有価証券報告書-第33期(2022/01/01-2022/12/31)
3.重要な会計方針
(1) 連結の基礎
連結財務諸表は、親会社及び親会社が各年度の12月31日現在で支配している事業体の財務諸表に基づき作成しております。支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有することを言います。当社は、これらの支配の要素についての変化を示す事実や状況がある場合には、投資先を支配しているかどうかを再判定しております。
①子会社
全ての子会社は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。子会社が採用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の内部取引高を相殺消去しております。
支配を喪失しない子会社の当社グループの所有持分の変動は、資本取引として会計処理しております。当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整しております。非支配持分の調整額と、支払った又は受け取った対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本の部に直接認識しております。
当社グループが子会社の支配を喪失する場合、処分損益は(ⅰ)受取対価の公正価値及び残存持分の公正価値の合計と(ⅱ)子会社の資産(のれんを含む)、負債及び非支配持分の従前の帳簿価額との間の差額として算定し、純損益で認識しております。
②関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配していない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%未満を保有する場合、重要な影響力がないことが明確に証明できない限り、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有すると推定されます。関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法により会計処理しております。
関連会社に対する投資を単一の資産として、関連会社に対する投資が減損している客観的な証拠が存在する場合に、減損テストの対象としております。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、非投資企業に対する当社グループ持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で投資から控除しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しております。反対に下回る場合には、直ちに連結包括利益計算書において収益として計上しております。企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行います。発生した取得費用は費用として処理しております。
当社グループが移転した企業結合の対価に、条件付対価契約から生じる資産又は負債が含まれる場合、条件付対価は、取得日の公正価値で測定され、移転した企業結合の対価の一部として含まれます。測定期間の修正として適格な条件付対価の公正価値の変動は遡及して修正され、対応してのれんの金額を修正いたします。測定期間の修正とは、「測定期間」(取得日から1年を超えることはできません)に入手した、取得日に存在した事実及び状況に関する追加的な情報からの修正であります。
測定期間の修正として適格でない条件付対価の公正価値の変動は、以下のいずれかにより会計処理します。
(a) 資本に分類される条件付対価は、事後の報告日において再測定されず、事後の決済も資本取引として会計処理しております。
(b) 資産又は負債に分類される条件付対価は、事後の報告日において、適切に、IFRS第9号「金融商品」又はIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従い再測定され、対応する利得又は損失は、損益に認識しております。
当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかを、取得日に個々の取引ごとに選択しております。
(3) 外貨換算
①外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しております。
期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。
公正価値で測定される外貨建非貨幣資産及び負債は、その公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。取得原価に基づいて測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートを用いて換算しております。
再換算又は決済により発生した換算差額は、その期間の「金融収益」又は「金融費用」として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産から生じる換算差額については、連結包括利益計算書の「その他の包括利益」で認識し、換算差額の累積額は連結財政状態計算書の「その他の資本の構成要素」に計上しております。
②在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体(海外子会社等)の資産及び負債は、期末日の為替レートで、収益及び費用は著しい変動がない限り、平均為替レートで、それぞれ日本円に換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から発生した為替換算差額は連結包括利益計算書の「その他の包括利益」で認識し、為替換算差額の累積額は連結財政状態計算書の「その他の資本の構成要素」に計上しております。
(4) 有形固定資産
有形固定資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。取得原価には、当該資産の取得に直接付随する費用、解体・除去及び設置場所の原状回復費用の当初見積額を含めております。
減価償却費は、償却可能価額を各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法により算定しております。
主要資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
建物及び構築物 3~18年
機械装置 4~8年
工具、器具及び備品 3~18年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(5) のれん
子会社の取得により生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額をもって「のれん」に計上しております。当初認識時におけるのれんの測定については、非支配持分の認識額を含む、譲渡対価の公正価値から、取得時点における識別可能な取得資産及び引き受け負債の純認識額(通常、公正価値)を控除した額で測定しております。
