有価証券報告書-第69期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 10:56
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114項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境に改善の動きが見られ、設備投資も増加するなど全体としては緩やかな回復基調が持続しました。
また、世界経済は、主要な先進国を中心に全体として緩やかな回復が継続しました。米国では雇用環境の着実な改善を背景に堅調に回復が続き、欧州では英国のEU離脱問題等があるものの緩やかな回復基調となりました。アジア地域の新興国では一部に停滞感はあるものの、中国では政府の景気対策を背景に比較的安定した成長となりました。
このような事業環境のもと、より快適で豊かな暮らしに貢献できる製品造りをコンセプトに、お客様の多様なニーズに迅速・的確に対応するため、新技術・新製品開発へ積極的に取り組んでまいりました。また、生産能力の向上を図るため工場の増築を行い、最新の生産設備の増設と拡充を進め稼働を開始いたしました。生産能力の強化による増産体制の構築と生産性向上を実現いたします。また、総人員の圧縮と適正配置、在庫管理の徹底による削減と適正数量確保、間接費用の継続的削減活動の展開など、生産体制の合理化と業務の効率化を継続して推進し企業体質の強化に努めてまいりました。さらに、生産から出荷・在庫管理に亘る管理システム全般の整備を継続的に推進し生産体制の強化を図るとともに、強固な事業基盤の構築に努めてまいりました。また、海外展開を強化すべくドイツ代表事務所を開設いたしました。
中核事業のひとつである医療機器事業は、主力のコンドームを取り巻く国内市場環境は依然として厳しい状況が続いております。一方、海外市場においては継続的なアプローチが奏功し、継続的かつ安定的なオファーを確保し新たな展望が開けました。もうひとつの主力部門である精密機器事業は、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、生命線である製品開発に取り組むと同時に、積極的な提案営業を展開してまいりました。また、より一層の生産体制強化を図るため、工場増築に合わせ複数の生産ラインを新規に投入してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、72億3千万円と前年同期と比べ3億2千1百万円(4.7%)の増加となりました。
また、利益面につきましては、価格競争激化、新製品販売に向けた販促費投入、工場増築に伴う一時的費用負担、設備導入による減価償却費負担や一部在庫の評価減計上等の利益圧迫要因がありました。一方、設備投資を中心とした生産合理化と経営全般に亘る効率化を図るとともに諸経費の節減に努めましたが、営業利益は5億5千万円と前年同期と比べ1億2百万円(△15.7%)の減益となり、経常利益は5億7百万円と前年同期と比べ6千2百万円(△10.9%)の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は3億9千2百万円と前年同期と比べ1千3百万円(△3.4%)の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
① 医療機器事業
主力のコンドームは、国内市場においては大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心とした販売チャネルの拡大および新規ルートの開拓に加え、ネット販売についてもWeb広告の展開や販売体制構築を重点的に推進いたしました。また、ドラッグストア、量販店とのタイアップ企画や販促キャンペーンの展開や、SNSを媒体とした販促活動にも注力いたしました。マーケットリサーチの展開、店頭販売協力体制の強化、定番品の確保、周辺カテゴリー商品の新規投入を進めシェア拡大を推進いたしました。
国内市場では依然として消費の減少傾向、価格競争、価格の2極化が続きました。また、ここ数年来の天然ゴムに代わる新素材製品のシェア上昇傾向も続きました。新素材コンドームは継続的に販促を強化すると同時に、新製品を投入しラインナップの充実を図りました。天然ゴム素材製品を主体とする当社は厳しい展開を余儀なくされましたが、新素材商品の底上げもあり増収となりました。また、冷却商品は売れ筋アイテムへの絞込みが奏功し売上、利益とも前年水準を維持いたしました。一方、輸出につきましては、アジア地域・欧州を中心とした日本製高品質をアピールした提案と新規開拓を継続いたしました。継続的な営業活動と生産体制再構築の取り組みが奏功し、安定的な受注が可能となり大幅な増収となりました。
