有価証券報告書-第32期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 10:12
【資料】
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【項目】
107項目

対処すべき課題

(1) 医薬品の市場環境とその対応
治療用医薬品あるいは診断用医薬品の開発には、多額の研究開発費と長い年月が必要であります。従って、これら医薬品の開発には、当社グループの人的資源と効率を鑑み、自社では製品化するまでの全過程を行うことが可能かどうか注意深く検討してまいります。特に医薬品においては、遺伝子組換えカイコ技術を用いたタンパク質の生産及び治療用医薬品のシーズ開発に特化する方針であります。このように、当社グループは、医薬品開発への積極的な投資によって、パイプラインを充実させることで企業価値の最大化を追求いたします。
(2) パイプラインの拡充
当社グループは、治療用医薬品及び診断用医薬品のさらなるパイプラインの充実のため、現行の共同研究先である大学などに加え、優秀な人材を採用し、研究の推進を行う方針であります。また、海外企業が保有する有用なシーズの発掘も積極的に行ってまいります。
(3) 遺伝子組換えカイコ事業への取り組み
カイコの繭中に目的タンパク質を産生する生産技術は、現在の生産方法に比較して製造コストを低減させることが可能です。短期的には、研究用試薬・体外診断用医薬品にて使用する抗体の置換え利用や化粧品原料等への産業利用を推進し、具体的な生産受注を目指してまいります。長期的には、有限会社生物資源研究所とのカイコ繭による新しいインフルエンザワクチンの実用化に向けた共同研究及びアステラス製薬株式会社との有用タンパク質の医薬品への応用に向けた共同研究を積極的に進めており、医薬品原料の生産拠点及び付随設備への投資や優秀な人材の採用及び生産体制の構築準備を進めてまいります。
(4) 新規事業への取り組み
当社グループは、遺伝子組換えカイコ事業により開発された新規化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン」を広く化粧品業界へ浸透させるべく、量販店への販売に向けて株式会社エムコスメティックスを取得、また、通信販売のための株式会社ネオシルク化粧品を設立し、2社を子会社化いたしました。当事業は、当社グループが今まで事業を行ってきた市場とは違う新しい分野での挑戦であり、当事業の目標達成のため、優秀な企業との連携や人材の確保を進めてまいります。
(5) 人材の確保及び教育
当社グループは、企業価値の最大化を追求するため、各事業に精通した研究員及びプロジェクトを推進できる人材の確保が必要不可欠となります。その方策として、研究開発の効率が高まるハード面とソフト面の両面から研究開発に適した環境作りをいたします。
研究開発型企業である当社グループにおいては、自由な発想が生み出される柔軟な組織がふさわしいと考えております。組織が硬直化し、研究開発活動が滞ることがないように、常に問題意識をもって物事に対処する集団として組織を維持運営いたします。
(6) 財務安定性の確保
当社グループは、研究開発型企業として、積極的かつ継続的に研究開発に投資していく方針であります。投資の源泉は事業からの収益をもって行われることが望ましいと考えておりますが、研究開発テーマにより多額の先行投資が見込まれる場合には、新株予約権の行使により資金を調達してまいります。当社グループは、引き続き、収益確保のため、現製品の見直しや間接部門コストの削減に努めてまいります。また、研究テーマの選択を行い、経営資源を集中して効率的な経営を行うことが重要であると認識しております。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。