有価証券報告書-第70期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、『世に価値あるものを供給し続けるには、価値ある人生を送るものの手によらねばならぬ。価値ある人生を送るためには、その大半を過ごす職場を価値あるものに創り上げていかねばなるまい。』という経営理念のもと、『稀な元素とともに、「100年企業」へ』をビジョンに掲げ、永続的に成長を続ける企業グループを目指します。
「価値あるもの」とは、社会課題の解決に貢献する独創的で付加価値の高い製品のことです。次に「価値ある人生」とは、自身の夢や理想の実現に向かって成長する公私ともに充実した生き方のことです。そして「価値ある職場」とは、ジルコニウムのトップメーカーの一員であることに誇りを持ち、「キゲンソらしさ」を体現する仲間がいる職場のことです。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2023年3月期(第67期)から2032年3月期(第76期)までの10年間を対象とする中期経営計画「DK-One Next」を推進しており、2026年3月期(第70期)は前期4カ年(第67期〜第70期)の最終年度にあたります。 前期4カ年においては、主力の自動車排ガス浄化触媒材料において成長の原資を確保しつつ、次世代の事業の柱を早期に育成するため、半導体・エレクトロニクス、エネルギー及びヘルスケア等の戦略分野への経営資源の重点配分を進めてまいりました。あわせて、「100年企業の基盤の確立」を目指し、「新規事業の創出」「収益構造の改革」「革新的なものづくりの実現」「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」の6つの柱に基づく体質強化を並行して推進してまいりました。 前期4カ年における主な成果としては、第一に、研究開発から事業化までの推進体制を整備し、用途起点での開発及び顧客提案を進めることで、戦略分野における事業展開に向けた開発・営業基盤を構築しました。一方で、これらの取組みを売上の伸長に確実に結び付けることは、引き続き重要な課題として認識しております。第二に、成長投資の前提となる「安定供給」自体を競争力と位置付け、主原料サプライチェーンの強化に取り組んだ結果、2025年7月にベトナム子会社工場が本格稼働し、オキシ塩化ジルコニウム(ZOC)の供給体制の多様化及び特定地域への依存リスクの低減を通じて、供給安定性の向上とコスト競争力の強化が実行段階に入りました。 一方、前期4カ年における課題としては、戦略分野における売上高は伸長したものの、主力の自動車排ガス浄化触媒材料への依存度は依然として高く、事業ポートフォリオの転換という観点では、売上構成比の大きな変化には至りませんでした。この背景には、電動化の進展局面における需要の変動や顧客の在庫調整等により、一部用途において当初想定していた需要の立上がりが後ろ倒しとなったことがあります。また、ベトナム事業については、立上げの遅れや稼働移行期における費用増等により、収益面に影響を及ぼした局面もありました。 これらの成果と課題を踏まえ、2027年3月期(第71期)から2029年3月期(第73期)までの中期においては、戦略分野における売上の伸長を最重要課題として位置付け、重点領域における施策の実行と案件の積み上げを通じて、事業ポートフォリオの転換を着実に進めてまいります。あわせて、前期に整備した開発・事業化体制を売上に確実に結び付けるとともに、2025年7月に本格稼働したベトナム子会社工場の稼働拡大及び安定操業並びに原価低減のさらなる推進を通じて、ベトナム事業の伸長を収益性の改善に接続し、中期における成長加速の土台としてまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「DK-One Next」において、持続的な企業価値の向上を実現することを経営の基本方針としております。2027年3月期(第71期)から2029年3月期(第73期)までの中期においては、戦略分野における売上の伸長を最重要課題として位置付け、事業ポートフォリオの転換を着実に進めることで収益基盤の強化を図ってまいります。その先の2030年3月期(第74期)から2032年3月期(第76期)までの後期においては、売上成長の果実を収益性・資本効率の向上に結び付け、ROICスプレッド(ROIC-WACC)の最大化を通じた資本コストを上回る収益の創出を目指してまいります。 目標とする主要な経営指標は以下のとおりであります。
