有価証券報告書-第75期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社は、「独創 公正 夢と情熱」を経営綱領のモットーとして掲げ、糖質科学の知見を活かした、独創的な医薬品等を継続して創製し、患者の方々に提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献することを基本方針としています。これにより、医療を含む社会の発展に寄与するとともに、当社の持続的な成長を目指してまいります。また、製薬企業としての社会的使命及び責任を深く自覚し、高い倫理観のもと法令等の遵守を徹底するほか、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、株主をはじめとするステークホルダーの皆さまとの信頼関係の強化に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である2022年3月期の数値目標は、以下の通りです。
<前提条件>① LAL事業を含めた海外売上高の拡大で国内薬価改定の影響をカバー
② 2020年3月期に実施した医薬品事業に係る固定資産の減損により減価償却費が減少
③ 研究開発費の対売上高比率:25~30%
④ 営業外収益に各種受取ロイヤリティーを織り込む
⑤ 為替レート:対米ドル105円
*SKK EBITDA:営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた当社独自の利益指標です。早期の収益基盤の強化を目標とした本中期経営計画の成果を反映する指標として適切であると判断し、数値目標に選定しています。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略と対処すべき課題
≪経営環境≫
医薬品産業を取り巻く経営環境は、国内薬価制度の抜本改革をはじめとした医療費抑制策の進展や、治療選択肢の多様化等に伴う企業間競争の激化に加え、新薬開発の難易度が高まるなか研究開発コストが増大するなど、極めて厳しい状況が継続しています。このようななか、当社が再び成長軌道を描くためには、独創的な新薬を継続的に創製することが必須です。これと並行して、早期の収益改善にスピード感をもって取り組み、既存の枠組みにとらわれない変革を進めていきます。
≪直近の市場環境≫
当社の主力製品である関節機能改善剤の国内市場につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外来受診減少などにより一定の影響を受けています。加えて、高齢者人口の増加があるものの、外用薬や内服薬の処方拡大により、数量ベースでは減少で推移しており、金額ベースでは薬価引き下げの影響も受けて、市場は縮小傾向にあります。
米国市場につきましては、当第1四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を大きく受けましたが、その後、経済活動の再開に伴い回復基調にあります。また、単回投与製品の選好傾向が高まるという追い風がある一方、複数回投与製品には厳しい市場環境となっています。
≪中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の概要≫
Ⅰ. 当社が目指す姿
「独創的な創薬により世界で存在価値のある企業」
糖質科学領域における知見を独自の技術に活用して、真に求められる独創的な新薬を創出し、それらをより広く、グローバルに提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献する、存在価値のある企業を目指します。また、そのベースとして公正かつ誠実な企業活動を推進します。
Ⅱ. 基本理念/スローガン
① 当社の経営綱領(モットー) :独創 公正 夢と情熱
② 当社のミッションステートメント :糖質科学で未来を創る
③ 本中期経営計画スローガン :Innovative Thinking
革新的な思考をもって価値を創造する
Ⅲ. 重点施策
本中期経営計画は、当社が再び成長軌道を描くための収益基盤を強化する期間と位置づけ、次の重点施策に取り組みます。
① 新たな収益の柱となる新薬開発の加速
1) GAG(*)に関連する独自の基盤技術の強化・活用
当社が保有する独自の創薬技術を存分に活かし、創薬の可能性を高めます。
<当社が保有する主な技術>a. 修飾・加工・生理活性による創薬
b. ドラッグデリバリーシステムへの応用
c. プラットフォーム技術活用・次世代GAG創薬アプローチ
2) オープンイノベーション戦略による独創的な創薬の加速
当社保有技術に加え、他社の保有する親和性の高い技術を積極的に取り入れ、シナジーの最大化を図り、新薬開発のプロジェクト数を拡充させるとともに、スピードアップを図ります。
3) グローバル展開を視野に入れた開発パイプラインの着実な進展
