有価証券報告書-第73期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、2018年3月期よりIFRSを適用しております。同基準に基づいた当連結会計年度の業績につきましては、売上収益187,219百万円(前期比2.6%増)、営業利益18,888百万円(前期比29.5%減)、税引前当期利益18,460百万円(前期比30.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益12,340百万円(前期比36.0%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しております。同基準に基づいた当連結会計年度の「コア営業利益」は、34,043百万円(前期比1.0%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(日本セグメント)
日本事業においては、2017年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針2017)により、ジェネリック医薬品使用割合80%の目標の達成時期を2020年9月までとされています。これを受け、2019年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)において「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質の更なる信頼性確保を図りつつ、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」ことが明記されました。また、2020年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品の更なる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価や、ジェネリック医薬品の普及上ポイントとなる一般名での処方を推進するために、一般名処方加算の評価の見直しが行われることとなりました。その結果、薬局市場を中心にジェネリック医薬品の需要が伸長しており、昨年9月の政府の薬価調査(速報値)でジェネリック医薬品使用割合は78.3%まで高まってきております。
しかしながら、その一方で、2020年4月には2019年10月に行われた消費税率の引上げに伴う臨時の薬価改定から連続となる通常の薬価改定が実施され、それに引き続いて2021年3月には4月からの中間年の改定薬価が告示されるなど、当社を取り巻く収益環境は厳しいものとなりました。
このような環境におきまして、中期経営計画「M1 TRUST 2021(以下「中計」という。)」のもと、「国内GE市場での圧倒的地位の確立とUSLの成長加速による世界をリードするジェネリック医薬品企業への変革」という中長期ビジョンの達成に向け、「戦略的提携も視野に入れた業界内ネットワークの構築」と「業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化」に取り組んでおります。
生産・供給体制面においては、2020年9月に老朽化が進んでいた大阪工場を閉鎖し、その包装工程を三田西工場へと移管することでさらなる高効率・低コストを追求しており、全国6つの工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。
品質管理面においては、ジェネリック医薬品業界において重大な不祥事が発生しておりますが、当社では、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取組により、品質に係るリスクを最小限に抑えています。
製品開発・販売面においては、同年6月に『メマンチン塩酸塩錠、OD錠』を含む14成分29品目、12月に『プレガバリンOD錠、カプセル』を含む2成分10品目を発売しました。
更に新たな取組みとして、同年6月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬 WN1316について、ニュージェン・ファーマ社と共同開発及び製造販売におけるライセンス契約を締結し、また、同年9月には、医療用アプリ開発に取り組むサスメド株式会社との資本提携に合意し、2021年1月には、片頭痛及びうつ病向けのデジタル医療機器についてNeurolief社と日本における独占開発販売契約を締結しました。各社との協業を通じて、多面的に人々の健康に寄与していくため、IT技術を活用したソリューションを提供することにより、これまで以上に「なくてはならない存在」になることを目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対策については、災害BCPとして2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、社内においてはオフィスの換気・除菌の強化を図り、従業員の手指消毒・手洗い・マスク着用・検温の励行を徹底し感染予防を行ってまいりました。上記に加えて、会議の原則WEB化、長距離出張の抑制など社内ルールの見直しを行うとともに、フレックスタイム制・時差出勤・在宅勤務等への勤務体系変更も柔軟に対応しながら、国内の各工場を継続して稼働し、安定供給の確保に努めました。社外においても、政府による緊急事態宣言下では、医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問自粛を行い、WEB等を活用した業務にシフトする等の対応を行いました。今後、本感染症の影響が長引けば、原材料の輸入や物流の停滞による医薬品供給面への影響、コロナ禍での患者の受診抑制による需要面への影響、及び医薬品の情報提供活動の制限等の影響も予想されます。当社は、医薬品製造販売業として、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、日本セグメントにおける売上収益は153,584百万円(前期比6.6%増)、セグメント利益は26,284百万円(前期比7.7%増)、コア営業利益(参考値)は30,258百万円(前期比14.3%増)となりました。
(米国セグメント)
米国事業においては、成長戦略を加速するため、2019年に創業100周年となったUSLを通じて米国市場への進出を果たしており、USLの持分20%を所持している住友商事株式会社の米国子会社である米州住友商事と共にUSLの新たな成長戦略実現に取り組んでおります。中計では中長期ビジョン達成に向け、この3年間を「USLを基盤としたグローバル企業化への加速」の期間と位置付け、当社とUSLとの双方の強みを活かした連携を重点課題に設定し、取り組んでおります。
米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が高い水準を記録したこと等により、ジェネリック医薬品価格は直近では持ち直しの兆しがみられるものの、下落基調となっている中、主力ブランド品であるQudexy®へのジェネリックの参入を含む主力品への競合他社の参入があり、2019年に取得したTosymra ™ の販売が新型コロナウイルス感染症の流行によるマイナス影響によって販売が伸び悩んだことによって、5,572百万円の減損損失が発生する等、経営環境は厳しいものとなっております。
