有価証券報告書-第119期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2019年3月26日)現在における当社グループの将来に関する見通し及び計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(中長期戦略 VISION 2020)
当社は、100年先も輝き続ける資生堂の原型をつくるため、2020年を一つの節目とした中長期戦略VISION 2020を策定し、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”として確固たる地位を築くべく、すべての活動をお客さま起点に、マーケティングやイノベーションを強化するとともに、それらを支える多様な人材の活用とグローバル組織の構築などに取り組んでいます。2020年までに“成長エネルギーが充満した会社”、“若々しさがみなぎる会社”、“世界中で話題になる会社”、“若者があこがれてやまない会社”、そして“多様な文化が混じりあう会社”となることを目指しています。
VISION 2020の具体的な戦略推進にあたっては、2020年までの期間を、2015年から2017年までの3カ年と、2018年から2020年までの3カ年に分け、最初の3年間を事業基盤の再構築の期間、後半の3年間を成長加速のための新戦略に取り組む期間と位置づけ、以下のマイルストーンを確実に達成しながら活動を進めています。
戦略策定当初、VISION 2020の定量的な目標は、2020年の売上高を1兆円超、営業利益を1,000億円超、連結ROEを12%以上に定めていました。売上高については2017年に3年前倒しで、営業利益と連結ROEについては2018年に2年前倒しで目標を達成しました。
今後も、イノベーションで世の中に貢献し、若者があこがれ、世界中の多様な人材が集まる、真のグローバルビューティーカンパニーの実現に向け、長期的には売上高2兆円、営業利益3,000億円を目指していきます。
(2018年から2020年までの3カ年計画)
2018年から2020年までの後半3カ年においては、世界各地域のお客さまのニーズに対応したブランド戦略を実行し、これまで以上に積極的なマーケティング投資を行います。そして、デジタル化の加速、M&A等により当社に加わったブランドや技術とのシナジーを最大限に発揮しながら、さらなる投資も強化することで、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”へと進化していきます。
2019年の連結業績予想は、売上高が前年比7.0%増(外貨前年比9%増)の1兆1,720億円、営業利益及び経常利益は売上増に伴う差益増などにより共に1,200億円、そして親会社株主に帰属する当期純利益は755億円を見込んでいます。
VISION 2020の最終年である2020年は、売上高1兆2,900憶円、営業利益1,500憶円、売上高営業利益率11.6%、ROE18%、ROIC14%を目指します。
①ブランド・事業のさらなる“選択と集中”
プレステージファースト戦略のもと、当社の強みであり成長性と収益性の拡大が期待できるプレステージ領域を第一優先にグローバルで強化しています。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」、「bareMinerals」、「イプサ」、「LAURA MERCIER」、「Dolce&Gabbana」に投資を集中し、成長を実現していきます。
中国をはじめとするアジア地域では、プレステージブランドに加え、コスメティクス・パーソナルケアブランドのうち、“メイド・イン・ジャパン”ブランドの「エリクシール」、「アネッサ」、「SENKA」を集中的に育成します。各地域のお客さまのニーズを捉えるため研究開発を拡充し、付加価値の高い商品の開発や流通との協働を通じ一層ブランド力を高めていきます。
②デジタライゼーションの加速・新事業開発