経営目標(連結)
(注)第73期の営業利益目標は、ベトナム事業における原価低減の進展を踏まえ、従来目標から引き上げております。ただし、当社グループが目指す中期的な企業価値向上は、原価低減のみによって実現するものではなく、戦略分野における売上伸長を伴う事業ポートフォリオ転換が不可欠であると認識しております。 第70期においては、ROIC及びROEが2025年設定の第73期目標水準に到達しましたが、売上高は第73期目標に達しておらず、戦略分野の伸長にも課題が残りました。このため、第73期及び第76期の売上高目標は変更せず、売上成長と収益性改善を一体的に進めてまいります。株主還元については、DOE1.8%を下限とし、業績の改善に応じて配当性向30%を目標とすることで、成長投資と安定的な株主還元の両立を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループは、中期経営計画の前期4カ年(第67期〜第70期)において戦略分野への経営資源の重点配分と主原料サプライチェーンの複線化を進め、2025年7月にはベトナム子会社工場が本格稼働するなど、次の成長に向けた基盤整備を進めてまいりました。一方で、事業ポートフォリオの転換はなお途上にあり、2027年3月期(第71期)からの中期においては、戦略分野の売上伸長による収益構造の転換を最重要課題として位置付けるとともに、ベトナム事業の安定操業と収益性の改善を通じて成長加速の土台を固めてまいります。この認識のもと、次の課題に優先的に取り組んでまいります。
①新規事業の創出・戦略分野の開発活動の強化
当社グループは、自動車排ガス浄化触媒向け製品への依存度を低減し、収益構造の多様化を図るため、半導体・エレクトロニクス、エネルギー及びヘルスケアの各戦略分野において、用途開発及び顧客基盤の拡大を継続して推進してまいります。中期経営計画の前期4カ年を通じて、用途起点での開発・顧客提案体制を整備し、提案型ビジネスに向けた取り組みを進めてまいりました。一方で、一部用途では市場環境や顧客の投資判断の変化により需要の立上がりが想定を下回ったことに加え、重点市場の選定、顧客開拓及び量産化までの事業化プロセスに改善余地があると認識しております。今後は、対象市場及び重点顧客の見直しに加え、開発テーマごとの事業化可能性、量産化時期及び収益性をより厳格に管理し、戦略分野の売上構成比の引上げに取り組んでまいります。また、レアアースフリー材料の開発については技術基盤の強化という観点から取り組みを進め、素材としての注目度は上がっており、検討いただいている顧客数は増加しております。一方で現時点において具体的な販売計画は未定であり、今後の事業展開に向けた選択肢の一つとして位置付けております。
②主原料調達のサプライチェーンの強化
当社グループは、主要原料の安定調達を事業継続の根幹と位置付け、サプライチェーンの強化を継続的に推進してまいります。オキシ塩化ジルコニウム(ZOC)については、2025年7月にベトナム子会社工場が本格稼働したことにより、供給体制の多様化が実現し、特定地域への依存リスクの低減と原価低減の推進が実行段階に入りました。一方、イットリウム及び中重希土類については中国による輸出規制の影響が継続しており、調達先の複線化、備蓄水準の見直し及び政府関係機関との連携を通じた安定調達体制の構築に取り組んでまいります。あわせて、原料調達における制約の影響を低減するため、使用原料の多様化や代替技術の検討を中長期的な課題として推進してまいります。また、事業継続計画(BCP)の見直し及び設備保全の推進を通じて、不測の事態における事業継続体制の維持に取り組んでまいります。
③キャッシュ創出力の強化と収益性の改善
当社グループは、資産効率の改善及び原価低減活動を継続して推進しております。棚卸資産については増加しており、その圧縮は引き続き重要な課題であります。第70期においては、売上高の増加及びベトナム事業における変動費削減の進捗を背景として、ROIC及びROEは第73期目標水準に達しております。あわせて、ベトナム事業に関連する借入残高の圧縮による金利負担の軽減及び為替差損益の管理を重要な財務課題として推進してまいります。今後の中期においては、戦略分野の売上伸長により、ROIC及びROEの持続的な改善を図ってまいります。
④温室効果ガスの排出削減への対応
