有価証券報告書-第183期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化により、個人消費や企業活動を中心に急速な悪化が進み、依然として収束の見通しが立たない状況が続いております。
このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは次の3つを年度の方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。
第一の方針である「積極的に拡大させる事業への社内外との連携強化、重点投資による着実な成果の創出」では、環境問題に関する危機意識の世界的な高まりや、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会の変化に対しても、新たな価値を提供することに取り組んできました。テレワーク需要が拡大するなか、液晶パネル需要がシフトしている中国市場で液晶ディスプレイカラーフィルター用材料の販売を拡大させるとともに、高速通信対応のモバイル端末向け塗工材料の開発や拡販も進めました。また、循環型社会の実現に向けてバイオマスインキや環境調和型粘着剤の展開に注力しましたことに加え、電気自動車の普及が促進されてきたことに伴い、車載用リチウムイオン電池材料の北米や欧州での供給体制構築に着手し、日本、中国と合わせた自動車4大市場へのビジネス展開の礎を整えました。さらに、安心・安全・衛生への関心が高まるなか、印刷物に抗菌性を付与する印刷インキを開発しましたほか、メディカル・ヘルスケア事業で生産能力増強と最新規制への対応を図るため、貼付型医薬品新工場の建設に着手しました。
第二の方針である「生販技一体となったコストダウン、利益創出による事業やエリアの構造改革の確実な実行」については、デジタル化に伴い市場が縮小している国内の印刷・情報関連事業で構造改革を進め、同業他社とのアライアンスにより生産を最適化するとともに、人員の配置転換により組織のダウンサイジングを実行しました。一方、中国や東南アジア、インド、トルコなどの新興国では、生活必需品の需要拡大を今後も見込んでおり、パッケージ関連のインキや接着剤の生産設備増強を進めました。また、着色剤事業では、グローバルでの事業体制を見直し、収益が低迷していたヨーロッパや東南アジアの一部拠点について撤退を進めました。
第三の方針である「業務改革への間断なき挑戦の繰り返しによる大胆な変化」については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務での新しい働き方のトライアルを人事制度面、システム面、ファシリティ面で行ったことに加え、海外グループ会社での設備立ち上げや技術支援をリモートで行うことで業務の効率化とコスト削減を実現しました。また、プライベートショウや日常の販促活動においても、リアルとデジタルを融合させた新しいマーケティング活動を推進しました。さらには、前連結会計年度に判明したフィリピンの子会社における不適切な会計処理に対する改善として、グループ全体で内部統制の再構築を進めました。
しかし、世界的な消費活動の停滞に伴う販売の伸び悩みに加え、原材料の調達や生産活動への支障が発生するなど、非常に厳しい状況が続き、当連結会計年度の売上高は2,576億75百万円(前期比7.9%減)と減収になり、営業利益は129億9百万円(前期比2.0%減)、経常利益は125億43百万円(前期比9.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は60億19百万円(前期比29.3%減)と、それぞれ減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
a. 色材・機能材関連事業
高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大などにより、前半は大型テレビやスマートフォン向けが低調でしたものの、後半に回復してきましたうえ、パソコンやタブレット向けが伸長しました。一方、中国への市場シフトによりコストダウン要請が厳しくなり、利益は圧迫されました。
汎用顔料は、印刷インキ用の低調が通年続きましたうえ、前半の自動車販売の落ち込みに伴い塗料用も低調に推移しました。
プラスチック用着色剤は、国内では衛生関連の容器用が伸長しましたが、外出自粛やインバウンド市場の落ち込みに伴い、飲料キャップ用や化粧品容器用などが伸び悩みましたうえ、建材や太陽電池向けなどの販売も減少しました。また東南アジアでの事務機器向けや、北米や欧州の自動車向けも低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は616億42百万円(前期比8.5%減)、営業利益は26億10百万円(前期比22.9%減)と、減収減益になりました。
b. ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、スマートフォン向けが前半はサプライチェーンの寸断や需要減少で低迷しましたものの、後半は回復してきましたうえ、高速通信対応の電磁波シールドフィルムの開発や拡販が進みました。
接着剤は、国内では包装用が堅調に推移しましたものの、リチウムイオン電池用は伸び悩みました。また海外では、新型コロナウイルスに伴う事業活動の一時停止により、中国や東南アジアが低調となりました。粘着剤は、国内で自動車向けが伸び悩みましたが、ラベル用は堅調に推移し、ディスプレイ保護用などの拡販が国内外で進みました。
缶用塗料(フィニッシェス)は、国内では外出自粛に伴いアルコール飲料缶用が伸長しましたが、自動販売機やコンビニエンスストア向けのコーヒーや清涼飲料缶用は伸び悩みましたうえ、中国や北米でも低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は623億28百万円(前期比5.4%減)、営業利益は59億37百万円(前期比1.3%減)と、減収減益になりました。
c. パッケージ関連事業