メディカル製品については、医療現場での感染防止意識の高まりにつれて、超音波診断装置等のプローブカバー(感染予防製品)、内視鏡用の医療バルーンを中心として引き続き堅調に推移いたしました。また、医療現場のニーズに応えるべく開発したアレルギーフリー新素材製品は市場の認知度も上がり、引き続き堅調に推移いたしました。
この結果、売上高は20億9千8百万円と前年同期と比べ1億1千5百万円(5.8%)の増加となりました。
セグメント損益は、生産合理化投資を継続的に進める中で一定の増産・増収効果は認められたものの、製造ライン改造等による稼働率の低下や減価償却費負担等により、2千1百万円の損失(前年同期は1千8百万円の利益)となりました。
② 精密機器事業
主力のショックアブソーバおよびロータリーダンパーは、継続的な提案営業の展開や景気回復に伴い引き続き受注は堅調に推移いたしました。国内市場においては、ユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバおよび小型ロータリーダンパーが、製品バリエーション強化と性能面の進化により、売上と利益に安定的に寄与いたしました。従来から主要な市場として位置付け、重点的に市場開拓を継続している住宅設備関連は、上半期の生産調整の影響も払拭され大幅な増収となりました。家電、複合機関連、自動車関連の分野でも受注は堅調に推移いたしました。また、一般産業用生産設備の分野では下半期より設備投資が徐々に回復し、産業用向けショックアブソーバは大幅な受注増となりました。海外市場では当社の大手取引先の生産調整により受注が伸び悩み、前年を下回る実績となりましたが、新たな顧客からの受注増加が見込まれます。また、拡大する国内外の受注に対応すべく、生産能力の増強に向けた工場の増設が完了し稼働を開始いたしました。
当連結会計年度についても、従来から推進している製造ラインの全自動化・半自動化、加えて増産に向けた自動化ラインの新規投入による製造原価低減、人員の適正配置を含めた生産効率化と製造経費の低減、販売費節減への継続的取り組みを行い、コスト圧迫要因の吸収に注力いたしました。
この結果、売上高は45億1千9百万円と前年同期と比べ2億6千5百万円(6.2%)の増加となりました。
セグメント利益は、工場増設による生産合理化をベースとした原価低減が実現する一方、海外での利益率の高い製品の販売比率低下や、工場増築に関連した修繕費等の一時的負担が利益を圧迫し、9億2千3百万円と前年同期と比べ2千1百万円(△2.3%)の減益となりました。
③ SP事業
ゴム風船が主力となる販促用品市場はニーズの多様化と市場の縮小が続きましたが、景気が回復する中、広告販促活動やイベント等が徐々に増加しました。従来から継続している提案営業をベースにした新たな企画商品の提案が評価され、新規の大型案件の受注が実現しました。主力のゴム風船およびフィルムバルーンの受注も徐々に回復しました。売上はやや苦戦しましたが、新たな制作委託先の開拓や物流の見直しによるコスト削減が奏功し増益となりました。また、下半期には売上、利益とも底を脱し回復基調に転じました。
この結果、売上高は5億3百万円と前年同期と比べ1千3百万円(△2.7%)の減少となりました。
セグメント利益は、2千3百万円と前年同期と比べ1千万円(86.0%)の増益となりました。
④ その他
売上高は1億9百万円と前年同期と比べ4千5百万円(△29.5%)の減少となりました。
セグメント利益は、減収となったものの一定の利益率を確保し、1千5百万円と前年同期と比べ1千6百万円(△51.0%)の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、12億5千7百万円と前年同期と比べ1千4百万円(△1.2%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、前年同期と比べ4億4千3百万円(△59.3%)減少し、3億3百万円となりました。
資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益の5億6百万円、減価償却費の3億2百万円などであり、主な減少要因は法人税等の支払額2億8百万円、売上債権の増加1億4千2百万円、たな卸資産の増加1億2千1百万円などであります。
投資活動により支出した資金は前年同期と比べ8億7千3百万円(600.0%)増加し、10億1千9百万円となりました。
資金の主な減少要因は有形固定資産の取得10億6百万円であります。
財務活動により得られた資金は、7億1千万円(前年同期は6億2千5百万円の支出)となりました。
資金の主な増加要因は長期借入れによる収入16億6千4百万円、社債の発行による収入2億円などであり、主な減少要因は短期借入金の返済7億円、長期借入金の返済2億6千8百万円などであります。