全世界でデジタルマーケティングやEコマースを強化します。Eコマースにおいては、主要Eコマースプラットフォームとの連携を強化するとともに、店頭における顧客データとの統合を実現し、CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)を進めます。Eコマース売上高構成比率を、2017年の8%から、2020年には15%(中国は40%)まで高めます。また、ビジネスオペレーション基盤を整備するために、社員の専門能力開発に取り組みながら、各地域本社間のビジネスプロセスとの連動、ITプラットフォームの統合やデータの一元管理を進めます。
新事業開発では、お客さま一人ひとりのニーズに合わせた価値提供を実現するため、パーソナライゼーションへの対応を強化していきます。さらにIoTなどのデジタル技術と既存ビジネスを掛け合わせることによって、新しい商品・サービスを生み出します。
③イノベーションによる新価値創造
これまで培ってきた当社の知見と、M&Aなどによるブランドや技術、専門性の高い人材が融合し、相乗効果を発揮します。これにより、化粧品のみならず、人工皮膚、毛髪・皮膚再生、先端美容など新領域を創出し、革新的なビジネスモデルを構築します。研究開発領域への投資を強化し、2020年には売上高に占める研究開発費比率は3%とし、将来的には4%とします。研究所員数は、2020年には1,500名に増やします。
2019年4月、横浜・みなとみらい21地区に世界中の研究開発拠点の中枢となる「資生堂グローバルイノベーションセンター」(呼称「S/PARK(エスパーク)」)が本格稼働します。国内外の最先端研究機関や異業種などから集約した多様な知見、情報、技術を融合させて最適な価値をつくることで、国や業界を超えたイノベーションを実現します。1階と2階には、お客さまがご利用いただける美の複合体験施設をオープンします。
④世界で勝つ、人材・組織の強化 “PEOPLE FIRST”
中長期的な価値創造を実現するため、すべての価値を生み出す人材こそが成長の源泉と考え、人材への投資を積極的に行っています。具体的には、将来を担うグローバル人材の育成に向けて若手を対象としたMBAプログラムの実施、マネジメント人材育成のためのリーダーシップ研修プログラムの強化などを進めています。また、今後は、全世界の従業員を対象とした研修施設を各地域本社に開設していきます。2019年1月にはシンガポールに研修施設がオープンしました。
人材の多様性の向上を促し、価値創造を実現する基盤作りとして、2018年10月より、社内の公用語を英語にしました。約3,000名の従業員が、英語力向上のためのプログラムに参加しています。さらに、組織の多様性を加速するために、人材データベースを世界統一基準で整備し、グローバルモビリティを推進していきます。
⑤グローバル経営体制のさらなる進化
2016年より、6つの地域と5つのブランドカテゴリーを掛け合わせたマトリクス型組織のグローバル体制がスタートしました。各地域本社のCEOに責任と権限を委譲し、地域のお客さまのニーズに合ったマーケティングや機動的な意思決定を実行することで、グローバルでの大きな成長を目指します。同時に、スキンケアは日本、メイクアップとデジタルは米州、フレグランスは欧州といった各カテゴリーで世界に影響力を持つ地域で戦略立案・商品開発をリードする“センター・オブ・エクセレンス”体制を整えました。
2018年からは、さらに進化させ、新たなビジネスモデルの構築やクロスボーダーマーケティングの加速を目指して新たな拠点を中国・上海に、また“資生堂テクノロジーアクセラレーションハブ”をアメリカ・ボストンに設置しました。各地域本社が価値創造の拠点になることを目指し、それぞれの地域で得た知見を全世界で共有しマーケティングに活かしています。
⑥グローバル成長を支える生産・供給体制の強化
VISION 2020の実現に向けた競争力強化の結果、日本市場をはじめグローバル全体で需要が増しています。特にクロスボーダーマーケティングの展開により、高品質なメイド・イン・ジャパンの化粧品に価値を見出す海外のお客さまの需要も拡大しています。このため、短期的には日本の既存3工場への設備投資、人員体制の強化、生産品種の大幅な絞り込みなどに加え、外部の協力工場による増産や原材料調達の充実に取り組んでいます。また、中長期的には、安定した生産体制の確立に向けて、現在、新たな生産拠点として国内に2工場を建設しており、那須工場は2019年中の稼働、大阪新工場は2020年の竣工を目指しています。大阪新工場の敷地内には、国内外向けの物流機能と商品の保管・出荷機能を併せ持つ物流拠点を新設します。
