有価証券報告書-第32期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 10:12
【資料】
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【項目】
107項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府の経済政策や日銀の金融政策が下支えとなり、円安や株価上昇などを背景に企業の景況感や個人消費も回復基調となりましたが、雇用・所得環境の改善には至らず、また、海外情勢の下振れリスクや消費税引き上げ後の景気後退が懸念されるなど、先行き不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主力事業が属する医薬品業界は、高齢化が進行する中、医療費抑制政策進展や新薬創出の承認審査の厳格化など、引き続き厳しい状況が続いております。
このような状況の下、当社グループは、事業価値の向上・企業基盤の強化を図るための施策を次のとおり実施いたしました。
・ カイコの繭から生産した付加価値の高い安心・安全な「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン」を、新しい化粧品原料として、化粧品業界へ販売するため、株式会社エムコスメティックスが実施する第三者割当増資を引き受け、同社を当社の連結子会社といたしました。また、同原料を含有する化粧品を幅広く消費者の方々へお届けするために、通信販売を中心に事業を展開する株式会社ネオシルク化粧品を設立いたしました。
・ 行使価額修正条項付き第1回新株予約権(第三者割当て)の発行及びコミットメント条項付き第三者割当て契約を締結し、株価を勘案して行使を実施しております。
・ 生活習慣病が社会問題となる中、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え、予防・診断支援などの需要が急速に増加するものと考え、同領域に特化した事業を行っている株式会社スカイライト・バイオテックの全株式を取得し、完全子会社といたしました。
研究開発面においては、次のとおりであります。
・ アステラス製薬株式会社と、遺伝子組換えカイコを用いて生産されるヒト型タンパク質の医薬品への応用に関する共同研究契約を締結いたしました。本共同研究において、遺伝子組換えカイコを用いて生産される有用なタンパク質について、製造方法の検討や評価、医薬品としての開発可能性の検討等を共同で実施しております。
・ 遺伝子組換えカイコにより生産されるタンパク質を用いて、家畜用感染症のワクチン及び診断法の開発を目的としてワクチノーバ株式会社と共同研究開発契約を締結しました。5年以内の動物用ワクチンの実用化を目指しております。
・ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP (cochlintomo-protein)」に関する発明等を利用し、体外診断用のキット等を独占的に製造及び販売できる特許権等実施許諾契約を締結し、体外診断用医薬品に向けた製品開発を行っております。
・ 成人T細胞白血病の原因ウイルスであるHTLV-1に対する感染防御(中和)効果を有するネズミの抗体を医薬品としてヒトに適用するために、この抗体をヒト化いたしました。今後は、新規治療薬シーズとして研究開発を進めてまいります。
・ 有限会社生物資源研究所との、遺伝子組換えカイコによるインフルエンザワクチンの実用化を目指した共同開発は、着実に進展しております。また、カイコの繭に発現させたインフルエンザワクチンに関する特許を平成26年2月13日に出願いたしました。
・ 当社は、IBL International, GmbH(欧州)との共同研究を継続して実施しており、その成果の一部は、アルツハイマー病の研究用試薬として同社より欧州にて販売が開始されました。また、新規研究用試薬の開発も順次行っており、体外診断用医薬品に向けて着実に進んでおります。
セグメント別での業績は、次のとおりであります。
・ 診断・試薬事業
研究用関連においては、国内販売はタカラバイオ株式会社と独占販売契約を締結しておりますが、主力の自社製品であるEIA測定キット・抗体及び試薬関連受託サービスの売上高が大幅に減少いたしました。一方、海外販売は、主要取引先については従来の代理店経由を改め、直接販売の契約を締結したことにより、売上高が増加傾向にあります。
医薬用関連においては、IBL International, GmbH(欧州)との共同研究を経て、アルツハイマー病の研究用試薬が欧州にて販売開始されたことにより売上高が増加いたしました。また、国内においても共同研究先へのサービス供給が増加し、売上高が増加いたしました。一方、自社製造の動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キットの販売を行っておりますが、牛海綿状脳症の牛全頭検査に関して、厚生労働省と農林水産省が各都道府県などに対し、検査中止の通知を行ったことにより、当該検査の見直し等により売上高が減少いたしました。
その結果、当セグメントの売上高は、520,415千円、営業損失は51,655千円となりました。
・ 遺伝子組換えカイコ事業
遺伝子組換えカイコ事業においては、遺伝子組換えカイコの繭より生産される有用タンパク質の特徴が、医薬品関連企業等へ浸透し、体外診断用医薬品をはじめ、複数の抗体作製受託の受注が増加いたしました。また、当社グループの技術により、カイコの繭から生産した付加価値の高い安心・安全な「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン」を、新しい化粧品原料として、化粧品業界へ販売するため、株式会社エムコスメティックスが実施した第三者割当増資を引き受け、同社を当社の連結子会社化しました。さらに、同原料を含有する化粧品を幅広く消費者の方々へお届けするために、通信販売を中心に事業を展開する株式会社ネオシルク化粧品を設立いたしました。
出来るだけ早く、ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン(化粧品原料)及びネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン含有化粧品を化粧品業界や消費者の皆様に広く展開できる体制を準備しております。
その結果、当セグメントの売上高は、26,487千円、営業損失は76,574千円となりました。
・ 検査事業
検査事業においては、当社グループが所有する脂質代謝解析技術を利用した生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などの需要が増加しており、売上高も順調に推移しております。当事業は、当社グループの成長事業として、積極的に人材採用及び設備投資を実施し、売上拡大を目指し人材育成に注力しております。その結果、当セグメントの売上高は123,526千円、営業利益は17,914千円となりました。
これらの結果、売上高は670,428千円となりました。利益面においては、様々な経費圧縮策を継続して実行した結果、下半期では営業損益がプラスとなりました。しかし、上半期の損失を賄うことができず、営業損失は107,885千円となり、経常損失は99,758千円、当期純損失は114,693千円となりました。
また、当社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、数値についての対前年同期比の表示は記載しておりません。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,135,786千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は12,161千円となりました。これは、事業活動自体の低迷により税金等調整前当期純損失を112,025千円計上しておりますが、非資金項目である減価償却費を93,165千円計上していること、及び検査事業が好調であり、ここでの営業キャッシュ・フローがプラスになったことに大きく寄与していることが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は136,903千円となりました。これは、有形固定資産の取得による支出58,743千円及び当連結会計年度より開始しております検査事業に係る子会社への出資や遺伝子組換えカイコ事業に係る子会社2社への出資により123,919千円の支出を行っていることが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は464,540千円となりました。これは、長期借入金の返済による支出48,864千円及び配当金の支払による支出30,026千円があった一方、新株予約権の行使による株式の発行により537,567千円の収入があったことが主な要因となっております。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。