有価証券報告書-第136期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 14:01
【資料】
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【項目】
135項目
(2)人的資本
①考え方
当社グループは創立100周年を迎える2029年に向けて「2029年 住友理工グループVision」(以下2029V)を策定しました。(詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題」を参照ください。)
長年に亘り「人材育成に優る事業戦略なし」の考えのもと、人材を単なる経営資源ではなく価値創造の主体と位置付け、社会環境や経済状況といった幾多の時代変化に対応してまいりました。環境変化が常態化し、将来予測が困難な現代においても、素材と製品の両方を扱うことができる当社グループの特徴を発揮しながら、社会課題の解決に貢献し、そして持続的な成長を達成するという想いが2029Vには込められています。
経営戦略である2029Vの実現に向けて、これからの100年も当社グループの総合力を支える重要な経営基盤の一つである人的資本を持続的・総合的に向上していくために、4つのテーマの掛け合わせからなる「人的資本向上の方程式」を人材戦略の中心に位置づけ活動を推進しております。(図1参照)
(図1:人的資本の考え方)

②方針
テーマ方針
住友事業精神住友事業精神に基づく高い企業倫理のもと公正な事業活動を行う
ダイバーシティ&インクルージョン
(D&I)
多様な人材が安心して働き新たな価値を創造し続ける
人材育成高い志を持ち 未来を切り拓く自律型人材の育成
エンゲージメント経営理念やビジョンへの共感を高め 従業員と会社がお互いに選び・選ばれる自律的な関係の構築


③取組
a. 住友事業精神
当社グループの従業員にとって住友事業精神は、全ての事業活動における拠り所であり判断基準です。
事業環境が目まぐるしく変化する中においても、「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」という理念のもと、社会から信頼され、持続的な成長を実現する企業として発展を目指します。
従業員は、何事にも心を込めて一生懸命向き合うことの大切さを胸に刻み、日々の活動に邁進してまいります。
(図2:住友事業精神に関する教育受講者累計人数)

○ 別子銅山探訪
2023年度は、住友の歴史と住友事業精神の理解を深める目的で、次世代経営幹部候補者16名が愛媛県新居浜市にある 別子銅山や住友家初代総理人広瀬宰平(ひろせ さいへい)の業績をたどる広瀬歴史記念館の見学会を実施しました。住友のルーツに触れ、住友事業精神を体感したリーダー達が、自らの職場で住友事業精神の伝道師として理念浸透を牽引していくことを期待しています。
(右の写真は別子銅山 登山の様子)


b. ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
当社グループでは、経営理念に「従業員の多様性、人格、個性を尊重し、活力溢れる企業風土を醸成します」と掲げ、多様な人材がいきいきと働ける環境づくりに向けてD&Iを深化させる取組を推進しています。
○ 女性活躍推進
採用の強化、研修、制度整備等の施策を行い、女性が安心して継続就業し、キャリアアップを目指せるよう取組を推進しております。
分類施策例
制度整備柔軟な働き方支援・事業所内託児所「コアラぽっけ」設立 [2009~]
・在宅勤務制度導入 [育児介護対象2017~/制限撤廃※12020~]
・短時間フレックス勤務制度導入[2017~]
・フレックスコアタイム廃止 [2020~]
・育児時短勤務の対象を小学校6年生まで延長 [2022~]
キャリア継続支援・ジョブリターン制度導入[2017~]
・配偶者帯同休職制度の導入 [2019~]
意欲醸成相互研鑽・ネットワーキング支援・住友電工グループ女性社員ネットワーキング「SWING」フォーラム参画 [2017~]
・社内メンター制度の導入 [2021~]
自己研鑽・各種通信教育の補助
・教育コンテンツの拡充 [IT基礎教育・Eラーニング導入等]
環境改善・管理職長時間労働への対策推進(社長面談実施等)[2023~]
風土醸成社内風土醸成
職場理解推進
・各種社内研修/外部講師セミナーの実施
・仕事と介護の両立支援ガイドブック作成[2020~]
・出産・育児支援制度の手引きを刷新[2022~]
・女性活躍推進に特化した全社階層別教育を実施 [2023~]
・職制向けアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)研修動画配信 [2023~]
・基幹職昇格試験にD&I推進を審査項目に追加 [2023~]
個別育成強化・女性管理職候補の個別育成計画策定/フォロー [2024~]
・女性管理職候補者向け研修開始 [2024~]