変形性関節症治療剤SI-613の承認申請・上市を達成させ、新たな基幹製品として早期に育て上げます。また、間質性膀胱炎治療剤SI-722、癒着防止材SI-449の臨床試験におけるステージアップを目指します。腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603につきましては、第Ⅲ相臨床試験追加試験のスピードアップに注力し、米国上市に向けて全力で取り組みます。
*GAG:グリコサミノグリカン(複合糖質の構成成分の1つ)。ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸等。
② 製品の市場拡大による収益基盤強化
1) 国内ヘルニコアの育薬
適正使用と安全性確保に向けた情報提供活動や市販後の安全性情報集積を最優先に進めつつ、関連学会と連携しながら当局と合意のうえで、使用可能となる医師・施設を段階的に拡げ、着実な市場浸透に努めます。また、疾患啓発活動により、患者の方々の腰椎椎間板ヘルニアに対する認知度向上を促進します。
2) 既存製品・開発品の多国展開の加速
既存製品及び開発品の新規市場開拓を急ぎ、製品価値を最大化させることで、中長期的な収益基盤の強化を図ります。また、導出地域の医療ニーズに合わせた製品改良や用途開発にも積極的に取り組みます。
3) 遺伝子組換え技術を活かしたエンドトキシン測定用試薬の世界展開
当社グループのLAL事業の海外展開を担う子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクにおいて、今後の普及が予想される遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬の世界展開を図り、新たな収益基盤の確保につなげます。
③ 生産性向上のための改革
1) 各種コストの徹底的な低減
製造原価につきましては、既に立ち上げているプロジェクトにより、調達コストの見直しや生産最適化・効率化をさらに進め、製品の収益性確保につなげます。
販管費につきましては、業務効率の向上と予断をもたないコスト削減を徹底するとともに、継続的な創薬活動を推進するために、優先度を見極めた研究開発費の効率的活用に取り組みます。
2) 収益モデルの多角化
これまでのビジネスモデルにとらわれず、新たな収益を生み出すためのスキームを精力的に検討していきます。
3) リソースの価値最大化に向けた組織づくり
事業環境の変化に柔軟に対応し、新しい価値を創造できる人材の育成と、個々のポテンシャルを最大限発揮できる組織改革を進めます。
≪中期経営計画の進捗状況(2021年3月期)≫
2021年3月期における中期経営計画の進捗状況は以下のとおりです。
1つ目の重点施策である、「新たな収益の柱となる新薬開発の加速」では、2021年3月に関節機能改善剤ジョイクル関節注30mg(開発コード:SI-613)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能又は効果で国内製造販売承認を取得し、同年5月に販売を開始しました。関節機能改善剤において、変形性股関節症の適応を持つ国内初の医薬品となります。ジョイクルは、当社独自の薬剤結合技術を用いてヒアルロン酸にジクロフェナク(抗炎症薬)を化学結合した薬剤であり、4週間に1回の投与により変形性関節症(膝関節、股関節)の症状を改善することが期待されます。なお、ジョイクルにつきましては、添付文書の「重大な副作用」の項にてショック、アナフィラキシーに係る注意喚起を行っていましたが、本剤の投与後にショック、アナフィラキシーを発現した患者の方々が複数報告されたことから、同年6月1日に医療関係者向けに安全性速報を発出いたしました。これは、医療関係者の方々に迅速に注意喚起を実施することで、適切な処方・処置を行っていただき患者の方々の安全を確保するためのものです。販売提携先である小野薬品工業と連携のうえ、引き続き副作用報告等の積極的な情報収集に努めるとともに、ジョイクルを適切にご使用いただけるよう、安全性や有用性に関する情報提供に尽力してまいります。 また、2021年1月に間質性膀胱炎治療剤SI-722の米国における第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の被験者組み入れが完了し、主目的であった忍容性を確認したことから、次相試験開始に向けて検討を進めています。
2つ目の「製品の市場拡大による収益基盤強化」では、変形性関節症治療剤SI-613について、エーザイ株式会社と2020年4月に締結した中国における共同開発及び販売提携に関する契約に加え、同年9月に同社と韓国における販売提携契約を締結しました。変形性関節症の中でも罹患頻度が高い変形性膝関節症の有症状患者数は、中国で約4,700万人、韓国で約320万人と推計されており、今後も高齢化の進展により増加していくことが予想されています。
また、2021年4月には海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクが遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマート ネクストジェンを発売いたしました。生化学工業における長年の研究開発の成果に基づき、遺伝子組換え技術を用いて製造する試薬であり、従来品の原材料である天然由来のカブトガニから採取した血液を使用しないことから、環境への配慮に加え、継続的かつ安定的な製品の供給が可能となります。本製品は、日本を含むグローバル展開を進めてまいります。