のれんは償却を行わず、資金生成単位に配分し、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は連結包括利益計算書において認識され、その後の戻し入れは行っておりません。
(6) 無形資産
無形資産の測定には原価モデルを採用し、個別に取得した見積耐用年数を確定できる無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。取得原価には、当該資産の取得に直接付随する費用を含めております。
償却費は、償却可能価額を各構成要素の見積耐用年数にわたって、定額法により算定しております。資産の償却方法、見積耐用年数及び残存価額は各年度末に見直し、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
主要資産項目の見積耐用年数は以下のとおりです。
製品関連 18年
基盤技術 12~20年
顧客関連 20年
耐用年数が確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は、償却を行わず、毎年一定の時期及び減損の兆候がある場合にはその時点で、減損テストを実施しております。
研究活動のための支出は、発生した期間の費用として認識しております。
開発段階で発生した自己創設無形資産は、以下のすべてを立証できる場合に限り、認識しております。
・使用又は売却できるように無形資産を完成させる技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却する意図
・無形資産を使用又は売却する能力
・無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の完成、それを使用又は売却のために必要となる財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を信頼性をもって測定できる能力
自己創設無形資産の当初の認識額は、無形資産が上記の認識基準を最初に満たした日から発生した費用の合計です。自己創設無形資産が認識できない場合は、開発支出は発生した期間に費用計上しております。
当初認識後、自己創設無形資産は他の無形資産と同様に、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
企業結合により取得し、のれんとは区別して認識された無形資産は、取得日の公正価値で当初認識した後、個別に取得した無形資産と同様の方針で、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
(7) リース(借手)
当社グループは、契約の開始時に当該契約にリースが含まれているか否かを判断しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
①当初認識及び測定
契約の開始時に、使用権資産はリース負債の当初測定の金額に加えて原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを考慮して測定しております。また、リース負債は、残存リース料を契約開始日現在の借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定しております。
②事後測定
使用権資産は、リース期間又は使用権資産の耐用年数のいずれか短い方の期間(3~16年)にわたり定額法により減価償却を行っております。リース負債は、支払われたリース料からリース負債残高に対して一定の利子率となるように算出した金利費用を控除した金額を帳簿価額から減額しております。
③表示
当社グループは、連結財政状態計算書において、使用権資産を「有形固定資産」に、リース負債を「リース負債」に含めて表示しております。また、連結包括利益計算書において、リース負債残高に対して一定の利子率となるように算出した金利費用を「金融費用」に含めて表示しております。
④短期リース及び少額資産リース
当社グループは、リース期間が12か月以内の短期リース及び少額資産リースについて、IFRS第16号の免除規定を適用し、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(8) 非金融資産の減損
当社グループの非金融資産の帳簿価額は、報告日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数を確定できない、又はまだ使用できない無形資産については、回収可能価額を各連結会計年度における一定時期に見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産の固有リスクを反映した割引率を用いて、現在価値に割り引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・イン・フローから、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生み出す最小単位の資産グループとしております。
のれんの資金生成単位については、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定しておりますが、原則として事業を行う地域及び事業の種類を資金生成単位としております。
全社資産は、独立したキャッシュ・イン・フローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。外部からのキャッシュ・イン・フローがない資産については、キャッシュ・イン・フローを生み出す資金生成単位に含めて、回収可能価額を算定して判断しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、純損益で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
のれんに関連する減損損失については、戻し入れを行っておりません。過去に認識したその他の資産の減損損失については、報告日ごとに、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れております。
減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、戻し入れております。
(9) 金融資産(デリバティブ除く)
①当初認識及び測定
営業債権及びその他の債権は発生日に、それ以外の金融資産については当該金融資産の契約上の当事者となる取引日に当初認識しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は公正価値で、それ以外の金融資産は公正価値に当該金融資産に直接起因する取引コストを加算した金額で当初測定しております。
当初認識時に、金融資産の分類を下記の順に決定しております。
(a) 負債性金融資産