このような環境におきまして、上市製品の拡充に取り組み、ジェネリック医薬品としては、2020年6月に『エタクリン酸錠』、7月に『プロパフェノン塩酸塩徐放カプセル』、12月に『ラメルテオン錠』を発売しました。ブランド医薬品としては、同年8月にAmbioPharm, Inc.と米国における『コルチコトロピン注射剤』の開発・販売パートナーシップ契約を締結しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行により、米国では、各州において自宅待機命令が出ておりましたが、USLの事業である医薬品製造業は重要なセクターの1つとして位置付けられており、事業活動を継続できました。USLは2020年3月初めには部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を練りました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行し、従業員の感染防止対策を施すとともに、IT を活用した営業活動に切り替えました。また、従業員へのワクチンの接種も進んできております。本感染症により、患者さんの受診控え、営業活動の制限などによる影響もみられましたが、USLとしましては、引き続き感染予防・対策を徹底し、ヒトの生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、米国セグメントにおける売上収益は33,635百万円(前期比12.4%減)、セグメント損失は7,396百万円(前期は2,388百万円のセグメント利益)コア営業利益(参考値)は3,765百万円(前期比52.2%減)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は205,674百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,310百万円増加いたしました。これは主に、売上債権及びその他の債権の増加によるものであります。非流動資産は187,667百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,783百万円減少いたしました。これは主に、米国事業でTosymra ™ の製造販売承認権を減損したことによる無形資産の減少によるものであります。
この結果、資産合計は393,341百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,527百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は80,452百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,263百万円減少いたしました。これは主に社債の償還に伴う減少によるものであります。また、非流動負債は72,139百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,726百万円増加いたしました。これは主に、新規借入に伴う増加によるものであります。
この結果、負債合計は、152,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,463百万円増加いたしました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は240,750百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,064百万円増加いたしました。これは主に、当期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は55.5%(前連結会計年度末は54.6%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は54,269百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,813百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益18,460百万円、減価償却費及び償却費18,291百万円、減損損失6,502百万円、売上債権及びその他債権の増加9,125百万円、たな卸資産の増加3,481百万円、法人所得税等の支払額7,053百万円を主因として31,857百万円の収入(前期比1,601百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出12,999百万円、無形資産の取得による支出8,125百万円を主因として21,794百万円の支出(前期比3,621百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入10,000百万円、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額5,692百万円、長期借入金の返済による支出4,464百万円を主因として11,991百万円の支出(前期比756百万円の支出減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記金額は、売価換算額で表示しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産が主で受注生産は僅少であるため記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概要
当社グループは、ジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本及び米国で行っております。「何よりも患者さんのために」の企業理念のもと、高品質で高付加価値の医薬品を安定的に供給するとともに、2021年3月期を最終年度とする中期経営計画の課題である「業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化」及び「USLと双方の強みを活かした連携」に取り組み、持続的な営業利益の成長を通じ、企業価値向上を図りました。
当社グループは、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の約800品目を提供しております。当社グループは、当連結会計年度末現在で8つの製造拠点を有し、そのうち6つは日本、2つは米国に所在しております。生産能力は当連結会計年度末で150億錠超(錠換算)となっております。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較した表は、次のとおりです。
売上収益は前連結会計年度より4,682百万円(2.6%)増加し、187,219百万円となりました。事業セグメント及び薬効別で売上収益を分解した表は、次のとおりであります。
日本セグメントでは、9,454百万円(6.6%)増加し、153,584百万円となりました。2020年4月の薬価改定が売上収益に全般的なマイナスの影響を及ぼし、またコロナ下での患者さんの受診抑制や感染予防対策に伴い抗生物質製剤の需要が減少しましたが、骨粗鬆症治療剤(ビタミン剤)である『エルデカルシトールカプセル』、骨粗鬆症治療剤(その他の代謝性医薬品)である『バゼトキシフェン錠』、アルツハイマー型認知症治療剤(中枢神経系用薬)である『メマンチン塩酸塩錠・OD錠』などの当期新製品の発売により、売上収益が増加しました。また、泌尿生殖器官及び肛門用薬も、2020年3月に発売した『タダラフィル錠CI』が売上収益の増加に寄与しました。
米国セグメントでは、4,772百万円(12.4%)減少し、33,635百万円となりました。『Vigadrone ™ 散』や『Zembrace®Symtouch®注射液』(いずれも中枢神経系用薬)などの2018年4月以降新製品が売上収益の増加となった一方、競合他社品の参入やCOVID-19の流行によるマイナス影響で、Qudexy®(中枢神経系用薬)やKlor-con®(循環器官用薬)などの製品で売上収益が減少しました。
売上原価は前連結会計年度より5,748百万円(5.3%)増加し、114,785百万円となりました。売上総利益率は1.6%減の38.7%となりました。売上原価は、主に原材料費、人件費、減価償却費で構成されております。日本セグメントでは、利益率の高い製品の製造が多かったため原価率は低下しました。一方米国セグメントでは、販売単価の下落により原価率が上昇しました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度より6,562百万円(19.7%)増加し、39,937百万円となりました。米国セグメントにおいて、Tosymra ™ の販売が新型コロナウイルス感染症の流行によるマイナス影響で伸び悩み、当初計画に比べて収益性が低下し、製造販売関連のライセンスの帳簿価額が回収可能価額を上回ったことから減損損失を5,572百万円認識しております。また日本セグメントにおいて、製商品の安全性評価の実施に備えるため、既存の製商品のアセスメントに要するコストの将来発生見込額を製品安全性評価引当金として852百万円認識しております。
