有価証券報告書-第83期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/19 15:09
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績が回復する中、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調を辿りました。ただ、消費税率引上げの影響、更には、外国人観光客の所謂“爆買い”の終了もあって個人消費は低迷し、民間設備投資も、大企業を中心に持ち直しの兆しが見られたものの、総じて力強さを欠く展開となりました。
海外では、難民・移民問題に端を発した保護主義が俄かに台頭し、米国新大統領の誕生、英国の欧州連合(EU)離脱など、今後の世界経済の行方は全く不透明な状況となっています。
一方、住宅市場では、昨年2月16日よりマイナス金利政策が、また、9月には「長短金利操作付き量的・質的金融政策」が導入されたこともあって、住宅ローン需要が喚起され、特に、相続税対策としての貸家需要は高い伸びを示しました。ただ、価格の高騰もあり、首都圏でのマンション供給は20余年振りの低水準となり、分譲住宅全体の伸びは抑えられることとなりました。その結果、平成28年度の新設住宅着工は、戸数974千戸(前年比5.8%増)、床面積78,705千㎡(同4.1%増)となりました。
このような環境の下、当社グループの主な取組みとして、建築資材分野では、非住宅市場向けに施工付製品の拡大に努めました。中でも、オフィスの新築・リニューアル市場へOAフロアの新製品を投入し、売上げを伸長させることができました。一方、主力の新設住宅市場向けでは、長期優良住宅といった住宅の長寿命化に寄与できる防水対策部材の普及に努めたことにより、関連部材の売上げが伸長しました。また、フランチャイズ展開をしている自然エネルギーを積極的に活用する『エアサイクルの家』においては、“建物内の空気を自然に循環させる”というエアサイクル工法の特長を体感できるように、本社敷地内のモデルハウスを全面改装しました。新たな登録工務店の獲得や既存登録工務店の提案機会の拡大の場となり、受注が拡大しています。更に、「2015年度グッドデザイン賞グッドデザイン・ベスト100」を受賞した『不燃幕天井』に続き、森林保護に貢献する試みとして『ふくいWOODバイオマスセンターによる取り組み』が「2016年度グッドデザイン賞」を受賞し、同センターで生産された新素材を使用した住宅向け新製品『プラスッド ソライエデッキ』を発売いたしました。同製品は、環境共生素材だけでなく、“質感” や“施工性向上” ニーズを捉えた製品コンセプトが、市場から評価を得ております。また、新築・リフォーム双方のニーズに応える製品でもあることから新規顧客からも高評価をいただいており、受注および施工体制の強化を図っております。
産業資材分野では、非住宅市場での省エネ強化と技術向上により窓枠の受注が拡大する一方、自動車分野での積極的な設備投資により受注が拡大しました。また、精密分野では、高品質製品の開発や新規分野への開拓、海外市場への展開にも注力しました。海外事業では、米国での受注が好調に推移し、ASEAN事業ではビジネス基盤の強化と新規顧客獲得に取り組んでおります。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高396億90百万円(前期比2.5%増)、営業利益13億47百万円(同2.8%増)、経常利益15億93百万円(同4.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11億44百万円(同22.6%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 建築資材事業
主力の建築資材事業の売上は、290億26百万円(前期比1.4%増)で、売上高全体の73.1%を占めました。
うち外装建材は、58億19百万円(同1.0%増)でした。左官資材が低調に推移しましたが、防水部材は順調に推移しました。
内装建材は、115億15百万円(同3.6%増)でした。断熱材・見切部材が伸び悩みましたが、養生材・浴室用パネルは堅調な伸びを示しました。
床関連材は、78億11百万円(同0.2%増)でした。乾式遮音二重床システム部材・機能束が低調に推移しましたが、床タイル・OAフロア・床支持具は好調に推移しました。
システム建材は、38億81百万円(同1.7%減)でした。木粉入り樹脂建材・リフォーム用システム建材が伸び悩みましたが、空気循環式断熱システム部材・防蟻材は順調に推移しました。
② 産業資材事業
産業資材事業の売上は、106億64百万円(同5.6%増)で、売上高全体の26.9%を占めました。精密化工品が低調に推移しましたが、窓枠・車輌部材が堅調に推移しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前期と比べ3億42百万円(前期末比3.2%)減少し、104億52万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、18億51百万円の収入となりました。前期比では1億92百万円収入が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、14億52百万円の支出となりました。前期比では6億18百万円支出が増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、7億66百万円の支出となりました。前期比では55百万円支出が増加しました。
なお、キャッシュ・フローの詳細は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(4)資本の
財源及び資金の流動性についての分析」に記載しております。