当社グループは、温室効果ガスの排出削減目標を設定し、削減ロードマップに基づく取り組みを継続的に推進するとともに、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しております。省エネルギー設備の導入及び運転条件の最適化によるScope1排出量の削減を継続するとともに、ベトナム子会社工場においてはバイオマス(もみ殻)由来の熱源を生産に活用しております。Scope2については各生産拠点における再生可能エネルギーの導入拡大を推進し、Scope3については第70期においてサプライチェーン全体の排出量算定に着手しており、次期以降の削減ロードマップの策定・開示に向けた取り組みを進めております。あわせて、炭素価格の導入・強化、排出規制の強化及び顧客の脱炭素化要請といった移行リスクへの対応を重要課題として認識し、環境規制の動向を継続的に注視しながら必要な対応を機動的に講じてまいります。
⑤多様な人材が活躍できる基盤づくり
当社グループは、事業ポートフォリオの転換及びベトナム事業の安定稼働の実現に向けて、経営課題の解決に直結する人的資本戦略の再構築に取り組んでおります。多様性については、性別や国籍にとどまらず、知識・経験・視座を含む広い定義のもと、環境変化への対応力と成長機会を捉える経営能力の強化として位置付けております。この認識のもと、人事制度全般の見直しを進めるとともに、人材開発投資を拡充し、全従業員の能力開発に努めてまいります。また、ベトナム子会社を含む海外拠点における現地人材の育成にも継続して取り組んでまいります。
⑥成長を続けるための組織力強化と人材育成
当社グループは、前期4カ年を通じて新任管理職育成プログラムをはじめとする教育体制を整備し、管理職の実践力の向上に取り組んでまいりました。今後の中期においては、経営課題の解決を担うマネジメント人材の育成を強化するとともに、高度な専門性を有する人材の確保・育成を推進してまいります。また、開発・製造・営業が一体となって目標をやり切る組織力の強化に向け、戦略の優先順位の明確化と定期的な進捗レビューによる実行サイクルの確立及び組織横断的な連携体制の強化に取り組んでまいります。
(1)経営方針
当社グループは、『世に価値あるものを供給し続けるには、価値ある人生を送るものの手によらねばならぬ。価値ある人生を送るためには、その大半を過ごす職場を価値あるものに創り上げていかねばなるまい。』という経営理念のもと、『稀な元素とともに、「100年企業」へ』をビジョンに掲げ、永続的に成長を続ける企業グループを目指します。
「価値あるもの」とは、社会課題の解決に貢献する独創的で付加価値の高い製品のことです。次に「価値ある人生」とは、自身の夢や理想の実現に向かって成長する公私ともに充実した生き方のことです。そして「価値ある職場」とは、ジルコニウムのトップメーカーの一員であることに誇りを持ち、「キゲンソらしさ」を体現する仲間がいる職場のことです。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2023年3月期(第67期)から2032年3月期(第76期)までの10年間を対象とする中期経営計画「DK-One Next」を推進しており、2026年3月期(第70期)は前期4カ年(第67期〜第70期)の最終年度にあたります。 前期4カ年においては、主力の自動車排ガス浄化触媒材料において成長の原資を確保しつつ、次世代の事業の柱を早期に育成するため、半導体・エレクトロニクス、エネルギー及びヘルスケア等の戦略分野への経営資源の重点配分を進めてまいりました。あわせて、「100年企業の基盤の確立」を目指し、「新規事業の創出」「収益構造の改革」「革新的なものづくりの実現」「成果を出し続ける組織づくりの実践」「キゲンソらしさの更なる醸成」「サステナビリティへの取り組み」の6つの柱に基づく体質強化を並行して推進してまいりました。 前期4カ年における主な成果としては、第一に、研究開発から事業化までの推進体制を整備し、用途起点での開発及び顧客提案を進めることで、戦略分野における事業展開に向けた開発・営業基盤を構築しました。一方で、これらの取組みを売上の伸長に確実に結び付けることは、引き続き重要な課題として認識しております。第二に、成長投資の前提となる「安定供給」自体を競争力と位置付け、主原料サプライチェーンの強化に取り組んだ結果、2025年7月にベトナム子会社工場が本格稼働し、オキシ塩化ジルコニウム(ZOC)の供給体制の多様化及び特定地域への依存リスクの低減を通じて、供給安定性の向上とコスト競争力の強化が実行段階に入りました。 一方、前期4カ年における課題としては、戦略分野における売上高は伸長したものの、主力の自動車排ガス浄化触媒材料への依存度は依然として高く、事業ポートフォリオの転換という観点では、売上構成比の大きな変化には至りませんでした。