有価証券報告書-第182期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済の状況は、米国を中心に成長は継続していますものの、通商摩擦や政治的なリスクの高まりに伴い、中国などでは減速も進んできました。また我が国でも、世界経済の影響や消費税増税、天候不順などにより、景況感が悪化してきております。
このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは次の3つを年度の方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。
第一の方針である「市場や顧客ニーズの変化を捉えた新たな事業展開と価値提供」については、市場や環境の変化をチャンスと捉え、新製品、新事業の展開を強化し、新しい価値の提供に数多く挑戦しました。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料事業において、高品位技術と価格競争力を両立させ、最大市場である中国への販売を伸長させました。また機能材事業でも、リチウムイオン電池用材料の機能性分散体や、インクジェットインキ用の顔料分散体などの実績を拡大させました。ポリマー・塗加工関連事業では、ディスプレイ用の粘着剤やリチウムイオン電池用の接着剤、高速通信である5G用の塗工材料の販売が伸長しましたうえ、環境調和型の缶用塗料やバイオマス粘着剤の開発や拡販を推進しました。また、今後のソリューション提供事業として、センサーシステムの事業化を見据えた各種実証実験を行いました。パッケージ関連事業では、国内や海外各国において、バイオマスインキや水性などの環境調和型インキの性能向上や拡販を図りました。また、プラスチック製容器包装の革新的リサイクルシステムの確立のため、印刷用インキの脱墨ならびにラミネート接着剤の剥離を実現する技術や製品開発を進めました。印刷・情報関連事業では、印刷適性を向上させたオフ輪インキや、ラベル用のUVバイオマスインキなどの新製品を発売しましたほか、デジタル化に対応したインクジェット用インキの性能向上やグローバルな拡販を進めました。
第二の方針である「モノづくり企業として、国内外各拠点のサプライチェーン、製品構成、製法・処方を根本から見直し、技術優位で市場を主導」については、伸長が期待できる接着剤や粘着剤、分散体などの国内の製造設備や、インクジェット用インキの欧州や中国の製造設備を増強しましたほか、新しく進出したミャンマーの工場が完成し、事業活動を開始しました。また、モロッコに販売会社を設立し、アフリカ大陸の経済成長を見据えたマーケティング活動も強化しました。一方、デジタル化に伴い市場が縮小している国内のオフセットインキ、新聞インキ事業については、需要減に耐えうる事業体制の効率化や、同業他社とのアライアンスに着手しました。さらには、原料価格の高止まりに対応するため、代替原料を使用した処方への改良を進めるとともに、製法革新の研究も推進しました。
第三の方針である「変化を厭わず、挑戦を促す風土・人事制度の刷新と業務改革」については、センサーやデータサイエンスを活用した効率的な生産体制の構築や、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用した業務の生産性向上への取り組みを行いました。また、評価制度や働き方の見直しに伴う人事制度の改訂を行い、挑戦を促す風土への基盤整備を行いました。
しかし、米中の通商摩擦の長期化に伴い、スマートフォンを始めとする高機能製品の消費市場が低調に推移しましたうえ、原材料価格の高止まりも続きましたため、当連結会計年度の売上高は2,798億92百万円(前期比3.6%減)と減収になり、営業利益は131億74百万円(前期比13.8%減)、経常利益は138億47百万円(前期比10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は85億9百万円(前期比28.2%減)と、それぞれ減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
a. 色材・機能材関連事業
高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、スマートフォンやテレビ需要の低調が続き、特に高品位品を扱う国内や韓国の顧客での稼働が悪化し、売上が伸び悩むとともに、中国や台湾での部材へのコストダウン要請が一層厳しくなり、利益も圧迫されました。
汎用顔料は、印刷インキ用の低調が続きましたうえ、自動車販売の低調に伴い塗料用も伸び悩みました。また、環境規制に伴う供給不足による原材料価格の高騰が続き、販売価格への一部転嫁を進めましたものの、利益の減少を補うまでには至りませんでした。
プラスチック用着色剤は、国内では容器用の伸長が続きましたが、自動車や建材、太陽電池向けなどの高機能製品は伸び悩みました。また東南アジアでの事務機器向けも、低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は674億円(前期比9.7%減)、営業利益は33億86百万円(前期比36.4%減)と、減収減益になりました。
b. ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、高速通信対応の電磁波シールドフィルムなどの開発や拡販が進みましたものの、中国や韓国でのスマートフォン市場の低調や価格競争の激化により、全般的には売上、営業利益とも伸び悩みました。
接着剤は、国内では包装用が堅調に推移しましたうえ、リチウムイオン電池用が自動車向けを中心に伸長しました。また海外では、中国や東南アジア、トルコなどでの拡販が進みました。粘着剤は、ラベル用の需要が堅調に推移し、液晶ディスプレイの偏光板向けの拡販も進みました。
缶用塗料(フィニッシェス)は、環境対応製品の展開が進みましたものの、国内では夏から秋に掛けての天候不順もあり低調が続きました。
これらの結果、当事業全体の売上高は658億87百万円(前期比0.3%減)、営業利益は60億13百万円(前期比0.4%減)と、わずかに減収減益になりました。
c. パッケージ関連事業
