有価証券報告書-第131期(2022/01/01-2022/12/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針及び経営戦略等
当社グループでは、これまで受け継がれてきた「住友事業精神」を基盤に、2020年に「Our Philosophy」を制定し、当社グループの存在意義である「Purpose」を以下の内容といたしました。「Purpose」を中心とする「Our Philosophy」をあらゆる意思決定の拠り所、行動の起点とすることで、経済的価値のみならず社会的価値の向上に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
企業理念体系「Our Philosophy Purpose」

新たに策定いたしました中期計画の骨子は下図のとおりです。当社は、2020年から取り組む基盤強化プロジェクトにより、全社を挙げて組織体質・経営基盤を強化し、並行してDX経営の実践に向けた基幹システムの刷新等を進めております。これらの取り組みを土台に、2025年までの期間は「既存事業の選択と集中」のための構造改革に注力しつつ、あわせて成長事業の基盤づくりを推進してまいります。そして、2026年以降、事業ポートフォリオの最適化と成長事業のビジネス拡大により、更なる飛躍につなげる計画です。
新中期計画の骨子

2020年公表の中期計画で設定しておりました2025年目標につきまして、連結売上収益1兆円は達成しました。外部環境の大きな変化の影響もあり、事業利益1,000億円、ROE10%、DEレシオ0.5の達成は、2026年以降となる見込みです。この度策定しました2027年までの新中期計画の財務目標は、最終年度の2027年目標数値として事業利益率7%、ROE10%、DEレシオ0.6、ROIC6%と設定しております。
新中期計画の各施策に全社でスピードを上げて取り組み、2027年目標の確実な達成に向けて邁進してまいります。
新中期計画の財務数値目標

また、当社グループは、2021年8月にサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」を発表し全社でESG活動を推進しております。
2023年1月には、「サステナビリティ経営推進本部」を新設し、「サステナビリティ推進部」「環境管理部」に加えタイヤ事業の製造及び販売に係るサーキュラ-エコノミ-(循環型経済)構築の推進を担う「サーキュラーエコノミー推進部」を配置することで、ESG経営推進に向けた更なる体制強化を行いました。
[Environment(環境)]
(カーボンニュートラルに向けた取り組み)
グループ全工場から排出されるCO2について、2050年にはカーボンニュートラルの達成を目指しております。この実現のため省エネ、太陽光パネルの設置やグリーン電力の購入拡大などを軸に取り組みを進めており、2030年目標のCO2削減50%(2017年比)を1年前倒しで達成できる見込みです。また、タイヤの製造工程では、次世代エネルギーとして注目されている水素を活用するべく、2021年8月から福島県の白河工場での実証実験をスタートいたしました。太陽光発電と合わせて、同工場内の高性能タイヤ製造システム「NEO-T01(ネオ ティーゼロワン)」の全工程をクリーンエネルギー化することで、本年1月には製造時(Scope1,2)カーボンニュートラルを達成した量産タイヤの生産を開始いたしました。今後は国内外の工場へ水素利用を拡大することを検討するとともに、Scope3の削減目標についても、本年中の公表に向けて検討を進めております。
再生可能エネルギーの利用については、中国工場の購入電力を全て再生可能エネルギー由来の電力に切替済みです。2022年12月には電力の再生可能エネルギー100%化を目指す企業で構成される国際的な環境イニシアチブ「RE100」への賛同を表明しました。
カーボンニュートラルに向けた取り組み

(サステナブル原材料(バイオマス及びリサイクル原材料)の活用)
タイヤ・スポーツ・産業品他の各事業で、サステナブル原材料比率の向上を進めてまいります。タイヤでは同比率を2030年に40%、2050年には100%に、スポーツのゴルフボールとテニスボールや産業品他でも、2050年での100%サステナブル原材料化を目指してまいります。
サステナブル原材料の活用
