有価証券報告書-第106期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 9:14
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【項目】
101項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、大手企業を中心とした企業業績、雇用情勢や設備投資が改善に向かった他、年明けの補正予算成立やインバウンド関連の消費財支出拡大といった景気の下支えがあったものの、所得の伸び悩みによる個人消費の足取りは依然として重たく、円高・株安の進行、日銀によるマイナス金利導入の影響等もあり、先行きの不透明感が強まっております。一方で、海外に目を向けますと、雇用情勢や個人消費等の改善を背景とした米国景気の持続的成長というプラスの側面はあったものの、中国を始めとする新興国経済の減速や、資源国における景気の低迷など、世界経済の牽引役不在という状況下、景気の下振れリスクは拡大する懸念も残存しております。
このような経営環境のなか、当社グループは、中期経営計画において最も重視する経営資源としての人材の育成ならびに戦力化に全社を挙げて取り組んでいる他、生産の合理化・効率化による製造総費用の削減、ユーザーからの高い要求水準に応えられる高度な品質管理・保証体制の再構築などを推進することで、今後ますます不透明感を深めるであろう経営環境の影響を受けにくい、筋肉質の事業基盤構築に努めております。
当連結会計年度におきましては、モバイル機器関連、輸送機器関連、生活関連製品に対する営業、新規海外ユーザーの開拓の強化、従来より取り組んできた新規販売先に対する承認活動、既存販売先との取引拡充により売上高および利益の確保に努めてまいりましたが、期前半まで好調を維持していたモバイル機器向け電子用テープが、中国の景気減速の影響や業界の一部再編の動きなども受け、苦戦を強いられ、売上高では前期の実績を下回る結果になりました。
営業利益は、天然ゴムやナフサ価格の下落に伴う原材料コスト低下の追い風があり、また徹底的な原価低減活動の継続、海外事業での利益改善等により前期比増益となりました。経常利益は、前期の円安効果が一巡し、逆に円高進行による為替差損を計上したことから前期比減益となりました。
また、稼働後4年目を迎えたインドネシア生産子会社は、生産管理の徹底に全社一丸となって取り組み、中核となる製品の生産量が増加したことに加え、原材料価格の低下もあり、小幅ながら通期での黒字化を果たしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、217億70百万円(前期比3.1%減)となりました。また、営業利益は11億43百万円(前期比11.6%増)、経常利益は期末にかけての円高による為替差損の計上を行ったため8億51百万円(前期比59.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億27百万円(前期比29.0%減)となりました。
当社グループの事業は、粘着テープの製造・販売の単一セグメントでありますが、製品部門別の売上高状況は以下の通りです。
(梱包・包装用テープ)
梱包・包装用テープは、消費増税の影響があった前年同期の反動減の流れにようやく歯止めがかかり、これに合わせ販売促進キャンペーン等も効果的に行ない、当製品部門の売上高は、37億53百万円(前期比0.1%増)となりました。
(電機・電子用テープ)
電機・電子用テープは、期前半におきましては、モバイル関連ないし輸送機器関連製品は好調な受注を維持いたしました。しかしながら、中国の景気減速等の影響もあり、期後半は一転苦戦を強いられました。当製品部門の売上高は、110億76百万円(前期比7.1%減)となりました。
(産業用テープ)
産業用テープは、インフラ・土木関連の安定した需要を捉え、また通販向けの販売が比較的好調に推移しました。中でも主力製品であるポリエチレンクロステープは、過去最高の売上高を記録するなど、消費低迷の中でも全般的に堅調な受注を維持することができました。当製品部門の売上高は69億40百万円(前期比2.1%増)となりました。
〈次期の見通し〉
今後の我が国の経済情勢につきましては、円高進行や年明け以降の株安などにより景況感が悪化しているほか、個人消費も弱含みで推移していることに加え、中国をはじめとする新興国経済の減速懸念などもあるため、内外需要の回復はさほど見込めないことから、企業収益の下振れリスクが増加しているなど、先行きは不透明な情勢が続くものと予想されます。このような状況下、当社グループは、インドネシア生産子会社の生産効率並びに品質も含めた安定生産を軌道に乗せると共に、たゆまざる品質向上に努める他、引き続き国内外の新規顧客開拓と既存顧客基盤の深耕による営業基盤の強化や、製造工程の合理化・効率化を推進することにより、連結ベースの利益水準を高めてまいります。また、営業、製造、開発並びに管理にそれぞれ精通した人材を育成することが最重要経営課題と捉え、将来を見据えた人的資源の開発を行ってまいります。
平成29年3月期の通期連結業績予想につきましては、売上高226億90百万円(前期比4.2%増)、営業利益12億50百万円(前期比9.4%増)、経常利益13億円(前期比52.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9億50百万円(前期比30.7%増)を見込んでおります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ5億円増加し65億36百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は11億71百万円(前年同期は8億42百万円の増加)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用した資金は、1億60百万円(前年同期は7億72百万円)となりました。これは、主に固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、2億89百万円(前年同期は6億38百万円)となりました。これは、主に配当金の支払いによるものです。