有価証券報告書-第164期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/15 11:34
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190項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
1.会社経営の基本方針
当社グループは、社会の一員として、社会との調和を図りながら持続的に発展し、さらにステークホルダーの期待に積極的に応えていくことの重要性を強く認識しており、「新しい潮流の変化に鋭敏であり続けるアグレッシブな先進企業を目指す」「世界とともに生きる」を経営理念として、独自性のある優れた技術で、時代の先端をいく製品と顧客ニーズに合った製品を提供し、企業の社会的責任を果たしていくことを経営の基本方針としています。
2.目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、中長期的な目指すべき方向性を示した2030年のありたい姿『ADEKA VISION 2030~持続可能な社会と豊かなくらしに貢献するInnovative Company~』を掲げ、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、幅広い事業を世界中で展開し、革新的な技術で世界をリードすることで、持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する企業となることを目指しています。
『ADEKA VISION 2030』の実現に向けたセカンドステージとして、2024年度から2026年度の中期経営計画『ADX 2026』をスタートしました。
「ADX」は「ADEKAは変わります(ADEKA Transformation)」という決意を表しています。『ADX 2026』は、『ADEKA VISION 2030』の実現に向けて、変革を続ける3年間と位置付け、成長戦略としてサステナビリティを推進し、社会価値の創出を通じた稼ぐ力の強化を図ります。また、環境貢献製品の拡大やカーボンニュートラルの実現に向けたGHG排出量削減の推進に努め、より強靭な経営基盤のもと企業価値のさらなる向上を目指してまいります。

[基本方針]

