有価証券報告書-第21期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 15:09
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130項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの経営理念は、次のとおりであります。
「創業者精神を持って、空気、水、そして地球にかかわる事業の創造と発展に、英知を結集する」
当社グループの事業の原点は、社名に冠した「空気」と「水」であり、このかけがえのない地球の資源を活かして事業を創出し、社会や人々の暮らしに貢献していくことが当社グループの使命であります。当社グループは、この経営理念の下、目まぐるしく変化を続ける経営環境の中でグループの総合力を発揮し、社会の発展に役立つ多種多様な製品・サービスを提供する企業であり続けることを目指しております。
(2) 中期経営計画
2019年度を初年度とする3カ年中期経営計画「NEXT-2020 Final」では、これまでの3次にわたる中期経営計画における取組と成果を踏まえながら、「革新=イノベーションの実行」を基本コンセプトとして、6つの革新とそれに連動する経営施策に取り組んでおります。

(3) 経営環境、目標とする経営指標及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナ感染拡大の影響で不透明な状況が継続しておりますが、ワクチンの普及や感染対策の進展等により、今年度後半には国内外ともに成長基調に転じることが見込まれます。他方、コロナ禍で起きた様々な変化は、従来の価値観やビジネスの仕組みに大きな変化をもたらし、勤務形態のみならず営業活動やライフスタイルに至るまで常識が激変し、「新常態(ニューノーマル)」として定着しようとしています。
このような事業環境のもと、当社グループは中期経営計画「NEXT-2020 Final」の最終年度をスタートさせました。計画に定める諸種の施策を着実に実行するとともに、これからの10年を見据え、事業・技術・人材の多様性からなるコングロマリット経営を武器に社会課題と向き合い、「技術」「海外」「デジタル」をキーワードとして、新たな変革とさらなる企業成長を目指してまいります。
国内事業における収益力の強化
国内収益力の基盤となるのは地域事業であります。昨年の10月1日に従来の地域事業会社8社を3社に統合し、経営資源を集約するとともに組織体制を強化し、新たに地域と共生・共創する独立事業会社として発足させました。新生3社は、当社グループが展開する事業の多様性が持つ力を活かしながら、既存事業の深耕と事業間シナジーの最大化に注力することに加え、SDGsの取り組みを具現化し、地域社会の課題を解決に導く新事業の創出に取り組み、地域から必要とされ、選ばれる会社を目指します。
また、これまでに行った多くのM&Aの効果を確実に発揮させるとともに、当社グループの100を超える事業を、技術やマーケットの視点から整理・統合し、最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。また、エレクトロニクス関連事業の伸長や、ガスプロダクツセンターによる産業ガス製造部門における生産・物流の合理化の推進等により、全社の収益性を高めてまいります。
さらに、グループ全体のシナジーを創出しやすい環境に整えるため、全国にあるオフィスの集約や物流倉庫の効率的な活用、また新たに整備したコミュニケーションインフラの活用とペーパーレス化を推進してまいります。
また、グループ横断でデジタル・イノベーション(DI)を強力に推進し、これまでと全く違った視点・発想でビジネスを考え直します。昨年6月には業務革新本部を発足させており、引き続き、「データ経営の実現」「働き方の革新」「営業革新」の3つのテーマを強力に推し進めてまいります。これら業務革新の狙いは、生産性向上による収益力の強化、つまり従業員一人ひとりが常に現状を変えていくことにチャレンジする風土への意識改革を図ることにあります。そして業務革新によって発生する時間や経営資源を「未来への投資、未来のAWグループの仕事」にシフトしてまいります。
海外事業の拡大
次に、当社グループでは、海外事業を、引き続きグループの成長を牽引する力とします。
インドにおける産業ガス事業は、同国の粗鋼生産の拡大に伴う産業ガス需要の増大に対応し、インド産業ガス市場において確固たるポジションを確立します。また、北米におけるエンジニアリング事業を引き続き強化するとともに、これを足掛かりとして、産業ガス供給事業の展開を見据え、仲間づくりを推進します。高出力UPS事業は、前連結会計年度までにグローバルに展開できる事業体制を構築しました。引き続きデータセンターや半導体工場など成長分野をターゲットに世界展開を加速させてまいります。
技術による新事業の創造
技術による新しい事業の創造こそが企業発展の原動力であり、製品・サービスの高付加価値化や顧客ニーズに対応するためのソリューションを創出するには技術開発力の強化が欠かせません。
当社グループでは、技術戦略センターをグループ全体における技術戦略のプラットフォームとして機能させ、グループにおける研究開発資源を最大限に有効活用してまいります。グループ各社に分散していた研究開発部門に横串を刺して横断的な管理と連携を図るとともに、大学や他の研究機関とのアライアンスを推進して技術開発を加速させます。また、開発テーマのアセスメントを行ったうえで、今後積極的な研究開発投資を行ってまいります。
そして、社会的価値の観点から、地域に密着し、循環型社会の実現を目指す「環境システム」事業、行政と連携し、高齢化社会における健康維持などの社会課題の解決を目指す「ウェルネス事業」の二つを新たな事業領域と定め、部門や会社の枠組みを超えた連携による各種プロジェクトを立ち上げて事業を支える要素技術を培い、新事業の創出につなげてまいります。
人を活かした経営
