有価証券報告書-第151期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/30 9:05
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対処すべき課題

(1)現状認識と対処方針について
医薬品事業においては、薬価引下げ、後発医薬品の使用促進などの医療費抑制策が一層強化される中、一方では新製品開発に伴う研究開発費が増大するなど、業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。機能食品事業においても、低価格志向が継続する一方で輸入原料価格が上昇するなど厳しい環境の中、お客様からの品質や食の安全に対する要求はますます厳格化することが予想されます。
このような環境下で当社が目指す姿を実現するためには、従来にも増して改革を推し進め、企業として成長していく必要があり、第147期(平成22年3月期)を初年度とする第四次5ヵ年中期経営計画では「改革と成長」のシナリオを描きました。また、第152期(平成27年3月期)を初年度とする第五次中期経営計画を近く公表する予定です。
医薬品事業においては、泌尿器科や血液内科など当社が得意とする領域をターゲットに、病気でお困りの患者様を最優先に考え、有効性、安全性あるいは患者様のQOL面で他剤に比較して何かひとつでも優れた高品質で特長のある医薬品を創出、提供してまいります。そのため、研究開発では自社創薬、導入およびプロダクト・ライフサイクル・マネジメントを3本柱に開発パイプラインのさらなる充実を図り、着実かつ継続的な新製品の上市を実現します。生産面では高品質な原薬および製品を安定的に供給することによって社会からの信頼を得ることはもとより、ローコスト・マネジメントを推進し、コスト競争力の強化と収益性の向上を目指します。営業面では情報提供活動およびマーケティング活動において効率的かつ科学的な品目管理を実践するとともに、MR 一人当たりの生産性を向上させ、成長させてまいります。
機能食品事業においては、製薬企業としての高い技術力を活かして高品質の製品を提供してまいります。お客様のニーズに合致した製品開発に努め、重点品目やその拡販施策を明確化して効率的かつ計画的な事業推進に取り組み、業容の拡大を通じた成長と安定的収益体質の構築を実現します。
また、当社では「チャレンジ」、「スピード」、「インベスティゲーション」という行動指針を掲げています。綿密な調査・分析に基づく適正かつ迅速な経営判断のもと、重点分野には適切な経営資源配分を行うとともに、「存在意義のある会社」を目指し社員一人ひとりが働き甲斐と誇りを持って前向きに活動できるよう人材育成策の充実や人事諸制度の見直しを推進し、社員のモチベーションアップと成長を積極的に支援してまいります。
(2)株式会社の支配に関する基本方針について
-当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)-
当社は、平成22年5月14日開催の取締役会で決議し、同年6月29日開催の当社定時株主総会において株主の皆様からご承認をいただきました当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「旧対応方針」といいます。)につきまして、その有効期限が平成25年6月27日開催の当社定時株主総会終結の時までとなっておりましたが、当社の企業価値の向上および株主共同の利益確保の観点から、旧対応方針はなお有用であると判断し、所要の修正を加えた上で、旧対応方針と実質的に同一の内容(以下、修正後の対応方針を「本対応方針」といいます。)にて更新することを平成25年5月13日開催の当社取締役会において決定いたしました。
本対応方針につきましては、さらに平成25年6月27日に開催された当社定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただきました。その内容は下記のとおりです。
Ⅰ.基本方針の内容
当社取締役会は、当社株式に対するあらゆる大規模買付行為を否定するものではありません。当社株式に対する大規模買付行為が行われた場合、これに応じるか否かは、最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。もっとも、株主の皆様に適切な判断をしていただくためには、大規模買付者および当社取締役会等からの十分な情報提供と、株主の皆様が検討を行うに相当な期間が必要不可欠であります(本対応方針における「大規模買付行為」および「大規模買付者」の定義等につきましては、後記「Ⅱ.1.大規模買付ルールの概要 ① 大規模買付ルールの対象」をご参照ください。)。また、当社株式を売却せず継続的に保有するお考えの株主の皆様にとりましても、大規模買付者が指向する、当社の顧客、取引先、地域社会および従業員等の利害関係者に対する方針を含む経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であると考えます。
しかしながら、近年では株主の皆様への十分な情報提供もなく、あるいは取締役会からの意見・代替案の提示などを行う期間もないまま、一方的に大量の株式の買付が行われる例が見受けられます。当社株式に対する大規模買付行為が行われる場合、当社の経営戦略の遂行に大きな影響を与えかねませんので、当社取締役会はかかる大規模買付行為の是非につき最終的判断を行う株主の皆様が適切な判断を行うために必要となる情報等を収集・提供し、また大規模買付者の意図する買収後の当社の経営方針が当社株主共同の利益および当社の企業価値の向上に資するものか否かを評価・検討する責務を負うと考えております。また、かかる評価・検討の結果、当該大規模買付行為が当社株主共同の利益および当社の企業価値を害するものであると判断した場合には、買収提案の内容を改善すべく大規模買付者と交渉すると共に、必要な場合は対抗措置を講ずる必要があると考えます。大規模買付ルールは、当社に対する買収行為の一切を排除しようとするものではなく、あくまでも買収行為を行おうとする者が買収条件等について十分な情報を株主の皆様に提供することを確保するとともに、当社取締役会と誠実かつ真摯に交渉する機会と時間を確保し、その結果、当社株主共同の利益および当社の企業価値の確保・向上の観点から、最適な結果を導くものであると考えます。