国内のグラビアインキは、出版用の需要減少が続きましたうえ、建装材用も前期並みに終わりましたが、食品や飲料などの包装用がプライベートブランドやコンビニエンスストア向けを中心に堅調に推移、中でもバイオマスインキが大きく伸長しました。海外は、中国では伸び悩みましたものの、東南アジアやインドなどでの環境対応製品の拡販が進みました。
また国内外とも、前期からの原材料価格の急騰を受け、コストダウンを徹底するとともに、販売価格への一部転嫁も進めさせていただきました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用が伸び悩みましたものの、エレクトロニクス関連の精密製版の拡販が進みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は680億71百万円(前期比0.0%増)とほぼ前期並みになりましたが、営業利益は30億58百万円(前期比105.0%増)と増益になりました。
d. 印刷・情報関連事業
デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小傾向のなか、国内では製品別にビジネス規模の最適化や同業他社との協業、コストダウンを強力に進める一方、海外ではグローバルな拠点拡充による売上拡大を図り、インドや南米などでの拡販が進みました。さらには、モロッコに販売会社を設立し、成長するアフリカ市場での拡販も図っています。また、最先端技術を活用した高感度UVインキや、オンデマンド印刷向けインクジェット用インキなどの開発や拡販も進みました。
しかし、国内におけるチラシなどの商業印刷や新聞、雑誌などの既存のオフセットインキの需要は、印刷用紙不足もあり、予想以上に減少しました。また、環境規制に伴う供給不足などによる原材料価格の高騰が続き、利益も圧迫されましたなか、販売価格の改定を進めさせていただいております。
これらの結果、当事業全体の売上高は766億80百万円(前期比3.4%減)、営業利益は3億14百万円(前期比66.3%減)と、減収減益に終わりました。
e. その他
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は72億91百万円(前期比0.9%増)と増収のなか、グローバル統合システム関連費用や退職給付費用などの増加により、営業利益は4億24百万円(前期比71.4%減)と減益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は3,761億30百万円で、前連結会計年度末より45億20百万円増加しました。負債は1,492億37百万円で、前連結会計年度末より12億81百万円減少しました。純資産は2,268億92百万円で、前連結会計年度末より58億1百万円増加しました。
当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円高外貨安に振れたため、海外子会社で保有する資産、負債及び為替換算調整勘定が減少しました。一方、株価上昇もあり、投資有価証券及び退職給付に係る資産が、それぞれ増加しました。それに伴い、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額も、それぞれ増加しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より28億6百万円増加し、537億65百万円となりました。
営業活動により得られた資金は196億73百万円(前連結会計年度比4億76百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。
投資活動により使用した資金は104億4百万円(前連結会計年度比4億24百万円減)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。
財務活動により使用した資金は62億47百万円(前連結会計年度比5億51百万円増)となりました。借入金の返済や配当金の支払いに伴う支出などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。
当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比103億15百万円(3.6%)減の2,798億92百万円(計画 2,800億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、国内印刷インキ市場の伸び悩みが続きましたうえ、米中の通商摩擦の長期化に伴う中国景気やスマートフォンを始めとする高機能製品の消費市場の減速がありましたことに加え、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の目減りもあり、減収となりました。
営業利益は、前期比21億2百万円(13.8%)減の131億74百万円(計画 133億円)となりました。高機能製品が伸び悩みましたことに加え、原材料価格の高止まりが続きましたなか、コストダウンを徹底するとともに、販売価格への一部転嫁を進めましたものの、利益の減少を補うまでには至りませんでした。
経常利益は、営業利益が減少したものの、為替差損の減少により、前期比15億82百万円(10.3%)減の138億47百万円(計画 135億円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加え、特別損失が増加したため、前期比33億38百万円(28.2%)減の85億9百万円(計画 85億円)となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
b. 財政状態の分析
財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、成長事業や地域への積極的な設備投資などにより、以下となりました。
色材・機能材関連事業の資産1,038億55百万円(前期末より1億37百万円減少)。
ポリマー・塗加工関連事業の資産827億60百万円(前期末より26億87百万円増加)。
パッケージ関連事業の資産840億33百万円(前期末より28億69百万円増加)。
印刷・情報関連事業の資産957億3百万円(前期末より13億51百万円減少)。
