有価証券報告書-第195期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/29 15:02
【資料】
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【項目】
140項目
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書の提出日現在において予測できる事情を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針、経営戦略等
① 会社の経営の基本方針
SDGs・ESGの視点を経営の中核に位置付け、「株主第一主義」とは一線を画し、お客様・従業員・取引先・社会などへの責務を果たした上で残存する「株主価値の最大化」に尽力し、富の創出を図ってまいります。
② 中長期的な会社の経営戦略
2018年度から2020年度までの前中期経営計画「N-20」については、豪州塗料メーカーDULUXGROUP LIMITED及びトルコ塗料メーカーBETEK BOYA VE KIMYA SANAYI ANONIM SIRKETIの子会社化に加え、既存セグメントの強化により、売上目標である7,500億円を達成しました。一方、営業利益率は、2018年度は13.8%となりましたが、2019年度はインド及び欧州の自動車用塗料事業における減損損失、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響等により、営業利益率は11.1%となり、目標である14%は未達となりました。
一方、当社グループとWuthelamグループとのアジア合弁事業の100%化及びWuthelamグループのインドネシア事業の買収や、顧客サービスの更なる向上や効率化・生産性向上の更なる追求を目的としたNPAC(日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社)の下での自動車用塗料事業のグローバル一体化を発表するなど、持続的成長を達成するための施策を推し進めました。
当社は、2021年3月5日付で、①パートナー会社が主体的に参加すること、②グローバルなグループ共通の存在意義を示す”Purpose”を基軸とすること、及び③長期的視点を見据えた中期マイルストーンとなることをコンセプトとして、2021年度から2023年度までの新中期経営計画(以下「新中計」といいます。)を策定・公表しており、次に記載する項目を推進することで、株主価値の最大化を図ります。
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③ 中長期的な財務目標
2021年度から2023年度までは中国及びアジアにおける高い市場成長とシェアの拡大により高い売上成長を目指し、その後も長期的に、市場成長を上回る持続的成長を目標とします。また、営業利益の年平均成長率(CAGR)は売上成長に伴う限界利益の貢献で、利益成長を図るとともにマージンの向上を目指してまいります。
中長期的に市場成長を上回る売上成長等により、基本的1株当たり当期利益(EPS)の持続的成長を目指してまいります。
④ 主要な地域・事業における中期的な取り組み
上記財務目標を達成するために、各地域・事業にて成長戦略を推進してまいります。主要な事業・地域の取り組みは以下のとおりであります。
(a)日本(汎用塗料事業)
日本の汎用塗料市場は、建築・鉄構領域の新築はマイナス成長となる一方、塗り替えは安定した塗料需要を見込んでおります。また、環境意識の高まりを背景とした水性塗料の販売機会が増加しているほか、抗ウイルス塗料などの新規需要が拡大しております。2023年に向けては、抗ウイルス製品等の拡充と営業・プロモーションを強化してまいります。また、DXを活用した生産自動化の推進による顧客サービスの向上や、デジタル拡充とインフラ整備による販売店・施工店へのサービス向上にも取り組み、日本事業全体のマージン改善に貢献してまいります。
(b)NIPSEA中国(汎用塗料事業)
(ⅰ)DIY事業
中国の汎用塗料市場は、世界最大規模かつ高成長の市場であることに加え、商品販売からワンストップサービスへシフトしていること、また、現在、1990年代に建設された住宅の改装需要が急速に拡大していることから、DIY市場は今後も安定成長すると考えております。さらに、健康志向の増加・環境配慮製品への需要も増加しております。
当社においては、NIPSEAグループの強みを生かしつつ、調色機の増加等により地方都市でのシェア拡大に取り組むとともに、オンラインやソーシャルメディアの活用、デジタライゼーションの強化などの戦略を更に推進してまいります。
(ⅱ)Project事業
中国の汎用塗料市場は、上述のとおり飛躍的に大規模市場へと変貌しており、また、塗料周辺商材、迅速な施工・配送や一体サービスの需要が増加していることから、力強い成長を見込んでおります。また、不動産市場での大規模ディベロッパーの再編トレンドが進行しております。
当社においては、強い資本力を背景に顧客との提携加速、製品ラインアップの拡充など、総合力を発揮して不動産市場で存在感を増すトップ100の不動産ディベロッパーとの関係を更に強化するとともに、トップ50のリノベーション会社とも同様の関係を構築し、売上成長を果たしてまいります。
(c)オセアニア
オセアニアは、中期的に安定したGDP成長及び人口増加を背景に、補修・改修を中心とした市場拡大を見込んでおります。
当社においては、補修・改修市場への展開を加速するとともに、デジタルプラットフォームを活用し顧客エンゲージメントを向上させます。また、小売り・業務用市場向けにオムニチャネル化や物流の最適化を進めることで、売上・マージンともに向上してまいります。さらに、プレミアムブランド、イノベーション、主要小売パートナーへのカスタマーサービスに注力してまいります。
(d)トルコ
人口の増加とGDPの成長が期待できるトルコについては、引き続き改装市場の高成長を見込んでおります。また、欧州の環境規制強化に伴う、ETICS(External Thermal Insulation Composite System:断熱材)等の需要増を想定しております。
