有価証券報告書-第125期(2024/01/01-2024/12/31)
② 戦略
気候関連リスクおよび機会について、1.5/2℃から4℃の範囲で気温上昇を想定し、RCP-SSPシナリオに沿って分析を実施しました。移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を、物理的リスクについては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化要因について、各シナリオ条件における影響を分析しました。
2030年時点における移行リスクとして、炭素税によって約0.5~8.7億円規模の財務影響が発生する可能性を予測しています。物理的リスクについては、洪水により約9億円、水不足により約35億円の潜在的なリスクを見込んでいます。機会に関しては、1.5/2℃シナリオにおいて、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオにおいては、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。
●がついている要因は定量分析も実施しています。
自然関連リスクおよび機会に関しては、ライフサイクルアセスメントによってバリューチェーンを通じた生物多様性への影響側面の定量分析を行い、特に原材料調達における影響が大きいことを明らかにしました。そこで、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って、生物多様性への依存度の高い化粧品原材料について原産地を推定し、依存側面における物理的リスク分析としてミツバチなどの花粉媒介者による生態系サービスの金額化を行いました。同時に、移行リスクとして、サステナビリティ関連規制に関わるリスク分析を、気候変動問題とあわせて実施しています。
資生堂 気候/自然関連財務情報開示レポートは、企業情報サイトで公開しています。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/env/pdf/risks_report.pdf
気候変動に関わる対応として、当社では気候変動を重要課題として認識し、CO2排出量削減にバリューチェーン全体で取り組んでいます。CO2排出量の削減については、特にScope 1およびScope 2のCO2排出量について、2030年までに46.2%削減(2019年対比)を達成することを目標として設定しました。また、Scope 1、2に加えてバリューチェーンからの間接排出であるScope 3についても、1.5℃経路に整合した長期目標を設定し、SBTi(注)1 から認証を受けています。
当社のグローバル全サイトでは、再生可能エネルギーの使用を推進しています。2023年にはグローバル全11工場・自社物流センターにおける再生可能由来の電力への切り替えを100%完了しました。工場では、建物の断熱設計や、省エネルギーにつながる効率的な設備の選定や、環境マネジメントシステムISO 14001に基づく環境対策などを通じてエネルギー効率の向上に努めています。さらに、世界各国・各地域の工場や研究所の敷地内や建物に太陽光発電設備の設置を積極的に推進し、資生堂全体で9施設(注)2 に設置されています。
生物多様性に関わる対応として、当社ではTNFDの枠組みなどを活用し、事業と陸域・水域・海洋の生物多様性との関係を分析し、原材料調達による陸域生態系への依存と影響が大きいことを特定しています。なかでもパーム油や紙は影響も重大なため、企業の積極的な対応が求められており、当社はパーム油と紙について中長期目標を開示し、サステナブルな原材料への切り替えを進めています。加えて、生産事業所の敷地および周辺地域について生態系評価を行い、さらなる生態系理解と改善に努めています。
当社では、気候や生物多様性を含む地球システムと事業との関係性についての俯瞰的な視野を持つ重要性を理解しています。リスクと機会の評価を通じて重要な領域を特定し、優先順位をつけ、問題解決に貢献していくことが重要と考えています。再生可能エネルギーの活用や生物多様性を考慮した責任ある調達に加えて、環境配慮型の処方/成分の開発や、循環型の容器包装とリサイクルモデルの開発など、ライフサイクル思考に基づいた新しい価値創出に向けた取り組みを進めています。これら取り組みの詳細については、2025年発行予定の「サステナビリティレポート」をご参照ください。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/report.html
(注) 1 パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアティブ
2 掛川工場、大阪茨木工場、福岡久留米工場、上海工場、北京工場、台湾工場、イーストウィンザー工場(米国)、ジアン工場(フランス)、グローバルイノベーションセンター(横浜)で設置
