有価証券報告書-第171期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直し、企業収益・雇用情勢の改善が続くなど景気は緩やかな回復基調で推移しました。世界経済についても、景気は緩やかな回復傾向が続いているものの、不安定な国際情勢や主要各国における政策の不確実性などにより先行きの不透明な状況が続いております。
このような状況のなかで当社グループは、主力商品であるコラーゲン・ケーシング、ゼラチン関連商品をはじめ、化粧品関連商品、皮革関連商品に関するコスト削減、効率的な設備投資等、さらなる利益増大に向けて一層強固な事業構築に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、42,137百万円(前期比8.1%増)となりました。営業利益は、広告費などの販売費及び一般管理費の増加などにより、2,006百万円(同14.9%減)、経常利益は、1,854百万円(同14.8%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用の影響もあり、949百万円(同49.9%減)となりました。
なお、在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司は、自動車ハンドル用革の事業が国内中心から海外中心に展開していくなかで、今後、同事業での重要な役割が期待されていること、また、総資産、売上高、純利益及び利益剰余金などの重要性が増したことから、当連結会計年度より連結の範囲に含めております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、営業利益は、セグメント間の内部取引による損益を振替消去した後の金額であり、セグメント利益(セグメント情報)は、これを振替消去する前の金額であります。
(コラーゲン・ケーシング事業)
コラーゲン・ケーシングは、国内外ともに競争激化の影響を受けて厳しい環境で推移しました。国内営業部門は、天然羊腸への回帰の傾向がおさまらず、引き続き軟調に推移しました。また、海外営業部門は、競合他社の攻勢などによりコラーゲン・ケーシング市場の競争が激化するなかで、既存の大市場での売上拡大に注力するとともに新規市場の獲得や停滞市場の回復に努めました。
この結果、コラーゲン・ケーシング事業の売上高は、8,752百万円(前期比2.5%増)となりました。営業利益は、海外市場における価格競争激化の影響もあり775百万円(同45.1%減)、セグメント利益は123百万円(同83.8%減)となりました。
(ゼラチン関連事業)
ゼラチン部門は、コンビニエンスストアを主要とする惣菜用途の売上が減少したものの、健康食品ソフトカプセル用途、グミキャンディ用途は堅調に推移しました。ペプタイド部門は、国内のテレビ番組でコラーゲンが取り上げられて再び注目されたこと、海外市場、特に東南アジアでコラーゲンの認知度が高まってきたことなどにより、国内外ともに好調に推移しました。一方、製造部門は、魚、ブタなどの原料価格上昇の影響を受けて軟調に推移しました。
この結果、ゼラチン関連事業の売上高は、9,521百万円(前期比11.3%増)、営業利益及びセグメント利益は1,104百万円(同3.3%減)となりました。
(化粧品関連事業)
化粧品部門は、通販化粧品市場におけるアンチエイジング分野での競争激化が続くなかで、新商品発表会を開催するなど積極的な情報発信を行うとともに、WEB経由での販路拡大のための販促活動に注力しました。健康食品部門は、健康志向を背景に消費者のコラーゲンへの関心が高まり「ニッピコラーゲン100」の売上が好調に推移しました。また、広告効率の改善、新規顧客の獲得が順調に推移しました。
この結果、化粧品関連事業の売上高は、4,008百万円(前期比15.2%増)、営業利益は236百万円(同10.3%増)、セグメント利益は108百万円(同28.5%増)となりました。
(皮革関連事業)
靴・袋物部門は、紳士靴用革は堅調に推移したものの、婦人靴用革は苦戦が続いております。一方、車輌部門は、主要顧客向けの品質安定クラストの選定に注力し、順調に推移しました。
なお、在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を当連結会計年度より連結の範囲に含めていることから、売上高、営業利益はともに増加しております。
この結果、皮革関連事業の売上高は、11,308百万円(前期比19.2%増)、営業利益は557百万円(同100.7%増)、セグメント利益は515百万円(同71.0%増)となりました。
(賃貸・不動産事業)
賃貸・不動産は、東京都足立区、大阪市浪速区ともに堅調に推移しました。
この結果、賃貸・不動産事業の売上高は、775百万円(前期比0.2%増)、営業利益は609百万円(同1.4%増)、セグメント利益は1,439百万円(同0.7%増)となりました。
(食品その他事業)
大豆を主力とした穀物部門は健康志向を背景に売上が好調に推移しました。iPS細胞関連事業は順調に推移しました。イタリア食材、BSE検査キット、輸入建材などは、各市場の不調を受けて減少しました。
この結果、食品その他事業の売上高は、7,771百万円(前期比4.6%減)、営業利益は187百万円(同9.9%増)、セグメント利益は179百万円(同10.1%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は69,026百万円となり、前連結会計年度末と比べ3,743百万円増加しました。これは主に現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品及び製品の増加によるものです。
