有価証券報告書-第23期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 16:00
【資料】
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【項目】
168項目
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループを取り巻く環境
世界経済は、地域によって景気の推移が異なり、全体では緩やかな拡大にとどまりました。米国では個人消費が堅調に推移し景気の拡大を牽引する一方、中国では不動産不況が長引き成長の鈍化が継続、欧州ではドイツ経済の減速などもあって景気が低迷しました。国内経済は、物価の上昇などもあった一方で賃金の上昇などもあったことで個人消費に持ち直しが見られたほか、設備投資の増加や好調なインバウンド需要などもあり、景気は緩やかに回復しました。
円の対米ドル相場は、日米の金利差拡大を背景に円安が進行し、2024年6月には約38年ぶりとなる161円台の水準に達しましたが、米国経済指標の悪化や日銀の政策金利引き上げ等により円高が進行しました。その後、日米金利差拡大により再び円安が進行し、期平均では前年同期比8円安の153円となりました。
半導体市場は前期までの在庫調整が一巡し、AI関連が牽引した回復の動きがみられました。生成AIの学習や推論に使われるAIサーバ向けの高価格帯製品の需要が堅調で半導体の出荷金額は高い伸びを維持する一方、出荷数量は緩やかな回復となりました。エレクトロニクス市場において、スマートフォンやパソコン・タブレットは、在庫調整一巡後の回復が見られましたが、端末へのAI機能搭載は十分に広がっておらず、買換え需要の促進にまでは至りませんでした。自動車や産業機械向けエレクトロニクス市場は力強さに欠け、分野ごとに濃淡が見られました。
銅の国際価格(LME[ロンドン金属取引所]価格)は、期初は1ポンド当たり405セントから始まり、前年度から続く一部銅鉱山の操業停止による供給懸念等に起因して、2024年5月に492セントと史上最高値を更新しました。その後相場は落ち着くも、2025年初以降、米国による銅への関税賦課の懸念により期末にかけて上昇し、期末には439セントとなり、期平均で前期比46セント高の425セントとなりました。
このような経営環境の中、当社の成長戦略のコアであるフォーカス事業の成長をさらに加速させる取り組みや、ベース事業における効率的な資産運用を意識した事業の強靭化など、「JX金属グループ2040年長期ビジョン」の実現に向けた各施策を推進しました。また、次世代半導体向けCVD・ALD材料の本格生産に向けた能力増強や先端半導体材料パッケージの早期事業化などに取り組んできました。
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 経営成績
当連結会計年度における当社グループの売上高は、SCM Minera Lumina Copper Chile(以下、MLCC)及びパンパシフィック・カッパー株式会社(以下、PPC)の一部株式譲渡によって両社が連結子会社から持分法適用会社へ変更となり、両社の売上高が連結範囲から外れたことを主因として、714,940百万円(前年同期比52.7%減)となりました。一方、営業利益は、円安基調の継続、金属価格の高止まり、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔等の主力製品の増販等により、112,484百万円(同26,312百万円増)となり、税引前利益は107,476百万円(同28,762百万円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は68,271百万円(同34,353百万円減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(半導体材料セグメント)
当第3四半期にTANIOBIS GmbHにおいてのれんの減損損失を計上したものの、AI関連需要の拡大を受けた半導体用スパッタリングターゲットなどの製品の増販や円安を主因に増収となり、営業利益は前年同期並みとなりました。
半導体材料セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比20.2%増の148,041百万円となりました。営業利益は前年同期比328百万円増益の26,738百万円となりました。
(情報通信材料セグメント)
サプライチェーンにおける在庫調整の一巡による圧延銅箔の増販、AIサーバ用途での当社高機能銅合金の採用拡大等による増販を主因に、前年同期比増収増益となりました。これに加えて、収益性向上、生産性改善等を目的に推進した収益構造改革も増収増益に寄与しています。なお、2024年8月にタツタ電線株式会社の公開買付が成立し、同社は当社の連結子会社となり、同年11月に完全子会社となりました。
情報通信材料セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比41.0%増の265,112百万円となりました。営業利益は前年同期比24,152百万円増益の25,085百万円となりました。
(基礎材料セグメント)
円安や銅価上昇に伴う増益要因はあるものの、2023年7月に実施したMLCC株式の一部譲渡に伴い生じた為替差益や2024年3月に実施したPPC株式の一部譲渡による同社売上高及び利益の剥落を主因として、前年同期比減収減益となりました。
基礎材料セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比75.0%減の306,504百万円となりました。営業利益は前年同期比2,723百万円減益の74,517百万円となりました。
b. 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、1,283,002百万円となり、前連結会計年度末と比べ42,885百万円減少しました。主な内容は、グループ通算制度に基づきENEOSホールディングス株式会社に対して計上していた通算税効果額に関する未収金の入金があり、これを借入金の返済に充当したことによるものです。
負債合計は、571,248百万円となり、前連結会計年度末に比べ33,837百万円減少しました。主な内容は、2024年7月に実施したMLCC株式の一部譲渡に対する受取額を借入金の返済に充当したことによるものです。
資本合計は、711,754百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,048百万円減少しました。主な内容は、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上した一方で、配当を実施したこと等による利益剰余金の減少によるものです。なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比0.7ポイント増加し48.0%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ21,537百万円増加し、58,316百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金は215,431百万円増加しました(前期は38,400百万円の増加)。これは、税引前利益や法人所得税の還付及び配当金の受取等によるものです。法人所得税の還付については、グループ通算制度に基づきENEOSホールディングス株式会社に対して計上していた通算税効果額に関する未収入金の入金があったものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金は22,118百万円減少しました(前期は90,241百万円の増加)。これは、MLCC株式の一部譲渡等による収入要因があったものの、有形固定資産の取得やタツタ電線株式会社の子会社化のための株式取得等の支出要因が上回ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金は172,249百万円減少しました(前期は154,360百万円の減少)。これは、主に短期借入金の返済や配当金支払いによるものです。
(2) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績及び受注実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1) 経営成績等の状況の概要」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しています。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称売上高(百万円)前年同期比(%)
半導体材料148,041120.2
情報通信材料265,112141.0
基礎材料306,50425.0
その他8,860113.6
調整額△13,57740.3
連結財務諸表計上額714,94047.3