[Social(社会)]
「多様な力をひとつに、共に成長し、変化をのりこえる会社になる。」という「Our Philosophy」の「Vision」のもと、多様な属性や価値観を持つ一人ひとりが尊重され、働きがいを持つことができる風土作りを進めております。
(リーダーシップ開発)
社長を含む役員及び管理職のリーダーシップを強化するための施策として、360度フィードバックを年1回実施し、自身のリーダーシップスタイルを客観的に見つめる機会としております。また、執行役員にはエグゼクティブコーチングを導入し、意思決定の質やマネジメントスキルの向上に取り組んでおります。
(キャリア支援制度)
社員一人ひとりが挑戦し、輝ける機会の創出を目的として、キャリア支援制度を導入しており、自身の中長期的なキャリア希望を登録し対話をすることで実現の可能性を広げるキャリアマッチングや、社内外のプロジェクトに参加希望を出すことができるプロジェクト公募制などがあります。これらの制度を活用し、自身のキャリアを自律的に考えてもらう機会にしております。
(女性活躍の推進)
ダイバーシティ&インクルージョンの観点から、女性の活躍を推進するための施策を継続的に進めてまいります。女性管理職比率の向上や女性技能員の働きやすさ改善を重要指標として、女性管理職候補のキャリア開発を目的としたメンター制度や、男性の育児参画促進を切り口に生産性の高い職場づくりを目的とした管理職向けイクボスセミナーなどを実施しております。
(組織健康度調査)
これらの取り組みを通じて変革した組織風土を定量的に把握するため、2020年から組織体質アンケートを定期的に実施し結果について全社員に開示しております。全体としては改善傾向ですが、新たに見えてきた課題もありますので継続的に改善を進めてまいります。
(人権マネジメント体制構築)
人権マネジメントに関しては、2023年にグローバル人権方針を策定し、社内外へコミットを行う予定です。また、並行して各部門で人権リスク特定を進め、これらについて効果的に対処できる人権マネジメント体制を構築し、人権デューデリジェンスを適切に実施することで、人権の保護・尊重を進めてまいります。
[Governance(ガバナンス)]
当社のコーポレートガバナンス体制の概要は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。「Our Philosophy」を全ての企業活動の基盤とし、業務の執行状況について取締役会や監査役会で適宜監督を行うことで、変化の大きい社会情勢やグローバルな事業拡大等に適切に対応できる体制としております。
従来から実施していた取締役会の実効性評価は継続して実施していますが、2022年も実効性向上に向けた種々の取り組みを実施した結果、2021年の第三者機関による実効性評価の際に課題として挙がっていた、取締役会での議論時間の確保や社外役員への情報提供拡充等についてはいずれも改善できていることが確認できました。引き続き、取締役会の実効性を向上させ、更なる企業価値向上につなげてまいります。
また、本年発表いたしました新中期計画の策定にあたっては、取締役会やオフサイトミーティングなどにおいて、コンセプト決定段階から最終案の確定に至るまで複数回にわたって意見交換を行うなど、社内外の役員の多様な見解を踏まえ内容の充実を図りました。
また、社外取締役が委員長を務め、委員の過半数を社外役員とする指名・報酬委員会では、中長期的な視点で当社に必要なスキルを落とし込んだスキルマトリックスを活用し、企業価値向上につながる体制について議論を行っています。今後も、取締役が中期計画達成に向けてグループ全体をさらに主導できる体制づくりを進めてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき主な課題
今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響で低迷した経済活動からの緩やかな回復が期待されます。
このような情勢のもと、当社グループは、新中期計画を着実に推進することで、「Our Philosophy」の具現化を図りつつ、企業の経済的価値・社会的価値向上を目指し、次のような課題に取り組んでまいります。
(タイヤ事業)