3つ目に挙げた「生産性向上のための改革」では、2020年3月に子会社化したダルトン ケミカル ラボラトリーズインクへの製造移管が進展しています。今後も、当社が外部委託で製造している化学合成品の内製化や治験薬及び一部当社製品の同社への製造移管を順次進めることで、生産最適化・効率化を図っていきます。
当期は、新型コロナウイルス感染症の影響により働き方が大きく変化し、在宅勤務制度の導入など、就労環境やIT環境の整備を推し進める機会となりました。また、リソースの価値最大化に向けた組織づくりのため、若年層の従業員を研究テーマリーダーや工場における各種責任者に任命し育成を図っているほか、組織改革を目的とした人事諸制度の全面改訂を進めており、本中期経営計画中に適用することを目指しています。
本中期経営計画の2年目にあたる当期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事業環境の変化や感染拡大への対策などの不測の要素があるなか、重点施策に一定の成果をあげることができました。本中期経営計画の最終年度においても引き続き重点施策を推進し、強固な収益基盤の構築に向けて鋭意取り組んでまいります。
≪新型コロナウイルス感染症の影響及び対応≫
当社では、2020年3月より新型コロナウイルス感染症拡大への対応として対策本部を発足し、従業員やその家族の感染防止を最優先にしたうえで、事業継続に必要な業務を遂行できる体制を整備しています。感染防止策としては、在宅勤務や時差出勤を最大限に活用するとともに、職場での従業員間の接触を可能な限り抑える対策を講じています。なお、従業員の安全確保を最優先としつつ、当社医薬品・医療機器の安定供給責任を全うするために生産を継続しています。
業績面につきましては、国内外における緊急事態宣言やロックダウンなどにより一定の影響を受けましたが、徐々に回復傾向にあります。また、当社が実施する国内外の臨床試験の一部につきましては、医療機関での治験中断や被験者の来院見合わせ等の影響が継続しています。引き続き、参加される患者さまや医療関係者の方々の感染防止に十分配慮し適切に試験を実施していきます。
今後とも、製薬会社として社会的責任と安定供給責任を果たすために、速やかな情報収集と状況に応じた対応策を迅速に実施してまいります。
(1)経営の基本方針
当社は、「独創 公正 夢と情熱」を経営綱領のモットーとして掲げ、糖質科学の知見を活かした、独創的な医薬品等を継続して創製し、患者の方々に提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献することを基本方針としています。これにより、医療を含む社会の発展に寄与するとともに、当社の持続的な成長を目指してまいります。また、製薬企業としての社会的使命及び責任を深く自覚し、高い倫理観のもと法令等の遵守を徹底するほか、コーポレート・ガバナンスの充実を図り、株主をはじめとするステークホルダーの皆さまとの信頼関係の強化に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である2022年3月期の数値目標は、以下の通りです。
| 2019年3月期実績 | 2022年3月期目標 | |
| 売 上 高 | 283億円 | 283億円 |
| 経常利益 | 28億円 | 45億円 |
| SKK EBITDA* | 46億円 | 50億円 |
| 海外売上高比率 | 42.2% | 50.0% |
<前提条件>① LAL事業を含めた海外売上高の拡大で国内薬価改定の影響をカバー
② 2020年3月期に実施した医薬品事業に係る固定資産の減損により減価償却費が減少
③ 研究開発費の対売上高比率:25~30%
④ 営業外収益に各種受取ロイヤリティーを織り込む
⑤ 為替レート:対米ドル105円
*SKK EBITDA:営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた当社独自の利益指標です。早期の収益基盤の強化を目標とした本中期経営計画の成果を反映する指標として適切であると判断し、数値目標に選定しています。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略と対処すべき課題
≪経営環境≫
医薬品産業を取り巻く経営環境は、国内薬価制度の抜本改革をはじめとした医療費抑制策の進展や、治療選択肢の多様化等に伴う企業間競争の激化に加え、新薬開発の難易度が高まるなか研究開発コストが増大するなど、極めて厳しい状況が継続しています。このようななか、当社が再び成長軌道を描くためには、独創的な新薬を継続的に創製することが必須です。これと並行して、早期の収益改善にスピード感をもって取り組み、既存の枠組みにとらわれない変革を進めていきます。
≪直近の市場環境≫