その他関連事業の資産97億77百万円(前期末より4億51百万円増加)。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、政策保有株式の売却などにより、537億65百万円と前期末より増加しており、有利子負債については、595億7百万円と前期末より減少しております。これにより、DEレシオは0.29倍と圧縮され、さらに財務体質は強固になってきております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。
当連結会計年度では、為替は比較的に安定して推移し、ナフサ価格も年度の後半には下落したものの、中国などでの環境規制強化に伴う需給バランスの悪化による原材料価格の高止まりは解消されず、営業利益を悪化させる要因となりました。次期につきましても、ナフサ価格は落ち着きを見せてきたものの、需給バランスの悪化は解消されず、原材料価格の高止まりは続くものと見込まれます。これに対し、当企業グループでは、調達手段の多様化やアライアンスの強化、代替原料の検討や樹脂の内製化などをはじめ、さまざまなコストダウンを進めるとともに、高機能製品へのシフトや、販売価格への適切な転嫁も図ってまいります。
その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。
④ 経営戦略の現状と見通し
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指しています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。
この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」では、当企業グループが持続的に成長していくための礎を創り上げる期間と位置づけており、具体的には、成長に向けた既存事業の変革と新事業への挑戦や、持続可能性向上に向けたモノづくり革新の推進、経営基盤の刷新を進めております。中期経営計画の二年目となる当連結会計年度におきましては、事業環境の悪化により業績は伸び悩みましたものの、事業領域の拡大や構造改革、経営資源の強化は着実に進めております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。
なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施していきます。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
今後の経済環境は、世界的に緩やかな回復が続くと期待されます一方、新型コロナウィルスに伴う影響もあり、減速懸念が次第に高まりつつあります。また、当企業グループにおいても、需要の伸び悩みに加え、原材料の調達環境悪化に伴う価格の高止まりが続くものと予想されます。
このような厳しい事業環境ではありますが、長期構想の第一ステップであり、当企業グループの礎を創り上げる期間と位置付けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」の最終年度として、次期は、今までの試行錯誤を踏まえて、選択と集中の指向で事業の構造改革や企業体質の強化をさらに進め、事業別には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの活動を実行することで、長期構想の実現に向かって着実な成果を積み重ねてまいります。
さらには、フィリピンの連結子会社における不適切な会計処理が行われていた問題を深く反省し、事業活動を推進していく基盤として、グローバルでのガバナンス体制の改善に取り組むとともに、拡大する事業分野に対応する品質保証体制の強化を図ってまいります。
なお、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高2,900億円、営業利益150億円、経常利益155億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円となっております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
| (単位:百万円) | ||||
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | |
| 2019年12月期 | 279,892 | 13,174 | 13,847 | 8,509 |
| 伸長率(%) | △3.6 | △13.8 | △10.3 | △28.2 |
| 2018年12月期 | 290,208 | 15,276 | 15,429 | 11,847 |
当連結会計年度における世界経済の状況は、米国を中心に成長は継続していますものの、通商摩擦や政治的なリスクの高まりに伴い、中国などでは減速も進んできました。また我が国でも、世界経済の影響や消費税増税、天候不順などにより、景況感が悪化してきております。
このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは次の3つを年度の方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。
第一の方針である「市場や顧客ニーズの変化を捉えた新たな事業展開と価値提供」については、市場や環境の変化をチャンスと捉え、新製品、新事業の展開を強化し、新しい価値の提供に数多く挑戦しました。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料事業において、高品位技術と価格競争力を両立させ、最大市場である中国への販売を伸長させました。また機能材事業でも、リチウムイオン電池用材料の機能性分散体や、インクジェットインキ用の顔料分散体などの実績を拡大させました。ポリマー・塗加工関連事業では、ディスプレイ用の粘着剤やリチウムイオン電池用の接着剤、高速通信である5G用の塗工材料の販売が伸長しましたうえ、環境調和型の缶用塗料やバイオマス粘着剤の開発や拡販を推進しました。また、今後のソリューション提供事業として、センサーシステムの事業化を見据えた各種実証実験を行いました。パッケージ関連事業では、国内や海外各国において、バイオマスインキや水性などの環境調和型インキの性能向上や拡販を図りました。また、プラスチック製容器包装の革新的リサイクルシステムの確立のため、印刷用インキの脱墨ならびにラミネート接着剤の剥離を実現する技術や製品開発を進めました。印刷・情報関連事業では、印刷適性を向上させたオフ輪インキや、ラベル用のUVバイオマスインキなどの新製品を発売しましたほか、デジタル化に対応したインクジェット用インキの性能向上やグローバルな拡販を進めました。