国内のグラビアインキは、主力の包装用でインバウンド需要は落ち込みましたものの、外出自粛に伴い冷食やレトルト等の家庭用食品向けや、衛生商品向けの販売が堅調に推移し、中でもバイオマスインキが伸長しました。一方、出版用の需要減少が続きましたうえ、建装材用も低調に推移し、溶剤や機器販売も減少しました。
海外では、中国や東南アジア、インドなどで、顧客や自社拠点の操業停止に伴う影響を受けましたものの、生活必需品として比較的に早く稼働を回復できましたうえ、環境対応製品の拡販も進みました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用が後半に伸び悩みましたが、エレクトロニクス関連の精密製版の拡販は進みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は665億89百万円(前期比2.2%減)と減収になりましたが、営業利益は38億85百万円(前期比27.1%増)と増益になりました。
d. 印刷・情報関連事業
デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小が続くなか、国内ではビジネス規模の最適化や同業他社との協業、コストダウンを強力に進め、利益の確保を図る一方、海外ではグローバルな拠点拡充を図りました。また、高感度UVインキや、オンデマンド印刷向けインクジェット用インキなどの開発や拡販にも取り組みましたうえ、環境規制に伴う原材料価格上昇の一部を転嫁させていただくため、販売価格の改定も進めております。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大や長期化に伴い、国内では外出自粛やイベント中止などでチラシや広告などの印刷物が減少し、インキの需要減少が進みました。また中国やインドなど一部地域では事業活動の一時停止も余儀なくされました。
これらの結果、当事業全体の売上高は655億95百万円(前期比14.5%減)、営業利益は2億47百万円(前期比21.2%減)と、減収減益になりました。
e. その他
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は62億29百万円(前期比14.6%減)と減収になりましたうえ、役務提供の対価の見直しや退職給付費用の増加などにより、営業利益は2億34百万円(前期比44.6%減)と減益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
当連結会計年度末における総資産は3,802億27百万円で、前連結会計年度末より40億96百万円増加しました。負債は1,629億2百万円で、前連結会計年度末より136億64百万円増加しました。純資産は2,173億25百万円で、前連結会計年度末より95億67百万円減少しました。
当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円高外貨安に振れたため、海外子会社で保有する資産及び負債、為替換算調整勘定が減少しました。また、売上高の減収に伴い、受取手形及び売掛金と支払手形及び買掛金が減少しました。さらに、日本国内の株価下落を反映し、投資有価証券、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金が減少しました。一方、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備え、新規の長期借入や、短期から長期への借り換えを実施したため、現金及び預金、長期借入金は増加し、短期借入金が減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より193億52百万円増加し、731億17百万円となりました。
営業活動により得られた資金は167億43百万円(前連結会計年度比29億30百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。
投資活動により使用した資金は132億94百万円(前連結会計年度比28億90百万円増)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。
財務活動により得られた資金は162億21百万円(前連結会計年度比224億69百万円増)となりました。新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備えた新規借入金による資金の増加や配当金の支払いによる資金の減少などがありました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。
当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
a.固定資産の減損
当企業グループは、資産においては管理会計上の区分を基準にグルーピングし、遊休資産及び賃貸資産においては個別物件単位でグルーピングを行っております。収益力の低下や時価の下落が著しい資産グループについては、割引前将来キャッシュ・フローの見積りを行い、資産グループの帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当該処理については、決算時点での入手可能な情報に基づき、合理的に判断していますが、不確実な経済条件の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となることがあります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当企業グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の事業計画に基づいた課税所得見込額を考慮しており、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上しております。しかしながら、不確実な経済条件の変動により、将来の課税所得が予測と異なり、繰延税金資産の修正が必要となる場合には、当企業グループの経営成績や財政状況に影響を与えることになります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しており、上記した割引前将来キャッシュ・フローの見積りや、将来の事業計画に基づいた課税所得見込額については、当該仮定を前提に算出しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比222億16百万円(7.9%)減の2,576億75百万円(期初計画 2,900億円、2020年8月6日公表修正計画 2,600億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化による世界的な消費活動の停滞に伴う販売の伸び悩みに加え、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の目減りもあり、減収となりました。