M&Aで事業成長を果たしてきた当社グループには、多様な人材と様々な企業文化が融合した企業風土が形成されており、この「多様性」が最大の経営リソースであります。これを十分に活かし切るため、「グループ人材バンク」の制度を設けており、次世代経営者育成のプラットフォームとして、客観的なデータに基づくグループ全体での人材活用や人材育成に役立ててまいります。また、若手管理職の早期登用や、ダイバーシティによる組織力の向上、女性管理職やグローバル人材の一層の増加に向けて取り組みを進めてまいります。
また、この4月には、技術戦略センターと同じ狙いを持って、エンジニアリングセンターを設置いたしました。グループ内に分散している技術・ノウハウ・人材を経営資源として一元管理を行い、プラットフォームとしての機能を果たし、エンジニアリング人材の育成を図り、総合エンジニアリング会社への脱皮とグローバルでも戦えるコスト競争力の実現を目指してまいります。
サステナブル社会の実現
最後に、新型コロナ感染拡大を契機とした急速な社会変化や地球温暖化対策に向けた脱炭素ニーズが高まっている状況を踏まえ、全社を挙げてSDGsの達成に向けて取り組んでまいります。多様な事業領域を有するコングロマリットの強みを活かし、幅広く事業活動を通じた社会課題解決への貢献を目指すとともに、とりわけ、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、企業活動における環境負荷低減に取り組むとともに、産業ガス事業で培った水素やCO2回収の技術やインフラを活用し、様々な産業の脱炭素化を中心に貢献してまいります。
なお、各セグメントの対処すべき課題は、次のとおりであります。
産業ガス関連事業においては、国内における物流コストの上昇や大型台風をはじめとした大規模自然災害の発生が増加する中での安定供給体制の構築が課題となっております。当社グループでは、これらの課題に対して分散型の製造ネットワーク構築と輸送距離の短縮化を実現するため、高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」の全国配備を進めるとともに、ガス充填所の新設や更新など製造・供給インフラの拡充を図っております。また、足元の事業環境としては、次世代通信規格(5G)やIoT、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の「デジタル・シフト」、ならびに政府によるサプライチェーン強靭化に向けた製造業の国内回帰促進策等が追い風となり、国内の半導体や電子材料などエレクトロニクス関連事業向けの産業ガス及び関連機器の需要が増加し、市況は徐々に好転しております。また海外事業について、インドでは2020年度前半はコロナウイルスによる影響を受けたものの、ガス需要・粗鋼生産量ともに市場は順調に回復しております。
ケミカル関連事業においては、2021年10月に機能化学品を柱とする当社の電材開発事業部と当社グループの川崎化成工業㈱ならびに大東化学㈱の統合を予定しており、また、基礎化学品、食品化学、医農薬中間体を含む化学品事業全般において、超スマート社会に向けた需要の変化を先取りすべく、開発体制の強化と生産・物流体制の統合を図り、さらなる成長を目指しております。
医療関連事業においては、急性期病院の減少や医療費削減の圧力等により、当社の主力事業である医療用ガスや医療機器事業においては厳しい環境が続いております。特に当連結会計年度は、新型コロナウイルスが国の医療体制に多大な影響を及ぼし、各医療機関における役割分担が上手く機能していないなど、地域医療の様々な課題が浮き彫りとなりました。今後も国の医療機関に対する感染対策支援が継続することから、感染防止対策商材のニーズは引き続き増加すると見ております。また、衛生材料や口腔ケア製品においては、超高齢化社会の進展に伴って更なる市場拡大が見込まれることから、これら商材の充実を図り、「くらしの医療分野」を成長させてまいります。さらに、新規事業として、歯髄幹細胞を活用した歯髄再生事業についても、事業化に向けて引き続き取り組んでまいります。
エネルギー関連事業においては、国内のLPガス事業はLPG単位消費量の低下と配送の人材不足への対応を課題としており、IoTを活用した自動検針システム等を導入することで、より顧客が安心できるサービスを提供していきます。また、人口増加・経済成長の著しいASEANでは今後も市場の拡大が見込まれており、ベトナムにおいては、日本式の安全性に優れた供給技術を現地に適した方法で普及させることで、LPガス事故の減少と安全な生活の実現に貢献していきます。
農業・食品関連事業においては、新型コロナの影響で外食や観光産業の停滞が長期化することによって、業務用冷凍・加工食品の需要が伸び悩むことが予想される一方、宅配、オンライン販売のように外食から中食への需要の転換が急速に進んでおります。こうした需要の変化とそれに伴う顧客の多様なニーズに応えるため、事業領域の多様性と中小規模の事業ユニットが持つ即応力を活かして、事業の拡大を進めてまいります。また、相次ぐ天候不順や農業の担い手不足を背景に、原料野菜の安定調達力を高めることが重要な課題となっており、産地の分散化や契約栽培農家との関係強化を進めております。
物流関連事業においては、引き続き、業界全般におけるドライバー不足と人件費上昇という課題がある中、今後も市場成長が見込める低温物流領域を中心に、自社物流拠点ネットワークの拡充、倉庫内でのICTやAI導入による作業の省力化と合理化を図り、荷物の小ロット化などの多種多様なニーズに応えられる体制づくりを推進しております。
海水関連事業においては、人口減少や減塩志向を背景に国内の塩需要が減少する中、技術開発力の強化と海水事業のさらなる深耕、環境分野での社会貢献等を喫緊の課題として取り組んでおり、海水淡水化技術の開発や老朽化した上下水道管の更新などを通じて、人の生活に不可欠な水の安全・衛生を守るための事業を引き続き展開していきます。

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