[基本戦略]
社会価値と利益の共創による企業価値のさらなる向上を目指し、「稼ぐ力の強化、高収益構造への転換」「環境貢献製品の拡大、及び事業構造の変革によるGHG削減」「経営基盤の強靭化」を進めます。
◆稼ぐ力の強化、高収益構造への転換
収益の柱である半導体材料に積極的に経営資源を投下していく一方、将来を見据えた事業の再構築を進めます。各事業の成長戦略を遂行し収益性向上を図るとともに、将来の成長の柱となる新製品の拡大や新規事業を推進します。また資本効率性の向上に向けた施策を実行し、当社の稼ぐ力の向上を図ります。稼ぐ力の強化により、規模拡大から利益を重視した事業成長を図ります。
◆環境貢献製品の拡大、及び事業構造の変革によるGHG削減
環境貢献製品の拡大と創出を進め、社会課題解決の機会を取り込んだ成長戦略を遂行します。また、カーボンニュートラルの実現に向けて各事業でGHG排出量削減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進し、多様な人財活躍の機会を創出するとともに、人権デュー・ディリジェンスの実行により、サプライチェーン全体で人権を尊重します。
◆経営基盤の強靭化
各事業における戦略製品群の安定生産に向けて、重要原料を把握・管理し、外部環境が激しく変化した際にも事業継続できる強靭なサプライチェーンを構築します。人的資本活用の基盤を整備し、各事業の成長ステージにあわせた人財の配置・育成を推進します。デジタル技術を取り入れ、継続的に業務改革を進めていきます。
3.2025年度の取り組み
当期は、中期経営計画『ADX 2026』の2期目として、持続的かつ中長期的な企業価値向上に取り組みました。
『ADX 2026』の3つの基本方針
(1)稼ぐ力の強化、高収益構造への転換
◆化学品事業
化学品事業では、設備投資施策による開発及び生産能力の強化を、継続して進めています。当期は、半導体市場における前工程用製品のさらなる拡大、後工程用製品への領域拡大を図るべく、鹿島化学品工場における次世代EUVリソグラフィ向け金属酸化物レジスト用金属化合物の新工場の建設決定、久喜開発研究所における新研究棟の完成、三重工場における車載用電子部品向けエポキシ樹脂接着剤生産設備の運転開始などの進捗がありました。
また、当社が保有する産業資材事業について、製品の安定供給と事業のさらなる発展のため、2026年4月1日に当社連結子会社であるADEKAケミカルサプライ株式会社へ譲渡することを決定しました。
◆食品事業
食品事業では、フードテックを活かした環境貢献製品、高機能製品を中心とした戦略製品のグローバル展開を推進しています。プラントベースフード*「デリプランツ」シリーズについては、北米、インド、欧州などを新規のターゲットとし、当期は北米向けの製品のトライアル輸出を開始しました。さらに、インド・欧州向けのトライアル輸出も計画しています。
*当社では原材料及び食品添加物に動物性原料を直接配合していない製品を「プラントベース」と表記しています。
◆ライフサイエンス事業
当社連結子会社の日本農薬株式会社は、2025年9月、BASFジャパン株式会社との間で、同社の果樹分野向け製品の国内農薬市場における独占供給による販売について合意し、2025年10月より販売を開始しています。BASFジャパン株式会社が展開する果樹分野向け製品をポートフォリオに加えることにより、日本農薬株式会社は、国内農薬市場における販売拡大を図ります。
(2)環境貢献製品の拡大、及び事業構造の変革によるGHG削減
◆化学品事業
環境対応型樹脂添加剤について、社外パートナーとの共創によるビジネス拡大を推進しています。当社は、2026年2月、ソニー株式会社の高機能製品向けに、再生可能なバイオマス資源を原料にしたプラスチックを製造するグローバルサプライチェーンの共同構築に参加しました。当該プロジェクトにおいて当社は、バイオマス特性を割り当てた難燃剤を製造しています。また、大成建設株式会社が2026年2月~3月に実施した、石垣島・真栄里ビーチにおける小型モビリティの走行実証において、当社は協力会社の一社として、漂着プラスチックの分析及び評価、並びにリサイクル材の品質を改善するための樹脂添加剤の提供を行いました。
(3)経営基盤の強靭化
前期に引き続き、人的資本の向上への取り組みを継続しています。当期は、第二期DE&Iプロジェクトチームにて女性活躍推進施策を推進し、当社単体での女性管理職比率は5.9%を達成しています。取り組みの結果、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」へ5年連続で認定されています。また、株式会社JPX総研と株式会社日本経済新聞社が2025年7月から算出開始した新しい株価指数「JPX日経インデックス人的資本100」の構成銘柄に初めて選定されるなど、社外からの高い評価を得ています。
資本効率重視の経営への変革
当社グループは、『ADX 2026』において資本効率重視の経営への変革を果たすべく、成長投資、固定資産の管理強化、負債の圧縮、株主還元強化の観点から資本政策を遂行しています。当期、当社は、この資本政策の一環として、株価や財務状況、成長投資の資金需要、資本構成の状況などを総合的に勘案し、自己株式の取得及び消却を実施することとしました。 自己資本の圧縮を通じて資本効率の向上を図るとともに、『ADX 2026』で掲げる「配当性向 40%以上」に加え、利益還元手段の多様化を進めることで、株主還元のさらなる強化を目指してまいります。今後も、持続的かつ中長期的な企業価値向上に向け、将来の投資や株価水準、財務安全性を考慮し、あらゆる企業価値向上策を検討してまいります。
4.サステナビリティを意識した企業経営
当社グループは、中長期的な視点に立ち「サステナビリティ」における課題に取り組むことで、グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献していきます。
ADEKAグループ サステナビリティ基本方針「ADEKAグループは、公正・透明な企業活動を通じて、技術と信頼でステークホルダーの期待に応え、持続可能な社会に貢献します。」は、当社グループが社会の一員としての基本的責務を果たしつつ、本業を通じて持続可能な社会に貢献すること、ひいては自らの持続的成長を目指す基本姿勢を表現したものです。
同基本方針に基づいた企業活動を具体的に推進するため、サステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)では、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の3分野にわたるサステナビリティ優先課題と、SDGs達成の目標年度である2030年を念頭に置いた目標(2030年KPI)を定め、全社横断的な取り組みを行っています。
中期経営計画『ADX 2026』においては、環境貢献製品売上高、GHG排出量、女性管理職比率の3項目をサステナビリティ指標として新たに導入しました。環境(E)においては「オールADEKAでアイデアを結集し2050年にカーボンニュートラルを目指す」ため、生産工場におけるエネルギーロスの削減や再生可能エネルギー由来の電力導入を進めるとともに、引き続き適正な情報開示を行うため国内外グループ会社との情報共有を行いました。社会(S)では、人権に関する取り組みの高度化として、昨年に引き続き人権デュー・ディリジェンスを推進、さらに、第二期DE&Iプロジェクトチームにて女性活躍推進も加速させています。ガバナンス(G)では、グループリスクマネジメント体制の強化、取締役会実効性の向上等、コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組みを実行しました。
[2025年度の主な活動]
環境(E)・「カーボンニュートラル推進戦略」の実行及び浸透活動
・非生産拠点を中心に国内14拠点において再生可能エネルギー由来電力を導入(その内11拠点で使用電力の再生可能エネルギー化実質100%を達成
・「環境貢献製品」2025年度売上高は、対2019年度比2倍へ拡大
社会(S)・人権尊重の取り組みとして人権デュー・ディリジェンスを推進。2025年度は化学品事業における労働安全衛生の再評価及びサプライチェーン管理の強化により人権リスク低減に取り組むとともに、食品事業で人権影響評価を実施
・DE&I推進として、第二期DE&IプロジェクトにおいてDE&Iポスターの掲出や交流会開催、心理的安全性に関する講演会など各種施策を推進。2025年度は、女性管理職比率5.9%となり、年度目標を達成
・エンゲージメントサーベイを活用し、従業員エンゲージメント向上策を推進
・「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」に認定(2026年3月)。健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定は5年連続
ガバナンス(G)・グローバルで「ADEKAグループ行動憲章」の理解・浸透を図る
・グループ全体での平時及び有事リスクマネジメント体制の強化(ERM(統合型リスク管理)の運用強化)
・地政学リスク対応の強化(緊急事態対応ガイドラインの策定等)
・情報セキュリティ強化(国内外グループ会社の情報セキュリティ強化(実態調査に基づく技術的対策の高度化、情報セキュリティ関連規定の整備拡充)、サイバー攻撃対応訓練、情報セキュリティ教育の実施)
・取締役会実効性の向上(取締役会での経理戦略等に関する議論機会の充実化)
・後継者計画の運用