当社の主力製品である関節機能改善剤の国内市場につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外来受診減少などにより一定の影響を受けています。加えて、高齢者人口の増加があるものの、外用薬や内服薬の処方拡大により、数量ベースでは減少で推移しており、金額ベースでは薬価引き下げの影響も受けて、市場は縮小傾向にあります。
米国市場につきましては、当第1四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を大きく受けましたが、その後、経済活動の再開に伴い回復基調にあります。また、単回投与製品の選好傾向が高まるという追い風がある一方、複数回投与製品には厳しい市場環境となっています。
≪中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の概要≫
Ⅰ. 当社が目指す姿
「独創的な創薬により世界で存在価値のある企業」
糖質科学領域における知見を独自の技術に活用して、真に求められる独創的な新薬を創出し、それらをより広く、グローバルに提供することを通じて、世界の人々の健康で心豊かな生活に貢献する、存在価値のある企業を目指します。また、そのベースとして公正かつ誠実な企業活動を推進します。
Ⅱ. 基本理念/スローガン
① 当社の経営綱領(モットー) :独創 公正 夢と情熱
② 当社のミッションステートメント :糖質科学で未来を創る
③ 本中期経営計画スローガン :Innovative Thinking
革新的な思考をもって価値を創造する
Ⅲ. 重点施策
本中期経営計画は、当社が再び成長軌道を描くための収益基盤を強化する期間と位置づけ、次の重点施策に取り組みます。
① 新たな収益の柱となる新薬開発の加速
1) GAG(*)に関連する独自の基盤技術の強化・活用
当社が保有する独自の創薬技術を存分に活かし、創薬の可能性を高めます。
<当社が保有する主な技術>a. 修飾・加工・生理活性による創薬
b. ドラッグデリバリーシステムへの応用
c. プラットフォーム技術活用・次世代GAG創薬アプローチ
2) オープンイノベーション戦略による独創的な創薬の加速
当社保有技術に加え、他社の保有する親和性の高い技術を積極的に取り入れ、シナジーの最大化を図り、新薬開発のプロジェクト数を拡充させるとともに、スピードアップを図ります。
3) グローバル展開を視野に入れた開発パイプラインの着実な進展
変形性関節症治療剤SI-613の承認申請・上市を達成させ、新たな基幹製品として早期に育て上げます。また、間質性膀胱炎治療剤SI-722、癒着防止材SI-449の臨床試験におけるステージアップを目指します。腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603につきましては、第Ⅲ相臨床試験追加試験のスピードアップに注力し、米国上市に向けて全力で取り組みます。
*GAG:グリコサミノグリカン(複合糖質の構成成分の1つ)。ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸等。
② 製品の市場拡大による収益基盤強化
1) 国内ヘルニコアの育薬
適正使用と安全性確保に向けた情報提供活動や市販後の安全性情報集積を最優先に進めつつ、関連学会と連携しながら当局と合意のうえで、使用可能となる医師・施設を段階的に拡げ、着実な市場浸透に努めます。また、疾患啓発活動により、患者の方々の腰椎椎間板ヘルニアに対する認知度向上を促進します。
2) 既存製品・開発品の多国展開の加速
既存製品及び開発品の新規市場開拓を急ぎ、製品価値を最大化させることで、中長期的な収益基盤の強化を図ります。また、導出地域の医療ニーズに合わせた製品改良や用途開発にも積極的に取り組みます。
3) 遺伝子組換え技術を活かしたエンドトキシン測定用試薬の世界展開
当社グループのLAL事業の海外展開を担う子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクにおいて、今後の普及が予想される遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬の世界展開を図り、新たな収益基盤の確保につなげます。
③ 生産性向上のための改革
1) 各種コストの徹底的な低減
製造原価につきましては、既に立ち上げているプロジェクトにより、調達コストの見直しや生産最適化・効率化をさらに進め、製品の収益性確保につなげます。
販管費につきましては、業務効率の向上と予断をもたないコスト削減を徹底するとともに、継続的な創薬活動を推進するために、優先度を見極めた研究開発費の効率的活用に取り組みます。
2) 収益モデルの多角化
これまでのビジネスモデルにとらわれず、新たな収益を生み出すためのスキームを精力的に検討していきます。
3) リソースの価値最大化に向けた組織づくり
事業環境の変化に柔軟に対応し、新しい価値を創造できる人材の育成と、個々のポテンシャルを最大限発揮できる組織改革を進めます。
≪中期経営計画の進捗状況(2021年3月期)≫