※1 育児・介護理由に限定した許可要件を撤廃し、政府の提唱する「新しい生活様式」で示される「働き方の新しいスタイル」に対応しました。
「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)多様性に関する指標」も併せてご参照ください。

(事業所内託児所「コアラぽっけ」外観)
○ 障がい者雇用の推進
当社グループでは、各部門で障がい者の雇用及び就労を支援しており、受入れ職場との対話を通じて、それぞれの適性に合った職務を割り当てています。2013年11月に障がい者雇用促進と社会貢献を目的として、特例子会社「住理工ジョイフル」を設立し、障がい者の積極的な雇用確保と個性を活かした就労支援に努めています。
今年度は2029Vの策定を受け、国内グループ全体での雇用率向上を目指して目標を立てました。2025年度には2.70%、2029年度には3.00%の雇用を目指し取組を進めてまいります。
(図3:障がい者雇用率の推移と今後の目標)
厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告及び障害者雇用状況報告」の算出条件に基づく数値

分類施策例
基盤づくり・特例子会社「住理工ジョイフル」設立[2013~]
・「障がい者雇用推進会議発足(部門連係強化)」[2018]
・「障がい者雇用推進PJ開始(グループ会社を含めた活動の実施、支援)」[2023~]
採用強化・採用経路の開拓(大卒インターンシップ、コーポレート部門採用)[2020~]
・グループ会社採用活動支援[2022~]
定着推進・障がい者受入部門のサポート体制強化(ジョブコーチや労務担当がサポート)[2020~]
職域拡大・特例子会社ジョイフルから当社への出向受け入れ[2019~]


○ グローバル人材の活躍促進
当社グループの全従業員の約8割は海外地域で働いており、もとより外国人と日本人をとりわけ区別して取り扱うことはありません。多種多様なバックグラウンドを持つ従業員がそれぞれの強みを発揮することで、共創による新たな価値創造を目指しています。
2023年7月にはGMM(Global Management Meeting)を開催し、14ヶ国から84名が来日し対話や交流を行いました。
また「リーダーシップ開発」「住友事業精神の理解促進」「ネットワーク形成」を目的に、親会社である住友電気工業㈱が主催するグローバル・リーダーシップ開発プログラムに参加しております。世界各地から集まった海外事業会社の幹部がワークショップやディスカッションを行い、また、400年を超える歴史を体感するため住友ゆかりの地を視察します。このプログラムを通じてグループ全体で人材育成と人材交流を進めています。

<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・ダイバーシティ&インクルージョン
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/inclusion/
・働きやすい環境に向けた制度や仕組み
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html
c. 人材育成
当社グループでは「人材育成に優る事業戦略なし」との考え方のもと、当社グループの従業員として相応しい人格と知識を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。その実現に向け、従業員の各キャリアステージで求められる知識やスキルを習得できる教育コンテンツを拡充し、様々な学習機会を提供しています。
○ 全社教育体系の整備
「次世代幹部候補者の選抜型教育」「グローバル人材育成」「各部門の専門教育」「全社共通教育」の4領域からなる全社教育体系を整備し、幅広く社員に教育研修を実施しています。(図4参照)
2023年度は、次世代経営幹部候補者の育成に注力しました。これまでに100人以上の卒業生を輩出している「経営塾」を全面刷新し、学習範囲はリベラルアーツを含む経営リテラシー全般に広げました。変化の激しい時代においても、当社の将来像を描き、牽引していく人材づくりを目指しています。
また、近い未来の役員候補者を育成するプログラム「Executive Management Program(略称:EMP)」に加え、2023年度は経営の次代を担う社員を対象とした「若手人材育成プログラム」を新たにスタートしました。抜擢された15名のメンバーが、経営戦略やマーケティング等の研修を受講しました。
今後もこれらの選抜型教育プログラムによる経営幹部候補者育成をはじめとする、全社教育体系をベースとした人材教育の継続的な実践を通じて「未来を開拓する人づくり」を推進してまいります。
(図4:全社教育体系図)