5.グループ戦略課題
2026年度の世界経済は、緩やかな成長が見込まれる一方で、中東情勢の緊迫化による資源価格動向の不確実性が高く、インフレ再燃リスクなどが懸念され、先行きは依然として不透明な状況が続くと見込まれます。
当社グループの主要ターゲットである半導体分野は、AI・データセンター投資を背景に、先端メモリ・ロジック分野は拡大基調にあり、自動車、食品、農業などの各分野は、世界人口増加を背景に、いずれも中長期的な成長機会を有する一方、地政学リスクや原材料市況の変動など不確実性が高い事業環境が続く見通しです。
このような事業環境のもと、中期経営計画『ADX 2026』は最終年度を迎えます。当社グループは引き続き、社会価値と利益の共創の実現に向けて、基本戦略に掲げる稼ぐ力の強化、サステナビリティの取り組みの推進、並びに外部環境の変化に柔軟に対応可能な強靭なサプライチェーンの構築など各施策を着実に実行してまいります。
(現下の中東情勢による事業及び業績への影響について)
当社グループは、一部の製品にナフサ由来の原材料を用いて事業展開をしています。中東情勢の緊迫化を受け、現時点では一部の原材料に逼迫が生じているものの、当面は供給体制を維持できる見込みです。一方、今後の動向によっては、原材料や包装材料価格の上昇やサプライチェーンの混乱などが生じる可能性があります。その場合には、製品価格への転嫁などの対応を行うことで影響の最小化に努めてまいりますが、事業及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があります。
報告セグメント別の2026年度の見通し
事 業売上高・営業利益要 因
化学品増収・増益
樹脂添加剤増収・増益新規透明化剤を国内外で販売拡大。家電向け難燃剤、自動車向け核剤、光安定剤の販売拡大。
半導体材料増収・増益高誘電材料及び半導体リソグラフィ材料の販売拡大。
新研究棟の稼働による研究開発力の強化、生産設備の増強。
環境材料増収・増益自動車向け潤滑油添加剤を海外中心に販売拡大。建築塗料向け反応性乳化剤、光学フィルム向け光硬化樹脂をアジアで販売拡大。
食品増収・増益高機能製品及びプラントベースフードを販売拡大。中国市場で販売復調。原材料費・包装材料費の上昇に対応し販売価格を適正化。
ライフサイエンス増収・増益農薬は、引き続き北米・日本で堅調。ブラジル・インドで収益性向上施策を推進。欧州で市場深耕。

(注)将来の予測などに関する記述は、現時点における将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測が含まれています。
当社グループの事業を取り巻く経済情勢、市場の動向、為替の変動などに関わるリスクや不確定要因により、実際の業績が、記載と異なる可能性がありますことをご承知おきください。

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