研究開発費は前連結会計年度より396百万円(2.9%)増加し、13,883百万円となりました。主に日本セグメントで、仕掛中の研究開発から振り替えられた製品に係る無形資産の償却費が増加したためです。
以上より、営業利益は前連結会計年度より7,905百万円(29.5%)減少し、18,888百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
Ⅰ キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、31,857百万円の収入となりました(前連結会計年度比1,601百万円収入増)。税引前当期利益は前連結会計年度より減少したものの、Tosymra ™ の製造販売関連ライセンスの減損損失5,572百万円を含む現金支出を伴わない費用が増加いたしました。また、棚卸資産の増加額が8,727百万円減少しましたが、これは前連結会計年度末にCOVID-19の流行に伴う受診抑制等で一時的に在庫が増加したほか、2020年6月新製品の生産に向けた在庫の増加による反動であります。このほか、仕入債務及びその他の債務が仕入れ及び支払時期のタイミングにより4,926百万円増加、売上債権及びその他の債権が売上収益の増加に伴い13,789百万円増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、21,794百万円の支出となりました(前連結会計年度比3,621百万円支出増)。支出増加要因は主に、当社の九州工場注射剤棟新設によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、11,991百万円の支出となりました(前連結会計年度比756百万円支出減)。長期借入金の返済支出が前連結会計年度より減少したこと等が影響しております。
Ⅱ 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、市場の環境変化に対応した安定供給及び生産効率の最適化を目的とした設備投資並びにニーズを捉えた高付加価値ジェネリック医薬品の実現を目的とした研究開発投資によるものであります。
Ⅲ 財務政策
当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。設備投資及び研究開発投資による資金需要につきましても、営業活動によるキャッシュ・フローを継続的に確保していくとともに、市場の環境変化に対応した柔軟な財務政策を実現していくことで基本方針を実現していきます。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローが31,857百万円となり、当該資金をもとにUSL買収時の借入金の一部を返済しております。また成長投資として、将来の需要拡大に応じて生産キャパシティを拡大するべく、当社の九州工場注射剤棟新設(総額6,507百万円)及びUSLの工場新設(総額12,405百万円)を見込んでおります。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大等に伴う当社グループの影響
2019年12月頃からCOVID-19に関連する病気が報告され、ウイルスはそれ以来、地域全体の日常生活と経済に広範囲にわたる重大な混乱を引き起こしました。 世界保健機関はこの発生をパンデミックに分類しました。
当社グループは、COVID-19がビジネス、業務、財政状態及び業績に及ぼす影響を継続して監視しており、事業計画や予算策定上、当面の患者さんの受診の傾向やワクチン接種を経たCOVID-19の収束後の世界経済の変化など、パンデミックに関して一定の仮定を行っております。
当連結会計年度において、COVID-19の流行に伴い患者さんが受診を控え一部製品の売上収益が減少したほか、Tosymra ™ の販売がCOVID-19の流行によるマイナス影響で伸び悩み、製造販売関連ライセンスの減損損失5,572百万円を認識するなど、当社グループの財政状態及び業績に一部影響が生じております。しかし現時点では、以下のとおり当社グループに及ぼす影響は限定的であると判断しております。当社グループでは、製造、販売及び研究開発の各方面の関係者から常に情報収集し、慎重に事業計画や予算策定に反映しておりますが、将来の動向の不確実性のために、パンデミックが当社グループの事業、運営、財政状態及び結果に与える影響の範囲を正確に予測することはできません。当社グループは、引き続き関係者からの情報収集に努め、デジタル技術を使用して製造、販売及び研究開発に係る業務を支援する等、問題を軽減するための対策を実施しています。
a.危機管理体制について
日本セグメントでは、2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、従業員の感染防止対策を徹底するとともに、一部従業員の在宅勤務等を実施しました。米国セグメントでは、同年3月初めに部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を練りました。各州において自宅待機命令が出る状況でしたが、医薬品製造業は重要なセクターの1つとして位置付けられたため、事業活動を継続できました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行したほか、従業員の感染防止対策を徹底し、従業員へのワクチン接種も進んできております。日米とも、医薬品製造販売業として、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
b.販売活動への影響
日本セグメントでは、同年3月より医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問を自粛し、医療機関への情報提供体制はITを活用しております。米国セグメントも同様に、IT を活用した営業活動に切り替えました。当社グループは医療用医薬品を販売しており、COVID-19に関係なく様々な適応症の患者さんに当社グループ製品を提供しており、現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的であります。ただし、営業活動の変化が将来の新製品の販売開始に及ぼす影響を正確に予測することはできません。
c.製造及びサプライチェーンへの影響
日米両セグメントともに、患者さんへの当社グループ製品の安定供給という使命のもと、製造活動はCOVID-19前と変わらず継続されました。原材料の確保、卸売業者や販売会社等への供給についても、滞りなく進められております。そのため、現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的であります。ただし、今後、本感染症の影響が長引けば原材料の確保等に影響が発生することも予想されます。
d.研究開発活動への影響
日米両セグメントともに、研究開発活動はCOVID-19前と変わらず継続されました。現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的でありますが、今後政府による製造販売承認プロセスに及ぼす影響を正確に予測することはできません。
e.財務への影響
当社グループの売上債権等の回収及び資金調達はCOVID-19前と変わらず、当社グループは予測可能な将来にわたり流動性リスクは無いと考えております。