なお、期首に在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を連結の範囲に含めたことにより、資産が1,699百万円増加しております。
当連結会計年度末における負債は、40,858百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,675百万円増加しました。これは主に支払手形及び買掛金、短期借入金、設備関係支払手形の増加及び長期借入金の減少によるものです。
なお、期首に在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を連結の範囲に含めたことにより、負債が1,339百万円増加しております。
当連結会計年度末における純資産は、28,167百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,067百万円増加し、自己資本比率は、40.1%となりました。
なお、期首に在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を連結の範囲に含めたことにより、純資産が303百万円増加しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ1,027百万円増加し、5,120百万円となりました。
なお、在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を連結の範囲に含めたことによる増加分489百万円が含まれております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ税金等調整前当期純利益が612百万円(前期比26.2%減)の減益となったことにより、536百万円(同23.8%減)収入が減少し、1,717百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ有形固定資産の取得による支出が1,196百万円減少した一方で、補助金受取額が314百万円減少したことなどにより、818百万円(同57.6%減)支出が減少し、602百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ短期借入金が増加したものの、長期借入金、社債、リース債務、長期未払金が減少したことなどにより、18百万円(同3.0%減)支出が減少し、590百万円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| コラーゲン・ケーシング事業 | 8,597 | △2.6 |
| ゼラチン関連事業 | 5,225 | 10.6 |
| 化粧品関連事業 | 200 | △6.7 |
| 皮革関連事業 | 362 | 19.6 |
| 食品その他事業 | 192 | 18.4 |
| 合計 | 14,578 | 2.4 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。
b. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 仕入高(百万円) | 前年同期比(%) |
| ゼラチン関連事業 | 3,604 | 27.0 |
| 化粧品関連事業 | 964 | 26.7 |
| 皮革関連事業 | 9,949 | 21.0 |
| 食品その他事業 | 6,175 | △6.6 |
| 合計 | 20,694 | 12.3 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入金額によっており、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
製品の性質上受注生産は行っておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| コラーゲン・ケーシング事業 | 8,752 | 2.5 |
| ゼラチン関連事業 | 9,521 | 11.3 |
| 化粧品関連事業 | 4,008 | 15.2 |
| 皮革関連事業 | 11,308 | 19.2 |
| 賃貸・不動産事業 | 775 | 0.2 |
| 食品その他事業 | 7,771 | △4.6 |
| 合計 | 42,137 | 8.1 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上の相手先の該当がないので記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおり重要な資産の評価方法、重要な引当金の計上基準等においての継続性、網羅性、厳格性を重視して処理計上しております。また、繰延税金資産においては将来の回収可能性を十分に検討した上で計上しております。
しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度は、コラーゲン・ケーシング事業をはじめ、ゼラチン・ペプタイド、化粧品、皮革など事業セグメントごとに国内外の新規顧客の確保、販売活動に注力し、拡販とともに利益体質の強化に努めてまいりました。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ3,160百万円増加し、42,137百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