営業利益は、前期比2億64百万円(2.0%)減の129億9百万円(期初計画 150億円、修正計画 120憶円)となりました。環境調和型製品や先端材料などの高付加価値製品の拡販に加え、ナフサ価格の下落や内製化による原材料価格の低減や、コストダウンも徹底したものの、販売の伸び悩みに伴う利益の減少を補うまでには至りませんでした。
経常利益は、営業利益の減少に加え、為替差損の増加により、前期比13億3百万円(9.4%)減の125億43百万円(期初計画 155億円、修正計画 115億円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加え、不採算拠点の整理による損失も発生したため、前期比24億89百万円(29.3%)減の60億19百万円(期初計画 100億円、修正計画 60憶円)となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
b. 財政状態の分析
財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、成長事業や地域への積極的な設備投資などにより、以下となりました。
色材・機能材関連事業の資産1,056億76百万円(前期末より18億21百万円増加)。
ポリマー・塗加工関連事業の資産892億14百万円(前期末より64億54百万円増加)。
パッケージ関連事業の資産861億61百万円(前期末より21億27百万円増加)。
印刷・情報関連事業の資産902億38百万円(前期末より54億65百万円減少)。
その他の事業の資産89億36百万円(前期末より8億40百万円減少)。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備えた新規借入の実施などにより、731億17百万円と前期末より増加しております。これに伴い、手元資金が厚くなり、財務基盤の安定性をより一層高めております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。
また当連結会計年度では、新型コロナウィルスの感染拡大と長期化により、事業活動が大きな支障を受けました。消費活動の停滞に伴って販売が伸び悩む一方で、中国や東南アジア、インドでの操業停止を始め、原材料、労働力、輸配送などの確保が困難になるなか、生活必需品を含む製品の供給に障害が発生しましたが、 グループ会社間の グローバル規模での生産協力や、生産や物流の効率化、原材料の代替対応、感染の抑制などの対策を講じて、これに対処してまいりました。
その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。
④ 経営戦略の現状と見通し
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指しています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。
この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」では、当企業グループが持続的に成長していくための礎を創り上げる期間と位置づけており、「ターゲット設定と具体的な行動でイノベーションの連鎖の起点を立て続けに打つ」のスローガンのもと事業活動を推進してきました。本中期経営計画期間の最終年度となる当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化といった事業環境の悪化により、目標とする業績には及びませんでしたものの、不採算事業や地域での構造改革を実行するとともに、新事業にも資源を投入しております。
第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」(2021年度~2023年度)においては、新型コロナウイルスの影響により変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、3つの基本方針「事業の収益力強化」「重点開発領域の創出と拡大」「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」のもと、その実現に取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。
なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施していきます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備え、新規借入を実施することで手元資金を厚くするとともに、短期から長期への借り換えも実施し、財務基盤の安定性をより一層高めております。有利子負債は、813億86百万円と増加しておりますが、一方で現預金も増加しております。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
今後の経済環境は、新型コロナウイルスの感染長期化を前提とする新しい生活様式への対応が進むなかで緩やかな回復が期待されます一方、引き続き経済活動が一定程度抑制されることによる減速懸念も高まりつつあります。また、当企業グループにおいても、原材料価格の上昇など、厳しい事業環境が続くものと予想されます。