⑤ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠しております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産及び負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産及び偶発負債の開示、並びに報告期間における収益及び費用の金額に重要な影響を及ぼす見積り及び仮定の設定を行うことが求められております。見積り及び仮定は継続的に見直されます。経営者は過去の経験及び見積り及び仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき、当該見積り及び仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積及び仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積及び仮定に影響を受ける重要な会計方針は次のとおりです。また、見積及び仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(収益認識)
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主要顧客である卸売業者及び販売会社に対するリベートやチャージバック等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。
収益に係る調整のうち最も重要なものは、次のとおりであります。
・顧客に対するリベート: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大を確実にするために、卸売業者、販売会社等の顧客に対してリベートを付与しております。リベートは契約上取決めがなされているため、係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づく予想割戻率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。
・卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは米国において、特定の製品について当社グループが卸売業者の顧客と合意した売買価格と当社グループが卸売業者に請求した金額との差額を補償するため、特定の卸売業者に対してチャージバックを支払います。チャージバックの見積りに係る負債は、過去の実績に加え、当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りを基に算定しております。
・返品に関する負債: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品実績に基づいた予想返品率を考慮して返品見込み額を測定し、負債として計上しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に予想される流通チャネル内の在庫数量及び当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りにより変動する可能性があります。
これまで実績又は見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度及び顧客の種類により左右される可能性があります。
(のれん及び無形資産の減損)
当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象又は状況の変化がある場合、減損テストを行っております。のれん及び他の未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。2021年3月31日時点において、当社グループはのれんを39,304百万円、無形資産を54,472百万円計上しており、これは総資産の23.8%を占めております。
資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、又はその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれん及びUSL取得時に識別した商標権は、すべて資金生成単位の1つである米国セグメントに配分され、回収可能価額は米国セグメントで見積られます。製品に係る無形資産及び仕掛中の研究開発は、個別に回収可能価額を見積ります。
回収可能価額の見積りには、以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
・将来キャッシュ・フローの金額及び時期
・競合他社の動向
・将来の税率
・予測最終成長率
・割引率
キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、資金生成単位である米国セグメントの業績悪化、研究開発プロジェクトの失敗又は上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、オーソライズドジェネリックの販売見込みや競合他社の参入等による収益性の悪化が含まれます。これらの事象が発生した場合、見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失及び減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 14 のれん及び無形資産」を参照ください。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、2018年3月期よりIFRSを適用しております。同基準に基づいた当連結会計年度の業績につきましては、売上収益187,219百万円(前期比2.6%増)、営業利益18,888百万円(前期比29.5%減)、税引前当期利益18,460百万円(前期比30.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益12,340百万円(前期比36.0%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しております。同基準に基づいた当連結会計年度の「コア営業利益」は、34,043百万円(前期比1.0%減)となりました。
| (単位:百万円) | ||||
| 前連結会計年度 (2020年3月期) | 当連結会計年度 (2021年3月期) | 増減 | 増減率 | |
| 売上収益 | 182,537 | 187,219 | 4,682 | 2.6 |
| 営業利益 | 26,793 | 18,888 | △7,905 | △29.5 |
| 税引前当期利益 | 26,497 | 18,460 | △8,037 | △30.3 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 19,279 | 12,340 | △6,939 | △36.0 |
| コア営業利益 | 34,391 | 34,043 | △348 | △1.0 |
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(日本セグメント)
日本事業においては、2017年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針2017)により、ジェネリック医薬品使用割合80%の目標の達成時期を2020年9月までとされています。これを受け、2019年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019~『令和』新時代:『Society5.0』への挑戦~」(骨太方針2019)において「後発医薬品の使用促進について、安定供給や品質の更なる信頼性確保を図りつつ、2020年9月までの後発医薬品使用割合80%の実現に向け、インセンティブ強化も含めて引き続き取り組む」ことが明記されました。また、2020年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品の更なる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価や、ジェネリック医薬品の普及上ポイントとなる一般名での処方を推進するために、一般名処方加算の評価の見直しが行われることとなりました。その結果、薬局市場を中心にジェネリック医薬品の需要が伸長しており、昨年9月の政府の薬価調査(速報値)でジェネリック医薬品使用割合は78.3%まで高まってきております。