(ⅰ) 償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす負債性金融資産
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(ⅱ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(ⅰ)以外の負債性金融資産
(b) 資本性金融資産
(ⅰ) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の選択をした金融資産(売買目的で保有する金融資産は当該選択をすることはできない)
(ⅱ) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(ⅰ)以外の資本性金融資産
②事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値の変動額を測定し、純損益として認識しております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値の変動額を測定し、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識を中止する場合には、その他の資本の構成要素に計上されている累積損益を利益剰余金に振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については、投資原価の一部回収とみなされる部分を除いて金融収益の一部として当期の純損益として認識しております。
(c)償却原価で測定する金融資産
実効金利法による償却原価で測定し、純損益として認識しております。
③金融資産の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、又は金融資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて移転するような取引で、当社グループが金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡した場合、金融資産の認識を中止しております。
④金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。報告日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12か月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しております。
信用リスクが著しく増大しているかどうかは、報告日ごとに当初認識以降の債務不履行の発生リスクの変化に基づいて判断しており、信用リスクが著しく増加しているか否かの評価を行う際には、期日経過情報のほか、財務情報等の当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しております。ただし、営業債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。
なお、金融資産に係る信用リスクが報告日現在で低いと判断される場合には、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないと評価しております。
当該金融資産が信用減損金融資産であるかどうかは、債務者による支払不履行又は滞納、当社グループが債務者に対してそのような状況でなければ実施しなかったであろう条件で行った債権の回収期限の延長、債務者又は発行企業が破産する兆候、活発な市場の消滅等により判断しております。
予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額を当初の実効金利で割り引いたものをそれぞれの債務不履行発生リスクでウェイト付けした加重平均として測定しております。
ある信用減損金融資産の全体又は一部分の将来の回収が現実的に見込めず、すべての担保が実現又は当社グループに移転された時に、直接減額されます。減損損失認識後に減損損失を減額する事象が発生した場合は、減損損失の減少額(貸倒引当金の減少額)を純損益で戻し入れております。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の、減損損失の戻し入れを行った時点での償却原価を超えない金額を上限として戻し入れております。
(10)金融負債(デリバティブ除く)
①当初認識及び測定
金融負債は、当該金融商品の契約の当事者になる取引日に当初認識しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は公正価値で、償却原価で測定する金融負債は直接帰属する取引費用を控除した金額で当初測定しております。金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債のいずれかに分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
②事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
公正価値の変動額を測定し、純損益として認識しております。
(b) 償却原価で測定する金融負債
実効金利法による償却原価で測定し、純損益として認識しております。
なお、実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、連結包括利益計算書において「金融費用」に当期の純損益として認識しております。
③金融負債の認識の中止
金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
(11)デリバティブ
当社グループは、為替リスクを管理するために、先物為替予約取引のデリバティブを利用しております。これらのデリバティブは、契約が締結された日の公正価値で当初認識され、当初認識後は各期末日の公正価値で再測定しております。公正価値の変動は純損益を通じて認識しております。
なお、上記デリバティブについて、ヘッジ会計の適用となるものはありません。
(12)金融資産及び金融負債の表示
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
(13)複合金融商品
複合金融商品の負債部分は、当初認識時において、資本への転換オプションがない類似の負債の公正価値により測定しております。資本部分は、当初認識時において、当該金融商品全体の公正価値から負債部分の公正価値を控除した金額で測定しております。直接発行費用は負債部分と資本部分の当初の帳簿価額の比率に応じて配分しております。
当初認識後は、複合金融商品の負債部分は実効金利法を用いた償却原価により測定しております。複合金融商品の資本部分については、当初認識後の再測定は行っておりません。
負債部分に関する利息は、金融費用として純損益で認識しております。転換時には、負債部分は資本に振り替え、利得及び損失は認識しておりません。