当社取締役会は、このような基本的な考え方に立ち、大規模買付行為が一定の合理的なルールに従って進められることが当社株主共同の利益および当社の企業価値の確保・向上に資すると考え、以下の通り「大規模買付ルール」を設定し、大規模買付者に対してその遵守を求めます。そして、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は特別委員会の勧告に基づき対抗措置を取ることができるものとします。これは、大規模買付者に対してその情報提供に関する合理的なルールを予め設定し大規模買付者にそのルールの遵守を求めることが、株主の皆様がより適切な判断をするために必要な情報を確保するために必要であると考えられるからです。また、かかるルールを予め設定し透明性を図ることは、かかるルールを設定していない場合に比して、大規模買付者の予見可能性を確保し、当社および当社株主の皆様の利益となるような大規模買付行為に対してまで萎縮的効果を及ぼすことを未然に防止できるものと考えております。
Ⅱ.不適切な支配の防止のための取組み
1.大規模買付ルールの概要
大規模買付ルールとは、当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上を目的として、大規模買付行為が実行される前に、大規模買付者から当社取締役会に対して十分な情報が提供され、それに基づき当社取締役会が一定期間、評価・検討を行い、それらを踏まえて当社株主の皆様が適切な判断ができる状態となった後、初めて大規模買付行為を開始することが認められる、というものです。大規模買付ルールの概要は下記の通りです。
① 大規模買付ルールの対象
本対応方針においては、特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社の株券等(注3)の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社の株券等の買付行為を「大規模買付行為」とし、また当該買付を現に行い又は行おうとする者を「大規模買付者」として、大規模買付ルールの遵守を求めます(ただし、買付行為の前に当該買付につき当社取締役会の承認がある場合を除き、市場買付、公開買付等の具体的な買付方法を問いません。)。
(注1) 特定株主グループとは、当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)およびその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)または当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付等(同法第27条の2第1項に規定する買付等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者およびその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
(注2) 議決権割合とは、特定株主グループの具体的な買付方法に応じて、①特定株主グループが当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者およびその共同保有者である場合は、当該保有者の株券等保有割合(同法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も計算上考慮されるものとします。)または②特定株主グループが当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の大規模買付者およびその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)である場合は、当該大規模買付者および当該特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。議決権割合の算出にあたっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)および発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書および自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
(注3)株券等とは、金融商品取引法第27条の23第1項または同法第27条の2第1項に規定される株券等をいいます。
② 意向表明書の提出
大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、まず当社宛に、大規模買付行為に際して大規模買付ルールに従う旨の誓約文言および下記の事項を記載した書面(以下「意向表明書」といいます。)を当社の定める書式により日本語にて提出していただきます。
(a) 大規模買付者の概要
・氏名または名称および住所または所在地
・代表者の役職および氏名
・会社等の目的および事業の内容
・大株主または大口出資者(所有株式または出資割合上位10名)の概要