この背景には、電動化の進展局面における需要の変動や顧客の在庫調整等により、一部用途において当初想定していた需要の立上がりが後ろ倒しとなったことがあります。また、ベトナム事業については、立上げの遅れや稼働移行期における費用増等により、収益面に影響を及ぼした局面もありました。 これらの成果と課題を踏まえ、2027年3月期(第71期)から2029年3月期(第73期)までの中期においては、戦略分野における売上の伸長を最重要課題として位置付け、重点領域における施策の実行と案件の積み上げを通じて、事業ポートフォリオの転換を着実に進めてまいります。あわせて、前期に整備した開発・事業化体制を売上に確実に結び付けるとともに、2025年7月に本格稼働したベトナム子会社工場の稼働拡大及び安定操業並びに原価低減のさらなる推進を通じて、ベトナム事業の伸長を収益性の改善に接続し、中期における成長加速の土台としてまいります。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画「DK-One Next」において、持続的な企業価値の向上を実現することを経営の基本方針としております。2027年3月期(第71期)から2029年3月期(第73期)までの中期においては、戦略分野における売上の伸長を最重要課題として位置付け、事業ポートフォリオの転換を着実に進めることで収益基盤の強化を図ってまいります。その先の2030年3月期(第74期)から2032年3月期(第76期)までの後期においては、売上成長の果実を収益性・資本効率の向上に結び付け、ROICスプレッド(ROIC-WACC)の最大化を通じた資本コストを上回る収益の創出を目指してまいります。 目標とする主要な経営指標は以下のとおりであります。
経営目標(連結)
| 第70期 2026年3月期 | 第73期 2029年3月期 *カッコ内は2025年設定 | 第76期 2032年3月期 | |
| 実績 | 目標 | 目標 | |
| 売上高 | 357億円 | 410億円 | 500億円以上 |
| 営業利益 | 34億円 | 40億円(30億円) | 75億円以上 |
| EBITDA | 67億円 | 75億円(70億円) | 105億円以上 |
| ROIC | 4.7% | 5%(4%) | 9%以上 |
| ROE | 6.6% | 6%(5%) | 11%以上 |
| DOE | 1.9% | 1.8%以上 | 1.8%以上 |
| 配当性向 | 27.0% | 30% | 30% |
(注)第73期の営業利益目標は、ベトナム事業における原価低減の進展を踏まえ、従来目標から引き上げております。ただし、当社グループが目指す中期的な企業価値向上は、原価低減のみによって実現するものではなく、戦略分野における売上伸長を伴う事業ポートフォリオ転換が不可欠であると認識しております。 第70期においては、ROIC及びROEが2025年設定の第73期目標水準に到達しましたが、売上高は第73期目標に達しておらず、戦略分野の伸長にも課題が残りました。このため、第73期及び第76期の売上高目標は変更せず、売上成長と収益性改善を一体的に進めてまいります。株主還元については、DOE1.8%を下限とし、業績の改善に応じて配当性向30%を目標とすることで、成長投資と安定的な株主還元の両立を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき課題
当社グループは、中期経営計画の前期4カ年(第67期〜第70期)において戦略分野への経営資源の重点配分と主原料サプライチェーンの複線化を進め、2025年7月にはベトナム子会社工場が本格稼働するなど、次の成長に向けた基盤整備を進めてまいりました。一方で、事業ポートフォリオの転換はなお途上にあり、2027年3月期(第71期)からの中期においては、戦略分野の売上伸長による収益構造の転換を最重要課題として位置付けるとともに、ベトナム事業の安定操業と収益性の改善を通じて成長加速の土台を固めてまいります。この認識のもと、次の課題に優先的に取り組んでまいります。
①新規事業の創出・戦略分野の開発活動の強化