第二の方針である「モノづくり企業として、国内外各拠点のサプライチェーン、製品構成、製法・処方を根本から見直し、技術優位で市場を主導」については、伸長が期待できる接着剤や粘着剤、分散体などの国内の製造設備や、インクジェット用インキの欧州や中国の製造設備を増強しましたほか、新しく進出したミャンマーの工場が完成し、事業活動を開始しました。また、モロッコに販売会社を設立し、アフリカ大陸の経済成長を見据えたマーケティング活動も強化しました。一方、デジタル化に伴い市場が縮小している国内のオフセットインキ、新聞インキ事業については、需要減に耐えうる事業体制の効率化や、同業他社とのアライアンスに着手しました。さらには、原料価格の高止まりに対応するため、代替原料を使用した処方への改良を進めるとともに、製法革新の研究も推進しました。
第三の方針である「変化を厭わず、挑戦を促す風土・人事制度の刷新と業務改革」については、センサーやデータサイエンスを活用した効率的な生産体制の構築や、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を活用した業務の生産性向上への取り組みを行いました。また、評価制度や働き方の見直しに伴う人事制度の改訂を行い、挑戦を促す風土への基盤整備を行いました。
しかし、米中の通商摩擦の長期化に伴い、スマートフォンを始めとする高機能製品の消費市場が低調に推移しましたうえ、原材料価格の高止まりも続きましたため、当連結会計年度の売上高は2,798億92百万円(前期比3.6%減)と減収になり、営業利益は131億74百万円(前期比13.8%減)、経常利益は138億47百万円(前期比10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は85億9百万円(前期比28.2%減)と、それぞれ減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
| 売上高 | 営業利益 | |||||
| セグメントの名称 | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) |
| 色材・機能材関連事業 | 74,660 | 67,400 | △9.7 | 5,329 | 3,386 | △36.4 |
| ポリマー・塗加工関連事業 | 66,099 | 65,887 | △0.3 | 6,035 | 6,013 | △0.4 |
| パッケージ関連事業 | 68,047 | 68,071 | 0.0 | 1,491 | 3,058 | 105.0 |
| 印刷・情報関連事業 | 79,378 | 76,680 | △3.4 | 931 | 314 | △66.3 |
| その他 | 7,228 | 7,291 | 0.9 | 1,481 | 424 | △71.4 |
| 計 | 295,413 | 285,332 | △3.4 | 15,269 | 13,197 | △13.6 |
| 調整額 | △5,205 | △5,439 | ― | 6 | △23 | ― |
| 連結 | 290,208 | 279,892 | △3.6 | 15,276 | 13,174 | △13.8 |
a. 色材・機能材関連事業
高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、スマートフォンやテレビ需要の低調が続き、特に高品位品を扱う国内や韓国の顧客での稼働が悪化し、売上が伸び悩むとともに、中国や台湾での部材へのコストダウン要請が一層厳しくなり、利益も圧迫されました。
汎用顔料は、印刷インキ用の低調が続きましたうえ、自動車販売の低調に伴い塗料用も伸び悩みました。また、環境規制に伴う供給不足による原材料価格の高騰が続き、販売価格への一部転嫁を進めましたものの、利益の減少を補うまでには至りませんでした。
プラスチック用着色剤は、国内では容器用の伸長が続きましたが、自動車や建材、太陽電池向けなどの高機能製品は伸び悩みました。また東南アジアでの事務機器向けも、低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は674億円(前期比9.7%減)、営業利益は33億86百万円(前期比36.4%減)と、減収減益になりました。
b. ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、高速通信対応の電磁波シールドフィルムなどの開発や拡販が進みましたものの、中国や韓国でのスマートフォン市場の低調や価格競争の激化により、全般的には売上、営業利益とも伸び悩みました。
接着剤は、国内では包装用が堅調に推移しましたうえ、リチウムイオン電池用が自動車向けを中心に伸長しました。また海外では、中国や東南アジア、トルコなどでの拡販が進みました。粘着剤は、ラベル用の需要が堅調に推移し、液晶ディスプレイの偏光板向けの拡販も進みました。
缶用塗料(フィニッシェス)は、環境対応製品の展開が進みましたものの、国内では夏から秋に掛けての天候不順もあり低調が続きました。
これらの結果、当事業全体の売上高は658億87百万円(前期比0.3%減)、営業利益は60億13百万円(前期比0.4%減)と、わずかに減収減益になりました。
c. パッケージ関連事業
国内のグラビアインキは、出版用の需要減少が続きましたうえ、建装材用も前期並みに終わりましたが、食品や飲料などの包装用がプライベートブランドやコンビニエンスストア向けを中心に堅調に推移、中でもバイオマスインキが大きく伸長しました。海外は、中国では伸び悩みましたものの、東南アジアやインドなどでの環境対応製品の拡販が進みました。
