有価証券報告書-第35期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 9:03
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【項目】
109項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府による経済政策等を背景に緩やかな回復基調にあるものの、米国の新政権の政策動向や中東、南シナ海における紛争、朝鮮半島の情勢、イギリスのEU離脱など、世界の政治、経済情勢は幅広く変革期に入っており、先を見通すことが非常に困難な情勢となってきております。また、個人消費につきましても、回復の兆しが見られた企業収益への期待が、雇用や所得環境の改善を後押ししているものの、中国をはじめとするアジア新興国経済の減速や円安による物価の上昇等、先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主力事業が属するわが国医薬品業界においては、後発医薬品使用促進策の強化など医療費抑制策が推進されており、ジェネリック医薬品は今後一層拡大が見込まれております。その一方で、社会保障費における薬価制度の在り方が政府内で活発に議論されるなど医薬品業界として先行き不透明な状況で推移しております。
このような状況の下、当社グループのセグメント別での業績は、次のとおりであります。
<診断・試薬事業>当事業は、当社の有する抗体作製技術により生産される研究用試薬や体外診断用医薬品を、国内外のアカデミアの研究者や医薬関連企業等へ販売しております。
当事業の業績は、受託サービスにおいて、ユーザーのニーズをくみ取り、積極的に直接ユーザーへ販売活動を実施することで、前年に比べ売上高が大幅に増加したものの、自社製造の動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キットの売上高は、検査対象減少等の影響により、大幅に減少しました。一方、マイコプラズマ感染症の診断薬原料やアルツハイマー病の海外向け診断薬原料の販売は、順調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は556,015千円(前年同期比5.4%増)、営業利益は117,858千円(前年同期比3.2%減)となりました。
<遺伝子組換えカイコ事業>当事業は、医薬品、体外診断用医薬品及び動物用医薬品等の原料であるタンパク質の作製方法において、従来の微生物や動物細胞等でのタンパク質作製方法とは異なる遺伝子組換えカイコの繭から有用なタンパク質を生産する技術を有しております。その技術は、従来のタンパク質の作製方法に比べ、安全性や安定性さらにコスト面や動物愛護の問題等において卓越した優位性を有しております。
当事業の業績につきましては、研究用タンパク質の受託生産等の売上、共同研究契約先からのマイルストーン契約金の収入や大手体外診断用医薬品企業からの抗体受託サービスの売上が計上されました。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有用であるラミニン511-E8 フラグメント(ラミニン511-E8)を遺伝子組換えカイコを用いて安価に製造する方法を確立し、研究用試薬原料として販売を開始いたしました。
その結果、当セグメントの売上高は71,809千円(前年同期比6.5%増)となりました。営業損益につきましては、フィブリノゲンやHIV治療薬をはじめ医薬品原料シーズの研究開発項目の増加等により、研究開発拠点としての意味合いが増加したため、当期末において、同施設で資産計上していた設備等を研究開発費として941,704千円一括計上した結果、営業損失は1,239,697千円(前年同期は142,444千円の営業損失)となりました。
なお、当セグメントにおいては、積極的に資金調達を実施し、将来に向けた重点的な研究開発等を進めております。
<検査事業>当事業においては、主力商品である、高速液体クロマトグラフィーを用いた独自分析技術によるリポタンパク質プロファイル分析業務「LipoSEARCHⓇ」の測定受託サービスを、大手製薬企業、食品関連企業、大学などのアカデミアに対して提供しております。
当事業の業績につきましては、診断・試薬事業部門との営業活動を共有化し、国内外の学会展示を共同で行うなど、双方のマーケット市場において販促活動を強化しております。その結果、海外販売において、大幅に売上高が増加いたしましたが、国内販売においては大型案件終了の影響により売上高が減少し、前年を下回る結果となりました。また、ペットに対するコレステロールと中性脂肪の測定サービス「LipoTESTⓇ」は、他社との競合による影響から売上高が減少いたしました。
その結果、当セグメントの売上高は105,228千円(前年同期比5.8%減)、営業損失は18,309千円(前年同期は20,158千円の営業損失)となりました。
<化粧品関連事業>当事業は、遺伝子組換えカイコ事業部門が開発したネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ(化粧品原料)及びネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ配合化粧品を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。
当事業の業績につきましては、広告活動により獲得した新規顧客へ継続してダイレクトメールや電話によるアウトバウンド等の活動を実施しておりますが、継続顧客の獲得が出来ず、売上高が減少いたしました。一方、当第3四半期より、大手ドラッグストアの化粧品重要拠点(9店舗)において、ネオシルク・ヒトコラーゲン配合化粧品「フレヴァン」の販売が開始されました。また、展示会出展や営業活動により、ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ(化粧品原料)及びネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ配合化粧品の知名度が向上したことで、国内や欧州、アジア圏からの引き合いも増加してきておりますが、今期においては、売上高の計上までには至りませんでした。
その結果、当セグメントの売上高は13,804千円(前年同期比12.6%減)、営業損失は17,743千円(前年同期は35,447千円の営業損失)となりました。
これらの結果、連結業績は下記の結果となりました。
売上高は741,525千円(前年同期比3.3%増)となり、営業損失が1,156,931千円(前年同期は75,353千円の営業損失)となりました。経常損益においては、新株発行費用や為替差損等が計上され、経常損失は1,170,355千円(前年同期は81,797千円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損益におきましては、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、グループ各社における固定資産の回収可能性を検討した結果、完全子会社である株式会社スカイライト・バイオテックにおける、のれん一括償却や固定資産の減損損失の計上及び当社における固定資産の減損損失の計上、さらに当社の保有する固定資産の除却による固定資産除却損の計上等により親会社株主に帰属する当期純損失は2,094,467千円(前年同期は31,898千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ1,630,186千円増加し2,522,102千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は55,886千円(前年同期比38,901千円の支出増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純損失を2,088,800千円計上していますが、非資金項目である減価償却費の計上が182,734千円、減損損失の計上が735,395千円及び有形固定資産の減少額の計上が941,704千円等となったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は458,490千円(前年同期比149,219千円の支出の減少)となりました。この主な要因は、前橋研究所建設等に伴う有形固定資産の取得による支出が398,628千円及び投資有価証券の取得による支出が79,800千円等の支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は2,145,528千円(前年同期比1,858,857千円の収入の増加)となりました。この主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入1,381,395千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が574,716千円、銀行からの長期借入れによる収入が330,000千円あったこと等によるものであります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。