(14)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価格変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。
(15)政府補助金
政府補助金は、当社グループが補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に公正価値で認識しております。
資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を繰延収益として認識し、関連する資産の耐用年数にわたって規則的かつ合理的な基準に基づき純損益に振り替えております。
費用項目に関する政府補助金は、当該補助金で補填することが意図されている関連費用を認識する期間にわたって、規則的に純損益に認識しております。
(16)株主資本
普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発行費用は「資本剰余金」から控除しております。
(17)収益認識
当社グループは、顧客との契約における履行義務を識別し、収益を、顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額で認識しております。当該金額には、消費税や付加価値税等の税務当局の代理で回収した金額は含めておりません。また、顧客との契約における対価に変動対価が含まれている場合には、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、取引価格に含めております。収益は、顧客との契約における履行義務の充足に従い、一時点又は一定期間にわたり認識しております。
また、顧客がライセンスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができ、かつ、ライセンスを顧客に移転するという企業の約束が契約の中の他の約束と区分して識別可能である場合に、ライセンスが他の財又はサービスと区別されると判断しております。
ライセンスが他の財又はサービスと区別される履行義務であると判断される場合において、次の3つの要件全てに該当する場合には知的財産にアクセスする権利を有していると判断し一定期間にわたって収益認識しており、それ以外の場合には知的財産を使用する権利を有していると判断し一時点で収益認識しております。
・顧客が権利を有する知的財産に著しく影響を与える活動を当社グループが行うことを、契約が要求しているか又は顧客が合理的に期待している。
・ライセンスによって供与される権利により企業の活動の正又は負の影響に顧客が直接晒される。
・上記の結果、当該活動が生じるにつれて顧客に財又はサービスが移転することがない。
(18)売上原価
売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品等の直接経費及び製品供給収入に係る直接経費を計上しております。
(19)株式報酬取引
当社グループでは、役員及び従業員に対するインセンティブ制度として、ストック・オプション制度、事後交付型株式報酬(以下「RSU」)制度及び業績連動型株式報酬(以下「PSU」)制度を導入しております。
ストック・オプション、RSU及びPSUは、付与日における公正価値で見積り権利が確定するまでの期間にわたり純損益として、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプション等の公正価値は、諸条件を考慮し、ブラック・ショールズモデル等により算定しております。
(20)借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とするような資産に関して、その資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。
(21)法人所得税
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合から生じた項目及びその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益で認識しております。
当期税金は、期末日において制定され又は実質的に制定されている法定税率(及び税法)を使用して、税務当局に納付(又は税務当局からの還付)される予想額で算定しております。
繰延税金資産あるいは繰延税金負債は、ある資産又は負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務上の基準額との間に生じる一時差異に対して、認識しております。ただし、一時差異が、企業結合以外の取引で、取引日に会計上の純損益にも課税所得(欠損金)にも影響しない取引における、資産又は負債の当初認識から生じる場合は、繰延税金資産、繰延税金負債を認識しておりません。
繰延税金資産あるいは繰延税金負債の算定には、期末日において制定され、又は実質的に制定されている法令に基づき、関連する繰延税金資産が実現する時、又は繰延税金負債が決済される時において適用されると予想される税率を使用しております。
繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を獲得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び未使用の欠損金及び税額控除について認識しております。
子会社に係る一時差異について、繰延税金資産、繰延税金負債を認識しております。ただし、繰延税金負債については、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ、予測可能な期間内での一時差異の解消が出来ない可能性が高い場合には認識しておりません。また、繰延税金資産については、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な期間内で一時差異の解消される可能性が高いと認められる範囲内で認識しております。
(22)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。希薄化後1株当たり当期利益は、全ての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、当期利益及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。
(1) 連結の基礎
連結財務諸表は、親会社及び親会社が各年度の12月31日現在で支配している事業体の財務諸表に基づき作成しております。支配とは、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有することを言います。当社は、これらの支配の要素についての変化を示す事実や状況がある場合には、投資先を支配しているかどうかを再判定しております。
①子会社