気候関連リスクおよび機会について、1.5/2℃から4℃の範囲で気温上昇を想定し、RCP-SSPシナリオに沿って分析を実施しました。移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を、物理的リスクについては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化要因について、各シナリオ条件における影響を分析しました。
2030年時点における移行リスクとして、炭素税によって約0.5~8.7億円規模の財務影響が発生する可能性を予測しています。物理的リスクについては、洪水により約9億円、水不足により約35億円の潜在的なリスクを見込んでいます。機会に関しては、1.5/2℃シナリオにおいて、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオにおいては、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。
リスク | 機会 | ||
移行リスク (主に1.5/2℃) | ・炭素税によるコスト増● ・燃料価格の高騰 ・シングルユースプラスチック使用製品の販売機会喪失● | ・エネルギー効率の向上 ・持続可能で責任ある製品の販売機会拡大 | |
物理的リスク (主に4℃) | 急性 | ・自然災害による生産活動の停止● ・自然災害による物流機能の断絶 | ・気候対応型ソリューションを採用した製品販売機会拡大 |
慢性 | ・降雨や気象の変化による、原材料の調達コストの増加● ・水不足による生産活動の停止● |
●がついている要因は定量分析も実施しています。
自然関連リスクおよび機会に関しては、ライフサイクルアセスメントによってバリューチェーンを通じた生物多様性への影響側面の定量分析を行い、特に原材料調達における影響が大きいことを明らかにしました。そこで、TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って、生物多様性への依存度の高い化粧品原材料について原産地を推定し、依存側面における物理的リスク分析としてミツバチなどの花粉媒介者による生態系サービスの金額化を行いました。同時に、移行リスクとして、サステナビリティ関連規制に関わるリスク分析を、気候変動問題とあわせて実施しています。
資生堂 気候/自然関連財務情報開示レポートは、企業情報サイトで公開しています。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/env/pdf/risks_report.pdf
気候変動に関わる対応として、当社では気候変動を重要課題として認識し、CO2排出量削減にバリューチェーン全体で取り組んでいます。CO2排出量の削減については、特にScope 1およびScope 2のCO2排出量について、2030年までに46.2%削減(2019年対比)を達成することを目標として設定しました。また、Scope 1、2に加えてバリューチェーンからの間接排出であるScope 3についても、1.5℃経路に整合した長期目標を設定し、SBTi(注)1 から認証を受けています。
当社のグローバル全サイトでは、再生可能エネルギーの使用を推進しています。2023年にはグローバル全11工場・自社物流センターにおける再生可能由来の電力への切り替えを100%完了しました。工場では、建物の断熱設計や、省エネルギーにつながる効率的な設備の選定や、環境マネジメントシステムISO 14001に基づく環境対策などを通じてエネルギー効率の向上に努めています。さらに、世界各国・各地域の工場や研究所の敷地内や建物に太陽光発電設備の設置を積極的に推進し、資生堂全体で9施設(注)2 に設置されています。
生物多様性に関わる対応として、当社ではTNFDの枠組みなどを活用し、事業と陸域・水域・海洋の生物多様性との関係を分析し、原材料調達による陸域生態系への依存と影響が大きいことを特定しています。なかでもパーム油や紙は影響も重大なため、企業の積極的な対応が求められており、当社はパーム油と紙について中長期目標を開示し、サステナブルな原材料への切り替えを進めています。加えて、生産事業所の敷地および周辺地域について生態系評価を行い、さらなる生態系理解と改善に努めています。
当社では、気候や生物多様性を含む地球システムと事業との関係性についての俯瞰的な視野を持つ重要性を理解しています。リスクと機会の評価を通じて重要な領域を特定し、優先順位をつけ、問題解決に貢献していくことが重要と考えています。再生可能エネルギーの活用や生物多様性を考慮した責任ある調達に加えて、環境配慮型の処方/成分の開発や、循環型の容器包装とリサイクルモデルの開発など、ライフサイクル思考に基づいた新しい価値創出に向けた取り組みを進めています。これら取り組みの詳細については、2025年発行予定の「サステナビリティレポート」をご参照ください。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/report.html
(注) 1 パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアティブ
2 掛川工場、大阪茨木工場、福岡久留米工場、上海工場、北京工場、台湾工場、イーストウィンザー工場(米国)、ジアン工場(フランス)、グローバルイノベーションセンター(横浜)で設置