・国内連絡先
・設立準拠法
(b) 大規模買付者が現に保有する当社の株式の数、および意向表明書提出前の直近1年間における大規模買付者の当社の株式の取引状況及び株式保有割合並びにそれらの推移
(c) 大規模買付者が提案する大規模買付行為の概要(大規模買付者が大規模買付行為により取得を予定する当社の株式の種類および数、並びに大規模買付行為の目的を含む。)
当社は、大規模買付者から意向表明書の提出があった場合、当社取締役会が適切と認める事項について、適用ある法令および金融商品取引所規則等に従って直ちに当社株主の皆様に対して開示します。
③ 大規模買付情報の提供とその開示
当社はこの意向表明書を受領した日の翌日から起算して5営業日以内に、当社株主の皆様、取締役会および特別委員会が当該大規模買付行為を評価・検討するために提供していただく情報(以下「大規模買付情報」といいます。)のリストを意向表明書に記載していただいた国内連絡先に発送いたしますので、大規模買付者は、かかるリストに従って、当該情報およびこれらを証する書面を当社の定める書式により日本語にて提供していただくこととします。
また、提供していただいた情報だけでは、大規模買付行為の内容および態様等に照らして、株主の皆様、取締役会および特別委員会が当該大規模買付行為を評価・検討するために不十分であると当社取締役会が合理的に判断した場合、当社取締役会が別途請求する追加の情報を提供していただくことがあります。
なお、大規模買付行為の内容および態様等にかかわらず、以下の各条項に関する情報は、提供していただくことになります。
(a) 大規模買付者を含む特定株主グループの概要
・特定株主グループの概要(沿革、具体的名称、住所、設立準拠法、資本構成、出資先、出資先に対する出資割合、代表者の氏名及び経歴)
・特定株主グループおよびその構成員について、法令等違反の事実、有罪判決の有無、判決等の有無、係属中の訴訟関係、反社会的勢力との関係等
・大規模買付者の代表者等の医薬品事業、機能食品事業についての知識や経験等
(b) 大規模買付行為の目的
・意向表明書において開示していただいた目的の詳細
・大規模買付行為が当社の企業価値の向上ないし一般株主の利益の向上に資するか、資すると判断する場合その理由等
(c) 大規模買付行為の方法及び内容
・大規模買付行為の時期、対価の種類およびその金額、買付予定の株式数および買付実行後の株式の所有割合、大規模買付行為の方法の適法性等
・第三者との間における意思連絡の有無、市場外での相対での取得の可能性等
(d) 買付対価の算定根拠及び買付資金の裏付け
・算定の前提事実、算定方法、算定機関、算定に用いた数値情報等
・買付資金の調達方法、手元資金の利用の有無・割合等
(e) 大規模買付行為の完了後に意図する当社の基本的な施策(経営方針、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策、資産活用策等)
(f) 大規模買付行為の後における当社の株主(大規模買付者を除く。)、従業員、取引先その他の当社に係る利害関係者等に対する対応方針
これらの大規模買付情報の提供が完了したと当社取締役会または特別委員会が判断した場合には、当社は適用ある法令および金融商品取引所規則等に従って直ちにその旨を当社株主の皆様に対して開示します。なお、当社取締役会に提供された大規模買付情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を株主の皆様に開示します。
④ 特別委員会
当社は、当社取締役会の判断の合理性、公正性を担保するために、取締役会から独立した組織として、社外監査役または社外有識者3名で構成される特別委員会を設置します(特別委員会の委員は別紙2の通りです。)。
特別委員会は、まず、上記③で大規模買付者から提供される情報が大規模買付情報として十分であるか否かを判断し、不足していると判断する場合には、追加提供を求めるべき情報を取締役会に指示します。特別委員会が大規模買付情報として十分な情報が提供されたと判断した場合は、その旨を取締役会に勧告するものとし、取締役会はその勧告に従ってそれ以上の追加情報の提供を求めず、その勧告のあった日の翌日から後記⑤の取締役会評価期間が開始するものとします。
当社取締役会が当社株主共同の利益および当社の企業価値を確保・向上する目的で対抗措置を取ると判断した場合は、大規模買付ルールの遵守の有無にかかわらず、当社取締役会は対抗措置の発動に先立ち、特別委員会に対し対抗措置の発動の可否を諮問し、特別委員会は当社取締役会の諮問に基づき当社取締役会に対し対抗措置の発動の可否について勧告を行います。特別委員会の判断が、当社株主共同の利益の確保および当社の企業価値の向上に照らし、適切かつ効率的に行われるようにするため、特別委員会は当社の費用で独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタント等)の助言を得ることができるものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、特別委員会の判断に原則として従います。但し、当社取締役会が、特別委員会の判断の前提となる事実認識に重要な齟齬があり、または、特別委員会の判断の根拠が不合理であると判断した場合は、当社取締役会は特別委員会に対し、一度に限り再考を促すことができるものとします。なお、この場合、株主の皆様に対し、当社取締役会が、特別委員会の判断の前提となる事実認識に重要な齟齬があり、または、特別委員会の判断の根拠が不合理であると判断した理由を開示いたします。
また、特別委員会は、対抗措置の発動の可否の他、取締役会が必要に応じて諮問する事項につき取締役会に対し勧告を行います。