全ての子会社は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結の対象に含めております。子会社が採用する会計方針が当社グループの会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を加えております。連結財務諸表の作成にあたり、連結会社間の内部取引高を相殺消去しております。
支配を喪失しない子会社の当社グループの所有持分の変動は、資本取引として会計処理しております。当社グループの持分及び非支配持分の帳簿価額は、子会社に対する持分の変動を反映して調整しております。非支配持分の調整額と、支払った又は受け取った対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本の部に直接認識しております。
当社グループが子会社の支配を喪失する場合、処分損益は(ⅰ)受取対価の公正価値及び残存持分の公正価値の合計と(ⅱ)子会社の資産(のれんを含む)、負債及び非支配持分の従前の帳簿価額との間の差額として算定し、純損益で認識しております。
②関連会社
関連会社とは、当社グループが当該企業に対し、財務及び経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配していない企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%未満を保有する場合、重要な影響力がないことが明確に証明できない限り、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有すると推定されます。関連会社については、当社グループが重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日まで、持分法により会計処理しております。
関連会社に対する投資を単一の資産として、関連会社に対する投資が減損している客観的な証拠が存在する場合に、減損テストの対象としております。
持分法適用会社との取引から発生した未実現利益は、非投資企業に対する当社グループ持分を上限として投資から控除しております。未実現損失は、減損が生じている証拠がない場合に限り、未実現利益と同様の方法で投資から控除しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しております。反対に下回る場合には、直ちに連結包括利益計算書において収益として計上しております。企業結合が生じた期間の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行います。発生した取得費用は費用として処理しております。
当社グループが移転した企業結合の対価に、条件付対価契約から生じる資産又は負債が含まれる場合、条件付対価は、取得日の公正価値で測定され、移転した企業結合の対価の一部として含まれます。測定期間の修正として適格な条件付対価の公正価値の変動は遡及して修正され、対応してのれんの金額を修正いたします。測定期間の修正とは、「測定期間」(取得日から1年を超えることはできません)に入手した、取得日に存在した事実及び状況に関する追加的な情報からの修正であります。
測定期間の修正として適格でない条件付対価の公正価値の変動は、以下のいずれかにより会計処理します。
(a) 資本に分類される条件付対価は、事後の報告日において再測定されず、事後の決済も資本取引として会計処理しております。
(b) 資産又は負債に分類される条件付対価は、事後の報告日において、適切に、IFRS第9号「金融商品」又はIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に従い再測定され、対応する利得又は損失は、損益に認識しております。
当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかを、取得日に個々の取引ごとに選択しております。
(3) 外貨換算
①外貨建取引
外貨建取引は、取引日の為替レートで当社グループの各社の機能通貨に換算しております。
期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しております。
公正価値で測定される外貨建非貨幣資産及び負債は、その公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しております。取得原価に基づいて測定されている非貨幣性項目は、取引日の為替レートを用いて換算しております。
再換算又は決済により発生した換算差額は、その期間の「金融収益」又は「金融費用」として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産から生じる換算差額については、連結包括利益計算書の「その他の包括利益」で認識し、換算差額の累積額は連結財政状態計算書の「その他の資本の構成要素」に計上しております。
②在外営業活動体の財務諸表
在外営業活動体(海外子会社等)の資産及び負債は、期末日の為替レートで、収益及び費用は著しい変動がない限り、平均為替レートで、それぞれ日本円に換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から発生した為替換算差額は連結包括利益計算書の「その他の包括利益」で認識し、為替換算差額の累積額は連結財政状態計算書の「その他の資本の構成要素」に計上しております。
(4) 有形固定資産
有形固定資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。取得原価には、当該資産の取得に直接付随する費用、解体・除去及び設置場所の原状回復費用の当初見積額を含めております。
減価償却費は、償却可能価額を各構成要素の見積耐用年数にわたり、定額法により算定しております。
主要資産項目ごとの見積耐用年数は以下のとおりです。
建物及び構築物 3~18年
機械装置 4~8年
工具、器具及び備品 3~18年
なお、見積耐用年数、残存価額及び減価償却方法は、各年度末に見直しを行い、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
(5) のれん
子会社の取得により生じたのれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した価額をもって「のれん」に計上しております。当初認識時におけるのれんの測定については、非支配持分の認識額を含む、譲渡対価の公正価値から、取得時点における識別可能な取得資産及び引き受け負債の純認識額(通常、公正価値)を控除した額で測定しております。
のれんは償却を行わず、資金生成単位に配分し、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。のれんの減損損失は連結包括利益計算書において認識され、その後の戻し入れは行っておりません。
(6) 無形資産
無形資産の測定には原価モデルを採用し、個別に取得した見積耐用年数を確定できる無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で測定しております。取得原価には、当該資産の取得に直接付随する費用を含めております。