このような厳しい事業環境ではありますが、長期構想の第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」においては、新型コロナウイルスの影響により変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、その一年目となる次期は、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、事業別には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの活動を実行することで、長期構想の実現に向かって着実な成果を積み重ねてまいります。
なお、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高2,700億円、営業利益140億円、経常利益140億円、親会社株主に帰属する当期純利益75億円となっております。
当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
| (単位:百万円) | ||||
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | |
| 2020年12月期 | 257,675 | 12,909 | 12,543 | 6,019 |
| 伸長率(%) | △7.9 | △2.0 | △9.4 | △29.3 |
| 2019年12月期 | 279,892 | 13,174 | 13,847 | 8,509 |
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化により、個人消費や企業活動を中心に急速な悪化が進み、依然として収束の見通しが立たない状況が続いております。
このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは次の3つを年度の方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。
第一の方針である「積極的に拡大させる事業への社内外との連携強化、重点投資による着実な成果の創出」では、環境問題に関する危機意識の世界的な高まりや、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う社会の変化に対しても、新たな価値を提供することに取り組んできました。テレワーク需要が拡大するなか、液晶パネル需要がシフトしている中国市場で液晶ディスプレイカラーフィルター用材料の販売を拡大させるとともに、高速通信対応のモバイル端末向け塗工材料の開発や拡販も進めました。また、循環型社会の実現に向けてバイオマスインキや環境調和型粘着剤の展開に注力しましたことに加え、電気自動車の普及が促進されてきたことに伴い、車載用リチウムイオン電池材料の北米や欧州での供給体制構築に着手し、日本、中国と合わせた自動車4大市場へのビジネス展開の礎を整えました。さらに、安心・安全・衛生への関心が高まるなか、印刷物に抗菌性を付与する印刷インキを開発しましたほか、メディカル・ヘルスケア事業で生産能力増強と最新規制への対応を図るため、貼付型医薬品新工場の建設に着手しました。
第二の方針である「生販技一体となったコストダウン、利益創出による事業やエリアの構造改革の確実な実行」については、デジタル化に伴い市場が縮小している国内の印刷・情報関連事業で構造改革を進め、同業他社とのアライアンスにより生産を最適化するとともに、人員の配置転換により組織のダウンサイジングを実行しました。一方、中国や東南アジア、インド、トルコなどの新興国では、生活必需品の需要拡大を今後も見込んでおり、パッケージ関連のインキや接着剤の生産設備増強を進めました。また、着色剤事業では、グローバルでの事業体制を見直し、収益が低迷していたヨーロッパや東南アジアの一部拠点について撤退を進めました。
第三の方針である「業務改革への間断なき挑戦の繰り返しによる大胆な変化」については、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務での新しい働き方のトライアルを人事制度面、システム面、ファシリティ面で行ったことに加え、海外グループ会社での設備立ち上げや技術支援をリモートで行うことで業務の効率化とコスト削減を実現しました。また、プライベートショウや日常の販促活動においても、リアルとデジタルを融合させた新しいマーケティング活動を推進しました。さらには、前連結会計年度に判明したフィリピンの子会社における不適切な会計処理に対する改善として、グループ全体で内部統制の再構築を進めました。
しかし、世界的な消費活動の停滞に伴う販売の伸び悩みに加え、原材料の調達や生産活動への支障が発生するなど、非常に厳しい状況が続き、当連結会計年度の売上高は2,576億75百万円(前期比7.9%減)と減収になり、営業利益は129億9百万円(前期比2.0%減)、経常利益は125億43百万円(前期比9.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は60億19百万円(前期比29.3%減)と、それぞれ減益になりました。
セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。
| 売上高 | 営業利益 | |||||
| セグメントの名称 | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 前連結 会計年度 (百万円) | 当連結 会計年度 (百万円) | 増減率 (%) |
| 色材・機能材関連事業 | 67,400 | 61,642 | △8.5 | 3,386 | 2,610 | △22.9 |
| ポリマー・塗加工関連事業 | 65,887 | 62,328 | △5.4 | 6,013 | 5,937 | △1.3 |
| パッケージ関連事業 | 68,071 | 66,589 | △2.2 | 3,058 | 3,885 | 27.1 |
