有価証券報告書-第16期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 13:24
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【項目】
135項目

対処すべき課題

今後の当社グループを取り巻く経営環境といたしましては、産業ガスの主要需要先である鉄鋼業界では、中国における過剰生産を背景とした国内在庫の過剰感の解消にもう暫く時間を要するものと見込まれます。また、新興国経済の減速や足元の円高進行は、輸出関連産業を中心とする国内製造業の先行きに影を落としています。
一方、景気回復の牽引役となる企業の設備投資は、足元において国内外の経済成長の鈍化に対する警戒感が残るものの、過去最高水準の企業収益や東京オリンピック関連投資の活発化などを背景に、設備更新需要が下支えする形で、緩やかながら持ち直しの動きが継続するものと見込まれます。
このような経営環境の下、当社グループは、平成28年度から平成30年度までの3カ年を実行期間とする新中期経営計画「NEXT-2020 Ver.3」をスタートさせました。この新中期経営計画は、6年前の平成22年度に掲げた長期成長ビジョン「2020年度1兆円企業ビジョン」の第3ステップとなるものです。
新中期経営計画では、これまでの中期経営計画における成果と足跡を踏まえながら、「1兆円企業ビジョン実現ヘの体質づくり」と「ポスト2020に向けての礎づくり」という2つのミッションを定めました。そして、「構造改革と持続成長への挑戦」をテーマに、①事業構造改革の実践による企業体質の強化、②極限のソリューションサービス追求とイノベーションの実現、③「ポスト2020」に向けての課題への挑戦、という3つの基本方針を定め、これらの基本方針に基づく諸種の施策を着実に実行することによって、最終年度の平成30年度において、売上高8,500億円、営業利益510億円、経常利益510億円、親会社株主に帰属する当期純利益290億円の達成を目指すものであります。また、主要な経営指標といたしましては、経常利益率6%以上、ROE10%以上、自己資本比率40%、ネットD/Eレシオ0.75倍以下の達成を目指します。
新中期経営計画に基づく今後の主要な取り組みといたしましては、産業ガス関連事業において、生産および充填設備の増強投資と各地域の有力パートナーとの連携強化により地域事業の更なる深耕を図り、国内の収益基盤をより強固なものとしてまいります。また、海外においてコスト競争力のあるエンジニアリング体制を構築するとともに、東南アジア・北米をターゲットに新たなエンジニアリング事業の展開を図ってまいります。また、産業ガス関連事業とともに、当社グループの収益基盤を支える事業として位置付けているエネルギー関連事業およびケミカル関連事業においては、引き続き収益力の強化に向けた構造改革を進めるとともに、環境の変化に強い事業体質の構築に努めてまいります。
医療関連事業や農業・食品関連事業など、当社グループの今後の持続的成長を支える「生活系事業分野」の更なる強化と拡大にも注力いたします。医療関連事業においては、グループの総合力を活用し、高度医療から生活医療までの全ての医療分野をカバーできる、他社にはない医療ビジネスモデルを構築してまいります。また、農業・食品関連事業では、引き続き積極的なM&Aを実施し、ビジネス領域の拡大と新たなシナジーの創出を図ってまいります
さらに、当社グループの次世代の成長を担う事業といたしましては、木質バイオマスや石炭火力など各地域の特性に応じた発電事業の取り組みを加速するとともに、海外事業の更なる拡大や物流事業の構造改革を推進してまいります。
また、当社グループは、企業の社会的責任を自覚し、安全管理と安定操業の強化に向けた体制整備を図るとともに、コンプライアンスやリスク管理に関するグループ全体の管理体制について強化を図ってまいります。