償却費は、償却可能価額を各構成要素の見積耐用年数にわたって、定額法により算定しております。資産の償却方法、見積耐用年数及び残存価額は各年度末に見直し、変更があった場合には、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しております。
主要資産項目の見積耐用年数は以下のとおりです。
製品関連 18年
基盤技術 12~20年
顧客関連 20年
耐用年数が確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産は、償却を行わず、毎年一定の時期及び減損の兆候がある場合にはその時点で、減損テストを実施しております。
研究活動のための支出は、発生した期間の費用として認識しております。
開発段階で発生した自己創設無形資産は、以下のすべてを立証できる場合に限り、認識しております。
・使用又は売却できるように無形資産を完成させる技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却する意図
・無形資産を使用又は売却する能力
・無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の完成、それを使用又は売却のために必要となる財務上及びその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を信頼性をもって測定できる能力
自己創設無形資産の当初の認識額は、無形資産が上記の認識基準を最初に満たした日から発生した費用の合計です。自己創設無形資産が認識できない場合は、開発支出は発生した期間に費用計上しております。
当初認識後、自己創設無形資産は他の無形資産と同様に、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
企業結合により取得し、のれんとは区別して認識された無形資産は、取得日の公正価値で当初認識した後、個別に取得した無形資産と同様の方針で、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。
(7) リース(借手)
当社グループは、契約の開始時に当該契約にリースが含まれているか否かを判断しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか又はリースを含んでいると判定しております。
①当初認識及び測定
契約の開始時に、使用権資産はリース負債の当初測定の金額に加えて原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを考慮して測定しております。また、リース負債は、残存リース料を契約開始日現在の借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値で測定しております。
②事後測定
使用権資産は、リース期間又は使用権資産の耐用年数のいずれか短い方の期間(3~16年)にわたり定額法により減価償却を行っております。リース負債は、支払われたリース料からリース負債残高に対して一定の利子率となるように算出した金利費用を控除した金額を帳簿価額から減額しております。
③表示
当社グループは、連結財政状態計算書において、使用権資産を「有形固定資産」に、リース負債を「リース負債」に含めて表示しております。また、連結包括利益計算書において、リース負債残高に対して一定の利子率となるように算出した金利費用を「金融費用」に含めて表示しております。
④短期リース及び少額資産リース
当社グループは、リース期間が12か月以内の短期リース及び少額資産リースについて、IFRS第16号の免除規定を適用し、使用権資産及びリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(8) 非金融資産の減損
当社グループの非金融資産の帳簿価額は、報告日ごとに減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数を確定できない、又はまだ使用できない無形資産については、回収可能価額を各連結会計年度における一定時期に見積っております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産の固有リスクを反映した割引率を用いて、現在価値に割り引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・イン・フローから、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生み出す最小単位の資産グループとしております。
のれんの資金生成単位については、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定しておりますが、原則として事業を行う地域及び事業の種類を資金生成単位としております。
全社資産は、独立したキャッシュ・イン・フローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。外部からのキャッシュ・イン・フローがない資産については、キャッシュ・イン・フローを生み出す資金生成単位に含めて、回収可能価額を算定して判断しております。
減損損失は、資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、純損益で認識しております。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
のれんに関連する減損損失については、戻し入れを行っておりません。過去に認識したその他の資産の減損損失については、報告日ごとに、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻し入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻し入れております。
減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、戻し入れております。
(9) 金融資産(デリバティブ除く)
①当初認識及び測定
営業債権及びその他の債権は発生日に、それ以外の金融資産については当該金融資産の契約上の当事者となる取引日に当初認識しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は公正価値で、それ以外の金融資産は公正価値に当該金融資産に直接起因する取引コストを加算した金額で当初測定しております。
当初認識時に、金融資産の分類を下記の順に決定しております。
(a) 負債性金融資産
(ⅰ) 償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす負債性金融資産
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
