有価証券報告書-第18期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/19 14:54
【資料】
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【項目】
145項目
2.偶発債務
(1) 債務保証
関係会社の事業所等賃貸契約に対する保証並びに関係会社及び従業員の金融機関からの借入金に伴う支払債務に対して債務保証を行っております。
前事業年度
(2022年3月31日)
当事業年度
(2023年3月31日)
第一三共Inc.8百万円9百万円
プレキシコンInc.5,3925,474
従業員(住宅資金等)233180
5,6345,663

(2) 訴訟
① Seagen Inc.(旧Seattle Genetics, Inc.)とのADC技術に関する訴訟等
当社は、過去に実施したSeagen Inc.とのADCの共同研究に関連して、同社から当社ADC技術に関する特定の知的財産権が同社に帰属するとの主張を受け、2019年11月、デラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起いたしました。これに対し、同社が同月に当該主張に関して米国仲裁協会に仲裁を申立てた結果、2022年8月、仲裁廷は、Seagen Inc.の主張を全面的に否定する判断を下しました。今後、本件に関して経済的便益の流出の可能性はありません。
② Seagen Inc.保有の米国特許に関する訴訟等
2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年4月、同裁判所で陪審審理が行われ、エンハーツが当該特許を侵害しているとの陪審評決が下されました。陪審員は、陪審審理に至る前の2020年10月から2022年3月までの期間のSeagen Inc.の損害額が42百万米ドルであると判断し、また、当該特許の故意侵害があったと認定しました。同年7月、同裁判所は、前記陪審評決を確認する判決を下しましたが、陪審が故意侵害であると認定した一方で、状況を総合的に判断し、損害賠償額を増額しませんでした。また、2022年4月から当該特許が期間満了する2024年11月までの期間の、エンハーツ等の当社ADCの将来売上に対するロイヤリティーの支払について、同裁判所は、まだ判決を下してはおりません。当社は、今回の同裁判所の判決に承服いたしかねますので、判決後の申立て(Post-trial Motion)を行いました。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金を支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、これをアストラゼネカ社と折半して負担いたします。
一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」という。)の請求手続を行いましたが、2021年6月、当該PGRの審理を開始しない旨の決定がなされておりました。当該決定を受け、同年7月、当社らは、米国特許商標庁への再審理請求を行うとともに、同年8月、バージニア州東部地区連邦地方裁判所に行政訴訟を提起し、その結果、2022年4月、米国特許商標庁は上記再審理請求を認めPGRの開始を決定しました。同年7月、米国特許商標庁はSeagen Inc.の再審理請求を認め、PGRを進めないことを決定しましたが、当社の再審理請求を受け、2023年2月、PGRの再開を決定しました。
特許侵害訴訟の第一審の結果にかかわらず、当社は控訴審では当該米国特許は無効と判断される可能性が高く、それに加えて米国特許商標庁におけるPGRにおいても当該米国特許は無効と判断される可能性が高いと考えており、当社が賠償金の支払いを命じられる可能性が低いと判断しているため、当該米国特許の侵害に係る賠償金の引当金を計上しておりません。