| 印刷・情報関連事業 | 76,680 | 65,595 | △14.5 | 314 | 247 | △21.2 |
| その他 | 7,291 | 6,229 | △14.6 | 424 | 234 | △44.6 |
| 計 | 285,332 | 262,384 | △8.0 | 13,197 | 12,916 | △2.1 |
| 調整額 | △5,439 | △4,708 | ― | △23 | △7 | ― |
| 連結 | 279,892 | 257,675 | △7.9 | 13,174 | 12,909 | △2.0 |
a. 色材・機能材関連事業
高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大などにより、前半は大型テレビやスマートフォン向けが低調でしたものの、後半に回復してきましたうえ、パソコンやタブレット向けが伸長しました。一方、中国への市場シフトによりコストダウン要請が厳しくなり、利益は圧迫されました。
汎用顔料は、印刷インキ用の低調が通年続きましたうえ、前半の自動車販売の落ち込みに伴い塗料用も低調に推移しました。
プラスチック用着色剤は、国内では衛生関連の容器用が伸長しましたが、外出自粛やインバウンド市場の落ち込みに伴い、飲料キャップ用や化粧品容器用などが伸び悩みましたうえ、建材や太陽電池向けなどの販売も減少しました。また東南アジアでの事務機器向けや、北米や欧州の自動車向けも低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は616億42百万円(前期比8.5%減)、営業利益は26億10百万円(前期比22.9%減)と、減収減益になりました。
b. ポリマー・塗加工関連事業
塗工材料は、スマートフォン向けが前半はサプライチェーンの寸断や需要減少で低迷しましたものの、後半は回復してきましたうえ、高速通信対応の電磁波シールドフィルムの開発や拡販が進みました。
接着剤は、国内では包装用が堅調に推移しましたものの、リチウムイオン電池用は伸び悩みました。また海外では、新型コロナウイルスに伴う事業活動の一時停止により、中国や東南アジアが低調となりました。粘着剤は、国内で自動車向けが伸び悩みましたが、ラベル用は堅調に推移し、ディスプレイ保護用などの拡販が国内外で進みました。
缶用塗料(フィニッシェス)は、国内では外出自粛に伴いアルコール飲料缶用が伸長しましたが、自動販売機やコンビニエンスストア向けのコーヒーや清涼飲料缶用は伸び悩みましたうえ、中国や北米でも低調に推移しました。
これらの結果、当事業全体の売上高は623億28百万円(前期比5.4%減)、営業利益は59億37百万円(前期比1.3%減)と、減収減益になりました。
c. パッケージ関連事業
国内のグラビアインキは、主力の包装用でインバウンド需要は落ち込みましたものの、外出自粛に伴い冷食やレトルト等の家庭用食品向けや、衛生商品向けの販売が堅調に推移し、中でもバイオマスインキが伸長しました。一方、出版用の需要減少が続きましたうえ、建装材用も低調に推移し、溶剤や機器販売も減少しました。
海外では、中国や東南アジア、インドなどで、顧客や自社拠点の操業停止に伴う影響を受けましたものの、生活必需品として比較的に早く稼働を回復できましたうえ、環境対応製品の拡販も進みました。
グラビアのシリンダー製版事業は、包装用が後半に伸び悩みましたが、エレクトロニクス関連の精密製版の拡販は進みました。
これらの結果、当事業全体の売上高は665億89百万円(前期比2.2%減)と減収になりましたが、営業利益は38億85百万円(前期比27.1%増)と増益になりました。
d. 印刷・情報関連事業
デジタル化に伴う情報系印刷市場の縮小が続くなか、国内ではビジネス規模の最適化や同業他社との協業、コストダウンを強力に進め、利益の確保を図る一方、海外ではグローバルな拠点拡充を図りました。また、高感度UVインキや、オンデマンド印刷向けインクジェット用インキなどの開発や拡販にも取り組みましたうえ、環境規制に伴う原材料価格上昇の一部を転嫁させていただくため、販売価格の改定も進めております。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大や長期化に伴い、国内では外出自粛やイベント中止などでチラシや広告などの印刷物が減少し、インキの需要減少が進みました。また中国やインドなど一部地域では事業活動の一時停止も余儀なくされました。
これらの結果、当事業全体の売上高は655億95百万円(前期比14.5%減)、営業利益は2億47百万円(前期比21.2%減)と、減収減益になりました。
e. その他
上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしていますが、売上高は62億29百万円(前期比14.6%減)と減収になりましたうえ、役務提供の対価の見直しや退職給付費用の増加などにより、営業利益は2億34百万円(前期比44.6%減)と減益になりました。
財政状態につきましては、次のとおりです。
| 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | 増減(百万円) | |
| 総資産 | 376,130 | 380,227 | 4,096 |
| 負債 | 149,237 | 162,902 | 13,664 |
| 純資産 | 226,892 | 217,325 | △9,567 |
当連結会計年度末における総資産は3,802億27百万円で、前連結会計年度末より40億96百万円増加しました。負債は1,629億2百万円で、前連結会計年度末より136億64百万円増加しました。純資産は2,173億25百万円で、前連結会計年度末より95億67百万円減少しました。