しかしながら、その一方で、2020年4月には2019年10月に行われた消費税率の引上げに伴う臨時の薬価改定から連続となる通常の薬価改定が実施され、それに引き続いて2021年3月には4月からの中間年の改定薬価が告示されるなど、当社を取り巻く収益環境は厳しいものとなりました。
このような環境におきまして、中期経営計画「M1 TRUST 2021(以下「中計」という。)」のもと、「国内GE市場での圧倒的地位の確立とUSLの成長加速による世界をリードするジェネリック医薬品企業への変革」という中長期ビジョンの達成に向け、「戦略的提携も視野に入れた業界内ネットワークの構築」と「業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化」に取り組んでおります。
生産・供給体制面においては、2020年9月に老朽化が進んでいた大阪工場を閉鎖し、その包装工程を三田西工場へと移管することでさらなる高効率・低コストを追求しており、全国6つの工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。
品質管理面においては、ジェネリック医薬品業界において重大な不祥事が発生しておりますが、当社では、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取組により、品質に係るリスクを最小限に抑えています。
製品開発・販売面においては、同年6月に『メマンチン塩酸塩錠、OD錠』を含む14成分29品目、12月に『プレガバリンOD錠、カプセル』を含む2成分10品目を発売しました。
更に新たな取組みとして、同年6月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬 WN1316について、ニュージェン・ファーマ社と共同開発及び製造販売におけるライセンス契約を締結し、また、同年9月には、医療用アプリ開発に取り組むサスメド株式会社との資本提携に合意し、2021年1月には、片頭痛及びうつ病向けのデジタル医療機器についてNeurolief社と日本における独占開発販売契約を締結しました。各社との協業を通じて、多面的に人々の健康に寄与していくため、IT技術を活用したソリューションを提供することにより、これまで以上に「なくてはならない存在」になることを目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対策については、災害BCPとして2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、社内においてはオフィスの換気・除菌の強化を図り、従業員の手指消毒・手洗い・マスク着用・検温の励行を徹底し感染予防を行ってまいりました。上記に加えて、会議の原則WEB化、長距離出張の抑制など社内ルールの見直しを行うとともに、フレックスタイム制・時差出勤・在宅勤務等への勤務体系変更も柔軟に対応しながら、国内の各工場を継続して稼働し、安定供給の確保に努めました。社外においても、政府による緊急事態宣言下では、医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問自粛を行い、WEB等を活用した業務にシフトする等の対応を行いました。今後、本感染症の影響が長引けば、原材料の輸入や物流の停滞による医薬品供給面への影響、コロナ禍での患者の受診抑制による需要面への影響、及び医薬品の情報提供活動の制限等の影響も予想されます。当社は、医薬品製造販売業として、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、日本セグメントにおける売上収益は153,584百万円(前期比6.6%増)、セグメント利益は26,284百万円(前期比7.7%増)、コア営業利益(参考値)は30,258百万円(前期比14.3%増)となりました。
(米国セグメント)
米国事業においては、成長戦略を加速するため、2019年に創業100周年となったUSLを通じて米国市場への進出を果たしており、USLの持分20%を所持している住友商事株式会社の米国子会社である米州住友商事と共にUSLの新たな成長戦略実現に取り組んでおります。中計では中長期ビジョン達成に向け、この3年間を「USLを基盤としたグローバル企業化への加速」の期間と位置付け、当社とUSLとの双方の強みを活かした連携を重点課題に設定し、取り組んでおります。
米国におけるジェネリック医薬品業界は、卸・薬局等の統合により3大購買グループのシェアが約90%を占めていること、米国食品医薬品局(FDA)による医薬品簡略承認申請(ANDA)承認件数が高い水準を記録したこと等により、ジェネリック医薬品価格は直近では持ち直しの兆しがみられるものの、下落基調となっている中、主力ブランド品であるQudexy®へのジェネリックの参入を含む主力品への競合他社の参入があり、2019年に取得したTosymra ™ の販売が新型コロナウイルス感染症の流行によるマイナス影響によって販売が伸び悩んだことによって、5,572百万円の減損損失が発生する等、経営環境は厳しいものとなっております。
このような環境におきまして、上市製品の拡充に取り組み、ジェネリック医薬品としては、2020年6月に『エタクリン酸錠』、7月に『プロパフェノン塩酸塩徐放カプセル』、12月に『ラメルテオン錠』を発売しました。ブランド医薬品としては、同年8月にAmbioPharm, Inc.と米国における『コルチコトロピン注射剤』の開発・販売パートナーシップ契約を締結しました。
なお、新型コロナウイルス感染症の流行により、米国では、各州において自宅待機命令が出ておりましたが、USLの事業である医薬品製造業は重要なセクターの1つとして位置付けられており、事業活動を継続できました。USLは2020年3月初めには部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を練りました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行し、従業員の感染防止対策を施すとともに、IT を活用した営業活動に切り替えました。また、従業員へのワクチンの接種も進んできております。本感染症により、患者さんの受診控え、営業活動の制限などによる影響もみられましたが、USLとしましては、引き続き感染予防・対策を徹底し、ヒトの生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
この結果、米国セグメントにおける売上収益は33,635百万円(前期比12.4%減)、セグメント損失は7,396百万円(前期は2,388百万円のセグメント利益)コア営業利益(参考値)は3,765百万円(前期比52.2%減)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は205,674百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,310百万円増加いたしました。これは主に、売上債権及びその他の債権の増加によるものであります。非流動資産は187,667百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,783百万円減少いたしました。これは主に、米国事業でTosymra ™ の製造販売承認権を減損したことによる無形資産の減少によるものであります。
この結果、資産合計は393,341百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,527百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は80,452百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,263百万円減少いたしました。これは主に社債の償還に伴う減少によるものであります。また、非流動負債は72,139百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,726百万円増加いたしました。これは主に、新規借入に伴う増加によるものであります。