さらに、福岡県久留米市に新たな生産拠点“資生堂九州福岡工場(仮称)”を建設することを決定しました。同工場は次世代型工場として、IoT、最先端技術を活用するとともに九州というロケーションで、BCP(事業継続計画)にも対応します。主に国内外向けのスキンケア製品の製造工場として、2021年中の稼働を予定しています。なお、投資額は約400~500億円を見込んでいます。
これらの工場が完成すると、国内は6工場体制へと強化され、日本のみならず中国、アジアの需要へ対応し、日本の高品質のものづくりの強み、匠の技術をベースに持続的成長を支えてまいります。
⑦欧米の収益性改善
当社グループの持続的な成長を実現するためには、米州発メイクアップブランド「NARS」、「LAURA MERCIER」、欧州発フレグランスブランド「Dolce&Gabbana」などをグローバルに展開拡大していく必要があります。メイクアップ領域における米州、フレグランス領域における欧州において、主たるブランドを中心に販売事業で確実に売上成長を遂げ、収益性を高めていくと同時に「bareMinerals」の構造改革を進めていきます。
また世界展開の拡大に向け、ブランドホルダーとしてデザイナーやクリエイティブなどへの投資を強化する一方、ROI(投資利益率)を確実に向上していきます。
さらに、両地域本社で発生する固定費を徹底的に管理強化することにより、強固なコスト構造を実現し両地域ともにのれん償却や“センター・オブ・エクセレンス”に係る費用等を除いた実質の利益で2桁の営業利益率を目指します。
(100年先も輝き続ける企業になるために)
①社会価値創造本部の新設
当社は、100年先も社会とともに持続的に成長し、世界中のお客さま・社会から信頼され、必要とされる会社となることを目指し、経営ポリシーを“世界で最も信頼されるビューティーカンパニーへ”としました。その実現に向け、企業価値を高めていくためには、経済価値と社会価値の両面を向上させることが必要であると考えています。このため、2019年1月に環境・社会・文化に関わる社会価値創造の加速を目的に、サステナビリティ戦略部と企業文化部を統合・再編し、社会価値創造本部を新設しました。
同本部では、紫外線、気候変動等への環境活動を管轄する“サステナブル環境室”、女性活躍推進、ジェンダー啓発活動、アピアランスケア※機能を管轄する“ダイバーシティ&インクルージョン室”そして企業文化を管轄する“アート&ヘリテージ室”を設け、当社としての社会価値を高める取り組みを加速していきます。
※アピアランスケア:肌に深いお悩みをお持ちの方やがん治療に伴う外見変化に対するケア
②環境問題への取り組み
人々の暮らしを支える地球環境の保全と持続可能なモノづくりの推進は、美しい地球を次世代に受け継ぐための重要な取り組みだと考えています。当社では、単なる環境対応にとどまらず、お客さまの心を動かす新価値を付加することで、バリューチェーンにおける環境負荷の最小化と事業における成長を目指します。また、こうした魅力ある商品やサービスを提供するとともに、環境に負荷を与えない消費行動の啓発と定着にも取り組んでいきます。
当社は、日本企業として初めてSPICE(Sustainable Packaging Initiative for CosmEtics:化粧品のための持続可能なパッケージングへの取り組み)に参加しています。SPICEは環境サステナビリティの大手コンサルティング会社であるクアンティスインターナショナルS.A.とフランスの化粧品会社ロレアルS.A.によって2018年5月に共同設立され、14社のメンバー企業と関連する5団体で活動しています(2019年2月現在)。グローバルな化粧品会社が協業して“持続可能なパッケージングの未来をともに描く”という共通の目標に取り組んでいます。
SPICEへの参加により、資生堂は、日本の化粧品業界が推進してきた環境に配慮した容器包装に関わる技術を適切に評価する手法を開発するとともに、このような技術を使用した製品を奨励する新しい枠組みの構築を目指します。同時に、この枠組みを積極的に活用することで、資源効率性の高い商品をお客さまに提供し、化粧品業界全体のサステナビリティへの取り組みの強化に努めます。
③ダイバーシティのさらなる推進と女性活躍支援