当社においては、汎用塗料市場においてプレミアムからエコノミーセグメントまで全市場を網羅するマルチブランド戦略によりシェア拡大を目指すとともに、ETICS事業の強化やトルコ近隣の国外への展開、提携塗装店数の拡大により、持続的に高い成長を目指してまいります。
(e)インドネシア
実質GDPの安定成長が見込まれるインドネシアにおいては、約2.7億人の人口やインフラ投資に加え、塗り替えを比較的頻繁に行う文化特性により、安定的な塗料需要を見込んでおります。
当社においては、SNS・メディア等を活用したブランド投資を継続するとともに、小売ディーラーへの自動調色機の配備の加速や全製品の店頭普及率の向上を目指してまいります。
また、販売拠点・物流拠点を積極的に新設することに加え、Eコマースを拡大し、オンライン販売需要を取り込んでまいります。
(2)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 経営環境
グローバルの塗料市場は成長産業であり、過去の傾向から判断しても、人口が増加すれば塗料の需要も着実な増加が見込まれます。また、一般的な化学産業のように市況の大きな変動はなく、安定した成長が見込まれることが特徴にあります。
世界人口は、国際連合の発表によれば今後10年間で78億人から85億人への増加が見込まれます。特に、最大規模である中国及びアジア地域が成長のけん引役であり、同地域でのプレゼンスの拡大が重要となります。
なお、足元の状況としては、世界経済は新型コロナウイルス感染症の再拡大もあり、先行きに不透明さは残るものの、ワクチンの普及や感染対策の進展等により、再び成長に転じると見込まれており、塗料市場の回復も継続すると予想しております。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営環境を踏まえ、当社は持続的な成長を図り、株主価値の最大化を達成するため、SDGs・ESGの視点を経営の中核に位置付けたうえで、以下の課題に取り組んでまいります。
(a)老朽化・人口減少に対応した国内生産拠点への投資による生産性向上
当社グループの海外の工場と比較すると国内の生産設備は老朽化・陳腐化が進んでいることに加え、労働人口の減少や技術者の高齢化、ロジスティクスに関する課題へ対処するべく、国内生産拠点への投資が喫緊の課題だと認識するに至りました。
この問題に対処するため、「サプライチェーン改革」を進めます。当該改革は、生産性の向上やSDGs・ESG対応にも必要なものであり、持続的な競争力をつけるためには必須の投資と考えております。つまり、現在の生産拠点体制の見直しを行うにあたっては、単に工場の更新投資に留まるのではなく、この機会に、デジタリゼーションやオープンイノベーションといったアプローチ、並びにESGの視点も取り入れて、受注から販売までのサプライチェーン全体を再点検いたします。中期経営計画においては、2021年度から2023年度までの3年間で国内の設備維持更新・老朽化対策・安全強化に投資を強化していく予定であり、その中には物流センターや東京事業所の改修が含まれております。
(b)積極的なM&Aの継続
塗料業界は成長性に加え、キャッシュ・フローが非常に安定しているという特徴があります。また、昨今の市場環境は、低金利での調達が可能であり、併せて非常にM&Aに適した業界です。また、上位の大手塗料メーカーが市場の約50%を占める一方で、残りは中小メーカーで構成されており、今後の環境規制の厳格化や競争激化に伴い、資本力のある大手塗料メーカーを中心に業界再編が更に加速すると見込まれます。
そうした中、当社は、株主価値の最大化に資するM&Aを目指しております。パイプラインにある案件リストを恒常的に見直すとともに、M&A案件の選別にあたっては、資本コストを上回るリターンを獲得し、結果として基本的1株当たり当期利益(EPS)の増大を図るものについて、財務規律を考慮しつつ優先付けを行ってまいります。
また、買収後のシナジー発揮に関しては、塗料業界における「地産地消」という性質に鑑み、ホールディングスからグループ全体を横断的に統括するのではなく、各グループ会社が互いに学べるものは学び、グループとしてのシナジーを生み出す「蜘蛛の巣型経営」をベースに、買収先の自律的経営の尊重、買収先と既存のグループ企業間の協業から発生する新規販売機会の発見や技術の共有、調達の共通化による原価削減、加えて優秀な人材獲得や互いのベストプラクティスの共有などを様々な角度から追求することで、持続的な成長を果たしてまいります。なお、当社グループの財務目標値においては、M&Aの実行による業績への影響を見込んでおりません。
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(c)社会課題の解決を見据えたR&Dの強化
R&Dにおいてはオープンイノベーションを進めるため、研究施設や大学などの外部機関との接触や協働を強化するなど、今後も様々な機会を模索してまいります。
当社の創業者である茂木重次郎は、社会的な課題を見つけて、その課題に塗料技術でどのように解決するか、というところから事業を始めるなど、技術力を重視してきた企業です。
したがって、国内にいる1,000人の技術者、また、海外パートナー会社の技術者2,500人がいかに輝けるかが経営上の大きなテーマであると考えており、また、そうした技術陣が作る塗料の魅力も積極的に発信してまいります。
(d)少数株主権の保護を目的としたグローバルガバナンスの強化
当社は、取締役会の独立性・客観性を確保し、「少数株主権の保護」を図るべく、2020年3月の株主総会後、取締役9名中独立社外取締役が6名を占める態勢を整えました。
また、世界の急速な変化に対応できる迅速な経営上の意思決定や経営陣の適切なリスクテイクを促進する一方、取締役会はその戦略を理解しつつ監督機能をしっかり発揮する分業態勢が必要と考え、指名委員会等設置会社へ移行しました。
その結果、執行サイドでは意思決定の迅速化が進む一方、取締役会では主として戦略を議論すると同時に、執行サイドに対するモニタリング機能を果たし、加えて監査委員会によるグローバルな監査体制を大幅に強化することにより、執行をしっかりと監督することが可能となりました。

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