有価証券報告書-第17期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/27 15:18
【資料】
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【項目】
134項目
2.偶発債務
(1) 債務保証
関係会社の事業所等賃貸契約に対する保証並びに関係会社及び従業員の金融機関からの借入金に伴う支払債務に対して債務保証を行っております。
前事業年度
(2021年3月31日)
当事業年度
(2022年3月31日)
第一三共Inc.7百万円8百万円
プレキシコンInc.5,3425,392
従業員(住宅資金等)291233
5,6405,634

(2) 訴訟
① Seagen Inc.(旧Seattle Genetics, Inc.)とのADC技術に関する訴訟等
当社は、過去に実施したSeagen Inc.とのADCの共同研究に関して、当社ADCに関する特定の知的財産権の帰属について同社から異議の通知を受けたことから、2019年11月にデラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起いたしました。一方でSeagen Inc.は、2019年11月に当該異議に関して仲裁を申立て、その後、仲裁の手続が進行しております。
本件に関して当社にSeagen Inc.に対する義務があるとは認識しておりませんが、上記の仲裁の結果等によっては、当社に支払が生じる可能性があり、現時点で金額を合理的に見積ることはできません。
② Seagen Inc.保有の米国特許に関する訴訟等
2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。その後、当該訴訟に関する手続が進行しておりましたが、2022年4月に同裁判所で陪審審理が行われ、エンハーツが当該特許を侵害しているとの陪審評決が下されました。陪審員は、陪審審理に至る前の2020年10月から2022年3月までの期間のSeagen Inc.の損害額が42百万米ドルであると判断し、また、当該特許の故意侵害があったと認定しました。さらに、Seagen Inc.は、2022年4月から当該特許が期間満了する2024年11月までの期間の、エンハーツ等の当社ADCの将来売上に対するロイヤリティーの支払命令を出すよう同裁判所に要求しています。なお、同裁判所は、まだ判決を下してはおらず、今後上記陪審評決の内容や双方の更なる主張等を検討の上判決を下すことになるため、陪審員が判断したSeagen Inc.の損害額については同裁判所の判決により変更される可能性があります。故意侵害の場合、米国特許法に基づき、損害額の3倍を上限として賠償金が引き上げられる可能性があります。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金を支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、アストラゼネカ社と折半して負担いたします。当社は、今回の陪審評決に承服いたしかねますので、陪審評決について陪審審理後の申立てや控訴を含むあらゆる選択肢を検討しています。
一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」という。)の請求手続を行いましたが、当該PGRの審理を開始しない旨の決定がなされておりました。当該決定を受け、2021年7月、当社らは米国特許商標庁への再審理請求を行うとともに、同年8月、バージニア州東部地区連邦地方裁判所に行政訴訟を提起しました。そして、2022年4月に米国特許商標庁は上記再審理請求を認め、PGRの開始を決定しました。
特許侵害訴訟の第一審の結果にかかわらず、当社は控訴審では当該米国特許は無効と判断される可能性が高く、それに加えて米国特許商標庁におけるPGRにおいて当該米国特許は無効と判断される可能性も高いと考えており、当社が賠償金の支払いを命じられる可能性が低いと判断しているため、当該米国特許の侵害に係る賠償金の引当金を計上しておりません。