当社は、国籍、性別、年齢、障がいの有無などあらゆる多様性(ダイバーシティ)を推進し、多様な考え方や価値観を持った社員が混じりあうことで、新たな価値を創造し、持続的成長につなげていきたいと考えています。なかでも、女性の社会的地位の向上や活躍支援について主導的な役割を果たしていくことを重要な使命の一つと捉えており、女性活躍を推進するためのさまざまな施策に取り組んできました。その結果、2017年1月には、日本国内における目標であった女性管理職比率30%を達成し、2019年1月時点で30.2%となっています。2020年までにこの比率を40%に高めることを目指します。
また、当社は社会に対しても女性の活躍を支援するさまざまな取り組みをグローバルに進めています。UN Women(国連女性機関)が推進するジェンダー平等(男女平等)のためのイニシアチブに賛同し、啓発活動を推進しています。
昨年10月には、2017年に続いて、ジェンダー課題の解決策を学生が提言するイベント“HeForShe※すべての人が輝く社会を目指して~Generation Zからの提言~”をUN Womenとの共催で開催しました。今後も当社は、このようなイベントを通じてこれからの社会を担う若い世代と共にジェンダー平等を推進し、すべての人が自らの人生を選択し能力を発揮できる社会の実現を目指します。
※ UN Womenが2014年からグローバルに展開しているジェンダー平等のための連帯イニシアチブ。ジェンダー
平等の社会を実現するためには、男性を含め、すべての人が立ち上がらなければならないとの考え方から始まったもの。
④文化・スポーツ支援活動への貢献
当社は、日仏友好160年を記念して日仏両政府の主導で開催している日本文化・芸術の祭典「ジャポニスム2018:響きあう魂」(事務局:独立行政法人国際交流基金。以下、ジャポニスム2018)にオフィシャルサポーターとして協賛しました。2018年7月から2019年2月までの8カ月間、パリを中心として約100の会場で、古くは縄文の考古の美から現代日本の最新技術を駆使したアートまで、日本の多様な文化が紹介されました。当社は官民連携のジャポニスム2018のようなイベントに積極的に協賛することで、日本の美をけん引してきた企業の一つとして、世界に向けて日本ならではの美意識を紹介することに貢献してまいります。
当社は、人々に感動と共感を与えるスポーツへのサポートを通じて、世界中の人々のアクティブで美しい生き方を応援しています。屋外でスポーツをする際も紫外線から肌を守る日焼け止めや美白商品および関連美容情報を開発してきました。
2015年には、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(LPGA)とオフィシャルパートナー契約を締結しました。LPGA会員に日焼け止めをはじめとする当社化粧品を提供することや、新入会員を対象とした美容講座の開催などを通じてLPGAの活動を後押しし、男女問わず幅広い年代の方がアクティブに輝くことができる生涯スポーツとしてのゴルフの普及拡大を支援しています。2019年から、新規LPGAツアー「資生堂 アネッサ レディスオープン」を開催します。サンケアブランド「アネッサ」をシンボリックブランドとし、太陽の下で紫外線を気にせず選手が力を存分に発揮できることや、ジュニアを含めた幅広い年代層の来場者・観戦者が、これまで以上にゴルフ、さらにはスポーツを楽しんでいただけるツアーの開催を目指します。
このほか、当社は、2019年2月8日に実施した当社グループの決算説明会の中で、資生堂グループのこれからの取り組みを発表しています。決算説明の内容は、当社ウェブサイトに掲載しており、以下のURLからご確認いただけます。
http://www.irwebcasting.com/20190208/3/ad970f1ab9/mov/main/index.html
当社はこれらの活動を通じて、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”を目指し、100年先も輝き続ける企業となれるよう取り組みを継続してまいります。
(中長期戦略 VISION 2020)