当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円高外貨安に振れたため、海外子会社で保有する資産及び負債、為替換算調整勘定が減少しました。また、売上高の減収に伴い、受取手形及び売掛金と支払手形及び買掛金が減少しました。さらに、日本国内の株価下落を反映し、投資有価証券、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金が減少しました。一方、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備え、新規の長期借入や、短期から長期への借り換えを実施したため、現金及び預金、長期借入金は増加し、短期借入金が減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
| 前連結会計年度(百万円) | 当連結会計年度(百万円) | 増減(百万円) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 19,673 | 16,743 | △2,930 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △10,404 | △13,294 | △2,890 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △6,247 | 16,221 | 22,469 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 53,765 | 73,117 | 19,352 |
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より193億52百万円増加し、731億17百万円となりました。
営業活動により得られた資金は167億43百万円(前連結会計年度比29億30百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。
投資活動により使用した資金は132億94百万円(前連結会計年度比28億90百万円増)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。
財務活動により得られた資金は162億21百万円(前連結会計年度比224億69百万円増)となりました。新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備えた新規借入金による資金の増加や配当金の支払いによる資金の減少などがありました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 色材・機能材関連事業 | 70,931 | △3.3 |
| ポリマー・塗加工関連事業 | 47,462 | △1.7 |
| パッケージ関連事業 | 50,486 | △1.9 |
| 印刷・情報関連事業 | 42,338 | △13.2 |
| 報告セグメント計 | 211,218 | △4.8 |
| その他 | 178 | △15.0 |
| 合計 | 211,397 | △4.8 |
(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 色材・機能材関連事業 | 59,365 | △8.8 |
| ポリマー・塗加工関連事業 | 62,050 | △5.4 |
| パッケージ関連事業 | 65,977 | △2.0 |
| 印刷・情報関連事業 | 65,577 | △14.4 |
| 報告セグメント計 | 252,971 | △7.9 |
| その他 | 4,704 | △9.5 |
| 合計 | 257,675 | △7.9 |
(注) 1 上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。
当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
a.固定資産の減損
当企業グループは、資産においては管理会計上の区分を基準にグルーピングし、遊休資産及び賃貸資産においては個別物件単位でグルーピングを行っております。収益力の低下や時価の下落が著しい資産グループについては、割引前将来キャッシュ・フローの見積りを行い、資産グループの帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当該処理については、決算時点での入手可能な情報に基づき、合理的に判断していますが、不確実な経済条件の変化や地価の変動等、前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となることがあります。
b.繰延税金資産の回収可能性
当企業グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の事業計画に基づいた課税所得見込額を考慮しており、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲内で繰延税金資産を計上しております。しかしながら、不確実な経済条件の変動により、将来の課税所得が予測と異なり、繰延税金資産の修正が必要となる場合には、当企業グループの経営成績や財政状況に影響を与えることになります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しており、上記した割引前将来キャッシュ・フローの見積りや、将来の事業計画に基づいた課税所得見込額については、当該仮定を前提に算出しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前期比222億16百万円(7.9%)減の2,576億75百万円(期初計画 2,900億円、2020年8月6日公表修正計画 2,600億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化による世界的な消費活動の停滞に伴う販売の伸び悩みに加え、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の目減りもあり、減収となりました。
営業利益は、前期比2億64百万円(2.0%)減の129億9百万円(期初計画 150億円、修正計画 120憶円)となりました。環境調和型製品や先端材料などの高付加価値製品の拡販に加え、ナフサ価格の下落や内製化による原材料価格の低減や、コストダウンも徹底したものの、販売の伸び悩みに伴う利益の減少を補うまでには至りませんでした。