当社グループは、自動車排ガス浄化触媒向け製品への依存度を低減し、収益構造の多様化を図るため、半導体・エレクトロニクス、エネルギー及びヘルスケアの各戦略分野において、用途開発及び顧客基盤の拡大を継続して推進してまいります。中期経営計画の前期4カ年を通じて、用途起点での開発・顧客提案体制を整備し、提案型ビジネスに向けた取り組みを進めてまいりました。一方で、一部用途では市場環境や顧客の投資判断の変化により需要の立上がりが想定を下回ったことに加え、重点市場の選定、顧客開拓及び量産化までの事業化プロセスに改善余地があると認識しております。今後は、対象市場及び重点顧客の見直しに加え、開発テーマごとの事業化可能性、量産化時期及び収益性をより厳格に管理し、戦略分野の売上構成比の引上げに取り組んでまいります。また、レアアースフリー材料の開発については技術基盤の強化という観点から取り組みを進め、素材としての注目度は上がっており、検討いただいている顧客数は増加しております。一方で現時点において具体的な販売計画は未定であり、今後の事業展開に向けた選択肢の一つとして位置付けております。
②主原料調達のサプライチェーンの強化
当社グループは、主要原料の安定調達を事業継続の根幹と位置付け、サプライチェーンの強化を継続的に推進してまいります。オキシ塩化ジルコニウム(ZOC)については、2025年7月にベトナム子会社工場が本格稼働したことにより、供給体制の多様化が実現し、特定地域への依存リスクの低減と原価低減の推進が実行段階に入りました。一方、イットリウム及び中重希土類については中国による輸出規制の影響が継続しており、調達先の複線化、備蓄水準の見直し及び政府関係機関との連携を通じた安定調達体制の構築に取り組んでまいります。あわせて、原料調達における制約の影響を低減するため、使用原料の多様化や代替技術の検討を中長期的な課題として推進してまいります。また、事業継続計画(BCP)の見直し及び設備保全の推進を通じて、不測の事態における事業継続体制の維持に取り組んでまいります。
③キャッシュ創出力の強化と収益性の改善
当社グループは、資産効率の改善及び原価低減活動を継続して推進しております。棚卸資産については増加しており、その圧縮は引き続き重要な課題であります。第70期においては、売上高の増加及びベトナム事業における変動費削減の進捗を背景として、ROIC及びROEは第73期目標水準に達しております。あわせて、ベトナム事業に関連する借入残高の圧縮による金利負担の軽減及び為替差損益の管理を重要な財務課題として推進してまいります。今後の中期においては、戦略分野の売上伸長により、ROIC及びROEの持続的な改善を図ってまいります。
④温室効果ガスの排出削減への対応
当社グループは、温室効果ガスの排出削減目標を設定し、削減ロードマップに基づく取り組みを継続的に推進するとともに、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しております。省エネルギー設備の導入及び運転条件の最適化によるScope1排出量の削減を継続するとともに、ベトナム子会社工場においてはバイオマス(もみ殻)由来の熱源を生産に活用しております。Scope2については各生産拠点における再生可能エネルギーの導入拡大を推進し、Scope3については第70期においてサプライチェーン全体の排出量算定に着手しており、次期以降の削減ロードマップの策定・開示に向けた取り組みを進めております。あわせて、炭素価格の導入・強化、排出規制の強化及び顧客の脱炭素化要請といった移行リスクへの対応を重要課題として認識し、環境規制の動向を継続的に注視しながら必要な対応を機動的に講じてまいります。
⑤多様な人材が活躍できる基盤づくり
当社グループは、事業ポートフォリオの転換及びベトナム事業の安定稼働の実現に向けて、経営課題の解決に直結する人的資本戦略の再構築に取り組んでおります。多様性については、性別や国籍にとどまらず、知識・経験・視座を含む広い定義のもと、環境変化への対応力と成長機会を捉える経営能力の強化として位置付けております。この認識のもと、人事制度全般の見直しを進めるとともに、人材開発投資を拡充し、全従業員の能力開発に努めてまいります。また、ベトナム子会社を含む海外拠点における現地人材の育成にも継続して取り組んでまいります。
⑥成長を続けるための組織力強化と人材育成
当社グループは、前期4カ年を通じて新任管理職育成プログラムをはじめとする教育体制を整備し、管理職の実践力の向上に取り組んでまいりました。今後の中期においては、経営課題の解決を担うマネジメント人材の育成を強化するとともに、高度な専門性を有する人材の確保・育成を推進してまいります。また、開発・製造・営業が一体となって目標をやり切る組織力の強化に向け、戦略の優先順位の明確化と定期的な進捗レビューによる実行サイクルの確立及び組織横断的な連携体制の強化に取り組んでまいります。