この結果、負債合計は、152,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,463百万円増加いたしました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は240,750百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,064百万円増加いたしました。これは主に、当期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は55.5%(前連結会計年度末は54.6%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は54,269百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,813百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益18,460百万円、減価償却費及び償却費18,291百万円、減損損失6,502百万円、売上債権及びその他債権の増加9,125百万円、たな卸資産の増加3,481百万円、法人所得税等の支払額7,053百万円を主因として31,857百万円の収入(前期比1,601百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出12,999百万円、無形資産の取得による支出8,125百万円を主因として21,794百万円の支出(前期比3,621百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入10,000百万円、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額5,692百万円、長期借入金の返済による支出4,464百万円を主因として11,991百万円の支出(前期比756百万円の支出減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 149,967 | △8.0 |
| 米国 | 23,987 | △25.0 |
| 合計 | 173,954 | △10.8 |
(注) 1.上記金額は、売価換算額で表示しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは見込み生産が主で受注生産は僅少であるため記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本 | 153,584 | +6.6 |
| 米国 | 33,635 | △12.4 |
| 合計 | 187,219 | +2.6 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 株式会社メディセオ | 24,513 | 13.4 | 29,028 | 15.5 |
| アルフレッサ株式会社 | 24,029 | 13.2 | 26,261 | 14.0 |
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.概要
当社グループは、ジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本及び米国で行っております。「何よりも患者さんのために」の企業理念のもと、高品質で高付加価値の医薬品を安定的に供給するとともに、2021年3月期を最終年度とする中期経営計画の課題である「業界構造の変化に対応できる体制構築とコスト競争力強化」及び「USLと双方の強みを活かした連携」に取り組み、持続的な営業利益の成長を通じ、企業価値向上を図りました。
当社グループは、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の約800品目を提供しております。当社グループは、当連結会計年度末現在で8つの製造拠点を有し、そのうち6つは日本、2つは米国に所在しております。生産能力は当連結会計年度末で150億錠超(錠換算)となっております。
b.経営成績の分析
当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較した表は、次のとおりです。
| (単位:百万円) | ||||||
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減額 | ||||
| 売上収益 | 182,537 | 187,219 | 4,682 | |||
| 売上原価 | △109,037 | △114,785 | △5,748 | |||
| 売上総利益 | 73,500 | 72,434 | △1,066 | |||
| 販売費及び一般管理費 | △33,375 | △39,937 | △6,562 | |||
| 研究開発費 | △13,487 | △13,883 | △396 | |||
| その他の収益 | 238 | 325 | 87 | |||
| その他の費用 | △83 | △51 | 32 | |||
| 営業利益 | 26,793 | 18,888 | △7,905 | |||
| 金融収益 | 295 | 138 | △157 | |||
| 金融費用 | △591 | △566 | 25 | |||
| 税引前当期利益 | 26,497 | 18,460 | △8,037 | |||
| 法人所得税 | △6,720 | △7,609 | △889 | |||
| 当期利益 | 19,777 | 10,851 | △8,926 | |||
| 当期利益の帰属 | ||||||
| 親会社の所有者 | 19,279 | 12,340 | △6,939 | |||
| 非支配持分 | 498 | △1,489 | △1,987 | |||
| 合計 | 19,777 | 10,851 | △8,926 | |||
売上収益は前連結会計年度より4,682百万円(2.6%)増加し、187,219百万円となりました。事業セグメント及び薬効別で売上収益を分解した表は、次のとおりであります。
| (単位:百万円) | ||||
| 薬効別分類 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減額 | |
| 循環器官用薬 | 日本 | 40,749 | 41,470 | 721 |
| 米国 | 14,817 | 10,715 | △4,102 | |
| 合計 | 55,566 | 52,185 | △3,381 | |
| 中枢神経系用薬 | 日本 | 14,267 | 17,468 | 3,201 |
| 米国 | 17,389 | 17,431 | 42 | |
| 合計 | 31,656 | 34,899 | 3,243 | |
| 日本 | 19,733 | 19,118 | △615 | |
| 消化器官用薬 | 米国 | 252 | 159 | △93 |
| 合計 | 19,985 | 19,277 | △708 | |
| 日本 | 15,538 | 15,613 | 75 | |
| 血液・体液用薬 | 米国 | - | - | - |
| 合計 | 15,538 | 15,613 | 75 | |
| 日本 | 9,863 | 12,033 | 2,170 | |
| その他の代謝性医薬品 | 米国 | - | - | - |
| 合計 | 9,863 | 12,033 | 2,170 | |
| 日本 | 2,029 | 8,103 | 6,074 | |
| ビタミン剤 | 米国 | 72 | 0 | △72 |
| 合計 | 2,101 | 8,103 | 6,002 | |
| 日本 | 5,244 | 6,942 | 1,698 | |
| アレルギー用薬 | 米国 | - | - | - |