当社のタイヤ技術コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマート・タイヤ・コンセプト)」を最新のデジタル技術も活用してさらに進化させ、これらの技術を新商品にも順次投入することで、将来のモビリティ社会への貢献につなげてまいります。
国内市販用では、ドライ路面・ウェット路面に加え、雪道でも走行可能なオールシーズンタイヤの幅広いラインアップで、新たな需要創出を図ります。オールシーズンタイヤは、都市部や雪があまり降らない地域における天候の急変に対応できる全天候タイヤで、今後も様々な層へ訴求し販売を伸ばしてまいります。
アジア地域では、強固な製販体制を構築し地産地消化を進めております。中でも、市場規模の大きい中国では、市販用でEVタイヤ「e. SPORT MAXX(イースポーツマックス)」を昨年発売したほか、新車用では、伸長著しい中華系自動車メーカーへのEVタイヤの納入を強化しております。今後、需要の回復が期待できる中国市場を中心に「ダンロップ」ブランドのプレゼンス向上につなげてまいります。
欧州アフリカ地域では、市場規模の大きいドイツにおいて「ファルケン」ブランドが市販用シェア4位と市場の一角を占めるポジションに成長しております。本年は、欧州市場向けEVタイヤ「e. ZIEX(イージークス)」の発売を予定しており、「ファルケン」ブランド価値の向上及び市販用タイヤの拡販につなげてまいります。
米州地域では、米国工場の収益改善を引き続き進めてまいります。また、関税や海上運賃等のリスクを低減させるために、地産地消比率を引き上げ、販売においては「ファルケン」ブランドのSUVタイヤ等の高機能タイヤを中心に商品展開を進め、利益改善を図ってまいります。南米ではブラジル工場の高機能タイヤ供給能力を増強し販売を伸ばすことにより、今後も安定した利益基盤の構築に努めてまいります。
生産面では、世界各地の工場の生産能力をフル活用して地産地消化を進めながら、グローバルで生産体制を確立しております。これらにより、自動車メーカーとの強固な信頼関係をグローバルで構築し、新車への装着拡大と市販用タイヤ販売への波及効果でビジネスの基盤を強化してまいります。
また、世界の主要市場でEV車両が増えつつありますが、市販用のEVタイヤは中国に続いて欧州での発売も計画しており、新車用でもすでに複数の自動車メーカーへの納入を始めております。今後もグローバル市場各国の自動車メーカーと連携し、EV車両の性能を最大限に引き出せるタイヤを当社独自の材料技術・設計技術により開発してまいります。
(スポーツ事業)
スポーツ事業を取り巻く環境は、世界的なインフレや地政学的緊張が高まるなど世界経済の動向が不透明な中、スポーツの魅力や果たす役割の重要性がコロナ禍以降改めて認識されたこともあり、ゴルフ及びテニスの需要は世界的に堅調に推移し、ウェルネス事業でも持ち直しの傾向が見られました。今後もスポーツ関連用品やサービスを通じて、お客様に感動と「ヨロコビ」を提供し続けてまいります。
ゴルフ用品では、世界最大市場である北米においてマーケティング及び営業体制の強化を進めるとともに、日米2拠点での開発体制により、市場ニーズに応じたダントツ商品を投入することで、一層の拡販と新たな価値創出につなげてまいります。
テニス用品では、全豪オープンのオフィシャルパートナー契約継続やATPツアーでのボール使用率No.1、世界有数のアカデミーとの協業等での若手育成、トッププロ選手との契約強化といった「ダンロップ」ブランドの価値向上施策を基盤に、ボールやラケットのシェアアップを図ります。また、「ダンロップ」ブランドは2023年、英国でのテニスボール生産開始から100周年を迎えます。様々なプロモーションやコラボレーションを通して、ブランド力の更なる向上を図るとともに、テニス業界の活性化に貢献してまいります。
ウェルネス事業では、市場が回復傾向にあるものの依然本格回復には至らない中、不採算店舗の整理や運営の効率化を図りながら、サービス品質、顧客満足度の向上に一層努めてまいります。
(産業品他事業)
制振事業では、国内住宅用制振ダンパーでシェアNo.1の技術をさらに進化させ、ビル・橋梁・自動倉庫分野へ拡大するとともに、熊本城などの歴史的建造物の保存維持にも貢献できる事業として取り組んでまいります。医療用ゴム製品事業では、当社独自の高付加価値ゴム製品で医薬品市場において事業を拡大することで、人々がより安心して、安全・快適に生活できる社会づくりに貢献してまいります。
