有価証券報告書-第124期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/26 15:29
【資料】
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【項目】
153項目
② 戦略
気候関連リスクおよび機会については1.5/2℃から4℃の範囲で気温上昇を想定し、RCP-SSPシナリオに沿って分析を実施しました。移行リスクについては、脱炭素社会への移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を、物理的リスクについては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化要因について、各シナリオ条件における影響を分析しました。2030年時点における移行リスクとして、炭素税によって約0.5~8.7億円規模の財務影響が発生する可能性を予測しています。物理的リスクについては、洪水により約9億円、水不足により約35億円の潜在的なリスクを見込んでいます。機会に関しては、1.5/2℃シナリオにおいて、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まると予想されます。4℃シナリオにおいては、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大すると予想されます。イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していくことで、リスクの緩和と新たな機会の創出を目指しています。
リスク機会
移行リスク
(主に1.5/2℃)
・炭素税によるコスト増●
・燃料価格の高騰
・シングルユースプラスチック使用製品の販売機会喪失●
・エネルギー効率の向上
・クリーンビューティーなどのエシカルな製品の販売機会拡大
物理的リスク
(主に4℃)
急性・自然災害による生産活動の停止●
・自然災害による物流機能の断絶
・環境にやさしい製品
・気候対応型ソリューションの開発の販売機会拡大
慢性・降雨や気象の変化による、原材料の調達コストの増加●
・水不足による生産活動の停止●

●がついている要因は定量分析も実施しています。
自然関連リスクおよび機会に関しては、ライフサイクルアセスメントによって当社のバリューチェーンを通じた生物多様性への影響側面の定量分析を行い、特に原材料調達における影響が大きいことを明らかとしました。TNFDが推奨するLEAPアプローチに沿って、生物多様性への依存度の高い化粧品原料について原産地を推定し、依存側面における物理リスク分析としてミツバチなどの花粉媒介者による生態系サービスの金額化を行いました。同時に、移行リスクとして、サステナビリティ関連規制に関わるリスク分析を、気候問題とあわせて実施しています。
分析条件など詳細な情報を含めた「気候/自然関連財務情報開示レポート」は、当社企業情報サイトで公開しています。
https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/env/pdf/risks_report.pdf