大規模買付者は、当社取締役会が特別委員会の勧告を受けて対抗措置を取るか否かに関する決議を行うまでは、大規模買付行為に着手することができないこととします。
⑤ 取締役会評価期間の設定等
当社取締役会は、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、追加で提供をお願いした情報も含めて大規模買付情報の提供が完了した日の翌日から起算して、60日(対価を円貨の現金のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合)または90日(上記以外の大規模買付行為の場合)を取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)として与えられるべきものとします(但し、当社取締役会が、特別委員会の勧告について特別委員会に対し再考を促した場合は、それぞれ最大10日間延長できるものといたしますが、その場合、株主の皆様に対し、延長した理由および延長する日数を開示いたします。なお、特別委員会は取締役会評価期間の期限の遅くとも7日前までに、取締役会に対して勧告を行うこととします。)。大規模買付行為は、取締役会評価期間(前述の勧告期限の延期がなされた場合は、これに伴う延長後の取締役会評価期間)の経過後にのみ開始されるべきものとします。従って、大規模買付行為が、取締役会評価期間の経過前に行われた場合には、大規模買付ルールが遵守されなかったこととなり、当社はそのことのみをもって対抗措置を取ることができるものとします。取締役会評価期間中、当社取締役会は特別委員会、外部専門家等の助言を受けながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、取締役会としての意見を慎重に取り纏め、株主の皆様に開示いたします。また、当社取締役会が必要と判断した場合には、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主の皆様へ代替案を提示することもあります。
2.大規模買付ルールが遵守された場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合は、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案についての反対意見を表明したり、代替案を提示することにより、当社株主の皆様を説得するに留め、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は取りません。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、最終的には、当社株主の皆様において、当該買付提案および当社取締役会が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等をご考慮の上、ご判断していただくためです。
しかしながら、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が以下の①から⑥のいずれかに該当し、当社株主共同の利益および当社の企業価値を著しく損なうと認められる場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を得た上で、当社株主共同の利益および当社の企業価値を守るために対抗措置として、新株予約権を発行することがあります(新株予約権の発行の概要につきましては、後記「4.具体的対抗措置としての新株予約権の発行の概要」をご参照ください。)。
当社取締役会は、必要に応じて大規模買付者と協議・交渉を行い、対抗措置としての新株予約権の発行を決定した後であっても、大規模買付者から大規模買付行為の根幹に関する事項の変更提案が行われるなど、判断の基礎となった事項に重要な変更を加える旨の申し出があった場合には、新株予約権無償割当てに係る権利落ち日の前々営業日までの間であり、かつ株主共同の利益を損なわない場合に限り、新株予約権の発行の中止等、対抗措置の停止を行うことがあります。
なお、当該大規模買付行為が以下の①から⑥のいずれかに該当すると認められない場合は、当社は対抗措置を取りません。特別委員会は、当該大規模買付行為が以下の①から⑥のいずれかに該当すると認められない場合は、対抗措置としての新株予約権の発行が許容されない旨を取締役会に勧告します。
① 経営参加の意思がないのに、株価を吊り上げて高値で株式を当社および当社関係者に引き取らせる目的で行われる買付(いわゆるグリーンメーラー)
② 当社の経営を一時的に支配して、経営に必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客などを大規模買付者等に委譲させる(いわゆる焦土化経営)目的で行われる買付
③ 経営支配後に、当社の資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する目的で行われる買付
④ 当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない高額資産等(ノウハウ、知的財産を含む)を処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって株式を高値で売り抜ける目的で行われる買付
⑤ 上記①から④に定める以外に、大規模買付者が真摯に当社の合理的な経営を目指すものではなく、大規模買付者による当社の支配権の取得が当社に回復しがたい損害をもたらす場合