(ⅱ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(ⅰ)以外の負債性金融資産
(b) 資本性金融資産
(ⅰ) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益で表示するという取消不能の選択をした金融資産(売買目的で保有する金融資産は当該選択をすることはできない)
(ⅱ) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
(ⅰ)以外の資本性金融資産
②事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値の変動額を測定し、純損益として認識しております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
公正価値の変動額を測定し、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識を中止する場合には、その他の資本の構成要素に計上されている累積損益を利益剰余金に振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については、投資原価の一部回収とみなされる部分を除いて金融収益の一部として当期の純損益として認識しております。
(c)償却原価で測定する金融資産
実効金利法による償却原価で測定し、純損益として認識しております。
③金融資産の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、又は金融資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて移転するような取引で、当社グループが金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡した場合、金融資産の認識を中止しております。
④金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産については、予想信用損失に対する貸倒引当金を認識しております。報告日ごとに各金融資産に係る信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているかどうかを評価しており、当初認識時点から信用リスクが著しく増加していない場合には、12か月の予想信用損失を貸倒引当金として認識しております。一方で、当初認識時点から信用リスクが著しく増加している場合には、全期間の予想信用損失と等しい金額を貸倒引当金として認識しております。
信用リスクが著しく増大しているかどうかは、報告日ごとに当初認識以降の債務不履行の発生リスクの変化に基づいて判断しており、信用リスクが著しく増加しているか否かの評価を行う際には、期日経過情報のほか、財務情報等の当社グループが合理的に利用可能かつ裏付け可能な情報を考慮しております。ただし、営業債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。
なお、金融資産に係る信用リスクが報告日現在で低いと判断される場合には、当該金融資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないと評価しております。
当該金融資産が信用減損金融資産であるかどうかは、債務者による支払不履行又は滞納、当社グループが債務者に対してそのような状況でなければ実施しなかったであろう条件で行った債権の回収期限の延長、債務者又は発行企業が破産する兆候、活発な市場の消滅等により判断しております。
予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべきすべての契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるすべてのキャッシュ・フローとの差額を当初の実効金利で割り引いたものをそれぞれの債務不履行発生リスクでウェイト付けした加重平均として測定しております。
ある信用減損金融資産の全体又は一部分の将来の回収が現実的に見込めず、すべての担保が実現又は当社グループに移転された時に、直接減額されます。減損損失認識後に減損損失を減額する事象が発生した場合は、減損損失の減少額(貸倒引当金の減少額)を純損益で戻し入れております。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の、減損損失の戻し入れを行った時点での償却原価を超えない金額を上限として戻し入れております。
(10)金融負債(デリバティブ除く)
①当初認識及び測定
金融負債は、当該金融商品の契約の当事者になる取引日に当初認識しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は公正価値で、償却原価で測定する金融負債は直接帰属する取引費用を控除した金額で当初測定しております。金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債と償却原価で測定する金融負債のいずれかに分類しております。この分類は、当初認識時に決定しております。
②事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しております。
(a) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
公正価値の変動額を測定し、純損益として認識しております。
(b) 償却原価で測定する金融負債
実効金利法による償却原価で測定し、純損益として認識しております。
なお、実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得及び損失については、連結包括利益計算書において「金融費用」に当期の純損益として認識しております。
③金融負債の認識の中止
金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に、金融負債の認識を中止しております。
(11)デリバティブ
当社グループは、為替リスクを管理するために、先物為替予約取引のデリバティブを利用しております。これらのデリバティブは、契約が締結された日の公正価値で当初認識され、当初認識後は各期末日の公正価値で再測定しております。公正価値の変動は純損益を通じて認識しております。
なお、上記デリバティブについて、ヘッジ会計の適用となるものはありません。
(12)金融資産及び金融負債の表示
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
(13)複合金融商品
複合金融商品の負債部分は、当初認識時において、資本への転換オプションがない類似の負債の公正価値により測定しております。資本部分は、当初認識時において、当該金融商品全体の公正価値から負債部分の公正価値を控除した金額で測定しております。直接発行費用は負債部分と資本部分の当初の帳簿価額の比率に応じて配分しております。