今後も全ての商材において時代のニーズに適応する付加価値の高い商品を開発・提供することにより、更なる成長を目指してまいります。
(1)経営方針及び経営戦略等
当社グループでは、これまで受け継がれてきた「住友事業精神」を基盤に、2020年に「Our Philosophy」を制定し、当社グループの存在意義である「Purpose」を以下の内容といたしました。「Purpose」を中心とする「Our Philosophy」をあらゆる意思決定の拠り所、行動の起点とすることで、経済的価値のみならず社会的価値の向上に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
企業理念体系「Our Philosophy Purpose」

新たに策定いたしました中期計画の骨子は下図のとおりです。当社は、2020年から取り組む基盤強化プロジェクトにより、全社を挙げて組織体質・経営基盤を強化し、並行してDX経営の実践に向けた基幹システムの刷新等を進めております。これらの取り組みを土台に、2025年までの期間は「既存事業の選択と集中」のための構造改革に注力しつつ、あわせて成長事業の基盤づくりを推進してまいります。そして、2026年以降、事業ポートフォリオの最適化と成長事業のビジネス拡大により、更なる飛躍につなげる計画です。
新中期計画の骨子

2020年公表の中期計画で設定しておりました2025年目標につきまして、連結売上収益1兆円は達成しました。外部環境の大きな変化の影響もあり、事業利益1,000億円、ROE10%、DEレシオ0.5の達成は、2026年以降となる見込みです。この度策定しました2027年までの新中期計画の財務目標は、最終年度の2027年目標数値として事業利益率7%、ROE10%、DEレシオ0.6、ROIC6%と設定しております。
新中期計画の各施策に全社でスピードを上げて取り組み、2027年目標の確実な達成に向けて邁進してまいります。
新中期計画の財務数値目標

また、当社グループは、2021年8月にサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」を発表し全社でESG活動を推進しております。
2023年1月には、「サステナビリティ経営推進本部」を新設し、「サステナビリティ推進部」「環境管理部」に加えタイヤ事業の製造及び販売に係るサーキュラ-エコノミ-(循環型経済)構築の推進を担う「サーキュラーエコノミー推進部」を配置することで、ESG経営推進に向けた更なる体制強化を行いました。
[Environment(環境)]
(カーボンニュートラルに向けた取り組み)
グループ全工場から排出されるCO2について、2050年にはカーボンニュートラルの達成を目指しております。この実現のため省エネ、太陽光パネルの設置やグリーン電力の購入拡大などを軸に取り組みを進めており、2030年目標のCO2削減50%(2017年比)を1年前倒しで達成できる見込みです。また、タイヤの製造工程では、次世代エネルギーとして注目されている水素を活用するべく、2021年8月から福島県の白河工場での実証実験をスタートいたしました。太陽光発電と合わせて、同工場内の高性能タイヤ製造システム「NEO-T01(ネオ ティーゼロワン)」の全工程をクリーンエネルギー化することで、本年1月には製造時(Scope1,2)カーボンニュートラルを達成した量産タイヤの生産を開始いたしました。今後は国内外の工場へ水素利用を拡大することを検討するとともに、Scope3の削減目標についても、本年中の公表に向けて検討を進めております。
再生可能エネルギーの利用については、中国工場の購入電力を全て再生可能エネルギー由来の電力に切替済みです。2022年12月には電力の再生可能エネルギー100%化を目指す企業で構成される国際的な環境イニシアチブ「RE100」への賛同を表明しました。
カーボンニュートラルに向けた取り組み

(サステナブル原材料(バイオマス及びリサイクル原材料)の活用)
タイヤ・スポーツ・産業品他の各事業で、サステナブル原材料比率の向上を進めてまいります。タイヤでは同比率を2030年に40%、2050年には100%に、スポーツのゴルフボールとテニスボールや産業品他でも、2050年での100%サステナブル原材料化を目指してまいります。
サステナブル原材料の活用

[Social(社会)]
