当社グループ全事業における気候変動の影響について、2030年を想定し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などの専門機関が描くシナリオを参考に、分析を行いました。気候変動がもたらすリスクは、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響(物理的リスク)に分けられます。地球の平均気温上昇が産業革命前と比べて2℃以下または4℃上昇するシナリオを想定し、それぞれのリスクと機会について、影響度が高いと思われる項目を抽出しました。
| 分 類 | リスク | 機会 |
| 移行リスク | 政策・規制 | 炭素税の引き上げ、温室効果ガス排出や化石エネルギーに関する規制 | ・セメント産業はエネルギー多消費産業であるため、化石エネルギーの価格上昇によりエネルギーコストの増加が想定される。・保有する自家発電設備が、非効率石炭火力のフェードアウト対象となった場合、売電事業の縮小や喪失の可能性がある。発電設備の廃止により工場使用電力を小売電気事業者から購入した場合、電力コストの増加が想定される。 | ・従来より力を入れている石炭代替(廃プラスチック、バイオマス燃料)の更なる利用推進により、廃棄物収集事業における収益拡大が期待できる。・工場跡地等多数保有する遊休地を、再生可能エネルギー発電等の新規発電設備や植林に活用できる可能性があり,グリーン電力やグリーンカーボンにより気候変動問題対応から発想する、新たな事業の創出が期待できる。 |
| 技術 | 新技術の開発 | ・新技術の研究開発費やカーボンニュートラル実現のための設備投資増加による、コストの増加が予想される。 | ・CO2排出削減技術の向上に伴う収益獲得が期待できる。(炭酸塩鉱物化技術、人工光合成水素製造技術、アンモニア/水素利用技術)・CO2有効利用技術の進歩とその活用により、大量のCO2の安定的固定化と新たな事業分野への拡大が期待できる。(メタン、メタノール、プラスチック素材)・保有する未使用特許を新しい市場で活用できる可能性がある。 |
| 市場 | ユーザー行動の変化 | ・混合セメントの使用量が増え、クリンカ生産量の減少が想定される。・炭素排出コストが低い国からの低価格セメントの流入、気候変動対策の進んだ国からの低炭素型セメントの普及が進み、セメントシェアを圧迫する可能性がある。・低炭素物流が求められることで物流コストが増加する可能性がある。 | ・従来より取り組んできた低炭素型セメント、低炭素型コンクリートのさらなる開発と普及促進により製品の差別化が進み、今後普及と成長が期待される低炭素型建設構造物への採用が進み、事業を拡大することができる。・ヒートアイランド現象低減効果、燃費向上効果、耐久性の観点でLCCに優れたコンクリート舗装が普及し、セメント需要が増加する可能性がある。 |
2℃シナリオでは、炭素税の引き上げや化石エネルギーに関する規制が強化され、セメント製造及び自家発電設備において石炭を使用するほかに、他社石炭火力発電所から発生する石炭灰・石膏をセメント原料とする当社グループにとって、コスト増加が想定される一方で、石炭に代わる熱エネルギーとして廃プラスチックや木質バイオマス燃料の利用を高めることで、リサイクル処理収入による収益拡大と化石エネルギーの代替によるCO2排出量削減が期待できます。