<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・人材育成
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/upbringing.html
○ DX人材の育成
デジタル化による変革を牽引するDX人材の確保及び育成は当社グループにとって重要な課題の一つと位置付けており、2023年度はDX人材の定義と教育体系の構築に注力しています。
DX人材を「DXコア人材」と「DXデータ人材」に層別し、それぞれに求められるスキルを設定しました。
次に座学と実践を組み合わせた当社独自の教育体系を構築し、2024年度から選抜メンバーを対象にDX人材の育成を本格始動し、2025年度までに当社グループ全体で「DXコア人材200名」「DXデータ分析人材700名」の育成を目標に活動を推進してまいります。
また、全社のDX推進を目的に、選抜社員と有志社員で構成される「DX推進プロジェクト」が主催する勉強会を定期的に開催しています。2022年5月に始まった勉強会はこれまでに87回開催され、延べ約8,000人が参加しました。勉強会では、DX推進に求められる思考法や知識を学ぶほか、デジタル活用の成功事例の共有や、これからの会社の在り方についての討論を行っています。
加えて、ITリテラシーの底上げをすべく、約80個の動画コンテンツを全社公開しております。(例:Office操作、DX基礎理解、機械学習概論、AI学習、データサイエンス講座等)
さらに、モノづくりとITの融合についても、情報システム部門による支援サービスとして16個のコンテンツを用意しており、画像処理を利用した外観検査システムの導入支援等、生産現場においてもIT基礎教育とDX推進が実際の改善に繋がるように取組を推進しております。
d. エンゲージメント
エンゲージメントが高い組織やチームでは、従業員やメンバーが意欲的に仕事に取り組むことができ、生産性や創造性が促進されると当社グループでは考えています。そのため、誰もが自分の能力を十分に発揮できるよう、各々の心身の安定を図り、互いにコミュニケーションをとりながら事業を進められる環境づくりを推進しています。
○ ビジョン浸透の取組
GMM(Global Management Meeting)の中で、2029V策定において中心的な役割を担った中堅メンバーが、国内外のグループ会社の幹部層に対してビジョン策定に込めた想い等を直接説明しました。その後も、社長やビジョン策定メンバーが、国内外の事業所やグループ会社を個別に訪問し、各地で2029Vに関する説明と対話を積み重ね、ビジョン浸透の取組を推進しております。
○ 健康経営
当社グループは、2017年に制定した住友理工グループ健康経営宣言に基づき、経営トップを健康経営責任者として全社一体で健康経営を推進しています。
健康経営で解決したい経営課題は主に二つで、一つ目は「従業員の心身両面における健康状態の向上」です。当社グループ従業員のプレゼンティーズム※1やアブセンティーズム※2の数値を最小限に抑えるため、国内グループ各社の産業保健窓口と健康経営方針・健康KPIを共有し、メンタル不調対応に関するグループ共通のガイドラインづくり、動画ツールを活用した健康教育の展開等、グループ一体となった取り組みを強化しています。
二つ目は「従業員の生産性、エンゲージメントの向上」です。毎年4月に実施するストレスチェックで測定する「活き生き度※3」の改善に向けて役員と共に改善策を検討し、定期的に経営レベルで活動をモニタリングする等会社全体でPDCAのサイクルをまわすべく、健康投資の戦略マップや健康KPIを策定しました。
現在、健康経営優良法人に8年連続で認定を受けていますが、2025年度までにホワイト500に選出されることを目標に活動を推進しています。
※1 プレゼンティーズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し業務遂行能力や労働生産性が低下している状態
※2 アブセンティーズム:病欠、病気休業している状態
※3 活き生き度:ストレスチェックで測定している職場の活性度を示す当社独自の指標
<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>・健康経営
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/health/
○ 働き方改革
従業員が「活き生き※1」と働くことが組織の活性化につながり、ひいては業績の向上に繋がるという考え方のもと、当社では2017年度より「活き生き5(ファイブ)活動」を実施しています。