また国内外とも、前期からの原材料価格の急騰を受け、コストダウンを徹底するとともに、販売価格への一部転嫁も進めさせていただきました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用が伸び悩みましたものの、エレクトロニクス関連の精密製版の拡販が進みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は680億71百万円(前期比0.0%増)とほぼ前期並みになりましたが、営業利益は30億58百万円(前期比105.0%増)と増益になりました。
d. 印刷・情報関連事業
デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小傾向のなか、国内では製品別にビジネス規模の最適化や同業他社との協業、コストダウンを強力に進める一方、海外ではグローバルな拠点拡充による売上拡大を図り、インドや南米などでの拡販が進みました。さらには、モロッコに販売会社を設立し、成長するアフリカ市場での拡販も図っています。また、最先端技術を活用した高感度UVインキや、オンデマンド印刷向けインクジェット用インキなどの開発や拡販も進みました。
しかし、国内におけるチラシなどの商業印刷や新聞、雑誌などの既存のオフセットインキの需要は、印刷用紙不足もあり、予想以上に減少しました。また、環境規制に伴う供給不足などによる原材料価格の高騰が続き、利益も圧迫されましたなか、販売価格の改定を進めさせていただいております。
これらの結果、当事業全体の売上高は766億80百万円(前期比3.4%減)、営業利益は3億14百万円(前期比66.3%減)と、減収減益に終わりました。
e. その他
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は72億91百万円(前期比0.9%増)と増収のなか、グローバル統合システム関連費用や退職給付費用などの増加により、営業利益は4億24百万円(前期比71.4%減)と減益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
| 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | 増減(百万円) | |
| 総資産 | 371,610 | 376,130 | 4,520 |
| 負債 | 150,518 | 149,237 | △1,281 |
| 純資産 | 221,091 | 226,892 | 5,801 |
当連結会計年度末における総資産は3,761億30百万円で、前連結会計年度末より45億20百万円増加しました。負債は1,492億37百万円で、前連結会計年度末より12億81百万円減少しました。純資産は2,268億92百万円で、前連結会計年度末より58億1百万円増加しました。
当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円高外貨安に振れたため、海外子会社で保有する資産、負債及び為替換算調整勘定が減少しました。一方、株価上昇もあり、投資有価証券及び退職給付に係る資産が、それぞれ増加しました。それに伴い、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額も、それぞれ増加しました。
② キャッシュ・フローの状況
| 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | 増減(百万円) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 19,197 | 19,673 | 476 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △10,828 | △10,404 | 424 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △5,695 | △6,247 | △551 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 50,958 | 53,765 | 2,806 |
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より28億6百万円増加し、537億65百万円となりました。
営業活動により得られた資金は196億73百万円(前連結会計年度比4億76百万円増)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。
投資活動により使用した資金は104億4百万円(前連結会計年度比4億24百万円減)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。
財務活動により使用した資金は62億47百万円(前連結会計年度比5億51百万円増)となりました。借入金の返済や配当金の支払いに伴う支出などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 色材・機能材関連事業 | 73,368 | △10.0 |
| ポリマー・塗加工関連事業 | 48,278 | △2.3 |
| パッケージ関連事業 | 51,480 | 0.6 |
| 印刷・情報関連事業 | 48,769 | 4.2 |
| 報告セグメント計 | 221,896 | △3.1 |
| その他 | 209 | △34.7 |
| 合計 | 222,106 | △3.1 |
(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 色材・機能材関連事業 | 65,100 | △10.0 |
| ポリマー・塗加工関連事業 | 65,623 | △0.5 |
| パッケージ関連事業 | 67,328 | 0.1 |
| 印刷・情報関連事業 | 76,641 | △3.4 |
| 報告セグメント計 | 274,693 | △3.6 |
| その他 | 5,198 | △1.5 |
| 合計 | 279,892 | △3.6 |
(注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。