当社は、100年先も輝き続ける資生堂の原型をつくるため、2020年を一つの節目とした中長期戦略VISION 2020を策定し、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”として確固たる地位を築くべく、すべての活動をお客さま起点に、マーケティングやイノベーションを強化するとともに、それらを支える多様な人材の活用とグローバル組織の構築などに取り組んでいます。2020年までに“成長エネルギーが充満した会社”、“若々しさがみなぎる会社”、“世界中で話題になる会社”、“若者があこがれてやまない会社”、そして“多様な文化が混じりあう会社”となることを目指しています。
VISION 2020の具体的な戦略推進にあたっては、2020年までの期間を、2015年から2017年までの3カ年と、2018年から2020年までの3カ年に分け、最初の3年間を事業基盤の再構築の期間、後半の3年間を成長加速のための新戦略に取り組む期間と位置づけ、以下のマイルストーンを確実に達成しながら活動を進めています。
戦略策定当初、VISION 2020の定量的な目標は、2020年の売上高を1兆円超、営業利益を1,000億円超、連結ROEを12%以上に定めていました。売上高については2017年に3年前倒しで、営業利益と連結ROEについては2018年に2年前倒しで目標を達成しました。
今後も、イノベーションで世の中に貢献し、若者があこがれ、世界中の多様な人材が集まる、真のグローバルビューティーカンパニーの実現に向け、長期的には売上高2兆円、営業利益3,000億円を目指していきます。
(2018年から2020年までの3カ年計画)
2018年から2020年までの後半3カ年においては、世界各地域のお客さまのニーズに対応したブランド戦略を実行し、これまで以上に積極的なマーケティング投資を行います。そして、デジタル化の加速、M&A等により当社に加わったブランドや技術とのシナジーを最大限に発揮しながら、さらなる投資も強化することで、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”へと進化していきます。
2019年の連結業績予想は、売上高が前年比7.0%増(外貨前年比9%増)の1兆1,720億円、営業利益及び経常利益は売上増に伴う差益増などにより共に1,200億円、そして親会社株主に帰属する当期純利益は755億円を見込んでいます。
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主に 帰属する 当期純利益 | 1株当たり 当期純利益 | |
| 2019年度予想(A) | 百万円 1,172,000 | 百万円 120,000 | 百万円 120,000 | 百万円 75,500 | 円 銭 189.04 |
| 2018年度実績(B) | 1,094,825 | 108,350 | 109,489 | 61,403 | 153.74 |
| 増減額(A-B) | 77,175 | 11,650 | 10,511 | 14,097 | - |
| 増減率(%) | 7.0 | 10.8 | 9.6 | 23.0 | - |
VISION 2020の最終年である2020年は、売上高1兆2,900憶円、営業利益1,500憶円、売上高営業利益率11.6%、ROE18%、ROIC14%を目指します。
①ブランド・事業のさらなる“選択と集中”
プレステージファースト戦略のもと、当社の強みであり成長性と収益性の拡大が期待できるプレステージ領域を第一優先にグローバルで強化しています。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」、「bareMinerals」、「イプサ」、「LAURA MERCIER」、「Dolce&Gabbana」に投資を集中し、成長を実現していきます。
中国をはじめとするアジア地域では、プレステージブランドに加え、コスメティクス・パーソナルケアブランドのうち、“メイド・イン・ジャパン”ブランドの「エリクシール」、「アネッサ」、「SENKA」を集中的に育成します。各地域のお客さまのニーズを捉えるため研究開発を拡充し、付加価値の高い商品の開発や流通との協働を通じ一層ブランド力を高めていきます。
②デジタライゼーションの加速・新事業開発