2021年3月期における中期経営計画の進捗状況は以下のとおりです。
1つ目の重点施策である、「新たな収益の柱となる新薬開発の加速」では、2021年3月に関節機能改善剤ジョイクル関節注30mg(開発コード:SI-613)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能又は効果で国内製造販売承認を取得し、同年5月に販売を開始しました。関節機能改善剤において、変形性股関節症の適応を持つ国内初の医薬品となります。ジョイクルは、当社独自の薬剤結合技術を用いてヒアルロン酸にジクロフェナク(抗炎症薬)を化学結合した薬剤であり、4週間に1回の投与により変形性関節症(膝関節、股関節)の症状を改善することが期待されます。なお、ジョイクルにつきましては、添付文書の「重大な副作用」の項にてショック、アナフィラキシーに係る注意喚起を行っていましたが、本剤の投与後にショック、アナフィラキシーを発現した患者の方々が複数報告されたことから、同年6月1日に医療関係者向けに安全性速報を発出いたしました。これは、医療関係者の方々に迅速に注意喚起を実施することで、適切な処方・処置を行っていただき患者の方々の安全を確保するためのものです。販売提携先である小野薬品工業と連携のうえ、引き続き副作用報告等の積極的な情報収集に努めるとともに、ジョイクルを適切にご使用いただけるよう、安全性や有用性に関する情報提供に尽力してまいります。 また、2021年1月に間質性膀胱炎治療剤SI-722の米国における第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の被験者組み入れが完了し、主目的であった忍容性を確認したことから、次相試験開始に向けて検討を進めています。
2つ目の「製品の市場拡大による収益基盤強化」では、変形性関節症治療剤SI-613について、エーザイ株式会社と2020年4月に締結した中国における共同開発及び販売提携に関する契約に加え、同年9月に同社と韓国における販売提携契約を締結しました。変形性関節症の中でも罹患頻度が高い変形性膝関節症の有症状患者数は、中国で約4,700万人、韓国で約320万人と推計されており、今後も高齢化の進展により増加していくことが予想されています。
また、2021年4月には海外子会社アソシエーツ オブ ケープ コッド インクが遺伝子組換えエンドトキシン測定用試薬パイロスマート ネクストジェンを発売いたしました。生化学工業における長年の研究開発の成果に基づき、遺伝子組換え技術を用いて製造する試薬であり、従来品の原材料である天然由来のカブトガニから採取した血液を使用しないことから、環境への配慮に加え、継続的かつ安定的な製品の供給が可能となります。本製品は、日本を含むグローバル展開を進めてまいります。
3つ目に挙げた「生産性向上のための改革」では、2020年3月に子会社化したダルトン ケミカル ラボラトリーズインクへの製造移管が進展しています。今後も、当社が外部委託で製造している化学合成品の内製化や治験薬及び一部当社製品の同社への製造移管を順次進めることで、生産最適化・効率化を図っていきます。
当期は、新型コロナウイルス感染症の影響により働き方が大きく変化し、在宅勤務制度の導入など、就労環境やIT環境の整備を推し進める機会となりました。また、リソースの価値最大化に向けた組織づくりのため、若年層の従業員を研究テーマリーダーや工場における各種責任者に任命し育成を図っているほか、組織改革を目的とした人事諸制度の全面改訂を進めており、本中期経営計画中に適用することを目指しています。
本中期経営計画の2年目にあたる当期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による事業環境の変化や感染拡大への対策などの不測の要素があるなか、重点施策に一定の成果をあげることができました。本中期経営計画の最終年度においても引き続き重点施策を推進し、強固な収益基盤の構築に向けて鋭意取り組んでまいります。
≪新型コロナウイルス感染症の影響及び対応≫
当社では、2020年3月より新型コロナウイルス感染症拡大への対応として対策本部を発足し、従業員やその家族の感染防止を最優先にしたうえで、事業継続に必要な業務を遂行できる体制を整備しています。感染防止策としては、在宅勤務や時差出勤を最大限に活用するとともに、職場での従業員間の接触を可能な限り抑える対策を講じています。なお、従業員の安全確保を最優先としつつ、当社医薬品・医療機器の安定供給責任を全うするために生産を継続しています。
業績面につきましては、国内外における緊急事態宣言やロックダウンなどにより一定の影響を受けましたが、徐々に回復傾向にあります。また、当社が実施する国内外の臨床試験の一部につきましては、医療機関での治験中断や被験者の来院見合わせ等の影響が継続しています。引き続き、参加される患者さまや医療関係者の方々の感染防止に十分配慮し適切に試験を実施していきます。
今後とも、製薬会社として社会的責任と安定供給責任を果たすために、速やかな情報収集と状況に応じた対応策を迅速に実施してまいります。