当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比103億15百万円(3.6%)減の2,798億92百万円(計画 2,800億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、国内印刷インキ市場の伸び悩みが続きましたうえ、米中の通商摩擦の長期化に伴う中国景気やスマートフォンを始めとする高機能製品の消費市場の減速がありましたことに加え、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の目減りもあり、減収となりました。
営業利益は、前期比21億2百万円(13.8%)減の131億74百万円(計画 133億円)となりました。高機能製品が伸び悩みましたことに加え、原材料価格の高止まりが続きましたなか、コストダウンを徹底するとともに、販売価格への一部転嫁を進めましたものの、利益の減少を補うまでには至りませんでした。
経常利益は、営業利益が減少したものの、為替差損の減少により、前期比15億82百万円(10.3%)減の138億47百万円(計画 135億円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加え、特別損失が増加したため、前期比33億38百万円(28.2%)減の85億9百万円(計画 85億円)となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
b. 財政状態の分析
財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、成長事業や地域への積極的な設備投資などにより、以下となりました。
色材・機能材関連事業の資産1,038億55百万円(前期末より1億37百万円減少)。
ポリマー・塗加工関連事業の資産827億60百万円(前期末より26億87百万円増加)。
パッケージ関連事業の資産840億33百万円(前期末より28億69百万円増加)。
印刷・情報関連事業の資産957億3百万円(前期末より13億51百万円減少)。
その他関連事業の資産97億77百万円(前期末より4億51百万円増加)。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、政策保有株式の売却などにより、537億65百万円と前期末より増加しており、有利子負債については、595億7百万円と前期末より減少しております。これにより、DEレシオは0.29倍と圧縮され、さらに財務体質は強固になってきております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。
当連結会計年度では、為替は比較的に安定して推移し、ナフサ価格も年度の後半には下落したものの、中国などでの環境規制強化に伴う需給バランスの悪化による原材料価格の高止まりは解消されず、営業利益を悪化させる要因となりました。次期につきましても、ナフサ価格は落ち着きを見せてきたものの、需給バランスの悪化は解消されず、原材料価格の高止まりは続くものと見込まれます。これに対し、当企業グループでは、調達手段の多様化やアライアンスの強化、代替原料の検討や樹脂の内製化などをはじめ、さまざまなコストダウンを進めるとともに、高機能製品へのシフトや、販売価格への適切な転嫁も図ってまいります。
その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。
④ 経営戦略の現状と見通し
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指しています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。
この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」では、当企業グループが持続的に成長していくための礎を創り上げる期間と位置づけており、具体的には、成長に向けた既存事業の変革と新事業への挑戦や、持続可能性向上に向けたモノづくり革新の推進、経営基盤の刷新を進めております。中期経営計画の二年目となる当連結会計年度におきましては、事業環境の悪化により業績は伸び悩みましたものの、事業領域の拡大や構造改革、経営資源の強化は着実に進めております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。
なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施していきます。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
今後の経済環境は、世界的に緩やかな回復が続くと期待されます一方、新型コロナウィルスに伴う影響もあり、減速懸念が次第に高まりつつあります。また、当企業グループにおいても、需要の伸び悩みに加え、原材料の調達環境悪化に伴う価格の高止まりが続くものと予想されます。
このような厳しい事業環境ではありますが、長期構想の第一ステップであり、当企業グループの礎を創り上げる期間と位置付けた中期経営計画「SIC-Ⅰ」の最終年度として、次期は、今までの試行錯誤を踏まえて、選択と集中の指向で事業の構造改革や企業体質の強化をさらに進め、事業別には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの活動を実行することで、長期構想の実現に向かって着実な成果を積み重ねてまいります。
さらには、フィリピンの連結子会社における不適切な会計処理が行われていた問題を深く反省し、事業活動を推進していく基盤として、グローバルでのガバナンス体制の改善に取り組むとともに、拡大する事業分野に対応する品質保証体制の強化を図ってまいります。
なお、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高2,900億円、営業利益150億円、経常利益155億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円となっております。