主な要因といたしましては、コラーゲン・ケーシング事業においては、国内市場では天然羊腸への回帰により苦戦しましたが、海外市場の獲得に注力した結果、販売数量を伸ばしました。ゼラチン関連事業は惣菜用ゼラチンが軟調だったものの、ペプタイドが健康食品市場の活況を背景に好調に推移し、また、化粧品関連事業の「ニッピコラーゲン100」の販売が伸張いたしました。また、皮革関連事業の車輌用革は一部顧客との取引が減少したものの、車輌用革取引が主体である在外子会社の日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を当連結会計年度から連結の範囲に含めたことにより、前年同期と比べ増収となりました。
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ350百万円減少し、2,006百万円(同14.9%減)となりました。また、当連結会計年度における経常利益は前連結会計年度に比べ322百万円減少し、1,854百万円(同14.8%減)となりました。
主な要因といたしましては、皮革関連事業において、日皮(上海)貿易有限公司及び海寧日皮皮革有限公司を当連結会計年度より連結の範囲に含めたことにより増益となったものの、ゼラチン関連事業においては、輸入為替などの影響により原料費が上昇し、化粧品関連事業においては、広告宣伝費、販売促進費、宅急便の値上がりなどにより支払運搬費などが増加しました。また、コラーゲン・ケーシング事業においては、国内市場の天然羊腸への回帰、海外市場では厳しい価格競争の激化に直面し、輸出価格が低調に推移したこと、天然ガス等のエネルギー料金が値上がりしたことなどにより生産コストが上昇いたしました。これらにより全体として利益は前連結会計年度を下回りました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益が476百万円減少し、特別損失が187百万円増加したことにより、税金等調整前当期純利益が612百万円減少いたしました。さらに前連結会計年度の法人税等は有税引当の戻りにより軽減されていたため、当連結会計年度の税金費用は、320百万円増加いたしました。
以上の結果、前連結会計年度に比べ945百万円減少し、949百万円(同49.9%減)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの各事業は、国内外市場で製品の販売を行う一方、製品原料や関連資材の買い付けを行っております。このため、夫々の市場動向や規制、また、特に外国為替相場等の大きな変動が各事業の業績に大きな影響を与える場合があります。
そのほか当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 戦略的現状と見通し
コラーゲン・ケーシング、ゼラチン関連、化粧品関連、皮革関連などの各事業におきましては、顧客や市場ニーズを取り入れた新商品開発により一層の高付加価値商品を投入するとともに、宣伝広告等により商品や企業の知名度の向上を図ってまいります。一方では、製造コストの低減や販売価格の見直しを行いつつ、高収益体制の強化に努めてまいります。
また、賃貸・不動産事業におきましては、東京都足立区の千住地区と大阪市浪速区の難波所有地での工場跡地の開発事業が着実に進捗しており、一部は商業施設化しておりますが、残る区画についても早期の本格的な事業化を目指し、収益性を十分考慮した運用を行ってまいります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、平成31年3月完成予定のコラーゲンペプチド工場の建設資金約3,300百万円につきましては、既に15百万円支出しており、今後の設備資金の決済につきましては、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金により調達できる見通しであります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社は、皮革事業において100年間に亘り、我が国のリーディングカンパニーとして製造・販売を行ってまいりました。その間、皮革事業で培った技術・知識・経験を基に研究開発を重ね、新たにゼラチン・ぺプタイド事業を国内トップクラスに、また、コラーゲン・ケーシング事業を国内で唯一、世界の四大メーカーの一角を占めるまでに、更には、コラーゲン化粧品と健康食品「ニッピコラーゲン100」の事業を当社主力事業に育成してまいりました。
現在の当社の課題は、先ずはこれらの事業を更に充実拡大させ、以て当社の企業理念である社会貢献にこれまで以上に繋げていくことです。それを実現させる為に、既存の知財に加え新たな事業で得た技術・経験を生かし、また、顧客や社会の要望に応えられる高付加価値商品を世に送り出して行かねばなりません。
また、新たな事業としては、再生医療分野で大きな注目を浴びているiPS細胞関連事業で、国立大学法人大阪大学と合弁企業「株式会社マトリクソーム」において、既存のiPS細胞培養基質である「iMatrix511」及び新規研究開発品を国内外で販売してまいります。
このように、既存事業の改良改善、さらには新規開発の取り組みを実行しつつ、企業体質の強化を図るとともに、これらを通じて社会への貢献を図ってまいります。