| 合計 | 5,244 | 6,942 | 1,698 | |
| 抗生物質製剤 | 日本 | 7,704 | 6,265 | △1,439 |
| 米国 | 356 | 319 | △37 | |
| 合計 | 8,060 | 6,584 | △1,476 | |
| 日本 | 3,128 | 4,327 | 1,199 | |
| 泌尿生殖器官及び肛門用薬 | 米国 | 1,512 | 1,555 | 43 |
| 合計 | 4,640 | 5,882 | 1,242 | |
| 日本 | 4,951 | 4,845 | △106 | |
| 腫瘍用薬 | 米国 | 1,004 | 620 | △384 |
| 合計 | 5,955 | 5,465 | △490 | |
| 日本 | 20,924 | 17,400 | △3,524 | |
| その他 | 米国 | 3,005 | 2,836 | △169 |
| 合計 | 23,929 | 20,236 | △3,693 | |
| 日本 | 144,130 | 153,584 | 9,454 | |
| 合計 | 米国 | 38,407 | 33,635 | △4,772 |
| 合計 | 182,537 | 187,219 | 4,682 |
日本セグメントでは、9,454百万円(6.6%)増加し、153,584百万円となりました。2020年4月の薬価改定が売上収益に全般的なマイナスの影響を及ぼし、またコロナ下での患者さんの受診抑制や感染予防対策に伴い抗生物質製剤の需要が減少しましたが、骨粗鬆症治療剤(ビタミン剤)である『エルデカルシトールカプセル』、骨粗鬆症治療剤(その他の代謝性医薬品)である『バゼトキシフェン錠』、アルツハイマー型認知症治療剤(中枢神経系用薬)である『メマンチン塩酸塩錠・OD錠』などの当期新製品の発売により、売上収益が増加しました。また、泌尿生殖器官及び肛門用薬も、2020年3月に発売した『タダラフィル錠CI』が売上収益の増加に寄与しました。
米国セグメントでは、4,772百万円(12.4%)減少し、33,635百万円となりました。『Vigadrone ™ 散』や『Zembrace®Symtouch®注射液』(いずれも中枢神経系用薬)などの2018年4月以降新製品が売上収益の増加となった一方、競合他社品の参入やCOVID-19の流行によるマイナス影響で、Qudexy®(中枢神経系用薬)やKlor-con®(循環器官用薬)などの製品で売上収益が減少しました。
売上原価は前連結会計年度より5,748百万円(5.3%)増加し、114,785百万円となりました。売上総利益率は1.6%減の38.7%となりました。売上原価は、主に原材料費、人件費、減価償却費で構成されております。日本セグメントでは、利益率の高い製品の製造が多かったため原価率は低下しました。一方米国セグメントでは、販売単価の下落により原価率が上昇しました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度より6,562百万円(19.7%)増加し、39,937百万円となりました。米国セグメントにおいて、Tosymra ™ の販売が新型コロナウイルス感染症の流行によるマイナス影響で伸び悩み、当初計画に比べて収益性が低下し、製造販売関連のライセンスの帳簿価額が回収可能価額を上回ったことから減損損失を5,572百万円認識しております。また日本セグメントにおいて、製商品の安全性評価の実施に備えるため、既存の製商品のアセスメントに要するコストの将来発生見込額を製品安全性評価引当金として852百万円認識しております。
研究開発費は前連結会計年度より396百万円(2.9%)増加し、13,883百万円となりました。主に日本セグメントで、仕掛中の研究開発から振り替えられた製品に係る無形資産の償却費が増加したためです。
以上より、営業利益は前連結会計年度より7,905百万円(29.5%)減少し、18,888百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
Ⅰ キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、31,857百万円の収入となりました(前連結会計年度比1,601百万円収入増)。税引前当期利益は前連結会計年度より減少したものの、Tosymra ™ の製造販売関連ライセンスの減損損失5,572百万円を含む現金支出を伴わない費用が増加いたしました。また、棚卸資産の増加額が8,727百万円減少しましたが、これは前連結会計年度末にCOVID-19の流行に伴う受診抑制等で一時的に在庫が増加したほか、2020年6月新製品の生産に向けた在庫の増加による反動であります。このほか、仕入債務及びその他の債務が仕入れ及び支払時期のタイミングにより4,926百万円増加、売上債権及びその他の債権が売上収益の増加に伴い13,789百万円増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、21,794百万円の支出となりました(前連結会計年度比3,621百万円支出増)。支出増加要因は主に、当社の九州工場注射剤棟新設によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、11,991百万円の支出となりました(前連結会計年度比756百万円支出減)。長期借入金の返済支出が前連結会計年度より減少したこと等が影響しております。
Ⅱ 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、市場の環境変化に対応した安定供給及び生産効率の最適化を目的とした設備投資並びにニーズを捉えた高付加価値ジェネリック医薬品の実現を目的とした研究開発投資によるものであります。
Ⅲ 財務政策
当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。設備投資及び研究開発投資による資金需要につきましても、営業活動によるキャッシュ・フローを継続的に確保していくとともに、市場の環境変化に対応した柔軟な財務政策を実現していくことで基本方針を実現していきます。
当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローが31,857百万円となり、当該資金をもとにUSL買収時の借入金の一部を返済しております。また成長投資として、将来の需要拡大に応じて生産キャパシティを拡大するべく、当社の九州工場注射剤棟新設(総額6,507百万円)及びUSLの工場新設(総額12,405百万円)を見込んでおります。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大等に伴う当社グループの影響
2019年12月頃からCOVID-19に関連する病気が報告され、ウイルスはそれ以来、地域全体の日常生活と経済に広範囲にわたる重大な混乱を引き起こしました。 世界保健機関はこの発生をパンデミックに分類しました。
当社グループは、COVID-19がビジネス、業務、財政状態及び業績に及ぼす影響を継続して監視しており、事業計画や予算策定上、当面の患者さんの受診の傾向やワクチン接種を経たCOVID-19の収束後の世界経済の変化など、パンデミックに関して一定の仮定を行っております。
当連結会計年度において、COVID-19の流行に伴い患者さんが受診を控え一部製品の売上収益が減少したほか、Tosymra ™ の販売がCOVID-19の流行によるマイナス影響で伸び悩み、製造販売関連ライセンスの減損損失5,572百万円を認識するなど、当社グループの財政状態及び業績に一部影響が生じております。しかし現時点では、以下のとおり当社グループに及ぼす影響は限定的であると判断しております。当社グループでは、製造、販売及び研究開発の各方面の関係者から常に情報収集し、慎重に事業計画や予算策定に反映しておりますが、将来の動向の不確実性のために、パンデミックが当社グループの事業、運営、財政状態及び結果に与える影響の範囲を正確に予測することはできません。当社グループは、引き続き関係者からの情報収集に努め、デジタル技術を使用して製造、販売及び研究開発に係る業務を支援する等、問題を軽減するための対策を実施しています。