経常利益は、営業利益の減少に加え、為替差損の増加により、前期比13億3百万円(9.4%)減の125億43百万円(期初計画 155億円、修正計画 115億円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加え、不採算拠点の整理による損失も発生したため、前期比24億89百万円(29.3%)減の60億19百万円(期初計画 100億円、修正計画 60憶円)となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
b. 財政状態の分析
財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、成長事業や地域への積極的な設備投資などにより、以下となりました。
色材・機能材関連事業の資産1,056億76百万円(前期末より18億21百万円増加)。
ポリマー・塗加工関連事業の資産892億14百万円(前期末より64億54百万円増加)。
パッケージ関連事業の資産861億61百万円(前期末より21億27百万円増加)。
印刷・情報関連事業の資産902億38百万円(前期末より54億65百万円減少)。
その他の事業の資産89億36百万円(前期末より8億40百万円減少)。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備えた新規借入の実施などにより、731億17百万円と前期末より増加しております。これに伴い、手元資金が厚くなり、財務基盤の安定性をより一層高めております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。
また当連結会計年度では、新型コロナウィルスの感染拡大と長期化により、事業活動が大きな支障を受けました。消費活動の停滞に伴って販売が伸び悩む一方で、中国や東南アジア、インドでの操業停止を始め、原材料、労働力、輸配送などの確保が困難になるなか、生活必需品を含む製品の供給に障害が発生しましたが、 グループ会社間の グローバル規模での生産協力や、生産や物流の効率化、原材料の代替対応、感染の抑制などの対策を講じて、これに対処してまいりました。
その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、CSR統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。
④ 経営戦略の現状と見通し
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指しています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。
この長期構想の第一ステップとなる中期経営計画「SIC-Ⅰ」では、当企業グループが持続的に成長していくための礎を創り上げる期間と位置づけており、「ターゲット設定と具体的な行動でイノベーションの連鎖の起点を立て続けに打つ」のスローガンのもと事業活動を推進してきました。本中期経営計画期間の最終年度となる当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化といった事業環境の悪化により、目標とする業績には及びませんでしたものの、不採算事業や地域での構造改革を実行するとともに、新事業にも資源を投入しております。
第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」(2021年度~2023年度)においては、新型コロナウイルスの影響により変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、3つの基本方針「事業の収益力強化」「重点開発領域の創出と拡大」「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」のもと、その実現に取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。
なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施していきます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化に備え、新規借入を実施することで手元資金を厚くするとともに、短期から長期への借り換えも実施し、財務基盤の安定性をより一層高めております。有利子負債は、813億86百万円と増加しておりますが、一方で現預金も増加しております。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
今後の経済環境は、新型コロナウイルスの感染長期化を前提とする新しい生活様式への対応が進むなかで緩やかな回復が期待されます一方、引き続き経済活動が一定程度抑制されることによる減速懸念も高まりつつあります。また、当企業グループにおいても、原材料価格の上昇など、厳しい事業環境が続くものと予想されます。
このような厳しい事業環境ではありますが、長期構想の第二ステップである中期経営計画「SIC-Ⅱ」においては、新型コロナウイルスの影響により変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、その一年目となる次期は、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、事業別には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの活動を実行することで、長期構想の実現に向かって着実な成果を積み重ねてまいります。
なお、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高2,700億円、営業利益140億円、経常利益140億円、親会社株主に帰属する当期純利益75億円となっております。