⑥ 強圧的二段階買収(最初の買付で全株式の買付を勧誘することなく、二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等の株式買付を行うことをいう。)など株主に株券等の売却を事実上強要する恐れがある買収(但し、部分的公開買付であることをもって当然に本号に該当するものではない。)
3.大規模買付ルールが遵守されなかった場合
大規模買付者によって大規模買付ルールが遵守されない場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を得た上で、当社株主共同の利益および当社の企業価値を守るため、対抗措置として、新株予約権を発行することができます。この対抗措置により、結果的にこの大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に、経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。因って大規模買付ルールは、これを無視して大規模買付行為を行うことのないように大規模買付者に対して予め注意を喚起するものでもあります。
4.具体的対抗措置としての新株予約権の発行の概要
① 割当対象株主および発行条件
本対応方針における新株予約権の発行に関する決議を行う時に当社取締役会が定める日(以下「割当期日」といいます。)における最終の株主名簿に記録された株主(社債、株式等の振替に関する法律第152条1項に基づき、当該割当期日に株主名簿に記録されたものとみなされる株主をいいます。以下同じ。)に対し、その保有株式(ただし、当社の保有する当社株式を除きます。)1株につき1個の割合で、新株予約権を割り当てます。
② 目的とする株式の種類および数
新株予約権の目的となる株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権1個あたりの目的となる株式数は、別途調整がない限り1株とします。
③ 発行総数
割当期日における最終の発行済株式総数(ただし、同時点において当社の保有する当社株式の数を除きます。)を上限とします。
④ 発行価額
無償とします。
⑤ 行使に際して払込をなすべき額
新株予約権の行使により交付される株式1株あたりの払込金額は、1円とします。ただし、後記⑨に記載の取得条項付新株予約権を発行する場合には、払込みは必要ありません。
⑥ 行使条件
上記Ⅱ.1.①に定める大規模買付者は、新株予約権を行使することができません。
⑦ 譲渡制限
新株予約権の譲渡については、当社取締役会の承認を要します。
⑧ 行使期間
新株予約権の行使期間については、新株予約権の効力発生日(ただし、新株予約権発行決議において当社取締役会が別途これに代わる日を定めた場合には当該日)を初日とし、1カ月間以上2カ月間以内の範囲で新株予約権の発行決議において取締役会が定めるものとします。ただし、後記⑨に記載の取得条項付新株予約権を発行する場合には、新株予約権の行使は原則として予定されません。
⑨ その他
当社による新株予約権の取得事由その他必要な事項については、当社取締役会が別途定めるものとします。なお、当社が当社株式と引き換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項を付した新株予約権を発行する場合があります。この場合には、大規模買付者と他の株主とで、取得対価等に関し異なる取扱いをすること、または、大規模買付者が保有する新株予約権は取得の対象としないことがあります。
5.本対応方針の有効期間
当社の経営戦略の遂行に当たり中長期的な経営体制・対応を必要とすることから、本対応方針の有効期間は、平成28年6月開催予定の定時株主総会終結の時までとします。
6.本対応方針の廃止および変更
本対応方針の更新後、有効期間の満了前であっても、当社株主総会または当社取締役会において本対応方針を廃止する旨の決議が行なわれた場合には、本対応方針はその時点で廃止されるものとします。
また、本対応方針の有効期間中であっても、当社取締役会は、本対応方針更新に関する当社株主総会の決議の趣旨に反しない範囲で、特別委員会の承認を得た上、本対応方針を見直し、または変更する場合があります。
7.本対応方針の株主・投資家に与える影響等
(1)本対応方針の更新時に株主・投資家の皆様に与える影響等
本対応方針の更新時点においては、新株予約権の発行自体は行われませんので、株主および投資家の皆様の権利・利益に直接具体的な影響が生じることはありません。
(2)新株予約権の発行時に株主に与える影響
当社取締役会が新株予約権発行決議において別途設定する割当期日における株主の皆様に対し、その保有する株式1株につき1個の割合で、新株予約権が無償にて割り当てられます。仮に、株主の皆様が、権利行使期間内に、所定の行使価格相当の金銭の払い込みその他新株予約権の行使にかかる手続きを経なければ、他の株主の皆様による新株予約権の行使により、その保有する当社株式が希釈化することになります(但し、当社が新株予約権を当社株式と引き換えに取得することができると定めた場合には、当社が取得の手続きを取れば、株主の皆様は、行使価格相当の金銭を払い込むことなく、当社による新株予約権の取得の対価として当社株式を受領することとなり、この場合、こうした希釈化は生じません。)。
なお、当社取締役会が新株予約権の発行を中止した場合には、1株当たりの株式の価値の希釈化は生じませんので、株主の皆様が希釈化による格別の損失を被るような事態は想定しておりません。
(3)新株予約権の発行に伴って株主の皆様に必要となる手続き
①新株予約権の割当の手続き
当社取締役会において、新株予約権を発行することを決議した場合には、当社は、新株予約権の割当期日を公告いたします。
その後、当社より、割当期日における最終の株主名簿に記録された株主の皆様に対して、新株予約権無償割当の通知を行います。当該株主の皆様は、当該新株予約権無償割当の効力発生日において、当然に新株予約権者となります。
