範囲内において適切に対応してまいります。

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