全世界でデジタルマーケティングやEコマースを強化します。Eコマースにおいては、主要Eコマースプラットフォームとの連携を強化するとともに、店頭における顧客データとの統合を実現し、CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)を進めます。Eコマース売上高構成比率を、2017年の8%から、2020年には15%(中国は40%)まで高めます。また、ビジネスオペレーション基盤を整備するために、社員の専門能力開発に取り組みながら、各地域本社間のビジネスプロセスとの連動、ITプラットフォームの統合やデータの一元管理を進めます。
新事業開発では、お客さま一人ひとりのニーズに合わせた価値提供を実現するため、パーソナライゼーションへの対応を強化していきます。さらにIoTなどのデジタル技術と既存ビジネスを掛け合わせることによって、新しい商品・サービスを生み出します。
③イノベーションによる新価値創造
これまで培ってきた当社の知見と、M&Aなどによるブランドや技術、専門性の高い人材が融合し、相乗効果を発揮します。これにより、化粧品のみならず、人工皮膚、毛髪・皮膚再生、先端美容など新領域を創出し、革新的なビジネスモデルを構築します。研究開発領域への投資を強化し、2020年には売上高に占める研究開発費比率は3%とし、将来的には4%とします。研究所員数は、2020年には1,500名に増やします。
2019年4月、横浜・みなとみらい21地区に世界中の研究開発拠点の中枢となる「資生堂グローバルイノベーションセンター」(呼称「S/PARK(エスパーク)」)が本格稼働します。国内外の最先端研究機関や異業種などから集約した多様な知見、情報、技術を融合させて最適な価値をつくることで、国や業界を超えたイノベーションを実現します。1階と2階には、お客さまがご利用いただける美の複合体験施設をオープンします。
④世界で勝つ、人材・組織の強化 “PEOPLE FIRST”
中長期的な価値創造を実現するため、すべての価値を生み出す人材こそが成長の源泉と考え、人材への投資を積極的に行っています。具体的には、将来を担うグローバル人材の育成に向けて若手を対象としたMBAプログラムの実施、マネジメント人材育成のためのリーダーシップ研修プログラムの強化などを進めています。また、今後は、全世界の従業員を対象とした研修施設を各地域本社に開設していきます。2019年1月にはシンガポールに研修施設がオープンしました。
人材の多様性の向上を促し、価値創造を実現する基盤作りとして、2018年10月より、社内の公用語を英語にしました。約3,000名の従業員が、英語力向上のためのプログラムに参加しています。さらに、組織の多様性を加速するために、人材データベースを世界統一基準で整備し、グローバルモビリティを推進していきます。
⑤グローバル経営体制のさらなる進化
2016年より、6つの地域と5つのブランドカテゴリーを掛け合わせたマトリクス型組織のグローバル体制がスタートしました。各地域本社のCEOに責任と権限を委譲し、地域のお客さまのニーズに合ったマーケティングや機動的な意思決定を実行することで、グローバルでの大きな成長を目指します。同時に、スキンケアは日本、メイクアップとデジタルは米州、フレグランスは欧州といった各カテゴリーで世界に影響力を持つ地域で戦略立案・商品開発をリードする“センター・オブ・エクセレンス”体制を整えました。
2018年からは、さらに進化させ、新たなビジネスモデルの構築やクロスボーダーマーケティングの加速を目指して新たな拠点を中国・上海に、また“資生堂テクノロジーアクセラレーションハブ”をアメリカ・ボストンに設置しました。各地域本社が価値創造の拠点になることを目指し、それぞれの地域で得た知見を全世界で共有しマーケティングに活かしています。
⑥グローバル成長を支える生産・供給体制の強化
VISION 2020の実現に向けた競争力強化の結果、日本市場をはじめグローバル全体で需要が増しています。特にクロスボーダーマーケティングの展開により、高品質なメイド・イン・ジャパンの化粧品に価値を見出す海外のお客さまの需要も拡大しています。このため、短期的には日本の既存3工場への設備投資、人員体制の強化、生産品種の大幅な絞り込みなどに加え、外部の協力工場による増産や原材料調達の充実に取り組んでいます。また、中長期的には、安定した生産体制の確立に向けて、現在、新たな生産拠点として国内に2工場を建設しており、那須工場は2019年中の稼働、大阪新工場は2020年の竣工を目指しています。大阪新工場の敷地内には、国内外向けの物流機能と商品の保管・出荷機能を併せ持つ物流拠点を新設します。