a.危機管理体制について
日本セグメントでは、2020年2月に危機管理本部を立ち上げ、従業員の感染防止対策を徹底するとともに、一部従業員の在宅勤務等を実施しました。米国セグメントでは、同年3月初めに部門横断の対策チーム(COVID-19 Response Team)を立ち上げ、幅広く情報収集し対策を練りました。各州において自宅待機命令が出る状況でしたが、医薬品製造業は重要なセクターの1つとして位置付けられたため、事業活動を継続できました。製造部門や研究開発部門などオンサイトでの業務が不可欠な従業員を除きテレワークへと移行したほか、従業員の感染防止対策を徹底し、従業員へのワクチン接種も進んできております。日米とも、医薬品製造販売業として、引き続き感染予防・対策を徹底し、国民の生命、健康の保持に必要不可欠な医薬品の安定供給体制の維持に努めてまいります。
b.販売活動への影響
日本セグメントでは、同年3月より医薬情報担当者(MR)の医療機関等への訪問を自粛し、医療機関への情報提供体制はITを活用しております。米国セグメントも同様に、IT を活用した営業活動に切り替えました。当社グループは医療用医薬品を販売しており、COVID-19に関係なく様々な適応症の患者さんに当社グループ製品を提供しており、現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的であります。ただし、営業活動の変化が将来の新製品の販売開始に及ぼす影響を正確に予測することはできません。
c.製造及びサプライチェーンへの影響
日米両セグメントともに、患者さんへの当社グループ製品の安定供給という使命のもと、製造活動はCOVID-19前と変わらず継続されました。原材料の確保、卸売業者や販売会社等への供給についても、滞りなく進められております。そのため、現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的であります。ただし、今後、本感染症の影響が長引けば原材料の確保等に影響が発生することも予想されます。
d.研究開発活動への影響
日米両セグメントともに、研究開発活動はCOVID-19前と変わらず継続されました。現時点で当社グループに及ぼす影響は限定的でありますが、今後政府による製造販売承認プロセスに及ぼす影響を正確に予測することはできません。
e.財務への影響
当社グループの売上債権等の回収及び資金調達はCOVID-19前と変わらず、当社グループは予測可能な将来にわたり流動性リスクは無いと考えております。
⑤ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠しております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産及び負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産及び偶発負債の開示、並びに報告期間における収益及び費用の金額に重要な影響を及ぼす見積り及び仮定の設定を行うことが求められております。見積り及び仮定は継続的に見直されます。経営者は過去の経験及び見積り及び仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき、当該見積り及び仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積及び仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積及び仮定に影響を受ける重要な会計方針は次のとおりです。また、見積及び仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(収益認識)
当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主要顧客である卸売業者及び販売会社に対するリベートやチャージバック等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。
収益に係る調整のうち最も重要なものは、次のとおりであります。
・顧客に対するリベート: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大を確実にするために、卸売業者、販売会社等の顧客に対してリベートを付与しております。リベートは契約上取決めがなされているため、係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づく予想割戻率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。
・卸売業者に対するチャージバック: 当社グループは米国において、特定の製品について当社グループが卸売業者の顧客と合意した売買価格と当社グループが卸売業者に請求した金額との差額を補償するため、特定の卸売業者に対してチャージバックを支払います。チャージバックの見積りに係る負債は、過去の実績に加え、当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りを基に算定しております。
・返品に関する負債: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品実績に基づいた予想返品率を考慮して返品見込み額を測定し、負債として計上しております。
引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に予想される流通チャネル内の在庫数量及び当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りにより変動する可能性があります。
これまで実績又は見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度及び顧客の種類により左右される可能性があります。
(のれん及び無形資産の減損)
当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象又は状況の変化がある場合、減損テストを行っております。のれん及び他の未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。2021年3月31日時点において、当社グループはのれんを39,304百万円、無形資産を54,472百万円計上しており、これは総資産の23.8%を占めております。
資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、又はその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれん及びUSL取得時に識別した商標権は、すべて資金生成単位の1つである米国セグメントに配分され、回収可能価額は米国セグメントで見積られます。製品に係る無形資産及び仕掛中の研究開発は、個別に回収可能価額を見積ります。
回収可能価額の見積りには、以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
・将来キャッシュ・フローの金額及び時期
・競合他社の動向
・将来の税率
・予測最終成長率
・割引率
キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、資金生成単位である米国セグメントの業績悪化、研究開発プロジェクトの失敗又は上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、オーソライズドジェネリックの販売見込みや競合他社の参入等による収益性の悪化が含まれます。これらの事象が発生した場合、見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失及び減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 14 のれん及び無形資産」を参照ください。