「多様な力をひとつに、共に成長し、変化をのりこえる会社になる。」という「Our Philosophy」の「Vision」のもと、多様な属性や価値観を持つ一人ひとりが尊重され、働きがいを持つことができる風土作りを進めております。
(リーダーシップ開発)
社長を含む役員及び管理職のリーダーシップを強化するための施策として、360度フィードバックを年1回実施し、自身のリーダーシップスタイルを客観的に見つめる機会としております。また、執行役員にはエグゼクティブコーチングを導入し、意思決定の質やマネジメントスキルの向上に取り組んでおります。
(キャリア支援制度)
社員一人ひとりが挑戦し、輝ける機会の創出を目的として、キャリア支援制度を導入しており、自身の中長期的なキャリア希望を登録し対話をすることで実現の可能性を広げるキャリアマッチングや、社内外のプロジェクトに参加希望を出すことができるプロジェクト公募制などがあります。これらの制度を活用し、自身のキャリアを自律的に考えてもらう機会にしております。
(女性活躍の推進)
ダイバーシティ&インクルージョンの観点から、女性の活躍を推進するための施策を継続的に進めてまいります。女性管理職比率の向上や女性技能員の働きやすさ改善を重要指標として、女性管理職候補のキャリア開発を目的としたメンター制度や、男性の育児参画促進を切り口に生産性の高い職場づくりを目的とした管理職向けイクボスセミナーなどを実施しております。
(組織健康度調査)
これらの取り組みを通じて変革した組織風土を定量的に把握するため、2020年から組織体質アンケートを定期的に実施し結果について全社員に開示しております。全体としては改善傾向ですが、新たに見えてきた課題もありますので継続的に改善を進めてまいります。
(人権マネジメント体制構築)
人権マネジメントに関しては、2023年にグローバル人権方針を策定し、社内外へコミットを行う予定です。また、並行して各部門で人権リスク特定を進め、これらについて効果的に対処できる人権マネジメント体制を構築し、人権デューデリジェンスを適切に実施することで、人権の保護・尊重を進めてまいります。
[Governance(ガバナンス)]
当社のコーポレートガバナンス体制の概要は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。「Our Philosophy」を全ての企業活動の基盤とし、業務の執行状況について取締役会や監査役会で適宜監督を行うことで、変化の大きい社会情勢やグローバルな事業拡大等に適切に対応できる体制としております。
従来から実施していた取締役会の実効性評価は継続して実施していますが、2022年も実効性向上に向けた種々の取り組みを実施した結果、2021年の第三者機関による実効性評価の際に課題として挙がっていた、取締役会での議論時間の確保や社外役員への情報提供拡充等についてはいずれも改善できていることが確認できました。引き続き、取締役会の実効性を向上させ、更なる企業価値向上につなげてまいります。
また、本年発表いたしました新中期計画の策定にあたっては、取締役会やオフサイトミーティングなどにおいて、コンセプト決定段階から最終案の確定に至るまで複数回にわたって意見交換を行うなど、社内外の役員の多様な見解を踏まえ内容の充実を図りました。
また、社外取締役が委員長を務め、委員の過半数を社外役員とする指名・報酬委員会では、中長期的な視点で当社に必要なスキルを落とし込んだスキルマトリックスを活用し、企業価値向上につながる体制について議論を行っています。今後も、取締役が中期計画達成に向けてグループ全体をさらに主導できる体制づくりを進めてまいります。
(2)経営環境及び対処すべき主な課題
今後の経営環境につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響で低迷した経済活動からの緩やかな回復が期待されます。
このような情勢のもと、当社グループは、新中期計画を着実に推進することで、「Our Philosophy」の具現化を図りつつ、企業の経済的価値・社会的価値向上を目指し、次のような課題に取り組んでまいります。
(タイヤ事業)
当社のタイヤ技術コンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマート・タイヤ・コンセプト)」を最新のデジタル技術も活用してさらに進化させ、これらの技術を新商品にも順次投入することで、将来のモビリティ社会への貢献につなげてまいります。