さらに、福岡県久留米市に新たな生産拠点“資生堂九州福岡工場(仮称)”を建設することを決定しました。同工場は次世代型工場として、IoT、最先端技術を活用するとともに九州というロケーションで、BCP(事業継続計画)にも対応します。主に国内外向けのスキンケア製品の製造工場として、2021年中の稼働を予定しています。なお、投資額は約400~500億円を見込んでいます。
これらの工場が完成すると、国内は6工場体制へと強化され、日本のみならず中国、アジアの需要へ対応し、日本の高品質のものづくりの強み、匠の技術をベースに持続的成長を支えてまいります。
⑦欧米の収益性改善
当社グループの持続的な成長を実現するためには、米州発メイクアップブランド「NARS」、「LAURA MERCIER」、欧州発フレグランスブランド「Dolce&Gabbana」などをグローバルに展開拡大していく必要があります。メイクアップ領域における米州、フレグランス領域における欧州において、主たるブランドを中心に販売事業で確実に売上成長を遂げ、収益性を高めていくと同時に「bareMinerals」の構造改革を進めていきます。
また世界展開の拡大に向け、ブランドホルダーとしてデザイナーやクリエイティブなどへの投資を強化する一方、ROI(投資利益率)を確実に向上していきます。
さらに、両地域本社で発生する固定費を徹底的に管理強化することにより、強固なコスト構造を実現し両地域ともにのれん償却や“センター・オブ・エクセレンス”に係る費用等を除いた実質の利益で2桁の営業利益率を目指します。
(100年先も輝き続ける企業になるために)
①社会価値創造本部の新設
当社は、100年先も社会とともに持続的に成長し、世界中のお客さま・社会から信頼され、必要とされる会社となることを目指し、経営ポリシーを“世界で最も信頼されるビューティーカンパニーへ”としました。その実現に向け、企業価値を高めていくためには、経済価値と社会価値の両面を向上させることが必要であると考えています。このため、2019年1月に環境・社会・文化に関わる社会価値創造の加速を目的に、サステナビリティ戦略部と企業文化部を統合・再編し、社会価値創造本部を新設しました。
同本部では、紫外線、気候変動等への環境活動を管轄する“サステナブル環境室”、女性活躍推進、ジェンダー啓発活動、アピアランスケア※機能を管轄する“ダイバーシティ&インクルージョン室”そして企業文化を管轄する“アート&ヘリテージ室”を設け、当社としての社会価値を高める取り組みを加速していきます。
※アピアランスケア:肌に深いお悩みをお持ちの方やがん治療に伴う外見変化に対するケア
②環境問題への取り組み
人々の暮らしを支える地球環境の保全と持続可能なモノづくりの推進は、美しい地球を次世代に受け継ぐための重要な取り組みだと考えています。当社では、単なる環境対応にとどまらず、お客さまの心を動かす新価値を付加することで、バリューチェーンにおける環境負荷の最小化と事業における成長を目指します。また、こうした魅力ある商品やサービスを提供するとともに、環境に負荷を与えない消費行動の啓発と定着にも取り組んでいきます。
当社は、日本企業として初めてSPICE(Sustainable Packaging Initiative for CosmEtics:化粧品のための持続可能なパッケージングへの取り組み)に参加しています。SPICEは環境サステナビリティの大手コンサルティング会社であるクアンティスインターナショナルS.A.とフランスの化粧品会社ロレアルS.A.によって2018年5月に共同設立され、14社のメンバー企業と関連する5団体で活動しています(2019年2月現在)。グローバルな化粧品会社が協業して“持続可能なパッケージングの未来をともに描く”という共通の目標に取り組んでいます。
SPICEへの参加により、資生堂は、日本の化粧品業界が推進してきた環境に配慮した容器包装に関わる技術を適切に評価する手法を開発するとともに、このような技術を使用した製品を奨励する新しい枠組みの構築を目指します。同時に、この枠組みを積極的に活用することで、資源効率性の高い商品をお客さまに提供し、化粧品業界全体のサステナビリティへの取り組みの強化に努めます。