(注) 1.セグメント間の取引については、各セグメントに含めて表示しています。
2.基礎材料セグメントにおける販売実績は、前連結会計年度対比で大幅に下落しています。これは、2024年3月31日をみなし売却日として当社が67.8%を保有していたPPC株式の持分のうち20%を丸紅株式会社に譲渡したことに伴いPPCが当社の持分法適用会社となり、以降の基礎材料セグメントにおける販売実績にPPCの事業活動の影響が反映されなくなったことによるものです。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
PPC--204,47928.6%

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しています。連結財務諸表の作成に当たって、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と考えられる様々な要因を考慮したうえで、見積り及び判断を行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。
② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(売上高)
MLCC及びPPCの株式一部譲渡によって両社が連結子会社から持分法適用会社へ変更となり、両社の売上高が連結範囲から外れたことを主因として、714,940百万円(前年同期比52.7%減)となりました。
(営業利益)
売上高が減少した一方で、円安基調の継続、金属価格の高止まり、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔等の主力製品の増販等により、営業利益は112,484百万円(対売上収益比率15.7%)となりました。
(税引前利益)
受取利息や受取配当金、為替差益、デリバティブ利益等の金融収益の発生(2,407百万円)及び支払利息や為替差損、デリバティブ損失等の金融費用の発生(7,415百万円)等により、当連結会計年度の税引前利益は107,476百万円(対売上高比率15.0%)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
法人所得税費用26,089百万円の計上となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は68,271百万円(対売上高比率9.5%)となりました。
財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社はENEOSグループ金融制度に基づいてENEOSファイナンス株式会社等からの借入れを行っておりましたが、2024年9月までに外部金融機関への借換えを完了することによってこれを離脱し、当社独自のグループ金融制度に移行しています。
当該制度の下、当社グループでは、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、自己資金や必要に応じ金融機関からの借入等で資金調達を行っています。また、子会社の資金調達については、グループ資金の効率性確保の観点から原則として当社が実施し、当社から当社グループ子会社に貸付けを実施いたします。当社グループでは、グループ資金を当社が集中して管理し、グループ全体としての資金の効率的な調達・運用を実現しています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

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