国内市販用では、ドライ路面・ウェット路面に加え、雪道でも走行可能なオールシーズンタイヤの幅広いラインアップで、新たな需要創出を図ります。オールシーズンタイヤは、都市部や雪があまり降らない地域における天候の急変に対応できる全天候タイヤで、今後も様々な層へ訴求し販売を伸ばしてまいります。
アジア地域では、強固な製販体制を構築し地産地消化を進めております。中でも、市場規模の大きい中国では、市販用でEVタイヤ「e. SPORT MAXX(イースポーツマックス)」を昨年発売したほか、新車用では、伸長著しい中華系自動車メーカーへのEVタイヤの納入を強化しております。今後、需要の回復が期待できる中国市場を中心に「ダンロップ」ブランドのプレゼンス向上につなげてまいります。
欧州アフリカ地域では、市場規模の大きいドイツにおいて「ファルケン」ブランドが市販用シェア4位と市場の一角を占めるポジションに成長しております。本年は、欧州市場向けEVタイヤ「e. ZIEX(イージークス)」の発売を予定しており、「ファルケン」ブランド価値の向上及び市販用タイヤの拡販につなげてまいります。
米州地域では、米国工場の収益改善を引き続き進めてまいります。また、関税や海上運賃等のリスクを低減させるために、地産地消比率を引き上げ、販売においては「ファルケン」ブランドのSUVタイヤ等の高機能タイヤを中心に商品展開を進め、利益改善を図ってまいります。南米ではブラジル工場の高機能タイヤ供給能力を増強し販売を伸ばすことにより、今後も安定した利益基盤の構築に努めてまいります。
生産面では、世界各地の工場の生産能力をフル活用して地産地消化を進めながら、グローバルで生産体制を確立しております。これらにより、自動車メーカーとの強固な信頼関係をグローバルで構築し、新車への装着拡大と市販用タイヤ販売への波及効果でビジネスの基盤を強化してまいります。
また、世界の主要市場でEV車両が増えつつありますが、市販用のEVタイヤは中国に続いて欧州での発売も計画しており、新車用でもすでに複数の自動車メーカーへの納入を始めております。今後もグローバル市場各国の自動車メーカーと連携し、EV車両の性能を最大限に引き出せるタイヤを当社独自の材料技術・設計技術により開発してまいります。
(スポーツ事業)
スポーツ事業を取り巻く環境は、世界的なインフレや地政学的緊張が高まるなど世界経済の動向が不透明な中、スポーツの魅力や果たす役割の重要性がコロナ禍以降改めて認識されたこともあり、ゴルフ及びテニスの需要は世界的に堅調に推移し、ウェルネス事業でも持ち直しの傾向が見られました。今後もスポーツ関連用品やサービスを通じて、お客様に感動と「ヨロコビ」を提供し続けてまいります。
ゴルフ用品では、世界最大市場である北米においてマーケティング及び営業体制の強化を進めるとともに、日米2拠点での開発体制により、市場ニーズに応じたダントツ商品を投入することで、一層の拡販と新たな価値創出につなげてまいります。
テニス用品では、全豪オープンのオフィシャルパートナー契約継続やATPツアーでのボール使用率No.1、世界有数のアカデミーとの協業等での若手育成、トッププロ選手との契約強化といった「ダンロップ」ブランドの価値向上施策を基盤に、ボールやラケットのシェアアップを図ります。また、「ダンロップ」ブランドは2023年、英国でのテニスボール生産開始から100周年を迎えます。様々なプロモーションやコラボレーションを通して、ブランド力の更なる向上を図るとともに、テニス業界の活性化に貢献してまいります。
ウェルネス事業では、市場が回復傾向にあるものの依然本格回復には至らない中、不採算店舗の整理や運営の効率化を図りながら、サービス品質、顧客満足度の向上に一層努めてまいります。
(産業品他事業)
制振事業では、国内住宅用制振ダンパーでシェアNo.1の技術をさらに進化させ、ビル・橋梁・自動倉庫分野へ拡大するとともに、熊本城などの歴史的建造物の保存維持にも貢献できる事業として取り組んでまいります。医療用ゴム製品事業では、当社独自の高付加価値ゴム製品で医薬品市場において事業を拡大することで、人々がより安心して、安全・快適に生活できる社会づくりに貢献してまいります。
今後も全ての商材において時代のニーズに適応する付加価値の高い商品を開発・提供することにより、更なる成長を目指してまいります。