当初認識後は、複合金融商品の負債部分は実効金利法を用いた償却原価により測定しております。複合金融商品の資本部分については、当初認識後の再測定は行っておりません。
負債部分に関する利息は、金融費用として純損益で認識しております。転換時には、負債部分は資本に振り替え、利得及び損失は認識しておりません。
(14)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価格変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっております。
(15)政府補助金
政府補助金は、当社グループが補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領するという合理的な保証が得られた時に公正価値で認識しております。
資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を繰延収益として認識し、関連する資産の耐用年数にわたって規則的かつ合理的な基準に基づき純損益に振り替えております。
費用項目に関する政府補助金は、当該補助金で補填することが意図されている関連費用を認識する期間にわたって、規則的に純損益に認識しております。
(16)株主資本
普通株式
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発行費用は「資本剰余金」から控除しております。
(17)収益認識
当社グループは、顧客との契約における履行義務を識別し、収益を、顧客への財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額で認識しております。当該金額には、消費税や付加価値税等の税務当局の代理で回収した金額は含めておりません。また、顧客との契約における対価に変動対価が含まれている場合には、変動対価に関する不確実性がその後に解消される際に、認識した収益の累計額の重大な戻入れが生じない可能性が非常に高い範囲でのみ、取引価格に含めております。収益は、顧客との契約における履行義務の充足に従い、一時点又は一定期間にわたり認識しております。
また、顧客がライセンスからの便益をそれ単独で又は顧客にとって容易に利用可能な他の資源と組み合わせて得ることができ、かつ、ライセンスを顧客に移転するという企業の約束が契約の中の他の約束と区分して識別可能である場合に、ライセンスが他の財又はサービスと区別されると判断しております。
ライセンスが他の財又はサービスと区別される履行義務であると判断される場合において、次の3つの要件全てに該当する場合には知的財産にアクセスする権利を有していると判断し一定期間にわたって収益認識しており、それ以外の場合には知的財産を使用する権利を有していると判断し一時点で収益認識しております。
・顧客が権利を有する知的財産に著しく影響を与える活動を当社グループが行うことを、契約が要求しているか又は顧客が合理的に期待している。
・ライセンスによって供与される権利により企業の活動の正又は負の影響に顧客が直接晒される。
・上記の結果、当該活動が生じるにつれて顧客に財又はサービスが移転することがない。
(18)売上原価
売上原価には、契約に基づき顧客に提供される研究開発サービスに関する人件費及び研究施設の減価償却費並びに消耗品等の直接経費及び製品供給収入に係る直接経費を計上しております。
(19)株式報酬取引
当社グループでは、役員及び従業員に対するインセンティブ制度として、ストック・オプション制度、事後交付型株式報酬(以下「RSU」)制度及び業績連動型株式報酬(以下「PSU」)制度を導入しております。
ストック・オプション、RSU及びPSUは、付与日における公正価値で見積り権利が確定するまでの期間にわたり純損益として、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプション等の公正価値は、諸条件を考慮し、ブラック・ショールズモデル等により算定しております。
(20)借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とするような資産に関して、その資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入コストは、当該資産の取得原価の一部として資産化しております。
(21)法人所得税
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されております。これらは、企業結合から生じた項目及びその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益で認識しております。
当期税金は、期末日において制定され又は実質的に制定されている法定税率(及び税法)を使用して、税務当局に納付(又は税務当局からの還付)される予想額で算定しております。
繰延税金資産あるいは繰延税金負債は、ある資産又は負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務上の基準額との間に生じる一時差異に対して、認識しております。ただし、一時差異が、企業結合以外の取引で、取引日に会計上の純損益にも課税所得(欠損金)にも影響しない取引における、資産又は負債の当初認識から生じる場合は、繰延税金資産、繰延税金負債を認識しておりません。
繰延税金資産あるいは繰延税金負債の算定には、期末日において制定され、又は実質的に制定されている法令に基づき、関連する繰延税金資産が実現する時、又は繰延税金負債が決済される時において適用されると予想される税率を使用しております。
繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を獲得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び未使用の欠損金及び税額控除について認識しております。
子会社に係る一時差異について、繰延税金資産、繰延税金負債を認識しております。ただし、繰延税金負債については、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ、予測可能な期間内での一時差異の解消が出来ない可能性が高い場合には認識しておりません。また、繰延税金資産については、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な期間内で一時差異の解消される可能性が高いと認められる範囲内で認識しております。
(22)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期利益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しております。希薄化後1株当たり当期利益は、全ての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、当期利益及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しております。