②新株予約権の行使の手続き
当社は、割当期日における最終の株主名簿に記録された株主の皆様に対して、上記①における新株予約権無償割当の通知と併せて、本新株予約権の行使請求書(株主ご自身が大規模買付者でないこと等の誓約文言を含む当社の所定の書式によるものとします。)その他新株予約権の権利行使に必要な書類を送付いたします。本新株予約権の発行後、株主の皆様においては、権利行使期間内に、これらの必要書類を提出した上、新株予約権1個当たり1円を取扱場所に払い込むことにより、1個の新株予約権につき、1株の当社普通株式が発行されることになります。
但し、当社が新株予約権を当社株式と引き換えに取得することができると定めた場合には、当社が手続きを取れば、当社取締役会が取得の対象として決定した新株予約権を保有する株主の皆様は、行使価格相当の金額を払い込むことなく、当社による当該新株予約権の取得の対価として、当社株式を受領することになります(なお、この場合、かかる株主の皆様には、別途ご自身が大規模買付者でないこと等を誓約する当社の所定の書式による書面をご提出いただくことがあります。)。
Ⅲ.不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
(1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応方針は、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足し、かつ、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の内容を踏まえております。
(2)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって更新されていること
本対応方針は、上述の通り、当社株式に対する大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為が適切なものであるか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために交渉を行うことなどを可能とすることで、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって更新されるものです。
(3)株主意思を重視するものであること
当社は、平成25年6月27日開催の当社定時株主総会において本対応方針の是非につき、株主の皆様のご承認をいただきました。
加えて、本対応方針の有効期限は平成28年の当社定時株主総会終結の時と設定されておりますが、その時点までに当社株主総会において本対応方針を廃止する旨の決議が行われた場合には、本対応方針はその時点で廃止されることになり、株主の皆様の意向が反映されるものとなっています。
(4)独立性の高い社外者の判断を重視していること
当社は、本対応方針の更新にあたり、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために、本対応方針の運用に際しての実質的な判断を客観的に行う機関として特別委員会を設置します。
本対応方針の更新に際し、特別委員会は、社外監査役または社外有識者から構成いたします。
実際に当社に対して大規模買付行為がなされた場合には、特別委員会が、特別委員会規則に従い、大規模買付情報として十分な情報が提供されたか否か、当該買付が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するか否か等を判断し、当社取締役会はその判断に原則として従うこととします。但し、当社取締役会が、対抗措置の発動の可否に関する特別委員会の判断の前提となる事実認識に重要な齟齬があり、または、特別委員会の判断の根拠が不合理であると判断した場合は、当社取締役会は特別委員会に対し、一度に限り再考を促すことができるものとします。
このように、特別委員会によって、当社取締役会の恣意的行動を厳しく監視すると共に、その勧告の概要および判断の理由等については適時に株主の皆様に情報開示することとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に資する範囲で本対応方針の運用が行われる仕組みが確保されております。
(5)合理的な客観的要件を設定していること
本対応方針においては、上述の通り、大規模買付行為に対する対抗措置は合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設計されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
(6)第三者専門家の意見を取得することができること
大規模買付者が出現すると、特別委員会は、必要に応じて、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができるものとされています。これにより、特別委員会による判断の公正さ、客観性がより強く担保される仕組みとなっています。
(7)デッドハンド型またはスローハンド型の買収防衛策ではないこと
上述の通り、本対応方針は、当社株主総会または当社取締役会の決議で廃止することができるものとされており、従って、本対応方針は、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は取締役の任期について、いわゆる期差任期制を採用しておらず、取締役の任期を1年と定めているため、本対応方針はスローハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。