「活き生き5活動」では、従業員一人ひとりの状況に合わせ、柔軟な働き方が可能な環境の整備に努め、「働きやすさ」の制度を拡充してきました。2023年度からは次のステージに進むべく、従業員の「働きがい」に関する情報収集や高負荷者の負荷軽減にターゲットを絞り、「活き生き5 Ver1.5」を展開しています。(図5参照)
※1 「活き生き」とは、活力あふれる「活き活き」と健康的な「生き生き」を重ねた当社独自の造語
(図5:活き生き5活動のロードマップ)

「活き生き5活動」の結果について、総労働時間は一定の効果が出ています。2023年度は経済活動がコロナ禍から正常化し、一部生産現場において高稼働な状況が続いたことから、平均総労働時間は微増の見込みですが、活動を始めた2017年度と比較し、6%の総労働時間低減を達成することができました。また有給休暇の平均取得日数についても年々取得日数が増加しております。(図6参照)
(図6:総労働時間の推移及び年次有給休暇の平均取得日数)


<参考リンク:当社ホームページ特設サイト>働きやすい環境に向けた制度や仕組み
https://www.sumitomoriko.co.jp/sustainability/society/improvement/work.html
○ 柔軟で強い製造現場づくり
モノづくりの会社である当社グループにとって製造現場の人材力・組織力は生命線です。様々な事業領域を抱える当社では、現場の課題も多種多様であるため、人事勤労部門を中心に、個々の現場課題に寄り添った活動を推進しています。
分類施策例(直近施策のみ開始年度を付記)
採用力強化
(技能職)
外国籍従業員採用の強化・語学/生活サポート担当員の配置(中国語・ポルトガル語)
・警察/市役所/専門機関による定期研修実施 [2024~]
女性採用の強化・施設改善(休憩室やトイレの増設)
・強度作業のオートメーション化
・教員向け工場見学及び現場作業体験の実施 [2023~]
大卒採用の開始・初任給の新設等制度整備 [2023]
組織開発
人材育成
(職場単位)
監督者の育成・監督者の業務内容や職責の定義
・最適労務構成の中長期目標策定(社員比率等)[2022]
・監督者95名と面談を実施し職場ごとの課題を抽出 [2022]
・育成候補者の選出と個別育成計画の策定 [2023]
・個人別の成長観測指標の設定 [2023]
コミュニケーションの促進・コミュニケーションに特化した360度サーベイ実施 [2022]
・監督者による「はじめる行動※1」の宣言/掲示 [2022]
組織風土の改善・人事ローテーションの促進

これらの取組の結果、インライン率※2が57%改善、活き生き度が24%改善する等の効果が出始めております。
※1 はじめる行動:コミュニケーション改善に向けた具体的な行動を監督者がメンバーに宣言し、実行に移すことで活気のあふれる組織を目指す活動
※2 インライン率:監督者が製造ラインに入る割合を示す当社独自の指標
③目標及び進捗状況
重点領域主な指標実績値
(2023年度)
目標値
(2025年度)
住友事業精神幹部理念教育実施率
()内は単体数値
2024年度調査開始
(568名 88%)
100%
ダイバーシティ&
インクルージョン
女性管理職比率
()内は単体数値
14.7%
(7名 1.3%)
15%
(2.5%)
障がい者雇用率住友理工(特例子会社含む)2.70%2.70%
(国内グループ会社平均)
国内グループ会社平均2.54%
人材育成幹部研修受講数31名100名
(2023-2025年度累計)
DX人材育成実績コア人材2024年度
育成開始
200名
(2024-2025年度累計)
データ分析人材700名
(2024-2025年度累計)
エンゲージメント健康経営関連指標当社ホームページ特設サイト参照
働きがい2024年度調査開始予定

(注)特に記載がない限り、当社グループの数値を示しております。

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