③ダイバーシティのさらなる推進と女性活躍支援
当社は、国籍、性別、年齢、障がいの有無などあらゆる多様性(ダイバーシティ)を推進し、多様な考え方や価値観を持った社員が混じりあうことで、新たな価値を創造し、持続的成長につなげていきたいと考えています。なかでも、女性の社会的地位の向上や活躍支援について主導的な役割を果たしていくことを重要な使命の一つと捉えており、女性活躍を推進するためのさまざまな施策に取り組んできました。その結果、2017年1月には、日本国内における目標であった女性管理職比率30%を達成し、2019年1月時点で30.2%となっています。2020年までにこの比率を40%に高めることを目指します。
また、当社は社会に対しても女性の活躍を支援するさまざまな取り組みをグローバルに進めています。UN Women(国連女性機関)が推進するジェンダー平等(男女平等)のためのイニシアチブに賛同し、啓発活動を推進しています。
昨年10月には、2017年に続いて、ジェンダー課題の解決策を学生が提言するイベント“HeForShe※すべての人が輝く社会を目指して~Generation Zからの提言~”をUN Womenとの共催で開催しました。今後も当社は、このようなイベントを通じてこれからの社会を担う若い世代と共にジェンダー平等を推進し、すべての人が自らの人生を選択し能力を発揮できる社会の実現を目指します。
※ UN Womenが2014年からグローバルに展開しているジェンダー平等のための連帯イニシアチブ。ジェンダー
平等の社会を実現するためには、男性を含め、すべての人が立ち上がらなければならないとの考え方から始まったもの。
④文化・スポーツ支援活動への貢献
当社は、日仏友好160年を記念して日仏両政府の主導で開催している日本文化・芸術の祭典「ジャポニスム2018:響きあう魂」(事務局:独立行政法人国際交流基金。以下、ジャポニスム2018)にオフィシャルサポーターとして協賛しました。2018年7月から2019年2月までの8カ月間、パリを中心として約100の会場で、古くは縄文の考古の美から現代日本の最新技術を駆使したアートまで、日本の多様な文化が紹介されました。当社は官民連携のジャポニスム2018のようなイベントに積極的に協賛することで、日本の美をけん引してきた企業の一つとして、世界に向けて日本ならではの美意識を紹介することに貢献してまいります。
当社は、人々に感動と共感を与えるスポーツへのサポートを通じて、世界中の人々のアクティブで美しい生き方を応援しています。屋外でスポーツをする際も紫外線から肌を守る日焼け止めや美白商品および関連美容情報を開発してきました。
2015年には、一般社団法人日本女子プロゴルフ協会(LPGA)とオフィシャルパートナー契約を締結しました。LPGA会員に日焼け止めをはじめとする当社化粧品を提供することや、新入会員を対象とした美容講座の開催などを通じてLPGAの活動を後押しし、男女問わず幅広い年代の方がアクティブに輝くことができる生涯スポーツとしてのゴルフの普及拡大を支援しています。2019年から、新規LPGAツアー「資生堂 アネッサ レディスオープン」を開催します。サンケアブランド「アネッサ」をシンボリックブランドとし、太陽の下で紫外線を気にせず選手が力を存分に発揮できることや、ジュニアを含めた幅広い年代層の来場者・観戦者が、これまで以上にゴルフ、さらにはスポーツを楽しんでいただけるツアーの開催を目指します。
このほか、当社は、2019年2月8日に実施した当社グループの決算説明会の中で、資生堂グループのこれからの取り組みを発表しています。決算説明の内容は、当社ウェブサイトに掲載しており、以下のURLからご確認いただけます。
http://www.irwebcasting.com/20190208/3/ad970f1ab9/mov/main/index.html
当社はこれらの活動を通じて、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”を目指し、100年先も輝き続ける企業となれるよう取り組みを継続してまいります。